(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1実施形態である現在位置関連情報システムを適用した車両が道路を走行する様子を、模式的に表した図である。同図には、カーブ状の道路を右下側から横断歩道に向かって走行する車両Aが表されている。また、同図において、横断歩道近傍の道路脇には、送信装置(送信部)10が設置され、車両Aには、受信装置(受信部)20と、携帯通信端末30とが搭載されている。
【0010】
送信装置10は、所定の地点、例えば、道路脇、ガードレール、電柱等に設置され、所定のデータを可視光により所定の送信時間間隔(例えば、0.4秒〜1秒)で送信する。
図1において、送信装置10は、車両A側からみて小学校の通学道路の起点の近傍である道路脇に設置されている。本実施形態において、データは、送信装置10を識別する送信装置識別情報(識別情報)である。つまり、送信装置10は、送信装置識別情報を可視光に変換した可視光データを送信する。
【0011】
走行する車両Aに設けられた受信装置20が可視光データを受信し損なわないようにするため、送信装置10による可視光データの送信時間間隔は、可視光データの送信可能距離と車両の標準の走行速度とに基づいて決められる。
【0012】
受信装置20は、可視光データを受信すると、この可視光データからデータを抽出するとともに受信レベル値を取得し、データおよび受信レベル値を携帯通信端末30に供給する。受信レベル値は、受信した可視光の強度である。受信装置20は、データおよび受信レベル値を時系列に携帯通信端末30に供給する。受信装置20は、例えば、車両Aのフロントボディまたは車内側のフロントガラス等に取り付けられる。
【0013】
携帯通信端末30は、受信装置20が供給するデータおよび受信レベル値を順次取り込む。携帯通信端末30は、取得した受信レベル値の時間方向における変化に応じて、送信装置10に最接近したタイミングを取得する。また、携帯通信端末30は、取得したデータに基づく提示情報を、取得したタイミングにしたがって表示する。具体的に、携帯通信端末30は、送信装置10の送信装置識別情報に関連付けられた提示情報をあらかじめ保有する提示情報テーブルから抽出し、その提示情報を表示する。提示情報は、送信装置10またはこの送信装置10が設置された地点に関する指示情報、注意情報等である。
【0014】
また、携帯通信端末30は、グローバルポジショニングシステム(Global Positioning System;GPS)衛星からのGPS信号を受信し、このGPS信号に基づいて車両Aのおおよその位置(概略現在位置)を取得する。そして、携帯通信端末30は、その位置の情報を利用して、受信装置20による可視光データの受信の信頼性を判断する。具体的に、携帯通信端末30は、送信装置10が設置された地点を含む所定の領域にGPS信号が示す車両Aの位置が含まれると判定した場合に、車両Aの付近に当該送信装置10が存在すると判断する。領域は、例えば、送信装置10が設置された地点を中心として半径約20メートルの円領域である。携帯通信端末30は、その領域内に車両Aが存在する状態において受信装置20から供給されるデータを取り込む。このように構成することにより、携帯通信端末30は、GPS信号に基づいて送信装置10が設置された地点の大まかな位置をとらえたうえで、可視光通信に基づいてより精度の高い位置の特定を行うことができる。
【0015】
次に、現在位置関連情報提示システムの機能構成について詳細に説明する。
図2は、第1実施形態における送信装置10の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、送信装置10は、送信装置識別情報記憶部11と、送信制御部12と、可視光送信部13とを備える。
【0016】
送信装置識別情報記憶部11は、当該送信装置10を特定することができる送信装置識別情報を記憶する。送信装置識別情報記憶部11は、例えば、不揮発性半導体メモリ、または、例えば複数のビットに対応付けられてビットごとにオン/オフ可能な機構スイッチにより実現される。
【0017】
送信制御部12は、送信装置識別情報記憶部11から送信装置識別情報を読み込み、この送信装置識別情報を、あらかじめ決められた送信時間間隔(例えば、0.4秒〜1秒間隔)で可視光送信部13に供給する。この送信時間間隔は、外部から設定できるようにしてもよい。
【0018】
可視光送信部13は、送信制御部12が供給する送信装置識別情報を可視光データに変換し、この可視光データを出射する。可視光送信部13は、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)により実現される。
【0019】
