(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、
図1乃至
図10を参照して説明する。
図1乃至
図2は、実施形態1におけるシステムの構成を説明するための図であり、
図3乃至
図10は、その動作を説明するための図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態におけるシステム(情報処理システム)は、ラックA,Bにそれぞれ搭載された複数のサーバからなる2つのサーバ群と、管理装置50と、を備えて構成されている。例えば、
図1の例では、各ラックA,Bは、それぞれ複数の棚を有しており、各棚にそれぞれブレード型のサーバ11−15,21−25を5台ずつ搭載している。
【0015】
また、図示しないが、各ラックA,Bには、それぞれ各サーバ11−15,21−25に電力を供給する電源モジュールや、ラック内に搭載された構成の動作を管理するラックマネージャが搭載されている。但し、本発明のシステムでは、ラックの数や1つのラックに搭載されるサーバの数は、図示した数であることに限定されない。
【0016】
また、システムを構成するサーバ群は、ラックサーバの形態で構成されていることに限定されない。例えば、サーバ群は、タワー型の複数のサーバにて形成されていてもよく、1つのブレード内に搭載された複数のサーバモジュールにて形成されていてもよい。また、システムを構成するサーバ群は、複数のサーバがひとまとまりにまとめられてサーバ群を形成していればよい。例えば、データセンタ内のある区域に設置された複数のサーバをまとめて1つのサーバ群としてもよく、ある地域毎に設置されている複数のサーバをまとめて1つのサーバ群としてもよい。
【0017】
次に、上記サーバ11−15,21−25の構成について、
図2を参照して説明する。なお、サーバ11−15,21−25は、全ての構成がほぼ同じであるため、以下では符号11のサーバを一例にあげて説明する。
【0018】
サーバ11は、BMC(Baseboard Management Controller)31と、BIOS(Basic Input/Output System)32と、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)(図示せず)と、記憶装置であるディスクa,bと、を備える一般的な情報処理装置である。
【0019】
BMC31は、サーバ11の稼働状況を管理する。BMC31は、管理装置50と接続しており、当該管理装置50と通信可能である。そして、BMC31は、管理装置50からの要求に応じて、サーバ11自体の消費電力を検出して、管理装置50に通知する機能を有する。
【0020】
BIOS32は、電源投入と同時に実行され、ブート先として設定されたディスクa,bからOS(Operating System)を実行する。なお、このブート先は、管理装置50からBMC31経由でBIOS32に設定される。
【0021】
ディスクa,bには、ウェブサーバ、メールサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバなど、サーバ11を特定のサーバ機能(機能)で動作させるようサーバ11のCPUで実行される、各サーバ機能に応じた複数のOSのイメージデータが記憶されている。ディスクa,bからは、BIOS32に設定されたOSのイメージデータがブートされ、かかるOSが実行されることにより、サーバ11が実行可能な複数のサーバ機能のうち、所定のサーバ機能で動作することとなる。
【0022】
次に、管理装置50の構成及び動作について説明する。管理装置50は、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)と、記憶装置と、を備えた情報処理装置である。管理装置50は、
図1に示すように、各ラックA,Bに搭載された全てのサーバ11−15,21−25にネットワークを介して接続されている。
【0023】
管理装置50は、
図2に示すように、CPUにプログラムが実行されることで構築された、稼働状況検出部51(検出手段)と、サーバ機能管理部52(管理手段)と、を備えている。
