(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032372
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】パージ装置及びパージ方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20161121BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
H01L21/68 A
G03F7/20 521
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-538982(P2015-538982)
(86)(22)【出願日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】JP2014069018
(87)【国際公開番号】WO2015045582
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2016年3月3日
(31)【優先権主張番号】特願2013-199589(P2013-199589)
(32)【優先日】2013年9月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】村田 正直
(72)【発明者】
【氏名】徳本 光哉
(72)【発明者】
【氏名】山路 孝
(72)【発明者】
【氏名】安達 成人
【審査官】
山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−326162(JP,A)
【文献】
特開平09−153437(JP,A)
【文献】
特開平10−030798(JP,A)
【文献】
特開2005−005575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パージ装置の内部スペースへ外部から供給される複数の物品を、パージガスによりパージするパージ装置であって、
パージ装置の内部スペースを、作業エリアと非作業エリアとに分割するように、作業者が作業するための作業エリアを設定する設定部と、
前記作業エリアでの物品へのパージを停止し、非作業エリアでの物品へのパージを続行するように、パージガスの供給を制御するパージガス制御機構と、
作業エリア内の酸素濃度を測定する酸素濃度測定手段、とを備え、
かつ前記パージガス制御機構は、作業エリア内の酸素濃度が所定値以下に低下すると、非作業エリアでの物品へのパージを停止するように構成されていることを特徴とする、パージ装置。
【請求項2】
前記酸素濃度測定手段は、作業者が携帯自在な酸素濃度センサ、もしくは酸素濃度センサと酸素濃度センサに接続されかつ作業者が携帯自在なサンプリングチューブとから成ることを特徴とする、請求項1のパージ装置。
【請求項3】
作業エリアと非作業エリアとを仕切り、かつ対象装置の内部スペース内に設置と取り外しとが自在なパーティションをさらに備えたことを特徴とする、請求項1のパージ装置。
【請求項4】
前記パーティションに、作業エリア側の酸素濃度を測定するように、前記酸素濃度測定手段が取り付けられていることを特徴とする、請求項3のパージ装置。
【請求項5】
パージ装置はパージストッカで、内部スペースへ作業者が出入りするためのドアを備え、
前記内部スペースには、水平方向と鉛直方向とに沿って複数の間口が配列されている棚と、物品を搬送する搬送装置とが設けられ、
棚の間口は、パージガスとして窒素ガスを物品の内部へ供給するノズルを備え、
前記内部スペースは天井部からクリーンエアが供給されるように構成されて、内部スペースの酸素濃度は、物品から排気された窒素ガスの流れと、天井部からのクリーンエアの流れとで定まり、
前記設定部は、鉛直方向の間口の列単位で、かつ前記ドアから作業者が作業を行う範囲までを連続してカバーするように、作業エリアを設定自在に構成されていることを特徴とする、請求項1のパージ装置。
【請求項6】
前記パージガス制御機構は、前記酸素センサと直接に通信する通信部を備えている、ことを特徴とする、請求項5のパージ装置。
【請求項7】
前記酸素センサを複数備え、
前記通信部は複数の酸素センサと直接に通信するように構成され、
前記パージガス制御機構は、前記通信部からの、複数の酸素センサの信号を組み合わせて、作業エリア内の酸素濃度が低下したことを検出する論理ユニットを備えている、ことを特徴とする、請求項6のパージ装置。
【請求項8】
パージ装置の内部スペースへ外部から供給される複数の物品を、パージ装置を用い、パージガスによりパージするパージ方法であって、
