特許第6032484号(P6032484)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032484
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/14 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   H05K7/14 D
   H05K7/14 F
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-285284(P2012-285284)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-127676(P2014-127676A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】岩本 彰
(72)【発明者】
【氏名】松延 忠
(72)【発明者】
【氏名】古軸 優
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 潤
【審査官】 三森 雄介
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第08116101(US,B1)
【文献】 特開2010−067776(JP,A)
【文献】 特開2010−153695(JP,A)
【文献】 特開2010−147039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00−5/06
H05K 7/12,7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置され、固定孔を有する基板と、
前記筐体内に該筐体と一体的に設けられ、前記基板の固定孔に挿入され、外周が前記固定孔の内周から離間して配置された、固定部材と、
前記固定孔の周囲に配置され、前記筐体と前記基板の表面との間に挟まれる第1の弾性体と、
前記固定孔の周囲に配置され、前記筐体と前記基板の裏面との間に挟まれる第2の弾性体と、
を備えていて
前記第1及び第2の弾性体の少なくとも何れか一方に、所定方向を指向する箇所が開放された切欠部が形成され、前記所定方向にはCPUが配置される、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記固定部材は、第1の固定部材と第2の固定部材を有し、
前記第1の固定部材は前記固定孔への挿入状態で先端部が前記基板より突出し、
前記第2の固定部材は前記第1の固定部材と一部が対向し、当該第2の固定部材の一部と基板との間に前記第1の弾性体又は前記第2の弾性体が配置される、ことを特徴とする請求項に記載の電子機器。
【請求項3】
前記固定部材の一部は、前記筐体と一体的に形成された段付きのボス部であり、
前記段付きボス部の段差面と基板との間に、前記第1の弾性体又は前記第2の弾性体が配置されることを特徴とする請求項に記載の電子機器。
【請求項4】
前記固定部材は、前記基板の表面側の少なくとも一部を覆って保護する保護部材である、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記基板は、平面視で一直線上にない3つの固定孔を備え、これら3つの固定孔で形成される三角形の領域内にCPUの少なくとも主要部が配置されている、ことを特徴とする請求項1からの何れか一に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器、特に、例えばプリント回路基板等の基板を筐体内に保持した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えばパーソナルコンピュータや情報端末機器などの電子機器、或いは、所謂タブレット型やノート型のパーソナルコンピュータ及びタブレット型の携帯式情報端末機などの持ち運び可能な電子機器では、プリント回路基板等の基板が筐体内に収納され保持されている。かかる基板を筐体内に保持する場合、基板を筐体に対してリジッドに固定して保持されるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−214329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、基板を筐体に対してリジッドに固定した場合、筐体に荷重が加わって撓みが生じると、その筐体の撓みが直接的に基板に伝わることなり、基板上に実装された電子部品の作動等に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、基板を筐体内に保持した電子機器において、筐体に生じた撓みが基板に伝わることを抑制できるようにすることを、基本的な目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本開示における電子機器は、筐体と、前記筐体内に配置され、固定孔を有する基板と、前記筐体内に該筐体と一体的に設けられ、前記基板の固定孔に挿入され、外周が前記固定孔の内周から離間して配置された、固定部材と、前記固定孔の周囲に配置され、前記筐体と前記基板の表面との間に挟まれる第1の弾性体とを備える、ことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示における電子機器によれば、筐体内に該筐体と一体的に設けられた固定部材が、基板の固定孔への挿入状態で、外周が固定孔の内周から離間しているので、筐体に撓みが生じても固定部材は基板の固定孔内で基板の面に沿った方向に変位することができるので、筐体の撓みが基板に伝わることを効果的に抑制できる。また、固定部材と基板の表面との間に弾性体を介設したことにより、前記弾性体の弾性範囲内で基板の面に垂直な方向の撓み成分を吸収することができ、この方向の筐体の撓みが基板に及ぼす影響を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態に係るタブレット端末装置の表示面側を示す斜視図;