【0024】
稼働状態検出部51は、サーバ11自体の稼働状態を表す稼働状態値として、消費電力値を検出する機能を有する。具体的に、稼働状態検出部51は、予め設定された時間帯ごとに、各サーバ11−15,21−25のBMC31に対してサーバ自体の消費電力値の検出を要求する。そして、各サーバ11−15,21−25のBMC31から、時間帯ごとの各サーバ自体の消費電力値を取得して、記憶装置に記憶しておく。
【0025】
なお、上記では、稼働状態検出部51は、稼働状態検出値としてサーバの消費電力値を検出する場合を説明しているが、サーバの他の稼働状態を検出してもよい。例えば、稼働状態検出部51は、サーバの負荷やスループットなどを稼働状態検出値として検出してもよい。
【0026】
ここで、稼働状態検出部51は、システムの運用に先立ち、予め統計によりシステムによる業務量や業務内容が変化することが予測される時間帯ごとに、それぞれ各サーバの消費電力値を検出する(
図3のステップS1)。例えば、まず「時間帯1」で、
図6に示すような各サーバの消費電力値を検出でき、「時間帯2」で、
図7に示すような各サーバの消費電力値を検出できたとする。これらの図から、「時間帯1」と比較して「時間帯2」では、APサーバ(アプリケーションサーバ)の使用率が上昇し、Mailサーバ(メールサーバ)の使用率が低下したため、各サーバ間で消費電力値の偏りが生じていることがわかる。また、これに伴い、ラックA,B間においても、ラック全体における消費電力値の合計にも偏りが生じていることがわかる。
【0027】
そして、サーバ機能管理部52は、稼働状態検出部51にて検出して記憶装置に記憶している消費電力値に応じて、各サーバの時間帯ごとの運用方針、つまり、時間帯ごとにサーバに動作させるサーバ機能の変更を決定する。サーバ配置管理部52は、以下に説明するように、2段階(運用決定処理1,2)で、サーバ機能の変更を決定する。
【0028】
サーバ配置管理部52は、まず、「運用決定処理1」として、各サーバ11−15,21−25間で消費電力値の偏りが小さくなるよう、特にこの例では最小となるよう、各サーバに動作させるサーバ機能を決定する(
図3のステップS2)。この「運用決定処理1」の具体的な処理内容の一例を、
図4のフローチャートを参照して詳述する。
【0029】
「運用決定処理1」では、まず、サーバ配置管理部52は、全てのサーバの消費電力値の平均値である全体平均値を求める(
図4のステップS11)。ここでは、全体平均値は200Wと求められる。
【0030】
続いて、サーバ配置管理部52は、サーバ機能ごとに、「消費電力値の全体平均値との差分の合計」を求める(
図4のステップS12)。具体的には、上記全体平均値と共に、サーバ機能ごとの消費電力値の平均値である機能平均値も求め、サーバ機能ごとに、機能平均値から全体平均値を減算した値である差分値を求め、さらに、この差分値にサーバ機能ごとのサーバ台数を乗算した乗算値を求める。つまり、サーバ機能ごとに、「(機能平均値−全体平均値)×(サーバ機能ごとのサーバ台数)」の値を求める。
図7の例では、APサーバの機能平均値は350W、Mailサーバの機能平均値は50Wであるため、以下のような結果が得られる。
APサーバの全体平均値との差分:(350 - 200)× 3 = 450 (W)
Mailサーバの全体平均値との差分:(50 - 200)× 3 = -450 (W)
【0031】
続いて、サーバ配置管理部52は、上述した「サーバ機能ごとの消費電力値の全体平均値との差分の合計」である乗算値を、全体平均値で除算する(乗算値÷全体平均値)ことにより、サーバ機能を変更可能なサーバの台数を求める(
図4のステップS13)。上記の例では、以下のようになる。
APサーバの変更台数 = 450 ÷ 200 = 2 (台)
Mailサーバの変更台数 = -450 ÷ 200 = -2 (台)
【0032】
上記計算結果から、サーバ配置管理部52は、ラックA,Bに搭載されたサーバにおいて、APサーバを2台追加し、Mailサーバを2台削減するよう、サーバ機能を変更することを決定する(
図4のステップS14)。ここでは、
