特許第6032596号(P6032596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032596
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】端子装置およびそれを用いたコンセント
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/00 20060101AFI20161121BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   H01R9/00 Z
   H01R13/11 302B
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-203327(P2012-203327)
(22)【出願日】2012年9月14日
(65)【公開番号】特開2014-59994(P2014-59994A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2015年4月10日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】前田 裕史
(72)【発明者】
【氏名】山口 義男
(72)【発明者】
【氏名】早船 正実
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−249298(JP,A)
【文献】 実開平02−077866(JP,U)
【文献】 実開昭62−020471(JP,U)
【文献】 特開2011−028969(JP,A)
【文献】 特開2010−045887(JP,A)
【文献】 実開昭57−099380(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00
H01R 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の端部において絶縁被覆部が除去されて露出した導電体と電気的に接続可能な板状の端子片と、前記端子片の孔に挿通された端子ねじと、前記端子ねじが螺合するナットとを備え、前記端子片と前記ナットとの間あるいは前記端子片と前記端子ねじのねじ頭との間で前記導電体を挟持可能であり、前記端子片には、前記電線が過度に挿入されるのを防止するためのストッパ部が設けられ、
前記端子片は、矩形板状に形成され、前記端子片の4つの端縁のうち互いに平行する特定の2つの端縁に、前記端子片の一表面側に向かって側板がそれぞれ立設されてなり、前記端子片の前記一表面側に前記ナットが配置され、前記端子片の他表面側に前記端子ねじの前記ねじ頭が配置されており、前記端子片の前記特定の2つの端縁以外の一端縁に、前記ストッパ部が立設されており、
前記ナットにおける前記一対の側板との対向面が前記一対の側板に接触することで、前記端子ねじを中心とする前記ナットの回転が防止されることを特徴とする端子装置。
【請求項2】
前記ナットは、矩形板状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の端子装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の端子装置を備えてなることを特徴とするコンセント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子装置およびそれを用いたコンセントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、造営材に設けられた埋込孔に器体の後部を挿入する形で配設される埋込型コンセントが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示された埋込型コンセントは、図11に示すように、カバー100およびボディ101からなる器体102と、埋込孔(図示せず)に埋め込まれた埋込ボックス(図示せず)に器体102を取り付ける取付枠103と、取付枠103の前面を覆い隠すプレート104とを備えている。
【0004】
ボディ101は、合成樹脂成形品からなる。また、ボディ101は、このボディ101の前面に間隔を空けて突設された2つの隔絶壁101a,101aにより3つの部位に区画されている。
【0005】
