(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032336
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】組電池及び組電池用セパレータ
(51)【国際特許分類】
H01M 2/10 20060101AFI20161114BHJP
H01M 10/613 20140101ALN20161114BHJP
H01M 10/625 20140101ALN20161114BHJP
H01M 10/647 20140101ALN20161114BHJP
H01M 10/6555 20140101ALN20161114BHJP
H01M 10/6557 20140101ALN20161114BHJP
H01M 10/6565 20140101ALN20161114BHJP
【FI】
H01M2/10 S
!H01M10/613
!H01M10/625
!H01M10/647
!H01M10/6555
!H01M10/6557
!H01M10/6565
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-176220(P2015-176220)
(22)【出願日】2015年9月8日
(62)【分割の表示】特願2012-544224(P2012-544224)の分割
【原出願日】2011年11月11日
(65)【公開番号】特開2016-15331(P2016-15331A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2015年9月8日
(31)【優先権主張番号】特願2010-257977(P2010-257977)
(32)【優先日】2010年11月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【弁理士】
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115554
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 渉
(72)【発明者】
【氏名】中村 真祐
(72)【発明者】
【氏名】植村 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】若林 亮伸
【審査官】
田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−282582(JP,A)
【文献】
特開2006−310309(JP,A)
【文献】
特開2004−362879(JP,A)
【文献】
特開2010−277735(JP,A)
【文献】
特開2007−048750(JP,A)
【文献】
特開2009−110833(JP,A)
【文献】
特開2011−165477(JP,A)
【文献】
特開2012−094312(JP,A)
【文献】
特開2006−278330(JP,A)
【文献】
特開平08−321329(JP,A)
【文献】
特開平09−115490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/00 − 2/10
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/647
H01M 10/6555
H01M 10/6557
H01M 10/6565
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形を角形とする複数の電池セルであって、各々の電池セルが、開口部を有する外装缶と、前記開口部を閉塞する封口板と、を含んでおり、各々の封口板が同一面に並ぶように互いに平行に配置される、該複数の電池セルと、
絶縁性を有する複数のセパレータであって、各々のセパレータが、隣接する電池セルの間に介在する挾着プレート部と、前記隣接する電池セルの表面に沿って位置する周壁とを含んでいる、該複数のセパレータと、を備える組電池において、
前記挾着プレート部は、前記隣接する電池セルと対向する面に、前記隣接する電池セルの前記封口板と前記外装缶の境界を含む上端部に沿って位置して前記上端部と対向する第1領域と、前記第1領域に隣接する第2領域と、前記第1領域が対向する電池セルの表面から離れた状態となるように前記第1領域と前記第2領域の境界に沿って設けられる段差と、を有しており、
