【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載のレーザレーダは、
回転軸に対して傾いた複数の反射面を備えた回転するポリゴンミラーと、
前記ポリゴンミラーの反射面を介して、対象物に向けて光束を出射する投光系と、
前記対象物からの反射光を、前記ポリゴンミラーの反射面を介して受光する受光系とを有し、
前記投光系と前記受光系の光軸は、前記反射面と交差した後に、互いに平行となるように配置されており、
前記受光系は、走査する角度範囲の中心を挟んで
第1の受光部と第2の受光部とを有し、
前記ポリゴンミラーが第2の角度範囲にある時に、前記投光系から出射され、前記対象物から反射した光束を、前記ポリゴンミラーの一つの反射面で反射して、前記第1の受光部で検出可能であるとともに、前記投光系から出射され、前記対象物とは別の対象物から反射した光束を、前記ポリゴンミラーの別の反射面で反射して、前記第2の受光部で検出可能であることを特徴とする。
【0011】
例えば、単一の受光部を有する受光系を持つ従来のレーザレーダにおいて、対象物からの反射光を、ポリゴンミラーの反射面を介して受光部で受光する場合、ポリゴンミラーの反射面同士の境界(稜線)をまたいで反射光を受光する際に、いずれの反射面から受光した光かを分別できない。従って、対象物からの反射光が、ポリゴンミラーの反射面同士の境界をまたぐ位置では測定不能になるから、本来的に検出範囲が狭くなってしまうという問題がある。
【0012】
そこで、本発明の前記受光系では、走査する角度範囲の中心を挟んで両側に並べて複数の受光部を配置したのである。つまり、前記ポリゴンミラーの反射面上での受光光路を、投光光路を挟んで複数路に分けて配置することで、前記ポリゴンミラーの反射面同士の稜線を境に2つの方向にレーザ光が分かれた場合でも、障害物からの反射光を受光系側で適切に分離することが可能になる。
【0013】
例を挙げて、本発明の原理を説明する。比較例として、
図1に示すように4つの側面が反射面であるポリゴンミラーPMと1つの投光系LP及び受光系LRを有するレーザレーダを考える。投光光路は実線で示し、受光光路は点線で示す。ポリゴンミラーPMは回転軸RO回りに回転するので、
図1に示すように、1つの反射面MR1が正面(受光系LR側)を向いている角度位置の場合、受光系LRは、不図示の対象物から反射光を受光する。
【0014】
一方、
図1の状態からポリゴンミラーPMが45度回転すると、
図2に示すように、投光系LPから出射されたレーザ光がポリゴンミラーPMの反射面MR1,MR2の間の稜線BDを境に2面に当たるようになり、左右に分かれて投光されることとなる。その後、2つのレーザ光が異なる対象物に当たって反射するので、この2つの反射光は、レーザ光の当たった反射面MR1,MR2の2面でそれぞれ反射し、受光系LRの同じ受光部PDで受光することになる。しかるに、受光部PDから出力される信号は、異なる対象物から反射した2つの反射光の和に相当するので、いずれの障害物に対して検出を行ったのか判断できないのである。
【0015】
そこで、本発明では、複数の受光部を用いることで、2方向の測距可能にするのである。一例として、
図3に示すように、4つの側面が反射面であるポリゴンミラーPMと、投光系LPと、2つの受光部PD1,PD2を有する受光系RPを設けるのである。2つの受光部PDを、ポリゴンミラーPMの反射面上でのレーザ光のスポットサイズよりも広く間隔を開けて配置した場合、
図3に示すように、ポリゴンミラーPMを正面に向いた位置から45度回転させたとき、左側にある第1の受光部PD1は、反射面MR2で反射して右方向から戻ってくる対象物からの反射光を受光することなく、反射面MR1で反射して左方向から戻ってくる対象物の反射光のみ受光することができる。同様に、右側にある第2の受光部PD2は、反射面MR1で反射して左方向から戻ってくる対象物からの反射光を受光することなく、反射面MR2で反射して右方向から戻ってくる対象物の反射光のみ受光することができる。従って、単一の受光部では実現できなかった、反射面稜線近くまでポリゴンミラーPMが回転した際の検出が可能になるから、ポリゴンミラーPMの角度位置にかかわらず、対象物の測距が可能になり、広い走査範囲で対象物を走査検出できることとなる。
【0016】
更に、本発明によれば、2方向にレーザ光が反射されない場合でも有効である。例えば、
図4に示すように、ポリゴンミラーPMを正面に向いた位置から約30度回転させたとき、投光系LPからの出射光は、反射面MR1のみに反射して1方向に向かうが、受光部が1つのみであると、レーザ光の当たった反射面MR1に隣接する反射面MR2から、太陽光や車のヘッドライトなどの背景光を受光する恐れがあり、これによりノイズが増えることになるが、本発明によれば、2つの受光部を用いることで、投光系LPから出射した光が単一の反射面MR1にのみ入射する、ポリゴンミラーPMの角度範囲では、一方の受光部のみを有効とし、残りを無効とすることで、ノイズの影響を抑えることができる。
【0017】
