(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1を参照して、実施形態に係るマッサージ機1について、説明する。
マッサージ機1は、座部2と、背もたれ部3と、肘掛4と、足及び下腿をマッサージする脚施療装置10とを備えている。
【0021】
なお、本実施形態の説明において、下腿とは、膝から足首までの部分をいい、足とは、下腿下部(踝付近)から足先までの部分をいう。また、マッサージ機1において、座部2から脚施療装置10に向く方向を前方といい、その反対方向を後方という。また、マッサージ機1を後方からみて右手側の方向を右方向とし、左手側の方向を左方向というものとする。
【0022】
座部2は、使用者が座る部分である。
座部2の着座面2aの下側には、脚施療装置10を収容するための収容室2sが設けられている。
【0023】
背もたれ部3は、使用者の背中をもたせかける部分である。
背もたれ部3は、座部2の後方に設けられ、かつ座部2に対して回転可能に取り付けられている。
【0024】
脚施療装置10は、伸縮可能な支持フレーム11(
図2参照)と、足保持体20(
図3参照)と、下腿保持体30(
図3参照)と、足マッサージユニット40と、下腿マッサージユニット50と、空気給排装置60とを備えている。足保持体20と足マッサージユニット40とは、足カバー27内に収容されている。下腿保持体30と下腿マッサージユニット50とは、下腿カバー38内に収容されている。
【0025】
足マッサージユニット40は、足をマッサージする一対の足用エアバッグ41を備えている。一対の足用エアバッグ41は、互いに対向するように配置されている。
下腿マッサージユニット50は、下腿をマッサージする一対の下腿用エアバッグ51を備えている。一対の下腿用エアバッグ51は、互いに対向するように配置されている。
【0026】
足用エアバッグ41は、右足の両側面それぞれに、及び左足の両側面それぞれに配置される。下腿用エアバッグ51は、右下腿の両側面それぞれに、及び左下腿の両側面それぞれに配置される。足用エアバッグ41及び下腿用エアバッグ51は、連動または独立に膨張及び収縮して、下腿をマッサージする。
【0027】
各エアバッグ41,51は、空気の供給により膨張し、空気の排出により収縮する。
空気給排装置60は、所定のタイミングでエアバッグ41,51に対して空気を供給し、所定のタイミングでエアバッグ41,51の空気を排出する。なお、空気給排装置60は、収容室2sに収容されている。
【0028】
脚施療装置10は、閉状態と、開状態と、伸長状態とを有する。
閉状態は、足保持体20が回転して支持フレーム11に最も接近し、かつ下腿保持体30が座部2の収容室2sに収容された状態を示す(
図9参照)。
【0029】
開状態は、足保持体20が回転して支持フレーム11から最も離反し、かつ下腿保持体30が座部2の前方に配置された状態を示す(
図13参照)。
伸長状態は、支持フレーム11と足保持体20と下腿保持体30との関係が開状態に設定された状態で、支持フレーム11が伸長した状態を示す(
図14参照)。
【0030】
脚施療装置10の開状態及び伸長状態のとき、足用エアバッグ41及び下腿用エアバッグ51が使用可能になる。すなわち、使用者は、脚施療装置10を開状態及び伸長状態に設定して、脚をマッサージすることができる。
【0031】
図2を参照して、座部2の骨組としてのベースフレーム70について説明する。
ベースフレーム70は、前方に立たせて配置される2本の前方フレーム71と、後方に立たせて配置される2本の後方フレーム72とを備えている。
【0032】
座部2の右側面を構成する前方フレーム71と後方フレーム72とは、2本の第1連結フレーム73で互いに連結されている。同様に、座部2の左側面を構成する前方フレーム71と後方フレーム72とは、2本の第1連結フレーム73で互いに連結されている。
【0033】
座部2の上面の両側それぞれに配置されている2本の第1連結フレーム73同士は、前後方向に互いに平行に配置されている2本の第2連結フレーム74で、互いに連結されている。
【0034】
座部2の下面の両側それぞれに配置されている2本の第1連結フレーム73同士は、前後方向に互いに平行に配置されている2本の第2連結フレーム74で、互いに連結されている。
