特許第6032399号(P6032399)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6032399鉛フリーはんだペースト用フラックス及び鉛フリーはんだペースト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032399
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】鉛フリーはんだペースト用フラックス及び鉛フリーはんだペースト
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/363 20060101AFI20161121BHJP
   B23K 35/26 20060101ALN20161121BHJP
   C22C 13/00 20060101ALN20161121BHJP
   C22C 13/02 20060101ALN20161121BHJP
【FI】
   B23K35/363 C
   B23K35/363 E
   !B23K35/26 310A
   !C22C13/00
   !C22C13/02
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-163365(P2012-163365)
(22)【出願日】2012年7月24日
(65)【公開番号】特開2013-46929(P2013-46929A)
(43)【公開日】2013年3月7日
【審査請求日】2015年2月2日
(31)【優先権主張番号】特願2011-163032(P2011-163032)
(32)【優先日】2011年7月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】久保 夏希
(72)【発明者】
【氏名】小田 剛
(72)【発明者】
【氏名】石賀 史男
【審査官】 市川 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−164992(JP,A)
【文献】 特開2006−075875(JP,A)
【文献】 特開2010−131669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/363
B23K 35/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合ロジン(a1)を含むベース樹脂(A)と、
下記一般式(1)で表されるジオール類(b1)および下記一般式(2)で表される四級炭素含有ジオール(b2)からなり、かつ、(b1)成分と(b2)成分の比率が質量基準で1/11.5/0.7である臭素系活性剤(B)と、
を含有する鉛フリーはんだペースト用フラックス。
【化1】
(式(1)中、破線部はそこに炭素−炭素単結合が存在してよいことを示す。)
【化2】
【請求項2】
(A)成分が更に水添ロジン(a2)を含む、請求項1の鉛フリーはんだペースト用フラックス。
【請求項3】
(A)成分の含有量が20〜60質量%である請求項1または2の鉛フリーはんだペースト用フラックス。
【請求項4】
(B)成分の含有量が0.1質量%〜15質量%である請求項1〜3のいずれかの鉛フリーはんだペースト用フラックス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかのフラックスと鉛フリーはんだ粉末を含有する鉛フリーはんだペースト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛フリーはんだペースト用フラックス及び鉛フリーはんだペーストに関する。
【背景技術】
【0002】
フラックスとは、IC、コンデンサ、抵抗などの電子部品をプリント基板等にはんだ付けする際に用いる材料であり、一般的にベース樹脂、活性剤および溶剤等で構成される。また、電子部品の表面実装には、通常、液状のフラックスとはんだ粉末とを混練しペースト状にしたはんだペースト(クリームはんだ)が賞用されている。はんだペーストは、スクリーン印刷やディスペンサー等によりプリント基板上の電極に塗布され、その上に電子部品を搭載し、プリント基板をリフローすることにより、電子部品が接合される。
【0003】
近年、プリント基板は高密度化の傾向にあり、例えば1608チップ(縦1.6mm、横0.8mm)のように非常に小さな電子部品が汎用されている。特に携帯電話や薄型テレビなどの電装機器には、例えば0402チップ(縦0.4mm、横0.2mm)などの更に微小な部品が使用されつつある。そして電子部品の微小化に伴い、はんだペーストには、プリント基板上の微細な電極パターンに対応した印刷性能が要求されており、その実現のため、昨今、粒子径をより小さくしたはんだ粉末が使用されるに至っている。
【0004】
ところではんだペーストには、リフロー時に流動化し、電極上で平坦化する所謂加熱だれの問題が知られている。この点、高密度表面実装に用いるプリント基板はリード間隔が狭いため、はんだペーストが加熱だれすると、他の電極上で同じく加熱だれしたはんだペーストとの接触が生じ、リフロー後に電極間にはんだブリッジが生じる結果、回路の短絡が発生する。特に、前記したような微粉化されたはんだ粒子は、はんだペースト中の溶剤やベース樹脂と共に電極周囲に流出しやすいため、ブリッジが生じやすい。
【0005】
