特許第6032589号(P6032589)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6032589イオン発生装置及びこれを搭載したモバイル機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032589
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】イオン発生装置及びこれを搭載したモバイル機器
(51)【国際特許分類】
   H01T 23/00 20060101AFI20161121BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20161121BHJP
   H04M 1/17 20060101ALI20161121BHJP
   H01T 19/04 20060101ALN20161121BHJP
【FI】
   H01T23/00
   H04M1/00 R
   H04M1/17 Z
   !H01T19/04
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-84202(P2012-84202)
(22)【出願日】2012年4月2日
(65)【公開番号】特開2013-214416(P2013-214416A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2014年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(72)【発明者】
【氏名】山口 友宏
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−169574(JP,A)
【文献】 特開平10−180139(JP,A)
【文献】 特開2003−279088(JP,A)
【文献】 特開2004−144342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 23/00
H04M 1/00
H04M 1/17
H01T 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電微粒子水を発生させる電極を有する静電霧化部と、
吸気したエアを所定の排気方向に送り出すファンと、
前記ファンから送り出されたエアが導入される風路と、
前記静電霧化部と前記ファンを制御する制御回路ブロックと、
これらを収納するケーシングとを備え、
前記静電霧化部は、前記電極が前記ケーシングの厚み方向に立設するように前記風路中に配置され、
前記ファンが、エアの吸気方向と排気方向を略90°相違させ、
前記風路が、前記ファンの排気方向と、前記帯電微粒子水を含むエアの吐出方向を、さらに相違させることにより、
前記ファンのエアの吸気方向と、前記風路からの前記帯電微粒子水を含むエアの吐出方向が、前記厚み方向と略平行に、且つ互いに略同一方向となるように設けられ、
前記ケーシングには、前記ファンが収納されるファン収納空間と、前記風路と、前記制御回路ブロックが収納される制御回路ブロック収納空間とが、隔壁部を介して、前記厚み方向と直交する方向に一列に配列された
ことを特徴とするイオン発生装置。
【請求項2】
前記風路には、前記ファンから導入されたエアの方向を変える曲がり部が設けられ、
前記曲がり部よりも下流側に前記静電霧化部が配置され、
前記ファン収納空間と前記風路との間を仕切る前記隔壁部が、前記風路に導入されるエアの流速を上げる絞り部を兼ねる
ことを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項3】
前記静電霧化部は、発生した前記帯電微粒子水を吐出させるイオン吐出口を有し、
前記イオン吐出口は、前記風路の内壁面に対して、所定の通風スペースを介して対向配置された
ことを特徴とする請求項1または2に記載のイオン発生装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のイオン発生装置が、前記ケーシングごとモバイル機器本体に組み付けられた
ことを特徴とするモバイル機器。
【請求項5】
前記イオン発生装置からの前記帯電微粒子水を含むエアの吐出方向が、使用者空間の方向に設けられた
ことを特徴とする請求項4に記載のモバイル機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンを発生させてエアと共に吐出させるイオン発生装置や、これを搭載したモバイル機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、イオン発生部を備えたイオン発生装置が、種々の設備等に設置されている。図6には、特許文献1にも記載された従来のイオン発生装置100を示している。このイオン発生装置100は、トイレ設備内に設置される静電霧化装置であり、生成された帯電微粒子水を、エアの流れに乗せてトイレルーム内へと放出させる。
