特許第6032384号(P6032384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032384
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】水晶振動装置
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/32 20060101AFI20161121BHJP
   H03H 9/02 20060101ALI20161121BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   H03B5/32 H
   H03H9/02 K
   H01L23/12 501T
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-514735(P2016-514735)
(86)(22)【出願日】2015年1月20日
(86)【国際出願番号】JP2015051345
(87)【国際公開番号】WO2015162948
(87)【国際公開日】20151029
【審査請求日】2016年5月30日
(31)【優先権主張番号】特願2014-90843(P2014-90843)
(32)【優先日】2014年4月25日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 亘
(72)【発明者】
【氏名】角谷 利行
(72)【発明者】
【氏名】高山 賢司
【審査官】 橋本 和志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−49764(JP,A)
【文献】 特開2007−235284(JP,A)
【文献】 特開2006−50529(JP,A)
【文献】 特開2009−194652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03B 5/32
H01L 23/12
H03H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面、下面及び側面を有する実装基板と、
前記実装基板の下面に設けられている端子と、
前記端子と電気的に接続されており、かつ前記実装基板の側面を経て上面に至っている接続電極と、
前記実装基板の上面に設けられており、前記接続電極と電気的に接続されている電極ランドと、
前記電極ランド上に設けられている導電性接合材と、
前記導電性接合材上に設けられており、かつ上面及び下面を有する第1のパッケージ材と、
前記第1のパッケージ材の下面に設けられており、前記導電性接合材を介して前記電極ランドと電気的に接続されている端子電極と、
前記第1のパッケージ材の上面に設けられている水晶振動子と、
前記第1のパッケージ材の下面に搭載されている感温性素子とを備えており、
前記接続電極が第1,第2の部分を有し、前記第1の部分は、前記実装基板の上面に位置しており、かつ前記電極ランドと連なっており、前記第2の部分は、前記実装基板の側面上に位置しており、かつ前記第1の部分及び前記端子に連なっており、平面視において、前記接続電極の前記第1の部分が前記電極ランドに向かって延びる方向を第1の方向とし、前記第1の方向に直交する方向を第2の方向とすると、前記接続電極の前記第1の部分の一部の前記第2の方向に沿う寸法が、前記接続電極の残りの部分の前記第2の方向に沿う寸法よりも小さく、
前記実装基板の上面において、少なくとも前記接続電極の前記第1の部分の一部を前記第2の方向に横断するようにレジスト絶縁材が設けられている、水晶振動装置。
【請求項2】
前記実装基板に開口部が設けられており、前記感温性素子が前記開口部内に位置している、請求項1に記載の水晶振動装置。
【請求項3】
前記端子が第1〜第4の端子を有し、前記接続電極が第1〜第4の接続電極を有し、前記電極ランドが第1〜第4の電極ランドを有し、前記端子電極が第1〜第4の端子電極を有し、前記第1〜第4の端子と前記第1〜第4の接続電極とがそれぞれ電気的に接続されており、前記第1〜第4の接続電極と前記第1〜第4の電極ランドとがそれぞれ電気的に接続されており、前記第1〜第4の電極ランドと前記第1〜第4の端子電極とがそれぞれ電気的に接続されている、請求項1または2に記載の水晶振動装置。
【請求項4】
前記実装基板が矩形板状の形状を有し、前記第1〜第4の接続電極の前記第2の部分がそれぞれ前記実装基板のコーナー部に位置する、請求項に記載の水晶振動装置。
【請求項5】
前記第1のパッケージ材の上面に設けられた第2のパッケージ材をさらに備え、前記第1のパッケージ材と前記第2のパッケージ材とにより形成された中空空間の内部に前記水晶振動子が設けられている、請求項1〜のいずれか1項に記載の水晶振動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶振動子がパッケージ材上に実装されており、該パッケージ材の下面に感温性素子が実装されている、水晶振動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水晶振動子を用いた水晶振動装置が発振器などに広く用いられている。
【0003】