【0035】
座部2の右側面の上下に配置されている2本の第1連結フレーム73は、上下方向に延びる第3連結フレーム75で互いに連結されている。
座部2の左側面の上下に配置されている2本の第1連結フレーム73は、上下方向に延びる第3連結フレーム75で互いに連結されている。更に、2本の第3連結フレーム75同士は、補強部材76により互いに連結されている。
【0036】
4本の第2連結フレーム74のうちでベースフレーム70の前側かつ上部に配置されているフレーム(以下、上部連結フレーム74aという。)は、脚施療装置10を支持する。この上部連結フレーム74aには、脚施療装置10を回転可能に取り付けるための回転取付金具77が取り付けられている。
【0037】
図3に、脚施療装置10の内部構造体10Aについて説明する。
内部構造体10Aは、脚施療装置10から、足カバー27及び下腿カバー38、足マッサージユニット40、及び下腿マッサージユニット50(
図1参照)を取り外したものである。すなわち、内部構造体10Aは、支持フレーム11と、足保持体20と、下腿保持体30とを備えている。
【0038】
支持フレーム11の基端部12は、回転取付金具77を介して座部2の上部連結フレーム74aに取り付けられる。すなわち、支持フレーム11は、上部連結フレーム74aに平行な軸を回転軸Aとして、回転する。
【0039】
2本の支持フレーム11は、互いに上部連結部材14で連結されている。
2本の支持フレーム11それぞれの先端部13の間には、足保持体20が回転可能に取り付けられている。足保持体20は、2本の支持フレーム11それぞれの先端部13を通過する軸を回転軸Bとして、回転する。
【0040】
支持フレーム11に対する足保持体20の角度(以下、回転角度という。)は所定範囲(例えば、0度〜90度)に設定されている。なお、回転角度は、2本の支持フレーム11の軸線を含む第1平面S1と足保持体20のプレート部23に沿う第2平面S2との間の角度として定義される。また、第1平面S1と第2平面S2が平行であるときの回転角度を、0度として定義する(
図9参照)。
【0041】
2本の支持フレーム11と、これらを連結する上部連結部材14と、床面とにより囲まれる部分は、脚施療装置10の収容室2sの開口部2eを構成する。すなわち、開口部2eは、脚施療装置10の一部(特に、下腿保持体30)を座部2内の収容室2sに収容するための入口として機能する。
【0042】
下腿保持体30は、開口部2eを通じて収容室2sに出入りする。
下腿保持体30は、足保持体20の基部21から突出するアーム24に、回転可能に設けられている。下腿保持体30は、2本のアーム24の先端部24aを通過する軸を回転軸Cとして回転する。
【0043】
下腿保持体30は、規制部材80によりその移動範囲が規制されている。
すなわち、下腿保持体30の中間壁36(
図5参照)には、規制部材80の先端80aが接続されている。規制部材80の基端80bは上部連結部材14に接続されている。
【0044】
なお、上部連結部材14において規制部材80が接続されている部分を「第1締結部位P1」といい、下腿保持体30において規制部材80が接続されている部分を「第2締結部位P2」という。
【0045】
規制部材80は、第1締結部位P1と第2締結部位P2とを仮想紐で締結するときにおいて仮想紐の長さが最短になる距離(以下、最短経路距離という)が設定長以下になるように、下腿保持体30の移動範囲を規制する。この設定長は、規制部材80の長さに相当する。規制部材80は、非伸縮性部材により形成されている。例えば、規制部材80は、樹脂製の紐、金属またはプラスチック製のチェーンより形成される。
【0046】
図4を参照して、足保持体20について説明する。
足保持体20は、基部21と、足を置くためのプレート部23と、下腿保持体30を支持するためのアーム24とを有する。
【0047】
基部21は、足保持体20自体の回転軸を含む部分である。
基部21の左右両側のそれぞれには、支持フレーム11の先端部13が挿入される溝22が設けられている。
【0048】
プレート部23は、基部21から延びる板状部材として形成されている。