図7に示す状態から
図8の斜線部分に示すように、2台のMailサーバとして動作しているサーバのサーバ機能を、APサーバに変更することを決定することとなる。なお、Webサーバ(ウェブサーバ)と、DBサーバ(データベースサーバ)については、各サーバの消費電力値が200Wで全体平均値と一致するため、サーバ機能の変更は行わない。
【0033】
そして、サーバ配置管理部52は、ラックA,B全体で決定した変更後のサーバ機能の動作状態となるよう、各サーバのBIOS32を設定する。このとき、BIOS32には、サーバ機能を変更する時間帯も設定する。例えば、上述したように、サーバ間で消費電力値に偏りが生じた時間帯「時間帯2」には、上記「運用決定処理1」で変更を決定したサーバ機能のサーバ配置となるように設定する。
【0034】
以上のように、「運用決定処理1」では、各サーバで動作するサーバ機能の変更を決定することで、各サーバの消費電力値が全体平均値に近づき、各サーバ間で差が小さくなる。すると、ラックA,B全体において、消費電力値の合計が高くなることによる発熱や消費電力の上限のキャッピングなどを抑制できる。その結果、ラックA,B全体における稼働状態が安定し、性能低下を抑制することができる。
【0035】
なお、ラックA,B全体内において、サーバ機能ごとに最低限確保が必要なサーバの台数を予め設定しておいてもよい。例えば、各サーバ機能で動作するサーバの最低限の台数を1台と設定しておくことで、上述したようにサーバ機能の変更を決定した場合に0台となってしまうサーバ機能のサーバが存在するときには、サーバ配置管理部52は、かかるサーバ機能のサーバは1台確保するよう変更を決定する。
【0036】
また、上記では、サーバ配置管理部52は、サーバ機能ごとに、当該サーバ機能を変更する台数を算出しているが、必ずしもかかる台数を算出することに限定されない。例えば、サーバ機能ごとに算出した「機能平均値から全体平均値を減算した値である差分値(機能平均値−全体平均値)」の値に応じて、サーバの台数を増減させるサーバ機能を決定してもよい。具体的には、差分値が「+(正の値)」である場合には、かかるサーバ機能の台数を増やし、差分値が「−(負の値)」である場合には、かかるサーバ機能の台数を減らすよう、サーバ機能の変更を決定する。
【0037】
続いて、サーバ配置管理部52は、上述した「運用決定処理1」で変更を決定したサーバ機能の配置状態から、以下に説明する「運用決定処理2」を行い、さらに各サーバにて動作させるサーバ機能の変更を決定する処理を行う。この「運用決定処理2」では、各ラックA,B間(サーバ群間)で消費電力値の偏りが小さくなるよう、特にここでは最小となるよう、各サーバに動作させるサーバ機能を決定する(
図3のステップS3)。この「運用決定処理2」の具体的な処理内容の一例を、
図5のフローチャートを参照して詳述する。
【0038】
「運用決定処理2」では、まず、サーバ配置管理部52は、「運用決定処理1」で決定されたサーバ機能の配置状態における各サーバの消費電力値を求める。各サーバの消費電力値は、実際にサーバを運用しているときに上述した稼働状態検出部51で検出した値や、「運用決定処理1」でサーバ機能の変更を決定したときに、かかる変更状態から理論的に算出できる各サーバの消費電力値を求めてもよい。ここでは、各サーバの消費電力値は、「運用決定処理1」で決定されたサーバ機能の配置状態で運用されている各サーバから実際に検出した消費電力値であることとし、
図8に示す値であるとする。
【0039】
続いて、サーバ配置管理部52は、「運用決定処理1」で決定した各サーバ機能で動作するサーバ機能ごとのサーバの数を変更することなく、各ラックA,Bに各サーバ機能のサーバを配置した場合の組み合わせを全て算出する(
図5のステップS21)。例えば、
図8に示す各サーバ機能のサーバの配置は、
図9に示す9つのパターン(ラックa,b)の組み合わせが存在することとなる。
【0040】
そして、サーバ配置管理部52は、算出した組み合わせの中で、ラックごとに、「{(消費電力値の合計)−(全てのラックの消費電力値の平均値)}の絶対値」を算出し、さらに、この絶対値の「パターンごとの総和」を求める。つまり、パターンごとに、「|(各ラックの消費電力値の合計)−(全てのラックの消費電力値の平均値)|の総和」を求める。そして、この算出した総和が最小となる組み合わせを見つめる(
