(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
読取最大主走査長及び読取最大副走査長によって読み取り可能な最大原稿サイズを規定する原稿読取面に載置された原稿に対して、画像読取ユニットを読取副走査方向に移動させながら、読取主走査方向における原稿の画像の読み取りを繰り返すことによって、原稿の画像を読み取る画像読取部と、
所定サイズの複数の記録紙を積層状態で収容する給紙カセットと、
この給紙カセットから供給された記録紙を記録副走査方向に移動させながら、記録主走査方向における画像の記録を繰り返すことによって、前記画像読取部で読み取られた画像を記録紙に記録する画像記録部と、を備えた画像処理装置であって、
前記読取最大主走査長が、前記読取最大副走査長よりも長く設定されており、
前記最大原稿サイズは、前記給紙カセット内に収容可能な記録紙の最大記録紙サイズと同じであり、
前記読取主走査方向が、前記記録主走査方向と平行に設定されており、
前記給紙カセットは、この給紙カセット内に収容可能な最大サイズの記録紙が前記画像記録部へ供給されるとき、この記録紙の長辺が前記記録主走査方向と平行となるように記録紙を前記画像記録部へ送り出すように構成されており、
前記画像読取部,前記画像記録部,及び前記給紙カセットは、上下方向に配置されており、それぞれを収容する筐体部分のサイズが平面視において揃っていることを特徴とする画像処理装置。
前記読取主走査方向及び前記記録主走査方向が、使用時に使用者が立つ前記画像処理装置の正面から背面へ向かう奥行き方向に沿っていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
前記画像記録部に対して前記記録副走査方向に、前記給紙カセット内に収容可能な前記最大記録紙サイズの記録紙よりも大きな記録紙を搬送可能な手差しトレイを更に備えたことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機,スキャナ,プリンタ,ファクシミリ等の機能を備えた複合機においては、A3サイズまでの大きさの原稿を画像読取部で読み取り、A3サイズ以下の大きさの記録紙に読み取り画像を印刷出力可能としたタイプ(以下、「A3機」という)が使用されている。A3機では、原稿を載置するための原稿読取面はA3サイズに対応した大きさに設定されており、使用者はFBS方式を用いて最大でA3サイズの原稿の画像を画像読取部に読み取らせることができる。また、A3機では、使用者はADF(Automatic Document Feeder)を利用して原稿の画像を画像読取部に読み取らせることができる(ADF方式)。
【0003】
また、FBS方式によって読み取り可能な最大原稿サイズがA4サイズであり、同サイズ以下の大きさの記録紙に印刷出力可能とした複合機も知られている(以下、「A4機」という)。このようなA4機は、原稿読取面がA4サイズに対応した大きさに設定されている。
【0004】
オフィス等で使用される原稿及び記録紙は、ほとんどがA4サイズであり、A3サイズの原稿及び記録紙は使用される頻度が極めて低い。しかしながら、頻度は低いながらもA3サイズの原稿及び記録紙を使用する機会があるので、A3機が比較的よく使用されている。
【0005】
一方、小規模なオフィスや家庭では、使用頻度の低いA3サイズのために、大きな設置面積を要するA3機を設置する余裕がない場合がある。したがって、小さな設置面積で済むA4機への需要も同様に存在する。
【0006】
このようなA3機及びA4機では、FBS用の矩形の原稿読取面が複合機の正面に立つ使用者に対して横方向(左右方向)に長くなるように設けられている。このため、上記複合機では、FBS方式やADF方式を用いて最大原稿サイズの原稿(それぞれA3、A4)の画像を読み取る場合の読取主走査方向は原稿の短辺方向に設定されており、読取副走査方向は原稿の長辺方向に設定されている。すなわち、画像読取部の構成部品(例えば、ミラーや読取ヘッド)が原稿に対して原稿の長辺方向に相対的に移動して、原稿の画像を読み取るようになっている。
【0007】
また、上記複合機では、給紙カセットに収容される記録紙の最大記録紙サイズは、FBS方式で読取可能な最大原稿サイズと同サイズである。そして、読み取られた原稿の画像を記録(印刷)する画像記録部において、最大記録紙サイズの記録紙に記録する場合の記録主走査方向は記録紙の短辺方向に設定されており、記録副走査方向は記録紙の長辺方向に設定されている。すなわち、記録紙を長手方向に紙送りして、感光ドラム等を用いて記録紙に記録(印刷)するようになっている。
【0008】
一方、上記複合機と同様に、矩形の原稿読取面が使用者に対して横方向に長くなるように設定されている複合機において、読み取りに要する時間を短縮するため、読取主走査方向を原稿読取面に載置された最大原稿サイズの原稿の長辺方向に設定したものが提案されている(特許文献1参照)。すなわち、画像読取部の構成部品が原稿に対して原稿の短辺方向に相対的に移動するようになっている。
【0009】