【0003】
イオン発生装置100は、ケーシング102内にファンや風洞部を内蔵し、このケーシング102外に、帯電微粒子水を発生させるユニット104を配置している。イオン発生装置100では、ケーシング102内の風洞部を通じて外部に送り出されるエアに、ユニット104で生成される帯電微粒子水を乗せ、トイレルーム内へと放出する。
【0004】
なお、本願明細書等においては、このような静電霧化装置と空気イオン発生装置をまとめてイオン発生装置と称する。空気イオン発生装置は、電極に電圧を印加させることで、正及び負、または正負いずれか一方の空気イオンを発生させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−99145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来のイオン発生装置100は、全体の幅や厚みが大きく、トイレ設備であれば設置することに大きな問題はないが、スペース上の制約が多いモバイル機器に搭載するには不向きなものであった。
【0007】
本発明は前記問題点に鑑みて発明したものであって、モバイル機器のようなスペース上の制約の多い機器にも容易に搭載可能となるようにコンパクト化されたイオン発生装置、及び、これを備えたモバイル機器を提案することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明を、下記構成を具備するイオン発生装置とする。
【0009】
本発明は、帯電微粒子水を発生させる電極を有する静電霧化部と、吸気したエアを所定の排気方向に送り出すファンと、前記ファンから送り出されたエアが導入される風路と、前記静電霧化部と前記ファンを制御する制御回路ブロックと、これらを収納するケーシングとを備えるイオン発生装置である。前記静電霧化部は、前記電極が前記ケーシングの厚み方向に立設するように前記風路中に配置される。前記ファンが、エアの吸気方向と排気方向を略90°相違させ、前記風路が、前記ファンの排気方向と、前記帯電微粒子水を含むエアの吐出方向を、さらに相違させることにより、前記ファンのエアの吸気方向と、前記風路からの前記帯電微粒子水を含むエアの吐出方向が、前記厚み方向と略平行に、且つ互いに略同一方向となるように設けられる。前記ケーシングには、前記ファンが収納されるファン収納空間と、前記風路と、前記制御回路ブロックが収納される制御回路ブロック収納空間とが、隔壁部を介して、前記厚み方向と直交する方向に一列に配列される。
【0011】
前記風路に、前記ファンから導入されたエアの方向を変える曲がり部設けられ、前記曲がり部よりも下流側に前記静電霧化部が配置され、前記ファン収納空間と前記風路との間を仕切る前記隔壁部、前記風路に導入されるエアの流速を上げる絞り部を兼ねることも好ましい。
【0012】
前記静電霧化部は、発生した前記帯電微粒子水を吐出させるイオン吐出口を有し、前記イオン吐出口は、前記風路の内壁面に対して、所定の通風スペースを介して対向配置されることも好ましい。
【0014】
また、前記課題を解決するため、本発明を、下記構成を具備するモバイル機器とする。
【0015】
本発明は、前記構成のイオン発生装置、前記ケーシングごとモバイル機器本体に組み付けられたことを特徴とするモバイル機器である。
【0016】
前記イオン発生装置からの前記帯電微粒子水を含むエアの吐出方向、使用者空間の方向に設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、モバイル機器のようなスペース上の制約の多い機器にもイオン発生装置が容易に搭載されるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態のイオン発生装置の斜視図である。
図2】同上のイオン発生装置を正面側から視た分解斜視図である。
図3】同上のイオン発生装置を背面側から視た分解斜視図である。
図4】同上のイオン発生装置の風路部分での断面図である。
図5】(a)〜(c)は、同上のイオン発生装置を搭載するモバイル機器の概略図である。
図6】従来のイオン発生装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を、添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0020】
図1図4には、本発明の一実施形態のイオン発生装置Aを示している。図1は斜視図、図2図3は分解斜視図、図4は断面図である。
【0021】
本実施形態のイオン発生装置Aは、いずれもが薄型である静電霧化部4、ファン6及び制御回路ブロック8を、やはり薄型であるケーシング10内に組み込み、全体をユニット化したものである。
【0022】
