特許第6032232号(P6032232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032232
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 18/00 20060101AFI20161114BHJP
   G01D 3/00 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   G01D18/00
   G01D3/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-51557(P2014-51557)
(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公開番号】特開2015-175696(P2015-175696A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2015年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】矢尾 真理子
(72)【発明者】
【氏名】堀 雅一
(72)【発明者】
【氏名】清水 一弘
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−189940(JP,A)
【文献】 特開2013−142648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 18/00−21/02
G01D 3/00− 4/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの入力信号及び予め用意された校正用信号をディジタル信号に変換し、ディジタル信号に変換された前記入力信号及び前記校正用信号を用いて測定値を求める測定装置において、
ディジタル信号に変換させるべき前記入力信号と前記校正用信号とを一度に指定する制御信号を出力する主制御部と、
前記主制御部からの制御信号に基づいて、前記入力信号を選択してディジタル信号に変換する処理を実施させる第1制御と、前記校正用信号を選択してディジタル信号に変換する処理と前記第1制御でディジタル信号に変換された前記入力信号と前記第1制御よりも前に行われた制御によってディジタル信号に変換された校正用信号とを用いて前記測定値を求める処理とを並列して実施させる第2制御とを順に行う副制御部と
を備えることを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記校正用信号は、予め複数用意されており、
前記主制御部が出力する制御信号は、複数の前記校正用信号のうちの何れか1つを指定するものである
ことを特徴とする請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
前記副制御部は、前記入力信号及び前記校正用信号のうちの何れか1つの信号を選択する選択部と、
前記選択部によって選択された信号をディジタル信号に変換する変換部と、
前記変換部によってディジタル信号に変換された前記入力信号及び前記校正用信号を用いて前記測定値を求める演算部と、
前記主制御部からの制御信号に基づいて、前記選択部及び前記変換部を制御して前記第1制御を実施し、前記選択部、前記変換部、及び前記演算部を制御して前記第2制御を実施する管理部と
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の測定装置。
【請求項4】
前記演算部は、前記第2制御によってディジタル信号に変換された前記校正用信号を一時的に記憶しておき、前記第2制御の後に行われる制御で前記測定値を求める際に用いることを特徴とする請求項3記載の測定装置。
【請求項5】
前記副制御部は、複数設けられており、
前記主制御部は、複数の前記副制御部に対して前記制御信号を一括して出力する
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、測定装置は、物理量(例えば、温度、圧力、流量等)を検出するセンサ部と、センサ部で検出された検出信号を処理する信号処理部とを備えており、信号処理部において、センサ部からの検出信号をディジタル信号に変換して予め規定された演算処理を施すことによって物理量の測定を行う。このような測定装置の中には、経年変化等によって生ずる測定誤差に起因する測定精度の悪化を防止するために、内部校正(内部キャリブレーション)を行いながら物理量の測定を行うものがある。
