(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
支持ケースと、前記支持ケース内に、上下対称に対面させて直列状に内装した、コイルと永久磁石とヨークとポールピースからなる2組の磁気ユニットと、下端部が上側のヨークの上壁部に固定され、前記支持ケースを貫通して上方へ延びる出力軸と、前記出力軸を往復直線運動の中間位置側に付勢する弾性部材と、前記1対のコイルを支持ケースの高さ方向の途中部に固定支持する支持部材と、上下の磁気ユニットにおける永久磁石とヨークとポールピースからなる上下の可動子を一体的に連結する連結部材と、前記コイルに変動磁場を形成するための電源手段とを備え、
前記連結部材で連結した前記2組の可動子を、前記支持ケースに対して上下方向に往復直線運動自在に設け、
前記上下の磁気ユニットのヨークを有底円筒状の磁性体でそれぞれ構成し、上下のヨークを、上側のヨークは開口を下側へ向け、下側のヨークは開口を上側へ向けて、前記支持部材を挟んで対向状に配置し、
前記上下のヨーク間の隙間を塞ぐように、前記連結部材により上下のヨークを連結し、
前記連結部材に上下方向に細長い複数の長孔を周方向に一定の間隔をあけて設け、
前記支持部材に連結部材の長孔を挿通して先端部が支持ケースに固定支持される複数本のアーム部を設け、
前記上下の磁気ユニットにおいて、前記ポールピースを永久磁石の一方の磁極に固定し、前記永久磁石の他方の磁極をヨークの底部内側に固定し、前記コイルをポールピースとそれに対面するヨークの周壁部の端部間に隙間をあけて配置し、前記永久磁石とポールピースとヨークとコイルとで磁気回路を形成した、
ことを特徴とするリニアアクチュエータ。
【背景技術】
【0002】
電動歯ブラシとして、複数の毛束を植設した清掃ヘッドを、毛束の植設方向と略直交する方向へ往復直線運動させるものや、毛束の植設方向を中心として反転往復運動させるものや、ケーシングとともに振動させるものなどが広く実用化されている。尚、本明細書において、反転往復運動とは、正転方向に一定角度回転した後、逆転方向に同じ角度だけ回転するという回転運動を繰り返して行う運動を意味する。
【0003】
また、清掃ヘッドを往復直線運動させるタイプの電動歯ブラシの駆動手段としては、モータの回転軸の回転運動を、出力軸の往復直線運動に変換するクランク機構などの変換手段を備えたものが、安価に製作できることから広く採用されているが、モータによる往復直線運動では清掃ヘッドの振動周波数に自ずと限界があることから、最近では清掃ヘッドの振動周波数を高めて清掃性を向上するため、永久磁石とコイルとを有するリニアアクチュエータを用いたものも実用化されている。
【0004】
リニアアクチュエータを用いた電動歯ブラシとしては、軸方向の往復動が自在に支持されているプランジャーと、該プランジャーを含む可動部を振動系とするバネ部材と、交番電流が印加されることで可動部をその共振周波数で往復駆動する電磁駆動手段と、可動部の軸回り回転を規制する規制手段とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)
【0005】
また、軸方向に往復直線運動自在に支持されたシャフトの外周に、中心軸がシャフトの中心軸と略一致し且つ軸方向の両端面部がそれぞれ異極となった筒状の永久磁石を装着して、可動子を構成し、巻線を備えた筒状をした固定子内に上記可動子を往復直線運動自在に挿通すると共に巻線に電流を印加して可動子を往復動させるように構成した電動歯ブラシも提案されている(例えば、特許文献2参照。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1記載の電動歯ブラシでは、コイルと永久磁石とがケーシングの内側に略隙間なく設けられていることから、ケーシング外への磁気漏れにより、ペースメーカーなどの他の機器への悪影響が懸念される。それ故、磁性体からなるシールドケース内にコイル及び磁石を装填する必要があり、シールドケースを設ける分だけ、電動歯ブラシの製作コストが高くなるとともに、電動歯ブラシが重たくなって操作性が低下するという問題があった。また、この特許文献1記載の電動歯ブラシでは、少なくとも2つの磁石を必要とするなど、構造が複雑で、製作コストが高く、しかも組立性があまりよくない。また、軽量なシャフトを往復動させることから、往復動の慣性力を十分に確保できず、十分なブラッシング力を得ることができないという問題もある。
【0008】
一方、特許文献2記載の電動歯ブラシでは、清掃ヘッドとともに往復直線運動するシャフトに永久磁石を固定しているので、永久磁石に対して駆動力を発生させるための機能と、錘としての機能とを付与することが可能となり、部品点数や重量を増やすことなく、シャフトの慣性力を高めて、ブラッシング力を強く設定できる。しかし、コイルがケーシングの内側に略隙間なく配置されていることから、特許文献1記載の発明と同様に、シールドケース内にコイルを内装する必要があり、シールドケースを設けた分だけ、電動歯ブラシの製作コストが高くなるとともに、電動歯ブラシが重たくなって操作性が低下するという問題を有している。
【0009】
本発明の目的は、構造が簡単で安価に製作でき、しかも磁気漏れが少なく、部品点数を増やしたり重量を重たくしたりすることなく、大きな慣性力を得ることができるリニアアクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るリニアアクチュエータは、
