(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電力管理部は、起動している第1の画像形成装置で、次に起動する第2の画像形成装置に保留されているすべての印刷ジョブを実行可能な場合に、前記第2の画像形成装置に保留されているすべての印刷ジョブを前記第1の画像形成装置へ転送させて、これらの印刷ジョブを前記第1の画像形成装置に実行させる
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1つに記載の印刷管理装置。
前記電力管理部は、所定の情報源から前記管轄範囲で使用可能な電力の総量を示す電力使用可能総量情報を取得し、前記電力使用可能総量情報の示す電力量に、設定された使用可能割合を乗じた値を、前記許容値とする
ことを特徴とする請求項13または14に記載の印刷管理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示の技術を電力使用量がピークの時間帯に適用すれば、電力使用量がピークの時間帯に受け付けた印刷ジョブはホールドしておき、電力使用量がピークの時間帯を抜け出たとき、ホールドされている印刷ジョブをまとめて実行する画像形成装置を得ることができる。しかし、大きなオフィスなど、電力の使用量を管理すべき管轄範囲内に、複数台の画像形成装置が存在する環境において上記の技術を適用すると、電力使用量がピークの時間帯を抜け出たとき、管轄範囲内にあるすべての画像形成装置が一斉に起動して印刷を開始するので、途端に電力使用量が上限を超えて、電力不足に陥る恐れがある。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、電力使用量の制限期間中に管轄範囲内の複数台の画像形成装置で保留にされた印刷ジョブを、制限を解除する際に、一斉起動によって電力不足が生じないように実行させることのできる印刷管理装置および印刷システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0009】
[1]所定の管轄範囲の電力使用量に基づいて、管理下の複数台の画像形成装置での印刷を禁止する印刷禁止状態の設定および解除を判定する電力管理部と、
前記印刷禁止状態が設定されている場合に、前記複数台の画像形成装置での印刷ジョブの実行を保留にさせる印刷禁止指示部と、
前記印刷禁止状態が解除される際に、前記保留にされた印刷ジョブを有する
画像形成装置を特定し、特定された画像形成装置を所定の順に交代で起動して、前記保留にされた印刷ジョブを実行させる起動管理部と、
を有する
ことを特徴とする印刷管理装置。
【0010】
上記発明では、管轄範囲の電力使用量が多い間は、管理下の複数台の画像形成装置での印刷が禁止され、その間に受け付けた印刷ジョブは自動的に保留にされる。印刷禁止が解除される際には、保留にされた印刷ジョブが複数台の画像形成装置で一斉に実行されて再び電力不足に陥ることがないように、保留されたジョブを有する画像形成装置を所定の順に交代で起動して印刷を実行させる。
[2]前記印刷禁止指示部は、前記画像形成装置に、前記印刷禁止状態の間に受信したジョブを保存させる
ことを特徴とする[1]に記載の印刷管理装置。
【0011】
[
3]前記印刷禁止指示部は、前記画像形成装置に、前記印刷禁止状態で受け付けた印刷ジョブをRIP処理させ、それによって得たラスターイメージデータを保存させる
ことを特徴とする[1]に記載の印刷管理装置。
【0012】
上記発明では、各画像形成装置は、印刷禁止状態で印刷ジョブを受け付けたとき、RIP(Raster image processor)処理して保存する段階まで実行する。これにより、印刷禁止状態が解除されたとき、印刷を直ちに開始することができる。
【0013】
[
4]前記印刷禁止指示部は、前記印刷禁止状態において前記画像形成装置を省電力モードに移行させ、
前記起動管理部は、起動した画像形成装置を、その画像形成装置に保留にされているすべての印刷ジョブの実行が完了した後に、再び前記省電力モードへ移行させる
ことを特徴とする[1]
乃至[3]のいずれか1つに記載の印刷管理装置。
【0014】
上記発明では、画像形成装置は、印刷禁止状態において省電力モードに移行する。印刷禁止状態が解除される際に起動された画像形成装置は、省電力モードから復帰して保留されている印刷ジョブを実行し、すべての印刷が完了すると、再び省電力モードへ移行する。これにより、同時に起動している画像形成装置の台数が少なくなり、管轄範囲での電力使用量を抑えることができる。
【0015】
[
5]前記保留にされた印刷ジョブを有する画像形成装置を所定の基準で優先順位付けする優先順位付与部をさらに備え、
前記所定の順序は、前記優先順位付与部で付与された優先順位の高い順である
ことを特徴とする[1]乃至[
4]のいずれか1つに記載の印刷管理装置。
【0016】
上記発明では、保留された印刷ジョブを有する画像形成装置を、優先順位に基づく適切な順序で起動することができる。優先順位付けの基準は、保留にされているジョブの数や内容、画像形成装置の消費電力や能力、配置など、任意でよい。
[6]前記優先順位付与部は、各画像形成装置で保留にされている印刷ジョブに基づく優先度から前記優先順位を決定する
ことを特徴とする[5]に記載の印刷管理装置。
【0017】
[
7]前記優先順位付与部は、各画像形成装置で保留にされている印刷ジョブに基づく優先度と、各画像形成装置の消費電力に基づく優先度とから前記優先順位を決定する
ことを特徴とする[
5]に記載の印刷管理装置。
【0018】
上記発明では、保留にされている印刷ジョブに基づく優先度と、画像形成装置の消費電力に基づく優先度の双方を勘案して、画像形成装置の起動順に係る優先順位が決定される。
【0019】
[
8]前記優先順位付与部は、各画像形成装置で保留にされている印刷ジョブに係る印刷量を加味して前記優先順位を決定する
ことを特徴とする
[5]乃至[7]のいずれか1つに記載の印刷管理装置。
【0020】