プレート部23には、足用エアバッグ41を支持するためのリブ23a,23b,23cが設けられている。3個のリブ23a〜23cは、略等間隔に配置されている。
【0049】
プレート部23において、右側に配置されているリブ23aと中央部に配置されているリブ23bとの間の部分25は、右足が配置される部分として機能する。
プレート部23において、左側に配置されているリブ23cと中央部に配置されているリブ23bとの間の部分26は、左足が配置される部分として機能する。
【0050】
アーム24は、基部21の両側それぞれから突出するように設けられている。アーム24は、プレート部23の先端方向かつ斜めに向かって延びている。アーム24は、脚施療装置10を開状態にしたとき(
図3参照)、アーム24の先端部24aが座部2よりも前方かつ足保持体20の位置よりも上方に位置する。
【0051】
図5を参照して、下腿保持体30について説明する。
下腿保持体30は、本体部31と、本体部31の右側に設けられている右側壁35と、本体部31の中央部に設けられている中間壁36と、本体部31の左側に設けられている左側壁37とを有する。
【0052】
本体部31は、右側壁35、中間壁36、及び左側壁37を支持する。
この本体部31は、左右に延びるプレート部32と、左右に延びる段部33,34とを有する。
【0053】
右側壁35、中間壁36、及び左側壁37それぞれは、プレート部32に対して垂直に延びる基部35b,36b,37bと、この基部35b,36b,37bから延長する延長部35e,36e,37eとを有する。そして、下腿保持体30は、脚施療装置10が開状態(
図3参照)に設定されるときにおいて、本体部31が座部2寄り、基部35b〜37bが本体部31よりも前方、延長部35e〜37eが基部35b〜37bよりも上方に配置されるように、形成されている。
【0054】
右側壁35の基部35b及び左側壁37の基部37bの後方(脚施療装置10を開状態に設定したときの後方)には、下腿保持体30の回転軸X(上記回転軸Cに対応する軸)が設けられている。すなわち、脚施療装置10を開状態に設定されるとき、下腿保持体30の重心GXが回転軸Cよりも前方に配置されるように、回転軸Cが配置されている。
【0055】
右側壁35の基部35bには、右側のアーム24が挿入されるアーム挿入溝35aが形成されている。
左側壁37の基部37bには、左側のアーム24が挿入されるアーム挿入溝37aが形成されている。
【0056】
アーム挿入溝35a及びアーム挿入溝37aは、下腿保持体30が足保持体20に接近するとき(
図10参照)、アーム24が収容する収容室として機能する。なお、下腿保持体30が足保持体20から離間して、脚施療装置10が開状態(
図3参照)に設定されるときは、2本のアーム24は、アーム挿入溝35a及びアーム挿入溝37aから出ている。この構成によれば、この構成が設けられていない場合に比べて、下腿保持体30と足保持体20とを互いに近くに接近させることが可能となる。
【0057】
右側壁35と中間壁36と左側壁37は略平行に配置されている。
右側壁35と中間壁36との間に形成される空間は、右下腿が配置される部分である。左側壁37と中間壁36との間に形成される空間は、左下腿が配置される部分である。
【0058】
図6を参照して、脚施療装置10の骨組としてのフレーム構造体10Bについて説明する。
フレーム構造体10Bは、2本の支持フレーム11と、足保持体20を支持する足フレーム120と、下腿保持体30を支持する下腿フレーム130とを備えている。
【0059】
支持フレーム11は、基礎フレーム11A(
図14参照)と、スライドフレーム11Bとを備えている。
基礎フレーム11Aは、支持フレーム11の基端部12に対応する部分を有する。すなわち、基礎フレーム11Aが、ベースフレーム70の上部連結フレーム74aに回転可能に取り付けられる。
【0060】
スライドフレーム11Bは、軸受11Dを介して基礎フレーム11Aに摺動可能に取り付けられている。スライドフレーム11Bの先端部は、支持フレーム11の先端部13に対応する。2本の支持フレーム11のそれぞれの先端部13には、足フレーム120を回転可能に取り付けるための回転取付部15が設けられている。この回転取付部15の間には、回転取付部15同士を連結する下部連結部材16が設けられている。