前記周壁は、前記第1領域に隣接して設けられており、前記複数の電池セルの積層方向に突出していることを特徴とする組電池。
【請求項2】
請求項1に記載の組電池において、
前記周壁は、前記隣接する電池セルの上面の外側に位置する上周壁と、前記隣接する電池セルの側面の外側に位置すると共に、上端が前記上周壁に連結する形状となる縦周壁と、を含んでいることを特徴とする組電池。
【請求項3】
請求項1または2に記載の組電池において、
さらに、前記複数の電池セルと前記複数のセパレータを含む電池ブロックの両端面に配置される一対のエンドプレートと、前記一対のエンドプレートを締結するバインドバーと、を備える組電池。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の組電池において、
前記第1領域は、前記挾着プレート部の上端から下方に向けて延在しており、上下方向の寸法が2mm以上であることを特徴とする組電池。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の組電池において、
前記第1領域は、前記挾着プレート部の上端から下方に向けて延在しており、上下方向の寸法が30mm以下であることを特徴とする組電池。
【請求項6】
外装缶の開口部を閉塞するため封口板を有する複数の電池セルを、前記封口板が同一面に並ぶように配置している組電池において、隣接する電池セルを絶縁するための組電池用セパレータであって、
前記隣接する電池セルの間に介在する挾着プレート部と、前記隣接する電池セルの表面に沿って位置する周壁とを含んでおり、
前記挾着プレート部は、前記隣接する電池セルと対向する面に、前記隣接する電池セルの前記封口板と前記外装缶の境界を含む上端部に沿って位置して前記上端部と対向する第1領域と、前記第1領域に隣接する第2領域と、前記第1領域が対向する電池セルの表面から離れた状態となるように前記第1領域と前記第2領域の境界に沿って設けられる段差と、を有しており、
前記周壁は、前記第1領域に隣接して設けられており、前記複数の電池セルの積層方向に突出していることを特徴とする組電池用セパレータ。
【請求項7】
請求項6に記載の組電池用セパレータにおいて、
前記周壁は、前記隣接する電池セルの上面の外側に位置する上周壁と、前記隣接する電池セルの側面の外側に位置すると共に、上端が前記上周壁に連結する形状となる該縦周壁と、を含んでいることを特徴とする組電池用セパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、ハイブリッド自動車や電気自動車等の自動車を駆動するモータの電源用等に使用される組電池及び組電池用セパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータで走行する電気自動車、あるいはモータとエンジンの両方で走行するハイブリッド自動車等の自動車は、電池セルを外装ケースに収納した電源装置を搭載している。この電源装置は、モータで自動車を走行させるための出力を得るために、多数の電池セルを直列に接続して出力電圧を高くしている。例えば、外装缶を角形とした電池セルを積層して組電池を構成し、この組電池を複数連結して電源装置を構成している(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
各電池セルは、上面に正負の電極端子を突出させている。各電極端子は、封口板に固定されている。この電池セルを複数、絶縁性のセパレータを間に介在させて積層し、端面にエンドプレートを配置して組電池としている。また、金属製のバインドバーでエンドプレート同士を締結して、積層状態に固定している。金属のバインドバーによる締結に際しては、長期にわたって安定して電池セルを保持できるよう、十分な強度が求められる。特に車載用途においては、振動や衝撃に晒されるため、より強固な締結が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−282582号公報