支持ケースと、前記支持ケース内に、上下対称に対面させて直列状に内装した、コイルと永久磁石とヨークとポールピースからなる2組の磁気ユニットと、下端部が上側のヨークの上壁部に固定され、前記支持ケースを貫通して上方へ延びる出力軸と、前記出力軸を往復直線運動の中間位置側に付勢する弾性部材と、前記1対のコイルを支持ケースの高さ方向の途中部に固定支持する支持部材と、上下の磁気ユニットにおける永久磁石とヨークとポールピースからなる上下の可動子を一体的に連結する連結部材と、前記コイルに変動磁場を形成するための電源手段とを備え、前記連結部材で連結した前記2組の可動子を、前記支持ケースに対して上下方向に往復直線運動自在に設け、前記上下の磁気ユニットのヨークを有底円筒状の磁性体でそれぞれ構成し、上下のヨークを、上側のヨークは開口を下側へ向け、下側のヨークは開口を上側へ向けて、前記支持部材を挟んで対向状に配置し、前記上下の磁気ユニットにおいて、前記ポールピースを永久磁石の一方の磁極に固定し、前記永久磁石の他方の磁極をヨークの底部内側に固定し、前記コイルをポールピースとそれに対面するヨークの周壁部の端部間に隙間をあけて配置し、前記永久磁石とポールピースとヨークとコイルとで磁気回路を形成したものである。前記ヨークは、前記永久磁石及びコイルの外側の略全体を覆うように設けることができ、これにより永久磁石及びコイルから外部への磁気漏れを一層効果的に防止することができる。また、前記ヨークの端部は前記コイル開口部の一方の端部から他方の端部までの範囲内に位置させることもできる。その中でも、前記ヨークの端部は、前記コイルの中心線方向の長さ(巻幅)の中央部と前記永久磁石より離れた側の端部との間に位置させることが好ましい。そうすることにより、前記ヨークにより形成される磁束(磁力)を効率よく利用することができる。
【0011】
このリニアアクチュエータでは、
2つのコイルに対して同期して変動磁場を形成することで、2倍の駆動力を出力軸に作用させて、出力軸を往復直線運動させることができる。また、このリニアアクチュエータでは、上側の磁気ユニットに関しては、永久磁石の一方の磁極にポールピースを取付けて、このポールピースをコイルの内側に僅かな隙間をあけて配置させるとともに、ヨークの途中部を永久磁石の他方の磁極に密着固定し、ヨークの端部をコイルの外側に接近配置させているので、永久磁石とポールピースとヨークとコイルとで磁力漏れの少ない磁気回路を形成することができる。また、下側の磁気ユニットに関しても、上側の磁気ユニットと同様にして、永久磁石とポールピースとヨークとコイルとで、磁力漏れの少ない磁気回路を形成することができる。このため、永久磁石の磁気漏れを少なくして、リニアアクチュエータの磁気効率を高め、電動歯ブラシに適用した場合には、清掃ヘッドのブラッシング力を高めることができる。更に、ヨークがコイルと永久磁石の磁気シールドとして機能するので、部品点数を増やすことなく、支持ケース外への磁気漏れを少なくでき、磁気漏れによる他の機器への悪影響を未然に防止できる。更にまた、上下の永久磁石と上下のヨークと上下のポールピースが出力軸とともに往復直線運動するので、これらの部材を出力軸の慣性力を高めるための錘として機能させることができ、部品点数を増やしたり重量を増やしたりすることなく、出力軸の慣性力を高めて、電動歯ブラシに適用した場合には、清掃ヘッドによるブラッシング力を高めることができる。
【0012】
ここで、前記
弾性部材として、前記支持ケースの上端部と上側のヨークとを連結するとともに、前記支持ケースの下端部と下側のヨークとを連結する上下1対のバネ部材であって、同心状に配置される環状の内周部及び外周部と、前記内周部と外周部とを接続する複数本の断面円弧状のアーム部とを有する略平板環状のバネ部材を用い
ることができる。この場合には、バネ部材により、上下の可動子が往復直線運動の中間位置に弾性保持される。また、ガイド部材を省略して、可動子の往復直線運動時における移動抵抗を少なくできるので好ましい。
【0016】
本発明に係る電動歯ブラシは、ハンドルを兼ねるケーシングと、前記ケーシングに内装した前述した本発明に係るリニアアクチュエータと、前記ケーシングから外部へ突出するリニアアクチュエータの出力
軸の端部に着脱自在に取付けた替えブラシとを備えたものである。
【0017】
この電動歯ブラシでは、前記リニアアクチュエータを用いているので、前記と同様の作用効果を得ることができる。
即ち、2つのコイルに対して同期して変動磁場を形成することで、2倍の駆動力を出力軸に作用させて、出力軸を往復直線運動させることができる。また、永久磁石とポールピースとヨークとコイルとで磁力漏れの少ない磁気回路を形成して、リニアアクチュエータの磁気効率を高め、清掃ヘッドのブラッシング力を高めることができる。更に、ヨークがコイルと永久磁石の磁気シールドとして機能するので、部品点数を増やすことなく、支持ケース外への磁気漏れを少なくでき、磁気漏れによる他の機器への悪影響を未然に防止できる。更にまた、上下の永久磁石と上下のヨークと上下のポールピースが出力軸とともに往復直線運動するので、これらの部材を出力軸の慣性力を高めるための錘として機能させることができ、部品点数を増やしたり重量を増やしたりすることなく、出力軸の慣性力を高めて、清掃ヘッドによるブラッシング力を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るリニアアクチュエータによれば、
