特許第6032210号(P6032210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032210
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】薬剤収容カセット及び薬剤払出装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   A61J3/00 310K
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-542965(P2013-542965)
(86)(22)【出願日】2012年11月5日
(86)【国際出願番号】JP2012078572
(87)【国際公開番号】WO2013069586
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2015年10月9日
(31)【優先権主張番号】特願2011-243610(P2011-243610)
(32)【優先日】2011年11月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100115934
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 雅也
(72)【発明者】
【氏名】小池 直樹
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−020897(JP,A)
【文献】 特開平03−240603(JP,A)
【文献】 特開2009−165675(JP,A)
【文献】 特開2006−109857(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/039483(WO,A1)
【文献】 特開平06−144410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00− 7/00
G07F 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤シートを積み上げした状態或いは包装体の状態で収容できる収容領域を、奥行き方向に複数形成するように、奥行き方向に間隔を置いて配置された複数の仕切り部材と、上記複数の仕切り部材を移動させて上記収容領域内の薬剤シート或いは包装体を手前側に移動させる移動部材と、を備えており、上記仕切り部材が上記奥行き方向と交差する方向に分離して配置されており、上記収容領域に収容される薬剤シート或いは包装体に上記仕切り部材が係合でき、上記移動部材は、上記薬剤シート或いは包装体が手前側に移動するように上記仕切り部材を移動させた後、この仕切り部材を上記薬剤シート或いは包装体から遠ざけた状態で奥側に移動させることを特徴とする薬剤収容カセット。
【請求項2】
薬剤シートを包装体の状態で収容できる収容領域を奥行き方向に複数形成し最も奥側に位置する包装体に接するように配置された仕切り部材と、上記仕切り部材を移動させて上記収容領域内の上記包装体を手前側に移動させる移動部材と、を備えており、上記仕切り部材が上記奥行き方向と交差する方向に分離して配置されており、上記収容領域に収容される包装体に上記仕切り部材が係合でき、上記移動部材は、上記包装体が手前側に移動するように上記仕切り部材を移動させた後、この仕切り部材を上記包装体から遠ざけた状態で奥側に移動させることを特徴とする薬剤収容カセット。
【請求項3】
薬剤シートを積み上げした状態或いは包装体の状態で収容できる収容領域を奥行き方向に複数形成するように奥行き方向に間隔を置いて配置された複数の仕切り部材と、上記複数の仕切り部材を移動させて上記収容領域内の薬剤シート或いは包装体を手前側に移動させる移動部材と、を備えており、外部から駆動力を得て上記移動部材を移動させる駆動機構を備えていることを特徴とする薬剤収容カセット。
【請求項4】
薬剤シートを包装体の状態で収容できる収容領域を奥行き方向に複数形成し最も奥側に位置する包装体に接するように配置された仕切り部材と、上記仕切り部材を移動させて上記収容領域内の上記包装体を手前側に移動させる移動部材と、を備えており、外部から駆動力を得て上記移動部材を移動させる駆動機構を備えていることを特徴とする薬剤収容カセット。
【請求項5】