また、これに合わせて、特許文献1の複合機に備えられたADF(自動原稿送り装置)は、装置上面の反使用者側(装置の背面側)の端部に配置されているので、ADFに載置された原稿は、使用者から離れる方向(装置の奥行き方向における背面へ向かう方向)に搬送され、画像読取部によって読み取られた後、再び使用者側へ戻ってくるようになっている。なお、特許文献1の複合機では、読取主走査方向は原稿の長辺方向に設定されているが、記録主走査方向は、従来のA3機と同様に記録紙の短辺方向に設定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のA3機及びA4機は、読取副走査方向が最大原稿サイズの原稿の長辺方向に沿うと共に、記録副走査方向が最大記録紙サイズの記録紙の長辺方向に沿っているため、読み取り及び記録(印刷)時に、読取副走査方向及び記録副走査方向に沿って原稿を長辺分の長さだけ相対的に移動させる必要がある。このため、原稿及び記録紙1枚当たりで、読み取り及び記録紙への記録(印刷)に長い時間を要する。これにより、従来のA3機及びA4機では、読み取りや記録に用いる部品の使用時間が長く、これらの部品の交換やメンテナンスの頻度が高くなるという問題があった。例えば、画像読取部内の光源は長い点灯時間を要し、また、画像記録部内の感光ドラムは記録紙が接触する時間が長くなって磨耗が進行し使用可能期間が短くなる。
【0012】
これに対して、特許文献1に記載の複合機では、読取副走査方向が原稿の短辺方向に設定されているため、読み取り時間を短縮することができる。しかしながら、特許文献1の複合機では、記録副走査方向が記録紙の長辺方向に設定されているため、記録紙への記録に長時間を要するので、記録に用いる部品の交換やメンテナンスの頻度が高いという問題点は解消できない。
【0013】
なお、特許文献1の複合機では、ADFが装置上面の反使用者側(装置背面側)の端部に配置されているため、ADFで紙詰まりが生じたときに、紙詰まりした原稿を取り除くのに非常に手間が掛かるという新たな問題が生じる。特に、装置を壁に向けて配置する場合には、詰まった原稿へのアクセスが難しく、メンテナンス性が極めて悪くなる。
【0014】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、原稿の読取処理及び記録紙への記録処理を迅速に実行可能であり、画像読取部及び画像記録部の部品の長寿命化を図ることができる画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明は、読取最大主走査長及び読取最大副走査長によって読み取り可能な最大原稿サイズを規定する原稿読取面に載置された原稿に対して、画像読取ユニットを読取副走査方向に移動させながら、読取主走査方向における原稿の画像の読み取りを繰り返すことによって、原稿の画像を読み取る画像読取部と、所定サイズの複数の記録紙を積層状態で収容する給紙カセットと、この給紙カセットから供給された記録紙を記録副走査方向に移動させながら、記録主走査方向における画像の記録を繰り返すことによって、画像読取部で読み取られた画像を記録紙に記録する画像記録部と、を備えた画像処理装置であって、読取最大主走査長が、読取最大副走査長よりも長く設定されており、
最大原稿サイズは、給紙カセット内に収容可能な記録紙の最大記録紙サイズと同じであり、読取主走査方向が、記録主走査方向と平行に設定されており、給紙カセットは、この給紙カセット内に収容可能な最大サイズの記録紙が画像記録部へ供給されるとき、この記録紙の長辺が記録主走査方向と平行となるように記録紙を画像記録部へ送り出すように構成されて
おり、画像読取部,画像記録部,及び給紙カセットは、上下方向に配置されており、それぞれを収容する筐体部分のサイズが平面視において揃っていることを特徴としている。
【0016】
このように構成された本発明によれば、読取最大主走査長が読取最大副走査長よりも長く設定されているので、読取最大副走査長が読取最大主走査長よりも長く設定された場合と比べて、読取処理の際に画像読取部の画像読取ユニットが読取副走査方向に物理的に移動する距離を短くすることができ、読取処理に掛かる処理時間を短縮することが可能となる。また、これに伴って、画像読取部の構成部品の長寿命化を図ることが可能となる。
【0017】
また、本発明では、給紙カセットから送り出される最大記録紙サイズの記録紙の長辺が、記録主走査方向と平行な状態で画像記録部へ送り出されるので、最大記録紙サイズの記録紙の長辺が記録主走査方向に沿うと共に、記録紙の短辺が記録副走査方向に沿った状態で記録処理が行われる。これにより、最大記録紙サイズの記録紙の短辺が記録主走査方向に沿うと共に、最大記録紙サイズの記録紙の長辺が記録主走査方向に沿った状態で記録処理が行われる場合と比べて、記録処理の際に画像記録部の記録部分(例えば、感光ドラム,インクジェットヘッド等)が記録紙に対して記録副走査方向に相対的に移動する距離を短くすることができ、記録処理に係る処理時間を短縮することが可能となる。また、これに伴って、画像記録部の構成部品の長寿命化を図ることが可能となる。
【0018】
また、本発明では、更に、読取主走査方向が、記録主走査方向と平行に設定されているので、画像読取部と画像記録部の配置方向を揃えることができ、画像読取部と画像記録部とを上下方向に揃えてコンパクトに配置することが可能となる。
また、本発明では、最大原稿サイズは、給紙カセット内に収容可能な記録紙の最大記録紙サイズと同じである。したがって、本発明によれば、最大原稿サイズと最大記録紙サイズとが同サイズであるので、画像読取部と画像記録部とのサイズを揃えることができ、画像読取部と画像記録部を上下方向に積層して配置することにより、装置レイアウトのコンパクト化を図ることができる。
