(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のアンテナの切り替えを制御するアンテナ制御部と、アンテナを択一的に切り替えながら受信した無線信号を検索して、予め設定されているユニークワードのビット列と同一のビット列を検出するビット列検出部と、
各アンテナ毎に受信した無線信号の品質を検出する信号品質検出部とを備え、
前記ビット列検出部が同一のビット列から成る複数の第1ユニークワードのうちいずれかの第1ユニークワードを第1所定時間内に検出したとき、前記信号品質検出部は、受信した無線信号の品質を検出し、
前記アンテナ制御部がアンテナを切り替えた後、前記ビット列検出部が前記いずれかの第1ユニークワードとは別の第1ユニークワードを第2所定時間内に検索することにより、前記信号品質検出部は、切り替えたアンテナで受信した無線信号の品質を検出し、
前記アンテナ制御部は、前記信号品質検出部によって検出された信号品質が高いアンテナを選択して、その後のペイロードを受信するアンテナ切り替え受信システムであって、
前記第1ユニークワードは、前記複数のアンテナの数の2倍だけ送信され、
前記複数のアンテナは、それぞれ、最初に前記第1ユニークワードが検出されるまでは、前記第1ユニークワードの前に送信されるプリアンブル及び前記第1ユニークワードの送信周期の2倍の周期で切り替えられることを特徴とするアンテナ切り替え受信システム。
前記アンテナ制御部が前記信号品質が高いアンテナを選択した後、前記ビット列検出部が、第3所定時間内に前記第1ユニークワードとは異なる第2ユニークワードを検出すると、
前記アンテナ制御部は、アンテナを固定したまま、その後のペイロードを受信することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ切り替え受信システム。
前記第1所定時間は、前記第1ユニークワード及び該第1ユニークワードの前に受信するプリアンブルの2周期分の時間に相当し、前記第2所定時間は、前記第1ユニークワード及び前記プリアンブルの1周期分以上の時間に相当することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンテナ切り替え受信システム。
前記第3所定時間は、前記プリアンブル及び前記第1ユニークワードの3周期分以上の時間に、前記第2ユニークワード及び該第2ユニークワードの前に受信するプリアンブルの1周期分の時間を加えた時間に相当することを特徴とする請求項2に従属する請求項3に記載のアンテナ切り替え受信システム。
前記ペイロードに含まれるヘッダを検出するヘッダ検出部と、前記ペイロードに含まれるデータを検出するデータ検出部をさらに備え、前記ヘッダ検出部が、第4所定時間内に前記ヘッダの検出を完了できないとき、
ペイロードのデータを受信することなく、再びアンテナを切り替えながら、前記ビット列検出部による前記第1ユニークワードの検出動作に復帰することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のアンテナ切り替え受信システム。
前記複数の第1ユニークワードを送信した後、前記第2ユニークワードを前記ペイロードの前に送信することを特徴とする請求項2に記載のアンテナ切り替え受信システムに対応する送信システム。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて、マルチパスフェージングによるレベル劣化が課題のひとつとして挙げられる。受信アンテナが受信する信号は、送信アンテナから直接受信アンテナに入力される信号だけではなく、複数の異なる経路を経て入力される信号も存在する。そのため、各々異なる遅延時間を持った信号(マルチパス)も受信アンテナに入力されてしまうため、受信アンテナ端で信号同士が重なり合い、打ち消し合うなどして受信レベルが劣化してしまう。これがマルチパスフェージングによるレベル劣化と称される現象である。
【0003】
このマルチパスフェージングによるレベル劣化の影響を回避するための代表的な方策として、OFDMなどのマルチキャリア伝送技術がある。これは伝送する情報を複数のキャリア(サブキャリア)に分けて広い周波数帯域で伝送するため、マルチパスフェージングによるレベル劣化の影響を低減できるという技術である。しかしながら、OFDM伝送ではフーリエ逆変換及びフーリエ変換により周波数軸と時間軸を変換して処理する複雑な構成が必要となり回路規模が増大してしまうため、低コスト化を図るのが困難であるという欠点があった。
【0004】
また、複数のアンテナを切り替える「切り替えダイバーシチ」、「選択ダイバーシチ」及び各アンテナでの受信信号を合成する「合成ダイバーシチ」による対策がある。これらはマルチパスフェージングによる影響は受信器の場所や電波の偏波面などによって異なることを利用した方策である。「選択ダイバーシチ」は、複数のアンテナでの受信レベルを監視しておき、最適なアンテナで信号を受信する技術であるが、アンテナの個数分の受信器が必要となるため回路規模が大きくなるという欠点があった。また、「合成ダイバーシチ」は複数のアンテナで受信した信号の位相を揃えて合成する技術であるが、こちらもアンテナの個数分の受信器及び各信号の位相を合わせる移相器が必要となるため回路規模が大きくなるという欠点があった。
【0005】
「切り替えダイバーシチ」は一方のアンテナでマルチパスフェージングの影響がある場合は、もう一方のアンテナに切り替えることによりマルチパスフェージングの影響を低減するという技術である。近年、携帯用無線機器の普及により、アンテナ切替部も小型化や低コスト化が要求されており、1つの受信機で構成できるため、開発が容易で回路規模が小さく低コスト化が図れる「切り替えダイバーシチ」が様々な無線器に搭載されている。
【0006】
しかしながら、「切り替えダイバーシチ」においては、切り替え先のアンテナでの受信レベルはアンテナを切り替えるまで分からない。そのため、もし切り替え先のアンテナでの受信レベルがさらに低かった場合には、より劣悪な条件で信号を受信しなければならないという欠点がある。
【0007】
さらに無線LANでは、複数のパケット(フレーム:プリアンブル、ユニークワード、ペイロードを構成する信号の一塊)を受信し、エラーが複数のパケットに亘って検出された際にアンテナを切り替えるシステムを基本としている。つまり、エラーが発生した後にアンテナを切り替え、発生したエラーに対しては再度同じパケットを送信器から送ってもらうことにより対応している(再送機能)。しかしながら、マルチパスフェージングにより通信環境が劣悪な状況では再送回数が増え、複数の機器と通信し、次々に新しいペイロード信号を受信する必要がある機器には不向きとなる。
【0008】
「切り替えダイバーシチ」の上記欠点を克服するために、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、複数のアンテナを切り替えて無線信号を受信するアンテナ切り替え受信システムにおいて、所定周期でアンテナを切り替えながら受信した無線信号の品質を比較して、ペイロードを受信するアンテナを選択する技術が提案されている。
