(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記信号分解器は、入力信号が任意の閾値を越えた場合には、入力信号を残留信号として出力し、超えない場合には、入力信号を任意の値で逓倍して残留信号として出力することを特徴とする請求項1に記載のRF信号生成回路。
前記信号分解器は、残留信号として、入力信号が任意の閾値を越えた場合には、本信号分解器が扱える最大値を固定して出力し、閾値を超えない場合には、入力信号を任意の値で逓倍して出力することを特徴とする請求項1に記載のRF信号生成回路。
前記信号分解器は、残留信号として、入力信号が任意の閾値を越えない場合には、入力信号を任意の値で逓倍して出力し、閾値を超える場合には、閾値近傍で、閾値を超えない場合の残留信号と連続的に接続され、また、前記信号分解器の入力レンジの最大値が、前記信号分解器の残留信号の出力レンジの最大値となるように、入力信号を変換して残留信号として出力することを特徴とする請求項1に記載のRF信号生成回路。
前記パルス幅変調器は、入力信号を参照値と比較して、比較結果を2値で出力する比較器で構成され、参照値として、前記パルス幅制御信号が用いられることを特徴とする請求項1に記載のRF信号生成回路。
前記デルタシグマ変調器は、内部にN(Nは任意の2以上の整数)値出力型比較器を持ち、出力信号は、N個の値の中からの選択値であることを特徴とする請求項1に記載のRF信号生成回路。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や無線LAN(Local Area Network)の通信機器の送信部は、出力電力の大きさに関係なく、送信信号の精度を確保しつつ、低消費電力で動作することが求められる。特に、通信機器の送信部最終段の電力増幅回路は、通信機全体の消費電力の50%以上を占めるため、高い電力効率であることが求められる。
【0003】
近年、スイッチング増幅回路は、高い電力効率を持つ電力増幅回路として注目されている。スイッチング増幅回路は、入力信号としてパルス波形信号を想定し、その波形を維持して電力増幅する。スイッチング増幅回路によって増幅されたパルス波形信号は、フィルタ素子によって所望の周波数成分以外の周波数成分が十分に抑圧された後に、アンテナより空中に放射される。
【0004】
図12は、既知のスイッチング増幅回路の代表例であるD級増幅回路の回路構成の一例を示す。
このD級増幅回路は、電源とグランドとの間に、2つのスイッチ素子が直列に挿入されて成る。2つのスイッチ素子には、開閉制御信号として相補的なパルス信号が入力され、どちらか一方のスイッチ素子のみがオン状態となるように制御される。出力は、電源側のスイッチ素子がオン、グランド側のスイッチ素子がオフの場合、電源電圧と等しい電圧が出力され、逆の場合、グランド電位が出力される。
【0005】
このD級増幅回路は、バイアス電流を必要としない。そのため、電力損失は、理想的には0になる。また、これらスイッチ素子は、MOS(Metal−Oxide−Semiconductor)電界効果トランジスタや、バイポーラトランジスタ等によって構成することができる。
【0006】
図13は、D級増幅回路を用いた既知の送信機のブロック構成の一例を示す(例えば、非特許文献1のFig.1に記載の信号生成器から類推できる)。
この送信機は、RF信号生成器、ドライバアンプ、D級増幅回路、及びフィルタ等を備え、RF信号生成器により生成したRFパルス信号を、ドライバアンプ、及びD級増幅回路により増幅する。D級増幅回路の後段のフィルタ回路は、D級増幅回路で増幅されたRFパルス信号の不要成分を除去して、RF無線信号を再生する。
【0007】
RF信号生成器は、デジタルベースバンド・プロセッサ、ポーラ変換器、ΔΣ(デルタシグマ)変調器、比較器、混合器から構成される。
ポーラ変換器は、デジタルベースバンド・プロセッサで生成した直交無線信号(I(t),Q(t))を、下記の式(1)、(2)に従って、振幅信号A(t)と位相信号P(t)に変換する。