2つのコイルに対して同期して変動磁場を形成することで、2倍の駆動力を出力軸に作用させて、出力軸を往復直線運動させることができる。また、このリニアアクチュエータでは、永久磁石とポールピースとヨークとコイルとで磁力漏れの少ない磁気回路を形成して、リニアアクチュエータの磁気効率を高め、電動歯ブラシに適用した場合には、清掃ヘッドのブラッシング力を高めることができる。更に、ヨークがコイルと永久磁石の磁気シールドとして機能するので、部品点数を増やすことなく、支持ケース外への磁気漏れを少なくでき、磁気漏れによる他の機器への悪影響を未然に防止できる。更にまた、上下の永久磁石と上下のヨークと上下のポールピースが出力軸とともに往復直線運動するので、これらの部材を出力軸の慣性力を高めるための錘として機能させることができ、部品点数を増やしたり重量を増やしたりすることなく、出力軸の慣性力を高めて、電動歯ブラシに適用した場合には、清掃ヘッドによるブラッシング力を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施の形態は、本発明に係るリニアアクチュエータを電動歯ブラシに適用した場合のものである。
【0021】
(第1実施形態)
図1、
図2に示すように、電動歯ブラシ1は、電動歯ブラシ本体2と、電動歯ブラシ本体2の出力軸(出力部材に相当する)12に着脱自在に取付けた替えブラシ3とを備え、替えブラシ3を出力軸12とともに、出力軸12の軸方向に往復直線運動させながら歯をブラッシングできるように構成したものである。
【0022】
替えブラシ3は、先端部に植毛台4aを有する短尺な棒状の本体部材4と、複数のフィラメントを束ねてなる複数の毛束5とを有し、植毛台4aに毛束5を植設してなる清掃ヘッド6により歯をブラッシングできるようになした周知の構成のものである。フィラメントとしては、先端部を尖鋭に形成したものや、先端部を半球状に形成したものや、先端部を複数の細繊維に分割したものなど、周知の構成のものを採用することができる。また、毛束5を構成するフィラメントの本数や、植毛台4aに植設する毛束5の配列や形状、個数などについても任意に設定することができる。更に、出力軸12に対する替えブラシ3の結合構成についても、カチット嵌合して、容易に脱落しない周知の結合構造を採用することができる。
【0023】
電動歯ブラシ本体2は、手で保持するためのハンドルを兼ねる上下方向に細長い略円筒状のケーシング7と、ケーシング7の上部内に組み込んだリニアアクチュエータ本体10と、ケーシング7の途中部内に組み込んだ制御ユニット8と、ケーシング7の下部内に装填した電池9とを有している。尚、リニアアクチュエータは、リニアアクチュエータ本体10と制御ユニット8と電池9とで構成され、また電源手段は、制御ユニット8と電池9とで構成される。
【0024】
電池9としては、一次電池又は二次電池を好適に採用できる。一次電池を採用する場合には、電池9を交換できるようにケーシング7を構成することになる。また、2次電池を採用する場合には、消費者が容易には電池9を交換できないように、ケーシング7に電池9を内装し、有接点或いは無接点で電池9を充電するように構成することになる。二次電池としては、ニッカド電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などを採用できる。ただし、電池9に代えて、家庭用の交流電源などの外部電源を利用することもできる。
【0025】
リニアアクチュエータ本体10は、ケーシング7の上部内に組み込んだ固定側部材としての支持ケース11と、ケーシング7及び支持ケース11の上壁部7a、11aを貫通して往復直線運動自在に上方へ延びる出力軸12と、出力軸12を往復直線運動の中間位置側に付勢する弾性部材13と、出力軸12に固定した永久磁石14と、永久磁石14に変動磁場を作用させて、出力軸12を往復直線運動させるコイル15であって、永久磁石14の一方の磁極14aに対向させて支持ケース11に固定したコイル15と、永久磁石14の他方の磁極14bに途中部を密着固定し、永久磁石14の外側に沿って永久磁石14に対して隙間をあけてコイル15の外側まで延びて、端部を前記コイル15の外側に接近配置させた磁性体からなるヨーク16を備え、コイル15を支持ケース11に固定し、永久磁石14とヨーク16と後述の磁路形成部材としてのポールピース17とからなる可動子で、出力軸12を介して替えブラシ3を往復直線運動するように構成したものである。ただし、弾性部材13は、出力軸12を往復直線運動の中間位置に付勢するように設けてあれば、出力軸12を直接的に付勢するように構成してもよいし、
図1、
図2に示すように、永久磁石14やヨーク16やポールピース17などを介して、出力軸12を間接的に付勢するように構成することもできる。
【0026】
このときリニアアクチュエータ本体10の大きさとしては、外径が15〜40mmであって、好ましくは25〜35mmであり、出力軸12を除いた部分の高さが30〜100mmであって、好ましくは50〜70mmである。また、出力軸12の往復直線運動による移動距離は0.3〜5mmであって、好ましくは0.5〜1mmである。
【0027】
