(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032411
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】リン酸第二鉄含水和物粒子粉末の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 25/37 20060101AFI20161121BHJP
H01M 4/58 20100101ALI20161121BHJP
【FI】
C01B25/37 Z
H01M4/58
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-239190(P2012-239190)
(22)【出願日】2012年10月30日
(65)【公開番号】特開2014-88283(P2014-88283A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000251196
【氏名又は名称】燐化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真由美
(72)【発明者】
【氏名】作道 千枝
(72)【発明者】
【氏名】金子 直征
(72)【発明者】
【氏名】時高 伸二
【審査官】
浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/030786(WO,A1)
【文献】
米国特許第04374109(US,A)
【文献】
特開2007−044639(JP,A)
【文献】
特表昭59−501902(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第102205953(CN,A)
【文献】
化学大辞典5,1979年11月10日,666ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 25/00−25/46
H01M 4/00−4/62
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化鉄粒子粉末または含水酸化鉄粒子粉末とリン化合物とを溶液中で反応してリン酸第二鉄含水和物を製造する方法において、
モル換算でP/Fe比が1〜10の範囲、反応濃度0.1〜3.0mol/L(Fe濃度換算)で反応し、リン酸第二鉄含水和物を種晶として用い、種晶の量が酸化鉄粒子粉末または含水酸化鉄粒子粉末に対して0.005〜5質量パーセントであり、種晶のメジアン径D50が5〜10μmであることを特徴とする製造方法であって、
板状の一次粒子が凝集した二次粒子からなり、メジアン径D50が5〜20μmであるリン酸第二鉄含水和物を製造する方法。
【請求項2】
前記種晶の形状が、板状の一次粒子が凝集して二次粒子を構成することを特徴とする請求項1に記載のリン酸第二鉄含水和物の製造方法。
【請求項3】
前記種晶が、メタストレング石構造であることを特徴とする請求項1または2に記載のリン酸第二鉄含水和物の製造方法。
【請求項4】
前記種晶の添加時の状態が粉体、又は、水もしくはリン化合物を含むスラリーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリン酸第二鉄含水和物の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法であって、単峰性の粒度分布を有するリン酸第二鉄含水和物粒子粉末の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法であって、結晶構造がストレング石構造およびメタストレング石構造のうち少なくとも一種であるリン酸第二鉄含水和物粒子粉末の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリビン型リン酸鉄リチウム粒子の前駆体として良好な結晶性リン酸第二鉄含水和物粒子粉末およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境への配慮から二酸化炭素削減に向けて多くの取り組みが行われており、一つの取り組みとして電気エネルギーを化学エネルギーとして蓄積可能な蓄電池が注目されている。その中でも高エネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池が注目されている。しかし主に正極材料に使用されているコバルト酸リチウムは希少金属のため高価であり供給安定性へ課題がある他、熱暴走・発火事故報告など安全性への問題、毒性が高いことが指摘されている。