静電霧化部4は、電極2の先端部から帯電微粒子水を生成するものであり、ペルチェ素子への通電制御によって電極2を冷却し、この電極2に結露水を生成するようになっている(図4参照)。電極2の先端部と対向する箇所には、対向電極12を配している。電極2が保持する水には、対向電極12との間で電界が印加され、この電界印加によって該水を基にして帯電微粒子水が生成される。生成された帯電微粒子水は、対向電極12が有する放出孔14を通じて、静電霧化部4の外部へと放出される。なお、対向電極12を備えずとも帯電微粒子水が生成可能であることや、結露水以外の水や機能水を電極2に供給しても帯電微粒子水が生成可能であることは勿論である。
【0023】
ファン6は、エアの吸気方向aと排気方向bが略90°相違するように設けた遠心ファンであり、より具体的には、図示のような薄型の外形を有するシロッコファン16である。本文中で用いる略90°は、90°を含む角度である。
【0024】
シロッコファン16は、多数の小型羽根を有する図示略の筒部を、整風ケース18内に収納したものであり、整風ケース18の中央部から軸方向にエアを吸気し、整風ケース18の側部から、軸方向と略直交する方向へとエアを排気する。このシロッコファン16から排気されるエアによって、静電霧化部4で生成された帯電微粒子水を勢いよく放出させるためのエアの流れを、ケーシング10内で発生させる。
【0025】
制御回路ブロック8は、ファン制御部20と静電霧化制御部22とを有する。ファン制御部20は、シロッコファン16に内蔵する筒部を軸中心に回転駆動させる。静電霧化制御部22は、静電霧化部4に備えるペルチェ素子への通電制御や、静電霧化用の電界印加の制御を行う。
【0026】
ケーシング10は、底壁をなす第一ケーシング24と、この第一ケーシング24に取付固定される第二ケーシング26とからなる。両ケーシング24,26が結合された状態において、その内部空間に、シロッコファン16が収納されるファン収納空間28と、シロッコファン16からのエアが送り出される風路30と、制御回路ブロック8が収納される制御回路収納空間32とが、この順に一方向に配列して形成される。以下においては、この配列方向をケーシング10の長さ方向xとする。ケーシング10の長さ方向xは、ケーシング10の幅方向yと厚み方向zの両者に直交する方向である。
【0027】
ファン収納空間28は、シロッコファン16が嵌合して位置決めされる寸法形状を有する。第一ケーシング24のファン収納空間28と対向する部分には、吸気口34を形成している。ファン収納空間28に位置決めされたシロッコファン16は、厚み方向zと略並行である吸気方向aに、吸気口34を通じてエアを吸気し、長さ方向xと略平行である排気方向bへとエアを排気する。本文中で用いる略平行は、平行である場合を含む。同様に、本文中で用いる略垂直は、垂直である場合を含む。
【0028】
風路30は、第二ケーシング26側から突設される一対の隔壁部36,38によって、ファン収納空間28と制御回路収納空間32の両方から仕切られる。風路30は、ケーシング10の幅方向yと略平行に形成される直線部42と、直線部42の上流側に形成される第一の曲がり部44と、直線部42の下流側の形成される第二の曲がり部46とを有する。
【0029】
第一の曲がり部44は、シロッコファン16から排気方向bへと排気されたエアを、排気方向bとは略90°相違する方向(ケーシング10の幅方向yと略平行な方向)へと送り出す部分である。第二の曲がり部46は、直線部42内を通過したエアを、この直線部42内の通過方向とは略90°相違する方向(ケーシング10の厚み方向zと略平行な方向)へと送り出す部分である。第二ケーシング26には、このエアを外部空間に吐出する吐出口48を形成している。
【0030】
このように、シロッコファン16により吸気されたエアは、このシロッコファン16により送風方向を略90度変えられ、さらに第一及び第二の曲がり部44,46によってそれぞれ送風方向を略90°変えられる。つまり、吸気口34から吸気されたエアは、薄型であるケーシング10内において都合3箇所で送風方向を変えられたうえで、吸気口34とは反対面側に形成される吐出口48を通じて、吸気方向aと略平行な吐出方向cで外部空間に吐出される。
【0031】
そして、この風路30の直線部42中に、静電霧化部4の配置スペースである静電霧化部収納箇所50が形成される。第二ケーシング26には、イオン発生部52である静電霧化部4を所定姿勢で配置固定するための固定孔54を貫通形成している。
【0032】
ここでの静電霧化部4の所定姿勢とは、電極2の立設方向をケーシング10の厚み方向zと略平行に設けた姿勢である。この所定姿勢において、電極2の先端部と対向電極12の放出孔14との対向する方向が、厚み方向zと略平行に設定される。本実施形態では、この対向電極12の放出孔14が、イオン吐出口56となる。
【0033】