パージ装置の内部スペースを、作業エリアと非作業エリアとに分割するように、作業者が作業するための作業エリアを設定する設定ステップと、
前記作業エリアでの物品へのパージを停止し、非作業エリアでの物品へのパージを続行するように、パージガスの供給を、パージ装置により、制御するステップと、
作業エリア内の酸素濃度を測定するステップと、
かつ前記パージガス制御機構は、作業エリア内の酸素濃度が所定値以下に低下すると、パージ装置により、非作業エリアでの物品へのパージを停止するステップ、とを実行することを特徴とする、パージ方法。
【請求項9】
パージ装置はパージストッカで、内部スペースへ作業者が出入りするためのドアを備え、
前記内部スペースには、水平方向と鉛直方向とに沿って複数の間口が配列されている棚と、物品を搬送する搬送装置とが設けられ、
棚の間口は、パージガスとして窒素ガスを物品の内部へ供給するノズルを備え、
前記内部スペースは天井部からクリーンエアが供給されるように構成されて、内部スペースの酸素濃度は、物品から排気された窒素ガスの流れと、天井部からのクリーンエアの流れとで定まり、
前記設定ステップでは、鉛直方向の間口の列単位で、かつ前記ドアから作業者が作業を行う範囲までを連続してカバーするように作業エリアを設定する、ことを特徴とする、請求項8のパージ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はストッカ等で用いるパージ装置とパージ方法に関し、特に対象装置内での酸素濃度の監視に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体工場では、FOUP等の容器に半導体ウェハー、レチクル等の物品を収納し、この容器をストッカに保管することが行われている。ストッカには、窒素ガス等のパージガスによるパージを行うパージストッカが有る(特許文献1:特開2012-248785)。パージストッカでは、ストッカ内の個々の間口にパージガスのノズルが設けられ、FOUP等の容器のガス導入孔にノズルを接触させ、パージガスを容器内に吹き込む。吹き込まれたパージガスは容器からパージストッカの内部スペース等に排気される。パージストッカには、天井部からクリーンエアが吹き込まれ、床下等から排気されるので、パージストッカの内部スペースの酸素濃度は、容器からのパージガスの放出と、天井部からの空気流との兼ね合いで定まる。
【0003】
パージ装置に関する先行技術を示す。特許文献2(WO00/31780)は不活性ガスと清浄乾燥空気の2種類のパージガスを供給できるようにし、メンテナンス等で作業者がパージ対象の装置内に入る場合、パージガスを清浄乾燥空気に切り換え、常時は不活性ガスでパージすることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-248785
【特許文献2】WO00/31780
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メンテナンス等のために、パージ対象装置内へ作業者が入る場合に、パージを全面的に停止すると非効率である。かといってパージを継続したままで、酸素濃度センサに頼ることにも問題がある。第1に、対象装置内はパージガスの流れとクリーンエアの流れが混在しており、酸素濃度の変動が激しい。このため信頼性のある検出が難しい。第2に、パージガスのため、酸素濃度の平均値が低下している。従って酸素濃度の低下への許容幅が小さい。
【0006】
この発明の課題は、作業者の安全を確保しつつ、かつパージを停止するエリアを最小限に留めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、パージ装置の内部スペースへ外部から供給される複数の物品を、パージガスによりパージするパージ装置であって、
パージ装置の内部スペースを、作業エリアと非作業エリアとに分割するように、作業者が作業するための作業エリアを設定する設定部と、
前記作業エリアでの物品へのパージを停止し、非作業エリアでの物品へのパージを続行するように、パージガスの供給を制御するパージガス制御機構と、
作業エリア内の酸素濃度を測定する酸素濃度測定手段、とを備え、
かつ前記パージガス制御機構は、作業エリア内の酸素濃度が所定値以下に低下すると、非作業エリアでの物品へのパージを停止するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
またこの発明は、パージ装置の内部スペースへ外部から供給される複数の物品を、パージ装置を用い、パージガスによりパージするパージ方法であって、
パージ装置の内部スペースを、作業エリアと非作業エリアとに分割するように、作業者が作業するための作業エリアを設定する設定ステップと、