【0003】
具体的に、内部校正が可能な測定装置は、センサ部から得られる検出信号と予め用意されている校正用信号とを順次ディジタル信号に変換し、上記検出信号のディジタル信号と上記校正用信号のディジタル信号とを用いて予め規定された演算処理を行うことにより測定誤差を補正して物理量を高い精度で測定している。尚、上記の校正用信号は、ゼロ点(例えば、信号レンジの下限値)やスパン(例えば、信号レンジの上限値と下限値との差)等を校正するための信号、或いは内部端子温度等を示す信号である。このような測定装置は、例えば、計装システムで用いられるフィールド機器、各種レコーダ(例えば、ペーパレスレコーダ、チャートレコーダ)、データロガー等に設けられる。
【0004】
尚、以下の特許文献1には、上述した内部校正を行いながら複数チャネルのアナログ信号を測定可能な多点切換え型測定装置が開示されている。具体的に、以下の特許文献1に開示された多点切換え型測定装置は、特定チャネル測定の更新周期を早くする一方で、他のチャネル測定の更新周期を遅くすることによって、全てのチャネルの測定を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−220698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した内部校正が可能な測定装置においては、センサ部からの検出信号をディジタル信号に変換させる制御、及び校正用信号をディジタル信号に変換させる制御が、測定装置の動作を統括して制御するメインコントローラによって逐次行われる。このため、従来の測定装置では、メインコントローラの指示に基づいてセンサ部の検出信号をディジタル信号に変換する第1処理、メインコントローラの指示に基づいて校正用信号をディジタル信号に変換する第2処理、及び第1,第2処理で得られたディジタル信号を用いて測定結果を演算する第3処理が順に繰り返し行われる。つまり、従来の測定装置における測定周期は、上記の第1処理が開始されてから上記の第3処理が完了して第3処理の演算結果がメインコントローラで得られるまでである。
【0007】
ここで、近年においては、測定装置の高速化が要求されており、これに伴って測定周期を短縮することが要求されている。上述した従来の測定装置は、センサ部からの検出信号及び校正用信号をディジタル信号に変換させる制御がメインコントローラによって逐次行われることによって上記の第1〜第3処理が順次行われるものであるため、測定周期を短縮することが困難であるという問題がある。また、上述した従来の測定装置は、測定周期内において、センサ部からの検出信号をディジタル信号に変換させる制御と、校正用信号をディジタル信号に変換させる制御とを行う必要があることから、測定周期内で制御信号の通信を2回行う必要があり、これも測定周期を長くさせる一因となっていた。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、測定周期を短縮することが可能な測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の測定装置は、外部からの入力信号(S1)及び予め用意された校正用信号(Q1、Q2)をディジタル信号に変換し、ディジタル信号に変換された前記入力信号及び前記校正用信号を用いて測定値(M1)を求める測定装置(1、2)において、ディジタル信号に変換させるべき前記入力信号と前記校正用信号とを一度に指定する制御信号(C)を出力する主制御部(10)と、前記主制御部からの制御信号に基づいて、前記入力信号を選択してディジタル信号に変換させる第1制御と、前記校正用信号を選択してディジタル信号に変換させるとともに前記第1制御でディジタル信号に変換された前記入力信号と前記第1制御よりも前に行われた制御によってディジタル信号に変換された校正用信号とを用いて前記測定値を求めさせる第2制御とを順に行う副制御部(20、20a〜20c)とを備えることを特徴としている。
この発明によると、ディジタル信号に変換させるべき入力信号と校正用信号とを一度に指定する制御信号が主制御部から副制御部に出力され、副制御部において、主制御部からの制御信号に基づいて第1制御と第2制御とが順に行われる。
また、本発明の測定装置は、前記校正用信号が、予め複数用意されており、前記主制御部が出力する制御信号が、複数の前記校正用信号のうちの何れか1つを指定するものであることを特徴としている。