支持ケース11は下端を開放させた有底円筒状の支持ケース本体18と、支持ケース本体18の下端開口部を閉鎖すべく支持ケース本体18の下端部に固定した蓋部材19とで構成されている。蓋部材19の中央部には上方へ延びる円筒状の筒部19aが一体的に形成され、筒部19aの上部には巻線を巻装することで円筒状のコイル15が外嵌状に設けられている。本発明では、後述のようにヨーク16により、外部への磁気漏れが抑制されるので、支持ケース11は、非磁性体からなる軽量な合成樹脂材料で構成することができる。このため、支持ケース本体18を省略して、電動歯ブラシ1のケーシング7の上部を支持ケース本体18として活用することも可能である。
【0028】
出力軸12は、ケーシング7及び支持ケース11の上壁部7a、11aを貫通して上下方向に移動自在に設けられ、上端部はケーシング7から上方へ突出され、下端部は支持ケース11内に配置されている。ケーシング7の上端部と出力軸12の上端近傍部間には両者の摺動部分を覆うゴムカバー2aが設けられ、このゴムカバー2aにより、出力軸12とケーシング7との摺動部分からケーシング7内への水等の浸入が阻止されるように構成されている。
【0029】
支持ケース11内には有底円筒状の磁性体からなるヨーク16が、開口を下側へ向けて上下移動自在に設けられ、ヨーク16の上壁部16aの中央部にはネジ孔16bが形成され、出力軸12の下端部にはネジ孔16bに螺合するネジ部12aが形成され、出力軸12はネジ部12aをネジ孔16bに螺合させることでヨーク16に一体的に連結されている。ただし、出力軸12とヨーク16との連結は、溶接などの他の方法により行なうことも可能である。
【0030】
ヨーク16の略円板状の上壁部16aの下面には永久磁石14が他方の磁極14bを密着させて固定され、ヨーク16の上壁部16aの外周部には永久磁石14に対して隙間をあけて永久磁石14の外側を取り囲むように下方へ延びる略円筒状の周壁部16cが永久磁石14と同心状に形成され、ヨーク16の周壁部16cの下端部は僅かな隙間が全周にわたって一様に形成されるようにコイル15に外嵌されている。永久磁石14の一方の磁極14aには円板状のポールピース17が密着固定され、ポールピース17は僅かな隙間が全周にわたって一様に形成されるようにコイル15に内嵌されている。このようにヨーク16の周壁部16cの端部とそれに対面するポールピース17間にコイル15を配置することで、磁力漏れの少ない磁気回路を形成することができる。しかも、永久磁石14とポールピース17とコイル15とを磁性体からなるヨーク16で取り囲むので、支持ケース11外への磁気漏れを防止して、磁気漏れによる他の機器への悪影響を防止することができる。
【0031】
コイル15とヨーク16とポールピース17の高さ方向の位置関係は、往復直線運動の中間位置において、コイル15の高さ方向の中央部とポールピース17の高さ方向の中央部とが略同じ高さになり、ポールピース17の下端部とヨーク16の周壁部16cの下端部とが略同じ高さになるように設定することになる。ポールピース17の厚さ及びコイル15の中心線方向の長さ(上下方向の長さ)は、往復直線運動の移動距離に応じて適宜に設定することができ、例えばポールピース17の厚さは3〜20mmで、好ましくは3〜10mmに設定でき、コイル15の中心線方向の長さ(巻幅)Tcは、このポールピース17の厚さをTpとしたときに、Tp/3≦Tc≦3Tpで、好ましくはTp/2≦Tc≦2Tpに設定できる。また、コイル15の直径や、コイル15を構成する巻線の直径は、要求ブラッシング力に応じて、例えばコイル15の直径は6〜35mmで、好ましくは8〜25mmに設定でき、巻線の直径は0.1〜2mmで、好ましくは0.2〜1mmに設定できる。なお、巻線はその断面形状が円形である丸線のみならず、断面形状が四角形である平角線も用いることができる。また、コイル15を構成する巻線の巻数は、巻線の巻幅に応じて設定することができ、その巻層は1〜10層で、好ましくは2〜8層に設定することができる。このように、コイル15の直径、巻線の直径、巻幅等のコイル15の仕様は、ポールピース17とヨーク16との間の距離(磁気ギャップ長)及びポールピース17の厚みに応じて設定することができる。
【0032】
尚、
図3に示すリニアアクチュエータ本体10Aのように、ヨーク16に代えて、周壁部16cの下端部に内側へ折り曲げた折曲部16dを形成したヨーク16Aを用い、折曲部16dの端面がコイル15に対面するようにヨーク16Aを組み付けることも好ましい実施の形態である。この場合には、ヨーク16Aの製作コストは高くなるが、ヨーク16Aの下端部からコイル15へ向けて磁束を集中させることができ、磁気効率を一層向上できるので好ましい。また、ヨーク16Aaは一部材で構成することも可能であるが、折曲部16aにおける成形性を高めるため、ヨーク16の開口部よりも小径の中空部を有するリング状又は円筒状のプレートを、ヨーク16の下端面に固定するか、或いはヨーク16の下端部内に内嵌固定して、該プレートによって折曲部16aを形成することで、ヨーク16Aと同様の構造を得ることもできる。
【0033】