図3は、第1実施形態における受信装置20および携帯通信端末30の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、受信装置20は、可視光受信部21と、受信制御部22とを備える。
【0020】
可視光受信部21は、送信装置10における可視光送信部13が送信した可視光データを受信し、この可視光データを電気信号に変換する。そして、可視光受信部21は、その電気信号を受信制御部22に供給する。可視光受信部21は、例えば、フォトダイオードにより実現される。
【0021】
受信制御部22は、可視光受信部21が供給する電気信号を取り込み、この電気信号からデータを抽出するとともに受信レベル値を取得する。ここでのデータは、送信装置10の送信装置識別情報である。受信制御部22は、データおよび受信レベル値を携帯通信端末30に供給する。
【0022】
図3に示すように、携帯通信端末30は、測位部31と、領域情報記憶部32と、提示情報記憶部33と、データ取得部34と、判定部35と、表示制御部36と、表示部37とを備える。
【0023】
測位部31は、GPS衛星から送信されるGPS信号を所定の時間間隔で受信する。この時間間隔は、例えば5秒である。そして、測位部31は、受信するたびに当該測位部31の位置(概略現在位置)を示す概略位置情報を取得し、この概略位置情報を判定部35に供給する。測位部31は、例えば、GPS受信装置により実現される。
【0024】
領域情報記憶部32は、送信装置10が設置された地点を含む領域を表す領域情報を、送信装置10の送信装置識別情報に関連付けて記憶する。領域情報記憶部32は、例えば、半導体記憶装置により実現される。
【0025】
提示情報記憶部33は、送信装置10または送信装置10が設置された地点に関する提示情報を、送信装置10の送信装置識別情報に関連付けて記憶する。提示情報記憶部33は、例えば、半導体記憶装置により実現される。
【0026】
データ取得部34は、受信装置20における受信制御部22が時系列に供給するデータおよび受信レベル値を順次取り込み、これらデータおよび受信レベル値を表示制御部36に供給する。
【0027】
判定部35は、測位部31により計測された当該測位部31の位置が、領域情報記憶部32に記憶された領域情報が示す領域に含まれるか否かを判定する。具体的に、判定部35は、測位部31が供給する概略位置情報を取り込み、領域情報記憶部32に記憶された領域情報テーブルを参照して、概略位置情報に示される位置が領域情報に示される領域に含まれるレコードがあるか否かを判定し、この判定結果を示す判定結果情報を表示制御部36に供給する。判定結果情報は、位置が領域に含まれる場合に、例えば、“1”、位置が領域に含まれない場合に、例えば“0(ゼロ)”である。
【0028】
表示制御部36は、データ取得部34が供給するデータおよび受信レベル値を順次取り込む。表示制御部36は、取得した受信レベル値の時間方向における変化に応じて、受信装置20、つまり受信装置20および携帯通信端末30を搭載した車両が送信装置10に最接近したタイミングを取得する。そして、表示制御部36は、取得したデータに基づく提示情報を、取得したタイミングにしたがって表示部37に表示させる。
【0029】
具体的に、表示制御部36は、判定部35が供給する判定結果情報を取り込み、この判定結果情報が、位置が領域に含まれることを示す(例えば、“1”である)場合に、データ取得部34が供給するデータおよび受信レベル値を順次取り込む。表示制御部36は、時系列に取得する受信レベル値が時間方向において増加した後に減少し始めたことを検出した時点を、車両が送信装置10に最接近したタイミングであると判断する。表示制御部36は、取り込んだデータ(送信装置識別情報)に関連付けられた提示情報を提示情報記憶部33から読み込み、その提示情報を、上記のタイミングにしたがって表示部37に表示させる。このようにすることで、受信装置20および携帯通信端末30を搭載した車両が送信装置10に数メートルの精度で最接近したときに、携帯通信端末30は、提示情報を表示することができる。一方、表示制御部36は、取り込んだ判定結果情報が、位置が領域に含まれないことを示す(例えば、“0(ゼロ)”である)場合、提示情報の提示情報記憶部33からの読み込み、および提示情報の表示部37への表示を行わない。
【0030】
表示部37は、表示制御部36の表示制御によって、提示情報を表示する。表示部37は、例えば、液晶表示ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(Organic Electro−Luminescence;OEL)ディスプレイにより実現される。
【0031】