周囲の電子部品などから端子などを経てICチップに熱が伝導されることにより、温度センサを有するICチップの温度が急激に変化することがあった。それによって、水晶振動子の周波数にずれが生じることがあった。
【0004】
下記の特許文献1では、端子からICチップを搭載する電極ランドまでの配線パターンの幅が、他の配線パターンの幅よりも大きくされている。
【0005】
下記の特許文献2では、端子からICチップを搭載する電極ランドまでの熱の伝導経路の距離と端子から水晶振動子までの熱の伝導経路の距離とが等しくされている。
【0006】
下記の特許文献3では、端子からICチップまでの熱の伝導経路及び端子から圧電振動子までの熱の伝導経路が長くされている。また、端子から圧電振動子までの熱の伝導経路よりも端子からICチップまでの熱の伝導経路のほうが長くされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−74774号公報
【特許文献2】特開2013−102315号公報
【特許文献3】特開2009−105199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のように、端子からICチップを搭載する電極ランドまでの配線パターンの幅を大きくすると、熱がICチップに到達する時間が短くなる。それによって、ICチップの温度が急激に変化することがあった。
【0009】
特許文献2では、端子からICチップに熱が到達する時間と端子から水晶振動子に熱が到達する時間とが等しいとされている。しかしながら、端子からICチップに熱が到達し難い構成とはされておらず、ICチップの温度が急激に変化することがあった。
【0010】
特許文献3では、端子からICチップまでの熱の伝導経路を長くすることにより、熱がICチップに到達する時間が長くなるとされている。しかしながら、熱の伝導経路の長さ以外の構造は、特許文献3には明記されていない。
【0011】
本発明の目的は、感温性素子及び水晶振動子に熱が伝わり難い、水晶振動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る水晶振動装置は、上面、下面及び側面を有する実装基板と、上記実装基板の下面に設けられている端子と、上記端子と電気的に接続されており、かつ上記実装基板の側面を経て上面に至っている接続電極と、上記実装基板の上面に設けられており、上記接続電極と電気的に接続されている電極ランドと、上記電極ランド上に設けられている導電性接合材と、上記導電性接合材上に設けられており、かつ上面及び下面を有する第1のパッケージ材と、上記第1のパッケージ材の下面に設けられており、上記導電性接合材を介して上記電極ランドと電気的に接続されている端子電極と、上記第1のパッケージ材の上面に設けられている水晶振動子と、上記第1のパッケージ材の下面に搭載されている感温性素子とを備える。上記接続電極は第1,第2の部分を有する。上記第1の部分は、上記実装基板の上面に位置しており、かつ上記電極ランドと連なっている。上記第2の部分は、上記実装基板の側面上に位置しており、かつ上記第1の部分及び上記端子に連なっている。平面視において、上記接続電極の上記第1の部分が上記電極ランドに向かって延びる方向を第1の方向とし、上記第1の方向に直交する方向を第2の方向とすると、上記接続電極の上記第1の部分の一部の上記第2の方向に沿う寸法は、上記接続電極の残りの部分の上記第2の方向に沿う寸法よりも小さい。
【0013】
本発明に係る水晶振動装置のある特定の局面では、上記実装基板の上面において、少なくとも上記接続電極の上記第1の部分の一部を上記第2の方向に横断するようにレジスト絶縁材が設けられている。
【0014】
本発明に係る水晶振動装置の他の特定の局面では、上記実装基板に開口部が設けられている。上記感温性素子は上記開口部内に位置している。
【0015】
本発明に係る水晶振動装置のさらに他の特定の局面では、上記端子は第1〜第4の端子を有する。上記接続電極は第1〜第4の接続電極を有する。上記電極ランドは第1〜第4の電極ランドを有する。上記端子電極は第1〜第4の端子電極を有する。上記第1〜第4の端子と上記第1〜第4の接続電極とはそれぞれ電気的に接続されている。上記第1〜第4の接続電極と上記第1〜第4の電極ランドとはそれぞれ電気的に接続されている。上記第1〜第4の電極ランドと上記第1〜第4の端子電極とはそれぞれ電気的に接続されている。
【0016】
本発明に係る水晶振動装置の別の特定の局面では、上記実装基板は矩形板状の形状を有する。上記第1〜第4の接続電極の上記第2の部分はそれぞれ上記実装基板のコーナー部に位置する。
【0017】
本発明に係る水晶振動装置のさらに別の特定の局面では、上記第1のパッケージ材の上面に設けられた第2のパッケージ材をさらに備える。上記第1のパッケージ材と上記第2のパッケージ材とにより形成された中空空間の内部に上記水晶振動子が設けられている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、感温性素子に熱が伝わり難い、水晶振動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る水晶振動装置の正面断面図である。
図2図2は、本発明の第1の実施形態における感温性素子及び実装基板の斜視図である。
