(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記距離画像センサからの投射光は透過させ且つ可視光は減衰させるフィルタ部材が、前記反射部材の前面側に配置されたことを特徴とする請求項4記載の作業検知システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたファイバセンサを用いてワークの存否を検出するためには、ワークが置かれる場所を挟んで発光部と受光部を配置する必要があり、発光部や受光部が作業の邪魔になる場合があった。また、ワークが複数存在する場合は、ファイバセンサを複数設置する必要があり、コスト高を招くとともに、ファイバセンサの設置に手間がかかるという問題があった。
【0005】
そこで、距離画像センサを用いて作業領域を撮影し、作業領域の距離画像をもとに作業領域に置かれたワークを検出することが検討されているが、例えば紙片のようなワークではその厚みが薄いため、ワークが有る場合とワークが無い場合とで距離値があまり変化せず、誤検出が起こりやすいという問題があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、厚みが薄い検知対象物の存否を確実に検出できる
作業検知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の作業検知システムは、作業領域の距離画像を出力する距離画像センサと、前記距離画像に現れる作業主体又
はワークを検知対象とし、前記距離画像において検知対象物の存否を検出した結果をもとに作業内容の異常を検知すると報知命令を出力する検知装置と、前記報知命令が入力されると報知動作を行う報知装置とを備え、前記検知装置は、前記距離画像センサの撮像領域において前記距離画像センサからの投射光を透過させる光透過部を含む領域を検知領域とし、前記検知領域で検知対象物の存否を検出するように構成されたことを特徴とする。
【0008】
この
作業検知システムにおいて、前記距離画像センサは、上面が作業領域となる作業テーブルの上面を撮像
しており、前記光透過部は、前記作業テーブルの上面に設けられた透過穴からなり、
前記検知装置は、前記透過穴を含む領域であって、検知対象物の載置スペースとなる領域を、前記検知領域としてもよい。
【0009】
この
作業検知システムにおいて、前記光透過部は、前記距離画像センサからの投射光を透過させる材料で形成された箱体からなり、
前記検知装置は、検知対象物の載置スペースとなる前記箱体の上面を前記検知領域としてもよい。
【0010】
本発明の作業検知システムは、作業領域の距離画像を出力する距離画像センサと、前記距離画像に現れる作業主体又
はワークを検知対象とし、前記距離画像において検知対象物の存否を検出した結果をもとに作業内容の異常を検知すると報知命令を出力する検知装置と、前記報知命令が入力されると報知動作を行う報知装置とを備え、前記距離画像センサと検知対象物の間に前記距離画像センサからの投射光を遮蔽する遮蔽物がある場合に、前記投射光を反射し、前記距離画像センサから見て前記遮蔽物の裏側にある検知対象物に反射光を照射させる反射部材が設けられたことを特徴とする。
【0011】
この
作業検知システムにおいて、前記距離画像センサからの投射光は透過させ且つ可視光は減衰させるフィルタ部材が、前記反射部材の前面側に配置されることも好ましい。
【0012】
この作業検知システムにおいて、前記距離画像内で前記検知装置が前記検知対象の存否を検知する複数の検知領域及びその検知順序を設定する設定装置を、更に備え、前記検知装置が、前記複数の検知領域のいずれかで前記検知順序とは異なる順序で前記検知対象が検知されると異常と判定して前記報知命令を出力する異常判定部を有することも好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光透過部の上に検知対象物が置かれた場合は検知対象物までの距離値となり、光透過部の上に検知対象物が置かれていない場合は、光透過部の先にあり、光透過部を透過した投射光が当たって反射してくる物体までの距離値となる。したがって、検知対象物の厚みが薄い場合でも、光透過部の上に検知対象物が置かれた場合と検知対象物が置かれていない場合とで距離値の差を大きくでき、検知対象物の存否をより確実に検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明に係る物体検出方法を用いた物体検出装置の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の物体検出装置は、作業者が複数のワーク(例えば完成品や取扱説明書など)を箱に梱包する梱包作業において、ワーク(検知対象物)が所定位置に置かれたか否かを検出するために用いられる。尚、物体検出方法及びそれを用いた物体検出装置の適用事例は本実施形態に限定されるものではなく、種々の用途に適用が可能である。