前記作業エリアでの物品へのパージを停止し、非作業エリアでの物品へのパージを続行するように、パージガスの供給を、パージ装置により、制御するステップと、
作業エリア内の酸素濃度を測定するステップと、
作業エリア内の酸素濃度が所定値以下に低下すると、パージ装置により、非作業エリアでの物品へのパージを停止するステップ、とを実行することを特徴とする。
【0009】
この発明では作業エリアでの物品へのパージを停止し、非作業エリアでの物品へのパージを停止しないので、パージを停止する範囲が狭くなる。また作業エリアでは物品へのパージを停止するので、酸素濃度を高く保つことができる。仮に作業エリアの酸素濃度が低下した場合、非作業エリアでの物品へのパージを停止する。するとパージガスの作業エリアへの混入を解消し、酸素濃度を高めることができる。なおこの明細書において、パージ装置に関する記載はそのままパージ方法にも当てはまる。大型のパージストッカの場合、非作業エリアを、作業エリアに隣接するエリアと、隣接しないエリア等にさらに分割しても良い。この場合、作業エリアの酸素濃度の低下に応じて、最初に隣接するエリアでの物品へのパージを停止し、なおも作業エリアの酸素濃度が回復しない場合に、隣接しないエリアでも物品へのパージを停止するようにしても良い。
【0010】
好ましくは、前記酸素濃度測定手段は、作業者が携帯自在な酸素濃度センサ、もしくは酸素濃度センサと酸素濃度センサに接続されかつ作業者が携帯自在なサンプリングチューブとから成る。作業者の位置での酸素濃度を測定するので、酸素濃度検出の信頼性が高い。なおサンプリングチューブに接続する酸素濃度センサは、パージ対象装置の内部に置かれても、外部に置かれても良い。またサンプリングチューブから雰囲気を吸引するためのポンプをさらに設けることが好ましい。
【0011】
また好ましくは、作業エリアと非作業エリアとを仕切り、かつ対象装置の内部スペース内に設置と取り外しとが自在なパーティションをさらに備え、前記パーティションに、作業エリア側の酸素濃度を測定するように、前記酸素濃度測定手段が取り付けられている。好ましくは、前記パーティションの作業エリア側に前記酸素濃度測定手段が取り付けられている。パーティションは作業エリアと非作業エリアの境界にあり、パージガスの影響を受けやすい位置にある。この位置で酸素濃度を測定することにより、作業者の周囲で酸素濃度が低下する前に検出できる。なおパーティションを気流を整流可能なように構成すると、非作業エリアから作業エリアに混入するパージガスを少なくすることができる。また酸素濃度測定手段をパーティションに取り付けると、作業者が携帯する必要がなく、作業が容易になる。またストッカがスタッカークレーン等の搬送装置を備えている場合、パーティションは搬送装置の進入限界ともなる。
【0012】
実施例ではパージストッカを説明するが、EFEM(Equipment Front End Module)、半導体の処理装置、及び容器に収容せずに裸の半導体ウェハ、裸のレチクル等を保管する保管装置、等にもこの発明を適用できる。この発明を搬送装置を複数台備える大型のパージストッカに適用すると、パージストッカの内部スペースの一部のみで、パージを停止すれば良いので、特に効率的である。
【0013】
パージ装置は例えばパージストッカで、内部スペースへ作業者が出入りするためのドアを備えている。また前記内部スペースには、水平方向と鉛直方向とに沿って複数の間口が配列されている棚と、物品を搬送する搬送装置とが設けられ、棚の間口は、パージガスとして窒素ガスを物品の内部へ供給するノズルを備えている。そして前記内部スペースは天井部からクリーンエアが供給されるように構成されて、内部スペースの酸素濃度は、物品から排気された窒素ガスの流れと、天井部からのクリーンエアの流れとで定まる。前記設定部は、鉛直方向の間口の列単位で、かつ前記ドアから作業者が作業を行う範囲までを連続してカバーするように、作業エリアを設定自在に構成され、かつプログラムされている。このようにすると、ドアから作業者がメンテナンス等の作業を行う範囲までを連続して作業エリアとし、作業エリア内の酸素濃度を高めると共に酸素濃度を測定し、安全に作業することができる。
【0014】
またパージガス制御機構が酸素センサと直接に通信する通信部を備えていると、酸素の濃度の低下時に確実に非作業エリアへのパージガスの供給を停止できる。さらに、酸素センサを複数備えて、通信部は複数の酸素センサと直接に通信し、かつパージガス制御機構は、通信部からの複数の酸素センサの信号を組み合わせて、作業エリア内の酸素濃度が低下したことを検出する論理ユニットを備えていることが好ましい。このようにすると、酸素濃度センサの信号のand演算あるいはor演算等により、的確に酸素濃度の低下を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例のパージ装置を備えるストッカを模式的に示す図
