(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032333
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】コネクタ装置およびそれを備える電源装置
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20161114BHJP
A01D 34/78 20060101ALI20161114BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20161114BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20161114BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20161114BHJP
H01M 2/10 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
B25F5/00 C
B25F5/00 H
A01D34/78 Z
H02J7/00 X
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H01M10/42 P
H01M10/48 Z
H01M2/10 U
H01M2/10 M
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-157342(P2015-157342)
(22)【出願日】2015年8月7日
(62)【分割の表示】特願2011-213203(P2011-213203)の分割
【原出願日】2011年9月28日
(65)【公開番号】特開2016-26895(P2016-26895A)
(43)【公開日】2016年2月18日
【審査請求日】2015年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 高史
【審査官】
亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
実開平07−005321(JP,U)
【文献】
特開昭64−039240(JP,A)
【文献】
特開2011−161602(JP,A)
【文献】
特開2000−340268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
A01D 34/78
H01M 2/10
H01M 10/42 − 10/48
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを収容し、肩ベルトを有するケーシングと、
前記電池セルに電気的に接続され、前記ケーシングから延出するバッテリコードと、
バッテリ側コネクタ部を一端に有し、前記バッテリ側コネクタ部を介して前記バッテリコードに電気的に接続可能なコネクタコードと、
前記コネクタコードの他端に設けられ、電動工具のバッテリ装着部に装着可能な装着ケースと、を有し、
前記装着ケースは、前記装着ケースが前記バッテリ装着部に装着された際に前記電動工具と電気的に接続される電動工具側コネクタ部と、前記電池セルの状態を表示する表示部と、を備え、
前記表示部は、前記装着ケースにおける前記コネクタコードが設けられる面と同一の面に設けられ、
前記装着ケースは、前記コネクタコードおよび前記表示部が設けられる面とは異なる2つの対向する面に、使用者によって操作されることで前記装着ケースと前記バッテリ装着部との装着・取外しを可能とするラッチをそれぞれ有することを特徴とする背負式電源装置。
【請求項2】
前記バッテリコードと前記コネクタコードとは互いに分離可能であることを特徴とする、請求項1記載の背負式電源装置。
【請求項3】
前記ケーシング内に設けられ、前記電池セルの状態を検出しバッテリ状態信号を生成する制御ユニットを有し、
前記表示部は、前記バッテリ状態信号に基づいて前記電池セルの状態を表示することを特徴とする、請求項1または請求項2記載の背負式電源装置。
【請求項4】
前記表示部はディスプレイであり、
前記装着ケースは、前記ディスプレイが設けられる面と同一の面に、前記表示部の表示状態を切替えるスイッチを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の背負式電源装置。
【請求項5】
前記装着ケースには、前記ケーシング内に設けられた無線送信部から伝送される前記バッテリ状態信号を受信する無線受信部と、前記無線受信部で受信した前記バッテリ状態信号に基づいて前記ディスプレイに前記電池セルの状態を表示させる表示制御部とを設けることを特徴とする請求項4記載の背負式電源装置。
【請求項6】