【0016】
図6は、本実施形態の物体検出装置が適用された作業台50を示し、
図6(a)は作業台50の正面図、
図6(b)は作業台50の側面図である。尚、以下の説明では特に断りがないかぎり、
図6(a)に示す向きにおいて上下左右の方向を規定し、
図6(b)における左側を前側、右側を後側として説明を行う。
【0017】
作業台50は、金属パイプを組み合わせて構成されるフレーム51と、フレーム51にそれぞれ支持された3段の棚板52,53,54を備える。下段及び中段の棚板52,53は、平面視の形状が略正方形の棚板であって、外形寸法が略同じ寸法となっている。下段の棚板52にはパーソナルコンピュータPC1が載置されている。中段の棚板53は、作業者が作業しやすい高さ位置(例えば作業者の腰付近の高さ位置)に設けられ、この棚板53上で検査対象の梱包作業が行われる。上段の棚板54は、平面視の形状が長方形状に形成されており、棚板53と左右方向の幅寸法は同じであるが、棚板53に比べて奥行き寸法が小さく、棚板53の奥側寄りに設けられ、箱の中に入れられるワークW1,W2を載せておく部品棚として用いられている。フレーム51の上方には、作業者の背丈よりも高い位置に、金属パイプを組み合わせて構成された支持部55が設けられ、この支持部55に距離画像センサ1と音出力装置4と照射装置5が取り付けられている。
【0018】
図5は物体検出装置
(作業検知システム)のブロック図である。この物体検出装置は、距離画像センサ1と検知装置2(検出部)と入力装置3と音出力装置4と照射装置5とモニタ6とを主要な構成として備えている。尚、検知装置2と入力装置3とモニタ6とは例えばノート型のパーソナルコンピュータPC1で実現されている。
【0019】
距離画像センサ1は、支持部55に取り付けられ、作業領域である中段の棚板53及び上段の棚板54を上方から撮影する。距離画像センサ1の測定方式はレーザー・パターンを投影する方式やTOF(Time Of Flight)方式などの周知の測定方式である。距離画像センサ1は、これら周知の測定方式を用いて撮像領域に存在する物体までの距離を検出し、各画素の画素値が検出対象までの距離となる距離画像を作成し、距離画像の画像データを検知装置2に出力する。また距離画像センサ1は、撮像範囲内の2次元画像を撮影する機能も備えており、距離画像の画像データに加えて、二次元画像の画像データを検知装置2へ出力する。
【0020】
入力装置3は、パーソナルコンピュータPC1が備えるキーボードやマウスなどの入力デバイスで構成される。
【0021】
音出力装置4は、作業領域を含む空間に音を出力するスピーカ(図示せず)を有し、スピーカを下側に向けて支持部55に取り付けられ、異常の発生を報知する報知音などの音を下側へ出力する。
【0022】
照射装置5は、例えば液晶プロジェクタからなり、支持部55に取り付けられ、上段の棚板54及び中段の棚板53を光の投影範囲とする。照射装置5は、投影範囲の一部に照射される光を制限する機能を有しており、棚板53及び棚板54の所望の位置に光を照射することができる。
【0023】
モニタ6は、例えばパーソナルコンピュータPC1が備える液晶ディスプレイからなり、検知装置2によって表示内容が制御され、検知領域や検知順序を設定するための設定画面を表示したり、検知結果などを表示する。
【0024】
検知装置2は、距離画像センサ1から入力される距離画像に現れるワークや作業者の体の一部(例えば手など)を検知対象とし、距離画像をもとに検知対象物の存否を検出することによって、作業内容に異常がないかを判定する。検知装置2は、作業内容に異常があると判断すると、報知装置(音出力装置4及び照射装置5)に報知命令を出力して、異常の発生を報知させる。ここにおいて、検知装置2はパーソナルコンピュータPC1からなり、パーソナルコンピュータPC1の演算機能によってそれぞれ実現された設定部7及び異常判定部8を備えている。設定部7