2つの隔絶壁101a,101aに挟まれた中央部位には、プラグ(図示せず)の一対の接地極(図示せず)と接触可能な接地刃受部110が取り付けられている。
【0006】
上記中央部位を挟んだ両端部位は、上記プラグの一対の丸ピン(図示せず)を受ける刃受部111がそれぞれ収納された一対の収納室105,105となっている。なお、各収納室105には、端子ねじ106aと螺合するナット106bを嵌合可能な嵌合凹部107が設けられている。
【0007】
各刃受部111は、導電性並びにばね性を有する金属板を折曲加工して形成されている。これら各刃受部111は、図12に示すように、上述の端子ねじ106aを挿通するための挿通孔112aが貫設された端子片112と、端子片112の両端縁より曲げ起こされて互いに向かい合う一対のばね板113,113とを有している。また、各刃受部111は、各ばね板113の先端部に設けられた弧状片114と、各弧状片114の先端縁より突出する突出片115とを有している。なお、特許文献1には、各刃受部111に、上記埋込孔から引き出された給電用の電線(図示せず)が接続される旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−249298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述の埋込型コンセントでは、給電用の電線の端部において絶縁被覆部が除去されて露出した導電体が、端子ねじ106aにより端子片112とナット106bとで挟持され、端子片112に電気的に接続されるものと推考される。また、上述の埋込型コンセントでは、端子ねじ106aと端子片112とナット106bとが、電線の導電体と刃受部111の端子片112とを電気的に接続する端子装置を構成しているものと考える。
【0010】
上述の端子装置では、給電用の電線が過度に挿入されると、電線の絶縁被覆部が端子片112とナット106bとで噛み込まれ、電線の導電体と端子片112との電気的な接続不良が生じる可能性がある。
【0011】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、電線が過度に挿入されるのを防止することが可能な端子装置およびそれを用いたコンセントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の端子装置は、電線の端部において絶縁被覆部が除去されて露出した導電体と電気的に接続可能な板状の端子片と、前記端子片の孔に挿通された端子ねじと、前記端子ねじが螺合するナットとを備え、前記端子片と前記ナットとの間あるいは前記端子片と前記端子ねじのねじ頭との間で前記導電体を挟持可能であり、前記端子片には、前記電線が過度に挿入されるのを防止するためのストッパ部が設けられ、前記端子片は、矩形板状に形成され、前記端子片の4つの端縁のうち互いに平行する特定の2つの端縁に、前記端子片の一表面側に向かって側板がそれぞれ立設されてなり、前記端子片の前記一表面側に前記ナットが配置され、前記端子片の他表面側に前記端子ねじの前記ねじ頭が配置されており、前記端子片の前記特定の2つの端縁以外の一端縁に、前記ストッパ部が立設されており、前記ナットにおける前記一対の側板との対向面が前記一対の側板に接触することで、前記端子ねじを中心とする前記ナットの回転が防止されることを特徴とする。
【0013】
この端子装置において、前記ナットは、矩形板状に形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明のコンセントは、前記端子装置を備えてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の端子装置においては、電線が過度に挿入されるのを防止することが可能となる。
【0016】
本発明のコンセントにおいては、電線が過度に挿入されるのを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の端子装置に関し、(a)は使用例の説明図、(b)は要部拡大図である。
図2】本実施形態の端子装置の使用例の他の説明図である。
図3】本実施形態のコンセントを示し、(a)は前面側から見た斜視図、(b)は後面側から見た斜視図である。
図4】本実施形態のコンセントの分解斜視図である。
図5】本実施形態のコンセントを示し、(a)は上面図、(b)は前面図、(c)は下面図である。
