特許第6032393号(P6032393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032393
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】整流回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   H02M7/12 601B
   H02M7/12 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-87718(P2012-87718)
(22)【出願日】2012年4月6日
(65)【公開番号】特開2013-219903(P2013-219903A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161562
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 朗
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆二
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−022625(JP,A)
【文献】 特開2011−091947(JP,A)
【文献】 特開2009−095083(JP,A)
【文献】 特開2011−024285(JP,A)
【文献】 特開2003−009535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流入力電圧を直流電圧に変換する、いわゆる整流回路であって、交流電源の一端にリアクトルの一端を接続し、前記リアクトルの他端に、ダイオード直列回路を並列接続してなるダイオードブリッジ回路の交流入力の一方を、交流電源の他端に前記ダイオードブリッジ回路の交流入力の他方を、各々接続し、前記ダイオードブリッジ回路の直流出力の端子間に複数のコンデンサを直列接続したコンデンサ直列回路を接続し、前記コンデンサ直列回路の中間接続点と、前記ダイオードブリッジ回路の交流入力の一方及び他方との間を、単一または複数の半導体素子からなり、順方向と逆方向の双方向の電流の導通、遮断を制御可能な双方向半導体スイッチを介して各々接続して構成された整流回路であり、前記ダイオード直列回路の一方を構成するダイオードは、一般整流用ダイオードに比べて逆回復時間の短い、いわゆるファーストリカバリダイオードとし、他方のダイオード直列回路を構成するダイオードは、ファーストリカバリダイオードに比べて逆回復時間が長く、かつ順電圧降下の小さい、いわゆる一般整流用ダイオードとし、前記一般整流用ダイオードで構成されたダイオード直列回路の直列接続点に接続された双方向半導体スイッチは前記交流入力電圧の周波数で、前記ファーストリカバリダイオードで構成されたダイオード直列回路の直列接続点に接続された双方向半導体スイッチは前記交流入力電圧の周波数より高い周波数で、各々駆動することを特徴とする整流回路。
【請求項2】
前記一般整流用ダイオードの代わりにMOSFET(絶縁ゲート電界効果形トランジスタ)を用いたことを特徴とする請求項1に記載の整流回路。
【請求項3】
前記ファーストリカバリダイオードの代わりに、SiC(炭化珪素)によるショットキーバリアダイオードを用いたことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の整流回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体スイッチング素子を用いた整流器の損失低減技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図3に、特許文献1に記載された従来方式の回路を示す。図3において、1は交流電源、2はリアクトル、3〜6はダイオード、7〜10は半導体スイッチであり、ここではMOSFET(絶縁ゲート電界効果形トランジスタ)としている。MOSFETは寄生ダイオード(図示)の存在により逆方向は常に導通状態にある。MOSFETを逆直列接続することにより、順逆両方向の電流の導通、遮断を制御可能な、いわゆる双方向半導体スイッチを構成している。11、12はコンデンサ、13は負荷である。ここで、負荷としてはコンデンサ11又は12と並列接続される場合もある。
【0003】
この回路は交流を直流に変換するいわゆる整流回路であり、入力電流Iinを、交流入力電圧Vinと位相の等しい正弦波波形としつつ、直流出力(PN間)電圧Voutを、交流入力電圧Vinのピーク値より高い所望の値に保つ機能を持つ。
【0004】
以下に、これらの機能を実現するための動作について説明する。
例えば、交流入力電圧Vinが正極性で、かつ電圧関係がVin<Vout/2の場合、双方向半導体スイッチ用MOSFET7〜10のゲートを全てオンすると、ダイオード3と5の接続点U1の電位は直流出力のM点及び交流電源1のV点の電位と等しくなり、U1−V間電圧は0Vとなる。このため、交流電源1→リアクトル2→MOSFET7→MOSFET8→MOSFET10→MOSFET9→交流電源1の経路で電流が流れ、交流電源1の電圧Vinがリアクトル2の両端に印加され、入力電流Iinは増加する。以下、この状態を0電圧モードと称する。