また、加熱だれにより、電極周囲にボール状のはんだ(所謂はんだボール)が生じることがあり、これがプリント基板より脱落すると、やはり回路が短絡したり、電極間の絶縁抵抗が低下したりして、プリント基板の電気的な信頼性が損なわれてしまう。
【0006】
また、微粒径のはんだ粒子は表面積が大きく、非常に酸化されやすいため、溶融はんだが電極に濡れ難い傾向にある。そこで従来、はんだ粉末表面に生じた酸化被膜を除去し、濡れ性を確保する目的で、イオン性ハロゲン化合物のような活性剤が使用されてきたが、そうした活性剤は反応性が高く、はんだペーストの保存時にはんだ粒子と経時的に反応するため、ペーストの増粘を招くだけでなく、活性剤が消費されることから濡れ性も悪化する。
【0007】
印刷性やはんだ付性に優れ、はんだボールも少ないはんだペーストとしては、例えば、レボピマル酸とアクリル酸のディールスアルダー反応物と所定の臭素系活性剤を含有するクリームはんだが知られているが(特許文献1を参照)、保存安定性が不十分であり、特に大気中でリフローした場合に加熱だれし易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−39584号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、保存安定性に優れており、かつ大気中でリフローしても加熱だれし難い鉛フリーはんだペーストを製造可能な新規なフラックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討した結果、所定のベース樹脂と特定構造の臭素系活性剤成分を組み合わせることにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち本発明は、重合ロジン(a1)を含むベース樹脂(A)、ならびに下記一般式(1)で表されるジオール類(b1)および下記一般式(2)で表される四級炭素含有ジオール(b2)からなり、かつ、(b1)成分と(b2)成分の比率が質量基準で1/11.5/0.7である臭素系活性剤(B)を含有する鉛フリーはんだペースト用フラックス(以下、単にフラックスと略す);
【0012】
【化1】
(式(1)中、破線部はそこに炭素−炭素単結合が存在してよいことを示す。)
【0013】
【化2】
【0014】
ならびに、当該フラックスと鉛フリーはんだ粉末を含有する鉛フリーはんだペースト(以下、単にはんだペーストと略す)、に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のフラックスによれば、保存安定性が良好であるだけでなく、大気中でリフローしても濡れ性に優れ、かつ加熱だれし難いはんだペーストが得られる。それゆえ、該はんだペーストによれば、はんだ付後のはんだブリッジやはんだボールを低減できる。その他、本発明のはんだペーストは特にスクリーン印刷における連続印刷適性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1〜6のはんだペーストの加熱だれ試験後の外観。
図2】比較例1〜4のはんだペーストの加熱だれ試験後の外観。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のフラックスは、重合ロジン(a1)(以下、(a1)成分という。)を含むベース樹脂(A)(以下、(A)成分という。)、ならびに下記一般式(1)で表されるジオール類(b1)(以下、(b1)成分という。)および下記一般式(2)で表される四級炭素含有ジオール(b2)(以下、(b2)成分という。)からなる臭素系活性剤(B)を含有するものである。
【0018】
【化3】
(式(1)中、破線部はそこに炭素−炭素単結合が存在してよいことを示す。)
【0019】
【化4】
【0020】
(A)成分をなす(a1)成分としては、各種公知の重合ロジンを使用することができる。該重合ロジンは、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の原料ロジン類や、その精製物(以下、精製ロジン類という。)を各種公知の方法で重合処理することにより得られる。
【0021】
また、(A)成分には、前記原料ロジン類および精製ロジン類ならびに水添ロジン、ならびにこれらロジン類と多価アルコール(グリセリン、ペンタエリスリトール等)とのエステル化物、ならびにそれらロジン類またはエステル化物とα,β不飽和カルボン酸((メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸等)とのディールス・アルダー反応物といった、(a1)成分以外のロジン系ベース樹脂を含めてよい。これらの中でも特に水添ロジン(以下、(a2)成分という。)が好ましい。
【0022】
(A)成分における(a1)成分の含有量は特に限定されないが、通常は20〜100質量%程度、好ましくは30〜80質量%程度、いっそう好ましくは40〜60質量%である。また、(a2)成分の含有量は、通常80〜0質量%程度、好ましくは70〜20質量%程度、いっそう好ましくは60〜40質量%である。
【0023】
なお、(A)成分には、他にも、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリオレフイン樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂等の合成樹脂類や、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム、ナイロンゴム、ナイロン系エラストマ、ポリエステル系エラストマ等のエラストマ類といった非ロジン系ベース樹脂を含めてよい。