図6】本実施形態のコンセントを示し、(a)は側面図、(b)は後面図である。
図7】本実施形態のコンセントの断面図である。
図8】本実施形態のコンセントに接続されるプラグの斜視図である。
図9】比較例の端子装置に関し、(a)は使用例の説明図、(b)は要部拡大図である。
図10】比較例の端子装置の使用例の他の説明図である。
図11】従来例の埋込型コンセントの分解斜視図である。
図12】従来例の埋込型コンセントに用いられた各刃受部の使用例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態の端子装置について、図1および図2に基づいて説明する。
【0019】
本実施形態の端子装置は、電線96の端部(図2では、右端部)において絶縁被覆部96bが除去されて露出した導電体96aと電気的に接続可能な板状の端子片61と、第1端子ねじ8cと、第1端子ねじ8cが螺合する第1ナット8dとを備えている。
【0020】
端子片61は、例えば、矩形板状に形成されている。この端子片61の4つの端縁のうち互いに平行する特定の2つの端縁には、端子片61の一表面側(図1(b)では、上側)に向かって側板62がそれぞれ立設されている。
【0021】
一対の側板62,62の各々の一端部(図1(b)では、右上端部)には、一対のばね片64,64のうちの一方のばね片64が延設されている。本実施形態では、一対のばね片64,64が、プラグ91(図8参照)のプラグ本体92から導出された一対のピン93,93のうちの一方のピン93を挟持可能な刃受け部6を構成している。なお、本実施形態では、端子片61と、一対の側板62,62と、一対のばね片64,64からなる刃受け部6とが、刃受けばね60として一体に形成されている。また、本実施形態では、刃受けばね60の材料として、金属材料を用いている。
【0022】
端子片61には、第1端子ねじ8cのねじ部が挿通される第1ねじ挿通孔61aが形成されている。
【0023】
端子片61の上記一表面側には、上述の第1ナット8dが配置されている。第1ナット8dは、端子片61の他表面側(図1(b)では、下側)から第1ねじ挿通孔61aに挿通された第1端子ねじ8cのねじ部の先端部が螺合されている。言い換えれば、端子片61の上記他表面側には、第1端子ねじ8cのねじ頭が配置されている。なお、本実施形態では、第1端子ねじ8cと第1ナット8dとで、第1ねじ付き端子を構成している。
【0024】
本実施形態の端子装置では、端子片61と第1ナット8dとの間で電線96の導電体96aが挟持される。ここにおいて、本実施形態の端子装置では、導電体96aを、端子片61と第1ナット8dとの間で挟持するが、これに限らず、例えば、端子片61と第1端子ねじ8cのねじ頭との間で挟持してもよい。また、本実施形態の端子装置では、導電体96aを端子片61と第1端子ねじ8cのねじ頭との間で挟持する場合、端子片61と第1端子ねじ8cのねじ頭との間に、例えば、座金などを設けて、導電体96aを座金と端子片61との間で挟持してもよい。これにより、本実施形態の端子装置では、導電体96aを端子片61と第1端子ねじ8cのねじ頭との間で挟持する場合に比べて、電線96の導電体96aと端子片61との電気的な接続性を向上させることが可能となる。
【0025】
端子片61の上記特定の2つの端縁以外の一端縁(図1(b)では、右上端縁)には、電線96が過度に挿入されるのを防止するためのストッパ部63が立設されている。
【0026】
以下、本実施形態の端子装置を用いたコンセントについて、図1図7を参照しながら説明する。
【0027】
本実施形態のコンセント20は、例えば、造営材(図示せず)に予め形成された埋込孔(図示せず)に埋め込まれる埋込ボックス90に取り付けられるものである(図7参照)。
【0028】
コンセント20は、前面に開口1a(図4参照)を有する箱状(本実施形態では、矩形箱状)のボディ1と、ボディ1の上記前面側を覆うカバー2と、ボディ1およびカバー2を結合する組立ねじ10とを備えている。
【0029】
ボディ1は、熱硬化性樹脂により形成されている。また、ボディ1は、ボディ1の内底面から突出した2つの仕切壁11a,11bが並設されており、ボディ1の内部が3つの部位に区画されている。つまり、ボディ1の内部には、3つの収納室12が形成されている。以下、本実施形態では、説明の便宜上、3つの収納室12を、第1収納室12a、第2収納室12b、第3収納室12cと称する。