次に、第1実施形態における携帯通信端末30が記憶する各テーブルデータについて説明する。
図4は、携帯通信端末30における領域情報記憶部32が記憶する領域情報テーブルのデータ構成を示す図である。同図に示すように、領域情報テーブルは、送信装置10ごとに、送信装置識別情報と、領域情報とを関連付けた情報を含む。同図の領域情報テーブルには、送信装置識別情報“S1234”と、この送信装置識別情報により特定される送信装置10の設置地点が含まれる領域を示す領域情報“Area_data”とが含まれている。
【0032】
図5は、携帯通信端末30における提示情報記憶部33が記憶する提示情報テーブルのデータ構成を示す図である。同図に示すように、提示情報テーブルは、送信装置10ごとに、送信装置識別情報と、提示情報とを関連付けた情報を含む。同図の提示情報テーブルには、送信装置識別情報“S1234”と、この送信装置識別情報により特定される送信装置10が設置された地点に関する提示情報“ここから小学校の通学路です。速度を落として走行してください。”とが含まれている。
【0033】
次に、第1実施形態における現在位置関連情報提示システムの動作について説明する。
図6は、携帯通信端末30の処理手順を示すフローチャートである。同図には示していないが、送信装置10は、データ(送信装置識別情報)を含む可視光データを所定の送信時間間隔で送信している。
【0034】
ステップS1において、測位部31は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して当該測位部31の位置(概略現在位置)を示す概略位置情報を取得し、この概略位置情報を判定部35に供給する。
【0035】
次に、ステップS2において、判定部35は、測位部31により計測された当該測位部31の位置が、領域情報記憶部32に記憶された領域情報テーブルが示す各領域に含まれるか否かを判定する。具体的に、判定部35は、測位部31が供給する概略位置情報を取り込み、領域情報記憶部32に記憶された領域情報テーブルを参照して、概略位置情報に示される位置が領域情報に示される領域に含まれるレコードがあるか否かを判定する。そして、判定部35は、レコードがあると判定した場合(ステップS2:YES)にステップS3の処理に移す。一方、判定部35は、レコードがないと判定した場合(ステップS2:NO)にステップS1の処理に戻す。
【0036】
ステップS3において、表示制御部36は、データ取得部34からデータおよび受信レベル値が供給されたか否かを判定する。そして、表示制御部36にデータおよび受信レベル値が供給された場合(ステップS3:YES)、表示制御部36は、そのデータおよび受信レベル値を取り込んでステップS4の処理に移す。一方、表示制御部36にデータおよび受信レベル値が供給されていない場合(ステップS3:NO)、表示制御部36は、ステップS1の処理に戻す。
【0037】
ステップS4において、表示制御部36は、取り込んだデータおよび受信レベル値に基づいて提示情報を取得する。具体的に、表示制御部36は、データ取得部34が供給するデータおよび受信レベル値を順次取り込む。表示制御部36は、取得した受信レベル値の時間方向における変化に応じて、受信装置20、つまり受信装置20および携帯通信端末30を搭載した車両が送信装置10に最接近したタイミングを取得する。次に、表示制御部36は、取得したデータ(送信装置識別情報)に関連付けられた提示情報を提示情報記憶部33から読み込む。
次に、ステップS5において、表示制御部36は、読み込んだ提示情報を表示部37に表示させる。
【0038】
次に、ステップS6において、表示制御部36は、データ取得部34から取得する受信レベル値が所定のレベル値以下となったか否かを判定する。そして、受信レベル値が所定のレベル値以下となった場合(ステップS6:YES)、表示制御部36は、ステップS7の処理に移す。一方、受信レベル値が所定のレベル値を超えている場合(ステップS6:NO)、表示制御部36は、ステップS6による処理を繰り返す。
【0039】
ステップS7において、表示制御部36は、表示部37による提示情報の表示を停止させて、ステップS1の処理に戻す。
【0040】
[第1の実施の形態の変形例]
上述した第1実施形態では、携帯通信端末30が、送信装置10に記憶された送信装置識別情報を取得し、この送信装置識別情報に関連付けられた提示情報を提示情報記憶部33から読み込んで表示部37に表示させた。第1実施形態の変形例では、携帯通信端末が、送信装置から提示情報を取得し、この提示情報を表示部に表示させる例である。なお、本変形例において第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図7は、第1実施形態の変形例における送信装置の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、送信装置10aは、送信装置10に対して、送信装置識別情報記憶部11の替わりに送信装置情報記憶部14を備える。