【0008】
【数1】
【0009】
【数2】
【0010】
但し、αは、下記の式(3)のとおりである。
【0011】
【数3】
【0012】
また、ω
Cはキャリア周波数に対応した、角周波数である。なおまた、下記の式(4)に示すとおり、A(t)とP(t)との積が、RF無線信号RF(t)である。
【0013】
【数4】
【0014】
比較器は、正弦波状の位相信号P(t)を、ゼロを閾値とした比較動作により、矩形状のパルス信号に変換する。本パルス位相信号PR(t)は、下記の式(5)で表される。
【0015】
【数5】
【0016】
H(t)は、P(t)を矩形化した際に生じる、P(t)の高調波成分である。
ΔΣ変調器は、外部固定クロック源から供給されるクロック信号に同期して動作し、振幅信号A(t)をΔΣ変調する。ΔΣ変調器の具体的な構成例として、既知の1次のΔΣ変調器の構成図を
図14に示す。このΔΣ変調器は、遅延器、量子化器、加減算器で構成される。
量子化器は、本例では、入力信号の閾値に対する大小で、1または−1を出力する、1bit比較器である。このΔΣ変調器の入力信号をY(z)、出力信号W(z)、量子化器で発生する量子化雑音をN(z)であらわすと、これら3者の間には、下記の式(6)が成り立つ。
【0017】
【数6】
【0018】
ここで、z=e
j(2πf/fs)である。fsは、ΔΣ変調器のクロック信号のクロックレート(サンプリング周波数)である。
【0019】
上記の式(6)は、出力信号には、入力信号と、量子化雑音に(1−z
−1)が係数として掛け合わされたものが、含まれることを意味している。(1−z
−1)の絶対値は、サンプリング周波数より十分に小さい周波数領域においてはゼロに近くなり、ナイキスト周波数(サンプリング周波数の1/2として定義)では、最大値である2となる。
【0020】
出力信号における、信号対量子化雑音比は、上記の式(6)のY(z)、及び(1−z
−1)N(z)の比で表されることを考慮すると、本ΔΣ変調器は、サンプリング周波数より十分低い周波数領域になるほど、量子化雑音は無視できるほどに小さくなり、信号対量子化雑音比を高くできる。一方で、高い周波数領域では、信号対量子化雑音比は小さくなる。
すなわち、ΔΣ変調器は、信号の周波数帯域幅がサンプリング周波数よりも十分小さい条件においては、当該帯域への量子化雑音の混入を小さく抑えることができる。振幅信号A(t)をZ変換したものとA(z)とすると、ΔΣ変調器の出力信号は、下記の式(7)で表される。
【0021】
【数7】
【0022】
時間ドメインで書き直すと、下記の式(8)となる。
【0023】
【数8】
【0024】
NH(t)は、上記の式(7)で表される量子化雑音成分(1−z
−1)・N(z)を時間領域であらわした成分と、A(z)を時間領域で表現した際にナイキスト周波数以上に発生する、A(t)のイメージ成分の和となる。
図13の混合器は、ΔΣ変調器の出力信号と比較器の出力信号の積を出力する。混合器の出力信号MIX(t)は、上記の式(5)と(8)から、下記の式(9)のように表される。
【0025】
【数9】
【0026】
上記第1項は、上記の式(4)で示す無線信号RF(t)である。このことは、RF信号生成器は、無線信号を含んだパルス信号を生成できることを意味している。本パルス信号を、ドライバアンプを介してD級増幅回路に入力することで、無線信号を所望のレベルにまで増幅することができる。
上記の式(9)の第2項以降の不要成分も同時に増幅されるが、D級増幅回路後段に接続されたフィルタによって、フィルタの帯域外の成分は、除去される。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0036】
図1は、第1の実施形態に係る送信機100のブロック構成の一例を示す。
送信機100は、RF信号生成器110、ドライバアンプ120、及びD級増幅回路130を備える。