【0061】
基礎フレーム11Aとスライドフレーム11Bとは、伸縮ばね11Cにより、基端部12と先端部13とが互いに接近する方向に付勢されている。伸縮ばね11Cは、例えば、コイルばねにより構成される。
【0062】
足フレーム120は、足保持体20のプレート部23の支持構造体である矩形フレーム121と、アーム24の支持構造体であるアームフレーム122とを有する。
矩形フレーム121は、その後部において回転取付部15に対して回転可能に取り付けられている。
【0063】
矩形フレーム121の前端部121aと下部連結部材16との間には、両者を接近させるように付勢する伸縮ばね124が取り付けられている。すなわち、足保持体20が支持フレーム11側に接近するように付勢されている。伸縮ばね124は、例えば、コイルばねにより構成される。
【0064】
アームフレーム122は、矩形フレーム121の後部に接続されている。
アームフレーム122の先端部122aには、下腿フレーム130を回転可能に取り付けるための回転取付部123が設けられている。
【0065】
下腿フレーム130は、下腿保持体30の右側壁35の支持構造体である右フレーム131と、下腿保持体30の中間壁36の支持構造体である中間フレーム132と、下腿保持体30の左側壁37の支持構造体である左フレーム133とを有する。
【0066】
右フレーム131と中間フレーム132と左フレーム133とは2本の連結フレーム134により互いに連結されている。
右フレーム131は右側のアームフレーム122に、左フレーム133は左側のアームフレーム122に、それぞれ回転可能に取り付けられている。
【0067】
右フレーム131の延長部131e(延長部35eに対応する部分)と右側のアームフレーム122の基端寄部123xとの間には、両者を接近させるように付勢する伸縮ばね135が取り付けられている。基端寄部123xとは、アームフレーム122において、回転取付部123の配置付近かつ基端部122b寄りの部分を示す。
【0068】
中間フレーム132の先端部132aには、規制部材80の先端80aが接続される接続孔136が設けられている。規制部材80の先端80aは、接続孔136に対して回転可能に取り付けられている。
【0069】
図7及び
図8を参照して、足用エアバッグ41の構造について説明する。
なお、
図7は、足用エアバッグ41と下腿用エアバッグ51を取り付けた内部構造体について、
図3のD−D線と同じ位置の切断線に沿って切断した断面図である。
【0070】
足用エアバッグ41は、エアバッグ本体部42と、ガイド部43とを有する。
エアバッグ本体部42は、空気が入れられる部分である。すなわち、エアバッグ本体部42が空気の供給により膨張し、空気の排出により収縮する。
【0071】
ガイド部43は空気が入らない部分である。
ガイド部43は、エアバッグ本体部42の外周部分の一部に形成されている。ガイド部43は、エアバッグ本体部42を足保持体20に取り付けるとき、下腿保持体30側に向けて配置される。
【0072】
また、ガイド部43は、脚施療装置10が開状態のとき、ガイド部43の少なくとも一部分が下腿用エアバッグ51に重なるように形成されている。そして、脚施療装置10が開状態において、ガイド部43の少なくとも一部分が下腿用エアバッグ51の内側(一対の下腿用エアバッグ51の間の空間内)に配置される。
【0073】
また、ガイド部43は、脚施療装置10が開状態から閉状態に移行する過程において、常に、ガイド部43の一部が下腿用エアバッグ51に重なるように、その形状が設定されている。特に、ガイド部43の前端部43aは、脚施療装置10が開状態から閉状態に移行する過程で、下腿用エアバッグ51の基部付近51bから側縁部51cに沿って移動し上端部付近51aに至るように、形成されている。
【0074】
更に、ガイド部43は、脚施療装置10が開状態から閉状態に移行する過程において、その外縁43bが下腿保持体30の本体部31に押し当てられてガイド部43が変形することのないように、その大きさ及び形状が設定されている。
【0075】