また、本発明の測定装置は、前記副制御部が、前記入力信号及び前記校正用信号のうちの何れか1つの信号を選択する選択部(21)と、前記選択部によって選択された信号をディジタル信号に変換する変換部(22)と、前記変換部によってディジタル信号に変換された前記入力信号及び前記校正用信号を用いて前記測定値を求める演算部(23)と、前記主制御部からの制御信号に基づいて、前記選択部及び前記変換部を制御して前記第1制御を実施し、前記選択部、前記変換部、及び前記演算部を制御して前記第2制御を実施する管理部(26)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の測定装置は、前記演算部が、前記第2制御によってディジタル信号に変換された前記校正用信号を一時的に記憶しておき、前記第2制御の後に行われる制御で前記測定値を求める際に用いることを特徴としている。
また、本発明の測定装置は、前記副制御部が、複数設けられており、前記主制御部が、複数の前記副制御部に対して前記制御信号を一括して出力することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ディジタル信号に変換させるべき入力信号と校正用信号とを一度に指定する制御信号を主制御部から副制御部に出力し、副制御部において、主制御部からの制御信号に基づいて第1制御と第2制御とを順に行うようにしているため、測定周期を短縮することが可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態による測定装置の要部構成を示すブロック図である。
図2】発明の第1実施形態による測定装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図3】本発明の第1実施形態による測定装置で行われる処理を要約した図である。
図4】本発明の第2実施形態による測定装置の要部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による測定装置について詳細に説明する。
【0013】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による測定装置の要部構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態の測定装置1は、メインコントローラ10(主制御部)及びサブコントローラ20(副制御部)を備えており、外部から入力される測定信号S1(入力信号)及び予め用意された内部キャリブレーション信号Q1,Q2(校正用信号)をディジタル信号に変換し、ディジタル信号に変換されたこれらのデータを用いて測定値M1を求める。このような測定装置1は、例えば、計装システムで用いられるフィールド機器、各種レコーダ、データロガー等に設けられる。
【0014】
ここで、上記の測定信号S1は、物理量(例えば、温度、圧力、流量等)の測定結果を示す信号であり、例えば物理量の測定を行うセンサ部(図示省略)から出力される信号である。上記の内部キャリブレーション信号Q1,Q2は、ゼロ点やスパン等を校正するための信号、或いは内部端子温度等を示す信号である。これら内部キャリブレーション信号Q1,Q2は、例えばサブコントローラ20に設けられている不図示の記憶部に予め記憶されている。尚、以下では、測定信号S1を「測定信号CH1」と表記し、内部キャリブレーション信号Q1,Q2を「内部キャリブレーション信号CAL1,CAL2」と表記することもある。
【0015】
メインコントローラ10は、測定装置1の動作を統括して制御する。具体的に、メインコントローラ10は、メインコントローラ送信部11及びメインコントローラ受信部12を備えており、サブコントローラ20を制御することによって上述した測定値M1を得る。尚、このメインコントローラ10は、例えばCPU(中央処理装置)によって実現される。
【0016】
メインコントローラ送信部11は、サブコントローラ20を制御するための制御信号Cを、サブコントローラ20に送信する。この制御信号Cは、ディジタル信号に変換させるべき測定信号S1及び内部キャリブレーション信号Q1,Q2を指定する制御信号である。具体的に、制御信号Cは、図1に示す通り、サブコントローラ20に2つの内部キャリブレーション信号Q1,Q2が用意されている場合には、測定信号S1と内部キャリブレーション信号Q1とを一度に指定する信号、或いは、測定信号S1と内部キャリブレーション信号Q2とを一度に指定する信号である。
【0017】