【0019】
また、本発明において好ましくは、読取主走査方向及び記録主走査方向が、使用時に使用者が立つ画像処理装置の正面から背面へ向かう奥行き方向に沿っている。
このように構成された本発明によれば、装置の奥行きは最大記録紙サイズよりも大きなサイズに対応した複合機と同じに保持しつつ、装置の左右方向の幅を狭くすることができる。
【0021】
また、本発明において好ましくは、最大原稿サイズ及び最大記録紙サイズがA4サイズである。
このように構成された本発明によれば、最大原稿サイズ及び最大記録紙サイズがA4サイズであるので、オフィス等で通常使用されるA4サイズの原稿及び記録紙に対応しつつ、装置の設置面積を小さくして小型化を図ることができる。
【0022】
また、本発明において好ましくは、最大原稿サイズよりも大きな原稿を、画像読取部に対して読取副走査方向に搬送可能な自動原稿送り装置を更に備える。
このように構成された本発明によれば、画像読取部に対して、FBS方式での読取副走査方向と同じ方向で原稿を搬送可能な自動原稿送り装置(ADF)を備えたことにより、FBS方式で読み取ることが可能な最大原稿サイズの原稿よりも大きなサイズの原稿を読み取らせることが可能となる。
【0023】
例えば、本発明では、最大原稿サイズがA4サイズである場合、A3サイズの原稿を画像読取部で読み取る必要性が生じたときには、ADF方式によりA3サイズの原稿を読み取ることができる。したがって、本発明では、例えば、A3サイズに対応した読取処理が可能であるにもかかわらず、装置サイズはA4サイズに対応したコンパクトなサイズにすることができる。
【0024】
また、本発明において好ましくは、画像記録部に対して記録副走査方向に、給紙カセット内に収容可能な最大記録紙サイズの記録紙よりも大きな記録紙を搬送可能な手差しトレイを更に備える。
このように構成された本発明によれば、手差しトレイを使用することにより、給紙カセットに収納可能な最大記録サイズよりも大きなサイズの記録紙に画像記録部によって記録(印刷)させることができる。また、本発明では、FBS方式で読み取り可能な最大原稿サイズに比べて、記録(印刷)可能な記録紙のサイズを大きく設定することができる。したがって、本発明では、例えば、A3サイズに対応した記録処理が可能であるにもかかわらず、装置サイズはA4サイズに対応したコンパクトなサイズにすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の画像処理装置によれば、原稿の読取処理及び記録紙への記録処理を迅速に実行可能であり、画像読取部及び画像記録部の部品の長寿命化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
先ず、本発明の第1の実施形態を
図1−
図5を参照して説明する。
図1は画像処理装置の正面図、
図2は画像処理装置の構成を示す正面側から見た説明図、
図3は画像処理装置の構成を示す右側から見た説明図、
図4は画像処理装置の平面図、
図5は給紙カセットの説明図である。
【0028】
図1−
図3に示す本実施形態の画像処理装置1は、複写機能,スキャナ機能,プリンタ機能,ファクシミリ機能等を備えた複合機である。本実施形態の画像処理装置1は、A4サイズの原稿の画像の読み取り、及び、A4サイズの記録紙への記録(印刷)に適合されている。
図2に示すように、画像処理装置1は、画像読取部10と、画像記録部20と、原稿送出部30と、給紙部40と、排出部50と、操作部60を備えている。また、
図1に示すように、画像読取部10の一部,画像記録部20,給紙部40,排出部50は、略直方体の形状の筐体(装置本体)2内に収容されている。
操作部60は、原稿サイズ,記録紙サイズ,拡大縮小倍率,複写枚数,FAX番号等を入力及び表示するための操作パネルである。
【0029】
画像読取部10は、原稿の画像を読み取るためのものであり、
図2に示すように、原稿載置板11と、原稿載置板11を覆う原稿台カバー12と、原稿載置板11の下部に配置された原稿読取ユニット13を備えている。
【0030】
原稿載置板11は、FBS方式によって原稿を読み取る際に原稿をその上に載置するための透明な板状の部材であり、装置本体2の最上面に配置されている。原稿載置板11の原稿載置面が原稿読取面11a(
図4参照)であり、最大でA4サイズの原稿を読み取り可能とする大きさに適合されている。本実施形態では、原稿載置板11は、平面視で矩形であり、短辺が左右方向(A方向)に平行に配置され、長辺が奥行き方向(
図4のB方向)に平行に配置されている。
【0031】
原稿台カバー12は、装置本体2の上部に配置されている。原稿台カバー12は、原稿載置板11上に載置された原稿を原稿載置板11との間に固定状態で挟み込むように構成されており、装置本体2の上面の背面側端部に設けられたヒンジ(図示せず)を回動中心として回動可能となっている。
【0032】
なお、本明細書で、複合機1の正面とは
図1で示されている側面(すなわち、操作部60が設けられ、使用者が使用時に立つ側の側面)を意味し、複合機1の背面とは正面に対して反対側の側面を意味する。また、幅方向又は左右方向とは