図5のステップS22)。
図9の例では、2番目のパターンが、|1010-1000|+|990-1000| = 20となり、ラック間の消費電力の差分が最小となる。
【0041】
続いて、サーバ配置管理部52は、上記で見つけたラック間の消費電力値の差分が最小となるパターンのサーバ機能の配置を、各ラックA,Bに適用するよう決定する(
図5のステップS23)。このとき、これまでのサーバ機能の配置に対して、サーバ機能を変更する必要のあるサーバの台数が最小となるよう、決定したパターンのサーバ機能の配置を各ラックA,Bに適用する。ここでは、パターン2のラック(a,b)の配置を、実際のラック(A,B)、あるいは、ラック(B,A)のそれぞれに適用するいずれの場合であっても、
図8に示すサーバ機能の配置から、サーバ機能が変更されるサーバ台数は各ラックで2台である。このため、いずれの配置を適用してよい。一例として、パターン2のラック(a,b)の配置を、実際のラック(A,B)に適用することで、
図10の斜線に示すラックの配置のみの変更が決定される。
【0042】
そして、サーバ配置管理部52は、ラックA,B内の各サーバが、
図10に示すように決定したサーバ機能の配置で動作するよう、各サーバのBIOS32を設定する。このとき、BIOS32には、サーバ機能を変更する時間帯も設定する。例えば、上述したように、サーバ間で消費電力値に偏りが生じた時間帯「時間帯2」には、上記「運用決定処理2」で変更を決定したサーバ機能のサーバ配置となるように設定する。
【0043】
以上のように、「運用決定処理2」では、ラック間において各サーバで動作するサーバ機能の配置の変更を決定することで、各ラックの消費電力値の差が小さくなる。すると、ラックA,B全体において、消費電力値の合計が高くなることによる発熱や消費電力の上限のキャッピングなどを抑制できる。その結果、ラックA,B全体における稼働状態が安定し、性能低下を抑制することができる。
【0044】
なお、上記では、ラックA,B間の差が最小となるサーバ機能の配置を設定したが、これは特に、ラックの消費電力の上限値がほぼ同一であるなど、当該ラックの性能がほぼ同一である場合に有効である。ただし、本発明では、ラックや地域など情報処理サーバ群が形成される環境に応じて、配置変更を決定してもよい。例えば、一方のラックの消費電力値の上限が高く、他方が低い場合には、各ラックの上限値に達しないよう情報処理サーバ群間においてサーバ機能の配置を変更してもよい。
【0045】
また、上記では、サーバは、自身に装備されたディスクa,bに予め各サーバ機能を動作させるOSイメージを記憶している場合を例示したが、サーバにサーバ機能を動作させる方法は他の方法であってもよい。例えば、SAN(Storage Area Network)ブート環境などの外部にOSイメージが保持され、かかる外部から、管理装置50にてBMC31経由でBIOS32に設定されたOSのイメージデータがブートされ、かかるOSが実行されてもよい。あるいは、サーバで実行されている基本OS上に複数の仮想OSを用意しておき、特定の仮想OSを立ち上げて、所定のサーバ機能を動作させてもよい。
【0046】
<実施形態2>
次に、本発明の第2の実施形態を、
図11を参照して説明する。本実施形態におけるシステムは、まず、サーバ111,112等を複数備えるとともに、これらサーバを管理する管理装置150を備えている。
【0047】
上記サーバ111は、動作可能な複数の機能のうち、所定の機能で動作するよう構成されている。例えば、サーバ111は、上述したように、ウェブサーバ、メールサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバなどの機能で動作可能であり、このうちの所定の機能で動作する。
【0048】
上記管理装置150は、演算装置がプログラムを実行することで構築された、検出手段151と管理手段152とを備えている。検出手段151は、サーバ111の稼働状態を検出する。管理手段152は、稼働状態に応じて、サーバに動作させる機能の変更を決定する。