【0009】
上記特許文献1において、
図6乃至
図9等には、複数ユニークワード検出部が複数種類のユニークワードを個別に検出し、検出したユニークワードに応じて異なるアンテナ選択動作を実行することにより、適正にアンテナを選択する技術が開示されている。複数種類のユニークワードUW1乃至UW4は、相異なるビット列で構成され、複数ユニークワード検出部は、ユニークワードUW1乃至UW4を同時に待ち受け、パケットに含まれるUW1乃至UW4を検出する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態によるアンテナ切り替え受信システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、HEMS(Home Energy Management System)等と称されるエネルギー管理システムを示す。HEMSとは、宅内の家電機器等を通信ネットワークで接続し、配電盤や家庭用発電設備などと共に統合制御することで、省電力化のための情報提示や自動制御を行うシステムである。HEMS100は、HEMSコントローラ101と、各種の家電機器102と、太陽光発電機103と、燃料電池104と、蓄電池105と、電気自動車106と、情報処理端末107と、分電盤108等によって構成される。分電盤108には、電力計測通信装置108aが内蔵されている。分電盤108は、屋外のスマートメータ109と接続される。スマートメータ109は、電力会社からそれぞれのユーザー宅に提供され、送電線から分電盤108に給電を行い、また分電盤108内の主幹電力を測定する。また、電力会社のサーバ110から各ユーザー宅に各種の情報(例えば、節電の要請など)が、スマートメータ109及び電力計測通信装置108aを経由してHEMSコントローラ101に入力される。電力計測通信装置108aとスマートメータ109とは、有線又は無線にて接続される。電力計測通信装置108aは、分電盤108の外部に設けられ、分電盤108と有線等にて接続される形態であってもよい。スマートメータ109は、他の家屋のスマートメータ109及び電力会社のサーバ110等と無線又は有線によって接続され、スマートメータネットワークを構成する。
【0026】
HEMSコントローラ101は、無線式の省エネルギー制御装置であり、上述したネットワークの中核となって各種機器の制御を司る。HEMSコントローラ101と家電機器102、太陽光発電機103、燃料電池104、蓄電池105、電気自動車106、情報処理端末(モニタ装置)107及び分電盤108等(以下、家電機器102等とする)とは、有線又は無線によって双方向の通信が確立される。各機器は、別の機器を介してHEMSコントローラ101と接続される構成であってもよい。例えば、燃料電池104は、分電盤108の電力計測通信装置108aと有線にて接続され、電力計測通信装置108aは、HEMSコントローラ101と無線にて接続されていてもよい。この場合、燃料電池104とHEMSコントローラ101との間において、電力計測通信装置108aを経由して有線及び無線によって双方向の通信が確立される。
【0027】
図2は、HEMS100におけるHEMSコントローラ101と、各種の家電機器102の概略構成を示す。HEMS100を構成する各種機器において、無線通信を行う機器、例えばHEMSコントローラ101及び家電機器102等のそれぞれには、対応する送信システムと受信システムが搭載されている。この受信システムとして適用されるのが、本発明の一実施形態によるアンテナ切り替え受信システム1であり、対応する送信システムとして適用されるのが、本発明の送信システム70である。すなわち、HEMSコントローラ101の送信システム70が機能する場合、家電機器102等のアンテナ切り替え受信システム1が機能して、無線信号の送受信が行われる。一方、家電機器102等の送信システム70が機能する場合、HEMSコントローラ101のアンテナ切り替え受信システム1が機能して、無線信号の送受信が行われることになる。なお、
図2は、HEMSコントローラ101と家電機器102の構成について例示しているが、家電機器102に替えて電力計測通信装置108a等の機器を適用してもよい。
【0028】
図3はアンテナ切り替え受信システムを示す。アンテナ切り替え受信システム1は、受信器2と複数のアンテナA,B等によって構成される。受信器2は、アンテナ切替部3と、RFIC4と、CPU5等によって構成されている。
【0029】
アンテナ切替部3は、CPU5から出力された制御信号に応じて、2つのアンテナA,Bのうち、無線信号を受信するアンテナを切り替える。RFIC4は、RF部(信号品質検出部)41と、復調部42と、同期確立部43と、プリアンブル検出部(ビット列検出部)44と、ユニークワード(UW)検出部(ビット列検出部)45等を有する。すなわち、RF部41、復調部42、同期確立部43、プリアンブル検出部44及びユニークワード検出部45等の回路は、1つのICチップに統合され、実装される。
【0030】
RF部41は、いずれかのアンテナA又はBを用いて受信した無線信号をダウンコンバートし、ベースバンド信号を抽出する。RF部41が無線信号を受信する際には、一般的にAFC(Automatic Frequency Control)が実行され、送受信間の周波数誤差が除去される。その場合、アンテナ切替部3によってアンテナが切り替えられた後の所定時間は、AFCが解除されてもよい。妨害波の影響を回避して、プリアンブル及びユニークワードを正確に検出し、パケットロスを低減するためである。また、RF部41は、いずれかのアンテナA又はBを用いて受信した無線信号の受信レベルを検出する。受信レベルの検出には、例えばRSSI(Received Signal Strength Indication)が用いられる。RF部41によって検出された受信レベルに関する信号は、CPU5の信号処理部51に入力され、無線信号の品質の検出に用いられる。復調部42は、RF部41によって抽出されたベースバンド信号を復調する。同期確立部43は、復調されたベースバンド信号のビット同期を確立する。
【0031】
プリアンブル検出部44は、同期確立部43によって同期が確立されたベースバンド信号を検索し、プリアンブルのビット列を検出する。プリアンブルのビット列の具体例としては、01が交互に繰り返されるビット列(以下、01交番とする)が挙げられる。プリアンブル検出部44には、既知のプリアンブル(送信システムから送信されるプリアンブルと同一)のビット列が予め設定され記憶されている。プリアンブルは、ベースバンド信号のビット列と予め記憶しているビット列との一致度を評価することにより検出される。両者が完全に一致したとき、プリアンブルを検出したと判断される。また、例えば、プリアンブルが01交番で構成される場合、所定ビットにおいて連続して01交番が一致したとき、プリアンブル検出部44は、プリアンブルを検出したと判断してもよい。この場合、プリアンブルの検出タイミングは、その都度異なる可能性がある(