上記発明では、保留にされている印刷ジョブに係る印刷量が多い画像形成装置ほど、優先順位を高くする。
【0021】
[
9]前記優先順位付与部は、各画像形成装置で保留にされている印刷ジョブの受け付けからの経過時間を加味して前記優先順位を決定する
ことを特徴とする
[5]乃至[8]のいずれか1つに記載の印刷管理装置。
【0022】
上記発明では、保留にしている印刷ジョブを受け付けてからの経過時間(印刷待ち時間)が長い画像形成装置ほど、優先順位を高くする。
【0023】
[
10]前記優先順位付与部は、各画像形成装置で保留されている印刷ジョブにおいて特定の機能が設定されているか否かを加味して前記優先順位を決定する
ことを特徴とする
[5]乃至[9]のいずれか1つに記載の印刷管理装置。
【0024】
上記発明では、特定の機能の設定された印刷ジョブを保留にしている画像形成装置は、優先順位を高くする。特定の機能は、一部の画像形成装置でしか実行できない機能である。
【0025】
[
11]前記優先順位付与部は、各画像形成装置の消費電力の大小を加味して前記優先順位を決定する
ことを特徴とする
[5]乃至[10]のいずれか1つに記載の印刷管理装置。
【0026】
上記発明では、たとえば、消費電力の少ない画像形成装置は優先順位を高く、消費電力の多い画像形成装置は優先順位を低くする。対象とする消費電力は、たとえば、省電力モードから印刷可能な通常状態へ復帰するために必要な消費電力、あるいは、所定サイズの記録紙1枚を印刷するために必要な消費電力などとすることができる。
【0027】
[
12]前記電力管理部は、起動している第1の画像形成装置で、次に起動する第2の画像形成装置に保留されているすべての印刷ジョブを実行可能な場合に、前記第2の画像形成装置に保留されているすべての印刷ジョブを前記第1の画像形成装置へ転送させて、これらの印刷ジョブを前記第1の画像形成装置に実行させる
ことを特徴とする[1]乃至[
11]のいずれか1つに記載の印刷管理装置。
【0028】
上記発明では、既に起動している第1の画像形成装置で、次に起動すべき第2の画像形成装置で保留にされているすべての印刷ジョブを実行可能ならば、それらの印刷ジョブを第2の画像形成装置から第1の画像形成装置へ転送し、第1の画像形成装置で実行する。これにより、第2の画像形成装置の起動を回避でき、起動に要する電力消費を節減することができる。
【0029】
[
13]前記電力管理部は、前記管轄範囲の電力使用量と、前記管轄範囲で使用可能な電力量の許容値との比較に基づいて、前記印刷禁止状態か否かを判断する
ことを特徴とする[1]乃至[
12]のいずれか1つに記載の印刷管理装置。
【0030】
[
14]前記電力管理部は、前記許容値の設定変更を受け付ける
ことを特徴とする[
13]に記載の印刷管理装置。
【0031】
[
15]前記電力管理部は、所定の情報源から前記管轄範囲で使用可能な電力の総量を示す電力使用可能総量情報を取得し、前記電力使用可能総量情報の示す電力量に、設定された使用可能割合を乗じた値を、前記許容値とする
ことを特徴とする
[13]または[14]に記載の印刷管理装置。
【0032】
上記発明では、電力会社のWebページ等で公表されている電力使用量や、企業内のWebページ等の情報源から電力使用可能総量情報を取得し、この値から管轄範囲で使用可能な電力量の許容値を導出する。
【0033】
[16][1]乃至[15]のいずれか1つに記載の印刷管理装置と、
この印刷管理装置に管理される複数台の画像形成装置とを備え、
前記画像形成装置は、前記印刷禁止状態において受け付けた印刷ジョブの実行を保留にし、前記印刷管理装置から起動されたとき、前記保留にした印刷ジョブを実行する
ことを特徴とする印刷システム。
[17]所定の管轄範囲の電力使用量に基づいて、管理下の複数台の画像形成装置での印刷を禁止する印刷禁止状態の設定および解除を判定する電力管理ステップと、
前記印刷禁止状態が設定されている場合に、前記複数台の画像形成装置での印刷ジョブの実行を保留にさせる印刷禁止指示ステップと、
前記印刷禁止状態が解除される際に、前記保留にされた印刷ジョブを有する画像形成装置を特定し、特定された画像形成装置を所定の順に交代で起動して、前記保留にされた印刷ジョブを実行させる起動管理ステップと、
をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする印刷管理プログラム。
[18]前記印刷禁止指示ステップは、前記画像形成装置に、前記印刷禁止状態の間に受信したジョブを保存させる
ことを特徴とする[17]に記載の印刷管理プログラム。
[19]前記印刷禁止指示ステップは、前記画像形成装置に、前記印刷禁止状態で受け付けた印刷ジョブをRIP処理させ、それによって得たラスターイメージデータを保存させる
ことを特徴とする[17]に記載の印刷管理プログラム。
[20]前記印刷禁止指示ステップは、前記印刷禁止状態において前記画像形成装置を省電力モードに移行させ、
前記起動管理ステップは、起動した画像形成装置を、その画像形成装置に保留にされているすべての印刷ジョブの実行が完了した後に、再び前記省電力モードへ移行させる
ことを特徴とする[17]乃至[19]のいずれか1つに記載の印刷管理プログラム。
[21]前記保留にされた印刷ジョブを有する画像形成装置を所定の基準で優先順位付けする優先順位付与ステップをさらに実行させ、
前記所定の順序は、前記優先順位付与ステップで付与された優先順位の高い順である
ことを特徴とする[17]乃至[20]のいずれか1つに記載の印刷管理プログラム。
[22]前記優先順位付与ステップは、各画像形成装置で保留にされている印刷ジョブに基づく優先度から前記優先順位を決定する
ことを特徴とする[21]に記載の印刷管理プログラム。
[23]前記優先順位付与ステップは、各画像形成装置で保留にされている印刷ジョブに基づく優先度と、各画像形成装置の消費電力に基づく優先度とから前記優先順位を決定する
ことを特徴とする[21]に記載の印刷管理プログラム。
[24]前記優先順位付与ステップは、各画像形成装置で保留にされている印刷ジョブに係る印刷量を加味して前記優先順位を決定する