縦方向及び横方向に複数形成された装填スペースに請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の薬剤収容カセットが上記奥行き方向に出し入れ自在に装填されており、縦方向及び横方向に移動する払出動作部によって任意の薬剤収容カセットから上記薬剤シート或いは包装体を払い出すように構成されていることを特徴とする薬剤払出装置。
【請求項6】
縦方向及び横方向に複数形成された装填スペースに請求項3または請求項4に記載の薬剤収容カセットが上記奥行き方向に出し入れ自在に装填されており、縦方向及び横方向に移動する払出動作部によって任意の薬剤収容カセットから上記薬剤シート或いは包装体を払い出すように構成され、上記払出動作部は、上記駆動機構に駆動力を与える外部駆動部を備えることを特徴とする薬剤払出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、PTP(Press Through Package)シートやSP(Strip Package)シート等の薬剤シートの払い出しを行う薬剤払出装置に用いられる薬剤収容カセット及び薬剤払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤払出装置は、薬剤ごとのPTPシートが収容される薬剤収容カセットを多数備えており、入力された処方箋データに基づいて選択した薬剤収容カセットから必要枚数のPTPシートを払い出すようになっている。このような薬剤払出装置としては、特許文献1及び特許文献2において開示された薬剤払出装置がある。
【0003】
上記特許文献1の薬剤払出装置が備えている薬剤収容カセットは、複数枚のPTPシートを、立てた状態でそのポケット形成側の面が単一の方向を向くように、横方向に並べて収容する。上記薬剤収容カセットの奥側には上記PTPシートを上記薬剤収容カセットの手前側へと付勢する付勢装置が設けられている。そして、上記薬剤収容カセットの手前側壁の底部には払出用のスリットが形成されており、最も手前位置のPTPシートが押出部材によって下方に押されると当該PTPシートが上記スリットから取り出されることになる。
【0004】
上記特許文献2の薬剤払出装置が備えている薬剤収容カセットは、複数枚のPTPシートを、寝かせた状態でそのポケット形成側の面が下または上を向くように、縦方向に積み上げて収容する。上記薬剤収容カセットの上方位置には吸着ヘッドが設けられており、上記薬剤収容カセットの最も上に位置するPTPシートは、上記吸着ヘッドによって持ち上げられてカセット外に払い出される。また、この特許文献2の図13には、PTPシートのポケット形成面同士及び保護シート面同士を対面させて積み上げる形態が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−41789号公報
【特許文献2】特開2008−37510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数枚のPTPシートは束にされた状態で包装されるが、一般に、その積み上げ高さを低くするために、2枚のPTPシートにおける一方のPTPシートのポケット部分(凸部分)を、他方のPTPシートの非ポケット部(凹部分)に位置させるようにしている。このため、上記特許文献1の薬剤払出装置において上記薬剤収容カセットにPTPシートを補充する際には、袋から出した束のPTPシートを一旦ばらして向きを揃える作業が必要になる。さらに、上記特許文献1の薬剤払出装置では、上記最も手前側のPTPシートが押出部材によって下方に押し出される構成であるため、剛性の低いSPシートには利用できないという欠点もある。
【0007】
一方、上記特許文献2では、複数枚の薬剤シートを積み上げて収容する構造であるため、薬剤収容カセット内に多くの薬剤シートを収容しようとすると、各薬剤収容カセットはその奥行きが短いので縦長の形状になってしまう。このため、このような薬剤収容カセットを上下左右に配置する薬剤払出装置では、その奥行きを活用したものとはならず、薬剤収容カセットを多く装備することができない。
【0008】
この発明は、上記の事情に鑑み、複数枚の薬剤シートを積み上げて収容できる構造でありながら、高さが高くならずに奥行きを長くすることができる薬剤収容カセット及びこれを備えた薬剤払出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明の薬剤収容カセットは、薬剤シートを積み上げした状態或いは包装体の状態で収容できる収容領域を奥行き方向に複数形成するように奥行き方向に間隔を置いて配置された複数の仕切り部材と、上記複数の仕切り部材を同時に移動させて上記収容領域内の薬剤シート或いは包装体を手前側に移動させる移動部材と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