RF信号生成器110は、無線信号を内包したパルス信号を生成する。このパルス信号は、このパルス信号の相補信号と共に、ドライバアンプ120を介して、D級増幅回路130を構成するスイッチ素子の開閉制御信号に用いられる。
RF信号生成器110によって生成されるパルス信号は、
図13に示す構成例よりも、量子化雑音を小さくすることができる。
【0037】
RF信号生成器110は、デジタルベースバンド・プロセッサ111、ポーラ変換器112、信号分解器113、パルス幅変調器114、ΔΣ(デルタシグマ)変調器115、及び混合器116を備える。
【0038】
ポーラ変換器112は、デジタルベースバンド・プロセッサ111によって生成された直交無線信号(I(t),Q(t))を、振幅信号A(t)と位相信号P(t)に変換するブロックであり、
図13に示す例におけるものと同様のものである。振幅信号A(t)、及び位相信号P(t)は、それぞれ上記の式(1)、(2)のように表される。
【0039】
信号分解器113は、振幅信号A(t)を、パルス幅制御信号Vpcと、残留信号Vaとに分解する。その際、信号分解器113は、パルス幅(変調)制御信号Vpcと、残留信号Vaとの積が振幅信号A(t)となる制約のもとに、振幅信号A(t)を分解する。
【0040】
図2は、信号分解器113の動作の一例を示す。ここで、信号分解器113に入力される振幅信号は、最大値を1として規格化されているものとする。
信号分解器113は、入力信号Vinが0〜0.5の場合、パルス幅制御信号として、0.5を出力し、残留信号として、入力信号の2倍を出力する。入力信号Vinが0.5〜1.0の場合には、パルス幅制御信号として、1.0を出力し、残留信号として、入力信号をそのまま出力する。
入力信号Vinが、いずれの値の場合でも、パルス幅制御信号と残留信号の積は、常に入力信号に等しい。
【0041】
信号分解器113のその他の動作例を
図9〜11に示す。
図2に示す動作例は、入力信号の0.5に対する大小比較によって、2段階でVa、及びVpcの出力アルゴリズムが変化するのに対して、
図9に示す動作例では、入力信号の、N−1個の閾値(小さい順にb1,b2,・・・,b
N−1)に対する大小比較によって、N通りのアルゴリズムにより変化する。ここで、b1,b2,・・・,b
N−1は、0〜1の間の任意の数で、「b1<b2<・・・<b
N−1」の関係を有する。
図9に示すように、入力信号がb
k−1〜b
kであった場合は、Vaは、(1/b
k)・Vin、Vpcは、b
kとなる。また、VaとVpcの積は、常にVinとなる。
【0042】
次に、
図10に示す動作例では、0〜1の任意の数値である閾値bに対して
図10に示すVa,Vpcを出力する。
すなわち、残留信号として、入力信号が当該閾値bを越えた場合には、本信号分解器113が扱える最大値(ここでは1)を固定して出力し、閾値を超えない場合には、入力信号を任意の値(ここでは上記閾値bの逆数1/b)で逓倍して出力する。
【0043】
本動作例では、
図2に示す例と比較して、Vaの波形が滑らかであり、Vaの周波数成分を小さく抑えられる。
【0044】
次に、
図11に示す動作例は、
図10に示す動作例をさらに一般化したものである。すなわち、残留信号として、入力信号が任意の閾値bを越えない場合には、入力信号を1〜1/bの間の任意の値cだけ逓倍して出力する。閾値bを超える場合には、閾値近傍で、閾値を超えない場合の残留信号と連続的に接続され、また、信号分解器113の入力レンジの最大値が、信号分解器113の残留信号の出力レンジの最大値となるように、入力信号を変換して残留信号として出力する(具体的な式は、
図11の表参照)。
いずれの場合も、VaとVpcの積は、Vinに等しくなる。
【0045】
以下では、信号分解器113の動作は、
図2に示すものとして話を展開する。