図1における左右方向であり、奥行き方向とは
図1における紙面に直交する方向(すなわち、正面から背面に向かう方向)である。また、複合機1の左側及び右側は、それぞれ
図1の左側及び右側を意味する。
【0033】
原稿読取ユニット13は、装置本体2の最上部にわたって配置されており、原稿に光を照射する光源14と、原稿からの反射光の光路の経路を変更するミラー15a,15b,15cと、光源14及びミラー15a,15b,15cを読取副走査方向(左右方向A)に移動させる移動機構(図示せず)と、ミラー15cからの光を収束させる集光レンズ16と、集光レンズ16からの光に基づいて原稿の画像を読み取る撮像素子(CCD)17を備えている。撮像素子17で読み取られた画像データは、画像メモリ(図示せず)で記憶される。
【0034】
本実施形態では、読取処理時に、原稿読取ユニット13は、原稿のサイズに応じて選択された読取領域内の原稿の画像データを取得する。詳しくは、図示しない制御部からの駆動信号に基づいて、原稿読取ユニット13は、移動機構によって、載置された原稿の短辺方向の一端側から他端側まで読取副走査方向Aに沿ってミラー15a及び光源14を移動させる。この間、移動機構は、ミラー15b及び15cを、ミラー15aの移動距離の半分の距離だけ読取副走査方向Aに移動させる。
【0035】
そして、原稿読取ユニット13は、ミラー15aが読取副走査方向Aに移動する間、載置された原稿の長辺方向の一端側から他端側まで、読取主走査方向(
図4の奥行き方向B)に原稿を単位ピクセル毎に走査し、撮像素子17によって単位ピクセル毎の部分的な原稿の画像データを取得することを繰り返す。これにより、ミラー15aの読取副走査方向Aへの移動が完了した時点で、多数のピクセルからなる原稿全体の画像データが得られる。
なお、主走査により、原稿の画像の部分を構成する画素(ピクセル)毎の画像データが主走査方向に順次に取得(又は印刷)され、副走査により、主走査の位置が紙送り方向又はスキャナヘッドの送り方向(すなわち副走査方向)に移動される。
【0036】
なお、本実施形態では、縮小光学方式の読取方式を採用しているが、これに限らず、CISセンサを用いた等倍光学方式(密着センサ方式)を採用してもよい。また、本実施形態では、2キャリッジ方式の光学系移動方式を採用しているが、密着センサ方式の場合には1キャリッジ方式を採用することができる。
【0037】
画像記録部20は、外周面に光導電膜を有し回転軸21aを中心として回動する感光ドラム21と、この感光ドラム21の光導電膜を所定電位に一様帯電させる帯電器22と、感光ドラム21上に静電潜像を形成する露光器23と、感光ドラム21上の静電潜像にトナーを供給して、静電潜像を現像する現像器24と、トナー画像を感光ドラム21上から記録紙上に転写させる転写ローラ25と、記録紙上のトナー画像を加熱定着させる定着ローラ26と、給紙部40から記録紙を感光ドラム21に送り出す給紙ローラ27a,27bと、記録紙の向きを整えるレジストローラ28と、記録紙を排出部50へ排出する排出ローラ29を備えている。
【0038】
画像記録部20は、画像メモリから読み込んだ画像データを記録紙に印刷するように構成されている。画像データには、画像読取部10で取得された画像データ、送受信装置(図示せず)を介して外部(ファクシミリ、PC等)から受信した画像データが含まれる。
【0039】
画像記録部20は、感光ドラム21に対して記録紙を記録副走査方向に移動させながら、感光ドラム21の回転軸21aの延びる方向に沿った記録主走査方向における部分的な画像の記録を繰り返すことによって、画像データに基づく全画像を記録紙に記録(印刷)する。
【0040】
画像記録部20を構成する上記部品は、後述する胴内排出空間51を避けるため、現像器24等を除いて、主に装置本体2内の右側空間に積み上げられるように配置されている。すなわち、装置本体2内の右側に重量物が配置されている。このため、装置本体2は、これら重量物を支持するように、右側の剛性が高くなるように構成されている。
なお、本実施形態では、電子写真方式のプリンタ(レーザスキャン方式又はLEDヘッド方式)を採用しているが、これに限らず、インクジェット方式のプリンタや、サーマルプリンタ等を採用してもよい。
【0041】
原稿送出部(ADF)30は、複数の原稿を載置可能な給紙トレイ31と、給紙トレイ31上の原稿を下流側へ給紙するピックアップローラ32と、給紙トレイ31上の原稿を1枚ずつ分離供給する分離ローラ33と、分離された原稿の向きを整えるレジストローラ34と、原稿を下流側へ送り出す搬送ローラ35と、送り出された原稿が上面を通過する幅狭で細長い透明な透光板36と、排出された原稿を収容する排紙トレイ37を備えている。原稿送出部30は、ADF(自動原稿送り装置)を構成している。
原稿送出部30は、主に原稿台カバー12に一体に取付けられているが、透光板36は、原稿載置板11の左側の端部に沿って僅かに離間して配置されている。
【0042】
給紙部40は、所定の最大記録紙サイズ(本例ではA4サイズ)以下のサイズの複数の記録紙3を積層状態で収容する給紙カセット41と、上記最大記録紙サイズよりも大きな所定の拡張サイズ(本例ではA3サイズ)以下のサイズの記録紙を収容可能な手差しトレイ43を備えている。本実施形態では、記録紙3はロール紙ではなく規定のサイズに裁断されたカット紙である。なお、本実施形態では、給紙カセットが1つのみ設けられているが、これに限らず、複数の給紙カセットを設けてもよい。