【0030】
2つの仕切壁11a,11bで挟まれた部位には、第1収納室12aが設けられている。第1収納室12aには、プラグ91のプラグ本体92に設けられた一対の接地極94,94と接触可能な接地部材5の一部が収納されている。なお、図8では、一対の接地極94,94のうちの一方の接地極94が見えている。
【0031】
また、第1収納室12aの内底面には、接地部材5を位置決めするためのリブ13(図7参照)が突設されている。
【0032】
第1収納室12aの底壁の後面(図7では、右面)には、後方へ突出する第1突出部19が設けられている。第1突出部19は、例えば、直方体状に形成されている。
【0033】
第1突出部19の一端側(図7では、下端側)には、接地部材5に接地線(図示せず)を電気的および機械的に接続するための第2端子ねじ8aのねじ頭を挿入可能な第1貫通孔19aが設けられている。
【0034】
また、第1突出部19の他端側(図7では、上端側)には、上述の組立ねじ10のねじ頭10aを収納するための第1凹部19bが設けられている。第1凹部19bの底部には、組立ねじ10のねじ部10bが挿通される第1挿通孔19cが貫設されている。
【0035】
ボディ1の一側壁27(図4参照)と仕切壁11aとで挟まれた部位には、第2収納室12bが設けられている。また、ボディ1の他側壁29と仕切壁11bとで挟まれた部位には、第3収納室12cが設けられている。第2収納室12bおよび第3収納室12cの各々には、プラグ本体92から導出された一対のピン93,93のうちの一方のピン93を挟持可能な上述の刃受け部6を有する上述の刃受けばね60がそれぞれ収納されている。
【0036】
第2収納室12bは、2つの仕切壁11a,11bの並設方向に直交する方向(以下、直交方向)の一端壁28に、2つの電線挿入口14a,14bが形成されている。本実施形態では、2つの電線挿入口14a,14bの一方に、給電用の一対の電線96,96のうちの一方の電線96を挿入して、一方の刃受けばね60と電気的に接続することができる。また、本実施形態では、2つの電線挿入口14a,14bの他方に、送り配線用の一対の電線(図示せず)のうちの一方の上記電線を挿入して、一方の刃受けばね60と電気的に接続することもできる。
【0037】
第2収納室12bの底壁の中央部には、後方へ突出する第2突出部15(図3(b)参照)が設けられている。第2突出部15には、一対のピン93,93のうちの一方のピン93の先端部を配置するための第1窪部(図示せず)が形成されている。
【0038】
第2収納室12bの底壁の各電線挿入口14a,14b側(図3(b)では、下側)には、第1端子ねじ8cのねじ頭を挿入可能な第2貫通孔16が形成されている。
【0039】
第3収納室12cは、上記直交方向の一端壁30(図4参照)に、2つの電線挿入口14c,14dが形成されている。本実施形態では、2つの電線挿入口14c,14dの一方に、給電用の一対の電線96,96のうちの他方の電線96を挿入して、他方の刃受けばね60と電気的に接続することができる。また、本実施形態では、2つの電線挿入口14c,14dの他方に、送り配線用の上記一対の電線のうちの他方の上記電線を挿入して、他方の刃受けばね60と電気的に接続することもできる。
【0040】
第3収納室12cの底壁の中央部には、後方へ突出する第3突出部17(図3(b)参照)が設けられている。第3突出部17には、一対のピン93,93のうちの他方のピン93の先端部を配置するための第2窪部(図示せず)が形成されている。
【0041】
第3収納室12cの底壁の各電線挿入口14c,14d側(図3(b)では、下側)には、第1端子ねじ8cのねじ頭を挿入可能な第3貫通孔18が形成されている。
【0042】
接地部材5は、図4に示すように、逆Ω字状に形成されている。接地部材5の材料としては、金属材料を用いている。
【0043】
接地部材5は、板状の基端片51と、基端片51の両端部に立設された一対の脚片52,52と、各脚片52の先端部に設けられプラグ91の各接地極94と各別に接触可能な接触片53とを有している。
【0044】