【0049】
上記構成のシステムでは、まず、管理装置150の検出手段151が、各サーバ111,112の稼働状態を検出する。例えば、各サーバ111,112の消費電力を検出する。
【0050】
そして、管理装置150の管理手段152は、各サーバ111,112の稼働状態に応じて、サーバ111,112に動作させる機能の変更を決定する。例えば、管理装置150が接続されている一群の全てのサーバ111,112の消費電力の差が小さくなるよう、所定のサーバ111,112の機能を変更するよう決定する。そして、管理装置150は、各サーバ111,112が変更決定された機能で動作するよう設定することで、システム全体におけるサーバ111,112の稼働状態を改善することができる。その結果、システム内における情報処理サーバの稼働状態が安定し、性能の低下を抑制することができる。
【0051】
<実施形態3>
次に、本発明の第3の実施形態を、
図12を参照して説明する。本実施形態におけるシステムは、まず、サーバ211,212等を複数備えて構成されたサーバ群210を、複数備えて構成されている。
図12の例では、サーバ群210の他に、サーバ221,222等を備えた別のサーバ群220を備えている。また、システムは、複数のサーバ群210,220に含まれる各サーバを管理する管理装置250を備えている。
【0052】
上記サーバ211は、動作可能な複数の機能のうち、所定の機能で動作するよう構成されている。例えば、サーバ211は、上述したように、ウェブサーバ、メールサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバなどの機能で動作可能であり、このうちの所定の機能で動作する。
【0053】
上記管理装置250は、演算装置がプログラムを実行することで構築された、検出手段251と管理手段252とを備えている。検出手段251は、サーバ211の稼働状態を検出する。管理手段252は、稼働状態に応じて、サーバ群210,220間における機能の配置を変更するよう、サーバに動作させる機能の変更を決定する。
【0054】
上記構成のシステムでは、まず、管理装置250の検出手段251が、各サーバ211,212の稼働状態を検出する。例えば、各サーバ211,212の消費電力を検出する。一例として、
図8に示すように、サーバ群210がラックAに相当し、サーバ群220がラックBに相当するとした場合に、当該
図8に示すような消費電力値が検出されたとする。
【0055】
そして、管理装置250の管理手段252は、検出した各サーバ211,212,221,222の稼働状態に応じて、サーバ群210,220間において機能の配置の変更を検定する。つまり、サーバ211,212,221,222に動作させる機能の変更を決定する。このとき、例えば、サーバ群間における機能の配置の変更数が少なくなるよう、サーバに動作させる機能の変更を決定する。また、例えば、サーバ群間で当該各サーバ群の稼働状態の差が小さくなるよう、サーバに動作させる機能の変更を決定する。これにより、例えば、
図8に示す機能の配置から、
図10に示すような配置となるよう、各サーバに動作させる機能の変更が決定される。
【0056】
そして、管理装置150は、各サーバ211,212,221,222が変更決定された機能で動作するよう設定する。ここで、一方のサーバ群210で動作していたWebサーバを、他方のサーバ群220で動作するよう配置を変更することを決定した場合を考える。この場合には、まず、一方のサーバ群210でWebサーバとして動作していたサーバ211は、他の機能で動作するよう変更設定する。また、他方のサーバ群220で他の機能で動作していたサーバ221は、Webサーバとして動作するよう変更設定する。
【0057】
これにより、システム全体におけるサーバ111,112の稼働状態を改善することができる。その結果、システム内におけるサーバの稼働状態が安定し、性能の低下を抑制することができる。