前記ディスプレイは、前記電池セルの状態として、残量情報、使用時間情報、温度情報、充電情報および異常情報のうちの少なくともいずれか1つを、表示することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項記載の背負式電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の手元で操作される電動工具と、該電動工具を駆動するバッテリとの間に設けられ、電動工具とバッテリとを電気的に接続するコネクタ装置、およびこれらの電動工具,バッテリ,コネクタ装置を備える電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者の手元で操作される電動工具としては、例えば、植木および芝生の刈り込みや、果樹園の手入れ等で使用される園芸用バリカン(園芸工具)が知られている。この園芸用バリカンは、使用者によって把持されるハンドル部を備えたハウジングを有しており、当該ハウジングの内部には、電動機である電動モータが収容されている。さらにハウジングには、固定ブレード,可動ブレードおよびクランク機構を備えたブレードアタッチメントが取り付けられるようになっている。そして、使用者によりスイッチを操作して電動モータを回転駆動することで、クランク機構を介して可動ブレードが固定ブレードに対して相対移動する。これにより、ブレードアタッチメントを植木等の表面に沿わせて移動させることで、植木等の刈り込み作業が行われる。
【0003】
このような園芸用バリカンとしては、持ち運びが便利でかつ操作性に優れたコードレスタイプの園芸用バリカンがある。このコードレスタイプの園芸用バリカンは、ハウジングにバッテリ装着部が設けられ、当該バッテリ装着部にバッテリパックを装着することで作動するようになっている。そして、園芸用バリカンの使用によりバッテリパックの充電が必要になると、バッテリパックをバッテリ装着部から取り外し、充電器を用いて充電するようになっている。
【0004】
コードレスタイプの園芸用バリカンは、広い面積の庭園や果樹園等で使用されることもあり、この場合においては使用時間も長くなる。そのため、標準のバッテリパックでは容量が足りず、刈り込み作業等を効率良く行うのが困難になる。そこで、大容量バッテリから電力を供給するようにし、長時間の使用にも対応可能とすることが行われている。このような大容量バッテリを用いて電動工具を駆動するようにした技術としては、例えば、特許文献1に記載された技術が知られている。
【0005】
特許文献1には、種々の電動工具(ハンマドリル等)に対応し得る背負式の電池電源装置(大容量バッテリ)が記載されており、使用者の手元で操作される電動工具と使用者によって背負われた大容量バッテリとの間には、スパイラルコード(電源コード)が電気的に接続して設けられている。これにより、使用者により電動工具のスイッチを操作することで、大容量バッテリから電源コードを介して電力が供給され、これにより電動工具を長時間に亘って駆動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭64−039240号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、長時間に亘って電動工具を駆動できる大容量バッテリを用いる場合には、作業範囲を広くできることから、使用者は、電池残量や作業時間等を把握できた方が安心感を得られる場合がある。しかしながら、上述の特許文献1には、大容量バッテリに、例えばLEDディスプレイ等の充電状態表示器(表示部)を設ける点が記載され、つまり使用者は、大容量バッテリを背負った状態のもとで表示部を確認するのが困難となっている。よって、電池残量や作業時間等を把握するのに、使用者はその都度、大容量バッテリを一旦降ろす必要が生じ、ひいては作業効率の悪化等を招いていた。
【0008】
本発明の目的は、電動工具とバッテリとが離れていたとしても、バッテリの状態を手元で容易に確認することが可能なコネクタ装置およびそれを備える電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の背負式電源装置は、複数の電池セルを収容し、肩ベルトを有するケーシングと、前記電池セルに電気的に接続され、前記ケーシングから延出するバッテリコードと、バッテリ側コネクタ部を一端に有し、前記バッテリ側コネクタ部を介して前記バッテリコードに電気的に接続可能なコネクタコードと、前記コネクタコードの他端に設けられ、電動工具のバッテリ装着部に装着可能な装着ケースと、を有し、前記装着ケースは、前記装着ケースが前記バッテリ装着部に装着された際に前記電動工具と電気的に接続される電動工具側コネクタ部と、前記電池セルの状態を表示する表示部と、を備え