図2】前記タブレット端末装置の平面図;
図3】前記タブレット端末装置の背面側を示す斜視図;
図4】前記タブレット端末装置の背面図;
図5】前記タブレット端末装置の筐体の上面側を取り外して示す装置内部の平面図;
図6図5において保護板を取り外して要部を示す拡大平面図;
図7図6の要部を更に拡大して示す平面図;
図8】基板の固定孔と第1及び第2の弾性体の組付状態を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示における電子機器は、上述の構成を基本として、以下のような態様をとることができる。すなわち、固定孔の周囲に配置され、筐体と基板の裏面との間に挟まれる第2の弾性体を備えても良い。
【0010】
この構成によれば、弾性体の弾性範囲内で基板の面に垂直な方向の撓み成分をより効率的に吸収することができる。
【0011】
また、固定部材は、第1の固定部材と第2の固定部材を有し、前記第1の固定部材は前記固定孔への挿入状態で先端部が前記基板より突出し、前記第2の固定部材は前記第1の固定部材と一部が対向し、当該第2の固定部材の一部と基板との間に前記第1の弾性体又は前記第2の弾性体が配置されるようにしても良い。
【0012】
この構成によれば、固定部材を1部材で構成する場合に比べて、固定部材を複数部材で構成することになるので、固定孔に固定部材を挿入することが容易になることに加えて、固定部材と基板との間に弾性体を配置することが容易になる。
【0013】
また、前記固定部材は、筐体と一体的に形成された段付きのボス部として構成してもよい。
【0014】
この構成によれば、段付きボス部の段差を形成する段差面と基板との間に弾性体を挟むことができ、基板及び弾性体の組付部分の構造を簡素化し、また、組付時の作業性の向上を図ることもできる。
【0015】
また、固定部材は、基板の表面側の少なくとも一部を覆って保護する保護部材で構成してもよい。
【0016】
この構成によれば、保護部材によって基板の表面側の少なくとも一部を覆うことで、保護部材で覆われた部分の基板上の電子部品を保護することができ、また、かかる構成を採用した場合において、保護部材を利用して前述の作用効果を奏することができる。
【0017】
更に、以上の場合において、前記第1及び第2の弾性体の少なくとも何れか一方に、所定方向を指向する切欠部を形成するようにしてもよい。
【0018】
この構成によれば、前記切欠部が指向する方向の弾性変位を他の方向に比して大きく設定でき、弾性体による弾性作用に指向性を持たせることができる。従って、切欠部が指向する方向をより重要な若しくは歪みに弱い電子部品が配置されている方向と合わせることで、筐体に生じた撓みが前記電子部品に及ぼす影響を効果的に低減できる。
【0019】
また更に、以上の場合において、前記基板は、平面視で一直線上にない3つの固定孔を備え、これら3つの固定孔で形成される三角形の領域内にCPUの少なくとも主要部が配置されている、ようにしてもよい。
【0020】
この構成によれば、前記3つの固定孔で形成される三角形の領域内では、筐体に生じた撓みが基板に伝わることを有効に抑制されるので、この三角形の領域内にCPUの少なくとも主要部を配置したことにより、筐体に生じた撓みがCPUに及ぼす影響を効果的に低減できる。
【0021】
<実施の形態>
以下、適宜、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0022】
また、以下の説明では、特定の方向を意味する用語(例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、およびそれらを含む他の用語、「時計回り方向」、「反時計回り方向」)を使用する場合があるが、それらの使用は図面を参照した開示の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本開示は限定的に解釈されるべきものではない。
【0023】
以下に説明する本開示の実施の形態は、所謂タブレット型の持ち運び可能な情報端末装置(以下、適宜、「タブレット端末装置」、若しくは単に「装置」と略称する)に適用した場合を例にとったものである。
【0024】
図1及び図2は、本実施の形態に係る電子機器としてのタブレット端末装置の表示面側を示す斜視図及び平面図、また、図3及び図4は、前記タブレット端末装置の背面側を示す斜視図及び平面図である。
これらの図に示すように、本実施の形態に係るタブレット端末装置Wは、平面視で略四角形状に形成され所定の厚さ(高さ)を有する筐体1を備えている。この筐体1は、上下に対向配置された上面部2および下面部4と、これら両面部2,4の周縁部どうしを結合する側面部6と、を外面に有している。前記側面部6は、2組の対向配置された実質的に平坦な面を主要部として構成されている。