ことを特徴とする[21]乃至[23]のいずれか1つに記載の印刷管理プログラム。
[25]前記優先順位付与ステップは、各画像形成装置で保留にされている印刷ジョブの受け付けからの経過時間を加味して前記優先順位を決定する
ことを特徴とする[21]乃至[24]のいずれか1つに記載の印刷管理プログラム。
[26]前記優先順位付与ステップは、各画像形成装置で保留されている印刷ジョブにおいて特定の機能が設定されているか否かを加味して前記優先順位を決定する
ことを特徴とする[21]乃至[25]のいずれか1つに記載の印刷管理プログラム。
[27]前記優先順位付与ステップは、各画像形成装置の消費電力の大小を加味して前記優先順位を決定する
ことを特徴とする[21]乃至[26]のいずれか1つに記載の印刷管理プログラム。
[28]前記電力管理ステップは、起動している第1の画像形成装置で、次に起動する第2の画像形成装置に保留されているすべての印刷ジョブを実行可能な場合に、前記第2の画像形成装置に保留されているすべての印刷ジョブを前記第1の画像形成装置へ転送させて、これらの印刷ジョブを前記第1の画像形成装置に実行させる
ことを特徴とする[17]乃至[27]のいずれか1つに記載の印刷管理プログラム。
[29]前記電力管理ステップは、前記管轄範囲の電力使用量と、前記管轄範囲で使用可能な電力量の許容値との比較に基づいて、前記印刷禁止状態か否かを判断する
ことを特徴とする[17]乃至[28]のいずれか1つに記載の印刷管理プログラム。
[30]前記電力管理ステップは、前記許容値の設定変更を受け付ける
ことを特徴とする[29]に記載の印刷管理プログラム。
[31]前記電力管理ステップは、所定の情報源から前記管轄範囲で使用可能な電力の総量を示す電力使用可能総量情報を取得し、前記電力使用可能総量情報の示す電力量に、設定された使用可能割合を乗じた値を、前記許容値とする
ことを特徴とする[29]または[30]に記載の印刷管理プログラム。
[32]所定の管轄範囲の電力使用量に基づいて、管理下の複数台の画像形成装置での印刷を禁止する印刷禁止状態の設定および解除を判定する電力管理ステップと、
前記印刷禁止状態が設定されている場合に、前記複数台の画像形成装置での印刷ジョブの実行を保留にさせる印刷禁止指示ステップと、
前記印刷禁止状態が解除される際に、前記保留にされた印刷ジョブを有する画像形成装置を特定し、特定された画像形成装置を所定の順に交代で起動して、前記保留にされた印刷ジョブを実行させる起動管理ステップと、
を有する
ことを特徴とする印刷管理方法。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る印刷管理装置および印刷システムによれば、電力使用量の制限期間中は管轄範囲内の複数台の画像形成装置での印刷出力を禁止させてジョブを保留にさせると共に、印刷禁止を解除するときは、保留されているジョブを、複数台の画像形成装置を交代で順に起動して実行させるので、複数台の画像形成装置が一斉に起動して電力不足に陥ることが防止される。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0037】
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷システム5を示している。印刷システム5は、LAN(Local Area Network)3を通じて、複数の画像形成装置10(10A〜10E)と、複数のPC(Personal Computer)端末40と、電力管理サーバ60とを通信可能に接続して構成される。
【0038】
画像形成装置10Aは、原稿を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷するコピージョブ、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり外部装置へ送信したりするスキャンジョブ、PC端末40から送出されたデータに係る画像を記録紙に印刷して出力する印刷ジョブなどのジョブを実行する機能を備えた、所謂、複合機である。また、画像形成装置10Aは、印刷ジョブの内容によって、印刷後の記録紙に、パンチやステープル等の後処理を行うこともできる。
【0039】
画像形成装置10B、画像形成装置10Cは小型のプリンタ、画像形成装置10D、10Eは小型の複合機である。いずれもPC端末40から受信した印刷ジョブに基づいて印刷を行う機能を備えている。以後、画像形成装置10A〜10Eを総称する、もしくは任意の1台を指す場合は、画像形成装置10と記すものとする。印刷システム5に属する画像形成装置10は、複数台であればよく、その台数は、
図1の例示に限らず、任意でよい。また、画像形成装置10をMFPと記載する場合がある。
【0040】
PC端末40は、印刷システム5に含まれる画像形成装置10に対して印刷ジョブを送信する。
【0041】
電力管理サーバ60は、予め決められた情報源から、使用可能な電力量を示す電力使用可能総量情報を取得する。情報源は、たとえば、電力会社のWebページや企業内情報掲示板等であるが、これに限定されるものではない。また、取得した電力使用可能総量と予め設定された使用可能割合とを演算して、管轄範囲での使用可能電力量を決定する。さらに、予め定めた管轄範囲に設置されている電力使用機器(印刷に関連しない機器を含む)での実測された電力使用量を集計する。たとえば、管轄範囲の照明、エアコン、テレビなどの電力使用量が集計される。なお、
図1に示す印刷システム5も管轄範囲に設置されている電力使用機器の1つである。電力使用量の集計対象には印刷システム5も含まれる。ただし、含めない構成としてもよい。
【0042】