一方、正極材料として知られているオリビン型リン酸鉄リチウムはコバルト酸リチウムに匹敵する実用可能放電容量を有し、毒性も低く、地球上に豊富な元素のみからなるため安価・安定に供給できる可能性があり、有望な材料とされている。それ以外に、高い性能(高サイクル特性、低抵抗、高出力)を発現するためには正極材料が均一で適度な粒径を有する粒子である必要がある。それは粒径が大きく比表面積が低い材料を使用すると、電解液との反応面積が十分に確保できず、反応抵抗上昇により高出力とならず、粒度分布が広い材料を使用すると、電池容量低下により反応低下などを引き起こすためである。
【0003】
リン酸鉄リチウムの製造方法は固相法(特許文献1、特許文献2)、水熱法(特許文献3)、超臨界法(特許文献4)、常圧湿式法(特許文献5)などが報告されており、リン酸第二鉄含水和物はリン酸鉄リチウムの中間体として知られている。
特許文献6には、鉄(II)又は鉄(III)あるいは鉄(II)及び鉄(III)の混合物を5〜50%のリン酸と反応させ、酸化剤を添加することで鉄(II)を鉄(III)に変換する方法が記載されているが、反応は激しい撹拌を必要とし、得られるリン酸鉄(III)は非常に微細な一次粒子径を持つ。
特許文献7には、塩化鉄あるいは硫酸鉄の水溶液を用い、リン酸との反応時に界面活性剤を添加する方法が記載されており、ナノ粒子が得られている。
特許文献8では、緩衝液を使うことによりpH変動が小さく微粒で粒径の揃ったリン酸鉄粉末が得られることが記載されている。
これらの方法は硫酸鉄や塩化鉄を出発原料とするため、電池特性に悪影響を及ぼす硫酸塩あるいは塩化物を不純物として包含し、また、きわめて微細な粉末として得られる。微細性は正極材の導電性向上に作用するが、製造工程においては濾過漏れを起こしやすく作業性や効率が悪く、また、リン酸鉄リチウムとする際に、粉塵の発生や取り扱いにくいといった困難が生じる。
【0004】
一方、特許文献2には、酸化鉄又は含水酸化鉄とリン化合物を比較的薄い水溶液中で反応させ、反応濃度が0.1〜3.0mol/L(Fe濃度換算)、P/Feモル比が1〜10、pH3以下で反応させることにより、微細な一次粒子が凝集した、比表面積が高く、不純物も極めて少ないリン酸第二鉄含水和物が生成することが記載されている。この製造方法で得られるリン酸第二鉄含水和物は、一次粒子が微細であるため、正極材としたときの電池性能は良好であり、凝集した二次粒子のため取扱い性の良いサイズとなる利点がある。
正極材には品質均一性、均一な電極膜の製造のため均一な粒度分布が求められ、その要求は前駆体としてのリン酸第二鉄においても同様に求められる。しかしながら、特許文献2の方法では、均一な粒度分布で安定して工業的に製造できないといった欠点を有する。
特許文献2では、リン酸第二鉄含水和物からリン酸鉄リチウムを製造する方法が示されており、リン酸第二鉄含水和物粒径が良好なリン酸鉄リチウムの製造に重要なことが示されており、均一で適度な粒径を有するリン酸鉄リチウムを得るためには、原料であるリン酸第二鉄含水和物も均一で適度な粒径を有する必要がある。しかし、工業的規模において粒径の整ったリン酸第二鉄含水和物の製造方法は開発されておらず、その方法が要求されている。
【0005】
本発明の良好な結晶性リン酸第二鉄含水和物粒子粉末の製造方法は新規であり、均一で適度な粒径を有するリン酸第二鉄含水和物粒子が得られることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2005/041327
【特許文献2】WO2011/030786
【特許文献3】特表2007―511458号公報
【特許文献4】特開2004―095386号公報
【特許文献5】WO2007/000251
【特許文献6】特表2011―500492
【特許文献7】特表2011―505332
【特許文献8】WO2012/023439
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
リチウムイオン二次電池は様々な機器に搭載され、より高い放電容量を有し、毒性も低く、安価・安定に供給できる、また安全性の高い材料が求められている。また、リチウムイオン二次電池の商業利用を行う際には、安全性が問題となる。特に正極材料については、安全性が求められ、新たな製造方法が望まれている。