【特許文献2】特開2010−110833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、角形の電池セルを両面から押圧する際には、応力は均一に印加されずに外周のエッジ部分に集中するため、このような応力集中によってエッジ部分が圧縮されて外装缶が潰れたり、封口板との溶着部分が破損したりする可能性があった。
【0006】
また、電池セルの外装缶は、上端に封口板をレーザー溶接して開口部を閉塞しているため、レーザー溶接の結果、開口部が他の部分よりも外径が若干太くなる。また、金属製の外装缶は、金属板の絞り加工によって上端を開口する箱形に形成されるので、金型の抜き勾配から上端側の外径が底部よりも大きくなる。この結果、これを積層して両端からエンドプレートで挟着すると、外装缶上端側のエッジに応力が集中しやすくなる。このため、レーザー溶接した封口板が外れて電解液が漏洩する可能性もあった。
【0007】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、電池セル積層時の応力の集中を緩和し、電池セルの破損や変形を防止して、組み立て後の信頼性を高めた組電池及び組電池用セパレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願発明のある態様の組電池は、複数の電池セルと、複数のセパレータと、を備える。複数の電池セルは、外形を角形とする。各々の電池セルは、開口部を有する外装缶と、開口部を閉塞する封口板と、を含む。複数の電池セルは、各々の封口板が同一面に並ぶように互いに平行に配置される。複数のセパレータは絶縁性を有する。各々のセパレータは、隣接する電池セルの間に介在する挾着プレート部と、隣接す
る電池セルの表面に沿って位置する周壁とを含む。挾着プレート部は、隣接する電池セルと対向する面に、隣接する電池セルの封口板と外装缶の境界を含む上端部に沿って位置して上端部と対向する第1領域と、第1領域に隣接する第2領域と、第1領域が第2領域よりも低くなるように第1領域と第2領域の境界に沿って設けられる段差と、を有する。周壁は、第1領域に隣接して設けられており、複数の電池セルの積層方向に突出する。
【0009】
本願発明のある態様の組電池用セパレータは、外装缶の開口部を閉塞するため封口板を有する複数の電池セルを、封口板が同一面に並ぶように配置している組電池において、隣接する電池セルを絶縁するために用いられる。上記課題を解決するために、ある態様の組電池用セパレータは、隣接する電池セルの間に介在する挾着プレート部と、隣接する電池セルの表面に沿って位置する周壁とを含んでいる。挾着プレート部は、隣接する電池セルと対向する面に、隣接する電池セルの封口板と外装缶の境界を含む上端部に沿って位置して上端部と対向する第1領域と、第1領域に隣接する第2領域と、第1領域が第2領域よりも低くなるように第1領域と第2領域の境界に沿って設けられる段差と、を有している。周壁は、第1領域に隣接して設けられており、複数の電池セルの積層方向に突出している。
【発明の効果】
【0010】
上述の構成のセパレータは、封口板と外装缶の境界が位置する電池セルの上端部に対応する位置に、隣接する第2領域よりも低くなる第1領域が形成される。この構成により、電池セルとセパレータを積層した際に、電池セルの上端部に応力が集中することを防止できる。
【0011】
具体的には、電池セルの上端部には、内側に板状の封口板があるため、電池セルを圧縮しても薄く変形しない。そのため、この部分をセパレータで強圧すると、圧力がこの領域に集中して他の領域に分散できず、局部的に極めて大きな応力が発生して電池セルを破損させる原因となる。
【0012】
これに対して、上述の構成では、主に挾着プレート部の第2領域が電池セルの外装缶と当接するようになっているため、挾着プレート部で電池セルを押圧しても、電池セルの上端部を強圧せず、電池セルの破損や変形を有効に防止できるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施例にかかる組電池の斜視図である。
【
図4】電池セルとセパレータの積層構造を示す分解斜視図である。
【
図5】電池セルを熱収縮チューブで被覆する状態を示す斜視図である。
【
図6】熱収縮チューブで被覆された電池セルの底部を示す拡大斜視図である。
【
図7】電池セルとセパレータの積層構造を示す一部拡大断面図である。
【
図9】温度センサをセパレータにセットする状態を示す拡大断面図である。
【
図10】セパレータの他の一例を示す一部拡大断面図である。