(設定装置)は、例えば作業者が入力装置3を用いて入力した内容をもとに、距離画像において検知対象物(例えばワークや作業者の手など)の存否を検知する検知領域や、作業手順にしたがって各々の検知領域で検知対象の存否を検出する順番を設定する。異常判定部8は、距離画像センサ1から入力される距離画像をもとに検知対象物の存否を検出する。そして、異常判定部8は、何れかの検知領域で検出されるべき検知対象物が検出されなかったり、別の検知対象物が検出されたり、何れかの検知領域で検知順序とは異なる順序で検知対象物が検出されたりすると、異常と判定して報知命令を報知装置に出力する。
【0025】
次に、本実施形態の物体検出装置による検知対象物の検知動作を
図1〜
図9に基づいて説明する。
【0026】
図7(a)〜(e)は梱包作業の各作業工程を示す説明図であり、距離画像センサ1で撮影された距離画像P1内には部品棚となる棚板54に載せられた4つの箱B1〜B4と、棚板53に載せられた箱B10が映されている。4つの箱B1〜B4にはそれぞれ異種のワークW1〜W4が入れられており、作業者は箱B1,B2,B3,B4の順番でワークW1,W2,W3,W4を1個ずつ取り出し、箱B10に箱詰めする作業を行う。
図7(a)は梱包作業を行う前の状態であり、箱B10は空になっている。
図7(b)は作業者が左端の箱B1からワークW1を1個取り出して、箱B10に入れた状態を示している。
図7(c)は作業者が左端から2番目の箱B2からワークW2を1個取り出して、箱B10に入れた状態を示している。
図7(d)は作業者が左端から3番目の箱B3からワークW3を1個取り出して、箱B10に入れた状態を示している。
図7(e)は作業者が右端の箱B4からワークW4を1個取り出して、箱B10に入れた状態を示している。
図7(e)の状態は1サイクル分の梱包作業が終了した状態であり、箱B10には4種類のワークW1〜W4が1個ずつ入れられている。
【0027】
本実施形態の物体検出装置を用いて上記梱包作業の検査を行う場合、先ず設定作業者が、入力装置3を操作して、梱包作業の各工程で検知対象物が検出されるべき検知領域とその検知順序を入力すると、設定部7はその入力内容を記憶部9に記憶させる。
図8(a)〜(i)は上記の梱包作業において異常の有無を判定する処理を説明する説明図であり、距離画像P1内でワークを収めた箱B1〜B4と、ワークが箱詰めされる箱B10が検知領域として設定されている。また、作業開始時に作業者が手H1を置く検知領域が開始領域A1として設定されている。
【0028】
図9は異常判定部8による判定処理を説明するフローチャートであり、検知装置2には、距離画像センサ1から所定の時間間隔(作業者の動きを連続的に検出可能な時間間隔)で撮影された距離画像が入力される(ステップS1)。異常判定部8は、距離画像センサ1から距離画像が入力されると、異常判定処理の実施中か否かを判定する(ステップS2)。
【0029】
ここで、異常判定処理の停止中であれば(ステップS2のNo)、異常判定部8は開始領域A1で作業者が検知されるか否かを判定する(ステップS3)。
図8(a)に示すように作業者は1サイクル分の梱包作業を開始する毎に開始領域A1に手H1を置いており、異常判定部8は、開始領域A1で作業者が検知されたことから作業開始と判断し、異常判定処理を開始する(ステップS4)。尚、ステップS3の判定で開始領域A1に検知対象がいないと判定された場合、異常判定部8はステップS1に戻って、距離画像の入力待ちの状態となる。
【0030】
一方、異常判定処理を実施中であれば(ステップS2のYes)、異常判定部8は、何れかの検知領域で検知対象物が検知さるか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5の判定で、何れの検知領域でも検知対象物が検知されなければ、異常判定部8はステップS1の処理に戻り、距離画像の入力待ちの状態となる。また、ステップS5の判定で何れかの検知領域で検知対象物が検知された場合、異常判定部8は、検知対象物の検出された検知領域の順番が、設定部7によって予め設定された検知順序と異なっているか否かを判定する(ステップS6)。
図7で説明した梱包作業を作業者が行う場合、