このような構成であれば、薬剤シートを積み上げした状態或いは包装体の状態で収容できる収容領域が奥行き方向に複数形成されるので、このように複数枚の薬剤シートを積み上げして収容できる構造でありながら、高さが高くならずに奥行きを長くすることができる。そして、上記複数の仕切り部材を同時に移動させて上記収容領域を手前側に移動させるので、上記のように収容される薬剤シート或いは包装体を薬剤収容カセットの手前側で適切に払い出すことが可能になる。また、上記薬剤シートとしてPTPシートは勿論、剛性の低いSPシートにも対応することができる。また、上記収容領域内の薬剤シート或いは包装体が手前側に移動すると、上記薬剤収容カセットの奥側の収容領域が空いていくことになるが、この空いた収容領域に補充した薬剤シートよりも先に入れられている薬剤シートから先に払い出されるので、古い薬剤シートがいつまでも払い出されないということも防止できる。
【0011】
また、この発明の薬剤収容カセットは、薬剤シートを包装体の状態で収容できる収容領域を奥行き方向に複数形成し最も奥側に位置する包装体に接するように配置された仕切り部材と、上記仕切り部材を移動させて上記収容領域内の上記包装体を手前側に移動させる移動部材と、を備えたことを特徴とする。すなわち、上記包装体を扱う場合は仕切り部材を複数備えなくても、奥行き方向に並べた上記包装体を手前側へと移動させていくことができる。
【0012】
また、このような薬剤収容カセットにおいて、上記仕切り部材が上記奥行き方向と交差する方向に分離して配置されており、上記収容領域に収容される薬剤シート或いは包装体の角部に上記仕切り部材が係合するようになっていてもよい。そして、このような構成においては、上記移動部材は、上記薬剤シート或いは包装体が手前側に移動するように上記仕切り部材を移動させた後、この仕切り部材を上記薬剤シート或いは包装体の上記角部から遠ざけた状態で奥側に移動させるようになっていてもよい。
【0013】
これらの薬剤収容カセットにおいて、外部から駆動力を得て上記移動部材を移動させる駆動機構を備えているのが望ましい。かかる構成であれば、各薬剤収容カセットが個々に駆動力を発生する手段を備える必要はなくなる。
【0014】
また、これらの薬剤収容カセットにおいて、上記薬剤シート或いは包装体がその短手方向を上記奥行き方向に向けて上記収容領域に収容されるようにしてもよい。これによれば、上記薬剤収容カセットを手前側に移動させて上記薬剤シート或いは包装体を取り出すときの上記移動の距離を短くできる。
【0015】
また、この発明の薬剤払出装置は、縦方向及び横方向に複数形成された装填スペースに上記いずれかの薬剤収容カセットが上記奥行き方向に出し入れ自在に装填されており、縦方向及び横方向に移動する払出動作部によって任意の薬剤収容カセットから上記薬剤シート或いは包装体を払い出すように構成されていることを特徴とする。
【0016】
このような構成であれば、上記薬剤収容カセットを縦方向及び横方向に多く配備し上記薬剤収容カセットの奥行きを活用して多くの薬剤シート或いは包装体を収容することが可能になる。
【0017】
上記薬剤払出装置において、上記払出動作部は吸引把持装置を備えており、この吸引把持装置によって薬剤収容カセットの上記収容領域に収容されている薬剤シート或いは包装体を吸い上げて取り出すようになっていてもよい。さらに、上記吸引把持装置を2個以上その姿勢を変更可能に備えており、上記薬剤シートを吸引した状態で上記吸引把持装置の姿勢を変えて上記薬剤シートを反らせるように構成されていてもよい。これによれば、2枚のPTPシートにおける一方のPTPシートのポケット部分(凸部分)を、他方のPTPシートの非ポケット部(凹部分)に位置させている場合でも上記の反らしによって下側PTPシートを上側のPTPシートから離脱させ、上側のPTPシートだけを吸い上げて払いだすことが可能となる。
【0018】