パルス幅変調器114は、ポーラ変換器112から出力される位相信号P(t)を入力とし、本位相信号を矩形状のパルス信号に変換する。パルス信号に変換する際には、パルス信号のDuty比を、信号分解器113から出力されるパルス幅制御信号に従って制御する。本パルス信号において、パルスレートと等しい周波数の正弦波成分(パルスレートに等しいフーリエ成分ともいえる。以下、基本波成分と呼び、fbaseとして表す)は、下記の式(10)で表される。
【0047】
上記式において、DCRは、Duty比を%表記したものである。また、上記の式(10)では、fbaseの最大値を1に規格化してある。本基本波成分fbaseがもっとも大きくなるDuty比は、50%である。
パルス幅変調器114は、上記の式(10)に従い、本基本波成分fbaseがパルス幅制御信号に等しくなるように、Duty比を制御する。
【0048】
図3は、パルス幅変調器114の具体的な構成を示す回路ブロック図である。
パルス幅変調器114は、比較器で構成される。本比較器は、入力端子、参照端子、出力端子を持ち、入力端子から入力される信号が、参照端子に入力される参照値Vrefよりも大きければハイ、小さければ、ローを出力する。
入力信号Vcomp_inが、下記の式(11)で表されるように、直流信号Vxに正弦波信号が重なっている場合、参照値VrefとしてVx+fを与えると、本比較器から出力されるパルス信号のDuty比(DCR)は、下記の式(12)で表される。
【0051】
上記は、fを0に設定すれば、Duty比は、50%となり、fを大きくするほど、Duty比は小さくなることを意味している。
上記の式(10)と式(12)から、下記の式(13)が導かれる。
【0053】
上記の式(13)は、参照値Vrefにより、パルス信号に含まれる基本波成分fbaseを制御できることを意味している。
また、上記の式(13)より、下記の式(14)が導かれる。
【0055】
上記の式(14)から、fとして、下記の式(15)によって求められる値を用いことで、パルス幅変調器114の出力パルス信号に含まれる基本波成分をVpcと等しい値にすることができる。
【0057】
ΔΣ変調器115は、入力信号をΔΣ(デルタシグマ)変調する機能を持ち、
図14に示す例と同一ものである。ΔΣ変調器115の入力信号をY(z)、出力信号をW(z)、量子化器で発生する量子化雑音をN(z)であらわすと、これら3者の間には、上記の式(6)が成立する。
【0058】
混合器116は、2つの入力信号の積を出力する。混合器116には、ΔΣ変調器115の出力と、パルス幅変調器114の出力が入力される。
前述したΔΣ変調器115の出力信号は、内部の比較器の出力であり、1または−1となるが、本信号をhigh/lowと見立てることにより(パルス幅変調器114から出力される信号も、high/lowとみなせるので)混合器116は、
図4に示すNAND演算子1つで構成することが可能である。このNAND演算子から出力されるパルス信号が、RF信号生成器110の出力信号として、次段のドライバアンプ120に伝送される。
【0059】
以下、RF信号生成器110全体の動作について説明する。
デジタルベースバンド・プロセッサ111で生成された直交無線信号は、ポーラ変換器112で、振幅信号A(t)と、位相信号P(t)に分解される。
【0060】
信号分解器113には、振幅信号A(t)が入力される。信号分解器113は、入力信号の値の大きさによって、出力信号である、残留信号、及びパルス幅制御信号の値を切り替える。以下では、振幅信号が、0から0.5であった場合について述べる。
残留信号V
a<05、及びパルス幅制御信号V
pc<05は、各々、下記の式(16)、(17)で表される。
【0063】
ΔΣ変調器115には、入力信号として信号分解器113から出力される残留信号V
a<05が入力される。ΔΣ変調器115に入力されるクロック信号には、外部固定クロック源が用いられる。
【0064】
ΔΣ変調器115の出力信号W
<05(z)は、上記V
a<05をZ変換したのち上記の式(6)のY(z)に代入することで、下記の式(18)で与えられる。
【0066】