【
図4】サンプリングチューブと酸素濃度センサとを示す図
【
図6】入室の許可アルゴリズムを示すフローチャート
【
図7】パージの制御アルゴリズムを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。この発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づき、明細書の記載とこの分野での周知技術とを参酌し、当業者の理解に従って定められるべきである。
【実施例】
【0017】
図1〜
図7に、実施例のパージストッカ2とパージの制御とを示す。パージストッカ2は、クリーンルーム内に設置され、天井部からクリーンエアのダウンフローが吹き込んでいる。なおパージストッカ2の天井部に、ファンフィルタユニットを設けても良い。パージストッカ2の筐体とその内部をストッカ本体4とする。6はその内部スペースで、間口8にFOUP等の物品10を保管し、スタッカークレーン16等の搬送装置が動作し、作業者が入ってメンテナンス等の作業を行うスペースである。複数の間口8は棚を構成し、各間口に窒素ガス等のパージガスの配管が施され、物品10内をパージする。天井部からのダウンフローと、物品10から放出されるパージガスとのバランスで、内部スペース6の酸素濃度が定まり、これらのガスはストッカ本体4の下部等から排気される。なお複数の間口8は水平方向と鉛直方向とに配列されて棚を構成する。FOUP等の物品10は、半導体ウェハー等の容器であり、パージガスの導入孔を備えて、間口に設けられているノズルからパージガスを受け入れる。
【0018】
内部スペース6は作業エリア12と非作業エリア14とに分割され、エリア12,14の境界は実施例では鉛直である。高さ方向に複数の層を備えるパージストッカの場合、高さ方向の層に基づいて作業エリアと非作業エリアとに分割しても良い。間口8を高さ方向に配列したものを、棚の列とすると、作業エリア12は例えば列を単位とし、作業者が出入りするためのドア20から作業を行う範囲までをカバーするように設定する。
【0019】
スタッカークレーン16は、レール17にガイドされて棚に沿って走行し、昇降台18をマスト19に沿って昇降させ、間口8に対し物品10を搬出入する。パージストッカ2内に設ける搬送装置の種類は、スタッカークレーン16に限らず、任意である。
【0020】
22はストッカコントローラで、スタッカークレーン16を制御すると共に、パージストッカ2の在庫及び入出庫を管理し、図示しない上位コントローラ等と通信する。24はパージコントローラで、パージを制御する。26はパージガス制御盤で、パージガスの制御弁等を備える盤であり、パージコントローラ24とパージガス制御盤26とを一体にしても良い。またパージコントローラ24はストッカコントローラ22と一体にしても良い。28はパージガスパイプで、窒素ガス等のパージガスをパージガス制御盤26へ供給する。
【0021】
30はパーティションで、作業エリア12と非作業エリア14との境界に置かれ、脚31により支持され、移動自在である。パーティション30が置かれる位置は、スタッカークレーン16の進入範囲の限界でもある。
【0022】
図2に示すように、パージ装置はパージコントローラ24と、パージガス制御盤26,及び、間口毎に設けられたマスフローコントローラ38とノズル40、及びこれらの間の配管から成る。パージガス制御盤26は、手動弁32と、下流側の圧力を安定化するレギュレータ34、及び制御弁36を備え、制御弁36は電磁弁でも空圧弁でも良い。通信部42は酸素濃度センサ54から作業エリア内の酸素濃度を受信し、所定値以下の場合、制御弁36を閉じて、パージストッカ全体へのパージガスの供給を停止する。通信部42と酸素濃度センサ54との通信は、有線通信でも、光通信、無線通信、赤外線通信等でも良い。
【0023】
酸素濃度センサ54が複数有る場合、例えばパーティションに複数の酸素濃度センサが取り付けられている場合、複数の酸素濃度センサの信号へのand演算あるいはor演算を行う、もしくは酸素濃度センサの信号へ平均化、微分等の信号処理を行うため、論理ユニット44を設けても良い。制御弁36はパージストッカ全体に対する弁で、作業エリアのパージの停止はマスフローコントローラ38により行うが、間口の列毎に制御弁を設けて、この制御弁により作業エリアへのパージの停止、及び非作業エリアのパージの停止を行っても良い。
【0024】
パージコントローラ24は、タッチパネル46と、キーボード48とを備え、これらの入力手段から作業エリアの範囲を入力し、作業エリア設定部50が作業エリアの設定に関する処理を行う。即ち、作業エリア設定部50は、入出力52を介し、作業エリア内のマスフローコントローラ38の目標流量を0にし、ストッカコントローラに作業エリアの範囲を通知する。これに対して、ストッカコントローラは、作業エリア内へのスタッカークレーンの進入を禁止する。