【0043】
給紙カセット41は、画像記録部20の積層配置された構成部品を避けるように、装置本体2内で最下部に配置されている。給紙カセット41は、装置本体2の正面側から背面側へ向けて装置本体2内へ挿入可能となっている。
また、手差しトレイ43は、装置本体2の右側に配置されており、収納及び展開可能に構成されている。手差しトレイ43は、装置本体2内に収容された状態では、装置本体2の右側の側壁の一部を構成する。
図2では、手差しトレイ43は、折り畳まれて装置本体2内に収容された状態である。
【0044】
排出部50は、画像記録部20で印刷された記録紙を収容するように、装置本体2内に設けられた胴内排出空間51を有する。この胴内排出空間51は、縦方向に積層配置された画像記録部20の左側、且つ、画像読取部10と給紙カセット41との間の空間である。そして、胴内排出空間51は、原稿読取ユニット13の下側壁51aと、画像記録部20の上側壁51b及び縦壁51cによって、画像読取部10及び画像記録部20から仕切られており、且つ、装置本体2の正面側壁と左側側壁が開放されている。排出部50は、胴内排出部を構成している。
【0045】
次に、
図4を参照して、本実施形態の複合機1における読取主走査方向及び読取副走査方向について説明する。
図4に示すように、FBS方式で用いる原稿載置板11と、ADF方式で用いる長尺な透光板36は、装置本体2の最上面を構成しており、互いに並列して配置されている。
【0046】
原稿載置板11は、本例ではA4サイズの原稿に対応した大きさに適合されており、FBS方式での最大読取領域を規定している。すなわち、最大読取領域内で読み取り可能な最大原稿サイズはA4サイズである。この最大読取領域は矩形であり、短辺が装置本体2の左右方向Aと平行であり、長辺が装置本体2の奥行き方向Bと平行である。また、
図4に示すように、この最大読取範囲は、原稿載置板11の長辺長さ(読取最大主走査長Lm)と、原稿載置板11の短辺長さ(読取最大副走査長Lv)によって規定されている。
一方、細長い形状の透光板36は、原稿載置板11の長辺長さと同じ長さを有しており、原稿載置板11の長辺に沿って奥行き方向Bと平行に配置されている。
【0047】
したがって、
図4から分かるように、本実施形態の複合機1は、奥行きよりも左右方向の幅の方が短く構成されている。すなわち、従来のA3機と比べて左右の幅が狭くコンパクトであり、設置面積が小さくなっている。
【0048】
上述のように、画像読取部20のミラー15a及び光源14は、最大読取範囲を走査可能なように、装置本体2内で左右方向Aに移動するように構成されている。よって、FBS方式における読取副走査方向は方向Aであり、読取主走査方向は方向Bである。
【0049】
また、ADF方式によって原稿が読み取られる場合、原稿送出部(ADF)30によって原稿は、透光板36上を通過する。このとき、ミラー15a及び光源14は静止状態で透光板36の下部に位置しており、画像読取部10は透光板36を通して原稿の画像を読み取る。よって、ADF方式による読取主走査方向及び読取副走査方向は、それぞれFBS方式と同様に方向B及び方向Aである。
【0050】
次に、
図3及び
図5を参照して、本実施形態の複合機1における記録主走査方向と記録副走査方向について説明する。
図5に示すように、給紙部40の給紙カセット41は、収容可能な最大記録紙サイズの記録紙3の長辺が装置本体2の奥行き方向Bと平行であり、短辺が装置本体2の左右方向Aと平行であるように記録紙3を収容している。記録紙3は、矢印Cで示すように、短辺方向に沿って給紙ローラ27aによって画像記録部20へ給紙される。本実施形態では、最大記録紙サイズは、最大原稿サイズと同じサイズである。
【0051】
図3に示されているように、画像記録部20の感光ドラム21は、その回転軸21aが装置本体2の奥行き方向Bと平行になるように配置されている。また、回転軸21aの延びる方向は、給紙カセット41に収容された最大記録紙サイズの記録紙3の長辺方向と平行である。
【0052】
したがって、最大記録紙サイズの記録紙3は、画像記録部20に供給されるとき、両短辺が進行方向に沿った状態で、一方の長辺側から感光ドラム21と接触する。そして、記録紙3は、感光ドラム21と転写ローラ25との間を通過して画像が転写され、その後定着ローラ26によって画像が定着される。したがって、給紙カセット41から送り込まれた最大記録紙サイズの記録紙3は、長辺方向(すなわち、回転軸21aの延びる方向)が記録主走査方向であり、短辺方向(すなわち、紙送り方向)が記録副走査方向である。また、記録紙3の記録最大主走査長lmは長辺長さであり、記録最大副走査長lvは短辺長さである。
よって、本実施形態では、読取主走査方向と記録主走査方向が平行に設定されている。
【0053】
なお、電子写真方式以外の方式を採用する場合、例えばインクジェット方式を採用する場合は、記録時にインクジェットヘッドが移動する方向が回転軸21aの延びる方向と一致するので、上記と同様に、最大記録紙サイズの記録紙3の長辺方向が記録主走査方向となる。
【0054】
次に、本実施形態の複合機1の作用について説明する。