図3図3(a)は、本発明の第1の実施形態における水晶振動子の上面の電極形状を示す平面図であり、図3(b)は、本発明の第1の実施形態における水晶振動子を透視して下面の電極形状を示す平面図である。
図4図4は、本発明の第1の実施形態における実装基板の平面図である。
図5図5は、本発明の第2の実施形態における実装基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る水晶振動装置の正面断面図である。図2は、本発明の第1の実施形態における感温性素子及び実装基板の斜視図である。
【0022】
水晶振動装置1は、実装基板2を有する。実装基板2は矩形板状の形状を有する。実装基板2は、上面2a、下面2b及び側面を有する。また、実装基板2は中央部に開口部2cを有する。
【0023】
また、本実施形態では、実装基板2はコーナー部に第1〜第4のキャスタレーション2d,2e,2f,2gを有する。なお、実装基板2は、キャスタレーションを有していなくてもよい。
【0024】
本実施形態では、実装基板2はガラスエポキシ基板である。なお、実装基板2を構成する材料は特に限定されない。
【0025】
実装基板2の下面2bには第1,第2の端子3a,3b及び第3,第4の端子が設けられている。また、実装基板2には、第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dが設けられている。第1の接続電極4aと第1の端子3aとは電気的に接続されている。同様に、第2〜第4の接続電極4b,4c,4dは、第2の端子3b及び第3,第4の端子とそれぞれ電気的に接続されている。
【0026】
本実施形態では、第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dは、実装基板2の第1〜第4のキャスタレーション2d,2e,2f,2gを経て上面2aに至っている。
【0027】
実装基板2の上面2aには、第1〜第4の電極ランド5a,5b,5c,5dが設けられている。図2の破線で示すように、第1の電極ランド5aと第1の接続電極4aとは電気的に接続されている。同様に、第2〜第4の電極ランド5b,5c,5dは、第2〜第4の接続電極4b,4c,4dとそれぞれ電気的に接続されている。
【0028】
上記第1〜第4の端子、第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4d及び第1〜第4の電極ランド5a,5b,5c,5dは適宜の金属または合金からなる。
【0029】
図1及び図2に示すように、第1の接続電極4aは、第1,第2の部分4A,4Bを有する。第1の接続電極4aの第1の部分4Aは、実装基板2の上面2aに位置する。また、第1の接続電極4aの第1の部分4Aは、第1の電極ランド5aに連ねられている。第1の接続電極4aの第2の部分4Bは、実装基板2の側面に位置する。また、第1の接続電極4aの第2の部分4Bは、第1の接続電極4aの第1の部分4A及び第1の端子3aにそれぞれ連ねられている。本実施形態では、第1の接続電極4aの第2の部分4Bは、実装基板2の第1のキャスタレーション2d上に設けられたキャスタレーション電極である。同様に、第2〜第4の接続電極4b,4c,4dも、第1,第2の部分4A,4Bをそれぞれ有する。
【0030】
実装基板2の上面2aには、第1のパッケージ材である素子基板9が設けられている。本実施形態では、素子基板9はセラミックス基板からなる。なお、素子基板9を構成するセラミックス材料は特に限定されない。例えば、アルミナなどの絶縁性セラミックなどからなるものでもよい。
【0031】
素子基板9は上面9a及び下面9bを有する。素子基板9の下面9bには第1,第2の端子電極8a,8b及び第3,第4の端子電極が設けられている。第1の端子電極8aと実装基板2の上面2aに設けられている第1の電極ランド5aとは導電性接合材6を介して電気的に接続されている。同様に、第2の端子電極8b及び第3,第4の端子電極は、第2〜第4の電極ランド5b,5c,5dとそれぞれ導電性接合材6を介して電気的に接続されている。
【0032】
第1,第2の端子電極8a,8b及び第3,第4の端子電極は、適宜の金属または合金からなる。また、本実施形態の導電性接合材6ははんだからなる。なお、導電性接合材6は、他の導電性接着剤や金属のろう材などの適宜の導電性材料からなるものでもよい。
【0033】
素子基板9の上面9aには、第2のパッケージ材であるキャップ13が設けられている。素子基板9とキャップ13とにより中空空間15が形成されている。中空空間15に水晶振動子7が設けられている。
【0034】
本実施形態のキャップ13は、金属からなる。なお、キャップ13は、金属以外の適宜の材料からなるものでもよい。
【0035】
また、本実施形態では、第1のパッケージ材は素子基板9であり、第2のパッケージ材はキャップ13である。なお、第1,第2のパッケージ材はこれに限定されない。例えば、上方に開いた開口を有する第1のパッケージ材の内底面上に水晶振動子を実装し、上記第1のパッケージ材の上方開口を第2のパッケージ材としての蓋で封止した構造であってもよい。
【0036】
素子基板9とキャップ13とは接合材16により接合されている。接合材16は、例えばはんだなどの金属のろう材や適宜の接着剤などからなる。
【0037】