、前記表示部は、前記装着ケースにおける前記コネクタコードが設けられる面と同一の面に設けられ、前記装着ケースは、前記コネクタコードおよび前記表示部が設けられる面とは異なる2つの対向する面に、使用者によって操作されることで前記装着ケースと前記バッテリ装着部との装着・取外しを可能とするラッチをそれぞれ有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、例えば、バッテリを背負った状態であっても、電動工具側コネクタ部寄りの表示部、つまり手元にある表示部を確認することで、容易にバッテリの状態を把握することができる。これにより、従前のようにバッテリの状態を確認する度に、当該バッテリを降ろす必要が無くなり、ひいては作業効率を大幅に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】コネクタ装置が装着された園芸用バリカンを示す斜視図である。
【
図2】大容量の背負式バッテリ(延長コード付き)を示す斜視図である。
【
図3】コネクタ装置を形成する装着ケースの側部を示す平面図である。
【
図5】背負式バッテリの電気ブロック図とコネクタ装置の電気回路図である。
【
図6】(a)は残量情報の表示例、(b)は時間情報の表示例、(c)は温度情報の表示例を示す図である。
【
図7】(a)は充電時の表示例、(b)はエラー時の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
図1はコネクタ装置が装着された園芸用バリカンを示す斜視図を、
図2は大容量の背負式バッテリ(延長コード付き)を示す斜視図を、
図3はコネクタ装置を形成する装着ケースの側部を示す平面図を、
図4は
図3のA矢視図(表示部側)を、
図5は背負式バッテリの電気ブロック図とコネクタ装置の電気回路図を、
図6(a)は残量情報の表示例、(b)は時間情報の表示例、(c)は温度情報の表示例を示す図を、
図7(a)は充電時の表示例、(b)はエラー時の表示例を示す図をそれぞれ表している。
【0020】
図1に示すように、電動工具としての園芸用バリカン(ヘッジトリマ)10は、持ち運びが便利でかつ操作性に優れ、使用者の手元で操作されるコードレスの動力工具であって、図示しない植木等の表面を刈り込むのに使用される。園芸用バリカン10は、本発明における電源装置を構成しており、本体部20とブレード部(ブレードアタッチメント)30とを備えている。
【0021】
本体部20は、モータ収容部21a,ハンドル部21bおよびバッテリ装着部21cを有するハウジング21を備えており、モータ収容部21aの内部には、電動機としての電動モータ22が収容されている。電動モータ22は、外周にコイル(図示せず)が巻き付けられたアーマチュア22aを備え、アーマチュア22aの回転中心には回転軸22bが貫通して固定されている。そして、図示しないブラシおよびコンミテータを介してコイルに駆動電流を供給することで、アーマチュア22aに回転力(電磁力)が発生し、回転軸22bが回転するようになっている。回転軸22bの先端側には減速機構(図示せず)が設けられ、回転軸22bの回転力は減速機構を介してブレード部30のクランク機構33に伝達されるようになっている。
【0022】
ハンドル部21bには、使用者により操作されるスイッチ23が設けられ、当該スイッチ23を操作することで、電動モータ22に駆動電流が供給されるようになっている。なお、ハンドル部21bにはロックオフボタン24が設けられ、当該ロックオフボタン24を押しながらスイッチ23を操作しない限り、電動モータ22には駆動電流が供給されない。これにより、スイッチ23が不用意に操作状態となって園芸用バリカン10が作動してしまうのを防止している。
【0023】
バッテリ装着部21cは、後方側(図中右側)に向けて開口しており、当該開口部分には、コネクタ装置50の装着ケース51が装着されるようになっている。バッテリ装着部21cの内側には、導電部材よりなる複数の接続端子(図示せず)が設けられ、これらの各接続端子には、コネクタ装置50の電動工具側コネクタ部51a(
図2,3参照)に設けた複数の接続端子(図示せず)が電気的に接続されるようになっている。
【0024】
ここで、コネクタ装置50の装着ケース51には、
図3,4に示すように、使用者により把持されるラッチ51bが設けられ、当該ラッチ51bを把持することで、バッテリ装着部21cに対して装着ケース51を装着したり外したりでき、これにより園芸用バリカン10とコネクタ装置50との電気的な接続および解除を行うことができる。また、装着ケース51のバッテリ装着部21cに対する接続形状は、図示しない標準のバッテリパック(低容量バッテリ)のバッテリ装着部21cに対する接続形状と同じ形状となっており、標準のバッテリパックに替えてコネクタ装置50を使用できるようにしている。
【0025】
図1に示すように、ブレード部30の基端側(図中右側)には、ブレード部30を本体部20に装着するための取付本体31が設けられ、当該取付本体31は複数の取付ネジ(図示せず)によって本体部20に取り付けられるようになっている。また、取付本体31には固定ブレード32の基端側が固定され、取付本体31の内部にはクランク機構33が収容されている。