【0042】
送信装置情報記憶部14は、送信装置識別情報と、提示情報とを関連付けた送信装置情報を記憶する。送信装置情報記憶部14は、例えば、不揮発性半導体メモリにより実現される。
【0043】
図8は、本変形例における受信装置20および携帯通信端末の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、携帯通信端末30aは、第1実施形態における携帯通信端末30に対して、提示情報記憶部33を削除し、表示制御部36を表示制御部36aに変更した構成を有する。本変形例において、携帯通信端末30aにおけるデータ取得部34が受信装置20から受信するデータは、送信装置10aから得られた送信装置情報である。
【0044】
表示制御部36aは、データ取得部34が供給するデータおよび受信レベル値を順次取り込む。表示制御部36aは、取得した受信レベル値の時間方向における変化に応じて、受信装置20、つまり受信装置20および携帯通信端末30aを搭載した車両が送信装置10aに最接近したタイミングを取得する。そして、表示制御部36aは、取得したデータに基づく提示情報を、取得したタイミングにしたがって表示部37に表示させる。
【0045】
具体的に、表示制御部36aは、判定部35が供給する判定結果情報を取り込み、この判定結果情報が、位置が領域に含まれることを示す(例えば、“1”である)場合に、データ取得部34が供給するデータおよび受信レベル値を順次取り込む。表示制御部36aは、時系列に取得する受信レベル値が時間方向において増加した後に減少し始めたことを検出した時点を、車両が送信装置10aに最接近したタイミングであると判断する。表示制御部36aは、取り込んだデータ(送信装置情報)から提示情報を抽出し、その提示情報を上記のタイミングにしたがって表示部37に表示させる。このようにすることで、受信装置20および携帯通信端末30aを搭載した車両が送信装置10aに数メートルの精度で最接近したときに、携帯通信端末30aは、提示情報を表示することができる。一方、表示制御部36aは、取り込んだ判定結果情報が、位置が領域に含まれないことを示す(例えば、“0(ゼロ)”である)場合、送信装置情報からの提示情報の抽出、および提示情報の表示部37への表示を行わない。
【0046】
次に、本変形例における現在位置関連情報提示システムの動作について説明する。
図9は、携帯通信端末30の処理手順を示すフローチャートである。同図には示していないが、送信装置10aは、データ(送信装置情報)を含む可視光データを所定の送信時間間隔で送信している。
【0047】
ステップS21〜ステップS23の処理は、第1実施形態における携帯通信端末30の処理のステップS1〜ステップS3の処理と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0048】
ステップS24において、表示制御部36aは、取り込んだデータおよび受信レベル値に基づいて提示情報を取得する。具体的に、表示制御部36aは、データ取得部34が供給するデータおよび受信レベル値を順次取り込む。表示制御部36aは、取得した受信レベル値の時間方向における変化に応じて、受信装置20、つまり受信装置20および携帯通信端末30aを搭載した車両が送信装置10aに最接近したタイミングを取得する。次に、表示制御部36aは、取得したデータ(送信装置情報)から提示情報を抽出する。
次に、ステップS25において、表示制御部36は、抽出した提示情報を表示部37に表示させる。
【0049】
ステップS26およびステップS27の処理は、第1実施形態における携帯通信端末30の処理のステップS6、ステップS7の処理と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0050】
以上説明したとおり、本発明の第1実施形態および変形例における現在位置関連情報提示システムにおいて、受信装置20および携帯通信端末30,30aを搭載した車両は、送信装置10,10aの設置位置を基準とした場合に、その基準位置から受信装置20までの距離が数メートルとなる状態で、基準位置をとらえることができる。さらに、携帯通信端末30は、その基準位置に関する提示情報を取得して表示することができる。
【0051】