電力管理サーバ60は、使用可能電力量と、集計した電力使用量とを比較し、電力使用量が使用可能電力量を超える場合は、印刷システム5の各画像形成装置10での印刷出力を禁止する。各画像形成装置10は、印刷が禁止されている状態(印刷禁止状態)でPC端末40から印刷ジョブを受信した場合は、受信した印刷ジョブをRIP処理し、該RIP処理によって得たラスターイメージデータを蓄積、保存し、印刷出力は保留にする。電力管理サーバ60は、印刷禁止状態を解除する際に、保留にされた印刷ジョブ(以後、保留ジョブとする)を有する画像形成装置10を所定の基準で優先順位付けし、優先順位の高いものから順に交代で起動して、保留ジョブに係る印刷出力を実行させる。
【0043】
図2は、PC端末40の概略構成図を示す。PC端末40は、当該PC端末40の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)41と、このCPU41に接続されたROM(Read Only Memory)42と、RAM(Random Access Memory)43と、不揮発メモリ44と、ハードディスク装置45と、表示部46と、操作部47と、ネットワークI/F部48とを備えて構成されている。
【0044】
CPU41はOS(Operating System)プログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどが実行される。ROM42には各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU41が処理を実行することで、ジョブの送信などPC端末40の各機能が実現される。RAM43はCPU41がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリなどとして使用される。
【0045】
不揮発メモリ44は、電源がオフにされても記憶が保持できる書き換え可能なメモリ(フラッシュメモリ)である。不揮発メモリ44には、端末固有の情報や各種の設定情報などが記憶される。ハードディスク装置45は、大容量の不揮発の記憶装置であり、OSプログラムや各種アプリケーションプログラム、ジョブに係る情報履歴、などが保存される。
【0046】
表示部46は、液晶ディスプレイ(LCD…Liquid Crystal Display)などで構成されており、各種の操作、設定に係る内容を表示する機能を果たす。操作部47は、ユーザからのジョブの投入や設定の変更など、各種の操作を受け付ける機能を果たす。操作部47は、キーボードやマウスなどを備えて構成される。
【0047】
ネットワークI/F部48は、LAN3などのネットワークを通じて接続されている他の外部装置などと通信を行う。ジョブの送信はネットワークI/F部48を通じて行う。
【0048】
図3は、電力管理サーバ60の概略構成図を示す。電力管理サーバ60は、CPUを含む制御部61と、ROM62と、RAM63と、記憶部64と、ネットワークI/F部65とを備えて構成されている。電力管理サーバ60の制御部61は、電力使用可能総量情報取得部66と、使用電力量測定部67と、電力管理部68と、印刷禁止指示部69と、優先順位付与部70と、起動管理部71としての機能を果たす。
【0049】
ROM62には各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従って制御部61が処理を実行することで、電力管理サーバ60の各機能が実現される。RAM63は制御部61がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリなどとして使用される。
【0050】
記憶部64は、大容量の不揮発の記憶装置であり、印刷システム5の各画像形成装置10の消費電力情報(立ち上げ時の消費電力、所定サイズの記録紙(たとえば、A4)1枚を印刷するために必要な消費電力など)、電力管理サーバ60に固有の情報や各種の設定情報、取得した電力使用可能総量情報、使用可能電力量を電力使用可能総量の何パーセントにするかの設定値、などが記憶される。
【0051】
ネットワークI/F部65は、LAN3などのネットワークを通じて接続されている他の外部装置などと通信を行う。
【0052】
電力使用可能総量情報取得部66は、予め決められた情報源から、電力使用可能総量情報を取得する。情報源とは、電力会社のWebページや、企業内のWebページ等である。
【0053】
使用電力量測定部67は、当該電力管理サーバ60に係る所定の管轄範囲における電力使用量の実測値を取得する。たとえば、管轄範囲内の各電気機器(印刷システム5以外の電気を使用する機器を含む)に対応させて電力計測機を設置し、各電力計測機の計測値をネットワーク経由で収集して合計し、管轄範囲内の全体の電力使用量を求める。
【0054】
電力使用可能総量情報の取得や電力使用量の測定は、それぞれ所定の周期で繰り返し行われる。たとえば、電力使用可能総量情報の取得は2時間ごとに、電力使用量の測定は10分ごとに行われる。周期は設定変更可能になっている。
【0055】
電力管理部68は、電力使用可能総量情報取得部66が取得した電力使用可能総量情報に基づく電力量と、使用電力量測定部67が取得した実際の電力使用量とを比較して、画像形成装置10での印刷を禁止する印刷禁止状態を設定するか解除するかを判定する。ここでは、電力使用可能総量情報が示す電力使用可能総量に所定の使用可能割合を乗じて得た使用可能電力(許容値)を電力使用量が超えたとき、印刷禁止状態に設定すると判定し、電力使用量が使用可能電力以下になったとき、印刷禁止状態を解除すると判定する。使用可能割合は、管理者等により設定変更可能になっている。
【0056】
印刷禁止指示部69は、電力管理部68の判定結果が印刷禁止状態の設定である場合に、印刷システム5の各画像形成装置10に対して印刷禁止状態に移行する指示を送信し、印刷の実行を禁止させる。
【0057】
優先順位付与部70は、印刷禁止状態を解除すると判定された場合に、印刷禁止状態の間に保留にされた印刷ジョブを有する画像形成装置10を所定の基準で優先順位付けする。たとえば、保留しているジョブの数、消費電力の大小などに基づいて優先順位を付与する。
【0058】
起動管理部71は、優先順位付与部70で付与された優先順位の高い画像形成装置10から順に交代で起動して、保有にされている印刷ジョブに係る印刷を、その起動した画像形成装置10に実行させる。