【0026】
固定ブレード32には、その長手方向に沿って相対移動自在に可動ブレード34が重なるようにして設けられ、可動ブレード34の基端側は取付本体31の内部に導かれている。そして、可動ブレード34の基端側にはクランク機構33が設けられ、当該クランク機構33の動作によって、可動ブレード34は固定ブレード32に対して相対的に往復移動するようになっている。
【0027】
ブレード部30は、断面が略L字形状に形成されたチップレシーバ35を備えており、当該チップレシーバ35は、2つのノブナット36によって固定ブレード32等の固定部分に固定されている。このようにチップレシーバ35を設けることで、刈り取った枝葉をすくい受けて、刈り込み作業を終えた後の清掃作業の効率向上を図れるようにしている。
【0028】
図2に示すように、コネクタ装置50のバッテリ側コネクタ部52aには、園芸用バリカン10を駆動するための大容量バッテリとしての背負式バッテリ(バッテリ)40が電気的に接続されている。背負式バッテリ40は、本発明における電源装置を構成しており、略直方体形状に形成されたケーシング41を備え、当該ケーシング41の内部には複数の電池セル(詳細図示せず)よりなるリチウムイオン電池42が収容されている。また、ケーシング41の内部でリチウムイオン電池42の近傍には制御ユニット43が設けられ、当該制御ユニット43に設けられた充電ソケットおよび出力ソケット(何れも図示せず)を介して充電と放電とを繰り返すようになっている。
【0029】
制御ユニット43の出力ソケットには、バッテリコード44の一端側が電気的に接続されており、当該バッテリコード44の他端側にはコネクタ部44aが一体に設けられている。バッテリコード44のコネクタ部44aには、コネクタ装置50を介して園芸用バリカン10が電気的に接続されるようになっている。ここで、図中符号45は電源用の汎用延長コードであって、当該汎用延長コード45は、コネクタ装置50と背負式バッテリ40との間の距離を延長するもので、使用者が必要に応じて追加可能となっている。
【0030】
図2,5に示すように、制御ユニット43には、リチウムイオン電池42の状態(電圧等)を検出する電池状態検出部43aと、当該電池状態検出部43aにより検出されたリチウムイオン電池42の状態から、リチウムイオン電池42の残量,使用時間および温度等を演算する演算部43bとが設けられている。また、制御ユニット43には無線送信部43cが設けられ、当該無線送信部43cは、リチウムイオン電池42の状態を示す無線信号(バッテリ状態信号)を外部に伝送するようになっている。
【0031】
ここで、背負式バッテリ40は充電機能を有していても良く、電池状態検出部43aは、リチウムイオン電池42の状態として、充電ソケットにAC電源(100V)が接続されて充電中か否かを示す充電情報を生成し、当該充電情報を無線送信部43cに送出するようになっていても良い。また、電池状態検出部43aは、リチウムイオン電池42の状態として、リチウムイオン電池42が寿命を迎えたことやコネクタ装置50が接続不良を起こしていること等の異常情報を生成し、当該異常情報を無線送信部43cに送出するようになっている。
【0032】
図2に示すように、背負式バッテリ40のケーシング41には、肩ベルト41aと腰ベルト41bとが一体に設けられおり、これにより使用者が作業中において前屈等をした場合であっても、背負式バッテリ40は使用者の背中からずれたりするようなことは無い。また、各ベルト41a,41bには、それぞれ長さ調整部(図示せず)が設けられ、これにより使用者の種々の体格に合わせて調整可能となっている。
【0033】
図1〜4に示すように、園芸用バリカン10と背負式バッテリ40との間には、これらを電気的に接続するためのコネクタ装置50が設けられている。コネクタ装置50は、本発明における電源装置を構成しており、当該コネクタ装置50は、装着ケース51とコネクタコード52とを備えている。つまり、本発明におけるコネクタ装置は、装着ケース51とコネクタコード52とから構成されている。装着ケース51は園芸用バリカン10のバッテリ装着部21cに装着され、装着ケース51には電動工具側コネクタ部51a,ラッチ51bおよびディスプレイ(表示部)51cが一体に設けられている。
【0034】
装着ケース51にはコネクタコード52の一端側が接続され、当該コネクタコード52の他端側にはバッテリ側コネクタ部52aが一体に設けられている。バッテリ側コネクタ部52aは、汎用延長コード45を介して背負式バッテリ40に電気的に接続されている。また、コネクタコード52の一端側は、装着ケース51の電動工具側コネクタ部51aに設けられた複数の接続端子の一部に電気的に接続されている。つまり、コネクタ装置50は、園芸用バリカン10と背負式バッテリ40とを、互いに電気的に接続するようになっている。
【0035】