図4等参照)。さらにまた、予め記憶しているプリアンブルのビット列に対するベースバンド信号のビット列の誤り率が所定値以下となったとき、プリアンブルを検出したと判断してもよい。この場合であっても、予め記憶しているプリアンブルのビット列と実質的に同一のビット列がベースバンド信号から検出されたとみなすことができるからである。
【0032】
プリアンブル検出部44がプリアンブルを検出した旨の信号は、ユニークワード検出部45、CPU5等に入力される。当該信号が、プリアンブル検出部44からCPU5に出力され、CPU5を経由してユニークワード検出部45等に入力される構成であってもよい。
【0033】
ユニークワード検出部45は、同期確立部43によって同期が確立されたベースバンド信号を検索し、ユニークワードのビット列を検出する。ユニークワード検出部45には、既知のユニークワード(送信システムから送信されるユニークワードと同一)のビット列が予め設定され記憶されている。ユニークワードは、ベースバンド信号のビット列と予め記憶しているビット列との一致度を評価することにより検出される。両者が完全に一致したとき、ユニークワードを検出したと判断してもよいし、予め記憶しているユニークワードのビット列に対するベースバンド信号のビット列の誤り率が所定値以下となったとき、ユニークワードを検出したと判断してもよい。後者の場合であっても、予め記憶しているユニークワードのビット列と実質的に同一のビット列がベースバンド信号から検出されたとみなすことができるからである。ユニークワード検出部45がユニークワードを検出した旨の信号は、CPU5の信号処理部51等に入力される。なお、上述した既知のプリアンブル及びユニークワードは、対応する送信システムとの間で共有され、このプリアンブル及びユニークワードが付与されたパケットが送信システムから送信される。
【0034】
CPU5は、信号処理部(信号品質検出部、ヘッダ検出部、データ検出部、受信時間更新部)51と、アンテナ制御部52とカウンタ53等を有し、アンテナ切り替え受信システム1の制御を司る。CPU5が、プリアンブル検出部44又はユニークワード検出部45等の代わりにプリアンブル又はユニークワードを検出する構成であってもよい。この場合、RFIC4からプリアンブル検出部44又はユニークワード検出部45等が省かれる。信号処理部51は、RF部41、同期確立部43、プリアンブル検出部44及びユニークワード検出部45等から入力された信号について、各種の処理を行う。例えば、信号処理部51は、RF部41から入力される受信レベルを表す信号から無線信号の品質を検出する。このとき、信号処理部51は、RF部41から入力される受信レベルを表す信号に演算処理を施して、無線信号の品質の判断指標となる数値を算出する。より具体的には、信号処理部51は、RF部41から入力される受信レベルについてアンテナ毎に平均値を算出する。アンテナ制御部52は、信号処理部51よって算出された受信レベルの平均値を評価して、ペイロードを受信するアンテナを選択し、アンテナの切り替え要否を判断し、アンテナ切替部3に対してアンテナの切り替えのための制御信号を出力する。カウンタ53は、
図4乃至
図7における第1カウンタ乃至第5カウンタとして機能し、時間を計数する。
【0035】
なお、本実施形態は、アンテナ切替部3によって2つアンテナを切り替えて無線信号を受信する構成であるが、アンテナの個数は3つ以上であってもよい。
【0036】
図4乃至
図7は、対応する送信システムから送信される信号と、アンテナ切り替え受信システム1によって切り替えられるアンテナと、各アンテナによって受信される信号と、その受信レベルの推移を示す。1つのパケットは、複数対のプリアンブル及びユニークワードとその後に続けて送信されるペイロード等によって構成される。本実施形態においては、2種類のユニークワードUW1(第1ユニークワード)及びユニークワードUW2(第2ユニークワード)が送信システムから送信される。
【0037】
ユニークワードUW1は、アンテナ切り替え受信システム1がペイロードを受信するアンテナを選択するために用いられる。ユニークワードUW2は、ペイロードの先頭を検出する(すなわち頭出しをする)ために用いられる。ユニークワードUW1の前に送信されるプリアンブルとユニークワードUW2の前に送信されるプリアンブルとは、同一のビット列で構成されていてもよく、異なるビット列で構成されていてもよい。一方、プリアンブル、ユニークワードUW1及びユニークワードUW2は、それぞれ誤って検出されないように、互いに相関値の低いビット列によって構成される。
【0038】
ユニークワードUW1は、いずれのタイミングでアンテナA,Bが切り替えられても受信できるように、各アンテナに対して2回ずつ送信される。すべてのユニークワードの前には、プリアンブルが送信される。また、4度目のユニークワードUW1の後であって、ユニークワードUW2の直前に送信されるプリアンブルの前には、ダミーデータが送信される。なお、2度目以降のプリアンブル及びダミーデータの先頭には、必要に応じてアンテナの切替待ち時間を付与するためのデータが挿入されてもよい。
【0039】
アンテナ切り替え受信システムは、アンテナA,Bを所定の周期(例えば、プリアンブル及びユニークワードUW1の送信周期の2倍の周期:第1所定時間T1)で切り替えながら、送信システムから送信される無線信号を受信する。第1所定時間T1は、第1カウンタとして機能するカウンタ53によって計数される。受信した信号は、上述したようにRF部41によってダウンコンバートされ、復調部42によって復調され、同期確立部43によってビット同期が確立される。そして、プリアンブル検出部44によってプリアンブルが検出され、ユニークワード検出部45によってユニークワードUW1が検出される。
【0040】
上述したように、いずれのタイミングでアンテナA,Bが切り替えられてもプリアンブル及びユニークワードUW1を受信できるように、各アンテナに対して2回ずつ、プリアンブルとユニークワードUW1が送信される。本実施形態においては、2つのアンテナが使用されるので、
図4乃至
図7に示すように、プリアンブルとユニークワードUW1が4回ずつ送信される。このように、アンテナ切り替え受信システムに搭載されるアンテナ数の2倍のプリアンブル及びユニークワードUW1が送信される。また、最初にユニークワードUW1が検出されるまでは、各アンテナはプリアンブル及びユニークワードUW1の送信周期の2倍の周期すなわち第1所定時間T1で切り替えられる。いずれかのユニークワードUW1が検出されると、アンテナを切り替えた後、第2所定時間T2に亘って別のユニークワードUW1が検索される。第2所定時間T2は、プリアンブル及びユニークワードUW1の送信周期に相当する時間以上に設定され、第2カウンタとして機能するカウンタ53によって計数される。なお、ダミーデータが挿入される時間は、第2所定時間T2に相当する。本実施形態では第1所定時間T1において、最初にユニークワードUW1が検出されるまでに受信した無線信号の品質と、アンテナの切り替え後第2所定時間T2に亘って受信した無線信号の品質が比較され、ペイロードを受信するアンテナが選択される。アンテナが選択されると、第3所定時間T3に亘ってプリアンブル及びユニークワードUW2が検索される。第3所定時間T3は、プリアンブル及び第1ユニークワードUW1の3周期分以上の時間に、プリアンブル及びユニークワードUW2の1周期分の時間を加えた時間以上に設定され、第3カウンタとして機能するカウンタ53によって計数される。