【0059】
図4は、画像形成装置10Aの概略構成図を示す。画像形成装置10B〜10Eは、後処理装置を具備しない点を除き、画像形成装置10Aと基本的に同一構成(速度やサイズの相違はある)であり、それらの説明は省略する。
【0060】
画像形成装置10Aは、当該画像形成装置10Aの動作を制御するCPU11と、このCPU11に接続されたROM12と、RAM13と、不揮発メモリ14と、ハードディスク装置15と、表示部16と、操作部17と、ネットワークI/F部18と、画像読取部19と、給紙部20と、印刷部21と、ADF(Auto Documennt Feeder)22と、後処理部23とを備えて構成されている。
【0061】
CPU11はOSプログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどが実行される。ROM12には各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU11が処理を実行することでジョブの実行など画像形成装置10Aの各機能が実現される。RAM13はCPU11がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを格納する画像メモリなどとして使用される。
【0062】
不揮発メモリ14は、電源がオフにされても記憶が保持できる書き換え可能なメモリ(フラッシュメモリ)である。不揮発メモリ14には、装置固有の情報や各種の設定情報などが記憶される。ハードディスク装置15は、大容量の不揮発の記憶装置であり、OSプログラムや各種アプリケーションプログラム、印刷データや画像データ、ジョブに係る情報履歴などが保存される。
【0063】
表示部16は、液晶ディスプレイなどで構成されており、各種の操作、設定に係る内容を表示する機能を果たす。操作部17は、ユーザからのジョブの投入や設定の変更など、各種の操作を受け付ける機能を果たす。操作部17は、表示部16の画面上に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルのほか、画面外にテンキーや文字入力キー、スタートキーなどを備えて構成される。
【0064】
ネットワークI/F部18は、LAN3などのネットワークを通じて接続されている他の外部装置などと通信を行う。
【0065】
画像読取部19は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する機能を果たす。画像読取部19は、たとえば、原稿台にセットした原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動手段と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学経路、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0066】
給紙部20は、印刷を行う際に用紙を自動的に印刷位置にセットする自動給紙機能を果たす。給紙トレイにセットしておいた単票用紙(記録紙)を連続で供給するカットシードフィーダや、単票用紙(記録紙)を1枚ずつ手差しで供給するシートガイド等で構成される。
【0067】
印刷部21は、画像データに応じた画像を記録紙上に画像形成する機能を果たす。ここでは、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザーユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置などを有し、電子写真プロセスによって画像形成を行う、所謂、レーザープリンタとして構成されている。画像形成は、インクジェット方式や、他の方式でもかまわない。
【0068】
ADF22は、画像を読み取る際に、複数枚の原稿を連続して原稿台に送る自動給紙装置としての機能を果たす。これにより、一度に30枚程度の原稿をセットすることが可能で、原稿を読み取るごとに原稿台にセットし直す必要がなくなる。
【0069】
後処理部23は、画像形成済みの記録紙に対して、ステープル、パンチ、紙折り、糊付け製本等の後処理を行う。実行される後処理の内容は、受信した印刷ジョブに基づいて行われる。
【0070】
次に、電力管理サーバ60及び画像形成装置10で行われる処理の流れについて説明する。
【0071】
図5は、印刷ジョブをPC端末40から受信したときの画像形成装置10の動作を示している。画像形成装置10は、印刷ジョブを受信すると(ステップS101)、印刷ジョブに係る印刷データをビットマップ形式のイメージデータに展開するRIP処理を行い、そのイメージデータを保存する(ステップS102)。次に、印刷禁止状態か否かを調べ(ステップS103)、印刷禁止状態でなければ(ステップS103;No)、ステップS102で保存したイメージデータを読み出し、対応する画像を記録紙に印刷して(ステップS104)処理を終了する。印刷禁止状態ならば(ステップS103;Yes)、保存したイメージデータを後に印刷出力するためのジョブである保留ジョブを生成し保存して(ステップS105)、処理を終了する。
【0072】
図6は、電力管理サーバ60から各種の指示を受信した場合の画像形成装置10の動作を示す。電力管理サーバ60から印刷禁止状態への移行指示を受信すると(ステップS201;Yes)、自装置の状態を印刷禁止状態へ移行させる(ステップS202)。印刷禁止状態では消費電力の極めて少ない省電力モードに移行する。省電力モードは、通信やRIP処理に係る部分は動作するが、印刷出力するための部分、たとえば定着装置など、への通電は停止され、消費電力の少ない状態となる。
【0073】
電力管理サーバ60から、印刷禁止状態の間に保留にしたジョブ(保留ジョブ)に関する情報の収集要求を受信した場合は(ステップS203;Yes)、保留ジョブに関する情報を電力管理サーバ60へ送信する(ステップS204)。この情報は、各保留ジョブの内容、たとえば、ページ数、部数、印刷設定、後処理設定、ジョブのオーナー、対応する印刷ジョブを受信した時刻あるいは保留ジョブの生成された時刻、などを示す。