これを時間ドメインで書き直すと、下記の式(19)となる。
【0068】
NH
<05(t)は、上記の式(18)で表される量子化雑音成分(1−z
−1)・N(z)を時間領域であらわしたものと、2×A(z)を時間領域で表現した際にナイキスト周波数以上に発生する、2×A(t)のイメージ成分の和となる。
【0069】
ここで、上記の式(8)で示す例における、ΔΣ変調器115の出力信号と、上記の式(19)に示す本実施形態のΔΣ変調器115の出力信号の比較をすると、本実施の形態のΔΣ変調器115の出力信号の方が、振幅信号A(t)を2倍含んでいることが明らかである。
ΔΣ変調器115から出力されるパルスのエネルギーは、一定である(ΔΣ変調器115の出力信号は、1または−1の値のパルス波形であるため、信号の2乗で定義されるエネルギーは、常に1である)ことを考慮すると、本実施の形態に含まれる量子化雑音NH
<05(t)は、振幅信号成分が増加した分だけ、既知の例の量子化雑音NH(t)よりも小さくなる。
【0070】
ポーラ変換器112から出力される位相信号は、上記の式(2)で表されるP(t)である。
【0071】
本位相信号を入力として生成されるパルス幅制御信号にて、Duty50%(Vpc=1)でパルス(位相)信号PR(t)を生成した場合、本パルス信号は、上記の式(5)で表される。
【0072】
信号分解器113に入力される振幅信号が0から0.5である場合は、信号分解器113から出力されるパルス幅制御信号Vpcは、0.5である。本パルス幅制御信号を受け取ったパルス幅変調器114は、パルス幅変調器114から出力されるパルス信号Vpout(t)において、基本波成分fbaseを、0.5に制御する。即ち、パルス信号Vpout(t)は、下記の式(20)で表される。
【0074】
上記の式(20)で、g
<05(H(t))は、Vpout(t)にふくまれる、0.5×P(t)以外の成分であり、P(t)の高調波成分で構成される。
【0075】
混合器116は、上記の式(20)で表されるパルス信号Vpout(t)と、上記の式(19)で表されるΔΣ変調器115の出力信号W<05(t)の積を出力する。よって、混合器116の出力信号MIX(t)は、下記の式(21)で表される。
【0077】
上記の式(21)の右辺第1項にみられるように、混合器116の出力パルス信号には、無線信号成分が含まれる。なおまた、第2項以降は、不要成分である。
【0078】
混合器116の出力信号は、RF信号生成器110のRFパルス信号として、次段(ドライバアンプ120、D級増幅回路130)に伝送される。
【0079】
ΔΣ変調器115で生成される量子化雑音NH
<05(t)は、前述したとおり、既知の量子化雑音NH(t)よりも小さい。式(9)に示す例のRFパルス信号の右辺第3項と式(21)の右辺第3項を比較することにより、明らかに本実施の形態で生成されるRFパルス信号は、既知の例のRFパルス信号よりも量子化雑音が小さくなる。
なおまた、上記の式(21)右辺における第2項、第4項は、g
<05(H(t))を含んでいるため、周波数成分は、所望成分が占有する周波数帯よりも2倍以上大きい。よって、D級増幅回路130の後段のフィルタ140で除去が可能である。
【0080】
次に、信号分解器113に入力される振幅信号A(t)が、0.5から1であった場合について述べる。残留信号V
a>05、及びパルス幅制御信号V
pc>05は、各々、下記の式(22)、(23)で表される。
【0083】
本状況においては、ΔΣ変調器115には、振幅信号A(t)が入力される。また、パルス幅変調器114は、位相信号P(t)が入力され、Duty比50%の矩形信号が出力される。
【0084】
本状況においては、本実施の形態は、
図13に示す例と同じ動作をする。すなわち、RF信号生成器110から出力されるRFパルス信号は、上記の式(9)で示される。
【0085】