本発明は、リチウム二次電池等に用いることのできる安全性の高い正極材料のための中間体として有用な粒度が均一なリン酸第二鉄含水和物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、先の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、リン酸第二鉄含水和物を種晶として添加する種晶法による均一な粒径のリン酸第二鉄含水和物を製造する方法を見出した。
すなわち本発明は、下記に関するものである。
1)酸化鉄粒子粉末または含水酸化鉄粒子粉末とリン化合物とを溶液中で反応してリン酸第二鉄含水和物を製造する方法において、リン酸第二鉄含水和物を種晶として用いることを特徴とするリン酸第二鉄含水和物の製造方法に関するものである。
2)前記種晶の量が、酸化鉄粒子粉末または含水酸化鉄粒子粉末に対して0.005〜5質量パーセントであることを特徴とする前記 1)記載のリン酸第二鉄含水和物の製造方法に関するものである。
3)前記種晶のメジアン径D50が、5〜10μmであることを特徴とする前記1)または2)記載のリン酸第二鉄含水和物の製造方法に関するものである。
4)前記種晶の形状が、板状の一次粒子が凝集して二次粒子を構成することを特徴とする前記1)〜3)のいずれかに記載のリン酸第二鉄含水和物の製造方法に関するものである。
5)前記種晶が、メタストレング構造であることを特徴とする前記1)〜4)のいずれかに記載のリン酸第二鉄含水和物の製造方法に関するものである。
6)前記種晶の添加時の状態が粉体、又は、水もしくはリン化合物を含むスラリーであることを特徴とする前記1)〜5)いずれかに記載のリン酸第二鉄含水和物の製造方法に関するものである。
7)前記1)〜6)のいずれかによって製造されるリン酸第二鉄含水和物粒子粉末に関するものである。
8)前記リン酸第二鉄含水和物粒子粉末が、単峰性の粒度分布を有することを特徴とする前記7)記載のリン酸第二鉄含水和物粒子粉末に関するものである。
9)前記リン酸第二鉄含水和物粒子粉末の結晶構造がストレング石構造およびメタストレング石構造のうち少なくとも一種であることを特徴とする前記7)または8)に記載のリン酸第二鉄含水和物粒子粉末に関するものである。
10)前記リン酸第二鉄含水和物粒子粉末のメジアン径D50が5〜20μmであることを特徴とする前記7)〜9)のいずれかに記載のリン酸第二鉄含水和物粒子粉末に関するものである。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で製造されるリン酸第二鉄含水和物の組成は、FePO4・nH2O(0<n≦2、nは水和水の量)であり、二水和物が最も安定である。ただし水和水の量は乾燥条件により変化する。またリン酸第二鉄含水和物の結晶構造はストレング石構造およびメタストレング石構造のいずれかあるいは双方を含むものである。
本発明のリン酸第二鉄含水和物の製造は、BET比表面積が50m2/g以上の微細な酸化鉄粒子粉末または含水酸化鉄粒子粉末とリン化合物とを溶液中で60〜100℃の温度領域で撹拌しながら、モル換算でP/Fe比が1〜10の範囲、pH3以下、反応濃度0.1〜3.0mol/L(Fe濃度換算)で反応することが望ましく、反応条件にもよるが、板状の一次粒子が凝集した二次粒子からなり、比表面積の大きな結晶となる。種晶として用いる結晶もこのような反応によって得られる結晶が好ましい。
【0010】
本発明の酸化鉄粒子粉末または含水酸化鉄粒子粉末としては特にBET比表面積の大きい微細なゲーサイト粉末(α−FeOOH)を用いることが望ましく、リン化合物としてオルトリン酸、メタリン酸、五酸化リン等を用いることができ、特にオルトリン酸を用いることが望ましい。
酸化鉄粒子粉末または含水酸化鉄粒子粉末は反応前にヘンシェルミキサー、らいかい機、ハイスピードミキサー、万能攪拌機、ボールミル等の乾式および湿式混合機を用いて粉砕もしくは解砕を行い、リン化合物を含む水溶液と混合する。
【0011】