よって、本実施形態および変形例における現在位置関連情報提示システムは、従来のGPS信号を用いて概略現在位置を取得する方式に比べてさらに絞り込んだ領域内で位置検出を行うことができるので、高精度に現在位置を取得することができる。しかも、この現在位置関連情報提示システムは、リアルタイムキネマティック方式よりも低コストに実現することができる。
【0052】
したがって、本実施形態および変形例における現在位置関連情報提示システムによれば、低コストで、車両の現在位置を高精度にとらえるとともに、現在位置に関する情報をも容易に取得することができる。
【0053】
[第2の実施の形態]
図10は、本発明の第2実施形態である現在位置関連情報システムを適用した車両が道路を走行する様子を、模式的に表した図である。同図には、左側から工事現場への進入路に向かって走行する工事車両Bと、カーブ状の道路を右下側から工事現場への進入路に向かって走行する車両Cとが表されている。工事車両Bは、誘導員Pが立っている角を右折して工事現場への進入路を走行しようとしている車両である。また、車両Cは、カーブ状の道路を抜けてそのまま直進しようとしている車両である。
【0054】
図10において、左側から見て進入路へ入る角の手前の道路脇(X地点)には、送信装置(送信部)10が設置され、工事車両Bには、受信装置(受信部)20と、携帯通信端末30bとが搭載されている。また、カーブ状の道路脇(Y地点)には、カメラセンサ装置(カメラセンサ部)40が設置され、カーブ状の道路を抜けて進入路へ入る角の手前の道路沿いには、電光掲示板50が設置されている。また、誘導員は、端末60を保持している。また、図示しない工事管理会社には、管理サーバ70が設置されている。
【0055】
携帯通信端末30bと、カメラセンサ装置40と、電光掲示板50と、端末60とは、図示しないネットワークを介して管理サーバ70と通信可能に接続される。送信装置10および受信装置20は、第1実施形態における送信装置10および受信装置20がそのまま適用される。
【0056】
管理サーバ70は、工事車両ごとの車両情報を記憶する。車両情報は、例えば、工事車両の車両番号である。具体的に、管理サーバ70は、工事管理会社が管理する工事車両ごとに、車両識別情報と、車両情報とを関連付けた情報を含む車両情報テーブルを記憶する。また、管理サーバ70は、送信装置10ごとの送信地点情報を管理する。送信地点情報は、例えば、送信装置10が設置された場所の名称または呼称である。具体的に、管理サーバ70は、工事管理会社が管理する送信装置10ごとに、送信装置識別情報と、送信地点情報とを関連付けた情報を含む送信地点情報テーブルを記憶する。また、管理サーバ70は、送信装置10ごとの提示情報を管理する。具体的に、管理サーバ70は、送信装置10ごとに、送信装置識別情報と、提示情報とを関連付けた情報を含む提示情報テーブルを記憶する。
【0057】
管理サーバ70は、携帯通信端末30bが送信する送信装置識別情報と車両識別情報とを受信すると、電光掲示板50に対して掲示指示情報を送信する。掲示指示情報は、電光掲示板50に表示を開始させるための命令情報である。なお、掲示指示情報を、電光掲示板50に表示させる掲示情報および命令情報を含む情報としてもよい。また、管理サーバ70は、送信装置識別情報に対応する送信地点情報を送信地点情報テーブルから抽出し、また、車両識別情報に対応する車両情報を車両情報テーブルから抽出する。そして、管理サーバ70は、抽出した送信地点情報および車両情報を端末60に送信する。また、管理サーバ70は、送信装置識別情報に対応する提示情報を提示情報テーブルから抽出し、この提示情報を携帯通信端末30bに送信する。
【0058】
管理サーバ70は、カメラセンサ装置40が送信する画像データを受信するとこの画像データを取り込む。そして、管理サーバ70は、取り込んだ画像データを画像認識することにより、その画像データから車両の画像(車両画像)を検出する。そして、管理サーバ70は、車両画像についての走行方向を検出し、画像データにおける車両画像の数量を計数する。画像認識技術として、例えば、テンプレートマッチング法を適用することができる。つまり、管理サーバ70は、画像認識部としての機能を有する。そして、管理サーバ70は、画像データと車両画像の走行方向ごとの数量とを関連付けた案内情報を記憶するとともに、その案内情報を端末60に送信する。また、管理サーバ70は、携帯通信端末30bからの要求に応じて、記憶した案内情報を読み出し、この案内情報を携帯通信端末30bに送信する。
【0059】
携帯通信端末30bは、当該携帯通信端末30bが搭載された工事車両を識別する車両識別情報を記憶する。携帯通信端末30bは、受信装置20が供給するデータおよび受信レベル値を取り込むと、データ(送信装置識別情報)と車両識別情報とを管理サーバ70に送信する。また、携帯通信端末30bは、取得した受信レベル値の時間方向における変化に応じて、送信装置10に最接近したタイミングを取得する。また、携帯通信端末30bは、取得したデータに基づく提示情報を取得したタイミングにしたがって表示する。具体的に、携帯通信端末30bは、送信装置10の送信装置識別情報に関連付けられた提示情報を管理サーバ70から取得し、その提示情報を表示する。