弾性部材13について説明すると、支持ケース11の上壁部11aとヨーク16の上壁部16a間において出力軸12にはヨーク16を下側へ付勢する第1バネ部材13aが外嵌状に設けられ、蓋部材19の筒部19a内にはポールピース17を上方へ付勢する第2バネ部材13bが内装されている。そして、両バネ部材13a、13bにより、出力軸12が、永久磁石14とヨーク16とポールピース17とからなる可動子とともに、出力軸12の往復直線運動の中間位置(中立位置)に付勢されて、該中間位置に弾性保持されている。また、前記中間位置においてヨーク16は、その下端部がコイル15の下端部と略同じ高さ位置に配置されて、ヨーク16の下端内周面がコイル15の外面に僅かな隙間をあけて対面するように配置され、また、ポールピース17はコイル15の内周面の高さ方向の略中央部に僅かな隙間をあけて対面するように配置される。ただし、第1バネ部材13a及び第2バネ部材13bは、ヨーク16と永久磁石14とポールピース17からなる可動子とともに出力軸12を、往復直線運動の中間位置に弾性付勢できるものであれば、
図1、
図2に示す以外の配設位置に設けることができる。また、弾性部材13としては、必ずしもコイルバネを用いる必要はなく、板バネや皿バネ、合成ゴムなどの弾性部材を採用することも可能である。
【0034】
制御ユニット8は、インバータ回路などにより直流を交番電流に変換する周知の構成のもので、発生した交番電流をコイル15に印加することで、コイル15に交番磁場を発生させるものである。ただし、コイル15で発生する磁場は、必ずしも交番磁場である必要はなく、例えば脈流をコイル15に印加して、変動磁場を発生させるように構成することも可能である。電動歯ブラシ1を設計する際には、例えばブラッシングに好適な清掃ヘッド6の振動数を設定し、この振動数に基づいて永久磁石14とヨーク16とポールピース17と出力軸12と替えブラシ3とからなる可動部材の固有振動数が所望の値になるように設定するとともに、該固有振動数と共振するように交番電流の周波数を設定することになる。
【0035】
この電動歯ブラシ1では、コイル15が支持ケース11を介して電動歯ブラシ1のケーシング7に固定されているので、制御ユニット8からの電流によりコイル15に交番磁場が形成されると、永久磁石14とヨーク16とポールピース17からなる可動子とともに、替えブラシ3が出力軸12を介して出力軸12の軸方向に一定のストロークで往復直線運動することになり、このときの替えブラシ3の往復直線運動を利用して清掃ヘッド6により歯をブラッシングすることになる。
【0036】
また、この電動歯ブラシ1では、永久磁石14の一方の磁極14aにポールピース17を取付けて、このポールピース17をコイル15の内側に僅かな隙間をあけて配置させるとともに、ヨーク16の途中部を永久磁石14の他方の磁極14bに密着固定し、ヨーク16の端部をコイル15の外側に接近配置させているので、永久磁石14とポールピース17とヨーク16とコイル15とで磁力漏れの少ない磁気回路を形成することができる。このため、永久磁石14の磁気漏れを少なくして、リニアアクチュエータ本体10の磁気効率を高め、清掃ヘッド6によるブラッシング力を高めることができる。また、ヨーク16がコイル15と永久磁石14の磁気シールドとして機能するので、部品点数を増やすことなく、ケーシング7外への磁気漏れを少なくでき、磁気漏れによる他の機器への悪影響を未然に防止できる。更に、永久磁石14を出力軸12に固定しているので、永久磁石14を、出力軸12の慣性力を高めるための錘として機能させることができ、部品点数を増やしたり重量を増やしたりすることなく、出力軸12の慣性力を高めて、清掃ヘッド6によるブラッシング力を高めることができる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、電動歯ブラシで利用可能な第2実施形態のリニアアクチュエータ本体について説明する。ただし、リニアアクチュエータ本体以外の構成は、前記第1実施形態と同様に構成できるので、リニアアクチュエータ本体の構成についてのみ説明する。
【0038】
図4に示すように、第2実施形態のリニアアクチュエータ本体20は、上下両端を閉鎖した円筒状の支持ケース21と、支持ケース21内に上下対称に対面させて直列状に内装した2組の磁気ユニット26U、26Lであって、コイル22Uと永久磁石23Uとヨーク24Uとポールピース25Uとからなる磁気ユニット26Uと、コイル22Lと永久磁石23Lとヨーク24Lとポールピース25Lとからなる磁気ユニット26Lと、下端部が上側のヨーク24Uの上壁部24Uaに固定され、支持ケース21の上壁部21aを貫通して上方へ延びる出力軸27と、出力軸27を往復直線運動の中間位置側に付勢する弾性部材28と、コイル22U、22Lを支持ケース21の高さ方向の途中部に固定支持する支持部材29と、永久磁石23Uとヨーク24Uとポールピース25Uからなる上側の可動子と永久磁石23Lとヨーク24Lとポールピース25Lとからなる下側の可動子を一体的に連結する連結部材30と、連結部材30で連結した前記2組の可動子を、支持ケース21に対して上下方向に往復直線運動自在に案内するガイド部材31とを備えている。
【0039】
支持ケース21は、上下両端部を閉鎖した円筒状の部材で構成され、中心線を含む分割面で2つの分割体に分割構成され、2つの分割体を組み合わせることで、2組の磁気ユニット26U、26Lを支持ケース21に内装できるように構成されている。支持ケース21の内面の高さ方向の途中部には周方向に一定間隔あけて4つの嵌合凹部21aが形成され、支持ケース21の高さ方向の途中部には4本のアーム部29bを十文字状に配置してなる支持部材29が配置され、支持部材29は4本のアーム部29bの端部を4つの嵌合凹部21aにそれぞれ嵌合させて、支持ケース21の高さ方向の略中央部に移動不能に固定支持されている。なお、嵌合凹部21aの個数を4つ以外の複数個に設定し、アーム部29bの本数を嵌合凹部21aに応じた複数本に設定することができる。