図3(a)及び図3(b)は、本発明の第1の実施形態における水晶振動子の上面の電極形状を示す平面図及び水晶振動子を透視して下面の電極形状を示す平面図である。
【0038】
水晶振動子7は矩形板状の形状を有する。水晶振動子7は上面7a及び下面7bを有する。水晶振動子の上面7aには、第1の励振電極12aが設けられている。第1の励振電極12aには、第1の引き出し電極12a1が連ねられている。第1の引き出し電極12a1は、水晶振動子7の側面を経て、下面7bに至っている。
【0039】
また、水晶振動子7の下面7bには、第2の励振電極12bが設けられている。第2の励振電極12bには、第2の引き出し電極12b1が連ねられている。第2の引き出し電極12b1は、水晶振動子7の側面を経て、上面7aに至っている。
【0040】
図1に戻って、水晶振動子7の第1の引き出し電極12a1及び第2の引き出し電極は、導電性接合材11を介して、素子基板9の上面9aに設けられている第1の電極ランド10a及び第2の電極ランドとそれぞれ電気的に接続されている。
【0041】
上記第1,第2の励振電極12a,12b、第1の引き出し電極12a1、第2の引き出し電極、第1の電極ランド10a及び第2の電極ランドは適宜の金属または合金からなる。導電性接合材11は、導電性接着剤や金属のろう材などの適宜の導電性材料からなる。
【0042】
本実施形態の水晶振動子7は導電性接合材11により片持ち梁で支持されている。なお、水晶振動子7は両持ちで支持されていてもよい。
【0043】
素子基板9の下面9bには感温性素子が設けられている。本実施形態では、上記感温性素子は、温度センサを有するICチップ14である。なお、上記感温性素子はサーミスタなどの他の感温性素子であってもよい。
【0044】
図4は、本発明の第1の実施形態における実装基板の平面図である。
【0045】
平面視において、第1の接続電極4aが第1の電極ランド5aに向かって延びている方向を第1の方向Xとする。また、第1の方向Xに直交する方向を第2の方向Yとする。第1の接続電極4aは第1,第2の方向X,Yを有する。同様に、第2〜第4の接続電極4b,4c,4dもそれぞれの第1,第2の方向X,Yを有する。
【0046】
本実施形態の特徴は、第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dの第1の部分4Aの一部の第2の方向Yに沿う寸法が、第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dの残りの部分の第2の方向Yに沿う寸法よりも小さいことにある。それによって、ICチップに熱が伝わり難い。その理由を以下において説明する。
【0047】
図1及び図2に戻って、水晶振動装置1において、熱が特に流入しやすい部分は、水晶振動装置1が周囲と物理的に接触している第1,第2の端子3a,3b及び第3,第4の端子である。熱は、第1,第2の端子3a,3b及び第3,第4の端子から流入し、まず第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dを伝わる。第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dから、素子基板9に熱が伝わる。そして、素子基板9からICチップ14及び水晶振動子7に熱が伝わる。
【0048】
本実施形態では、第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dの第1の部分4Aの一部の第2の方向に沿う寸法が上記のように小さい。それによって、熱が第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dを伝わる速度を遅くすることができる。よって、ICチップ14に熱がより一層伝わり難い。従って、ICチップ14の温度が急激に変化することをより一層抑制することができる。それによって、水晶振動子7の周波数がずれることをより一層抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態における水晶振動子7には、ICチップ14と同様に、素子基板9から熱が伝わる。よって、ICチップ14に熱が伝わり難くすることができるだけでなく、水晶振動子7にも熱が伝わり難くすることができる。さらにICチップ14と水晶振動子7の温度差の急激な変化も抑制することができる。従って、水晶振動子7の周波数を温度補正する追従性をより一層高めることができる。
【0050】
さらに、本実施形態では、第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dは外面に露出されている。よって、外気への放熱により、第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dにおいて熱がさらにより一層伝わり難い。
【0051】
また、本実施形態では、第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dの第2の部分4Bはキャスタレーション電極であり、かつ外面に露出されている。それによって、第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dの第2の部分4Bが外気と接触する表面積が大きくされている。よって、より効果的に外気へ放熱することができる。従って、第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dにおいて熱がさらにより一層伝わり難い。