基端片51の中央部には、組立ねじ10のねじ部10bが挿通される第2挿通孔51aが形成されている。基端片51の一端部(図4では、右上端部)には、第1収納室12aの内底面に突設されたリブ13が挿通されるリブ挿通孔51bが形成されている。基端片51の他端部(図4では、左下端部)には、第2端子ねじ8aのねじ部が挿通される第2ねじ挿通孔51cが形成されている。基端片51の上記他端部の前面側(図4では、上面側)には、第2端子ねじ8aが螺合する第2ナット8bが配置されている。なお、本実施形態では、第2端子ねじ8aと第2ナット8bとで、第2ねじ付き端子を構成している。
【0045】
一対の接触片53,53は、先端部が互いに近づく向きに付勢されている。各接触片53の幅寸法は、基端片51および各脚片52の幅寸法よりも小さく設定されている。
【0046】
カバー2は、熱硬化性樹脂により形成された第1カバー3と、熱可塑性樹脂により形成された第2カバー4とで構成されている。
【0047】
第1カバー3は、板状の本体部31を有している。本体部31の平面視形状は、長円形状である。この本体部31は、ボディ1の上記前面側を覆う。
【0048】
本体部31には、プラグ91の一対のピン93,93を挿入可能な一対のピン挿入口31a,31aが形成されている。一対のピン挿入口31a,31aは、本体部31の短手方向に沿って配置されるとともに、本体部31の長手方向の中央部に配置されている。
【0049】
本体部31の長手方向の両端縁には、接地部材5の各接触片53を本体部31の前面側(図4では、上面側)へ導出するための導出口31bがそれぞれ形成されている。
【0050】
また、本体部31は、一対のピン挿入口31a,31a間の部位の後面(図4では、下面)に、後方へ突出する第4突出部32が設けられている。この第4突出部32は、接地部材5の基端片51に当接する形でボディ1の第1収納室12a内に収納される(図7参照)。
【0051】
第4突出部32には、接地部材5の第2挿通孔51aに対応する部位に、組立ねじ10が螺合するねじ穴32aが形成されている。また、第4突出部32には、接地部材5の第2ねじ挿通孔51cに対応する部位に、第2ナット8bを収納可能な第2凹部32bが形成されている。第2凹部32bの底部には、第2端子ねじ8aのねじ部の先端部を配置するための第3窪部32cが設けられている。
【0052】
第2カバー4は、第1カバー3の本体部31が収納された有底筒状の収納部42と、収納部42の開口側の側部42bに側方へ延設された枠状のプレート41とを有している。なお、プレート41の外周形状は、図4に示すように、矩形状であるが、この形状を特に限定するものではない。
【0053】
収納部42の形状は、例えば、有底円筒状である。また、収納部42の開口形状は、円形状であるが、この形状を特に限定するものではなく、プラグ本体92の平面視形状に合わせた形状であればよい。ここにおいて、本実施形態では、プラグ本体92の平面視形状を、円形状としてある。
【0054】
収納部42の底部42a(図7参照)は、第1カバー3の本体部31とボディ1とで挟持される。この底部42aには、本体部31の一対のピン挿入口31a,31aを挿通可能でありピン挿入口31aよりも大きな窓孔42cが形成されている。
【0055】
収納部42の側部42bの内側には、プラグ本体92に形成された一対の突条部95,95(図8参照)をガイドするための一対のガイド溝43,43が設けられている。なお、図8では、一対の突条部95,95のうちの一方の突条部95が見えている。
【0056】
また、収納部42の側部42bには、接地部材5の一対の接触片53,53を第2カバー4の後側(図7では、右側)から収納部42内に引き込むための一対のスリット44,44(図4参照)が設けられている。各スリット44は、収納部42の底部42aと側部42bとに亘ってL字状に形成されている(図3(a)参照)。これにより、本実施形態のコンセント20では、一対の接触片53,53を一対のスリット44,44から収納部42内に引き込むことが可能となる。よって、本実施形態のコンセント20では、プラグ91のプラグ本体92が収納部42内に嵌め込まれたときに、一対の接触片53,53をプラグ本体92の一対の接地極94,94に接触させることが可能となる。
【0057】
以下、本実施形態のコンセント20の組み立て手順について、説明する。
【0058】
本実施形態では、接触部材5の基端片51の第2ねじ挿通孔51cに基端片51の後面側(図7では、右側)から第2端子ねじ8aを挿通し、この第2端子ねじ8aに第2ナット8bを螺合する。そして、本実施形態では、ボディ1のリブ13が接地部材5のリブ挿通孔51bに挿通され且つ第2端子ねじ8aのねじ頭がボディ1の第1貫通孔19aに挿入されるように、接地部材5を、ボディ1の第1収納室12a内に収納する。