本実施形態では、測定信号S1と内部キャリブレーション信号Q1,Q2の何れか一方とを一度に指定する制御信号Cを用いることで、メインコントローラ10とサブコントローラ20との間の通信回数(制御信号Cの通信回数)を減らして測定周期を短縮するようにしている。メインコントローラ受信部12は、サブコントローラ20から送信されてくる測定値M1を受信する。
【0018】
サブコントローラ20は、メインコントローラ10の制御の下で、入力される測定信号S1を用いて測定値M1を求め、求めた測定値M1をメインコントローラ10に送信する。このサブコントローラ20は、マルチプレクサ21(選択部)、ADC(アナログ/ディジタル変換器)22(変換部)、演算部23、サブコントローラ送信部24、サブコントローラ受信部25、及び管理部26を備える。尚、このサブコントローラ20は、メインコントローラ10と同様に、例えばCPU(中央処理装置)によって実現される。
【0019】
マルチプレクサ21は、測定信号S1及び内部キャリブレーション信号Q1,Q2を入力としており、管理部26の制御の下で、これら測定信号S1及び内部キャリブレーション信号Q1,Q2の何れか1つを選択して出力する。ADC22は、管理部26の制御の下で、マルチプレクサ21によって選択された信号をディジタル信号に変換する。尚、ADC22は、変換処理を完了する度に、管理部26に対して変換完了信号を出力する。
【0020】
演算部23は、管理部26の制御の下で、ADC22から出力されるディジタル信号を用いて予め規定された演算を行って測定値M1を求める。具体的に、演算部23は、ADC22から出力されるディジタル信号(ディジタル信号に変換された内部キャリブレーション信号Q1,Q2)を一時的に記憶するメモリ(図示省略)を備えており、管理部26の制御の下で、ADC22から出力される最新のディジタル信号(ディジタル信号に変換された測定信号S1)と、メモリに記憶されているディジタル信号とを用いて測定値M1を用いる。
【0021】
サブコントローラ送信部24は、演算部23で求められた測定値M1をメインコントローラ10(メインコントローラ受信部12)に送信する。サブコントローラ受信部25は、メインコントローラ10(メインコントローラ送信部11)から送信されてくる制御信号Cを受信し、受信した制御信号Cを管理部26に出力する。
【0022】
管理部26は、サブコントローラ受信部25から出力される制御信号Cに基づいて、マルチプレクサ21、ADC22、及び演算部23を制御することにより測定値M1を求めさせる。具体的に、管理部26は、サブコントローラ受信部25から制御信号Cが出力される度に、以下に示す2つの制御(第1制御及び第2制御)を順に行って測定値M1を求めさせる。
【0023】
(1)マルチプレクサ21を制御して測定信号S1を選択させ、ADC22を制御して選択された測定信号S1をディジタル信号に変換させる制御(第1制御)
(2)マルチプレクサ21を制御して内部キャリブレーション信号Q1,Q2の何れか一方を選択させ、ADC22を制御して選択された内部キャリブレーション信号をディジタル信号に変換させるとともに、演算部23を制御して測定値M1を求めさせる制御(第2制御)
【0024】
ここで、演算部23は、上記(2)に示す制御において、マルチプレクサ21で選択された内部キャリブレーション信号をディジタル信号に変換する処理と、測定値M1を演算する処理とが並行して行われるように、ADC22及び演算部23を制御する。このように、本実施形態では、内部キャリブレーション信号をディジタル信号に変換する処理と、測定値M1を演算する処理とを並列させることで、測定周期を短縮するようにしている。
【0025】
次に、上記構成における測定装置1の動作について説明する。図2は、発明の第1実施形態による測定装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。尚、図2中の時刻t1は、測定周期T1の開始時刻を示しており、時刻t2は、測定周期T1の終了時刻を示している。尚、時刻t2は、測定周期T2の開始時刻であるということもできる。各測定周期T1,T2,…は、メインコントローラ10からサブコントローラ20に対して制御信号Cが送信されてから、サブコントローラ20からの測定値M1をメインコントローラ10が取得するまでの期間である。
【0026】
まず、時刻t1において、測定信号S1と内部キャリブレーション信号Q1とを一度に指定する制御信号C1がメインコントローラ10のメインコントローラ送信部11から送信されたとする(ステップS11)。この制御信号Cは、サブコントローラ20に設けられたサブコントローラ受信部25で受信される(ステップS12)。尚、サブコントローラ受信部25で受信された制御信号Cは管理部26に出力される。