図8に示すように、エアバッグ本体部42は折畳み部45を有する。なお、
図8は、
図7のE部断面を示す。
足用エアバッグ41の表面シート44(足に面する部分)においてエアバッグ本体部42に対応する部分には、折畳み部45が設けられている。折畳み部45は、断面視で、V字形状、U字形状、Ω字形状、またはこれらに類似する形状に形成されている。このような折畳み部45を有する表面シート44において、表面シート44に沿った引っ張りの力が加わると、折畳み部45の角度θxが大きくなって折畳み部45が拡張し、表面シート44が広がる。表面シート44に沿った引っ張りの力が緩和されると、折畳み部45の角度θxが小さくなって折畳み部45が折畳まれて、表面シート44が収縮する。すなわち、足用エアバッグ41は、空気の供給により膨らみ、空気の排出により収縮する。
【0076】
下腿用エアバッグ51は、エアバッグ本体部52(
図7参照)を有する。
エアバッグ本体部52の構造は、足用エアバッグ41のエアバッグ本体部42の構造と同様である。
【0077】
図9〜
図13を参照して、脚施療装置10が閉状態から開状態に至る動作(以下、開動作)について説明する。
なお、この説明において、足保持体20が支持フレーム11に対して離反するように回転するときの回転方向を回転方向Aといい、足保持体20が支持フレーム11に対して接近するように回転するときの回転方向を回転方向Bという。
【0078】
また、下腿保持体30の延長部35e〜37eがアーム24の前面24sに接近するように、下腿保持体30がアーム24に対して回転するときの回転方向を回転方向Cという。下腿保持体30の延長部35e〜37eがアーム24の前面24sから離反するように、下腿保持体30がアーム24に対して回転するときの回転方向を回転方向Dという。
【0079】
図9は、閉状態の脚施療装置10を示す。
脚施療装置10が閉状態にあるとき、第1平面S1と第2平面S2は平行になっている。すなわち、足保持体20のプレート部23は、支持フレーム11に対して平行に配置されている。このとき、アーム24の先端部24aは、支持フレーム11よりも後方にある。このため、下腿保持体30は、アーム24に案内されて、支持フレーム11よりも後方に配置される。
【0080】
また、下腿保持体30の延長部35e〜37eは、伸縮ばね135によりアーム24に近づくように付勢されている。更に、延長部35e〜37eは、規制部材80により、上方に吊り上げられている。これらの作用により、下腿保持体30の後方への回転(回転方向Dの回転)が規制される。
【0081】
図10〜
図13は、脚施療装置10が閉状態から開状態に移行する過程を示す。
図10は、脚施療装置10が閉状態にあるときから足保持体20を回転方向Aに回転させて、回転角度を角度θ1に設定したときの脚施療装置10の状態を示す。このとき、アーム24の先端部24aは、足保持体20の回転とともに回転し、支持フレーム11に接近する。これに伴って、下腿保持体30は前方に移動し、下腿保持体30の延長部35e〜37eの一部が支持フレーム11よりも前方に出る。このとき、下腿保持体30が伸縮ばね135によりアーム24に近づくように付勢されているため、足保持体20と下腿保持体30とが互いに接近した状態が維持される。すなわち、足保持体20と下腿保持体30とは折畳まれた状態になっている。このため、下腿保持体30は、上部連結部材14(
図3参照)に接触することなく、開口部2eを通過する。
【0082】
図11は、脚施療装置10が
図10に示す状態にあるときから、足保持体20を更に回転方向Aに回転させて、回転角度を角度θ2にしたときの脚施療装置10の状態を示す。アーム24の先端部24aは、足保持体20の回転とともに回転し、支持フレーム11と略同じ位置(前後方向において同じ位置)に達する。このため、下腿保持体30は更に前方に移動し、下腿保持体30の基部35b〜37bの一部分が支持フレーム11よりも前方に出る。また、下腿保持体30の第2締結部位P2が支持フレーム11よりも前方に出る。
【0083】
脚施療装置10が
図11に示す状態にあるときから、足保持体20が更に回転方向Aに回転すると、下腿保持体30は次のように移動する。