上記薬剤払出装置において、上記薬剤シート或いは包装体を払い出す際に最も手前側の収容領域のみが露呈されるように上記薬剤収容カセットを上記装填スペースから引き出すようにしてもよい。これによれば、薬剤払出装置における奥行き方向の長さを短くすることができる。そして、上記のごとく、薬剤シート或いは包装体がその短手方向を上記奥行き方向に向けて上記収容領域に収容される場合、薬剤払出装置における奥行き方向の長さをさらに短くすることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明であれば、複数枚の薬剤シートを積み上げて収容できる構造でありながら、高さが高くならずに奥行きを長くすることができる。そして、上記薬剤収容カセットを縦方向及び横方向に多く配備し上記薬剤収容カセットの奥行きを活用して多くの薬剤シートを収容することが可能になる。さらに、袋から出した束のPTPシートを一旦ばらして向きを揃える作業を不要にすることも可能になる。また、先に補充した薬剤シートから先に払い出すことが可能であるので、古い薬剤シートがいつまでも払い出されないということも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の一実施形態に係る薬剤収容カセットを示した斜視図である。
図2図1の薬剤収容カセットの内部を透視的に示した斜視図である。
図3図1の薬剤収容カセットの上ケース部を取り外した状態を示した斜視図である。
図4図1の薬剤収容カセットの上ケース部及びスライド側板を取り外した状態を示した斜視図である。
図5図1の薬剤収容カセットの上ケース部とスライド側板と移動部材を取り外した状態を示した斜視図である。
図6図1の薬剤収容カセットにおけるガイド板を示した拡大平面図である。
図7図1の薬剤収容カセットにおけるガイド板の変形例を示した拡大平面図である。
図8図1の薬剤収容カセットの下ケース部を示した斜視図である。
図9図1の薬剤収容カセットの4つの収容領域の全てに薬剤シートが収容された状態を示した斜視図である。
図10図1の薬剤収容カセットの最も手前側の収容領域において全ての薬剤シートが払い出された状態を示した斜視図である。
図11図10に示した状態の後、薬剤シートを手前側へスライドさせる動作が実行された状態の薬剤収容カセットを示した斜視図である。
図12図11に示した状態の後、移動部材が外側に移動した状態の薬剤収容カセットを示した斜視図である。
図13図12に示した状態の後、移動部材が奥側へ移動した状態の薬剤収容カセットを示した斜視図である。
図14図13に示した状態の後、移動部材が内側へ移動した状態の薬剤収容カセットを示した斜視図である。
図15】薬剤収容カセットを上下左右に複数配置して成る薬剤払出装置の概略構成を示した斜視図である。
図16図1の薬剤収容カセットに適用できる吸引把持装置を示した説明図である。
図17図1の薬剤収容カセットに適用できる吸引把持装置を示した説明図である。
図18】この発明の他の実施形態に係る薬剤収容カセットを示した斜視図である。
図19】この発明の他の実施形態に係る薬剤収容カセットを示した平面図である。
図20】この発明の他の実施形態に係る薬剤収容カセットの動作を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1はこの実施形態の薬剤収容カセット1を示した斜視図であり、図2は薬剤収容カセット1の内部を透視的に示した斜視図である。薬剤収容カセット1における上ケース部2内には、薬剤シートであるPTPシート100を積み上げした状態或いは包装体の状態で収容できる4つの収容領域Aを奥行き方向に複数形成するようにこの奥行き方向に間隔を置いて複数の仕切り部材3が位置している。そして、この実施形態では、上記PTPシート100或いは包装体はその短手方向を上記奥行き方向に向けた状態で収容されるように上記収容領域Aが形成されている。すなわち、上記収容領域Aの左右方向が奥行き方向よりも長くなるようにしている。上記4つの収容領域Aのうち最も手前側の収容領域Aには、PTPシート100を横から挟み込んでその積載ずれを防止する押さえ部9が設けられている。この押さえ部9は板ばね9aにより弾性支持されており、上記PTPシート100を横から押さえている。また、上記上ケース部2の右側及び左側には移動部材4が設けられている。上記移動部材4は、上記複数の仕切り部材3を同時に移動させることで上記収容領域Aを上記奥行き方向(奥側及び手前側)に移動させることができ、手前側に移動するときに上記収容領域A内のPTPシート100或いは包装体を手前側に移動させることができる。
【0022】
上記仕切り部材3は、上記奥行き方向と交差する方向(左右方向)に分離して対をなしており、この対をなす仕切り部材3は上記収容領域Aに収容されるPTPシート100或いは包装体の一辺の両側角部に係合するように位置している。また、各移動部材4には複数の係止穴4aが上記奥行き方向に所定の間隔で形成されている。これにより、上記仕切り部材3を上記係止穴4aに着脱自在に装着することができ、また、使用する係止穴4aを変更することで、上記仕切り部材3の上記奥行き方向の間隔(収容領域Aの大きさ)を変更することが可能になっている。