【0024】
(B)成分をなす(b1)成分は下記一般式(1)で表される。
【0025】
【化5】
(式(1)中、破線部はそこに炭素−炭素単結合が存在してよいことを示す。)
【0026】
当該式で表される化合物としては、trans−2,3−ジブロモ−1,4−ブテンジオール、cis−2,3−ジブロモ−1,4−ブテンジオール、および2,3−ジブロモ−1,4−ブタンジオールが挙げられる。これらは1種を単独で使用できるが、特に保存安定性及び耐加熱だれ性の観点より、trans−2,3−ジブロモ−1,4−ブテンジオールおよび2,3−ジブロモ−1,4−ブタンジオールを組み合わせて使用するのが好ましい。
【0027】
(B)成分をなす(b2)成分は下記一般式(2)で表される。
【化6】
【0028】
(B)成分における(b1)成分と(b2)成分の比率は、特に保存安定性及び耐加熱だれ性の観点より、通常、質量基準で1/11.5/0.7程度である。
【0029】
本発明のフラックスは、前記(A)成分および(B)成分、ならびに必要に応じて(B)成分以外の活性剤(以下、(C)成分という。)および各種公知のチキソ剤(以下、(D)成分という。)、ならびにフラックス用溶剤(以下、(E)成分という。)、ならびに必要に応じて酸化防止剤等の添加剤(以下、(F)成分という。)を混合したものである。
【0030】
(C)成分としては、具体的には、例えば、コハク酸、安息香酸、アジピン酸、ステアリン酸、ピコリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン2酸、ダイマー酸等のハロゲン原子非含有カルボン酸類(c1)(以下、(c1)成分という。);2,3−ジブロモコハク酸、2−ブロモコハク酸、2,2−ジブロモアジピン酸等のブロモカルボン酸類(c2)(以下、(c2)成分ということがある。);1−ブロモ−2−ブタノール、1−ブロモ−2−プロパノール、3−ブロモ−1−プロパノール、3−ブロモ−1,2−プロパンジオール、1,4−ジブロモ−2−ブタノール、1,3−ジブロモ−2−プロパノール、2,3−ジブロモ−1−プロパノール等のブロモアルコール類(c3)(前記(B)成分に該当するものを除く。以下、(c3)成分ということがある。);エチルアミン臭素酸塩、ジエチルアミン臭素酸塩、ジエチルアミン塩化水素酸塩、メチルアミン臭素酸塩等のアミン系ブロモ化合物(c4);1−ブロモ−3−メチル−1−ブテン、1,4−ジブロモブテン、1−ブロモ−1−プロペン、2,3−ジブロモプロペン、1,2−ジブロモ−1−フェニルエタン、1,2−ジブロモスチレン、4−ステアロイルオキシベンジルブロマイド、4−ステアリルオキシベンジルブロマイド、4−ステアリルベンジルブロマイド、4−ブロモメチルベンジルステアレート、4−ステアロイルアミノベンジルブロマイド、2,4−ビスブロモメチルべンジルステアレート、4−パルミトイルオキシベンジルブロマイド、4−ミリストイルオキシベンジルブロマイド、4−ラウロイルオキシべンジルブロマイド、4−ウンデカノイルオキシベンジルブロマイド等の活性水素非含有ブロモ化合物(c5)(以下、(c5)成分ということがある。);ステアリルアミン、ジステアリルアミン、ジブチルアミン等のハロゲン原子非含有アミン類(c6)(以下、(c6)成分ということがある。)などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、保存安定性および耐加熱だれ性等の点より、前記(c1)成分が好ましい。
【0031】
(D)成分としては、具体的には、例えば、硬化ひまし油、蜜ロウ、カルナバワックス等の動植物系チキソトロピック剤や、ステアリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸エチレンビスアミド等のアミド系チキソトロピック剤が挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0032】
(E)成分としては、具体的には、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール等の低級アルコール類;ブチルカルビトール、ヘキシルジグリコール、ヘキシルカルビトール等のエーテル系アルコール類;酢酸イソプロピル、プロピオン酸エチル、安息香酸ブチル、アジピン酸ジエチル等のエステル類;n−ヘキサン、ドデカン、テトラデセン等の炭化水素類などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、リフロー時の温度(通常230〜260℃)を考慮すると、通常高沸点である前記エーテル系アルコール類が好ましい。
【0033】
(F)成分としては、具体的には、例えば酸化防止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、p−tert−アミルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0034】
本発明のフラックスにおける各成分の含有量は特に限定されないが、通常は、保存安定性及び耐加熱だれ性の観点より、以下の通りである。(なお、合計量は100質量%を超えない。)
(A)成分:20〜60質量%、好ましくは30〜50質量
(B)成分:0.1〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量