図4に示すようにイオン吐出口56は、所定の通風スペース57を介して、第一ケーシング24の内壁面と厚み方向zに対向する。このイオン吐出口56から吐出される帯電微粒子水が、風路30内の通風スペース57を通過するエアに対して、エアの通過方向と略直交する方向から混入され、帯電微粒子水を含むエアとして外部空間に吐出される。
【0034】
直線部42のうち静電霧化部収納箇所50の上流端の箇所には、第二ケーシング26側からリブ58が立設されている。このリブ58は電極2の上流側に位置し、電極2及びその周辺空間に直接的に風が当たって静電霧化環境が不安定化することを抑制する。
【0035】
風路30を形成する一方の隔壁部36は、ケーシング10の幅方向yに沿って一直線状に形成されている。シロッコファン16と風路30との境界のうち、この隔壁部36の配されない部分が、シロッコファン16からのエアの導入口60となる。
【0036】
つまり、シロッコファン16と風路30との境界部分に隔壁部36が位置することで、シロッコファン16から風路30側に送り出されるエアが導入口60の部分で絞られ、エアの流速を上げることになる。換言すれば、第二ケーシング26から突設される隔壁部36が、風路30に導入されるエアの流速を上げる絞り部62を兼ねている。
【0037】
風路30を形成する他方の隔壁部38は、円弧状の湾曲壁64と、この湾曲壁64からから一直線状に延長される直線壁66とを有する。この湾曲壁64が、風路30の第一の曲がり部44を形成する。湾曲壁64より下流側の部分である直線壁66は、これと平行に形成される隔壁部36と共に、風路30の直線部42を形成する。
【0038】
制御回路収納空間32は、隔壁部36を介して風路30と隣接する。即ち、制御回路収納空間32は、この隔壁部36を介して静電霧化部4と隣接する。制御回路収納空間32には、共に平面視矩形状をなすファン制御部20と静電霧化制御部22とが、互いの長手方向をケーシング10の幅方向yと略平行に設けた姿勢で、取付固定される。より具体的には、風路30とファン制御部20との間に隔壁部38を挟み、さらに、この風路30と静電霧化制御部22との間に、隔壁部38とファン制御部20を挟む配置である。
【0039】
本実施形態のイオン発生装置Aでは、上述のように静電霧化部4、ファン6及び制御回路ブロック8をケーシング10内に一体に組み込んでいるため、全体が非常に薄型化及びコンパクト化されたユニットとなっている。そのため、図5(a)〜(c)に示す各種のモバイル機器Bの小さなスペースSにも、ユニットごと搭載可能であり、その際の組立性も良好である。
【0040】
図5(a)のモバイル機器Bは、二つ折り式(ノート型)のパーソナルコンピュータであり、モニター部70と、キー入力部72を有する本体部74とが、回動自在に連結されている。このモバイル機器Bでは、本体部74のキー入力部72の手前側スペースのうち、右端側の部分を、イオン発生装置Aを搭載するためのスペースSとして利用している。なお、手前側スペースのうち左端側の部分、若しくは左右両端側の部分を、スペースSとして利用しても構わない。
【0041】
このモバイル機器Bでは、本体部74を載置して使用するとき、本体部74の下面側からイオン発生装置A内にエアが吸気され、本体部74の上面側に開口する吐出口48から、帯電微粒子水を含むエアが吐出される。このスペースS上方の空間は、使用者空間であるから、使用者やこの使用者の周囲空間に対して大量の帯電微粒子水が供給される。
【0042】
図5(b)のモバイル機器Bは、タブレット型のパーソナルコンピュータ又は携帯電話であり、本体部76の一面側中央にタッチパネル式のモニター78を有し、モニター78の周辺に適宜の操作部80を有している。このモバイル機器Bでは、本体部76のモニター78の周縁領域の一部を、イオン発生装置Aを搭載するためのスペースSとして利用している。
【0043】
このモバイル機器Bでは、本体部76の背面側からイオン発生装置A内にエアが吸気され、帯電微粒子水を含むエアが、本体部76の正面側から吐出される。モバイル機器Bでは、モニター78正面側の空間が使用者空間であるから、使用者やこの使用者の周囲空間に対して大量の帯電微粒子水が供給される。
【0044】
図5(c)のモバイル機器Bは、二つ折り式の携帯電話であり、モニター部82と、キー入力部84を有する本体部86とが、回動自在に連結されている。このモバイル機器Bでは、本体部86のうちモニター部82から離れた側のスペースを、イオン発生装置Aを搭載するためのスペースSとしている。
【0045】
このモバイル機器Bでは、本体部86を把持して使用するとき、本体部86の背面側からイオン発生装置A内にエアが吸気され、帯電微粒子水を含むエアが、本体部86の正面側に吐出される。この本体部86の正面側は使用者空間であるから、使用者やこの使用者の周囲空間に対して大量の帯電微粒子水が供給される。
【0046】