種晶として用いるリン酸第二鉄含水和物の量が酸化鉄粒子粉末または含水酸化鉄粒子粉末に対して0.005〜5質量パーセントであることが望ましい。0.005質量パーセント未満では種晶としての効果が小さく単峰性のリン酸第二鉄含水和物が得られないが、例えば0.005質量%といった比較的少ない添加量で単峰性の粒度分布が得られるというのは驚くべきことであり、詳細はわからないが、本発明で用いる種晶および生成物が比表面積の大きな特殊形状をした結晶であることに起因し、特異な添加量で単峰性粒度分布となると考えられる。また5質量パーセントを超えて加えてもリン酸第二鉄含水和物粒径に変化が起きない。また種晶とするリン酸第二鉄含水和物のメジアン径D50は5〜10μmであることが望ましく、このように細かいものを用いることにより生成粒子がより均一となる。10μmを超える粒子を種晶として添加すると反応過程で種晶が成長し、均一性が低下する。また5μm未満では反応過程で溶解する可能性がある。望ましい粒度とするため添加前にヘンシェルミキサー、らいかい機、ハイスピードミキサー、万能攪拌機、ボールミル等の乾式および湿式混合機を用いて種晶を粉砕もしくは解砕を行って粒度調節したものを添加してもよい。種晶の形状は板状の一次粒子が凝集して二次粒子を構成するリン酸第二鉄含水和物であり、タップ密度の高いメタストレング構造であることが望ましい。
種晶の添加方法は、添加する種晶の状態が粉体、又は、水もしくはリン化合物を含むスラリーであることが望ましい。
リン酸第二鉄含水和物の製造は、種晶を添加しない場合、微細な粒子と粗大な粒子が生成し広い粒度分布となりリン酸鉄リチウムの前駆体として有用とならない。種晶の添加量、粒度、形状、結晶形等を適宜選択することにより、単峰性でシャープな粒度分布のリン酸第二鉄含水和物が得られ、リン酸鉄リチウムとなったときにも均一性の高い粒子となる。
【0012】
反応終了後、通風乾燥機、凍結真空乾燥機、スプレー乾燥機、フィルタープレス、バキュームフィルター、フィルターシックナー等を用いて余分な水分を除去してもよい。
本発明で製造されるリン酸第二鉄含水和物は、製造条件にもよるが平均二次粒子径は5〜20μmの範囲となり、リン酸鉄リチウムの前駆体として望ましい粒度となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のリン酸第二鉄含水和物の製造方法は、均一なリン酸第二鉄含水和物を製造できることからリン酸鉄リチウムの中間体として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例1、実施例2、実施例3で得られたリン酸第二鉄含水和物の粉末X線回折図である。
【
図2】実施例1で得られたリン酸第二鉄含水和物の粒度分布図である。
【
図3】実施例1で得られたリン酸第二鉄含水和物の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図4】実施例2で得られたリン酸第二鉄含水和物の粒度分布図である。
【
図5】実施例2で得られたリン酸第二鉄含水和物の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図6】実施例3で得られたリン酸第二鉄含水和物の走査型電子顕微鏡写真である
【
図7】比較例1および比較例2で得られたリン酸第二鉄含水和物の粉末X線回折図である。
【
図8】比較例1で得られたリン酸第二鉄含水和物の粒度分布図である。
【
図9】比較例1で得られたリン酸第二鉄含水和物の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図10】比較例2で得られたリン酸第二鉄含水和物の走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
平均二次粒子径は、レーザー回折・散乱型粒度分布計Microtrac MT330EXII(日機装製)を用い、メジアン径D50、D90、Dmaxを測定した。
粒子の結晶構造はX線回折装置RINT2200(理学電機製)を用い、Cu−Kα,40kV,20mAにより測定した。
粒子の形状観察は走査型電子顕微鏡JSM−5310(日本電子製)を用い、観察した。
【実施例】
【0016】
<実施例1>
含水酸化鉄粒子は、3mmφジルコニアボールを用い、水溶液中で湿式粉砕した。
加熱式混合攪拌機に湿式粉砕を行った含水酸化鉄粒子29kgと純水511kgを懸濁した。85%オルトリン酸溶液を138kg、種晶(D50=8μm)29gを加え、85℃まで昇温し、6時間加熱反応した。反応混合物を放冷後、溶媒を除去、水洗浄した後、110℃で乾燥し、乳白色粉末51kgを得た。
粉末X線回折を行い、メタストレング石(phosphosiderite)構造であることを確認し、ストレング石(strengite)構造や不純物相は確認されなかった。得られたX線回折を
図1に示す。
また走査型電子顕微鏡撮影による二次粒子形状は薄板状粒子が密に凝集した丸みをおびた正方柱状の二次粒子であり、各二次粒子径のサイズが揃っていた。レーザー回折法による粒子径測定の結果は、D50が7μmであった。得られた粉末の粒度分布図を