【
図11】セパレータの他の一例を示す一部拡大断面図である。
【
図12】本発明の一実施例にかかる車両であってエンジンとモータで走行するハイブリッドカーを示すブロック図である。
【
図13】本発明の他の実施例にかかる車両であってモータのみで走行する電気自動車を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための組電池、組電池用セパレータ及びこれを備える車両を例示するものであって、本発明は組電池、組電池用セパレータ及びこれを備える車両を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0015】
図1に示す組電池は、主として、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッドカーや、モータのみで走行する電気自動車などの電動車両の電源に最適である。ただし、ハイブリッドカーや電気自動車等の電動車両以外の用途であって、大出力が要求される用途にも使用される。
【0016】
図1ないし
図3に示す組電池は、外形を角形とする複数の電池セル1をセパレータ2を挟んで積層して電池ブロック9としている。電池ブロック9の両端面には、エンドプレート4を配置して、一対のエンドプレート4をバインドバー5で固定して、積層しているセパレータ2と電池セル1とを所定の圧力で押圧する状態に固定している。エンドプレート4は、電池セル1の外形とほぼ同じ形状と寸法の四角形として、組電池を両端面から挟着して固定している。この組電池は、セパレータ2と電池セル1との間に送風隙間13を設けて、送風隙間13に強制送風する送風ダクト16を、
図1に示すように、対向位置に設けている。この組電池は、送風ダクト16から送風隙間13に冷却気体を強制送風して、電池セル1を冷却する。さらに、組電池は、送風ダクト16から送風隙間13に加温気体を強制送風して、電池セル1を加温することもできる。
【0017】
(電池セル1)
電池セル1は、厚さが幅よりも薄い、外形を四角形とする薄型の角形電池で、互いに平行な姿勢としてセパレータ2を挟んでセパレータ2で絶縁して積層している。電池セル1は、
図4に示すように、上面の両端部に正負の電極端子3を突出させて固定している。電極端子3を突出させる位置は、正極と負極が左右対称となる位置としている。これにより、電池セル1を裏返して重ねて積層し、隣接して接近する正極と負極の電極端子3を金属板のバスバー6で接続し、あるいは直接に接続して、直列に接続できる。電池セル1を直列に接続する組電池は、出力電圧を高くして出力を大きくできる。ただし、組電池は、電池セルを並列と直列に接続することもできる。
【0018】
電池セル1はリチウムイオン二次電池である。ただし、電池セルはリチウムイオン二次電池には特定されず、充電できる全ての電池、たとえばニッケル水素電池なども使用できる。電池セル1は、正負の電極板を積層している電極体を外装缶1Aに収納して電解液を充填して気密に密閉したものである。外装缶1Aは、
図4に示すように、底を閉塞する四角い筒状に成形したもので、上方の開口部を金属板の封口板1Bで気密に閉塞している。外装缶1Aは、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板を深絞り加工して製作される。金属板を深絞り加工している外装缶は、開口部に向かって内形を大きくするテーパー状としている。深絞り加工の金型を型抜きするためである。したがって、外装缶1Aは、開口部となる上端の外形を底面の外形よりもわずかに大きくしている。封口板1Bは、外装缶1Aと同じように、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板で製作される。この封口板1Bは、正負の電極端子3を両端部に、端子ホルダ14を介して固定している。封口板1Bは、外装缶1Aの開口部に挿入され、封口板1Bの外周と外装缶1Aの内周との境界にレーザービームを照射して、封口板1Bを外装缶1Aにレーザー溶接して気密に固定している。
【0019】
外装缶1Aを金属板とする電池セル1は、表面に金属を露出させている。この電池セル
1は、