(C)成分:0〜15質量%、好ましくは1〜10質量
(D)成分:3〜10質量%、好ましくは5〜8質量
(E)成分:20〜50質量%、好ましくは30〜45質量
(F)成分:0〜2質量%、好ましくは0.5〜1質量
【0035】
本発明のはんだペーストは、前述のフラックス組成物と粉末状のはんだ合金を、例えばソフナーやプラネタリーミル等の混練器具により混合することにより得られる。はんだ粉末としては、鉛を含有しないものであれば各種公知のものを特に制限なく使用できるが、通常はSnをベースとするはんだ粉末、例えばSn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−Sb系、Sn−Zn系のはんだ粉末が好ましい。また、それらにはAg、Al、Au、Bi、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、In、Ni、P、Pt、Sb、Znの1種または2種以上の元素が含まれていても良い。好適なはんだ粉末としては、例えば、Sn95Sb5(固相線温度238℃、液相線温度241℃)、Sn99.3Cu0.7(同227℃、同228℃)、Sn97Cu3(同227℃、同309℃)、Sn92Cu6Ag2(同217℃、同373℃)、Sn99Cu0.7Ag0.3(同217℃、同226℃)、Sn95Cu4Ag1(同217℃、同335℃)、Sn97Ag3(同221℃、同222℃)、Sn96.3Ag3.7(同221℃、同221℃)等が挙げられる。
【0036】
はんだ粉末の平均粒子径は特に限定されないが、通常は1〜50μm程度、好ましくは15〜40μm程度である。また、はんだ粒子の形状も特に限定されず、球形や不定形であってもよい。なお、球形とは、好ましくは、粉末の縦横のアスペクト比が1.2以内であることを意味する。
【0037】
本発明のはんだペーストは、前記はんだ粉末とフラックスを前記混練器具により混合することにより得られる。また、両成分の使用量は特に限定されないが、通常、はんだ粉末が70〜95質量%程度、フラックスが5〜30質量%程度である。また、得られたはんだペーストの物性は特に限定されないが、例えば粘度は、特に連続スクリーン印刷適性を考慮するならば、スパイラル方式粘度測定法(JIS Z 3284)により得た値が100〜300Pa・s程度、チキソトロピー指数が0.3〜0.7程度であるのが好ましい。
【0038】
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また実施例中、「%」および「部」は特に断りのない限り「質量%」、「質量部」を意味する。
【0039】
(1)フラックスの調製
実施例1〜、比較例1〜4
プラネタリーミルを用い、表1、2に示す原料をそれぞれの部数で混合し、フラックスを調製した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
表1および表2中、各原料の詳細は以下の通りである。
重合ロジン:荒川化学工業(株)製、非水素化物
水添ロジン:荒川化学工業(株)製
アクリル化ロジン:荒川化学工業(株)製、アクリル酸変性ロジン水素化物
trans−2,3−ジブロモ−1,4−ブテンジオール:東京化成工業(株)製
2,3−ジブロモ−1,4−ブタンジオール:シグマ
アルドリッチ ジャパン社製
2,2−ビス(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール:東京化成工業(株)製
セバシン酸:東京化成工業(株)製
ダイマー酸:商品名PRIPOLE 1010、クローダ・ルブリカンツ・ケミカルズ社製
MA−WAX−O:川研ファインケミカル(株)製のアミド系チキソトロピック剤
ヘキシルジグリコール:日本乳化剤(株)製
Irganox1010:チバ・ジャパン(株)製の酸化防止剤
【0043】
実施例1のフラックスと鉛フリーはんだ粉末(Sn96.5%−Ag3.0%−Cu0.5%;平均一次粒子径20〜38μm;山石金属(株)製)を、夫々11.0%及び89.0%となるようソフナーにて混練し、はんだペーストを調製した。他の実施例及び比較例に係るフラックスについても同様にしてはんだペーストを調製した。
【0044】
(1)保存安定性の評価
各はんだペーストについて、調製直後の粘度と、40℃の恒温槽中で24時間保温した後の粘度とを、それぞれ市販のスパイラル方式粘度計(製品名「PCU−205」、共軸二重円筒形回転型、(株)マルコム製)により測定し、以下に示す計算式に基づき、当該はんだペーストの増粘率を算出した。なお、測定は室温で行なった。
【0045】
増粘率=〔(40℃、24時間保温後の10rpmでの粘度−はんだペースト調製直後の10rpmでの粘度)÷(はんだペースト調製直後の10rpmでの粘度)〕×100
【0046】
なお、前記保温条件は温度加速試験を意図したものであり、本試験における増粘率は、0℃〜10℃での三か月以上保管した後の増粘率を概ね再現している。そして、増粘率が10%未満である場合は、測定誤差も考慮して、保存安定性が良好であるとみなした。
【0047】
(2)加熱だれ試験
JIS Z 3284 附属書8に準拠し、加熱だれ試験を実施した(180℃の循風乾燥機にはんだペーストを印刷塗布した銅版を1分間放置)。なお、評価基準は、加熱後のはんだペースト部位の間隔が0.2mm〜0.3mmのものを良好(○)とし、それ以上の間隔のものを不良(×)とした。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
図1
図2