すなわち、下腿保持体30の第2締結部位P2は支持フレーム11よりも更に前方に移動し、第2締結部位P2が第1締結部位P1から徐々に遠ざかる。すなわち、第1締結部位P1と第2締結部位P2との間の最短経路距離が徐々に長くなる。また、これに伴って、規制部材80が弛みが徐々に小さくなる。更に、この状態から足保持体20を回転させると、第1締結部位P1と第2締結部位P2との間の最短経路距離が、規制部材80の長さと等しくなる。そして、更に、足保持体20を回転方向Aに回転させると、第2締結部位P2の軌道が規制部材80により規制され、これによって、伸縮ばね135の付勢力に抗して下腿保持体30が回転方向Dに回転する。また、この状態のとき、アーム24が下方から下腿保持体30を突き上げる。このため、下腿保持体30は起立状態(延長部35e〜37eが上方に、基部35b〜37bが下方に配置される状態)になる。
【0084】
図12は、起立状態にある脚施療装置10を示す。
すなわち、
図12は、脚施療装置10が
図11に示す状態にあるときから、足保持体20を更に回転方向Aに回転させて、回転角度を角度θ3にしたときの脚施療装置10の状態を示す。
【0085】
図13は、脚施療装置10が
図12に示す状態にあるときから、足保持体20を更に回転方向Aに回転させて、回転角度を角度θ4(θ4=90度)にしたときの脚施療装置10の状態を示す。すなわち、
図13は、開状態の脚施療装置10を示す。
【0086】
このとき、下腿保持体30の延長部35e〜37eが、規制部材80により吊り上げられるようにして支持されているため、下腿保持体30の回転方向Cへの回転が規制される。これによって、下腿保持体30の起立状態が安定する。
【0087】
図14は、脚施療装置10を開状態にして、支持フレーム11を伸長したときの脚施療装置10の状態を示す。
支持フレーム11は、その軸方向に伸長するため、足保持体20は、座部2から遠ざかる。
【0088】
脚施療装置10が開状態から閉状態に至る動作(以下、収容動作という。)は、脚施療装置10が閉状態から開状態に至る開動作の逆の順を辿る。
脚施療装置10の収容動作は開動作と次の点で異なる。すなわち、開動作では、足保持体20と下腿保持体30とは互いに離反するように移動するため、足用エアバッグ41と下腿用エアバッグ51とが干渉することはない。これに対して、収容動作では、足保持体20と下腿保持体30とは互いに接近するため、足用エアバッグ41と下腿用エアバッグ51とが互いに干渉するおそれがある。
【0089】
そこで、本実施形態では、収容動作において、足用エアバッグ41と下腿用エアバッグ51とが互いに干渉することを抑制するために、足用エアバッグ41と下腿用エアバッグ51とを互いに重なるように構成している(
図7参照)。
【0090】
図15〜17を参照し、脚施療装置10の収容動作に伴うこの構成の作用を説明する。
図15に示すように、脚施療装置10が開状態にあるとき、足用エアバッグ41のガイド部43が下腿用エアバッグ51に重なり、かつガイド部43が下腿用エアバッグ51よりも内側に配置されている。なお、このときガイド部43は、下腿用エアバッグ51において下腿保持体30の基部35b〜37bに対応する部分に重なっている。
【0091】
脚施療装置10が開状態にあるときから、足保持体20を回転方向Bに回転させると、アーム24の先端部24aは、足保持体20の回転とともに回転方向Bに回転する。このとき、下腿保持体30は、下腿保持体30自体の荷重により前方に傾く。また、第2締結部位P2が第1締結部位P1に接近して規制部材80が弛むため、下腿保持体30の回転方向Cの回転が許容される。これによって、下腿保持体30は回転しながら下方かつ後方に移動し、足保持体20に接近する。また、下腿保持体30に配置されている下腿用エアバッグ51と、足保持体20に配置されている足用エアバッグ41とが互いに接近する。そして、足用エアバッグ41のガイド部43が下腿用エアバッグ51の内側に配置されているため、このガイド部43に案内されてエアバッグ本体部42の一部が下腿用エアバッグ51の内側に入る。
【0092】