【0023】
図3は上記上ケース部2を取り外した状態の薬剤収容カセット1を示した斜視図である。この薬剤収容カセット1には上記移動部材4を駆動する駆動機構5が設けられている。この駆動機構5に設けられている駆動力伝達軸51は薬剤収容カセット1の手前側において下ケース部6により支持されている。上記駆動力伝達軸51の一端側に形成された連結部51a(図9も参照)は上記下ケース部6から外側に突き出ており、他端側に形成された歯車部51bは上記下ケース部6によって回転自在に支持された傘歯車52の下面の歯車部に歯合している。上記傘歯車52の上面の平坦部には、当該傘歯車52の回転中心に一致するように第1突起部52aが形成されており、上記回転中心から外れた位置には第2突起部52bが形成されている。そして、上記傘歯車52の上記平坦部には上記第1突起部52a及び第2突起部52bに係合する駆動片53が設けられている。この駆動片53は、上記傘歯車52と共に回転し且つ上記傘歯車52の径方向に位置を変位できるようになっている。
【0024】
上記駆動片53の一端側には係合部53aが設けられている。この係合部53aはスライド平板54の長穴に係合している。上記スライド平板54は上記奥行き方向にスライド可能に設けられている。そして、上記長穴は左右方向に長く形成されている。上記傘歯車52が回転すると、上記駆動片53も同じく回転し、この駆動片53の回転によって上記スライド平板54が上記奥行き方向に往復移動することになる。上記駆動片53の位置を上記傘歯車52の径方向に変位させて、係合部53aと傘歯車52の回転中心との距離を変更することにより、上記傘歯車52の回転によって生じるスライド平板54の往復移動のストロークを変更できる。
【0025】
上記スライド平板54の左右位置にはスライド側板55が連結されており、上記スライド平板54が上記奥行き方向に往復移動すると上記スライド側板55も上記奥行き方向に往復移動する。上記スライド側板55は上平板部と下平板部を有する断面コ字形状を有しており、上記上平板部及び下平板部には左右方向に切り込まれた係合切欠き部55aが形成されている。そして、この係合切欠き部55aには上記移動部材4の上面縁及び下面縁に形成された係合突起4bが係合している。
【0026】
図4は上記上ケース部2及び上記スライド側板55を取り外した状態の薬剤収容カセット1を示した斜視図である。上記移動部材4の略中央部の下縁にはガイドピン支持部4cが形成されており、このガイドピン支持部4cに形成された支持穴にガイドピン4dが挿入されている。上記ガイドピン4dの先端はガイド板7に形成されているガイド溝7aに入り込んでおり、上記ガイドピン支持部4cの先端面は上記ガイド溝7aの堤部上面に当接している。
【0027】
図5は上記上ケース部2と上記スライド側板55と上記移動部材4を取り外した状態の薬剤収容カセット1を示した斜視図である。上記ガイド板7のガイド溝7aは、上記奥行き方向に平行に延びる内側と外側の2本のガイド溝部とこれらを繋ぐ2本の折り返し溝部を有した平行四辺形状に形成されている。上記ガイドピン4dが内側のガイド溝部に位置して上記移動部材4が互いに近づいた状態で手前側に移動するときには、上記仕切り部材3は上記収容領域Aに収容されるPTPシート100の角部に係合可能となり、手前側移動によって各領域A内のPTPシート100を手前側に移動させることができる。一方、上記ガイドピン4dが外側のガイド溝部に位置して上記移動部材4が互いに遠ざかった状態で奥側に移動するときには、上記仕切り部材3は上記収容領域Aに収容されるPTPシート100の角部から遠ざかり、各領域A内のPTPシート100に触れずに上記奥側移動によって規定位置に戻ることになる。
【0028】
図6は上記ガイド板7を示した平面図である。このガイド板7の中央堤部の角部2カ所には、一方向動作レバー71が設けられている。この一方向動作レバー71の先端側はガイド溝7a内に位置している。また、一方向動作レバー71の後端側には、ストッパ部72及びばね73が設けられている。上記ばね73は一方向動作レバー71の後端部を上記ストッパ部72に押し当てる方向に付勢する。図において実線で示されている上記ガイドピン4dが矢示のように下方向(手前側)に移動すると、上記一方向動作レバー71は点線で示すように回動する。そして、上記ガイドピン4dが点線で示す位置に到達すると、上記一方向動作レバー71は上記ガイドピン4dの押圧を免れて上記実線で示す位置に上記ばね73の力によって戻る。このように戻った上記一方向動作レバー71は上記ガイドピン4dを折り返し溝部に導くガイドとして機能する。これにより、上記移動部材4が奥側への移動動作に切り換わるときに、上記ガイドピン4dは上記一方向動作レバー71に案内されて二点鎖線で示すように矢示方向に移動し、外側のガイド溝部へと向かうことになる。