以上、本実施の形態においては、振幅信号A(t)が0から0.5の場合に、量子化雑音を小さくし、0.5から1の場合には、既知の例と同じ動作をする。一般的にWCDMA等の無線信号は、振幅信号の平均値は0.5以下であることを考慮すると、本実施の形態の量子化雑音低減への貢献は大きいといえる。
【0086】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る送信機200のブロック構成の一例を示す。
送信機200は、RF信号生成器210、ドライバアンプ220、及びD級増幅回路230を備える。
RF信号生成器210は、無線信号を内包したパルス信号を生成する。このパルス信号は、このパルス信号の相補信号と共に、ドライバアンプ220を介して、D級増幅回路230を構成するスイッチ素子の開閉制御信号に用いられる。
ドライバアンプ220、D級増幅回路230は、第1の実施形態における同名のものと同一である。
【0087】
RF信号生成器210は、デジタルベースバンド・プロセッサ211、ポーラ変換器212、信号分解器213、パルス幅変調器214、ΔΣ変調器215、混合器216から構成されており、これらは、すべて、第1の実施の形態におけるRF信号生成器110を構成する同名の回路ブロックと同一である。
RF信号生成器110では、ΔΣ変調器215のクロック信号は、外部固定クロック源から供給されているのに対し、RF信号生成器210では、ΔΣ変調器215のクロック信号は、パルス幅変調器214の出力信号が用いられる。本構成により、混合器216に入力される2つのパルス信号(ΔΣ変調器215の出力信号とパルス幅変調器214の出力信号)は、同期する。
同期がとれていないと、2つのパルス信号の信号遷移のタイミングがずれるため、混合器216の出力パルス信号には、入力パルス信号のパルス幅よりも、ずっと狭いパルス幅を持ったパルスが発生する。パルス幅は、狭くなるほど、より高い周波成分を含むようになるため、実デバイスを用いた場合には、寄生素子の影響で信号波形が崩れやすくなるという問題が発生する。本実施の形態では、こうした問題の発生を回避することができる。
【0088】
図6は、本発明の第3の実施形態に係る送信機300のブロック構成の一例を示す。
送信機300は、RF信号生成器310、ドライバアンプ320、及びD級増幅回路330を備える。
RF信号生成器310は、無線信号を内包したパルス信号を生成する。このパルス信号は、このパルス信号の相補信号と共に、ドライバアンプ320を介して、D級増幅回路330を構成するスイッチ素子の開閉制御信号に用いられる。
ドライバアンプ320、D級増幅回路330は、第1の実施形態における同名のものと同一である。
【0089】
RF信号生成器310は、デジタルベースバンド・プロセッサ311、ポーラ変換器312、信号分解器313、パルス幅変調器314、ΔΣ変調器315、比較器317、混合器316から構成されており、これらは、すべて、
図13に示す例におけるRF信号生成器、及び
図1に示す第1の実施の形態におけるRF信号生成器110を構成する同名の回路ブロックと同一である。
RF信号生成器210では、ΔΣ変調器215のクロック信号には、パルス幅変調器214からの出力信号を用いているのに対して、RF信号生成器310では、ΔΣ変調器315のクロック信号には、位相信号P(t)を比較器317でDuty50%のパルス信号に変換した信号を用いている。
RF信号生成器210では、ΔΣ変調器315のクロック信号のDuty比は、50%より小さくなる場合が発生するが、RF信号生成器310では、常に50%である。Dutyが50%より小さくなると、より高い周波数成分が発生して、実デバイスにおける寄生素子の影響により、クロック信号が崩れやすくなるという問題が発生する。本実施の形態では、こうした問題の発生を回避することができる。
【0090】
図7は、本発明の第4の実施形態に係る送信機400のブロック構成の一例を示す。
送信機400は、RF信号生成器410、デコーダ460、ドライバアンプ420、及び多値D級増幅回路430を備える。