図3,5に示すように、装着ケース51の内部には、制御ユニット53が収容されている。制御ユニット53には、背負式バッテリ40の無線送信部43cから伝送される無線信号を受信する無線受信部53aと、無線受信部53aで受信した無線信号に基づいて、リチウムイオン電池42の状態(残量,使用時間,温度,充電情報および異常情報)をディスプレイ51cに表示させる表示制御部53bとが設けられている。
【0036】
図1,4に示すように、ディスプレイ51cは、装着ケース51のコネクタコード52側に向けられており、これにより園芸用バリカン10を使用する使用者は、ディスプレイ51cを園芸用バリカン10の上方側から容易に目視できるようになっている。このように、ディスプレイ51cは、コネクタ装置50を形成する電動工具側コネクタ部51aおよびバッテリ側コネクタ部52aのうちの電動工具側コネクタ部51a寄りに設けられており、使用者の手元で確認(目視)できるようになっている。
【0037】
図4に示すように、装着ケース51におけるディスプレイ51cの図中下方側には、ディスプレイ51cに表示される表示内容を変更するための表示モード切替スイッチ54が設けられている。表示モード切替スイッチ54は使用者により操作され、使用者が表示モード切替スイッチ54を操作する毎に、ディスプレイ51cには、
図6に示すような表示モードA〜Cが交互に表示されるようになっている
【0038】
ここで、ディスプレイ51cは、バックライト付きのカラー液晶ディスプレイを採用しており、種々の情報を分かり易く明確に使用者に向けて表示できるようになっている。以下、各表示モードA〜Cの表示内容について説明する。
【0039】
[表示モードA]
表示モードAは、園芸用バリカン10の使用を開始した際に表示されるデフォルトで表示される表示内容であり、リチウムイオン電池42の残量をインジケータ表示するようになっている。ここで、リチウムイオン電池42の残量は、演算部43bがリチウムイオン電池42の電圧情報に基づいて演算処理し、算出するようになっている。そして、リチウムイオン電池42の容量が充分である場合には、表示制御部53bによってFULL側のインジケータを含む全てのインジケータを表示し、リチウムイオン電池42の容量が不充分である場合にはEMPTY側のインジケータのみを表示するようにしている。ここで、図中白抜部分(図中左側)は例えば緑色表示とし、図中濃色網掛け部分(図中右側)は例えば赤色表示とし、その中間の網掛け部分は例えば黄色表示とする。ただし、インジケータのデザインや配色は図示のものに限らず、他のデザインや配色であっても良い。
【0040】
[表示モードB]
表示モードAの状態から、使用者により表示モード切替スイッチ54を1回押すと、表示制御部53bによって表示モードBに切り替えられる。表示モードBは、リチウムイオン電池42の使用可能時間をデジタル表示するようになっている。ここで、リチウムイオン電池42の使用可能時間は、演算部43bが、リチウムイオン電池42の電圧情報や、使用工具の消費電力情報(この場合は園芸用バリカン10の消費電力情報)等に基づいて演算処理し、算出するようになっている。なお、使用可能時間の表示に限らず、使用時間(園芸用バリカン10の通算作動時間)を表示するようにしても良い。
【0041】
[表示モードC]
表示モードBの状態から、使用者により表示モード切替スイッチ54を1回押すと、表示制御部53bによって表示モードCに切り替えられる。表示モードCは、リチウムイオン電池42の温度をインジケータ表示するようになっている。ここで、リチウムイオン電池42の温度は、演算部43bが、使用工具の電力負荷情報や使用工具の使用時間情報等に基づいて演算処理し、算出するようになっている。そして、リチウムイオン電池42の温度が低い場合には、表示制御部53bによってCool側のインジケータのみを表示し、リチウムイオン電池42の温度が高い場合にはHeat側のインジケータを含む全てのインジケータを表示するようになっている。ここで、図中白抜き部分(図中左側)は例えば水色表示とし、図中濃色網掛部分(図中右側)は例えば赤色表示とし、その中間の網掛け部分は例えば橙色表示とする。ただし、インジケータのデザインや配色は図示のものに限らず、他のデザインや配色であっても良い。
【0042】
[充電/エラー表示]
上記に加えてディスプレイ51cは、リチウムイオン電池42が充電中である場合には、
図7(a)に示すように充電表示をするようになっている。具体的には、リチウムイオン電池42の充電状態を、パーセンテージでデジタル表示するようになっている。さらに、ディスプレイ51cは、コネクタ装置50や汎用延長コード45等が接続不良を起こしている場合には、
図7(b)に示すように警告マークと警告内容とを表示(エラー表示)するようになっている。ただし、ディスプレイ51cに表示する警告内容としては、他の警告情報、例えば、リチウムイオン電池42が寿命を迎えたこと、過負荷状態(背負式バッテリ40や電動モータ22に大電流が流れた状態)、背負式バッテリ40や電動モータ22の高温状態等を表示させるようにしても良い。