図5に示すように、熱収縮チューブ10Aからなる絶縁シート10で被覆される。電池セル1は、筒状の熱収縮チューブ10Aに挿入され、電池セル1の底面で熱収縮チューブ10Aを熱溶着して底を閉塞し、熱収縮チューブ10Aを加熱して電池セル1の表面に密着させる。熱収縮チューブ10Aの絶縁シート10で被覆された電池セル1は、
図6の拡大断面図に示すように、底面から絶縁シート10の溶着部10aが突出している。
【0020】
(端子ホルダ14)
端子ホルダ14は、傾斜面を有する三角形状に形成されており、電池セル1の上面で電極端子3の突出部分を除く周囲を絶縁している。この端子ホルダ14は、プラスチックなどの絶縁性部材で構成される。端子ホルダ14の傾斜面には電極端子3を配置しており、電極端子3を傾斜姿勢で突出させた状態で、電池セル1の両端部の定位置に配置している。一方、正負の電極端子3は、内蔵する正負の電極板(図示せず)に接続されている。
【0021】
(バスバー6)
さらに、電池セル1は、電極端子3にバスバー6を接続している。バスバー6は電極端子3に固定している止ネジ3Aを挿通し、この止ネジ3Aにナット12をねじ込んで、電極端子3に固定される。バスバー6は、金属板の両端部に、隣接する電池セル1の電極端子3に固定している止ネジ3Aを挿通するための貫通孔を開口している。バスバー6は電極端子3に積層して固定される。バスバー6は隣接する電池セル1の電極端子3同士を電気接続する。接続形態は、隣接する電池セル1を直列接続するか並列接続するかに応じて異なる。すなわち、直列接続時は正極と負極とを、並列接続時は正極同士、負極同士を、各々連結する。図の組電池は、隣接する電池セル1の電極端子3をバスバー6で連結して、互いに直列に接続している。電池セル1を直列に接続している組電池は、出力電圧を高くできる。ただし、組電池は、電池セルを並列に接続して電流容量を大きくすることもできる。
【0022】
(セパレータ2)
セパレータ2は、
図7に示すように、互いに隣接する電池セル1の間に挟着されて、隣接する電池セル1を一定の間隔に保持して絶縁する。このため、セパレータ2は、絶縁部材で構成され、隣接する電池セル1の外装缶1Aを絶縁する。このようなセパレータ2は、プラスチック等の絶縁材を成形して製作される。
図7に示すセパレータ2は、電池セル1の間に挟まれる挾着プレート部20に、電池セル1を冷却する空気などの冷却用の気体を流すための送風隙間13を設けている。送風隙間13のあるセパレータ2は、ここに空気などの冷却用の気体を強制送風して電池セル1を冷却する。ただし、セパレータは必ずしも送風隙間を設ける必要はない。それは、図示しないが、電池セルの底面を、冷媒などで強制冷却される冷却プレートに熱結合して強制的に冷却することができるからである。
【0023】
セパレータ2は、全体をプラスチックで一体的に成形している。このセパレータ2は、
図4と
図8に示すように、挟着される電池セル1の間に挟まれる挾着プレート部20の外周に、電池セル1の積層方向に突出する周壁22を設けている。このセパレータ2は、周壁22の内形を電池セル1の外形にほぼ等しくして、周壁22の内側に電池セル1を入れて、電池セル1に対して定位置に配置している。周壁22は、電池セル1の両側面の外側に位置する縦周壁22Aと、電池セル1の上面の外側に位置する上周壁22Bと、電池セル1の底面の外側に位置する底周壁22Cとからなる。底周壁22Cは、セパレータ2の底面側にあって、電池セル1の積層方向、すなわち水平方向に突出するように設けられている。
【0024】
セパレータ2の上部に設けている縦周壁22Aは、上端を上周壁22Bに直角に連結する形状としている。セパレータ2の下部に設けている縦周壁22Aは、セパレータ2の底面側で底周壁22Cに直角に連結された形状としている。縦周壁22Aは、電池セル1に
挟着される状態で、電池セル1の両側面の全幅をカバーする幅としている。この縦周壁22Aは、電池セル1の積層方向の突出量を、電池セル1の厚さの1/2として、電池セル1の全横幅をカバーする。縦周壁22Aは、セパレータ2の上端から下端まで連続しては設けられず、上部と下部とに設けて、その中間には、セパレータ2と電池セル1との間に冷却空気を強制送風する開口部24を設けている。
【0025】
上周壁22Bは、電池セル1の上面に設けている電極端子3や安全弁の開口部1Cを閉塞しないように、電極端子3や安全弁の開口部1Cを露出させる形状としている。さらに、