【0059】
また、本実施形態では、2つの刃受けばね60,60のうちの一方の刃受けばね60の端子片61の第1ねじ挿通孔61aに端子片61の後面側(図4では、下側)から第1端子ねじ8cを挿通し、この第1端子ねじ8cに第1ナット8dを螺合する。そして、本実施形態では、第1端子ねじ8cのねじ頭がボディ1の第2貫通孔16に挿入されるように、一方の刃受けばね60を、ボディ1の第2収納室12b内に収納する。
【0060】
また、本実施形態では、2つの刃受けばね60,60のうちの他方の刃受けばね60の端子片61の第1ねじ挿通孔61aに端子片61の上記後面側から第1端子ねじ8cを挿通し、この第1端子ねじ8cに第1ナット8dを螺合する。そして、本実施形態では、第1端子ねじ8cのねじ頭がボディ1の第3貫通孔18に挿入されるように、他方の刃受けばね60を、ボディ1の第3収納室12c内に収納する。
【0061】
また、本実施形態では、接地部材5の一対の接触片53,53を第2カバー4の一対のスリット44,44から収納部42内に引き込み、第2カバー4を、ボディ1の上記前面側に配置する。
【0062】
また、本実施形態では、第2カバー4の収納部42内に引き込まれた一対の接触片53,53が第1カバー3の一対の導出口31b,31bから導出するように、第1カバー3を、第2カバー4の収納部42内に収納する。そして、本実施形態では、第1カバー3の第4突出部32を、第2カバー4の窓孔42cから露出させる。
【0063】
また、本実施形態では、組立ねじ10を、ボディ1の上記後面側からボディ1の第1挿通孔19cと接地部材5の第2挿通孔51aとに挿通し、第1カバー3の第4突出部32のねじ穴32aに螺合する。これにより、本実施形態のコンセント20では、第2カバー4の収納部42の底部42aが第1カバー3の本体部31とボディ1とで挟持され、コンセント20を組み立てることが可能となる。
【0064】
また、プレート41には、コンセント20を埋込ボックス90に取り付けるための取付金具80(図4参照)が、複数(本実施形態では、2つ)設けられる。具体的に説明すると、プレート41には、取付金具80をプレート41に取り付けるための取付ねじ9aを挿通可能な第1取付ねじ挿通孔41bが、複数(本実施形態では、2つ)形成されている。
【0065】
取付金具80は、板状の基端片81と、基端片81の両端部に立設された一対の脚片82,82と、各脚片82の先端部に形成された爪83とを有している。
【0066】
基端片81の中央部には、取付ねじ9aが挿通される第2取付ねじ挿通孔81aが形成されている。ここにおいて、第2カバー4の収納部42の側部42bの外側には、取付金具80の基端片81を収納する第4収納室45が、複数(本実施形態では、2つ)設けられている。また、基端片81の後面側(図4では、下面側)には、取付ねじ9aが螺合する第3ナット9bが配置されている。
【0067】
以下、本実施形態のコンセント20を埋込ボックス90に取り付ける手順について、説明する。なお、本実施形態では、埋込ボックス90が、例えば、前面に開口を有する矩形箱状に形成されているものとして説明する。また、本実施形態では、埋込ボックス90が、例えば、合成樹脂(例えば、熱硬化性樹脂など)により形成されているものとして説明する。
【0068】
本実施形態では、取付ねじ9aを、第2カバー4の前方(図4では、上方)から第1取付ねじ挿通孔41bと取付金具80の第2取付ねじ挿通孔81aとに挿通し、第3ナット9bに仮止めする。
【0069】
また、本実施形態では、各取付金具80が第2カバー4に仮止めされた状態で、コンセント20を埋込ボックス90内に埋め込む。
【0070】
そして、本実施形態では、各取付ねじ9aを各第3ナット9bに締め付けることで、各取付金具80の爪83が埋込ボックス90の内周面に食い込ませることが可能となり、コンセント20を埋込ボックス90に取り付けることが可能となる。
【0071】
ところで、本願発明者らは、比較例の端子装置として、図9および図10に示す構成を有する端子装置を考えた。なお、図9および図10では、比較例の端子装置を用いたコンセントの一部を示しているが、本実施形態のコンセント20と同様の構成要素に同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0072】