図8(b)〜(i)に示すように、作業者の手H1が、箱B1→箱B10→箱B2→箱B10→箱B3→箱B10→箱B4→箱B10の順番で検出されることになる。また箱B10にはワークW1、ワークW2、ワークW3、ワークW4が1つずつ順番に箱詰めされるので、箱B10を含む検知領域ではワークW1、ワークW2、ワークW3、ワークW4がその順番で検出されることになる。ここで、定期的に入力される距離画像から作業者の手H1が検知された検知領域の順番が、作業工程に従って設定された検知順序と異なるか、或いは、箱B10を含む検知領域でワークW1〜W4が検出される順番が、作業工程に従って設定された検知順序と異なる場合(ステップS6のYes)、異常判定部8は、予め決められた作業内容とは異なる作業が行われたと判断する。この時、異常判定部8は、報知命令を音出力装置4及び照射装置5に出力し、異常と判定された検知対象の検知履歴を記憶部9に記憶させる。音出力装置4は、報知命令が入力されると、所定の報知音を出力し、異常の発生を音で報知する。照射装置5は、報知命令が入力されると、例えば検知順序が異なると判定された検知領域に光を照射させ、異常の発生を光で報知する(ステップS7)。
【0031】
また、ステップS6において、作業者の手H1が検知された検知領域の順番が所定の検知順序と同じであり、箱B10を含む検知領域でワークW1〜W4が検出される順番が所定の検知順序と同じであった場合(ステップS6のNo)、異常判定部8は梱包作業が1サイクル分終了したか否かを判断する(ステップS8)。ここで、1サイクル分の梱包作業が終了していなければ(ステップS8のNo)、異常判定部8はステップS1に戻って距離画像の入力待ちの状態となり、次の工程の検出に備える。一方、1サイクル分の梱包作業が終了していれば(ステップS8のYes)、異常判定部8は、1サイクル分の梱包作業が正常に行われたと判断して、異常判定処理を終了する。
【0032】
尚、
図7で説明した梱包作業では箱B1,B2,B3,B4からワークを1個とる毎に箱B10に入れていたが、箱B1,B2,B3,B4から1個ずつ取り出したワークをトレー(図示せず)に入れ、最後にトレーから箱B10へと移し替えてもよい。この場合の検知順序は、箱B1→箱B2→箱B3→箱B4→箱B10となり、異常判定部8は、何れかの検知領域において、上記の検知順序とは異なる順序で検知対象が検出されると、異常が発生したと判定する。
【0033】
ところで、検知対象物であるワークが、取扱説明書のように厚みの薄い紙片である場合、検知領域に紙片が置かれた場合と置かれていない場合とで、距離画像センサ1によって検出される距離値があまり変化しない。そのため、紙片が置かれているか否かを正確に検出できない可能性がある。
【0034】
そこで、この物体検出装置では
図1に示すように作業台50の棚板53において、検出対象物である薄物のワークW5が置かれる領域に、距離画像センサ1からの投射光を透過させる透過穴53aが設けられている。この透過穴53aは、ワークW5に比べて開口面積が小さいので、透過穴53aを塞ぐようにして棚板53上にワークW5を置くことができる。そして、検知装置2は、透過穴53aを含む領域A2をワークW5の検知領域とし、この検知領域A2の距離値をもとにワークW5の存否を検出している。ここで、
図1(a)(b)に示すように検知領域A2にワークW5が置かれている場合、ワークW5によって透過穴53aが塞がれるため、検知領域A2内で距離画像センサ1によって検出される距離値は、距離画像センサ1からワークW5までの距離となる。一方、
図1(c)(d)に示すように検知領域A2にワークW5が置かれていない場合、距離画像センサ1から透過穴53aに投射された光は、透過穴53aを通ってその先にある物体(図示せず)に当たり、その反射光が距離画像センサ1に戻ってくることになる。したがって、検知領域A2の距離画像において、透過穴53aに対応する部分の距離値は、距離画像センサ1から透過穴53aの先にある物体までの距離となり、ワークW5が置かれた場合の距離値よりも長くなる。よって、検知装置2では、透過穴53aに対応する部分の距離値と所定のしきい値(例えば距離画像センサ1から棚板53の上面までの距離よりも長い距離)との長短を比較することによって、ワークW5が置かれているか否かを検出することができる。
【0035】