先ず、使用者がA4サイズ(最大原稿サイズ)の原稿をFBS方式で複写する場合について説明する。この場合、使用者がA4サイズの原稿を原稿読取面11aに載置し、操作部60を操作することにより、複写機1は原稿の画像の読取処理、及び、記録処理を実行する。
制御部は、原稿のサイズを原稿サイズセンサ(図示せず)によって判定し、原稿読取ユニット13を作動させて原稿の画像を読み取り、読み取った画像データを画像メモリに取り込む。
【0055】
このとき、本実施形態では、読取主走査方向が原稿の長辺に沿っており、読取副走査方向が原稿の短辺に沿っているので、ミラー等を副走査方向に向けて移動させる距離が短くなる。このため、読取処理に掛かる時間を短縮し、迅速に処理を行うことができる。更に、光源14や移動機構の作動時間(原稿1枚当たり)が短くて済むので、光源14や機械部品の交換やメンテナンスの頻度を低減することができる。
【0056】
画像データの取り込みと略同時に、制御部は、画像記録部20を作動させ、給紙カセット41からA4サイズの記録紙を画像記録部20へ送り込ませ、記録紙に画像を印刷させる。
このとき、本実施形態では、記録主走査方向が記録紙の長辺に沿っており、記録副走査方向が記録紙の短辺に沿っているので、記録紙が画像記録部20の感光ドラム21を通過する時間が短くなる。このため、記録紙が画像記録部20で処理される時間を短縮し、記録処理を迅速に行うことができる。更に、感光ドラム21と記録紙との接触時間又は接触長さが記録紙1枚当たりで短くなり、また、駆動機構の作動時間が短くて済むので、感光ドラム21や駆動機構の交換やメンテナンスの頻度を低減することができる。
【0057】
本実施形態では、FBS方式は、最大原稿サイズ(本例ではA4)までのサイズの原稿の画像読取処理に対応している。これは、一般に使用されるほとんどの原稿のサイズが、最大原稿サイズ(A4サイズ)であるからであり、最大原稿サイズを超えるサイズ(例えば、A3サイズ)の原稿の読取処理は、通常不要であるからである。このように、本実施形態では、FBS方式による原稿読取処理をA4サイズに限定することにより、装置のサイズ、特に装置の設置面積を小さくし、小規模なオフィスや家庭でも使用可能とすることができる。
【0058】
上述のように一般に使用される原稿のサイズは、ほとんどがA4サイズであるが、低い頻度でA3サイズの原稿を複写する必要性が生じる場合がある。この場合、本実施形態の複写機1では、以下に述べるようにADF方式によって、A3サイズの原稿の複写を可能としている。
【0059】
使用者がA3サイズの原稿をADF方式で複写する場合について説明する。この場合、使用者がA3サイズの原稿をADF30の給紙トレイ31に載置し、且つ、手差しトレイ43を展開してA3サイズの記録紙を手差しトレイ43に載置した後、操作部60を操作することにより、複写機1は原稿の画像の読取処理、及び、記録処理を実行する。
【0060】
制御部は、原稿のサイズを原稿サイズセンサ(図示せず)によって判定し、ADF30及び原稿読取ユニット13を作動させて原稿の画像を読み取り、読み取った画像データを画像メモリに取り込む。
画像データの取り込みと略同時に、制御部は、手差しトレイ43からA3サイズの記録紙を画像記録部20へ送り込み、画像記録部20で記録紙に画像を印刷する。
【0061】
本実施形態では、FBS方式によって読み取り可能な最大原稿サイズはA4であるが、ADF方式によってA4サイズよりも大きいA3サイズの原稿を読み取ることができ、A3サイズの原稿を手差しトレイ43から供給されるA3サイズの記録紙に複写することができる。したがって、本実施形態では、FBS方式で用いられる原稿読取面11aのサイズに比べて、より大きなサイズの原稿を複写することができる。すなわち、本実施形態の複合機1は、A3サイズの読取処理に対応しつつ、装置本体2はA4サイズに対応したコンパクトなサイズとすることができる。
【0062】
なお、上記説明では、同一の倍率で原稿から記録紙に複写する場合を説明したが、これに限らず、操作部60の設定により、拡大又は縮小倍率で複写するように構成してもよい。この場合、本実施形態の複合機1では、給紙カセット41又は手差しトレイ43から読取原稿と異なるサイズの記録紙が供給され、この記録紙に拡大又は縮小画像を記録(印刷)することができる。
また、上記説明では、ADF方式でA3サイズの原稿を読み取る場合について説明したが、これに限らず、最大原稿サイズ(A4サイズ)の原稿を含む他のサイズの原稿をADF方式で読み取るように構成することができる。
【0063】
このように、本実施形態の複合機1は、A4機と同じ設置面積でありながら、A3機と同様にA3サイズまでの大きさの原稿の読み取りを行うことが可能であり、小規模なオフィス等の実情に即して小型化を図りつつ、充分な実用性を備えることができる。
また、本実施形態の複合機1は、A3機との部品の共通化を図ることができるので、製造コストを低減することができる。
【0064】
また、本実施形態の複写機1は、矩形の原稿読取面11aの短辺が装置本体2の左右方向Aに沿っており、長辺が奥行き方向Bに沿っている。そして、読取主走査方向が奥行き方向Bに沿い、読取副走査方向が左右方向Aに沿っている。更に、この読取副走査方向に原稿を送り込むように、ADF30を、装置本体2の左右方向の端部に沿って配置することができる。このように構成されているので、ADF30で紙詰まりが生じた場合、使用者は正面側からADF30に容易にアクセスして紙詰まり状況を解消することができ、良好なメンテナンス性を確保することが可能となる。なお、本例では、ADF30が左端部に配置されているが、右端部に配置してもよい。