受光部は最低限2組あれば有効になる。受光部が多くなるほど部品点数が多くなり、信号管理が複雑になったり、各受光部の位置調整を行なうためコストアップするという課題はあるが、受光部を増やすことで分解能が上がる。特に、3つ以上の受光部を有する場合でも同様に、受光部を走査する角度範囲の中心を挟んで両側に並べて配置することで、本発明の効果を発揮できる。受光部を多くすることで分解能が上がるため、角度ごとにどの受光部の出力を使うか細かく決定することが出来る。ここで、「受光部」とは、受光量に応じた信号を独立して出力できるものをいい、同じ光検出器でも、光学系を複数持ち、異なる光学系を通した受光位置で独立して信号を出力できるものは、複数の受光部を有するものとする。又、「前記投光系と前記受光系の光軸が、前記反射面と交差した後に、互いに平行となるように配置されている」とは、例えば前記投光系と前記受光系とが、前記反射面に対して前記ポリゴンミラーの回転軸方向にシフトして配置されていて、その光軸が回転軸に対して傾いている場合、又は元々回転軸に平行である場合の他、前記投光系と前記受光系の光軸をミラー等で折り曲げて、前記反射面と交差する際に回転軸と平行とする場合等であっても、前記反射面と交差した後に互いに平行となる限り、その配置は任意である。又、前記ポリゴンミラーの反射面を介して投光した光を、同じ前記ポリゴンミラーの反射面を介して受光できる範囲で、前記投光系と前記受光系の光軸が平行でなく角度差を持っていてもよい。ただし、受光面積を広げて受光することになるから、背景光を受光する範囲が多くなり、S/Nが悪化し、効率が悪くなる恐れがあるので、前記投光系と前記受光系の光軸は平行に近いことが好ましい。更に、「走査する角度範囲の中心」とは、前記投光系の光軸が前記ポリゴンミラーの反射面上で交差する点と、前記ポリゴンミラーの回転軸上で前記投光系の光軸が前記ポリゴンミラーの反射面で交差する点と同じ高さの点の、2点間の水平方向の角度をいうものとする。
【0019】
第2の角度範囲として、ポリゴンミラーPMの反射面の中心が、走査する角度範囲の中心面と重なる位置から、例えば−47度〜−40度、又は+40度〜+47度の範囲を定めたとき、
図3に示すように、前記ポリゴンミラーPMが第2の角度範囲に回転すると、左側にある第1の受光部PD1は、反射面MR2で反射して右方向から戻ってくる対象物からの反射光を受光することなく、反射面MR1で反射して左方向から戻ってくる対象物の反射光のみ受光することができる。同様に、右側にある第2の受光部PD2は、反射面MR1で反射して左方向から戻ってくる対象物からの反射光を受光することなく、反射面MR2で反射して右方向から戻ってくる対象物の反射光のみ受光することができる。尚、「検出可能」とは、必ずしも検出することを意味せず、検出可能な位置に配置されていれば足りる。
【0020】
請求項
2に記載のレーザレーダは、請求項
1に記載の発明において、前記ポリゴンミラーが前記第2の角度範囲とは異なる第1の角度範囲にある時に、前記投光系から出射され、前記対象物から反射した光束を、前記ポリゴンミラーの同じ反射面で反射して、前記第1の受光部及び前記第2の受光部で検出することを特徴とする。
【0021】
後述する
図6に示すように、第1の角度範囲として、ポリゴンミラーPMの反射面の中心が、走査する角度範囲の中心面と重なる位置から、例えば−40度〜+40度の範囲を定めたとき、前記ポリゴンミラーPMが第1の角度範囲に回転すると、同じ反射面からの反射光を受光部PD1,PD2が受光することができる。ポリゴンミラーPMが正面を向いているような場合は、2つの受光部PD1,PD2はともに、同方向の対象物の反射光を受光するため、受光部PD1,PD2からの出力結果を分離する必要が無い。2つの受光部PD1,PD2の出力を加算することで、受光光量が多くなり測定距離も長くすることが出来る。尚、第1の角度範囲と、第2の角度範囲は、以上の例には限られない。
請求項3に記載のレーザレーダは、請求項1又は2に記載の発明において、前記投光系からの出射光が前記ポリゴンミラーの単一の反射面にのみ入射し、前記対象物から反射され前記単一の反射面で反射された光束を前記第1の受光部のみが検出可能な前記ポリゴンミラーの角度範囲にあるとき、前記第1の受光部のみを有効とし、残りの受光部を無効とすることを特徴とする。
【0022】
請求項4に記載のレーザレーダは、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記投光系と前記受光系は、前記ポリゴンミラーに対して回転軸方向にシフトして配置されていることを特徴とする。
【0023】
これにより、レーザレーダの回転軸回りの部品配置を効率化し、コンパクト化を図れる。
【0024】
請求項5に記載のレーザレーダは、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記ポリゴンミラーの複数の反射面は、前記回転軸に対して互いに異なる角度で傾斜していることを特徴とする。
【0025】
前記ポリゴンミラーの複数の反射面の面角度が異なることで、反射面ごとの走査する角度が変わることになる。そのため4つの反射面を有するポリゴンミラーである場合、全ての面角度が異なることで、4つの走査ラインを得ることが出来る。それにより、垂直方向にも測定範囲が広がる。しかるに、反射面数を増やすことで、垂直方向は測定範囲を増やすことが出来る一方で、反射面数を増やすことにより面の境界間角度が小さくなるため、それに応じて水平方向の走査角が小さくなる傾向があるが、本発明のように受光系を配置することで、各面の走査角を広くとることが可能になる。
【0026】
請求項6に記載のレーザレーダは、請求項1〜5のいずれかの発明において、車載用であることを特徴とする。本発明のレーザレーダは、車載用として好適である。