【0005】
次に、MOSFET7をオフすると、交流電源1→リアクトル2→ダイオード3→コンデンサ11→MOSFET10→MOSFET9→交流電源1の経路で電流が流れ、コンデンサ11を充電する。この時、リアクトル2には交流入力電圧Vinとコンデンサ11の電圧Vout/2との差電圧が印加され、入力電流Iinは減少する。この時のU1−V間電圧はコンデンサ11の電圧Vout/2である。以下、この状態を1/2電圧モード1aと称する。
【0006】
また、MOSFET7の代わりにMOSFET10をオフすると、交流電源1→リアクトル2→MOSFET7→MOSFET8→コンデンサ12→ダイオード6→交流電源1の経路で電流が流れ、コンデンサ12を充電する。この時、リアクトル2には交流入力電圧Vinとコンデンサ12の電圧Vout/2との差電圧が印加され、入力電流Iinは減少する。この時のU1−V間電圧はコンデンサC12の電圧Vout/2である。以下、この状態を1/2電圧モード2aと称する。
【0007】
交流入力電圧Vinが正極性で、かつ電圧関係がVin>Vout/2の場合、MOSFET7と8のゲートをオフ、MOSFET9と10のゲートをオンすると、交流電源1→リアクトル2→ダイオード3→コンデンサ11→MOSFET10→MOSFET9→交流電源1の経路で電流が流れ、コンデンサ11を充電する。この時、リアクトル2には交流入力電圧Vinとコンデンサ12の電圧Vout/2との差電圧が印加され、この時は交流入力電圧Vin>コンデンサ11の電圧Vout/2であるので、入力電流Iinは増加する。この時のU1−V間電圧はコンデンサ11の電圧Vout/2である。以下、この状態を1/2電圧モード1bと称する。
【0008】
同様に、MOSFET7と8のゲートをオン、MOSFET9と10のゲートをオフすると、交流電源1→リアクトル2→MOSFET7→MOSFET8→コンデンサ12→ダイオード6→交流電源1の経路で電流が流れ、コンデンサ12を充電し、入力電流Iinは増加する。この時のU1−V間電圧はコンデンサ12の電圧Vout/2である。以下、この状態を1/2電圧モード2bと称する。
【0009】
即ち、上記1/2電圧モード名において、末尾の1はコンデンサ11を充電するモード、2はコンデンサ12を充電するモード、aは入力電流Iinが減少するモード、bは入力電流Iinが増加するモードであることを表す。
【0010】
各々のモードから、MOSFET7〜10のゲートを全てオフすると、交流電源1→リアクトル2→ダイオード3→コンデンサ11→コンデンサ12→ダイオード6→交流電源1の経路で電流が流れ、リアクトル2には交流入力電圧Vinと直流出力電圧Voutとの差電圧が印加される。装置の通常運転状態においては、交流入力電圧Vin<直流出力電圧Voutであり、入力電流Iinは減少する。この時のU1−V間電圧は直流出力電圧Voutである。以下、この状態を全電圧モードと称する。
【0011】
MOSFET7と8、又はMOSFET9と10を高周波でスイッチングさせ、そのオンとオフの時比率を制御することにより、上述のモードを切替えれば、入力電流Iinの波形と大きさを任意に制御できる。これにより、入力電流Iinの波形を正弦波形(ここではリプル分は無視)とし、また負荷電力に応じて入力電流Iinの振幅を制御することで直流出力電圧Voutを所望の値に保つことができる。交流入力電圧Vinが負極性の場合も同様の動作が可能である。この回路は上述のように、U1−V間電圧として、0V、Vout/2、Voutの3つの電圧を持たせることができる、いわゆる3レベル回路である。
【0012】
上述の動作において、例えば入力電流Iinが正で、MOSFET7と8をオンする場合、MOSFET7のゲートをオンすれば、MOSFET8のゲートのオン、オフに関わらず、MOSFET8は寄生ダイオードにより導通状態となるが、さらにMOSFET8のゲートにオン信号を与えることにより、MOSFET8自体にも電流が流れる。ダイオードは電流に関わらず一定値以上の順電圧降下を持つが、MOSFETの順電圧降下は電流に比例する特性があるので、特に電流が小さい時に順電圧降下を低減でき、導通損失低減に効果的である。これは一般に同期整流技術として良く知られている。したがって上述のように電流極性に関わらず、導通させたいMOSFETは全てゲートにオン信号を与える制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−22625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
近年、環境問題等から電源装置にも低損失すなわち高効率であることが求められている。図3の回路において、MOSFETは各々の印加電圧がVout/2であり、直流出力電圧Voutに対する耐圧は必要ないことから、低耐圧で順電圧降下の低いものを用いることができる。さらに、上述のようにMOSFETは順電圧降下が電流に比例するので、電流容量の大きいものを用いるか、並列数を増やせばその分順電圧降下を低減できる。
【0015】
一方、ダイオードの順電圧降下電圧低減には下記の課題がある。