【0029】
図7は上記ガイド板7の変形例を示した平面図である。このガイド板7は、ガイド溝7aにおける外側のガイド溝部の奥側を延長してピン退避領域7bを形成したものである。このようにピン退避領域7bが形成されていると、上記一方向動作レバー71を長くすることが可能になり、上記ガイドピン4dの進行方向切換を確実に行うことができる。なお、ガイド溝7aにおける内側のガイド溝部の手前側に上記ピン退避領域7bを形成した場合、上記仕切り部材3がPTPシート100の角部に係合しており、PTPシート100を少し移動させてしまうため、この例ではガイド溝7aにおける内側のガイド溝部の手前側に上記ピン退避領域7bを形成していない。
【0030】
図8は下ケース部6を示した斜視図である。この下ケース部6には、上記傘歯車52を収容する収容部61が形成されている。そして、この収容部61には、軸収容部61aが形成されており、この軸収容部61aに上記傘歯車52の下面歯車部の中央に形成された回転軸が収容されるようになっている。
【0031】
図9は薬剤収容カセット1の4つの収容領域Aの全てにPTPシート100が収容された状態を示している。PTPシート100は最も手前側の収容領域Aにおいて上から順に払い出されていく。最も上に位置するPTPシート100を払い出すには、例えば、空気吸引を行って物体を把持する吸引把持装置を利用することができる。
【0032】
図10は最も手前側の収容領域Aにおいて全てのPTPシート100が払い出された状態を示している。この最も手前側の収容領域Aの空の状態は、例えば、上記吸引把持装置で上記PTPシート100を把持す動作を実行してもPTPシート100を把持できなかった(上ケース部2の底面を吸引しているために上記吸引把持装置を上方に移動できない等)と判定した場合に検出することができる。或いは、最も手前側の収容領域Aの箇所の上記上ケース部2の底面に、上記PTPシート100とは異なる反射率を有する反射部材を貼付しておき、上記吸引把持装置に設けておいたセンサで上記反射部材を検知した場合に上記最も手前側の収容領域Aが空の状態であると判断することもできる。
【0033】
図11は上記空の状態が検出された後、PTPシート100を手前側へスライドさせる動作が実行された状態を示している。この状態では、先にも説明したが、上記ガイドピン4dが上記ガイド板7の内側のガイド溝部に位置しており、上記移動部材4が互いに近づいた状態で手前側に移動することになる。そして、このときには、上記仕切り部材3は上記収容領域Aに収容されているPTPシート100の角部に係合し、上記手前側への移動によって各領域内のPTPシート100が手前側に移動することになる。
【0034】
図12は、上記PTPシート100を手前側へ移動させた後に上記移動部材4が外側に移動し、上記仕切り部材3が上記収容領域Aに収容されるPTPシート100の角部から遠ざかった状態を示している。すなわち、この状態は上記ガイドピン4dがガイド溝7aの内側のガイド溝部から折り返し溝部を通って外側のガイド溝部に移動した直後の状態である。
【0035】
図13は上記仕切り部材3がPTPシート100の角部から遠ざかったまま奥側へ移動した状態を示している。すなわち、この状態は上記ガイドピン4dがガイド溝7aの外側のガイド溝部を通ってその最も奥側に移動した状態となっている。このように、上記仕切り部材3が上記収容領域Aに収容されるPTPシート100に触れずに奥側へ移動するので、図12で示した上記PTPシート100の手前側移動状態を崩してしまうことはない。
【0036】
図14は上記移動部材4がガイド溝7aの外側のガイド溝部を通って最も奥に移動した後に内側のガイド溝部へと移動し、上記仕切り部材3が上記収容領域Aに収容されるPTPシート100の角部に係合できるようになった状態を示している。すなわち、薬剤収容カセット1の各部材の位置関係については図9に示した状態(規定位置状態)になっている。ここで、このような規定位置状態が保持されてPTPシート100の払出が行われることになるが、上記移動部材4が内側のガイド溝部へと移動することによって上記仕切り部材3が上記収容領域Aに収容されるPTPシート100の角部に係合するので、上記収容領域Aに収容されるPTPシート100が前後左右に崩れるのを防止することができる。なお、上記移動部材4が内側のガイド溝部へ移動したときの左右の移動部材4間の間隔は、使用するPTPシート100の幅よりも幾分広くなっており、上記規定位置状態で上記収容領域AにPTPシート100を補充することができる。また、上記収容領域A内のPTPシート100が手前側に移動すると、上記薬剤収容カセット1の奥側の収容領域Aが空いていくことになるが、この空いた収容領域Aに補充したPTPシート100よりも先に入れられているPTPシート100から先に払い出されるので、古いPTPシート100がいつまでも払い出されないということを防止できる。