図16は、脚施療装置10を開状態にあるときから、足保持体20を回転方向Bに回転させて、回転角度を角度θzにしたときの脚施療装置10の状態を示す。このときガイド部43は、下腿用エアバッグ51において下腿保持体30の延長部35e〜37eに対応する部分に重なる。
【0093】
図17は、閉状態の脚施療装置10を示す。このときガイド部43は、下腿用エアバッグ51において下腿保持体30の延長部35e〜37eに対応する部分に重なる。すなわち、足用エアバッグ41と下腿用エアバッグ51とが互いに重なり合った状態で、下腿保持体30は収容室2sに収容される。
【0094】
図18は、足用エアバッグ41と下腿用エアバッグ51とが互いに重なり合わない比較構造の脚施療装置10について、その収容動作過程における脚施療装置10の一状態を示している。
【0095】
このような比較構造の脚施療装置10では、収容動作過程において足保持体20と下腿保持体30とが互いに接近するとき、足用エアバッグ141と下腿用エアバッグ151とが互いに干渉する場合がある。この場合、足保持体20と下腿保持体30とを収容可能な状態にまで互いに接近させることができず、また、無理に接近させようとすると、
図18に示すように、足用エアバッグ141が変形する。このような変形は、足用エアバッグ141を劣化させるおそれがある。また、脚施療装置10を、足用エアバッグ141を変形させた状態で収容室2sに収容した場合は、脚施療装置10の開動作が行いにくくなるといった問題が生じる。これは、変形した足用エアバッグ141が元の状態に回復しようとして、足保持体20と下腿保持体30を離反させて、その容積が収容状態よりも大きくなるためである。このようなことから、脚施療装置10を収容するときには、足用エアバッグ141を下腿用エアバッグ151の内側に配置するといった作業が必要となる。すなわち、
図18に示す脚施療装置10では、下腿保持体30を収容室2sに収容することが可能な収容状態、すなわち、足保持体20と下腿保持体30とが互いに接近した状態(すなわち折畳み状態)にすることに手間がかかる。
【0096】
これに対して、本実施形態に係る脚施療装置10は、足用エアバッグ41と下腿用エアバッグ51とは、互いに重なるように構成されているため、脚施療装置10を容易に収容状態にすることができる。このため、マッサージ機1は、脚施療装置10を容易に収容室2sに容易に収容することができる。
【0097】
本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)脚施療装置10は、開状態から閉状態にわたって、足マッサージユニット40と下腿マッサージユニット50とが少なくとも一部分で互いに重なり合う。
【0098】
この構成によれば、脚施療装置10を収容するために足マッサージユニット40と下腿マッサージユニット50と互いに接近させる場合において、この構成がない場合に比べて、両者の干渉を小さくすることができる。このため、脚施療装置10を容易に収容状態にすることができる。
【0099】
(2)脚施療装置10は、開状態から閉状態に移行する間にわたって、足マッサージユニット40の一部分が下腿マッサージユニット50の内側に配置されている。この構成によれば、足マッサージユニット40を下腿マッサージユニット50の内側に収容することができる。
【0100】
(3)足マッサージユニット40は、足用エアバッグ41とこの足用エアバッグ41と一体に設けられたガイド部43とを有する。足マッサージユニット40のうちで下腿マッサージユニット50の内側に配置される部分は、少なくともガイド部43である。
【0101】
この構成によれば、足用エアバッグ41とガイド部43とを一体として形成することができるため、脚施療装置10の部品点数を削減することができ、かつ製造工程を簡略化することができる。
【0102】
(4)実施形態では、足マッサージユニット40のうちで下腿マッサージユニット50の内側に配置される部分を、足用エアバッグ41と一体のガイド部43と構成するが、これらを別体として構成してもよい。例えば、ガイド部43に代えて、ガイド板により構成してもよい。ガイド板は、例えば、プラスチック樹脂により形成され、足用エアバッグ41の上部に取り付けられる。
【0103】