【0065】
なお、原稿読取面11aの長辺が装置本体2の左右方向に沿うように構成され、且つ、読取主走査方向が原稿読取面11aの長辺方向に設定される場合には、ADF30は、装置本体2の背面側端部に配置されることになる。この場合、ADF30で紙詰まりが生じると、使用者はADF30にアクセスし難く、メンテナンス性が劣悪となってしまう。
【0066】
また、上記実施形態では、複合機1は、原稿読取面11aのサイズがA4サイズに適合されているが、これに限らず、原稿読取面11aのサイズを他のサイズに適合させてもよい。すなわち、原稿読取面11aのサイズを、例えば、Letterサイズ(8.5×11インチ),Legalサイズ(8.5×14インチ),Ledgerサイズ(11×17インチ),B4サイズ,A3サイズ等に適合させるように、本実施形態の複写機1を構成してもよい。この場合、いずれのサイズにおいても、原稿読取面11aは、記録紙の長辺が奥行き方向Bに沿い、且つ、短辺が左右方向Aに沿うように構成することができる。
なお、上述のように最大原稿サイズがLetterサイズ,B4サイズであるように構成した場合は、ADF方式によって、それぞれLedgerサイズ,B3サイズの原稿を読み取り可能となる。
【0067】
次に、本発明の第2の実施形態を
図6及び
図7を参照して説明する。
図6は画像処理装置の正面図、
図7は画像処理装置の構成を示す正面側から見た説明図である。なお、第1の実施形態と重複する説明は省略し、主に相違する構成について説明する。
図6に示すように、本実施形態の複合機1Aは、第1の実施形態の複合機1に第2の給紙カセット45及びフィニッシャー装置70が追加された構成である。
【0068】
また、排出部50の胴内排出空間51内の上側部分に、中継ユニット55が取り付けられている。この中継ユニット55は、
図7に示すように、画像記録部20の排出ローラ29から排出される記録紙をフィニッシャー装置70へ搬送するものであり、モータ駆動される複数の搬送用ローラ56を備えている。
【0069】
第2の給紙カセット45は、給紙カセット41の下部に取付けられている。給紙カセット41は最大原稿サイズであるA4サイズまでの大きさの記録紙を収容するが、追加された第2の給紙カセット45は、最大原稿サイズよりも大きい拡張サイズ(A3サイズ)の大きさの記録紙を収容することができる。したがって、第2の給紙カセット45は、給紙カセット41よりもサイズが大きい。
【0070】
詳しくは、第2の給紙カセット45は、収納するA3サイズの記録紙の短辺方向が装置本体2の奥行き方向Bに沿い、長辺方向が装置本体2の左右方向Aに沿うように記録紙を収容する。したがって、給紙カセット41及び45がそれぞれ収納可能な最大サイズの記録紙を収容した状態において、第2の給紙カセット45内の記録紙3aの奥行き方向Bの長さ(A3の短辺)は、給紙カセット41内の記録紙3の奥行き方向Bの長さ(A4の長辺)と同じである。よって、給紙カセット41及び45の奥行き方向Bの長さは同じに構成されている。
【0071】
一方、給紙カセット41及び45がそれぞれ収納可能な最大サイズの記録紙を収容した状態において、第2の給紙カセット45内の記録紙3aの左右方向Aの長さ(A3の長辺)は、給紙カセット41内の記録紙3の左右方向Aの長さ(A4の短辺)の2倍である。よって、第2の給紙カセット45の左右方向Aの長さは、給紙カセット41の左右方向Aの長さよりも長い。このため、
図6に示された複合機1Aでは、第2の給紙カセット45が、給紙カセット41及び装置本体2よりも平面視で左方向に突出している。フィニッシャー装置70は、装置本体2よりも左右方向Aに突出した第2の給紙カセット45の突出部分46に載置されている。
【0072】
図7に示すように、画像記録部20には、第2の給紙カセット45内の記録紙3aを取り出すための給紙ローラ27cが付加されている。第2の給紙カセット45に収容された記録紙3aは、制御部の駆動信号によって給紙ローラ27cが作動することにより、画像記録部20へ送り込まれる。
【0073】
フィニッシャー装置70は、画像記録部20から排出され、中継ユニット55を介して搬送された記録紙を処理する。フィニッシャー装置70は、外形略矩形の縦長な筐体71と、筐体71内に垂直方向に配列された複数の排紙トレイ73と、複数の排紙トレイ73に排紙原稿を振り分ける切替ガイド機構75を備えている。筐体71の上面は、装置本体2の上面(すなわち、原稿載置板11の上面)と略同じ高さに設定されている。
【0074】
切替ガイド機構75は、駆動ローラ75aと、切替ガイド75bと、各排紙トレイ73に対応した複数の排出ローラ75cを備えており、これらはモータ駆動される。切替ガイド75bと各排出ローラ75cとの間には搬送経路が形成されている。
【0075】
フィニッシャー装置70は、原稿が搬送されてくると、制御部からの駆動信号に基づいて切替ガイド機構75が作動する。切替ガイド機構75は、切替ガイド75bが排紙原稿毎に排紙原稿を送り込む搬送経路を切り替えることにより、所望の排紙トレイ73へ排紙原稿を送り込む。
なお、
図6及び