【0074】
電力管理サーバ60から保留ジョブの実行指示を受けたときは(ステップS205;Yes)、省電力モードから印刷出力の可能な通常状態へ復帰し、保留ジョブを順次実行して印刷出力を行う(ステップS206)。すべての保留ジョブの実行が完了すると、出力完了を電力管理サーバ60へ通知し、その後、省電力モードへ再び移行する(ステップS207)。
【0075】
電力管理サーバ60から印刷禁止状態の解除指示を受けた場合は(ステップS208;Yes)、印刷禁止状態を解除する(ステップS209)。なお、印刷禁止状態を解除しても積極的には省電力モードを解除しない。印刷禁止状態が解除されている状態で印刷ジョブを受信したような場合に、通常状態に復帰するようになっている。
【0076】
図7は、電力管理サーバ60の動作を示す流れ図である。まず、予め決められた情報源より電力使用可能総量情報を取得する(ステップS301)。次に、取得した電力使用可能総量情報の示す電力使用可能総量に、設定された使用可能割合を乗じて、管轄範囲内での使用可能電力量を求める(ステップS302)。
【0077】
次に、管轄範囲内の各種電気機器での電力使用量を測定し、集計する(ステップS303)。集計して得た電力使用量と使用可能電力量とを比較し(ステップS304)、電力使用量>使用可能電力量であって現時点で印刷禁止状態が設定されていない場合は(ステップS304;Yes)、印刷禁止状態に設定すると判定し、各画像形成装置10に対して印刷禁止状態への移行指示を出力する(ステップS305)。電力使用量>使用可能電力量であっても既に印刷禁止状態が設定されている場合は移行指示の再出力は行わない。
【0078】
電力使用量>使用可能電力量でなく、かつ現時点で印刷禁止状態が設定されている場合は(ステップS304;No)、印刷禁止状態を解除すると判定して、以下の処理を行う。なお、電力使用量>使用可能電力量であっても既に印刷禁止状態が解除されている場合には、以下の処理は行わない。
【0079】
まず、各画像形成装置10へ保留ジョブ情報の収集要求を送信して、その応答として各画像形成装置10から保留ジョブ情報を受信し、収集する(ステップS306)。次に、複数台の画像形成装置10の中で保留ジョブを蓄積している画像形成装置10に優先順位を付与する(ステップS307)。そして、優先順位の高い画像形成装置10から順に交代で起動して、保留ジョブに係る印刷を実行させる(ステップS308)。ただし、保留ジョブを蓄積していない画像形成装置10は起動対象から除外し、起動しない。保留ジョブを蓄積していたすべての画像形成装置10において保留ジョブの実行が完了したら、印刷禁止状態の解除指示を各画像形成装置10へ送信して(ステップS309)、ステップS304へ戻る。
【0080】
図8は、
図7のステップS307(優先順位決定処理)の詳細を示している。まず、保留ジョブを蓄積している画像形成装置10に対して、その蓄積している保留ジョブの状況に応じてポイントを与えるジョブポイント処理を行う(ステップS401)。なお、優先順位はポイントの大小に基づいて決定される。
【0081】
次に、保留ジョブを蓄積している画像形成装置10に対して、それぞれの電力消費に関する性能に基づいてポイントを付与するエンジンポイント処理を行う(ステップS402)。そして、保留ジョブを蓄積している画像形成装置10別に、ジョブポイント処理で与えたポイント(ジョブポイント)とエンジンポイント処理で与えたポイント(エンジンポイント)の合計値を求め、合計値が多い画像形成装置10ほど優先順位が高くなるようにして、それらの画像形成装置10に優先順位を付与する(ステップS403)。
【0082】
その後、保留ジョブを蓄積している画像形成装置10の配置エリアに基づいて優先順位を補正して(ステップS404)、本処理を終了する(リターン)。なお、ステップS404を省略して、配置エリアを考慮しない構成としてもよい。
【0083】
図9は、ジョブポイント処理(
図8;ステップS401)の詳細を示している。この処理は、保留ジョブを蓄積している画像形成装置10を対象に行われる。保留ジョブを蓄積している画像形成装置10の中から、本処理が未処理の任意の1台を対象機に選択する(ステップS421)。次に、対象機の画像形成装置10に蓄積されている保留ジョブの中で、以下の加点処理(ステップS423〜S427)が未処理の保留ジョブを1つ選択する(ステップS422)。
【0084】
その選択した保留ジョブのページ数、部数など印刷量に応じたポイントを対象機のジョブポイントに加点する(ステップS423)。次に、この保留ジョブの受付からの経過時間(印刷待ち時間)に応じたポイントを対象機のジョブポイントに加点する(ステップS424)。
【0085】
続いて、この保留ジョブの印刷条件に特殊機能が設定されている場合は、その特殊機能の種類に応じたポイントを対象機のジョブポイントに加点する(ステップS425)。特殊機能は、印刷システム5の管理下にある画像形成装置10A〜10Eの中の一部の装置でしか実行できない機能であり、たとえば、画像形成装置10Aのみが有する後処理装置を必要とする機能などである。特殊機能に対するポイントは一律としてもよいが、その特殊機能を実行可能な画像形成装置10の台数が少ないほど高いポイントを付与するようにしてもよい。
【0086】
次に、この保留ジョブのオーナー(ジョブを投入したユーザ)に応じたポイントを対象機のジョブポイントに加点する(ステップS426)。たとえば、社長や重役など予め定められたユーザが保留ジョブのオーナーの場合に、ジョブポイントを加点する。なお、この項目に係る加点は、他の項目に係る加点よりも十分大きく設定される。
【0087】
最後に、保留ジョブ単位の基本ポイントを対象機のジョブポイントに加点する(ステップS427)。これは、保留ジョブの数に応じた加点を行うためである。
【0088】