図2に示すが、単峰性の粒度分布であった。また、走査型電子顕微鏡写真を
図3に示す。
【0017】
<実施例2>
含水酸化鉄粒子は、サイクロンミル150W(月島機械製)を用い、乾式粉砕した。
加熱式混合攪拌機に乾式粉砕を行った含水酸化鉄粒子29kgを純水511kgに懸濁した。85%オルトリン酸溶液を138kg、種晶(D50=8μm)29gを加え、85℃まで昇温し、6時間加熱反応した。反応混合物を放冷後、溶媒を除去、水洗浄した後、110℃で乾燥し、乳白色粉末47kgを得た。
粉末X線回折を行い、メタストレング石(phosphosiderite)構造であることを確認し、ストレング石(strengite)構造や不純物相は確認されなかった。得られたX線回折を
図1に示す。
また走査型電子顕微鏡撮影による二次粒子形状は薄板状粒子が密に凝集した丸みをおびた正方柱状の二次粒子であり、レーザー回折法による粒子径測定の結果は、D50が7μmであった。得られた粉末の粒度分布図を
図4に示すが、単峰性の粒度分布であった。また、走査型電子顕微鏡写真を
図5に示す。
【0018】
<実施例3>
含水酸化鉄粒子は、サイクロンミル150W(月島機械製)を用い、乾式粉砕した。
加熱式混合攪拌機に乾式粉砕を行った含水酸化鉄粒子29kgを純水511kgに懸濁した。85%オルトリン酸溶液を138kg、種晶(D50=5μm)145gを加え、85℃まで昇温し、6時間加熱反応した。反応混合物を放冷後、溶媒を除去、水洗浄した後、110℃で乾燥し、乳白色粉末47kgを得た。
粉末X線回折を行い、メタストレング石(phosphosiderite)構造であることを確認し、ストレング石(strengite)構造や不純物相は確認されなかった。得られたX線回折を
図1に示す。
また走査型電子顕微鏡撮影による二次粒子形状は薄板状粒子が密に凝集した丸みをおびた正方柱状の二次粒子であり、レーザー回折法による粒子径測定の結果は、D50が7μmであり、また、単峰性の粒度分布であった。得られた粉末の走査型電子顕微鏡写真を
図6に示す。
【0019】
<比較例1>
含水酸化鉄粒子は、3mmφジルコニアボールを用い、水溶液中で湿式粉砕した。
加熱式混合攪拌機に湿式粉砕を行った含水酸化鉄粒子29kgを純水511kgに懸濁した。85%オルトリン酸溶液を138kg加え、85℃まで昇温し、6時間加熱反応した。反応混合物を放冷後、溶媒を除去、水洗浄した後、110℃で乾燥し、乳白色粉末54kgを得た。
粉末X線回折を行い、メタストレング石(phosphosiderite)構造であることを確認し、ストレング石(strengite)構造や不純物相は確認されなかった。得られたX線回折を
図7に示す。
また走査型電子顕微鏡撮影による二次粒子形状は薄板状粒子が密に凝集した丸みをおびた正方柱状の二次粒子であったが、微細粒子と大粒子の混在したものであった。レーザー回折法による粒子径測定の結果は、D50が16μmであったが、微細粒子と大粒子の混在したものであった。得られた粉末の粒度分布図を
図8に示すが、分布幅が広く双峰性の粒度分布であった。また、走査型電子顕微鏡写真を
図9に示す。
【0020】
<比較例2>
含水酸化鉄粒子は、サイクロンミル150W(月島機械製)を用い、乾式粉砕した。
加熱式混合攪拌機にD90が6μm、Dmaxが19μmの乾式粉砕を行った含水酸化鉄粒子29kgを純水511kgに懸濁した。85%オルトリン酸溶液138kgを加え、85℃まで昇温し、6時間加熱反応した。反応混合物を放冷後、溶媒を除去、水洗浄した後、110℃で乾燥し、乳白色粉末51kgを得た。
粉末X線回折を行い、メタストレング石(phosphosiderite)構造であることを確認し、ストレング石(strengite)構造や不純物相は確認されなかった。得られたX線回折を
図7に示す。
また走査型電子顕微鏡撮影による二次粒子形状は薄板状粒子が密に凝集した丸みをおびた正方柱状の二次粒子であったが、微細粒子と大粒子の混在したものであった。レーザー回折法による粒子径測定の結果は、D50が12μmであったが、分布幅が広く双峰性の粒度分布であった。また、得られた粉末の走査型電子顕微鏡写真を
図10に示す。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明のリン酸第二鉄含水和物の製造方法は、種晶を添加しない場合と比較して、均一な粒子が得られることを確認した。これによりオリビン型リン酸鉄リチウム粒子粉末の前駆体や遷移金属種に鉄を含むリン酸遷移金属リチウムの原料を簡易、均一に工業生産できる。