なお、本実施形態のイオン発生装置Aでは、シロッコファン16によるエアの吸気方向aと、帯電微粒子水を含むエアの吐出方向cとを略平行に設けているが、エアの吐出方向cが使用者空間の方向に設定されるものであれば、略平行に設定されていなくてもよい。つまり、両方向a,cが略垂直に設定されてもよいし、或いは垂直と平行の間の角度に設定されていてもよい。両方向a,cが略垂直であるとき、図5(a)〜(c)のモバイル機器Bでは、側方からエアを吸気し、帯電微粒子水を含ませて正面側に吐出させる構造となる。また、正面側からエアを吸気し、帯電微粒子水を含ませたうえで正面側に吐出させる構造としてもよいし、側方からエアを吸気し、帯電微粒子水を含ませたうえで側方に吐出させる構造としてもよい。その他、多様な吸気構造や吐出構造が実現可能である。
【0047】
本実施形態のモバイル機器Bの外郭は、イオン発生装置Aのケーシング10とは独立に形成しているが、モバイル機器Bの外郭がケーシング10の一部機能を兼ねる構造であってもよい。
【0048】
以上、図面に基づいて詳述したように、本実施形態のイオン発生装置Aは、イオンを発生させる電極2を有するイオン発生部52と、吸気したエアを所定の排気方向bに送り出すファン6と、ファン6から送り出されたエアが導入される風路30とを備える。イオン発生部52は、風路30中に配置される。ファン6は、エアの吸気方向aと排気方向bを相違させるものである。風路30は、イオンを含むエアの吐出方向cを、ファン6の排気方向bと相違させるものである。
【0049】
本実施形態のイオン発生装置Aでは、ファン6で吸気したエアを、方向を変えたうえで風路30中に送り込み、この風路30中にてイオンを含ませ、更に方向を変えて外部に排気することができる。そのため、イオン発生装置A全体を非常にコンパクト化することができ、スペース上の制約の多い機器にも搭載可能となる。
【0050】
また、本実施形態のイオン発生装置Aにおいては、ファン6によるエアの吸気方向aと、風路30からのイオンを含むエアの吐出方向cは、略平行である。また、ファン6によるエアの吸気方向aと、風路30からのイオンを含むエアの吐出方向cは、略垂直であってもよい。
【0051】
これにより、搭載する機器を使用する使用者側の空間にむけて、イオンを含むエアを大量に供給することができる。
【0052】
また、本実施形態のイオン発生装置Aにおいては、風路30に、ファン6から導入されたエアの方向を変える曲がり部44を設け、曲がり部44よりも下流側にイオン発生部52を配置している。そして、ファン6とイオン発生部52とを隣接配置し、ファン6とイオン発生部52との間には、ファン6と風路30との間を仕切る隔壁部36を設けている。この隔壁部36が、風路30に導入されるエアの流速を上げる絞り部62を兼ねる。
【0053】
これにより、隔壁部36を活用したコンパクトな構造によって、風路30内での流速向上を図ることができる。
【0054】
また、本実施形態のイオン発生装置Aにおいて、イオン発生部52は、発生したイオンを吐出させるイオン吐出口56を有する。イオン吐出口56は、風路30の内壁面に対して、所定の通風スペース57を介して対向配置される。
【0055】
これにより、風路30内にイオン発生部52を配した構造であっても、この風路30を極力コンパクトに形成し、このコンパクトな風路30を通じて、エアに対してイオンを効率的に混合させることができる。
【0056】
また、本実施形態のイオン発生装置Aにおいては、風路30との間で隔壁部38を挟む箇所に、制御回路ブロック8を配置している。
【0057】
これにより、発熱ブロックである制御回路ブロック8からの熱が、イオンの発生環境に影響を及ぼすことが抑えられる。
【0058】
また、上述したモバイル機器Bは、本実施形態のイオン発生装置Aをケーシング10により一体化させて備え、ケーシング10ごとモバイル機器本体に組み付けたものである。
【0059】
これにより、このケーシング10ごと組み付けるだけで、モバイル機器Bに対してイオン生成機能を簡単に付加させることが可能となる。イオン放出により、除菌、脱臭等の効果が期待でき、イオンの種類によっては美肌、美髪効果も期待することができる。
【0060】
このモバイル機器Bでは、イオン発生装置Aからのイオンを含むエアの吐出方向cを、使用者空間の方向に設けている。
【0061】
そのため、使用者はモバイル機器Bを使用しているだけで、イオンによる各種効果を得ることが可能となる。
【0062】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0063】
2 電極
6 ファン
8 制御回路ブロック
10 ケーシング
30 風路
34 吸気口
36 隔壁部
38 隔壁部
44 第一の曲がり部
46 第二の曲がり部
48 吐出口
52 イオン発生部
56 イオン吐出口
57 通風スペース
62 絞り部
A イオン発生装置
B モバイル機器
a 吸気方向
b 排気方向
c 吐出方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6