【0058】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明におけるシステム、管理装置、プログラム、管理方法の構成の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
【0059】
(付記1)
サーバを複数備えて構成されたシステムであって、
前記サーバは、動作可能な複数の機能のうち、所定の機能で動作するよう構成されており、
前記サーバの稼働状態を検出する検出手段と、
前記稼働状態に応じて、前記サーバに動作させる機能の変更を決定する管理手段と、
を備えたシステム。
【0060】
上記発明によると、まず、検出手段が、各サーバの稼働状態を検出する。そして、管理手段が、稼働状態に応じて、サーバに動作させる機能の変更を決定する。これにより、サーバは、変更後の機能を動作させることで、稼働状態を改善することができる。その結果、システム内におけるサーバの稼働状態が安定し、性能の低下を抑制することができる。
【0061】
(付記2)
付記1に記載のシステムであって、
前記管理手段は、前記各サーバの前記稼働状態の差が小さくなるよう、前記サーバに動作させる機能の変更を決定する、
システム。
【0062】
上記発明によると、管理手段が、各サーバの稼働状態の差が小さくなるようサーバに動作作動させる機能の変更を決定する。これにより、サーバは、変更後の機能を動作させることで、システム内において各サーバの稼働状態の差が小さくなり、稼働状態が安定し、性能の低下を抑制することができる。
【0063】
(付記3)
付記2に記載のシステムであって、
前記管理手段は、全ての前記サーバの前記稼働状態の平均を表す全体平均を算出し、当該算出した全体平均に、前記各サーバの稼働状態が近づくよう、前記サーバに動作させる機能の変更を決定する、
システム。
【0064】
このように、各サーバの稼働状態を全体平均に近づけることで、システム内において各サーバの稼働状態の差が小さくなり、稼働状態が安定し、性能の低下を抑制することができる。
【0065】
(付記4)
付記2又は3に記載のシステムであって、
前記管理手段は、全ての前記サーバの前記稼働状態の平均を表す全体平均と、機能毎における前記サーバの稼働状態の平均である機能平均と、を算出し、前記全体平均と前記機能平均とに基づいて前記サーバに動作させる機能の変更を決定する、
システム。
【0066】
このように、全体平均と機能平均とを用いた算出結果を用いることで、どの機能を変更すればよいかを適切に判断することができる。
【0067】
(付記5)
付記4に記載のシステムであって、
前記管理手段は、機能毎に、前記機能平均から前記全体平均を減算した差分に基づいて、所定の機能を動作させる前記サーバの台数を増減させるよう、当該サーバに動作させる機能の変更を決定する、
システム。
【0068】
このように、機能平均から全体平均を減算した差分を用いることで、どの機能の状態に余裕があるか、あるいは、不足しているか、ということを容易に判断でき、適切に機能を変更することができる。
【0069】
(付記6)
付記5に記載のシステムであって、
前記管理手段は、機能毎に、当該機能の台数を前記差分に乗算した値である乗算値を前記全体平均で除算することで、所定の機能を動作させる前記サーバの台数の増減数を算出して、当該増減数に基づいて前記サーバに動作させる機能の変更を決定する、
システム。
【0070】
このように、機能平均から全体平均を減算した差分をさらに全体平均で乗算することで、適切にサーバ機能を変更する増減数を算出することができる。
【0071】
(付記7)
付記1乃至6のいずれかに記載のシステムであって、
前記サーバの稼働状態は、当該サーバの消費電力である、
システム。
【0072】
(付記8)
付記1乃至7のいずれかに記載のシステムであって、
前記複数のサーバが搭載された1つ又は複数のラックシステムで形成されている、
システム。
【0073】
(付記9)
付記1乃至8のいずれかに記載のシステムであって、
複数の前記サーバからなるサーバ群を複数備え、
前記管理手段は、決定された変更の後の機能で動作する前記サーバの前記稼働状態に応じて、前記サーバ群間における機能の配置の変更を決定する、
システム。