図8のセパレータ2は、その上部であって、上周壁22Bよりも下方に、電池セル1のセル温度を検出する温度センサ19を配置するための、ガイド凹部25を設けている。このガイド凹部25は、セパレータ2の上縁に対して斜めに開口している挿入部25Aと、この挿入部25Aに連続して、水平方向に伸びる配置部25Bとを設けている。このガイド凹部25は、温度センサ19を挿入部25Aから配置部25Bに挿入して、検温部19Aを配置部25Bにセットする。ガイド凹部25は、セパレータ2の上周壁22Bよりも下方に位置するので、
図9に示すように、配置部25Bにセットされる温度センサ19の検温部19Aは、電池セル1の上面から所定の深さに挿入される。配置部25Bが水平方向に伸びるので、ここにセットされる検温部19Aは、配置部25Bのどこにあっても、電池セル1の上面から同じ深さに挿入された位置にセットされる。このため、このガイド凹部25は、検温部19Aを正確に、電池セル1の同じ深さにセットできる。
【0026】
以上のセパレータ2は、温度センサ19の検温部19Aを電池セル1の上面よりも内部に挿入する位置にセットする。ただ、挿入部と配置部からなるガイド凹部でもって、温度センサの検温部を電池セルの上面にセットすることもできる。このセパレータは、配置部を電池セルの上面に配置して、ここにセットされる検温部を電池セルの上面に配置する。
【0027】
セパレータ2の底周壁22Cは、隣接するセパレータ2との間に、電池セル1を被覆している熱収縮チューブ10Aの溶着部10aを案内する底面開口26を設けている。このセパレータ2は、隣接するセパレータ2で電池セル1を挟んで、電池セル1の底面から突出している熱収縮チューブ10Aの溶着部10aを底面開口26に配置する。
図3の組電池の一部拡大底面斜視図に示すセパレータ2は、底面開口26の幅を中央部から両側に向かって次第に大きくしている。このセパレータ2は、電池セル1を周壁22の内側に配置して定位置に配置しながら、溶着部10aを底面開口26に案内して、セパレータ2で熱収縮チューブ10Aを挟まないようにできる。とくに、
図5に示す状態で熱収縮チューブ10Aで被覆される電池セル1は、その底面に形成される溶着部10aが、中央部よりも両側部において幅が広くなりやすい。したがって、底面開口26の幅を中央部から両側に向かって次第に大きくするセパレータ2は、この形状の溶着部10aを底面開口26に確実に案内して熱収縮チューブ10Aを挟まないようにできる。
【0028】
セパレータ2は、電池セル1に挟まれる挾着プレート部20に、電池セル1の上端部と対向する部分に沿って、電池セル1の中央部と対向する部分よりも薄く形成している薄肉部23を設けている。セパレータ2は、好ましくは、
図8に示すように、挾着プレート部20に、電池セル1の外周部と対向する部分に沿って薄肉部23を設けている。挾着プレート部20の薄肉部23を両側の電池セル1で挟む状態を
図7、
図10、及び
図11に示している。ただし、この図はエンドプレート4で挟着しない状態を示している。挾着プレート部20の上端部に設けられ、あるいは挾着プレート部20の外周部に設けている薄肉部23は、エンドプレート4で押圧されない状態で、これらの図に示すように、電池セル1の表面から離れた状態となる。
【0029】
図7の挾着プレート部20は、薄肉部23Aと中央部20Aとを段差状に形成して、薄肉部23を中央部20Aよりも薄くしている。薄肉部23Aと中央部20Aとの境界部分
は所定の曲率半径で折曲加工している。
図10の挾着プレート部20の薄肉部23Bは、電池セル1の外周縁に向かって次第に薄くしている。さらに、
図11の挾着プレート部20は、薄肉部23Cと中央部20Aとの境界部分を所定の曲率半径で折曲加工して段差を設けると共に、さらに段差部23xから電池セル1の外周縁に向かって次第に薄くしている。
【0030】
挾着プレート部20は、幅を120mm、高さを85mmとする電池セル1において、最適には、