【0041】
図4及び
図5は、アンテナA及びBによってユニークワードUW1が検出されたときのアンテナ切り替え動作等を示す。受信信号のうち、実線部分が各アンテナによって受信された信号である。なお、以下の説明では、便宜上、プリアンブル検出部44及びユニークワード検出部45が最初にプリアンブル及びユニークワードUW1を検出したとき、無線信号を受信していた(アクティブであった)アンテナをアンテナAとする。
図4はアンテナAで受信した無線信号の受信レベルがアンテナBで受信した無線信号の受信レベルよりも高い場合、
図5はアンテナBで受信した無線信号の受信レベルがアンテナAで受信した無線信号の受信レベルよりも高い場合をそれぞれ示す。
【0042】
図4及び
図5において、1度目に送信されたプリアンブルは、その受信中にアンテナが切り替えられて検出できず、2度目に送信されたプリアンブルがアンテナAによって受信され、プリアンブル検出部44によって検出される。プリアンブルが検出されると、RF部41によって受信レベルの検出が開始される。その後、受信レベルは、所定のサンプリング周期で検出される。また、プリアンブルに続けて送信されるユニークワードUW1がユニークワード検出部45によって検出される。受信レベルの検出は、ユニークワードUW1が検出されるまで継続され、検出された受信レベルに関する情報は、信号処理部51に逐次記憶される。信号処理部51は、記憶した受信レベルからその平均値(RAとする)を算出する。
【0043】
ユニークワードUW1が検出されると、その旨の信号がユニークワード検出部45から出力され信号処理部51に入力される。ユニークワードUW1が検出された旨の信号は、信号処理部51からアンテナ制御部52に転送され、アンテナ制御部52は、アンテナ切替部3にアンテナを切り替える旨の指令を出力し、アンテナがアンテナBに切り替えられる。その後、3度目に送信されたプリアンブルがアンテナBによって受信され、プリアンブル検出部44によって検出される。プリアンブルが検出されると、アンテナAのときと同様に、受信レベルが所定のサンプリング周期で検出され、ユニークワードUW1が検出される。アンテナBでの受信レベルに関する情報は、上述したアンテナAでの受信レベルに関する情報と区別して信号処理部51に逐次記憶され、信号処理部51は、記憶した受信レベルからその平均値(RBとする)を算出する。
【0044】
信号処理部51によって算出されたRA及びRBは、アンテナ制御部52に入力される。アンテナ制御部52は、信号処理部51によって算出されたRAとRBを比較してより高い信号品質が得られるアンテナを、ペイロードを受信するアンテナとして選択する。
【0045】
図4においては、アンテナAでの受信レベルがアンテナBでの受信レベルよりも高くRA>RBであるため、アンテナAで受信した無線信号の品質がアンテナBで受信した無線信号の品質よりも高いと考えられる。そこで、アンテナ制御部52は、信号処理部51によって算出されたRAとRBを比較してより受信レベルが高いアンテナAを、ペイロードを受信するアンテナとして選択する。これにより、アンテナは、再びアンテナAに切り替えられ、当該パケットを受信し終えるまでアンテナAに固定される。従って、4度目に送信されたプリアンブル、ユニークワードUW1及びダミーデータがアンテナAによって受信され、その後のプリアンブル、ユニークワードUW2及びペイロードもアンテナAによって受信される。
【0046】
図5においては、アンテナBでの受信レベルがアンテナAでの受信レベルよりも高くRB>RAであるため、アンテナBで受信した無線信号の品質がアンテナAで受信した無線信号の品質よりも高いと考えられる。そこで、アンテナ制御部52は、信号処理部51によって算出されたRAとRBを比較してより受信レベルが高いアンテナBを、ペイロードを受信するアンテナとして選択する。これにより、アンテナは、当該パケットを受信し終えるまで切り替えられることなくアンテナBに固定される。従って、4度目に送信されたプリアンブル、ユニークワードUW1及びダミーデータがアンテナBによって受信され、その後のプリアンブル、ユニークワードUW2及びペイロードもアンテナBによって受信される。
【0047】
図6は、2度目に送信されたプリアンブル等がアンテナAによって受信され、プリアンブル検出部44等によって検出され、アンテナBに切り替えられた後、3度目に送信されたプリアンブルがプリアンブル検出部44によって検出されなかった場合を示す。2度目に送信されたユニークワードUW1が検出されると、その直後にアンテナBに切り替えられるので、3度目に送信されたプリアンブルは、実質的に先頭からアンテナBによって受信される。従って、アンテナBによって受信された無線信号からプリアンブル等を検出するために必要な最小時間は、一組のプリアンブルとユニークワードUW1が送信される時間に等しい。よって、3度目に送信されたプリアンブル等が検出されなかった場合、4度目に送信されたプリアンブル等をアンテナBで受信してもよいし、
図6に示すように直ちにアンテナをアンテナAに切り替えてもよい。前者の場合は、第2所定時間T2は、プリアンブル及びユニークワードUW1の送信周期の2倍に相当する時間に設定され、アンテナBを用いてプリアンブル等を検出する機会が2度得られる。従って、アンテナBでの受信レベルを検出できる機会が増加し、アンテナの選択をより一層適正に行えるようになる。後者の場合は、第2所定時間T2は、プリアンブル及びユニークワードUW1の送信周期に相当する時間に設定され、ダミーデータの長さを短く設定して、パケットに占めるペイロードの割合を増加させることができる。ダミーデータの長さを短く設定できる理由は、以下の通りである。例えば、アンテナAで4度目のユニークワードUW1を最初に検出した場合(
図7参照)、アンテナをアンテナBに切り替えてダミーデータを受信することとなる。このとき、前者のようにアンテナBを用いてプリアンブル等を2度に亘って検出するように構成すると、プリアンブル及びユニークワードUW1の2周期分のダミーデータが必要とされる。一方、後者のようにアンテナBを用いてプリアンブル等を検出する機会を1度に制限することより、プリアンブル及びユニークワードUW1の1周期分のダミーデータで済むからである。
【0048】
後者の場合、アンテナBによって受信された無線信号からプリアンブル等が検出されなかったことから、その信号品質はペイロードを受信するために十分なものではないと考えられる。また、RB=0とも考えることができる。従って、アンテナ制御部52は、十分に高い信号品質が得られるアンテナAを、ペイロードを受信するアンテナとして選択し、アンテナは、再びアンテナAに切り替えられ、当該パケットを受信し終えるまでアンテナAに固定される。RB=0と考えた場合も、同等の動作が実行される。また、アンテナBでプリアンブルは検出できても、UW1を検出できなければ上記と同様にアンテナAに切り替える。以後の動作は、
図4と同様である。
【0049】