【0025】
図3は、携帯が自在な酸素濃度センサ54を示す。センサ部55はガルバニー電池式等のセンサを収容し、表示部56は酸素濃度を表示すると共に、酸素濃度が所定値以下に低下した際にブザー、音声、警告灯の点滅等で警報する。通信部58は、前記の通信部42へ酸素濃度、もしくは酸素濃度が許容範囲内か否か等を通信する。そして作業者は、胸ポケット等に酸素濃度センサ54をセットして、作業エリア内で作業する。
【0026】
図4は、作業者が身につけるサンプリングチューブ62を示す。60はノズルで、雰囲気を吸引し、サンプリングチューブ62はフレキシブルで、エアポンプ64によりガスを吸引し、酸素濃度センサ54で酸素濃度を測定し、前記の制御弁側の通信部と通信する。この場合、酸素濃度センサは携帯用である必要はなく、ストッカ本体の外部に置かれても、ストッカ本体の内部スペースに置かれても良い。
【0027】
図5はパーティション30を示し、パーティション30は柵状で気密性のないものでも、気密性のシート状のものでも良い。いずれの場合も整流作用があり、作業エリア12へ非作業エリア14からパージガスが流れ込むことを制限する。パーティション30はスタッカークレーンが進入しない範囲を示し、作業者が持ち運んで設置と移動が自在で、パーティション30の作業エリア12側に、1個あるいは複数個の酸素濃度センサ54を取り付けて、制御弁側の通信部と通信する。
【0028】
酸素濃度センサ54が複数有り、気流の揺らぎが著しい場合は、酸素濃度が所定値以下に低下したとの複数の酸素濃度センサ54からの信号(and信号)により、非作業エリアのパージを停止する。気流の揺らぎが少ない場合は、酸素濃度が所定値以下に低下したとのいずれかの酸素濃度センサ54からの信号(or信号)により、非作業エリアのパージを停止する。
【0029】
図6は、ストッカ本体内への立ち入り(入室)の許可アルゴリズムを示す。ストッカ内(内部スペース)の酸素濃度を、ストッカの内部スペースへ酸素濃度センサを持ち込むこと、ストッカの内部スペースへサンプリングチューブを差し込むこと、あるいはストッカの内部スペースに固定の酸素濃度センサにより、測定する(ステップS1)。酸素濃度が許容範囲内であれば入室可、許容範囲よりも低ければ入室不可とする(ステップS2)。
【0030】
図7は、作業者が内部スペースへ立ち入る際の、パージ制御アルゴリズムを示す。ステップS11で、作業エリアを設定し、作業エリアでのパージを停止する。例えばこの後に、
図6の処理を実行し、作業者が入室する(ステップS12)。なお、このとき、非作業エリアでのパージを一時的に停止させ、作業者が内部スペースに入った後、非作業エリアでのパージを再開させるようにしても良い。作業エリアでの酸素濃度を監視し(ステップS13)、許容値以下に酸素濃度が低下すると(ステップS14)、非作業エリアでもパージを停止する(ステップS15)。パージの停止後は、酸素濃度が正常値に戻ると、パージを再開しても良く、あるいは作業者が退出するまでパージを停止し続けても良い。
【0031】
実施例には以下の特徴がある。
1) 作業エリアのみでのパージを停止するので、パージを停止する範囲が狭い。
2) 作業エリアではパージを停止しているので、酸素濃度は低下しにくい。また仮に作業エリアの酸素濃度が低下すると、非作業エリアでのパージを停止して、酸素濃度を回復させる。
3) 酸素濃度センサと制御弁側の通信部とが、コントローラ等を介さず直接通信するので、酸素濃度の低下時に確実にパージを停止できる。
4) 作業者が酸素濃度センサあるいはサンプリングチューブを携帯すると、作業者の位置での酸素濃度を測定できる。
5) 作業エリアと非作業エリアとの境界にあるパーティションに酸素濃度センサを取り付けると、酸素濃度の低下を速やかに検出でき、かつ作業者が作業エリアに酸素濃度センサを携帯する必要がない。
【符号の説明】
【0032】
2 パージストッカ 4 ストッカ本体 6 内部スペース
8 間口 10 物品 12 作業エリア 14 非作業エリア
16 スタッカークレーン 17 レール 18 昇降台
19 マスト 20 ドア 22 ストッカコントローラ
24 パージコントローラ 26 パージガス制御盤
28 パージガスパイプ 30 パーティション 31 脚
32 手動弁 34 レギュレータ 36 制御弁
38 マスフローコントローラ 40 ノズル 42 通信部
44 論理ユニット 46 タッチパネル 48 キーボード
50 作業エリア設定部 52 入出力 54 酸素濃度センサ
55 センサ部 56 表示部 58 通信部 60 ノズル
62 サンプリングチューブ 64 エアポンプ