【0060】
また、携帯通信端末30bは、GPS衛星からのGPS信号を受信し、このGPS信号に基づいて工事車両Bのおおよその位置(概略現在位置)を取得する。そして、携帯通信端末30bは、その位置の情報を利用して、受信装置20による可視光データの受信の信頼性を判断し、また管理サーバ70から案内情報を取得する。具体的に、携帯通信端末30bは、送信装置10が設置されたX地点を含む所定の領域にGPS信号が示す工事車両Bの位置が含まれると判定した場合に、工事車両Bの付近に当該送信装置10が存在すると判断し、管理サーバ70にアクセスして管理サーバ70から案内情報を取得する。領域は、例えば、送信装置10が設置されたX地点を中心として半径約50メートルの円領域である。そして、携帯通信端末30bは、取得した案内情報を表示する。
【0061】
カメラセンサ装置40は、送信装置10が設置されたX地点と異なるY地点において、道路を走行する車両、自転車、歩行する歩行者を撮影可能に、例えば、道路脇、ガードレール、電柱、または高架橋や陸橋の橋げた等に設置される。カメラセンサ装置40は、道路上の領域(撮影対象領域)を撮影して時系列の画像データを生成し、各画像データを、ネットワークを介して管理サーバ70に送信する。
【0062】
電光掲示板50は、管理サーバ70がネットワークを介して送信する掲示指示情報を受信し、この掲示指示情報に応じて所定の掲示情報を表示する。例えば、掲示指示情報が、電光掲示板50に表示を開始させる命令情報である場合、電光掲示板50は、あらかじめ設定された掲示情報(例えば、「前方に右折車両があります。」)を表示する。または、掲示指示情報が上記の掲示情報および命令情報を含む情報である場合、電光掲示板50は、掲示指示情報から掲示情報を抽出し、この掲示情報を表示する。
【0063】
端末60は、管理サーバ70が送信する送信地点情報および車両情報を受信すると、これら送信地点情報および車両情報を取り込む。そして、端末60は、取り込んだ送信地点情報および車両情報を表示する。また、端末60は、管理サーバ70が送信する案内情報を受信するとこの案内情報を取り込み、この案内情報に含まれる画像データと車両画像の数量とを表示する。端末60は、例えば、タブレット端末、スマートフォン、ノート型コンピュータ装置により実現される。
【0064】
図11は、第2実施形態における受信装置20および携帯通信端末の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、携帯通信端末30bは、第1実施形態における携帯通信端末30に対して、提示情報記憶部33を削除し、通信部38をあらたに備え、また、データ取得部34をデータ取得部34bに、表示制御部36を表示制御部36bにそれぞれ変更した構成を有する。本実施形態において、携帯通信端末30bにおけるデータ取得部34bが受信装置20から受信するデータは、送信装置10から得られた送信装置識別情報である。
【0065】
データ取得部34bは、当該携帯通信端末30bが搭載される車両を識別する車両識別情報を記憶する。データ取得部34bは、受信装置20における受信制御部22が供給するデータ(送信装置識別情報)および受信レベル値を時系列に取り込み、送信装置識別情報および車両識別情報を通信部38に供給し、受信レベル値を表示制御部36bに順次供給する。
【0066】
通信部38は、ネットワークを介して管理サーバ70と通信する通信インタフェースである。通信部38は、データ取得部34bが供給する送信装置識別情報および車両識別情報を取り込み、これら送信装置識別情報および車両識別情報を管理サーバ70に送信する。通信部38は、管理サーバ70が携帯通信端末30bに対して送信する提示情報および案内情報を受信すると、これら提示情報および案内情報を表示制御部36bに供給する。
【0067】
表示制御部36bは、データ取得部34bが供給する受信レベル値を順次取り込む。表示制御部36bは、取得した受信レベル値の時間方向における変化に応じて、受信装置20、つまり受信装置20および携帯通信端末30bを搭載した車両が送信装置10に最接近したタイミングを取得する。そして、表示制御部36bは、通信部38から取得した提示情報を取得したタイミングにしたがって表示部37に表示させる。
【0068】