【0040】
この支持部材29は、前記第1実施形態における蓋部材19に対応する部材で、支持部材29の中央部には円筒状の筒部29aが上下両側へ突出状に形成され、上側の筒部29aの上端部と下側の筒部29aの下端部とには巻線を円筒状に巻装してなるコイル22U、22Lが外嵌固定されている。
【0041】
上下のヨーク24U、24Lは、前記第1実施形態と同様に有底円筒状の磁性体で構成され、上側の磁気ユニット26Uのヨーク24Uは、支持部材29の上側の支持ケース21内において、開口を下側へ向けて、出力軸27の下端部に固定され、下側の磁気ユニット26Lのヨーク24Lは、支持部材29の下側の支持ケース21内において、開口を上側へ向けて、支持部材29を挟んでヨーク24Uと対向状に配置されている。
【0042】
ヨーク24Uの上壁部24Uaの中央部にはネジ孔24Ubが形成され、出力軸27の下端部にはネジ孔24Ubに螺合するネジ部27aが形成され、出力軸27はネジ部27aをネジ孔24Ubに螺合させることでヨーク24Uに一体的に連結されている。ただし、出力軸27とヨーク24Uとの連結は、溶接などの他の方法により行なうことも可能である。
【0043】
上下のヨーク24U、24L間には円筒状の連結部材30が設けられ、上下のヨーク24U、24Lは連結部材30を介して出力軸27の軸方向に一体的に往復直線運動できるように連結されている。連結部材30の高さ方向の途中部には上下方向に細長い4つの長孔30aが周方向に一定の間隔をあけて形成され、連結部材30はその中心線を含み且つ対面する1対の長孔30aを分割する分割面で2つの半円筒状の分割体に分割構成されている。支持部材29の4本のアーム部29bは、その途中部が連結部材30の4つの長孔30aにそれぞれ挿通され、支持部材29は、出力軸27の往復直線運動範囲内において軸方向に移動できるように連結部材30に内装されている。尚、連結部材30としては、上下のヨーク24U、24Lを一体的に連結可能なものであれば任意の構成のものを採用することができる。
【0044】
支持ケース21の上部と下部にはリング状のガイド部材31が内装され、このガイド部材31で上下のヨーク24U、24Lの周壁部24Uc、24Lcが上下方向に移動自在に案内されて、永久磁石23Uとヨーク24Uとポールピース25Uとからなる上側の可動子と、永久磁石23Lとヨーク24Lとポールピース25Lとからなる下側の可動子と、両可動子を連結する連結部材30と、出力軸27とが、支持ケース21内において一体的に出力軸27の軸方向に往復直線運動自在に案内されている。ただし、ガイド部材31としては、支持ケース21内において上下の可動子を、出力軸27の軸方向に往復直線運動自在に案内できるものであれば、任意の構成のものを採用することができる。また、ガイド部材31を省略して、
図4に仮想線で示すように、下側のヨーク24Lの下壁部24Laの中央部に支持ケース21の下壁部21cを貫通して下方へ延びるガイド軸32を出力軸27と同軸状に固定し、出力軸27とガイド軸32とで、上下の可動子を連結部材30とともに上下方向に移動自在に案内することも好ましい実施の形態である。
【0045】
弾性部材28について説明すると、支持ケース21の上壁部21bと上側のヨーク24Uの上壁部24Ua間において出力軸27には、連結部材30で連結された上下の可動子を下側へ付勢する第1バネ部材28aが外嵌状に設けられ、支持ケース21の下壁部21cと下側のヨーク24Lの下壁部24La間には、連結部材30で連結された上下の可動子を上側へ付勢する第2バネ部材28bが設けられている。そして、両バネ部材28a、28bにより出力軸27は、往復直線運動の中間位置(中立位置)に付勢されて、該中間位置に弾性保持されている。ただし、弾性部材28は、出力軸27を往復直線運動の中間位置に付勢するように設けてあれば、出力軸27を直接的に付勢するように構成してもよいし、
図4に示すように、ヨーク24U、24Lや永久磁石23U、23Lやポールピース25U、25Lなどを介して間接的に付勢するように構成することもできる。
【0046】
上側のヨーク24Uの周壁部24Ucの下端部は、上側のコイル22Uの外周面に対面させて、該コイル22Uに対してその全周にわたって一様な僅かな隙間をあけて外嵌状に配置されている。上側のヨーク24Uの上壁部24Uaの下面の中央部には上側の永久磁石23Uが一方の磁極23Ubを密着させて固定され、該永久磁石23Uの下端面の他方の磁極23Uaにはポールピース25Uが密着固定され、ポールピース25Uの下部の円柱部25Uaは、上側のコイル22Uの内周面に対面させて、該コイル22Uに対してその全周にわたって一様な僅かな隙間をあけて内嵌されている。
【0047】