RF信号生成器410は、無線信号を内包した多値パルス信号を生成する。このパルス信号は、デコーダ460を介して、後段の多値D級増幅回路430に入力され、多値パルス信号が、波形を維持した状態で、増幅される。
多値D級増幅回路430の出力信号は、後段のフィルタ440で不要成分を除去したのち、アンテナ450から放射される。
【0091】
例として、多値パルスのとる値がN個ある(Nは2以上の整数。小さい順にVP1,VP2,…,VPNとする)とする。
【0092】
多値D級増幅回路430は、
図7内に示すように、N個のスイッチ素子で構成される。
これらN個のスイッチ素子(S1,S2,・・・,SN)は、一端が互いに接続され、多値D級増幅回路430の出力信号として、後段のフィルタ440に接続される。もう一端は、各々、異なる電圧値の電源に接続される(S1,S2,・・・,SNに接続される電源電圧を、小さい順にVDD1,VDD2,…,VDDNとする)。
【0093】
デコーダ460は、RF信号生成器410の出力信号がVP
k(kは1からNの整数)であった場合、多値D級増幅回路430を構成するスイッチ素子Skをオン状態にし、残りをすべてオフ状態にする。本状態においては、多値D級増幅回路430からは、VDD
kが出力される。
【0094】
なおまた、RF信号生成器410で生成される多値パルス信号に含まれる無線信号を、歪なく多値D級増幅回路430で増幅するために、多値パルス信号の隣接する信号値の間隔と、多値D級増幅回路430に接続される電源の、隣接する電圧値の間隔の比率は、下記の式(24)のように保存される。
【0096】
多値パルス信号を生成するRF信号生成器410は、デジタルベースバンド・プロセッサ411、ポーラ変換器412、信号分解器413、パルス幅変調器414、多値ΔΣ変調器415、混合器416を備える。
RF信号生成器410は、
図5に示す第2の実施形態におけるRF信号生成器210において、ΔΣ変調器215を多値ΔΣ変調器415に置き換えた構成に等しい。
【0097】
多値ΔΣ変調器415の具体例を示す回路ブロック図を
図8に示す。
本回路は、遅延器、多値量子化器、加減算器で構成される。
図14に示すΔΣ変調器の量子化器(以降、2値量子化器)を多値量子化器に置き換えた構成に等しい。
【0098】
多値量子化器は、本例では、N個(Nは2以上の整数)の出力値を持つとする。本多値量子化器では、入力信号のN−1個の閾値に対する大小で、N個のうち、1つの値が選択されて出力される。多値ΔΣ変調器415の入力信号をY(z),出力信号W(z)、多値量子化器で発生する量子化雑音をNm(z)であらわすと、これら3者の間には、下記の式(25)が成り立つ。
【0100】
本式は、上記の式(6)と比較すると、ΔΣ変調器の出力信号に含まれるN(z)を、Nm(z)に置き換えたことに相当する。多値量子化器は、2値量子化器に比較して、とりうる値の数が多いため、発生する量子化雑音Nm(z)は、2値量子化器で発生する量子化雑音N(z)より小さくなる。
【0101】
RF信号生成器410においては、混合器416に入力される信号は、多値ΔΣ変調器415のN値出力信号と、パルス幅変調器414から出力されるパルス信号である。
多値ΔΣ変調器415から出力される信号の最低値を0に割り当て、また、パルス幅変調器414から出力されるパルス信号を、1または0と割り当てることにより、混合器416から出力されるパルス信号のとりうる値は、多値ΔΣ変調器415から出力されるN個の値に等しい。混合器416の出力信号が、RF信号生成器410の出力信号として、後段のデコーダ460に伝送される。
【0102】
以上、本実施形態においては、量子化雑音は、
図5に示す第2の実施形態に比較して小さくなる。
【0103】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、請求の範囲の記載範囲において、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。