ここにおいて、棚板53に設けられた透過穴53aにより、距離画像センサ1からの投射光を透過させる光透過部が構成されているが、光透過部は、棚板53を貫通する透過穴53aに限定されるものではない。ワークW5が置かれた場合と置かれていない場合とを弁別できる程度の深さが確保できるのであれば、棚板53を貫通しないように設けられた透過穴でもよい。また、透過穴53aが赤外光を透過する材料で塞がれているのも好ましく、透過穴53aからワークが下に落ちるのを防止できる。
【0036】
また、
図2に示すように棚板53において薄物のワークW5が置かれる領域に、距離画像センサ1からの投射光(赤外光)を透過させる材料で形成された箱体60(光透過部)を置き、この箱体60の上面を検知対象物であるワークW5の載置スペースとしてもよい。
【0037】
ここで、
図2(a)(b)に示すように箱体60にワークW5が置かれていると、検知領域A3内で距離画像センサ1によって検出される距離(最小値)は、距離画像センサ1からワークW5までの距離(箱体60の上面までの距離と略同じ)になる。一方、
図2(c)(d)に示すように箱体60の上面にワークW5が置かれていない場合、距離画像センサ1から箱体60に投射された光は、箱体60を透過して棚板53の上面に当たり、その反射光が距離画像センサ1に戻ってくることになる。したがって、箱体60に対応する領域の距離値は、距離画像センサ1から棚板53の上面までの距離となり、ワークW5が置かれている場合よりも箱体60の高さ分だけ長くなる。よって、検知装置2では、検知領域A3での距離値(最小値)と所定のしきい値との長短を比較することによって、ワークW5の存否を検出できる。尚、上記のしきい値は、距離画像センサ1から箱体60の上面までの距離よりも長く、且つ、棚板53の上面までの距離よりは短い距離に設定されており、ワークW5の存否を弁別可能な程度の距離に設定されている。ここにおいて、距離画像センサ1からの投射光を透過させる材料で形成され、上面がワークW5の載置スペースとなる箱体60により、距離画像センサ1からの投射光を透過させる光透過部が構成されている。
【0038】
以上説明した物体検出方法は、撮像領域に投射した光が戻ってくるまでの時間をもとに撮像領域の距離画像を出力する距離画像センサ1を用い、距離画像センサ1から出力される距離画像をもとに、撮像領域における検知対象物の存否を検出する方法である。そして、撮像領域に、距離画像センサ1からの投射光を透過させる光透過部が設けられ、光透過部を検知対象物の検知領域として、検知領域で検知対象物の存否を検出することを特徴とする。
【0039】
これにより、検知領域に検知対象物が存在する場合は、距離画像センサ1によって検出される検知領域での距離値は、距離画像センサ1から検知対象物までの距離となる。一方、検知領域に検知対象物が存在しない場合は、距離画像センサ1から検知領域に投射された光が光透過部を透過し、その先にある物体で反射される。したがって、距離画像センサ1によって検出される検知領域での距離値は、距離画像センサ1から光透過部の先にある物体までの距離となる。よって、厚みの薄い検知対象物であっても、検知領域に検知対象物が存在する場合と存在しない場合とで、検知対象物の厚みよりも大きく距離値を変化させることができ、検知対象物の存否を確実に検出できる。
【0040】
この物体検出方法において、距離画像センサ1は、上面が作業領域となる作業テーブル(棚板53)の上面を撮像し、光透過部は、棚板53の上面に設けられた透過穴53aからなり、透過穴53aを含む領域を検知対象物の載置スペースとすることも好ましい。
【0041】
これにより、厚みの薄い検知対象物であっても、検知領域に検知対象物が存在する場合と存在しない場合とで、検知対象物の厚みよりも大きく距離値が変化することになり、検知対象物の存否を確実に検出できる。
【0042】
この物体検出方法において、光透過部が、距離画像センサ1からの投射光を透過させる材料(例えばガラスやアクリル樹脂など)で形成された箱体60からなり、箱体60の上面を検知対象物の載置スペースとすることも好ましい。
【0043】
これにより、箱体60に検知対象物が置かれた場合は、距離画像センサ1によって測定された距離値が、距離画像センサ1から検知対象物までの距離となる。一方、箱体60に検知対象物が置かれていない場合は、距離画像センサ1によって測定された距離値が、距離画像センサ1から箱体60の載置面までの距離となる。したがって、厚みの薄い検知対象物であっても、検知領域に検知対象物が存在する場合と存在しない場合とで、箱体60の高さ分だけ距離値を変化させることができるから、検知対象物の存否を確実に検出できる。尚、作業テーブル(棚板53)の上側に投射光を透過する箱体60を置く代わりに、棚板53自体を、距離画像センサ1からの投射光を透過可能な材料(ガラスやアクリル樹脂など)で形成してもよい。