比較例の端子装置は、本実施形態の端子装置と同様に、電線96の端部において絶縁被覆部96bが除去されて露出した導電体96aと電気的に接続可能な板状の端子片23と、第1端子ねじ8cとを備えている。また、比較例の端子装置は、端子片23との間で導電体96aを挟持するための座金25を備えている。
【0073】
端子片23は、例えば、矩形板状に形成されている。この端子片23の4つの端縁のうち互いに平行する特定の2つの端縁には、端子片23の一表面側(図9(b)では、上側)に向かって側板24がそれぞれ立設されている。
【0074】
一対の側板24,24の各々の一端部(図9(b)では、右上端部)には、一対のばね片26,26のうちの一方のばね片26が延設されている。比較例の端子装置では、一対のばね片26,26が、プラグ本体92から導出された一対のピン93,93のうちの一方のピン93を挟持可能な刃受け部22を構成している。なお、比較例の端子装置では、端子片23と、一対の側板24,24と、一対のばね片26,26からなる刃受け部22とが、刃受けばね21として一体に形成されている。また、比較例の端子装置では、刃受けばね21の材料として、金属材料を用いている。
【0075】
端子片23には、第1端子ねじ8cのねじ部が挿通される第3ねじ挿通孔23aが形成されている。端子片23の上記一表面側には、上述の座金25が配置されている。本実施形態では、第1端子ねじ8cが、端子片23の上記一表面側から座金25を介して第3ねじ挿通孔23aに挿通されている。また、本実施形態では、第3ねじ挿通孔23aに挿通された第1端子ねじ8cが、第2収納室12bや第3収納室12cの底壁のねじ穴(図示せず)に螺合されている。
【0076】
上述の比較例の端子装置は、本実施形態の端子装置におけるストッパ部63を備えない構成である。そのため、比較例の端子装置では、図10に示すように、電線96が過度に挿入されると、電線96の絶縁被覆部96bが端子片23と座金25とで噛み込まれ、電線96の導電体96aと端子片23との電気的な接続不良が生じる可能性がある。
【0077】
これに対して、本実施形態の端子装置では、端子片61に、電線96が過度に挿入されるのを防止するためのストッパ部63が設けられているので、電線96が過度に挿入されるのを防止することが可能となる。
【0078】
また、本実施形態の端子装置では、電線96が過度に挿入されるのを防止することができるので、電線96の絶縁被覆部96bが端子片61と第1ナット8dとで噛み込まれるのを防止することが可能となる。これにより、本実施形態の端子装置では、電線96の導電体96aと端子片61との電気的な接続不良が生じるのを抑制することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態の端子装置では、電線96が過度に挿入されるのを防止することができるので、電線96が刃受けばね60の刃受け部6に挿入されるのを防止することが可能となる。これにより、本実施形態の端子装置では、プラグ91のピン93と刃受け部6との電気的な接続不良が生じるのを抑制することが可能となる。
【0080】
なお、本実施形態の端子装置は、コンセント20に用いているが、これに限らず、例えば、スイッチなどに用いてもよい。
【0081】
以上説明した本実施形態の端子装置は、電線96の端部において絶縁被覆部96bが除去されて露出した導電体96aと電気的に接続可能な板状の端子片61と、端子片61の孔(第1ねじ挿通孔)61aに挿通された端子ねじ(第1端子ねじ)8cと、端子ねじ8cが螺合するナット(第1ナット)8dとを備えている。そして、本実施形態の端子装置では、端子片61とナット8dとの間で導電体96aを挟持可能であり、端子片61には、電線96が過度に挿入されるのを防止するためのストッパ部63が設けられているので、電線96が過度に挿入されるのを防止することが可能となる。
【0082】
また、本実施形態のコンセントは、本実施形態の端子装置を備えているので、電線96が過度に挿入されるのを防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0083】
8c 第1端子ねじ(端子ねじ)
8d 第1ナット(ナット)
20 コンセント
61 端子片
61a 第1ねじ挿通孔(孔)
62 側板
63 ストッパ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12