以上のようにして1つの保留ジョブに対する加点処理が完了したら、対象機に蓄積されているすべての保留ジョブについて加点処理が完了したか否かを調べ(ステップS428)、未処理の保留ジョブがあれば(ステップS428;No)、ステップS422に戻って処理を継続する。
【0089】
すべての保留ジョブについて加点処理が完了した場合は(ステップS428;Yes)、対象機の画像形成装置10に与えたポイントの合計点をこの画像形成装置10のジョブポイントとして登録する(ステップS429)。その後、保留ジョブを蓄積しているすべての画像形成装置10に対して本処理が終了しているかを調べ(ステップS430)、未処理の画像形成装置10があれば(ステップS430;No)、ステップS421に戻って処理を継続する。未処理の画像形成装置10がなければ(ステップS430;Yes)、本処理を終了する。
【0090】
図10は、エンジンポイント処理(
図8;ステップS402)の詳細を示している。この処理は、保留ジョブを蓄積している画像形成装置10を対象に行われる。保留ジョブを蓄積している画像形成装置10の中から、本処理が未処理の任意の1台を対象機に選択する(ステップS441)。
【0091】
次に、対象機の画像形成装置10を省電力モードから印刷可能な通常状態へ立ち上げるために必要な消費電力の大小に応じたポイントを対象機のエンジンポイントに加点する(ステップS442)。ここでは、消費電力が小さいほど、大きいポイントが加点される。
【0092】
対象機の画像形成装置10で所定サイズ(たとえば、A4)の記録紙1枚に印刷するために必要な消費電力の大小に応じたポイントを対象機のエンジンポイントに加点する(ステップS443)。ここでは、消費電力が小さいほど、大きいポイントが加点される。
【0093】
続いて、対象機の画像形成装置10に後処理装置が接続されているか否かを調べ(ステップS444)、後処理装置が接続されていなければ(ステップS444;No)、所定のポイントを対象機のエンジンポイントに加点して(ステップS445)、ステップS447へ移行する。一方、後処理装置が接続されている場合は(ステップS444;Yes)、その後処理装置の消費電力(たとえば、定格消費電力)の大小に応じたポイントを対象機のエンジンポイントから減点して(ステップS446)、ステップS447へ移行する。ここでは、消費電力が大きいほど、大きいポイントが減点される。
【0094】
ステップS447では、対象機の画像形成装置10に与えたエンジンポイントの合計点をこの画像形成装置10のエンジンポイントとして登録する。その後、保留ジョブを蓄積しているすべての画像形成装置10に対して本処理が終了しているかを調べ(ステップS448)、未処理の画像形成装置10があれば(ステップS448;No)、ステップS441に戻って処理を継続する。未処理の画像形成装置10がなければ(ステップS448;Yes)、本処理を終了する。
【0095】
次に、配置エリアによる優先順位の補正について説明する。
【0096】
印刷システム5に属する複数の画像形成装置10は、たとえば、広いオフィスなどの管轄範囲に分散して配置される。管轄範囲は複数の配置エリアに分割して管理されており、各画像形成装置10の設置されている配置エリアは予め電力管理サーバ60に登録されている。
【0097】
図11は、広いオフィス80における配置エリアおよび複数台の画像形成装置10の配置例を示している。なお、配置の説明において複数台の画像形成装置10を区別するためにa〜fの符号を与えている。
図11の例では、エリア1に画像形成装置c、エリア2に画像形成装置bとeとf、エリア3に画像形成装置a、エリア4に画像形成装置dが配置されている。
【0098】
優先順位補正処理では、ジョブポイントおよびエンジンポイントに基づいて決定された優先順位の連続している画像形成装置10が同じ配置エリアに設置されている場合に、優先順位を補正する。
【0099】
図12(a)は、補正前の優先順位に従って、画像形成装置a〜fとそれぞれの配置エリアを登録した優先順位リストの例を示している。印刷禁止状態を解除する際に、
図12(a)の優先順位リスト82に登録されている順に、交代で画像形成装置を起動すると、最初に、配置エリア2に設置されている優先順位(1)の画像形成装置bが起動され、この画像形成装置bに蓄積されているすべての保留ジョブに係る印刷が実行される。これに続いて、同じ配置エリア2に設置されている優先順位(2)の画像形成装置eが起動され、これに蓄積されているすべての保留ジョブに係る印刷が実行され、さらに、その次も、同じ配置エリア2に設置されている優先順位(3)の画像形成装置fが起動されて保留ジョブに係る印刷が実行される。
【0100】
このように同じ配置エリアに設置されている画像形成装置が連続して起動されると、配置エリアの観点からは、起動される画像形成装置に偏りが生じてしまい、他の配置エリアに設置された画像形成装置へ印刷ジョブを投入したユーザは長く待たされてしまう。
【0101】
そこで、優先順位補正処理では、同じ配置エリアの画像形成装置10が連続して起動されないように、優先順位を入れ替えて補正する。ここでは、優先順位Nの画像形成装置と優先順位N+1の画像形成装置の配置エリアが同一の場合に、優先順位Nの画像形成装置と異なる配置エリアに設置されている画像形成装置の中で最も優先順位の高いもの(ただし優先順位N+1以下)を選択し、これを優先順位N+1の位置に移動させて挿入する。
【0102】
図11、
図12の例では、まず、配置エリア3にある優先順位(4)の画像形成装置aを優先順位(2)の位置に移動させて挿入する(
図12(a)→(b))。この補正を行った後の
図12(b)においても、まだ優先順位(3)の画像形成装置eとその次の優先順位(4)の画像形成装置fとが同じ配置エリア2なので、さらに優先順位の入れ替えを行う。すなわち、配置エリア4にある優先順位(5)の画像形成装置dを優先順位(4)の位置に移動させて挿入する(
図12(b)→(c))。
【0103】