MOSFET7と8が高周波スイッチングを行うとダイオード3と4には高周波電圧が印加され、高周波の電流の導通、遮断を行う。同様に、MOSFET 9と10が高周波スイッチングを行うとダイオード5と6に高周波電圧が印加され、高周波の電流の導通、遮断を行う。特許文献1の図2図3等には両方の双方向半導体スイッチに高周波スイッチングをさせることが示されている。この高周波動作に耐えるために、ダイオード3〜6には逆回復時間(逆電圧印加時の電流遮断時間)の短い、いわゆるファーストリカバリダイオードが用いられる。一方、ファーストリカバリダイオードは、商用周波数の整流に用いられる、いわゆる一般整流用ダイオードよりも順電圧降下が高くなる傾向にある。
【0016】
上述の動作においてMOSFET7〜10が全てオフする全電圧モードでは、入力電流Iinはダイオード2個を通過する。さらに入力電流Iinを正弦波化するにはリアクトル2の両端電圧即ち交流入力電圧Vinと、U1−V間電圧の低周波成分の差電圧が、所定の値になるよう時比率制御が行われる。このため、交流入力電圧Vinの瞬時値が高いときにはU1−V間電圧の低周波成分も高くなり、これに伴い全電圧モードの時比率も大きくなる。交流入力電圧Vinのピーク付近は力率1制御を行っているため、入力電流Iinのピーク付近であり、電流が大きい時にダイオード2個分の電圧降下を生じるため、導通損失がさらに大きくなり、装置全体の効率低下を招く。また、ファーストリカバリダイオードは整流ダイオードより高価である。特にSiC(炭化珪素)によるショットキーバリアダイオードは、逆回復損失をほとんど生じない特性があり、高周波での用途に適しているが、価格は現状では高価である。
従って、本発明の課題は、交流電圧から3レベルの直流電圧を生成する整流回路として、交流入力電流を正弦波化でき、発生損失が小さく、低価格の整流回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の課題を解決するために、第1の発明においては、交流入力電圧を直流電圧に変換する、いわゆる整流回路であって、交流電源の一端にリアクトルの一端を接続し、前記リアクトルの他端に、ダイオード直列回路を並列接続してなるダイオードブリッジ回路の交流入力の一方を、交流電源の他端に前記ダイオードブリッジ回路の交流入力の他方を、各々接続し、前記ダイオードブリッジ回路の直流出力の端子間に複数のコンデンサを直列接続したコンデンサ直列回路を接続し、前記コンデンサ直列回路の中間接続点と、前記ダイオードブリッジ回路の交流入力の一方及び他方との間を、単一または複数の半導体素子からなり、順方向と逆方向の双方向の電流の導通、遮断を制御可能な双方向半導体スイッチを介して各々接続して構成された整流回路であり、前記ダイオード直列回路の一方を構成するダイオードは、一般整流用ダイオードに比べて逆回復時間の短い、いわゆるファーストリカバリダイオードとし、他方のダイオード直列回路を構成するダイオードは、ファーストリカバリダイオードに比べて逆回復時間が長く、かつ順電圧降下の小さい、いわゆる一般整流用ダイオードとし、前記一般整流用ダイオードで構成されたダイオード直列回路の直列接続点に接続された双方向半導体スイッチは前記交流入力電圧の周波数で、前記ファーストリカバリダイオードで構成されたダイオード直列回路の直列接続点に接続された双方向半導体スイッチは前記交流入力電圧の周波数より高い周波数で、各々駆動する。
【0020】
の発明においては、第の発明における、前記一般整流用ダイオードの代わりにMOSFET(絶縁ゲート電界効果形トランジスタ)を用いる。
の発明においては、第1〜第の発明における、前記ファーストリカバリダイオードの代わりに、SiC(炭化珪素)によるショットキーバリアダイオードを用いる。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、交流電源の一端にリアクトルの一端を、前記リアクトルの他端にダイオードブリッジ回路の交流入力の一方を、交流電源の他端に前記ダイオードブリッジ回路の交流入力の他方を、前記ダイオードブリッジ回路の直流出力の端子間にコンデンサ直列回路を、各々接続し、前記コンデンサ直列回路の中間接続点と、前記ダイオードブリッジ回路の交流入力の一方及び他方との間を、双方向半導体スイッチを介して各々接続した整流回路において、前記ダイオード直列回路の一方を構成するダイオードは、ファーストリカバリダイオードとし、他方のダイオード直列回路を構成するダイオードは、一般整流用ダイオードとする。この時、双方向半導体スイッチの一方は交流電源の周波数で、他方は交流電源の周波数より高い高周波でオンオフさせる。
【0022】
この結果、従来のファーストリカバリダイオードに代えて、一般整流用ダイオードを用いることが可能となり、損失低減と低価格化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1の実施例を示す回路図である。
図2】本発明の第2の実施例を示す回路図である。