【0025】
尚、本実施形態では、当該装置Wの落下時などにおける耐衝撃性の向上を図るために、筐体1の各角部が、筐体1の外方へ向かって曲面状に膨出する膨出部8で構成されている。筐体1の主要部分は、機械的剛性等の確保のために、例えばマグネシウム(Mg)等の金属材料を用いて製作されているが、前記4箇所の膨出部8については、筐体1の材料よりも弾性の高い、例えばエラストマで製作されている。これら膨出部8は、Mg製筐体1の各角部に装着され筐体1に対し固定されている。
【0026】
前記筐体1の上面部2には、例えば液晶を用いた表示画面2cが配置されている。この表示画面2cは、例えば、タッチパネル式の入力画面としても用いられる。一方、筐体1の下面部4(背面側)には、携帯電源としての電池パック10が装着されている。電池パック10は、所定の厚さを有し、平面視で略四角形状に形成されている。また、上面部2と下面部4との間に形成される空間部(不図示)には、信号処理回路や中央演算処理装置(所謂CPU)などの各種の電子部品及び制御装置(何れも不図示)の他、例えば冷却ファン装置13などの装備品が収容されている。尚、この冷却ファン13の通風口13dは、筐体1の側面部6に設けられている。
【0027】
図5は、前記タブレット端末装置Wの筐体1の上面側を取り外して示す装置内部の平面図であり、図6は、図5において保護板30を取り外した上で、要部を拡大して平面図である。また、図7は、図6の要部を更に拡大して示す平面図である。
図5に示されるように、タブレット端末装置Wの筐体1の内部には、電池パック10が装着された部分の側方には、信号処理回路やCPUなどの各種の電子部品が実装されたプリント回路基板(以下、適宜、単に「基板」という)が筐体内に収納され保持されている。
【0028】
図6から分かるように、冷却ファン装置13の斜め側方に前記CPU15が配置され、該CPU15の上方には放熱板16が配設されている。この放熱板16は、例えば銅や鋼など、所要の剛性と放熱性を有する材料で構成され、例えば3箇所の固定部16A,16B,16Cで、基板20と共に筐体1に固定されている。また、この放熱板16の上面には、例えば銅など、所要の伝熱特性を有する材料で構成された伝熱部材17(所謂ヒートパイプ)が取り付けられており、このヒートパイプ17の端末部分は冷却ファン装置13に結合されている。タブレット端末装置Wの使用中にCPU15で発生した熱は、前記放熱板16及びヒートパイプ17を経て冷却ファン装置13により、できるだけ速やかに装置1の外部に放散される。
【0029】
図5から分かるように、前記ヒートパイプ17の上方には、基板20の表面側の少なくとも一部(本実施形態では、CPU15の主要部に対応する部分)を覆って保護する保護部材として、例えば鋼板製の保護板30が配置されている。この保護板30は、筐体1の上面部2に設けた前記表示画面2cの液晶ユニット(不図示)の背面側に位置し、表示画面2cに圧力が加えられた場合などには、前記液晶ユニットを介して、その圧力を受け合うことができる。これにより、液晶ユニットの背面を支持し、且つ、基板20上のCPU15を保護することができる。前記保護板30は、3箇所の固定部30A,30B,30Cで、基板20と共に筐体1に固定されている。これら3箇所の固定部30A,30B,30Cは、平面視で一直線上に並ぶことはなく、これら3つの固定部30A,30B,30Cで形成される三角形31の領域内にCPU15の少なくとも主要部が配置されている。
【0030】
本実施形態では、筐体1に荷重が加わって撓みが生じた場合に、その筐体1の撓みが直接的に基板に伝わることを抑制するために、基板20を筐体1に対して特定の箇所についてはリジッドに固定するのではなく、筐体1に撓みが生じた場合に、基板の面に沿った方向に基板がある程度変位することができ、また、基板の面に垂直な方向の撓み成分が弾性的に吸収されるように構成されている。次に、図8の断面図を参照しながら、基板20の筐体1に対する固定構造について説明する。この図8は、保護板30と共に筐体1に固定される基板20の固定部として、保護板30の前述の3箇所の固定部30A,30B,30Cのうちの一つ(例えば固定部30B)に対応した箇所を例にとって示したものである。
【0031】
基板20には、保護板30の固定部30Bに対応した箇所に、基板20を筐体1に固定するための円形の固定孔22が形成されている。一方、筐体1の基板20の下側には、前記固定孔22に対応した箇所に、当該固定孔22内に挿入される円柱状のボス部42が筐体1に一体的に形成されている。このボス部42は基板20の固定孔22内への挿入状態で先端部が基板20よりも上方に突き出るように設定されている。ボス部42の中心部には、固定ネジ(不図示)を螺着させるネジ穴42nが形成されている。
【0032】
また、この挿入状態で、ボス部42の外周面42gが、基板20の固定孔22の内周面22nから所定量だけ離間するように、両者22,42の位置関係および寸法が設定されている。従って、筐体1に撓みが生じても、ボス部42は基板20の固定孔20内で、基板20の面に沿った方向に変位することができる。これにより、筐体1の撓みが基板20に伝わることが効果的に抑制される。前記ボス部42が、本願請求項に記載した「第1の固定部材」に相当している。
【0033】