図7は、4度目に送信されたプリアンブル等がアンテナAによって受信され、当該パケット内で最初のプリアンブル等としてプリアンブル検出部44等によって検出された場合を示す。この場合、4度目に送信されたユニークワードUW1が検出された後、アンテナBに切り替えられダミーデータが受信される。
【0050】
ダミーデータとは、プリアンブルとは異なるビット列で構成されたデータであり、再びアンテナBからアンテナAに切り替える際の時間的な猶予をアンテナ切り替え受信システム1に付与するために、送信システムから送信される。従って、ダミーデータのデータ長は、プリアンブルのデータ長とユニークワードUW1のデータ長の和、すなわち第2所定時間T2と同等以上に設定される。
【0051】
ダミーデータは、プリアンブル並びにユニークワードUW1及びUW2とは、互いに相関値の低いビット列によって構成される。プリアンブル検出部44及びユニークワード検出部45がダミーデータをプリアンブル並びにユニークワードUW1及びUW2と誤って検出しないようにするためである。ダミーデータとプリアンブルの相関値、ダミーデータとユニークワードUW1の相関値及びダミーデータとユニークワードUW2の相関値が最も低くなるように各ビット列が設定されているのが望ましい。しかしながら、プリアンブル検出部44及びユニークワード検出部45による誤検出を防止できる程度に上記相関値が低ければ、すなわち上記相関値が所定値未満であれば、実用上の問題は生じない。
【0052】
図7に示すように、アンテナBによってダミーデータが受信された場合、プリアンブル検出部44によってプリアンブルが、ユニークワード検出部45によってユニークワードUW1が検出されることはない。また、2度目に送信されたプリアンブル等は、アンテナBによって受信されていながら、プリアンブル検出部44等によってプリアンブル等が検出されなかったことから、アンテナBで受信した信号の品質は高くないものと考えられる。従って、アンテナ制御部52は、十分に高い信号品質が得られるアンテナAを、ペイロードを受信するアンテナとして選択し、アンテナは、再びアンテナAに切り替えられ、当該パケットを受信し終えるまでアンテナAに固定される。以後の動作は、
図4と同様である。
【0053】
図8は、アンテナ切り替え受信システム1の動作を示す。まず、ユニークワードUW1を検出する前段階において、アンテナA,Bは、所定周期で交互に切り替えられる(#1)。アンテナを切り替える所定周期は、例えばプリアンブル及びユニークワードUW1の2回分の周期、すなわち第1所定時間T1である。アンテナが切り替えられると、プリアンブル及びユニークワードUW1のビット列の検出がリセットされる(#2)。プリアンブル及びユニークワードUW1のビット列の検出がリセットされるとは、ビット列の検出を中止し、最初のビットから検出を再開する処理をいう。このとき、ユニークワード検出部45が検出すべきビット列として、ユニークワードUW1が設定される。すなわちユニークワードUW1の検出が開始される。プリアンブル検出部44及びユニークワード検出部45が、ビット列の検出をリセットするのは、以下の理由による。すなわち、RFIC4は、アンテナ切替部3から入力された受信信号のうち、どの部分がいずれのアンテナで受信されたのかを認識できないため、プリアンブル及びユニークワードを受信したアンテナを誤ってしまうことを防止するためである。例えば、ユニークワードのビット列の終端近傍でアンテナAからアンテナBに切り替えられた場合、ビット列の大部分をアンテナAで受信しているにも関わらず、最後の部分を受信したアンテナBによってビット列の全体が受信されたと誤認してしまうことを防止するためである。
【0054】
切り替えにおいてアクティブとされたアンテナで、無線信号を受信し、プリアンブル検出部44によってプリアンブルが検索される(#3)。プリアンブル検出部44によってプリアンブルが検出されると(#4においてYES)、受信レベルの検出が開始される(#5)。このときに無線信号を受信しているアンテナをアンテナAとする。受信レベルは所定のサンプリング周期で検出され、その値は信号処理部51に逐次記憶される(#12においても同様)。#4において、プリアンブルの検出は、#2においてビット列の検出をリセットした後、第1所定時間に亘って継続され、第1所定時間内にプリアンブルが検出されない場合は(#4においてNO)、#1に戻る。ここで第1所定時間とは、プリアンブル及びユニークワードUW1の2周期に相当する時間であり、#2においてビット列の検出をリセットした後、計数を開始する。プリアンブルの検出後、ユニークワードUW1が検出されると(#6においてYES)、受信レベルの検出が終了される(#7)。#6において、ユニークワードUW1の検出は、#2におけるビット列検出のリセット後から起算された第1所定時間に亘って継続される。第1所定時間内にユニークワードUW1が検出されない場合は(#6においてNO)、受信レベルの検出が終了され、#1に戻る。
【0055】
アンテナAでの受信レベルの検出が終了されると、信号処理部51は、記憶した受信レベルから平均値(RA)を算出し(#8)、アンテナ制御部52は、アンテナをアンテナBに切り替える(#9)。アンテナが切り替えられると、#2と同様に、プリアンブル及びユニークワードUW1のビット列の検出をリセットする(#9A)。そして、切り替え後のアンテナBで無線信号を受信し、プリアンブル検出部44によってプリアンブルが検索される(#10)。プリアンブル検出部44によってプリアンブルが検出されると(#11においてYES)、受信レベルの検出が開始される(#12)。#11において、プリアンブルの検出は、#9Aにおいてビット列の検出をリセットした後、第2所定時間に亘って継続され、
図6又は
図7に示すように、第2所定時間内にプリアンブルが検出されない場合は(#11においてNO)、#19に移行する。アンテナBでは十分な信号品質が得られないと判断できるからである。ここで第2所定時間とは、プリアンブル及びユニークワードUW1の1周期に相当する時間であり、#9Aにおいてビット列の検出をリセットした後、計数を開始する。プリアンブルの検出後、ユニークワードUW1が検出されると(#13においてYES)、受信レベルの検出が終了される(#14)。#11において、ユニークワードUW1の検出は、#9Aにおいてビット列の検出がリセットされた後から起算された第2所定時間に亘って継続される。第2所定時間内にユニークワードUW1が検出されない場合は(#13においてNO)、受信レベルの検出が終了され、#19に移行する。アンテナBでは十分な信号品質が得られないと判断できるからである。
【0056】
アンテナBでの受信レベルの検出が終了されると、信号処理部51は、記憶した受信レベルから平均値(RB)を算出し(#15)、アンテナ制御部52は、信号処理部51によって算出された受信レベルの平均値RAとRBを比較する(#16)。
図5に示すように、RA<RBの場合は(#17においてYES)、アンテナ制御部52は、ペイロードを受信するアンテナとしてアンテナBを選択する。すなわち、アンテナをアンテナBに固定したまま(#18)、ビット列の検出をリセットする(#20)。このとき、ユニークワード検出部45が検出すべきビット列として、ユニークワードUW2が設定される。すなわちユニークワードUW2の検出が開始される。一方、