【0043】
以上詳述したように、本実施の形態に係るコネクタ装置50によれば、園芸用バリカン10に電気的に接続される電動工具側コネクタ部51aと、背負式バッテリ40に電気的に接続されるバッテリ側コネクタ部52aと、電動工具側コネクタ部51a寄りに設けられ、背負式バッテリ40の状態を表示するディスプレイ51cとを備えている。
【0044】
したがって、背負式バッテリ40を背負った状態であっても、電動工具側コネクタ部51a寄りのディスプレイ51c、つまり手元にあるディスプレイ51cを確認することで、容易に背負式バッテリ40の状態を把握することができる。これにより、従前のようにバッテリ(大容量バッテリ)の状態を確認する度に、当該バッテリを降ろす必要が無くなり、ひいては作業効率を大幅に向上させることが可能となる。
【0045】
また、本実施の形態に係るコネクタ装置50によれば、コネクタ装置50は、園芸用バリカン10に装着される装着ケース51を備え、この装着ケース51には、背負式バッテリ40の無線送信部43cから伝送される無線信号を受信する無線受信部53aと、この無線受信部53aで受信した無線信号に基づいてディスプレイ51cに背負式バッテリ40の状態を表示させる表示制御部53bとを設けた。
【0046】
したがって、背負式バッテリ40の状態は無線で、園芸用バリカン10の電力は有線で各々送ることができる。これにより、コネクタ装置50と背負式バッテリ40との間の距離を延長する場合に、安価な汎用延長コード45(電源用)を用いることができる。
【0047】
さらに、本実施の形態に係るコネクタ装置50によれば、表示制御部53bは、背負式バッテリ40の状態として、残量情報、使用時間情報、温度情報、充電情報および異常情報のうちの少なくともいずれか1つを、ディスプレイ51cに表示させるので、使用者はディスプレイ51cを目視することにより、使用者が必要とする背負式バッテリ40の情報を容易に得ることができる。
【0048】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態においては、電動工具(電源装置)として園芸用バリカン10を採用したものを示したが、本発明はこれに限らず、コードレスのドライバ装置,丸のこ,ジグソー,刈払機等、他の電動工具にも採用することができる。
【0049】
また、上記実施の形態においては、電源装置としてのバッテリ(大容量バッテリ)として、使用者によって背負われる背負式バッテリ40であるものを示したが、本発明はこれに限らず、据え置き型のバッテリであっても良い。この場合、園芸用バリカン10と据え置き型バッテリとの間に、必要に応じて複数の汎用延長コード45を電気的に接続することで、充分な作業範囲を確保することが可能となる。
【0050】
さらに、上記実施の形態においては、背負式バッテリ40からコネクタ装置50に向けて無線信号を伝送するものを示したが、本発明はこれに限らず、バッテリ状態信号を伝送するための信号コードを備えた専用の延長コード(電源/信号用)を用いることもできる。この場合、背負式バッテリ40の制御ユニット43に表示制御部を設け、コネクタ装置50の制御ユニット53を省略することが可能となる。
【0051】
また、上記実施の形態においては、電源装置としてのコネクタ装置50に表示モード切替スイッチ54を設け、当該表示モード切替スイッチ54を使用者により操作することで、表示モードA〜Cに切り替えられるようにしたものを示したが、本発明はこれに限らず、所定時間経過(例えば2.0sec)毎に、表示モードA〜Cを自動的に切り替えるようにしても良い。この場合、表示モード切替スイッチ54を省略することができ、コネクタ装置50の簡素化および軽量化等を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0052】
10…園芸用バリカン(電動工具,電源装置)、20…本体部、21…ハウジング、21a…モータ収容部、21b…ハンドル部、21c…バッテリ装着部、22…電動モータ、22a…アーマチュア、22b…回転軸、23…スイッチ、24…ロックオフボタン、30…ブレード部、31…取付本体、32…固定ブレード、33…クランク機構、34…可動ブレード、35…チップレシーバ、36…ノブナット、40…背負式バッテリ(バッテリ,電源装置)、41…ケーシング、41a…肩ベルト、41b…腰ベルト、42…リチウムイオン電池、43…制御ユニット、43a…電池状態検出部、43b…演算部、43c…無線送信部、44…バッテリコード、44a…コネクタ部、45…汎用延長コード、50…コネクタ装置(電源装置)、51…装着ケース、51a…電動工具側コネクタ部、51b…ラッチ、51c…ディスプレイ(表示部)、52…コネクタコード、52a…バッテリ側コネクタ部、53…制御ユニット、53a…無線受信部、53b…表示制御部、54…表示モード切替スイッチ