一方、保護板30の固定部30Bには、前記ボス部42と対向するように中空円筒状の基板保持部32が形成されている。組立状態において、この基板保持部32の下端面はボス部42の上端面に当接している。基板保持部32の外周面32gはボス部42の外周面42gよりも大径である。また、内周面32nもボス部42のネジ穴42nよりも大径に設定されている。従って、基板保持部32の中空部分の上方から前述の固定ネジ(不図示)を挿入して、支障なくボス部42のネジ穴42nに螺着させることができる。前記基板保持部32を有する保護板30が、本願請求項に記載した「第2の固定部材」に相当している。
【0034】
本実施形態では、前記基板保持部32の下端面32kと基板20の表面20jとの間に、所要の弾性特性を備えた弾性体51(第1弾性体)が挟み込まれている。一方、筐体1のボス部42の所定高さにおける外周面42gの周囲には、筐体1の一部によって平坦な受け面45が形成されている。そして、基板20の裏面20kと前記受け面45との間であって、固定孔22の周囲に、所要の弾性特性を備えた弾性体52(第2弾性体)が挟み込まれている。かかる弾性体51,52としては、例えばゴム若しくは軟質樹脂など、所要の弾性特性を有する種々の材質のものを用いることができる。
【0035】
このように、基板保持部32の下端面32kと基板20の表面20jとの間に第1弾性体51を介設し、筐体1の一部をなす受け面45と基板20の裏面20kとの間に第2弾性体52を介設したことにより、筐体1に撓みが生じた場合には、第1及び第2の弾性体51,52の弾性範囲内で基板20の面に垂直な方向の撓み成分を吸収することができ、この方向の筐体1の撓みが基板20に及ぼす影響を軽減することができるのである。
【0036】
尚、図8の例では、第2弾性体52の下面を受け合うために、筐体1の一部によって平坦な受け面45を形成するようにしていたが、ボス部42を公知の段付きボス部として構成し、係る段付きボス部の段差を形成する段差面と基板20の裏面20kとの間に前記第2弾性体52を挟み込むようにしてもよい。この場合には、基板20及び第2弾性体52の組付部分の構造を簡素化し、また、組付時の作業性の向上を図ることもできる。
また、図8の例では、保護板30によって基板20の表面側の少なくとも一部を覆うことで、保護板30で覆われた部分の基板20上の電子部品(例えばCPU15)を保護することができ、また、かかる構成を採用した場合において、保護板30を利用して図8の例に係る具体構造の作用効果を奏することができる。
【0037】
更に、前記第1及び第2の弾性体51,52の少なくとも何れか一方に、所定方向を指向する切欠部を形成するようにしてもよい。例えば、図7に示すように、少なくとも第1弾性体51に、CPU15が配置されている方向を指向する切欠部51cを形成するようにしてもよい。このような構成を採用することにより、切欠部には弾性体が存在しないので弾性体の厚み分だけ前記切欠部51cが指向する方向における弾性変位の幅を他の方向に比して大きく設定できる。言い換えれば、当該第1弾性体51による弾性作用に指向性を持たせることができる。そして、切欠部51cが指向する方向を、より重要で歪みに弱い電子部品(CPU15)が配置されている方向と合わせたことで、筐体1に生じた撓みがCPU15に及ぼす影響が効果的に低減される。なお、本実施の形態では弾性体の一箇所を切り欠くことで切欠部を形成したが、複数個所に切欠部を形成しても良い。また、切欠部の幅および弾性体の硬度を調整することで所定の方向に適切な弾性作用を持たせることができる。
【0038】
また更に、本実施形態では、図5及び図6に示されるように、前記基板20及び保護板30は、平面視で一直線上にない3箇所の固定部30A,30B,30Cで筐体1に固定されている。これら3箇所の固定部30A,30B,30Cは、平面視で一直線上に並ぶことはなく、これら3つの固定部30A,30B,30Cで形成される三角形31の領域内にCPU15の少なくとも主要部が配置されている。かかる構成を採用したことにより、前記3つの固定部30A,30B,30Cで形成される三角形31の領域内では、筐体1に生じた撓みが基板20に伝わることを有効に抑制される。従って、この三角形31の領域内にCPU15の少なくとも主要部を配置したことにより、筐体1に生じた撓みがCPU15に及ぼす影響をより効果的に低減できるのである。
【0039】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0040】
上述の実施の形態は、所謂タブレット端末装置に適用した場合を例にとって示したものであったが、本開示における電子機器は、かかる場合に限定されるものではなく、他の種々の電子機器として有効に適用し得るものである。
【0041】
このように、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本開示は、例えばプリント回路基板等の基板を筐体内に保持した電子機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 筐体
15 CPU
20 基板
20j 基板の表面
20k 基板の裏面
22 固定孔
30 保護
1 三角形
32 基板保持部
32k 基板保持部の下端面
42 ボス部
45 受け面
51 第1弾性体
51c 弾性体の切欠部
52 第2弾性体
W タブレット端末装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8