【0037】
上記薬剤収容カセット1におけるPTPシート100の移動のための1サイクル動作は、上記傘歯車52が1回転することにより行われる。そこで、例えば上記傘歯車52の側面の1カ所に反射板を取り付けておく一方、上記の吸引把持装置に発光部と受光部とからなる光センサを設けておき、上記発光部から出射された光が上記反射板により反射されて上記受光部にて受光するようにしておけば、上記傘歯車52の1回転を判断することができる。なお、上記吸引把持装置に設けた光センサから出射された光が上記下ケース部6によって遮断されないように当該下ケース部6の所定位置に開口を形成しておくのがよい。また、上記光による回転検出に代えて、磁性体と磁気センサを用いて上記傘歯車52の1回転検出を行うことも可能である。また、上記傘歯車52を利用する構成に限らず、上記駆動力伝達軸51を利用するとともにこの駆動力伝達軸51の連結部51aに連結される外部駆動部を利用して上記傘歯車52の1回転検出をする構成とすることも可能である。
【0038】
図15は縦方向及び横方向に複数形成された装填スペース内に上記薬剤収容カセット1を上下左右に複数配置して成る薬剤払出装置10の概略構成を示した斜視図である。上記薬剤収容カセット1は、その奥行き方向に出し入れ自在に設けられている。薬剤払出装置10における可動ユニット11は、上記薬剤収容カセット1の前面側で上下方向及び左右方向に移動できるようになっている。上記可動ユニット11には上記吸引把持装置の他、電磁石を先端部に有し上記薬剤収容カセット1の前面磁性部に磁力接合して当該薬剤収容カセット1を出し入れする操作部、上記駆動力伝達軸51の連結部51aに連結される外部駆動部などが設けられる。ここで、この実施形態では、上記薬剤収容カセット1を出し入れする上記操作部は、上記PTPシート100を払い出す際に最も手前側の収容領域Aのみが露呈するように上記薬剤収容カセット1を上記装填スペースから引き出すようにしており、例えば上記薬剤収容カセット1の全体を上記装填スペースから引き出す場合に比べると、上記薬剤払出装置10における奥行き方向の長さを短くすることができる。また、上記PTPシート100はその短手方向を上記奥行き方向に向けた状態で収容されるので、長手方向を上記奥行き方向に向ける場合に比べ、上記引き出し距離を短くして上記薬剤払出装置10における奥行き方向の長さをさらに短くしている。
【0039】
図16は上記吸引把持装置の一例としての吸引把持装置12を示している。この吸引把持装置12は例えば縦横に4×4の合計16個の吸引部12aを有する。各吸引部12aの先端ノズル部はゴムなどからなり、この先端ノズル部は本体部に蛇腹等を介して接続されることで向きを変えることが可能になっている。また、吸引点の高さ方向の相違を吸収するように上記本体部が可動に設けられているとともに、ばねによって上記本体部の位置が戻るように構成されている。このような吸引把持装置12であれば、PTPシート100がそのポケット側を上に向けている場合でも、このようなPTPシート100を吸い上げて取り出すことができる。なお、このような吸引把持装置においては、特開平9−285986号や特公昭50−6548号に開示の装置を利用することができる。
【0040】
図17(A)及び図17(B)は、吸引把持装置の一例として上記吸引把持装置12を2台備えた構成を示している。この吸引把持装置は上記2台の吸引把持装置12の姿勢を変更する姿勢変更機構を備えており、上記PTPシート100を吸引した状態で上記吸引把持装置12の姿勢を変えて上記PTPシート100を反らせることができる。これにより、2枚のPTPシート100における一方のPTPシート100のポケット部分(凸部分)を、他方のPTPシート100の非ポケット部(凹部分)に位置させている場合でも上記の反らしによって下側のPTPシート100を上側のPTPシート100から離脱させ、上側のPTPシート100だけを吸い上げて払いだすことが可能となる。