図8に示すように、電池セル1の上端部に沿う薄肉部23の幅(W1)を約7mm、電池セル1の底面に沿う薄肉部23の幅(W2)を約6mm、電池セル1の両側に対向して配置する薄肉部23の幅(W3)を約10mmとし、薄肉部23の厚さ(D)を中央部20Aの厚さよりも0.3mm薄くする。ただし、薄肉部23の幅(W)は、たとえば2mm以上とし、好ましくは3mm以上とし、さらに好ましくは4mm以上とすることができる。さらに、薄肉部23の幅(W)は、たとえば30mm以下とし、好ましくは25mm以下とし、さらに好ましくは20mm以下とすることができる。さらに、薄肉部23は、その平均厚さと、電池セル1の中央部20Aと対向する部分の厚さとの差を、たとえば0.05mm以上とし、好ましくは0.1mm以上とし、さらに好ましくは0.2mm以上とすることができ、また、薄肉部23の平均厚さと、中央部20Aの厚さとの差を、たとえば1mm以下、好ましくは0.8mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下とすることができる。
【0031】
(エンドプレート4)
電池セル1をセパレータ2を介して交互に積層した電池ブロック9は、
図2に示すように、両側端面に位置するセパレータ2をエンドプレート4で押圧する状態に固定される。エンドプレート4は、硬質のプラスチックで製作され、あるいはアルミニウムやその合金などの金属で製作される。エンドプレート4は、広い面積で電池セル1を挟着するために、その外形を電池セル1とほぼ同じ四角形としている。四角形のエンドプレート4は、電池セル1と同じ大きさに、あるいは電池セル1よりもわずかに大きくしている。プラスチック製のエンドプレート4は、直接に電池セル1に積層され、金属製のエンドプレートは、絶縁材を介して電池セル1に積層される。
【0032】
(バインドバー5)
エンドプレート4には、バインドバー5の端部が連結される。バインドバー5は、止ネジ7を介してエンドプレート4に連結している。
図2のバインドバー5は、止ネジ7でエンドプレート4に固定しているが、バインドバーの端部を内側に折曲してエンドプレートに連結し、あるいはまた、端部をかしめてエンドプレートに連結することもできる。
【0033】
バインドバー5は、所定の厚さの金属板を所定の幅に加工して製作される。バインドバー5は、端部をエンドプレート4に連結して、一対のエンドプレート4を連結して、その間に電池セル1を圧縮状態に保持する。バインドバー5は、一対のエンドプレート4を所定の寸法に固定して、その間に積層される電池セル1を所定の圧縮状態に固定する。電池セル1の膨張圧力でバインドバー5が伸びると、電池セル1の膨張を阻止できない。したがって、バインドバー5には、電池セル1の膨張圧で伸びない強度の金属板、たとえばSUS304等のステンレス板や鋼板等の金属板を十分な強度を有する幅と厚さに加工して製作される。さらに、バインドバーは、金属板を溝形に加工することもできる。この形状のバインドバーは、曲げ強度を強くできるので、幅を狭くしながら、積層する電池セルをしっかりと所定の圧縮状態に固定できる特長がある。バインドバー5は、端部に折曲部5Aを設けて、折曲部5Aをエンドプレート4に連結する。折曲部5Aは、止ネジ7の貫通孔を設けて、ここに挿入される止ネジ7を介してエンドプレート4に固定される。
【0034】
図1の組電池は、左右の両側に一対の送風ダクト16を設けている。送風ダクト16は
、流入ダクト16Aと排出ダクト16Bからなる。流入ダクト16Aと排出ダクト16Bは、互いに反対側に設けられて、冷却気体を流入ダクト16Aから送風隙間13に、送風隙間13から排出ダクト16Bに送風して、電池セル1を冷却する。流入ダクト16Aと排出ダクト16Bには複数の送風隙間13が並列に連結される。したがって、流入ダクト16Aに送風される冷却気体は、複数の送風隙間13に分岐して送風され、送風ダクト16から排出ダクト16Bに送風される。図の組電池は、流入ダクト16Aと排出ダクト16Bを両側に設けているので、送風隙間13を水平方向に伸びるように設けている。冷却気体は、送風隙間13に水平方向に送風されて、電池セル1を冷却する。ただし、組電池は、送風隙間を上下方向に伸びるように設けて、一対の送風ダクトを組電池の上下の対向面に設けることもできる。
【0035】
以上の組電池は、車両に搭載されて車両を走行させるモータに電力を供給する電源装置に使用される。この組電池を備える電源装置は、電池セル1の温度を検出する複数の温度センサ19と、この温度センサ19で検出される電池セル1の温度で、送風ダクト16を介して各々の送風隙間13に分岐して冷却気体を送風する強制送風機17と、温度センサ19で検出される電池セル1の温度で電池の電流を制御する制御回路(図示せず)とを備える。
【0036】