図4に示すように、RA>RBの場合は(#17においてNO)、ペイロードを受信するアンテナとしてアンテナAを選択する。すなわち、アンテナをアンテナAに切り替えて(#19)、#20に移行する。
【0057】
選択されたアンテナA又はBで無線信号を受信し、プリアンブル検出部44によってプリアンブルが検出されると(#21においてYES)、ユニークワードUW2の検出に移行する(#22)。ユニークワード検出部45によってユニークワードUW2が検出されると(#22においてYES)、ペイロードの頭出しが完了したことになり、以後ペイロードを受信する(#23)。受信したペイロードは、信号処理部51によって処理される。なお、#21において、プリアンブルの検出は、#20においてビット列の検出をリセットした後第3所定時間に亘って継続され、第3所定時間内にプリアンブル検出部44によってプリアンブルが検出されない場合(#21においてNO)は、#1に戻る。ここで第3所定時間とは、プリアンブル及びユニークワードUW1の2周期と、ダミーデータと、プリアンブル及びユニークワードUW2の1周期とを加えた時間に相当し、#20においてビット列の検出をリセットした後、計数を開始する。また、#22において、ユニークワードUW2の検出は、#20におけるビット列検出のリセット後から起算された第3所定時間に亘って継続される。第3所定時間内にユニークワード検出部45によってユニークワードUW2が検出されない場合(#22においてNO)は、#1に戻る。
【0058】
図9は、対応する送信システム70から送信されるペイロードの構成を示す。ペイロードは、アンテナ制御部52によって選択されたアンテナA又はBによって受信される。ペイロードは、ヘッダとデータによって構成される。ヘッダには、レングス、機器のID及びパケットの種別等のパケット自体を受信して処理するために必要な付加情報が付与されている。データは、送信システム70とアンテナ切り替え受信システム1との間で、本来送受信したいデータの本体部である。ヘッダの先頭には、レングスが挿入されている。レングスとは、ヘッダに続けて送信されるデータの長さに関する情報である。ヘッダ(レングス)及びデータは、CPU5の信号処理部51によって検出され、処理される。なお、ヘッダの検出をRFIC4によって検出するように構成してもよい。
【0059】
ヘッダは、第4所定時間T4に亘って検索される。第4所定時間T4は、送信システム70から送信されるヘッダの長さに応じて設定され、第4カウンタとして機能するカウンタ53によって計数される。第4所定時間T4内にヘッダが検出されない場合、信号処理部51は、ヘッダの検出を中止して、再びアンテナを切り替えながら、次に送信されるパケット内の最初のユニークワードUW1を検出する動作に復帰する(
図4乃至
図7参照)。
【0060】
レングスが検出されると、データの長さが分かるので、信号処理部(受信時間更新部)51は、データ受信時間T5を設定し、データ受信時間T5に亘ってデータを受信する。データ受信時間T5は、第5カウンタとして機能するカウンタ53によって計数される。データ受信時間T5は、パケット毎に異なるため、信号処理部51は、レングスを検出するたびに、検出したレングスに基づいてデータ受信時間T5を更新する。データの検出が完了しない場合であっても、データ受信時間T5が経過すると、信号処理部51は、データの検出を中止する。そして、再びアンテナを切り替えながら、次に送信されるパケット内の最初のユニークワードUW1を検出する動作に復帰する(
図4乃至
図7参照)。
【0061】
図10は、
図8における#1乃至#7の動作の一例を詳細に示す。#2において、プリアンブル及びユニークワードUW1のビット列の検出がリセットされると、カウンタ53のカウントはリセットされる。カウントがリセットされるとは、時間の計数の検出を中止し、ゼロから時間の計数を再開する処理をいう。ここでは、カウンタ53は、第1カウンタとして機能し、カウントを開始する(#2B)。そして、無線信号を受信し(#3)、第1所定時間T1内にプリアンブル検出部44によってプリアンブルが検出されると(#4においてYES)受信レベルの検出が開始される(#5)。プリアンブルが検出されない場合(#4においてNO)、カウンタ53のカウント値が第1所定時間T1と比較される(#4A)。カウンタ53のカウント値が第1所定時間T1に満たない場合(#4AにおいてNO)、カウンタ53のカウントをインクリメントした後(#4B)、#3に戻って、受信した信号からプリアンブルの検索が継続される。カウンタ53のカウント値が第1所定時間T1以上になると(#4AにおいてYES)、アンテナの切り替え動作に戻る(#1)。
【0062】
#5における受信レベルの検出の開始後、ユニークワードUW1が検出されると(#6においてYES)、受信レベルの検出が終了される(#7)。ユニークワードUW1が検出されない場合(#6においてNO)、カウンタ53のカウント値が第1所定時間T1と比較される(#6A)。カウンタ53のカウント値が第1所定時間T1に満たない場合(#6AにおいてNO)、カウンタ53のカウントをインクリメントした後(#6B)、#6に戻って、ユニークワードUW1の検索が継続される。カウンタ53のカウント値が第1所定時間T1以上になると(#4AにおいてYES)、アンテナの切り替え動作に戻る(#1)。
【0063】
図11は、
図8における#9乃至#14の動作の一例を詳細に示す。この動作例では、パケット内で最初のユニークワードUW1を検出した後、アンテナを切り替えて別のユニークワードUW1を検出する際に、タイムアウト時間(第2所定時間T2)を設定する。#9においてアンテナが切り替えられると、プリアンブル及びユニークワードUW1のビット列の検出がリセットされ(#9A)、カウンタ53のカウントがリセットされる。ここでは、カウンタ53は、第2カウンタとして機能し、カウントを開始する(#9B)。そして、無線信号を受信し(#10)、第2所定時間T2内にプリアンブル検出部44によってプリアンブルが検出されると(#11においてYES)、受信レベルの検出が開始される(#12)。プリアンブルが検出されない場合(#11においてNO)、カウンタ53のカウント値が第2所定時間T2と比較される(#11A)。カウンタ53のカウント値が第2所定時間T2に満たない場合(#11AにおいてNO)、カウンタ53のカウントをインクリメントした後(#11B)、#10に戻って、受信した信号からプリアンブルの検索が継続される。カウンタ53のカウント値が第2所定時間T2以上になると(#11AにおいてYES)、#19に移行してアンテナを切り替える。
【0064】
#12における受信レベルの検出の開始後、ユニークワードUW1が検出されると(#13においてYES)、受信レベルの検出が終了される(#14)。ユニークワードUW1が検出されない場合(#13においてNO)、カウンタ53のカウント値が第2所定時間T2と比較される(#13A)。カウンタ53のカウント値が第2所定時間T2に満たない場合(#13AにおいてNO)、カウンタ53のカウントをインクリメントした後(#13B)、#13に戻って、ユニークワードUW1の検索が継続される。カウンタ53のカウント値が第2所定時間T2以上になると(#13AにおいてYES)、#19に移行してアンテナを切り替える。