【0041】
なお、上記PTPシート100を横から押圧する上記の押さえ部9が設けられている構成例であれば、上記吸引把持装置による上記PTPシート100の持ち上げ力は、上記押さえ部9の押さえ力に勝るように設定される。また、上記図17(A)及び図17(B)のように2枚のPTPシート100のうち上側のPTPシート100だけを取り出す操作に関しては、上記押さえ部9により下側のPTPシート100が押さえられる方が望ましい。
【0042】
また、上記実施形態では、上記ガイド板7のガイド溝7aは平行四辺形状に形成されたが、直線形状とすることも可能である。この場合、上記仕切り部材3を上記一方向動作レバー71と同様の構成によって一方向動作を行うように構成しておき、上記移動部材4が手前側に移動するときには上記仕切り部材3が回動せずに上記PTPシート100の角部に係合し、奥側に移動するときには上記仕切り部材3が上記PTPシート100の角部に当たって回動するようにしておく。ただし、上記PTPシート100は軽いので、このような軽いPTPシート100でもこれに当たると上記仕切り部材3が回動できるようにばね力を小さく設定しておく。また、このようなばねによる上記仕切り部材3の回動を行うのではなく、別機構で上記仕切り部材3を回動させるようにしてもよい。
【0043】
また、図18に示すように、上記移動部材4に相当するベルトコンベア41に上記仕切り部材3に相当する仕切り平板31を設けた構造を採用することもできる。かかる構造でも、上記ベルトコンベア41が駆動されると、上記複数の仕切り平板31が同時に移動し、上記収容領域A内のPTPシート100を手前側に移動させることができる。
【0044】
また、図19に示すように、2台のベルトコンベア41を上記収容領域Aの両側に配置する構成も採用できる。各ベルトコンベア41には上記仕切り部材3に相当する仕切り突起32が取り付けられる。この仕切り突起32は、奥行き方向と交差する方向に離間して配置されたものであり、上記収容領域Aに収容されるPTPシート100の角部に係合することになる。かかる構造でも、上記ベルトコンベア41が駆動されると、上記複数の仕切り突起32が同時に移動し、上記収容領域A内のPTPシート100を手前側に移動させることができる。なお、上記2台のベルトコンベア41のそれぞれに独立に駆動力を与えてもよいが、上記2台のベルトコンベア41が同期回転するようにこれらを図示しないベルト等により連結した構成とし、一方のベルトコンベア41に駆動力を与えるようにしてもよい。
【0045】
また、図20に示す薬剤収容カセット1は、PTPシート100を包装体の状態で収容できる収容領域Aを奥行き方向に複数(図では2個)形成し最も奥側に位置する包装体の奥側面に接するように配置された仕切り部材33を備えている。上記仕切り部材33は、移動部材によって移動され、この移動により上記収容領域A内の上記包装体が手前側に移動される。上記移動部材は、上記移動部材4或いは上記ベルトコンベア41などにより構成することができる。このような薬剤収容カセット1においては、最も手前側の収容領域A内の上記包装体が払い出されると、上記仕切り部材33が手前側に移動され、奥側に在った包装体が最も手前側の収容領域Aへと移動される。そして、上記移動された包装体が払い出されると、上記仕切り部材33が奥側に移動される。すなわち、上記包装体を扱う場合は、上記仕切り部材33を複数備えなくても、奥行き方向に並べた上記包装体を手前側へと移動させて払い出すことができる。なお、上記仕切り部材33は、上記奥行き方向と交差する方向に分離して配置されるものでもよい。尚、包装体の例として、複数の薬剤シートを輪ゴム等で束ねた物、薬剤シートが収容された袋又は箱が挙げられる。
【0046】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 薬剤収容カセット
2 上ケース部
3 仕切り部材(仕切り部材)
31 仕切り平板(仕切り部材)
32 仕切り突起(仕切り部材)
33 仕切り部材(仕切り部材)
4 移動部材(移動部材)
41 ベルトコンベア(移動部材)
5 駆動機構
51 駆動力伝達軸
52 傘歯車
53 駆動片
54 スライド平板
55 スライド側板
6 下ケース部
7 ガイド板
7a ガイド溝
10 薬剤払出装置
11 可動ユニット(払出動作部)
12 吸引把持装置
図1
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図2
図9
図10
図11
図12
図13
図14