図7の実施形態では、理解の容易のため、排紙トレイ73が2つのみの場合を示したが、これに限らず、3つ又はそれ以上の排紙トレイを備えてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、ADF30が装置本体2の上面の左端部に配置されているが、フィニッシャー装置70の上部には位置していない。換言すると、ADF30は、少なくとも排紙トレイ73の上方方向の昇降動作を妨げる位置に配置されていない。したがって、本実施形態では、排紙トレイ73が固定された高さに維持されるが、これに限らず、多段構成の排紙トレイ73が上下方向に昇降することにより、排紙原稿を振り分ける構成とすることができる。このような昇降式の振り分け機構を設ける場合、多段構成の排紙トレイ73のうち、少なくとも上方の排紙トレイ73が、原稿載置板11を越えて上方に移動するように構成することができる。
【0077】
また、本実施形態では、フィニッシャー装置70は、排出原稿の仕分け機能を備えているが、これに限らず、ステープラー留め、孔空け等の機能を備えたものであってもよい。
【0078】
このように、本実施形態では、最大記録紙サイズ(A4サイズ)よりも大きな拡張サイズ(A3サイズ)の記録紙を収容する第2の給紙カセット45を設けたことにより、装置本体2から突出する部分46が生じるが、この突出部分46にフィニッシャー装置70を載置することができる。すなわち、本実施形態の複合機1Aは、A3機と同等な設置面積であるにもかかわらずフィニッシャー装置70を備えることができる。
したがって、本実施形態の複合機1Aでは、従来のA3機のようにフィニッシャー装置を追加することにより、更に設置面積が大きくなることがなく、装置全体をコンパクトに構成することができる。
【0079】
また、本実施形態の複合機1Aは、A3機と同等な設置面積であり、A3サイズの原稿の読取処理も行うことができるにもかかわらず、画像読取部10のサイズをA4機と同等のサイズにすることができる。これにより、製造コストを低減することが可能となる。
【0080】
また、本実施形態の複合機1Aでは、装置本体2と独立したフィニッシャー装置70を隣接して配置することができるので、フィニッシャー装置70の高さが装置本体2によって制限されることがない。このため、フィニッシャー装置70は、高さ制限のために各種機能や排紙トレイの数が限定されることもなく、充分な機能を備えることができる。
【0081】
また、本実施形態の複合機1Aでは、ADF30とフィニッシャー装置70が、共に装置本体2の左右方向の同じ側(本例では左側)に配置されているので、装置本体2の同一側でADF30とフィニッシャー装置70から原稿や記録紙を取り出すことができる。なお、ADF及びフィニッシャー装置70を装置本体2の右側に配置した構成としてもよい。
【0082】
次に、
図8を参照して、第2の実施形態の変形例について説明する。
図8に示す複合機1Bは、装置本体2Aが、上記実施形態の複合機1及び1Aの装置本体2(画像読取部10を除いて)と左右対称に構成されている。排出部50A,中継ユニット55Aも、排出部50,中継ユニット55とそれぞれ左右対称に構成されている。
【0083】
また、同様に、給紙部40A(給紙カセット41A,第2の給紙カセット45A)が、給紙部40(給紙カセット41,第2の給紙カセット45)と左右対称に構成されている。このため、突出部分46Aが装置本体2Aの右側に位置し、フィニッシャー装置70A(フィニッシャー装置70と左右対称)も装置本体2Aの右側に位置する。
【0084】
本実施形態では、ADF30と排出部50Aの胴内排出空間51Aとが、装置本体2Aの左右方向の反対側にそれぞれ配置されている(本例では、ADF30が左側、胴内排出空間51Aが右側)。このため、装置本体2Aの剛性の高い構造体部分の上部にADF30が配置されることになるので、装置全体の剛性を高めることができる。なお、ADFを右側、胴内排出空間を左側に配置した構成としてもよい。
【0085】
次に、
図9を参照して、第2の実施形態の更なる変形例について説明する。
図9に示す複合機1Cは、
図8に示した複合機1Bを更に改良したものである。この複合機1Cは、フィニッシャー装置70Aの筐体71Aの上部に延長排紙トレイ37Aを備えている。この延長排紙トレイ37Aは、ADF30が有する排紙トレイ37に隣接し、これと連続するように配置されている。延長排紙トレイ37Aは、その原稿載置面の傾きが排紙トレイ37の原稿載置面の傾きと同角度になるように配置されており、排紙トレイ37の原稿載置領域を延長するように構成されている。
【0086】
例えば、A3サイズの原稿をADF30で読み込む際に、排紙トレイ37だけでは排紙されたA3サイズの原稿を収容しきれない場合がある。このため、本実施形態では、フィニッシャー装置70Aの上部空間を有効利用して、この空間に延長排紙トレイ37Aを設けている。これにより、延長排紙トレイ37Aによって原稿載置領域が拡大されるので、A3サイズの原稿を確実に収容することができる。
【0087】
なお、本実施形態では、フィニッシャー装置70Aの上に、延長排紙トレイ37Aが配置されているが、ADF30の給紙トレイ31の原稿載置領域を拡大するように延長給紙トレイを更に設けてもよいし、延長排紙トレイ37A及び延長給紙トレイの一方のみを設けてもよい。