【0065】
図12は、
図8における#20乃至#23の動作の一例を詳細に示す。この動作例では、ペイロードを受信するアンテナを選択した後、ユニークワードUW2を検出する際に、タイムアウト時間(第3所定時間T3)を設定する。ビット列の検出がリセットされ、検出されるビット列としてユニークワードUW2が設定されると(#20)、カウンタ53のカウントがリセットされる。ここでは、カウンタ53は、第3カウンタとして機能し、カウントを開始する(#20A)。そして、無線信号を受信し、第3所定時間T3内にプリアンブル検出部44によってプリアンブルが検出されると(#21においてYES)、ユニークワードUW2の検出に移行する(#22)。プリアンブルが検出されない場合(#21においてNO)、カウンタ53のカウント値が第3所定時間T3と比較される(#21A)。カウンタ53のカウント値が第3所定時間T3に満たない場合(#21AにおいてNO)、カウンタ53のカウントをインクリメントした後(#21B)、#21に戻って、受信した信号からプリアンブルの検索が継続される。カウンタ53のカウント値が第3所定時間T3以上になると(#21AにおいてYES)、アンテナの切り替え動作に戻る(#1)。
【0066】
#21におけるプリアンブルの検出後、第3所定時間T3内にユニークワード検出部45によってユニークワードUW2が検出されると(#22においてYES)、ペイロードの受信に移行する(#23)。ユニークワードUW2が検出されない場合(#22においてNO)、カウンタ53のカウント値が第3所定時間T3と比較される(#22A)。カウンタ53のカウント値が第3所定時間T3に満たない場合(#22AにおいてNO)、カウンタ53のカウントをインクリメントした後(#22B)、#22に戻って、ユニークワードUW2の検索が継続される。カウンタ53のカウント値が第3所定時間T3以上になると(#22AにおいてYES)、アンテナの切り替え動作に戻る(#1)。
【0067】
図13は、
図8における#23、すなわちペイロードの受信動作の一例を詳細に示す。この動作例では、ヘッダの検出にタイムアウト時間(第4所定時間T4)を設定する。#22においてユニークワードUW2が検出されると、カウンタ53のカウントがリセットされる。ここでは、カウンタ53は、第4カウンタとして機能し、カウントを開始する(#23A)。そして、無線信号を受信し、信号処理部51によってヘッダが検出され、第4所定時間T4内にヘッダの検出が完了すると(#23BにおいてYES)、データの受信に移行する(#23E)。ヘッダの検出が完了しない場合(#23BにおいてNO)、カウンタ53のカウント値が第4所定時間T4と比較される(#23C)。カウンタ53のカウント値が第4所定時間T4に満たない場合(#23CにおいてNO)、カウンタ53のカウントをインクリメントした後(#23D)、#23Bに戻って、受信した信号からヘッダの検索が継続される。カウンタ53のカウント値が第4所定時間T4以上になると(#23CにおいてYES)、アンテナの切り替え動作に戻る(#1)。
【0068】
図14は、
図8における#23、すなわちペイロードの受信動作の一例をさらに詳細に示す。この動作例では、レングス及びヘッダの検出にタイムアウト時間(第4所定時間T4A及びT4B)を設定する。ここで第4所定時間T4Bは、
図13における第4所定時間T4と同等である。
【0069】
また、この動作例では、データの検出にもタイムアウト時間(データ受信時間T5)を設定する。データ長は、パケット毎に異なるため、信号処理部51が、レングスを検出するたびに、データ受信時間T5の設定を更新することにより、データの検出に費やす時間を動的に変更する。
【0070】
#22においてユニークワードUW2が検出されると、カウンタ53のカウントがリセットされる。ここでは、カウンタ53は、第4カウンタA及び第4カウンタBとして機能し、カウントを開始する(#23A)。そして、無線信号を受信し、信号処理部51によってレングスが検出され、第4所定時間T4A内にレングスの検出が完了すると(#23FにおいてYES)、ヘッダの検出に移行する(#23B)。レングスの検出が完了しない場合(#23FにおいてNO)、カウンタ53のカウント値が第4所定時間T4Aと比較される(#23G)。カウンタ53のカウント値が第4所定時間T4Aに満たない場合(#23GにおいてNO)、カウンタ53のカウントをインクリメントした後(#23H)、#23Fに戻って、受信した信号からレングスの検索が継続される。カウンタ53のカウント値が第4所定時間T4A以上になると(#23GにおいてYES)、アンテナの切り替え動作に戻る(#1)。
【0071】
#23Fにおけるレングスの検出が完了すると、信号処理部51によってヘッダが検出される(#23B)。第4所定時間T4B内にヘッダの検出が完了すると(#23BにおいてYES)、信号処理部51は、#23Fにおいて検出したレングスに基づいて、データ受信時間T5の設定を更新する。これにより、信号処理部51がデータの検出に費やされる時間は、パケット毎に動的に最適化され、CPU5の処理負担が軽減される。また、受信した無線信号に含まれるノイズをユニークワード等の信号と誤認した場合であっても、迅速にユニークワードUW1等を検索する動作に復帰できる。ヘッダの検出が完了しない場合(#23BにおいてNO)、カウンタ53のカウント値が第4所定時間T4Bと比較される(#23C)。カウンタ53のカウント値が第4所定時間T4Bに満たない場合(#23CにおいてNO)、カウンタ53のカウントをインクリメントした後(#23D)、#23Bに戻って、受信した信号からヘッダの検索が継続される。カウンタ53のカウント値が第4所定時間T4B以上になると(#23CにおいてYES)、アンテナの切り替え動作に戻る(#1)。なお、第4カウンタBとして機能させるカウンタ53は、#23Fにおいてレングスの検出が完了した後(#23FにおいてYES)、リセットして第4所定時間T4Bのカウントを開始するように設定されていてもよい。この場合、第4所定時間T4Bは、
図13における第4所定時間T4からレングス長に相当する第4所定時間T4Aを減じた時間となる。
【0072】
#23Bにおいてヘッドの検出が完了し、#23Iにおいてデータ受信時間T5の設定が更新されると、カウンタ53のカウントがリセットされる。ここでは、カウンタ53は、第5カウンタとして機能し、カウントを開始する(#23J)。そして、無線信号を受信し、信号処理部51によってデータが検出され、データ受信時間T5内にデータの検出が完了すると(#23KにおいてYES)、アンテナの切り替え動作に戻る(#1)。データの検出が完了しない場合(#23KにおいてNO)、カウンタ53のカウント値がデータ受信時間T5と比較される(#23L)。カウンタ53のカウント値がデータ受信時間T5に満たない場合(#23LにおいてNO)、カウンタ53のカウントをインクリメントした後(#23M)、#23Kに戻って、受信した信号からデータの検索が継続される。カウンタ53のカウント値がデータ受信時間T5以上になると(#23LにおいてYES)、アンテナの切り替え動作に戻る(#1)。