【0027】
すると、管理部26によってマルチプレクサ21及びADC22が制御され、制御信号Cによって指定された測定信号S1を選択してディジタル信号に変換する処理が行われる(ステップS13)。つまり、前述した(1)に示す制御(第1制御)が行われ、これより、ADC22では、測定信号S1(測定信号CH1)をディジタル信号に変換する処理が実施される(ステップS14)。
【0028】
測定信号S1をディジタル信号に変換する処理が完了すると、変換されたディジタル信号がADC22から演算部23に出力されるとともに、変換完了信号がADC22から管理部26に出力される。すると、管理部26によってマルチプレクサ21、ADC22、及び演算部23が制御され、制御信号Cによって指定された内部キャリブレーション信号Q1を選択してディジタル信号に変換する処理と、測定値M1を演算する処理とが行われる(ステップS15)。つまり、前述した(2)に示す制御(第2制御)が行われ、これより、内部キャリブレーション信号Q1(内部キャリブレーション信号CAL1)をディジタル信号に変換する処理(ステップS16)と、測定値M1を演算する処理(ステップS17)とが、ADC22及び演算部23で並列して実施される。
【0029】
ここで、演算部23では、ADC22から出力される最新のディジタル信号と、演算部23に設けられた不図示のメモリに記憶されているディジタル信号とを用いて測定値M1を演算する処理が行われる。具体的には、ステップS14でディジタル信号に変換された測定信号S1と、時刻t1よりも前にディジタル信号に変換された内部キャリブレーション信号Q1,Q2のうち、最も新しい内部キャリブレーション信号Q1,Q2とを用いて測定値M1が演算される。
【0030】
内部キャリブレーション信号Q1をディジタル信号に変換する処理(ステップS16の処理)が終了すると、変換されたディジタル信号がADC22から演算部23に出力されて演算部23に設けられた不図示のメモリに記憶されるとともに、変換完了信号がADC22から管理部26に出力される。尚、詳細は後述するが、上記のメモリに記憶されたディジタル信号は、図2に示す測定周期T1よりも後の測定周期で測定値M1を求める際に用いられる。
【0031】
また、演算部23での演算が終了すると、演算部23で求められた測定値M1はサブコントローラ送信部24によってメインコントローラ10に送信される(ステップS18)。この測定値M1がメインコントローラ10のメインコントローラ受信部12で受信されると測定周期T1が終了する。
【0032】
尚、図2に示す測定周期T1が終了すると同時に、次の測定周期T2が開始される。すると、例えば測定信号S1と内部キャリブレーション信号Q2とを一度に指定する制御信号C1がメインコントローラ10からサブコントローラ20に送信され、測定周期T1で行われた処理と同様の処理が行われる。以後、測定周期毎に、測定信号S1と内部キャリブレーション信号Q1とを一度に指定する制御信号C1と、測定信号S1と内部キャリブレーション信号Q2とを一度に指定する制御信号C1とが交互に送信されて測定値M1の測定が行われる。
【0033】
図3は、本発明の第1実施形態による測定装置で行われる処理を要約した図である。図3に示す通り、測定周期T1では、測定信号CH1(測定信号S1)をディジタル信号に変換する処理P11、内部キャリブレーション信号CAL1(内部キャリブレーション信号Q1)をディジタル信号に変換する処理P12、及び測定値M1を演算する処理P13が行われる。測定周期T2では、測定信号CH1(測定信号S1)をディジタル信号に変換する処理P21、内部キャリブレーション信号CAL2(内部キャリブレーション信号Q2)をディジタル信号に変換する処理P22、及び測定値M1を演算する処理P23が行われる。また、測定周期T3では測定周期T1と同様の処理P31〜P33が行われ、測定周期T4では測定周期Tと同様の処理P31〜P33が行われる。
【0034】
ここで、測定周期T3に着目すると、測定値M1を演算する処理P33が開始された時点では処理P32が完了しておらず、内部キャリブレーション信号CAL1はディジタル信号に変換されていない。このため、処理P33を実施する演算部23は、測定周期T3の処理P31でディジタル信号に変換された測定信号CH1、測定周期T2の処理P22でディジタル信号に変換された内部キャリブレーション信号CAL2、及び測定周期T1の処理P12でディジタル信号に変換された内部キャリブレーション信号CAL1を用いて測定値M1を演算する。