コイル22Uとヨーク24Uとポールピース25Uの高さ方向の位置関係は、往復直線運動の中間位置において、コイル22Uの高さ方向の中央部とポールピース25Uの円柱部25Uaの高さ方向の中央部とが略同じ高さになり、ポールピース25Uの下端部とヨーク24Uの周壁部24Ucの下端部とが略同じ高さになるように設定することになる。ポールピース25Uの円柱部25Uaの厚さ及びコイル22Uの中心線方向の長さ(上下方向の長さ)は、往復直線運動の移動距離に応じて適宜に設定することができ、例えば円柱部25Uaの厚さは3〜20mmで、好ましくは3〜10mmに設定でき、コイル22Uの中心線方向の長さ(巻幅)Tcは、この円柱部25Uaの厚さをTpとしたときに、Tp/3≦Tc≦3Tpで、好ましくはTp/2≦Tc≦2Tpに設定できる。また、コイル22Uの直径や、コイル22Uを構成する巻線の直径は、要求ブラッシング力に応じて、例えばコイル22Uの直径は6〜35mmで、好ましくは8〜25mmに設定でき、巻線の直径は0.1〜2mmで、好ましくは0.2〜1mmに設定できる。なお、巻線はその断面形状が円形である丸線のみならず、断面形状が四角形である平角線も用いることができる。また、コイル22Uを構成する巻線の巻数は、巻線の巻幅に応じて設定することができ、その巻層は1〜10層で、好ましくは2〜8層に設定することができる。このように、コイル22Uの直径、巻線の直径、巻幅等のコイル22Uの仕様は、ポールピース25Uの円柱部25Uaとヨーク24Uとの間の距離(磁気ギャップ長)及び円柱部25Uaの厚みに応じて設定することができる。尚、コイル22Lとヨーク24Lとポールピース25Lは、前記コイル22Uとヨーク24Uとポールピース25Uを倒立状に配置させたものと同様に配置されているので、その詳細な説明を省略する。
【0048】
このようにヨーク24U、24Lの周壁部24Uc、24Lcの端部と、それに対面するポールピース25U、25L間に、コイル22U、22Lを僅かな隙間をあけて接近配置することで、磁力漏れの少ない磁気回路を形成することができる。しかも、永久磁石23Uとポールピース25Uとコイル22Uとを磁性体からなるヨーク24Uで取り囲み、永久磁石23Lとポールピース25Lとコイル22Lとを磁性体からなるヨーク24Lで取り囲むので、支持ケース21外への磁気漏れを防止して、磁気漏れによる他の機器への悪影響を防止することができる。
【0049】
このリニアアクチュエータ本体20は、前記第1実施形態のリニアアクチュエータ本体10と同様に、電動歯ブラシ1のケーシング7の上部内に組み込んで用いることになる。また、このように組み込んだ状態で、コイル22U、22Lが支持部材29及び支持ケース21を介して電動歯ブラシ1のケーシング7に固定されているので、制御ユニット8からの電流によりコイル22U、22Lに交番磁場が形成されると、永久磁石23Uとヨーク24Uとポールピース25Uからなる上側の可動子と、永久磁石23Lとヨーク24Lとポールピース25Lからなる下側の可動子とが、連結部材30を介して一体的に出力軸27の軸方向に一定のストロークで往復直線運動し、これにより替えブラシ3が、出力軸27を介して出力軸27の軸方向に、一定のストロークで往復直線運動することになり、このときの替えブラシ3の往復直線運動を利用して、清掃ヘッド6により歯をブラッシングすることになる。
【0050】
リニアアクチュエータ本体20では、制御ユニット8により、2つのコイル22U、22Lに対して同期して変動磁場を形成することで、前記第1実施形態の電動歯ブラシ1の2倍の駆動力を出力軸27に作用させて、清掃ヘッド6を往復直線運動させることができる。また、このリニアアクチュエータ本体20では、上側の磁気ユニット26Uに関しては、永久磁石23Uの一方の磁極23Uaにポールピース25Uを取付けて、このポールピース25Uをコイル22Uの内側に僅かな隙間をあけて配置させるとともに、ヨーク24Uの途中部を永久磁石23Uの他方の磁極23Ubに密着固定し、ヨーク24Uの端部をコイル22Uの外側に接近配置させているので、永久磁石23Uとポールピース25Uとヨーク24Uとコイル22Uとで磁力漏れの少ない磁気回路を形成することができる。また、下側の磁気ユニット26Lに関しても、上側の磁気ユニット26Uと同様にして、永久磁石23Lとポールピース25Lとヨーク24Lとコイル22Lとで、磁力漏れの少ない磁気回路を形成することができる。このため、永久磁石23U、23Lの磁気漏れを少なくして、リニアアクチュエータ本体20の磁気効率を高め、清掃ヘッド6によるブラッシング力を高めることができる。更に、ヨーク24Uがコイル22Uと永久磁石23Uの磁気シールドとして機能し、ヨーク24Lがコイル22Lと永久磁石23Lの磁気シールドとして機能するので、部品点数を増やすことなく、支持ケース21外への磁気漏れを少なくでき、磁気漏れによる他の機器への悪影響を未然に防止できる。更にまた、永久磁石23U、23Lとヨーク24U、24Lとポールピース25U、25Lが出力軸27とともに往復直線運動するので、これらの部材を出力軸27の慣性力を高めるための錘として機能させることができ、部品点数を増やしたり重量を増やしたりすることなく、出力軸27の慣性力を高めて、清掃ヘッド6によるブラッシング力を高めることができる。
【0051】
次に、前記第2実施形態のリニアアクチュエータ本体20の構成を部分的に変更した他の実施の形態について説明する。尚、前記第2実施形態のリニアアクチュエータ本体20と同一部材には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0052】
(1)