【0073】
以上のように、本実施形態のアンテナ切り替え受信システム1によれば、ユニークワード検出部45が、同時に複数種類のユニークワードを待ち受ける必要がない。すなわち、
図8中、#6及び#13においてはユニークワードUW1のみを、#22においてはユニークワードUW2のみをそれぞれ待ち受けて検出すればよいので、ユニークワード検出部45の処理負担が大幅に軽減される。近年のICは、CPUには及ばないものの多機能化が推進されており、このような単一のユニークワード待ち受けて検出する処理は、RFIC4に備えられている機能を利用することにより実現できる。これにより、RFIC4が備えるビット列検出機能を用いてユニークワード検出部45を構成しながら、正確に信号品質の高いアンテナを選択することができる。また、CPU5が、プリアンブル検出部44又はユニークワード検出部45等の代わりにプリアンブル又はユニークワードを検出する構成であっても、CPU5の処理負担が軽減されることに変わりはない。従って、高スペックなCPU5を用いることなく、簡素かつ安価な構成で、マルチパスフェージングによるレベル変動の影響を低減できるようになる。CPU5の処理能力をビット列検出以外の他の機能に振り分けることができ、コストアップを伴うことなく、多機能なアンテナ切り替え受信システム1を構築できる。
【0074】
また、切り替えたアンテナでユニークワードUW1を検出する動作を第2所定時間T2に留めているので、CPU5の処理負担を軽減できる。切り替えたアンテナで受信した無線信号の品質がユニークワードUW1を検出できるレベルに達していない場合であっても、第2所定時間T2の経過後に、ユニークワードUW1の検出を中止して、ユニークワードUW2の検出の準備に移行できるからである。(
図6参照。)
【0075】
また、信号品質が高いアンテナとしてアンテナ制御部52に選択されたアンテナによってユニークワードUW2を受信してペイロードの先頭ビットを検出するので、ペイロードの頭出しを適正に行うことができる。また、アンテナ制御部52に選択されたアンテナに固定したままペイロードが受信されるので、品質の高いペイロードの信号を取得できる。
【0076】
また、アンテナの選択後、ユニークワードUW2を検出する動作を第3所定時間T3に留めているので、CPU5の処理負担を軽減できる。適正に設定された第3所定時間T3の経過後は、送信システム70から当該パケット内のユニークワードUW2が送信されることはないため、ユニークワードUW2の検出を中止して、次のパケットの受信準備に移行できるからである。
【0077】
また、第1所定時間T1は、プリアンブル及びユニークワードUW1の2周期分の時間に設定され、第2所定時間T2は、プリアンブル及びユニークワードUW1の1周期分以上の時間に設定されている。従って、送信システム70から送信されるパケットに対して、いずれのタイミングでアンテナが切り替えられても、いずれかのプリアンブル及びユニークワードUW1を受信状態で待ち受けることができる。
【0078】
また、第3所定時間T3は、プリアンブル及びユニークワードUW1の3周期分以上の時間に、ユニークワードUW2及びユニークワードUW2の前に受信するプリアンブルの1周期分の時間を加えた時間に設定されている。従って、送信システム70から送信されるパケットに対して、いずれのタイミングでアンテナが切り替えられても、アンテナの選択後、ユニークワードUW2を受信状態で待ち受けることができる。
【0079】
また、信号処理部51が、第4所定時間T4内にヘッダの検出を完了できないとき、ペイロードのデータを受信することなく、再びアンテナを切り替えながら、ユニークワード検出部45等によるユニークワードUW1の検出動作に復帰する。これにより、CPU5の処理負担をより一層軽減できる。また、受信した無線信号に含まれるノイズをユニークワード等の信号と誤認した場合であっても、迅速にユニークワードUW1等を検索する動作に復帰できる。
【0080】
また、信号処理部51が、更新したデータ受信時間T5内にデータの検出を完了できないとき、再びアンテナを切り替えながら、ユニークワード検出部45等によるユニークワードUW1の検出動作に復帰する。これにより、CPU5の処理負担をより一層軽減できる。また、データ受信時間T5は、ヘッダに含まれるレングスに基づいてパケット毎に動的に更新され、最適化されるので、CPU5の処理負担をより一層軽減できる。
【0081】
また、複数のユニークワードUW1をペイロードの前に送信する送信システムによって、アンテナ切り替え受信システム1に対応した無線送受信システムを構築できる。また、複数のユニークワードUW1を送信した後、ユニークワードUW2をペイロードの前に送信する送信システムによって、アンテナ切り替え受信システム1により一層対応した無線送受信システムを構築できる。また、プリアンブルをそれぞれのユニークワードUW1の前に送信する送信システムによって、アンテナ切り替え受信システム1により一層対応した無線送受信システムを構築できる。
【0082】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られない。少なくともアンテナを切り替えながらユニークワード検出部45が複数のユニークワードUW1のうちいずれかのユニークワードUW1を第1所定時間T1内に検出したとき、信号処理部51は、受信した無線信号の品質を検出し、アンテナ制御部52がアンテナを切り替えた後、ユニークワード検出部45が別のユニークワードUW1を第2所定時間T2内に検索することにより、アンテナ制御部52は、信号処理部51によって検出された信号品質が高いアンテナを選択して、その後のペイロードを受信するように構成されていればよい。
【0083】
また、本発明は、種々の変形が可能である。例えば、各アンテナによって受信した信号の品質は、受信レベルの平均値を算出することなく、ある時点での受信レベルに基づいて検出するものとしてもよい。例えば、各アンテナでプリアンブルを検出した時点、プリアンブルの検出から所定時間の経過後又はユニークワードUW1を検出した時点の受信レベルに基づいて信号品質を検出してもよい。この場合、信号処理部51の処理負担、すなわちCPU5の処理負担がより一層軽減される。
【0084】
また、第1所定時間T1、第2所定時間T2、第3所定時間T3、第4所定時間T4及びデータ受信時間T5は、それぞれ上述した時間に加え、若干の余裕時間(マージン)を含めて設定してもよい。各端末間におけるクロックのずれに伴う不具合を回避できるからである。
【0085】
また、各アンテナによって受信した信号の品質は、受信レベルの他、予め記憶しているユニークワードのビット列に対するベースバンド信号のビット列の誤り率等によっても検出することができる。
【0086】
また、本発明のアンテナ切り替え受信システム1及び送信システム70は、HEMS100に限られることなく、「切り替えダイバーシチ」を用いた他の無線システムにも広く適用可能である。