【0044】
また、上述の物体検出方法を用いて検知対象物の存否を検出する物体検出装置であって、距離画像センサ1と、距離画像センサ1から出力される距離画像をもとに、撮像領域における検知対象物の存否を検出する検出装置2(検出部)とを備えることを特徴とする。
【0045】
これにより、厚みの薄い検知対象物(例えば紙片など)でも確実に検出可能な物体検出装置を実現できる。
【0046】
ところで、距離画像をもとに撮像領域における検知対象物の存否を検出する物体検出方法では、検知対象物が置かれた場所と距離画像センサ1との間に、距離画像センサからの投射光を遮蔽する遮蔽物があると、検知対象物を検出できないという問題がある。例えば、
図3に示すように棚板53の上方に設置された距離画像センサ1と、棚板53において検知対象物W6が置かれる場所との間に遮蔽物80があると、距離画像センサ1からの投射光が遮蔽物80に遮蔽されるため、検知対象物W6を検出できなくなる。
【0047】
そこで、本実施形態では、距離画像センサ1からの投射光を反射して、距離画像センサ1から見て遮蔽物80の裏側にある検知対象物W6に投射光を照射させるために、反射鏡70(反射部材)が配置されている。したがって、距離画像センサ1から出力される距離画像には、遮蔽物80の裏側にある検知対象物W6が現れるから、距離画像センサ1から見て死角にある検知対象物も確実に検出することができる。
【0048】
尚、
図3の形態では、ガラスの裏面にアルミなどの金属が蒸着された平板状の反射鏡70が用いられているが、反射部材は鏡に限定されるものではなく、
図4に示すように、例えば表面が鏡面仕上げされた矩形板状の金属板71でもよい。また、距離画像センサ1からの投射光(例えば赤外光)は透過させ、且つ、可視光は減衰させるフィルタ部材72(例えば半透明のアクリル板からなる)が、金属板71の前側に配置されることも好ましい。フィルタ部材72は、距離画像センサ1からの投射光をそのまま透過させるので、距離画像センサ1からの投射光や、その反射光が減衰されることはない。一方、フィルタ部材72は可視光を減衰させるので、金属板71によって反射された可視光が作業者の目に入って眩しさを感じるのを抑制できる。また、反射部材に作業者自身が写り込むのを抑制して、作業者が感じる不快感を低減できる。
【0049】
以上のように、この物体検出方法は、撮像領域に投射した光が戻ってくるまでの時間をもとに撮像領域の距離画像を出力する距離画像センサ1を用い、距離画像センサ1から出力される距離画像をもとに、撮像領域における検知対象物の存否を検出する方法である。そして、距離画像センサ1と検知対象物の間に、距離画像センサ1からの投射光を遮蔽する遮蔽物80がある場合に、投射光を反射して遮蔽物80の影にある検知対象物に照射させる反射部材を配置して、検知対象物の存否を検出することを特徴とする。
【0050】
これにより、距離画像センサ1からの投射光を反射部材が反射することによって、距離画像センサ1から見て遮蔽物80の裏側に位置する検知対象物にも投射光を照射させることができ、死角にある検知対象物も確実に検出することができる。
【0051】
また、この物体検出方法において、反射部材(例えば反射鏡70、金属板71)の前面側に、距離画像センサ1からの投射光は透過させ、且つ、可視光は減衰させるフィルタ部材72が配置されることも好ましい。
【0052】
これにより、フィルタ部材72によって反射部材で反射された可視光が減衰されるから、反射部材で反射された可視光が作業者の目に入って眩しさを感じるのを低減することができる。また、作業者自身の像が反射部材に映り込むのを抑制して、作業者が感じる不快感を低減できる。
【0053】
また、上述の物体検出方法を用いて検知対象物の存否を検出する物体検出装置であって、距離画像センサ1と、距離画像センサ1から出力される距離画像をもとに、撮像領域における検知対象物の存否を検出する検出装置2(検出部)とを備えることを特徴とする。
【0054】
これにより、距離画像センサ1から見て障害物の影に被検知物体が存在する場合でも、その被検知物体を確実に検出できる物体検知装置を実現することができる。