具体的に、表示制御部36bは、判定部35が供給する判定結果情報を取り込み、この判定結果情報が、位置が領域に含まれることを示す(例えば、“1”である)場合に、データ取得部34bが供給する受信レベル値を順次取り込む。表示制御部36bは、時系列に取得する受信レベル値が時間方向において増加した後に減少し始めたことを検出した時点を、車両が送信装置10に最接近したタイミングであると判断する。表示制御部36bは、提示情報を通信部38から取り込み、その提示情報を上記のタイミングにしたがって表示部37に表示させる。このようにすることで、受信装置20および携帯通信端末30bを搭載した車両が送信装置10に数メートルの精度で最接近したときに、携帯通信端末30bは、提示情報を表示することができる。一方、表示制御部36bは、取り込んだ判定結果情報が、位置が領域に含まれないことを示す(例えば、“0(ゼロ)”である)場合、提示情報の通信部38からの取り込み、および提示情報の表示部37への表示を行わない。
【0069】
また、表示制御部36bは、案内情報の送信要求情報を、通信部38から管理サーバ70に送信させる。また、表示制御部36bは、通信部38が供給する案内情報を取り込み、この案内情報を表示部37に表示させる。具体的に、表示制御部36bは、判定部35が供給する判定結果情報を取り込み、この判定結果情報が、位置が領域に含まれることを示す(例えば、“1”である)場合、案内情報の送信要求情報を通信部38から管理サーバ70に送信させる。また、表示制御部36bは、通信部38が供給する案内情報を取り込む。そして、表示制御部36bは、取り込んだ案内情報を表示部37に表示させる。一方、表示制御部36bは、取り込んだ判定結果情報が、位置が領域に含まれないことを示す(例えば、“0(ゼロ)”である)場合、送信要求情報の送信制御、案内情報の通信部38からの取り込み、および案内情報の表示部37への表示を行わない。
【0070】
次に、第2実施形態における管理サーバ70が記憶する各テーブルデータについて説明する。
図12は、管理サーバ70が記憶する車両情報テーブルのデータ構成を示す図である。同図に示すように、車両情報テーブルは、車両ごとに、車両識別情報と、車両情報とを関連付けた情報を含む。同図の車両情報テーブルには、車両識別情報“DP1736”と、この車両識別情報により特定される工事車両の車両情報“○○XXX YY-ZZ”とが含まれている。
【0071】
図13は、管理サーバ70が記憶する送信地点情報テーブルのデータ構成を示す図である。同図に示すように、送信地点情報テーブルは、送信装置10ごとに、送信装置識別情報と、送信地点情報とを関連付けた情報を含む。同図の送信地点情報テーブルには、送信装置識別情報“S1234”と、この送信装置識別情報により特定される送信地点情報 “X地点”とが含まれている。
【0072】
図14は、管理サーバ70が記憶する提示情報テーブルのデータ構成を示す図である。同図に示すように、提示情報テーブルは、送信装置10ごとに、送信装置識別情報と、提示情報とを関連付けた情報を含む。同図の提示情報テーブルには、送信装置識別情報“S1234”と、この送信装置識別情報により特定される送信装置10が設置された地点に関する提示情報“工事用車両の出入口が近づきました。工事用車両が近づいています。”とが含まれている。
【0073】
次に、第2実施形態における現在位置関連情報提示システムの動作について説明する。
X地点において、送信装置10は、データ(送信装置識別情報)を含む可視光データを所定の送信時間間隔で送信している。また、Y地点において、カメラセンサ装置40は、道路上の撮影対象領域を撮影して時系列の画像データを生成し、各画像データを管理サーバ70に送信している。
【0074】
管理サーバ70は、カメラセンサ装置40が送信する画像データを受信するとこの画像データを取り込む。次に、管理サーバ70は、取り込んだ画像データを画像認識することにより、その画像データから車両画像を検出し、画像データにおける車両画像の数量を計数する。次に、管理サーバ70は、画像データと車両画像の数量とを関連付けた案内情報を記憶し、その案内情報を端末60に送信する。
【0075】
端末60は、管理サーバ70が送信する案内情報を受信するとこの案内情報を取り込み、この案内情報に含まれる画像データと車両画像の数量とを表示する。
【0076】
図15は、携帯通信端末30bの処理手順を示すフローチャートである。
ステップS41、ステップS42の処理は、第1実施形態における携帯通信端末30の処理のステップS1、ステップS2の処理と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0077】
ステップS43において、表示制御部36bは、案内情報の送信要求情報を通信部38から管理サーバ70に送信させる。次に、管理サーバ70が送信要求情報を受信したことに基づいて送信した案内情報を通信部38が受信すると、この案内情報を表示制御部36bに供給する。