図12(c)に示す補正後の優先順位リストに従って画像形成装置a〜fを交代で起動すれば、起動される画像形成装置の配置エリアは、2→3→2→4→2→1、のように遷移し、同じ配置エリアにある画像形成装置が続いて起動されることが防止される。
【0104】
図13は、優先順位補正処理(
図8;ステップS404)の詳細を示している。まず、保留ジョブが蓄積されている画像形成装置10を特定し(ステップS461)、それらの優先順位リスト(ジョブポイントおよびエンジンポイントに基づいて決定された優先順位に対応した優先順位リスト)を作成する(ステップS462)。次に、N=1に初期化する(ステップS463)。
【0105】
優先順位リストにおいて、優先順位Nと優先順位N+1の画像形成装置10の配置エリアを比較する(ステップS464)。これらの配置エリアが異なれば(ステップS464;No)、ステップS466へ移行する。優先順位Nと優先順位N+1の画像形成装置10の配置エリアが同じならば(ステップS464;Yes)、これらとは異なる配置エリアにある画像形成装置10の中で優先順位の最も高い画像形成装置10(ただし、優先順位N+1より下)を選定し、これを優先順位リスト上で優先順位N+1の位置へ移動させて挿入し(ステップS465)、ステップS466へ移行する。
【0106】
ステップS466では、Nを「+1」する。そして、優先順位リストの末尾まで配置エリアの比較が完了したか否かを調べ(ステップS467)、未完了ならば(ステップS467;No)、ステップS464に戻って処理を継続する。完了ならば(ステップS467;Yes)、優先順位リストを確定して(ステップS468)、本処理を終了する。
【0107】
以上のように、本実施の形態に係る印刷システム5では、管轄範囲内の電気機器による合計の電力使用量が、この管轄範囲内に対して許容された電力使用可能総量に設定値を乗じて得た使用可能電力量を越える場合に、当該印刷システム5が管理する全ての画像形成装置10での印刷出力を自動的に禁止するので、ユーザが、電力使用のピーク時を調べ、該当する期間に印刷を止めるといった管理や操作を行う必要がなく、電力使用量の管理者等の手間を軽減することができる。
【0108】
また、電力使用のピークの時間帯を外れた場合に、一度に全ての画像形成装置10を起動して保留ジョブを実行させると、再び電力不足に陥る可能性があるが、本実施の形態に係る印刷システム5では、画像形成装置を交代で起動して保留ジョブを実行させるので、そのような事態を回避することができる。
【0109】
また、印刷ジョブおよびエンジンの消費電力に関する性能などに基づいて優先順位を付与し、優先順位の高い順に画像形成装置を交代で起動するので、より適切な順に画像形成装置を起動することができる。さらに、配置エリアを考慮して優先順位を補正することで、エリア的にも偏りを抑えた順序で画像形成装置を起動することができる。
【0110】
また、保留ジョブを蓄積していない画像形成装置は起動されないので、無駄な起動が防止される。
【0111】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0112】
本発明の実施の形態では、優先順位に従って1台ずつ画像形成装置10を交代で起動する例を示したが、複数台の画像形成装置10を同時に稼動させても電力使用量が使用可能電力量(許容値)を超えない場合は、優先順位に従って複数台を起動するようにしてもよい。たとえば、優先順位従って次に起動する画像形成装置が消費電力の少ない小型のものであり、その次の優先順位の画像形成装置も小型であってこれをさらに起動しても、電力使用量が使用可能電力量(許容値)内ならば、これら2台の画像形成装置を一度に起動する、というように制御してもよい。
【0113】
実施の形態では、印刷禁止状態の間に受信した印刷ジョブについてRIP処理まで行うようにしたが、RIP処理を行わず、受信した印刷ジョブをそのまま保存して保留するようにしてもよい。
【0114】
また、電力管理サーバ60は、今回起動して保留ジョブを実行させる画像形成装置(第1の画像形成装置とする)において、優先順位が次の画像形成装置(第2の画像形成装置とする)に蓄積されているすべての保留ジョブを実行可能な場合(たとえば、必要な後処理をすべて実行できる場合)は、第2の画像形成装置に蓄積されている保留ジョブをすべて第1の画像形成装置へ転送させ、これら転送した保留ジョブを第1の画像形成装置に実行させて第2の画像形成装置を起動しないように制御してもよい。
【0115】
実施の形態では、各画像形成装置10でRIP処理を行って保留ジョブを蓄積するようにしたが、出力先の画像形成装置が指定された印刷ジョブの受け付け、RIP処理、保留ジョブの蓄積などはネットワーク上のプリントサーバが行うように構成されてもよい。電力管理サーバ60は、印刷禁止状態を解除する際に、プリントサーバに蓄積されている保留ジョブの情報に基づいて、保留ジョブの出力先に指定されている画像形成装置に優先順位を付与し、これらを交代で順に起動して保留ジョブに係る印刷を実行させるようにしてもよい。さらには、プリントサーバの機能を電力管理サーバ60が具備するように構成されてもよい。
【0116】
電力管理サーバ60の機能は、いずれか1台の画像形成装置10に組み込まれてもよい。
【0117】
管轄範囲の電力使用機器は、たとえば、照明や、エアコン、床暖房等、電力会社から供給される電力を使用して稼動するものであればよい。電力管理サーバ60は、それらの全ての機器の電力使用量を測定・管理してもよいし、消費電力の多いものだけを選択して電力使用量を測定・管理してもよい。
【0118】
所定の情報源は、本発明の実施の形態で説明したものに限らない。また、取得する情報は、電力使用可能総量情報のみに限らず、他の情報も同時に取得してもよい。たとえば、電力使用可能総量情報の他にも、印刷システム5が設置されている領域以外の領域での電力使用情報や、過去の電力使用情報等を取得し、それらの情報も参照して使用可能電力量を決定してもよい。
【0119】
実施の形態では、印刷禁止状態において画像形成装置10を省電力モードへ移行させたが、電力モードは通常状態としておき、単に印刷の実行を禁止するようにしてもよい。