図3に示すリニアアクチュエータ本体10Aと同様に、ヨーク24U、24Lの周壁部24Uc、24Lcの端部を内側へ折曲させて、その端面をコイル22U、22Lに対面させることも好ましい実施の形態である。この場合には、ヨーク24U、24Lの製作コストは高くなるが、ヨーク24U、24Lの下端部からコイル22U、22Lへ向けて磁束を集中させることができ、磁気効率を一層高めることができる。
【0053】
(2)第1バネ部材28a及び第2バネ部材28bは、上下の可動子を往復直線運動の中間位置に弾性付勢できるものであれば、
図4に示す以外の配設位置に設けることも可能で、例えば
図5に示すリニアアクチュエータ本体20Aのように、上側の筒部29a内において、ポールピース25Uと筒部29aの奥端面間に第1バネ部材28Aaを内装し、下側の筒部29a内において、ポールピース25Lと筒部29aの奥端面間に第2バネ部材28Abを内装することもできる。
【0054】
(3)弾性部材28としては、必ずしもコイルバネを用いる必要はなく、板バネや皿バネ、合成ゴムなどの弾性部材を採用することも可能である。例えば、
図6、
図7に示すリニアアクチュエータ本体20Bのように、支持ケース21に代えて上下両面を開放した円筒状の支持ケース21Bを設け、両バネ部材28a、28bに代えて、支持ケース21Bの上端部とヨーク24Uとを連結するとともに、支持ケース21Bの下端部とヨーク24Uとを連結する上下1対のバネ部材であって、同心状に配置される環状の内周部40a及び外周部40bと、内周部40aと外周部40bとを接続する複数本の断面円弧状のアーム部40cとを有し、アーム部40cの両端部を内周部40aと外周部42bとに接続してなる略平板環状のバネ部材40を用い、このバネ部材40の内周部40aをヨーク24U、24Lに固定し、外周部40bを支持ケース21Bの上下両端部に固定して、ヨーク24U、24Lと支持ケース21Bとを上下1対のバネ部材40で連結することも好ましい実施の形態である。このリニアアクチュエータ本体20Bでは、バネ部材40により、上下の可動子が往復直線運動の中間位置に弾性保持される。また、ガイド部材31を省略して、可動子の往復直線運動時における移動抵抗を少なくできるので好ましい。なお、アーム部40cとしては、断面波形状のものを採用することもできる。また、アーム部40cに代えて、内周部40aと外周部42bを連結する断面円弧状或いは断面波形状の連続した環状の連結部を設けることもできる。
【0055】
また、バネ部材40に代えて、
図8に示すように、同心状に配置される環状の内周部42a及び外周部42bと、内周部42aと外周部42bとを接続する複数本のアーム部42cとからなり、アーム部42cの両端部を内周部42aと外周部42bとに、周方向に対して同一方向へ一定角度ずらして接続してなる略平板環状のバネ部材42を用い、このバネ部材42の内周部42aをヨーク24U、24Lに固定し、外周部42bを支持ケース21Bの上下両端部に固定して、ヨーク24U、24Lと支持ケース21Bとを上下1対のバネ部材42で連結することも好ましい実施の形態である。この場合には、バネ部材42により、上下の可動子が往復直線運動の中間位置に弾性保持されるとともに、上下の可動子が往復直線運動すると、バネ部材42のアーム部42cの変形により、出力軸27が可動子とともに出力軸27を中心として反転往復運動するので、出力軸27の軸方向への清掃ヘッド6の往復直線運動と、出力軸27を中心とした清掃ヘッド6の反転往復運動とにより効率的に歯をブラッシングすることができる。
【0056】
尚、本実施形態では、1つの磁気ユニットで出力軸12を駆動する場合と、直列状に連結した2つの磁気ユニット26U、26Lで出力軸27を駆動する場合について説明したが、直列状に連結した3つ以上の磁気ユニットで出力軸を駆動するように構成することも可能であるし、並列状に連結した複数の磁気ユニットで出力軸を駆動するように構成することも可能であるし、直列状に連結した複数の磁気ユニットを並列状に複数連結することも可能である。3つ以上の磁気ユニットを直列状に連結する場合には、例えば
図9に示すリニアアクチュエータ本体20Cのように、リニアアクチュエータ本体20と同様の構成の1組の磁気ユニット26U、26Lを上下直列状に接続して、これを上下方向に細長い支持ケース21Cに内装し、これら4つの磁気ユニット26U、26Lの可動子を第1バネ部材28aと第2バネ部材28bとで弾性支持することになる。
【0057】
また、本実施形態では、替えブラシ3を出力軸12の軸方向に往復直線運動させたが、替えブラシ3に運動方向を切替える運動方向切換機構を内装するなどして、複数の毛束5からなるブラシ部を他の方向へ運動させることも可能である。具体的には、ブラシ部を、出力軸12に対して直交する前後方向や左右方向などに往復直線運動させたり、ブラシ部の中央部を通り出力軸12に直交する方向を中心として反転往復運動させたり、替えブラシ3の本体部材4の途中部を中心に前後方向や左右方向などに反転往復揺動させることができる。また、ブラシ部の毛束5のみを植毛台4aに対して、出力軸12に直交方向に往復直線運動させることもできる。更に、本実施形態では、電動歯ブラシ1の駆動部に本発明に係るリニアアクチュエータ本体を適用したが、替えブラシ3に代えて歯肉マッサージャーを取付けることもできるし、電気カミソリやポンプなどのように、往復直線運動する作動部を備えた各種機器の駆動手段として本発明に係るリニアアクチュエータを適用することも可能である。