【0035】
同様に、測定周期T4に着目すると、測定値M1を演算する処理P43が開始された時点では処理P42が完了しておらず、内部キャリブレーション信号CAL2はディジタル信号に変換されていない。このため、処理P43を実施する演算部23は、測定周期T4の処理P41でディジタル信号に変換された測定信号CH1、測定周期T3の処理P32でディジタル信号に変換された内部キャリブレーション信号CAL1、及び測定周期T2の処理P22でディジタル信号に変換された内部キャリブレーション信号CAL2を用いて測定値M1を演算する。
【0036】
このように、本実施形態では、演算部23の演算が実施される測定周期(例えば、処理P33が実施される測定周期T3)でディジタル信号に変換された測定信号CH1と、前の測定周期(例えば、測定周期T1,T2)でディジタル信号に変換された内部キャリブレーション信号CAL1,CAL2とを用いて測定値Mを求めるようにしている。このため、内部キャリブレーション信号をディジタル信号に変換する処理と測定値M1を演算する処理とを並列させても測定値Mを求めることができる。
【0037】
以上の通り、本実施形態では、ディジタル信号に変換させるべき測定信号S1と内部キャリブレーション信号(内部キャリブレーション信号Q1,Q2の何れか一方)とを一度に指定する制御信号Cをメインコントローラ10からサブコントローラ20に送信し、サブコントローラ20において、制御信号Cに基づいて前述した(1),(2)に示す制御を順に行って測定値M1を求めるようにしている。これにより、内部キャリブレーション信号をディジタル信号に変換する処理と、測定値M1を演算する処理とを並列させることができるとともに、メインコントローラ10とサブコントローラ20との間の通信回数を減らすことができるため、測定周期を短縮することが可能である。
【0038】
〔第2実施形態〕
図4は、本発明の第2実施形態による測定装置の要部構成を示すブロック図である。尚、図4においては、図1中に示すブロックに相当するブロックには同一の符号を付してある。図4に示す通り、本実施形態の測定装置2は、メインコントローラ10と複数のサブコントローラ20a〜20cとを備えており、外部から入力される複数(複数チャネル)の測定信号S1〜S3を用いて複数の測定値M1〜M3をそれぞれ求めることが可能なものである。
【0039】
複数のサブコントローラ20a〜20cは、図1に示すサブコントローラ20と同様の構成である。これら複数のサブコントローラ20a〜20cに設けられたサブコントローラ受信部25は、メインコントローラ10に設けられたメインコントローラ送信部11に接続されている。このため、メインコントローラ送信部11が制御信号Cを一度送信するだけで、複数のサブコントローラ20a〜20cに対して制御信号Cを一括して送信すること(ブロードキャスト送信)が可能である。これにより、複数のサブコントローラ20a〜20cを設けても、制御信号Cの通信回数が増加することはない。但し、複数のサブコントローラ20a〜20cから送信されてくる測定値M1〜M3は順次受信する必要がある。
【0040】
上記構成の測定装置2は、複数のサブコントローラ20a〜20cを備えている点を除いて、基本的には第1実施形態と同様である。このため、本実施形態の測定装置2においても、ディジタル信号に変換させるべき測定信号(測定信号S1〜S3)と内部キャリブレーション信号(内部キャリブレーション信号Q1,Q2の何れか一方)とを一度に指定する制御信号Cがメインコントローラ10からサブコントローラ20に送信され、サブコントローラ20において前述した(1),(2)に示す制御が順に行われて測定値M1が求められている。これにより、本実施形態においても。測定周期を短縮することが可能である。
【0041】
以上、本発明の実施形態による測定装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、2つの内部キャリブレーション信号Q1,Q2がサブコントローラ20に用意されている例を挙げて説明したが、内部キャリブレーション信号Q1,Q2の数は1つでもよく、3つ以上であっても良い。
【符号の説明】
【0042】
1,2 測定装置
10 メインコントローラ
20 サブコントローラ
20a〜20c サブコントローラ
21 マルチプレクサ
22 ADC
23 演算部
26 管理部
C 制御信号
M1 測定値
Q1,Q2 内部キャリブレーション信号
S1 測定信号
図1
図2
図3
図4