この構成によれば、足用エアバッグ41とガイド板とを別体として形成しているため、足用エアバッグ41の形成部材とガイド板の形成部材とを異ならせることができる。これにより、足用エアバッグ41をマッサージに適した部材で、ガイド板をその機能に見合った部材で、それぞれ形成することができる。
【0104】
(5)実施形態では、脚施療装置10が閉状態において、足用エアバッグ41の一部が下腿マッサージユニット50の内側に配置される。
上記
図18に示す比較構造の脚施療装置10では、脚施療装置10が閉状態において足用エアバッグ141と下腿用エアバッグ151とが互いに干渉しないようにするためには、足用エアバッグ141または下腿用エアバッグ151の高さを制限する必要がある。
【0105】
これに対し、本実施形態のように足用エアバッグ41にガイド部43を設けるという構成によれば、脚施療装置10の収容動作により足用エアバッグ41と下腿用エアバッグ51とが互いに干渉しにくくなる。このため、足用エアバッグ41の一部が下腿マッサージユニット50の内側に配置されるといった構成を採用することができる。これによって、足用エアバッグ41のサイズを大きくすることができる。
【0106】
(6)足保持体20には、足マッサージユニット40を支持するリブ23a〜23cが設けられている。この構成によれば、足マッサージユニット40が動作するとき、足マッサージユニット40に加わる反力がリブ23a〜23cにより受け止められる。足マッサージユニット40が反力によって、足に加える力の方向とは反対の方向に傾かないようになるため、足に対する施療効果を向上させることができる。
【0107】
(7)本実施形態に係るマッサージ機1は脚施療装置10を備える。
このため、このマッサージ機1では、脚施療装置10を座部2内に容易に収容することができる。また、脚施療装置10の収容動作において、足マッサージユニット40及び下腿マッサージユニット50とが互いに干渉しないため、足マッサージユニット40及び下腿マッサージユニット50の変形が少なくなる。このため、足マッサージユニット40及び下腿マッサージユニット50の劣化が小さくなるといった効果もある。
【0108】
(その他の実施形態)
本実施形態の変形例を例示する。なお、以下に示す変形例は、それぞれを互いに組み合わせることができる。
【0109】
・上記実施形態では、開状態から閉状態に移行する間にわたって、足マッサージユニット40の一部分を下腿マッサージユニット50の内側に配置する。この構成に対して、開状態から閉状態に移行する間にわたって、下腿マッサージユニット50の一部分を足マッサージユニット40の内側に配置する構成を採用してもよい。この場合、下腿マッサージユニット50を足マッサージユニット40の内側に収容することができる。
【0110】
・上記実施形態では、足用エアバッグ41とガイド部43とを一体に形成し、このガイド部43を下腿マッサージユニット50の内側に配置する。この構成に対して、下腿用エアバッグ51とガイド部とを一体に形成し、このガイド部を足マッサージユニット40の内側に配置するといった構成を採用することもできる。
【0111】
この構成によれば、下腿用エアバッグ51とガイド部とを一体として形成することができるため、脚施療装置10の部品点数を削減することができ、かつ製造工程を簡略化することができる。
【0112】
・この変形例において、下腿用エアバッグ51と一体に形成したガイド部を分離し、ガイド部を別体として構成してもよい。例えば、ガイド部に代えて、ガイド板により構成してもよい。この構成によれば、下腿用エアバッグ51とガイド板とを別部材により形成することができる。
【0113】
・また、脚施療装置10が閉状態において、下腿用エアバッグ51の一部を足マッサージユニット40の内側に配置するといった構成を採用することもできる。すなわち、下腿用エアバッグ51のサイズを大きくすることができる。
【0114】
・また、上記実施形態では、支持フレーム11として、伸縮可能なものを採用しているが、支持フレーム11としては伸縮しないものを採用することもできる。このような構成に代えても、脚施療装置10が、開状態から閉状態にわたって、足マッサージユニット40と下腿マッサージユニット50とが少なくとも一部分で互いに重なり合うという構成があれば、作用及び効果は同じである。