図3】従来例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の要点は、交流電源の一端にリアクトルの一端を、前記リアクトルの他端にダイオードブリッジ回路の交流入力の一方を、交流電源の他端に前記ダイオードブリッジ回路の交流入力の他方を、前記ダイオードブリッジ回路の直流出力の端子間にコンデンサ直列回路を、各々接続し、前記コンデンサ直列回路の中間接続点と、前記ダイオードブリッジ回路の交流入力の一方及び他方との間を、双方向半導体スイッチを介して各々接続した整流回路において、前記ダイオード直列回路の一方を構成するダイオードは、ファーストリカバリダイオードとし、他方のダイオード直列回路を構成するダイオードは、一般整流用ダイオードとして、双方向半導体スイッチの一方は交流電源の周波数で、他方は交流電源の周波数より高い高周波でオンオフさせている点である。
【実施例1】
【0025】
図1に、本発明の第1の実施例を示す。回路構成は図3に示す従来例と同等であるが、従来例におけるファーストリカバリダイオード5、6を一般整流用ダイオード20、21に置き換えている。この動作は下記の通りである。交流入力電圧Vinが正で、電圧関係がVin<Vout/2の条件では、双方向半導体スイッチを構成するMOSFET9と10のゲートを常にオン信号状態に保ち、双方向半導体スイッチを構成するMOSFET7と8で高周波スイッチングを行う。即ち、従来例で説明した0電圧モードと1/2電圧モード1aを用いる。両モードともダイオード20、21は導通しない。ここでは、1/2電圧モード2aは使用しない。
【0026】
交流入力電圧Vinが正で、電圧関係がVin>Vout/2の条件では、MOSFET9と10のゲートを常にオフ信号状態に保ち、MOSFET7と8で高周波スイッチングを行う。即ち、従来例で説明した1/2電圧モード2bと全電圧モードを用いる。両モードともダイオード21が導通、ダイオード20が非導通の状態に保たれるので、この両モード間で動作している限りはダイオード20、21の導通状態は変わらず、ダイオード20、21には高周波が印加されない。ここでは、1/2電圧モード1bは使用しない。
【0027】
以上の動作によれば、ダイオード21が逆回復動作となるのは交流入力電圧VinがVout/2を下回ってMOSFET9及び10がオンする時で、交流入力電圧の1サイクルに1回だけであり、逆回復時間の長いダイオードを使っても支障はない。
交流入力電圧Vinが負の場合も同様であり、MOSFET9及び10は交流入力電圧Vinの絶対値のVout/2に対する大小関係で、半サイクルに1回ずつオン、オフ動作を行う。この時はMOSFET9のオフ期間にダイオード20が導通する。
【実施例2】
【0028】
図2に、本発明の第2の実施例を示す。第1の実施例におけるダイオード20、21を、MOSFET22、23に置き換えたものである。上述のようにMOSFETはゲートに電圧を与えることで逆方向にも導通し、特に電流が小さい場合に順電圧降下を小さくすることができる。MOSFET9及び10のゲートにオフ信号を与える際、入力電流Iinの極性に応じてMOSFET22又は23の一方のゲートにオン信号を与えることでこれを実現できる。近年、電力変換装置の効率は、定格点での電力変換効率だけではなく、運用期間全体でのエネルギー効率が重視されつつある。例えば、情報機器用電源装置などでは定格電力ぎりぎりの負荷がかかっていることはむしろまれである。これは過負荷による電源ダウンを防止するため余裕を持たせた容量としてあるためであり、このため、50%程度の負荷や軽負荷での効率が重要になる。図2の回路はこのような場合に軽負荷時の効率改善に有効な手段となる。ダイオード20、21を残したまま並列にMOSFET22、23を接続しても良い。
尚、ダイオード3と4もMOSFETに置き換えることが一見可能なように見えるが、実際には導通損失の低いMOSFETは、数百ボルト以上の耐圧のものにおいては寄生ダイオードの逆回復時間が長いなどの理由から、高周波での整流動作に不向きであり、適用は困難である。本発明は整流回路の片側を低周波動作にすることで、数百ボルト耐圧のMOSFETによる整流を可能とした点に特徴がある。
【実施例3】
【0029】
第3の実施例は、実施例1、2におけるファーストリカバリダイオードの代わりに、SiC(炭化珪素)ショットキーバリアダイオードを用いるものである。SiC(炭化珪素)ショットキーバリアダイオードは逆回復動作がないので、スイッチング損失が実施例1や2に比べて一層低減でき、装置の変換効率を向上させることができる。
【0030】
尚、上記実施例には双方向半導体スイッチとしてMOSFETを逆直列接続した構成例を示したが、半導体の種類はMOSFETに限られず、構成は逆阻止形スイッチ素子を逆並列接続した構成、ダイオードとスイッチ素子を組合せた構成などでも実現可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、交流−直流変換回路の損失低減技術の提案であり、直流電源装置、無停電電源装置、電動機駆動用電力変換装置などへの適用が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1・・・交流電源 2・・・リアクトル
3〜6・・・ファーストリカバリダイオード
7〜10、22、23・・・MOSFET
11、12・・・コンデンサ 13・・・負荷
20、21・・・一般整流用ダイオード
図1
図2
図3