【0052】
ところで、素子基板と実装基板とを導電性接合材により接合する際、溶融した導電性接合材が第1〜第4の電極ランドから第1〜第4の接続電極を伝わって流れ出ることがあった。それによって、溶融した導電性接合材が第1〜第4の接続電極の第2の部分や実装基板の下面に至ることがあった。
【0053】
しかしながら、本実施形態においては、上記のように、第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dの第1の部分4Aの一部の第2の方向に沿う寸法が上記のように小さい。そのため、溶融した導電性接合材6は、導電性接合材6が第1〜第4の電極ランド5a,5b,5c,5dから第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dの第1の部分4Aを伝わって流れ難い。よって、溶融した導電性接合材6は、第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dの第2の部分4Bや実装基板2の下面2bに至り難い。従って、実装不良をより一層低減することができる。
【0054】
なお、ICチップ14は、上面に複数のバンプ17を有する。複数のバンプ17は、素子基板9の下面9bに設けられている図示しない電極に接合されている。また、ICチップ14は、実装基板2の開口部2cの内部に位置している。すなわち、ICチップ14が接触しているのは、素子基板9の下面9bに設けられた上記電極のみである。よって、熱の主な伝導経路を素子基板9からのみとすることができる。従って、より一層ICチップ14に熱が伝わり難い。
【0055】
ところで、素子基板と実装基板とを導電性接合材により接合する際、溶融した導電性接合材によりセルフアライメント作用が働く。
【0056】
本実施形態では、上記のように、溶融した導電性接合材6は第1〜第4の電極ランド5a,5b,5c,5dから流れていき難い。よって、より効果的にセルフアライメント作用が働く。そのため、水晶振動子7が搭載された素子基板9と実装基板2との位置のずれがより一層生じ難い。従って、実装不良をより一層低減することができる。
【0057】
図5は、本発明の第2の実施形態における実装基板の平面図である。
【0058】
実装基板2の上面2aにおいて、第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dの第1の部分4Aの一部を上記第2の方向に横断するように、レジスト絶縁材28がそれぞれ設けられている。そのため、導電性接合材が第1〜第4の電極ランド5a,5b,5c,5dから第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dの第1の部分4Aを伝わって流れ出た際、レジスト絶縁材28により上記導電性接合材の流れを遮断することができる。よって、第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dの第2の部分4Bや実装基板2の下面に上記導電性接合材が至ることをより効果的に抑制することができる。従って、実装不良をより一層効果的に低減することができる。
【0059】
本実施形態では、第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dの第1の部分4Aの一部を横断するように、レジスト絶縁材28が設けられている。なお、レジスト絶縁材28が設けられる部分は、第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dの第1の部分4Aの一部に限られない。例えば、第1〜第4の接続電極4a,4b,4c,4dの第1の部分4Aの全面を横断するように設けられていてもよい。
【0060】
なお、実装基板の上面に設けられている第1〜第4の電極ランドのそれぞれの形状と素子基板の下面に設けられている第1〜第4の端子電極のそれぞれの形状とが同一であることが好ましい。その場合には、素子基板と実装基板とを導電性接合材により接合する際に、セルフアライメント作用はより一層効果的に働く。そのため、水晶振動子が搭載された素子基板と実装基板との位置のずれがより一層生じ難い。従って、不良をより一層効果的に低減することができる。
【符号の説明】
【0061】
1…水晶振動装置
2…実装基板
2a…上面
2b…下面
2c…開口部
2d,2e,2f,2g…第1〜第4のキャスタレーション
3a,3b…第1,第2の端子
4a,4b,4c,4d…第1〜第4の接続電極
4A,4B…第1,第2の部分
5a,5b,5c,5d…第1〜第4の電極ランド
6…導電性接合材
7…水晶振動子
7a…上面
7b…下面
8a,8b…第1,第2の端子電極
9…素子基板
9a…上面
9b…下面
10a…第1の電極ランド
11…導電性接合材
12a,12b…第1,第2の励振電極
12a1,12b1…第1,第2の引き出し電極
13…キャップ
14…ICチップ
15…中空空間
16…接合材
17…バンプ
28…レジスト絶縁材
図1
図2
図3
図4
図5