次にステップS44において、表示制御部36bは、通信部38が供給した案内情報を取り込み、この案内情報を表示部37に表示させる。
【0078】
次に、ステップS45において、データ取得部34bは、受信装置20における受信制御部22からデータおよび受信レベル値が供給されたか否かを判定する。そして、データ取得部34bにデータおよび受信レベル値が供給された場合(ステップS45:YES)、データ取得部34bは、そのデータおよび受信レベル値を取り込んでステップS46の処理に移す。一方、データ取得部34bにデータおよび受信レベル値が供給されていない場合(ステップS45:NO)、データ取得部34bは、ステップS41の処理に戻す。
【0079】
ステップS46において、データ取得部34bは、車両識別情報を読み込み、送信装置識別情報および車両識別情報を通信部38から管理サーバ70に送信させる。
【0080】
次に、ステップS47において、通信部38は、管理サーバ70が携帯通信端末30bに対して送信した提示情報を受信すると、この提示情報を表示制御部36bに供給する。
【0081】
次に、ステップS48において、表示制御部36bは、通信部38が供給する提示情報を取り込み、この提示情報を表示部37に表示させる。具体的に、表示制御部36bは、データ取得部34bが供給する受信レベル値を順次取り込む。表示制御部36bは、取得した受信レベル値の時間方向における変化に応じて、受信装置20、つまり受信装置20および携帯通信端末30bを搭載した車両が送信装置10に最接近したタイミングを取得する。次に、表示制御部36bは、通信部38が供給する提示情報を取り込み、この提示情報を取得したタイミングにしたがって表示部37に表示させる。
【0082】
ステップS49およびステップS50の処理は、第1実施形態における携帯通信端末30の処理のステップS6、ステップS7の処理と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0083】
以上説明したとおり、本発明の第2実施形態における現在位置関連情報提示システムにおいて、受信装置20および携帯通信端末30bを搭載した車両は、送信装置10の設置位置であるX地点を基準とした場合に、その基準位置から受信装置20までの距離が数メートルとなる状態で、基準位置をとらえることができる。そして、携帯通信端末3bは、その基準位置に関する提示情報を取得して表示することができる。さらにこのとき、電光掲示板50に掲示情報を表示させるとともに、誘導員Pが有する端末60に送信地点情報および車両情報を表示させることによって、誘導員Pに注意を喚起させることができる。また、X地点を含む所定の領域内に存在する工事車両の携帯通信端末30bは、カメラセンサ装置40によって道路上の様子を撮影して得られた画像データに基づき管理サーバ70が生成した案内情報を取得し表示することができる。さらに、その案内情報を端末60に表示させることができる。
【0084】
このように、第2実施形態における現在位置関連情報提示システムによれば、受信装置20および携帯通信端末30bを搭載した工事車両は、自車両がX地点に来たことを誘導員PおよびY地点に来た車両に知らせることができる。また、X地点を含む所定の領域内に存在する、受信装置20および携帯通信端末30bを搭載した全ての工事車両および誘導員Pに対して、車両CがY地点に来たことを、また、車両Cに対して、工事車両の出入口や工事車両が近づいていることを、それぞれ知らせることができる。
【0085】
したがって、本実施形態における現在位置関連情報提示システムによれば、低コストで、車両の現在位置を高精度にとらえるとともに、現在位置に関する詳細な情報をも容易に取得することができる。
【0086】
なお、第1実施形態および変形例、ならびに第2実施形態において、携帯通信端末30,30a,30bに音声出力部を備えてもよい。この音声出力部は、表示制御部36,36a,36bが提示情報を表示部37に表示させる際に、その提示情報に応じた音声情報を出力する。この音声情報は、ブザー音、または定型のアナウンス音声でもよいし、音声出力部が提示情報のテキストの音声合成処理を行って生成した音声合成データでもよい。
【0087】
また、第1実施形態の変形例における送信装置10aおよび携帯通信端末30aを、第2実施形態に適用してもよい。
【0088】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はその実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。