強制送風機17は、送風ダクト16に連結される。電源装置は、たとえば、流入ダクト16Aに強制送風機17を連結して、強制送風機17から流入ダクト16Aに冷却気体を強制送風する。この電源装置は、強制送風機17→流入ダクト16A→送風隙間13→排出ダクト16Bに冷却気体を送風して、電池セル1を冷却する。ただし、強制送風機は、排出ダクトに連結することもできる。この強制送風機は、排出ダクトから冷却気体を強制的に吸入して排気する。したがって、この電源装置は、冷却気体を、流入ダクト→送風隙間→排出ダクト→強制送風機に送風して、電池セルを冷却する。送風される冷却気体は空気であるが、空気に代わって窒素や炭酸ガスなどの不活性ガスを送風することもできる。冷却気体を不活性ガスとする電源装置は、冷却気体を循環して、電池セルを冷却する。循環される不活性ガスは、流路の途中に配設している冷却用の熱交換器で冷却されて、流入ダクト→送風隙間→排出ダクト→強制送風機に循環されて電池セルを冷却する。
【0037】
強制送風機17は、モータで回転されるファン17Aを備え、モータの運転は制御回路に制御される。制御回路は、温度センサ19の信号で強制送風機17のモータの運転を制御する。制御回路は、温度センサ19が検出する最高温度が設定温度よりも高くなると、強制送風機17のモータを運転して、送風隙間に冷却気体を強制送風する。最高温度が設定温度よりも低くなると、モータの運転を停止する。さらに、制御回路は、温度センサ19の検出温度によって、モータに供給する電力をコントロールして、電池セル1を所定の温度範囲に制御することもできる。たとえば、温度センサ19の検出温度が高くなるとモータに供給する電力を次第に大きくして、強制送風機17が送風する風量を多くし、検出温度が低くなるとモータの供給電力を小さくして、設定された温度範囲に制御することもできる。
【0038】
図12に、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッドカーに電源装置90を搭載する例を示す。この図に示す電源装置90を搭載した車両HVは、車両HVを走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、モータ93に電力を供給する組電池を備える電源装置90と、組電池の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置90は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電源装置90の電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、たとえば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電源装置90から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて
、電源装置90の電池を充電する。
【0039】
また、
図13に、モータのみで走行する電気自動車に電源装置90を搭載する例を示す。この図に示す電源装置90を搭載した車両EVは、車両EVを走行させる走行用のモータ93と、このモータ93に電力を供給する組電池を備える電源装置90と、この電源装置90の電池を充電する発電機94とを備えている。モータ93は、電源装置90から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置90の電池を充電する。
【符号の説明】
【0040】
1…電池セル、1A…外装缶、1B…封口板、1C…開口部、2…セパレータ、3…電極端子、3A…止ネジ、4…エンドプレート、5…バインドバー、5A…折曲部、6…バスバー、7…止ネジ、9…電池ブロック、10…絶縁シート、10A…熱収縮チューブ、10a…溶着部、12…ナット、13…送風隙間、14…端子ホルダ、16…送風ダクト、16A…流入ダクト、16B…排出ダクト、17…強制送風機、17A…ファン、19…温度センサ、19A…検温部、20…挾着プレート部、20A…中央部、22…周壁、22A…縦周壁、22B…上周壁、22C…底周壁、23…薄肉部、23A…薄肉部、23B…薄肉部、23C…薄肉部、23x…段差部、24…開口部、25…ガイド凹部、25A…挿入部、25B…配置部、26…底面開口、90…電源装置、93…モータ、94…発電機、95…インバータ、96…エンジン、HV…車両、EV…車両