【0074】
上記発明によると、一旦、システム内でサーバの機能を変更したのちに、かかる構成における稼働状態に応じて、サーバ群間で機能の配置を変更する。そして、配置を変更した機能をサーバに動作させることで、各サーバ群で稼働状態を改善することができる。その結果、システム内におけるサーバの稼働状態が安定し、性能の低下を抑制することができる。
【0075】
(付記10)
付記9に記載のシステムであって、
前記管理手段は、前記サーバ群毎に設定された環境に応じて、前記サーバ群間における機能の配置の変更を決定する、
システム。
【0076】
このように、サーバ群毎の環境に適応した、適切な稼働状態を実現でき、サーバの稼働状態が安定し、性能の低下を抑制することができる。
【0077】
(付記11)
付記9又は10に記載のシステムであって、
前記管理手段は、前記サーバ群間における機能の配置の変更数が少なくなるよう、前記サーバに動作させる機能の変更を決定する、
システム。
【0078】
これにより、変更後の機能で起動させるサーバの台数を減らすことができ、機能の配置を変更する処理の迅速化を図ることができる。
【0079】
(付記12)
付記9乃至11のいずれかに記載のシステムであって、
前記管理手段は、前記サーバ群間で当該各サーバ群の前記稼働状態の差が小さくなるよう、前記サーバに動作させる機能の変更を決定する、
システム。
【0080】
これにより、サーバ群間で消費電力値の差が小さくなるため、稼働状態が安定し、性能の低下を抑制することができる。
【0081】
(付記13)
動作可能な複数の機能のうち、所定の機能で動作するよう構成されたサーバを複数備えたシステムに接続された管理装置であって、
前記サーバの稼働状態を検出する検出手段と、
前記稼働状態に応じて、前記サーバに動作させる機能の変更を決定する管理手段と、
を備えた管理装置。
【0082】
(付記14)
動作可能な複数の機能のうち、所定の機能で動作するよう構成されたサーバを複数備えたシステムに接続された管理装置に、
前記サーバの稼働状態を検出する検出手段と、
前記稼働状態に応じて、前記サーバに動作させる機能の変更を決定する管理手段と、
を実現させるためのプログラム。
【0083】
(付記15)
動作可能な複数の機能のうち、所定の機能で動作するよう構成されたサーバを複数備えたシステムに接続された管理装置が、
前記サーバの稼働状態を検出し、
前記稼働状態に応じて、前記サーバに動作させる機能の変更を決定する、
管理方法。
【0084】
(付記15.1)
付記15に記載の管理方法であって、
前記管理装置が、前記各サーバの前記稼働状態の差が小さくなるよう、前記サーバに動作させる機能の変更を決定する、
管理方法。
【0085】
(付記15.2)
付記15.1に記載の管理方法であって、
前記管理装置が、全ての前記サーバの前記稼働状態の平均を表す全体平均を算出し、当該算出した全体平均に、前記各サーバの稼働状態が近づくよう、前記サーバに動作作動させる機能の変更を決定する、
管理方法。
【0086】
(付記15.3)
付記15乃至15.2のいずれかに記載の管理方法であって、
前記システムは、複数の前記サーバからなるサーバ群を複数備えて構成されており、
前記管理装置が、決定された変更の後の機能で動作する前記サーバの前記稼働状態に応じて、前記サーバ群間における機能の配置の変更を決定する、
管理方法。
【0087】
(付記15.4)
付記15.3に記載の管理方法であって、
前記管理装置が、前記サーバ群間における機能の配置の変更数が少なくなるよう、前記サーバに動作させる機能の変更を決定する、
管理方法。
【0088】
(付記15.5)
付記15.3又は15.4に記載の管理方法であって、
前記管理装置が、前記サーバ群間で当該サーバ群の前記稼働状態の差が小さくなるよう、前記サーバに動作させる機能の配置の変更を決定する、
管理方法。
【0089】
なお、上述したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
【0090】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。