特許第6032600号(P6032600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032600
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】異相間カプラ
(51)【国際特許分類】
   H04B 3/56 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   H04B3/56
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-249368(P2012-249368)
(22)【出願日】2012年11月13日
(65)【公開番号】特開2014-99700(P2014-99700A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2015年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(72)【発明者】
【氏名】國吉 賢治
(72)【発明者】
【氏名】兵主 春彦
(72)【発明者】
【氏名】古屋 智英
【審査官】 角田 慎治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−228289(JP,A)
【文献】 特開2003−037533(JP,A)
【文献】 特開2008−042254(JP,A)
【文献】 特開2007−143074(JP,A)
【文献】 特開2006−261940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 3/54− 3/58
G08C 19/00
H02B 1/00
H02B 1/40
CiNii
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分電盤内に設置される異相間カプラであって、
単相3線式の商用電源の異相間に接続されている機器同士が電力線搬送通信を行うように当該機器間を中継する通信中継部と、
前記機器が接続されている電路と前記通信中継部とを電気的に接続するための接続部と、
前記通信中継部に対して前記電力線搬送通信の通信信号の入出力を行う外部装置が接続される外部接続部と
を備え
前記電力線搬送通信の通信周波数は前記商用電源の商用周波数よりも高く、
前記接続部は、
第1の電圧線に接続される第1の接点と、
第2の電圧線に接続される第2の接点と、
中性線に接続される第3の接点とを含み、
前記通信中継部は、
前記第1の接点と前記第3の接点との間に挿入された第1の巻線、前記第2の接点と前記第3の接点との間に挿入された第2の巻線、および、前記外部接続部に接続されている第3の巻線を含むトランスと、
前記接続部と前記トランスとの間に挿入され、前記商用周波数に対して高インピーダンスとなり、前記通信周波数に対して低インピーダンスとなる特性を有する第1のインピーダンス回路とを含み、
前記外部接続部は、前記商用電源用のアウトレットであり、
前記通信中継部は、
前記接続部と前記外部接続部との間に挿入され、前記通信周波数に対して高インピーダンスとなり、前記商用周波数に対して低インピーダンスとなる特性を有する第2のインピーダンス回路と、
前記第3の巻線に直列に挿入され、前記商用周波数に対して高インピーダンスとなり、前記通信周波数に対して低インピーダンスとなる特性を有する第3のインピーダンス回路とをさらに含む
ことを特徴とする異相間カプラ。
【請求項2】
前記接続部は、前記分電盤内で分岐ブレーカが接続される母線バーに接続されることを特徴とする請求項1記載の異相間カプラ。
【請求項3】
電力負荷が接続される負荷側接続部と、
前記接続部と前記負荷側接続部との間に挿入されたブレーカ部と
をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の異相間カプラ。
【請求項4】
前記接続部と前記通信中継部との間にヒューズをさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の異相間カプラ。
【請求項5】
前記ヒューズに直列に接続されている表示器をさらに備えることを特徴とする請求項4記載の異相間カプラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源の単相3線式線路を利用した電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)に用いられる異相間カプラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商用電源の単相3線式線路を利用した電力線搬送通信に用いられる異相間カプラが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、分電盤内に配置された3本の母線バーに接続可能な異相間カプラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−231942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電力線搬送通信の通信速度を向上させるためには十分なS/N比が必要である。このために、中継用の電力線搬送モデムを設置することが好ましい場合がある。
【0005】
しかしながら、従来の分電盤には、電力線搬送モデムのような外部装置を接続させて電力線搬送通信の通信信号の入出力を行うための手段がなく、特許文献1に記載された従来の異相間カプラにも、当該手段がなかった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みて為された発明であり、本発明の目的は、電力線搬送通信を行う外部装置の通信信号の入出力を効率よく行うことができる異相間カプラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の異相間カプラは、分電盤内に設置される異相間カプラであって、単相3線式の商用電源の異相間に接続されている機器同士が電力線搬送通信を行うように当該機器間を中継する通信中継部と、前記機器が接続されている電路と前記通信中継部とを電気的に接続するための接続部と、前記通信中継部に対して前記電力線搬送通信の通信信号の入出力を行う外部装置が接続される外部接続部とを備え、前記電力線搬送通信の通信周波数は前記商用電源の商用周波数よりも高く、前記接続部は、第1の電圧線に接続される第1の接点と、第2の電圧線に接続される第2の接点と、中性線に接続される第3の接点とを含み、前記通信中継部は、前記第1の接点と前記第3の接点との間に挿入された第1の巻線、前記第2の接点と前記第3の接点との間に挿入された第2の巻線、および、前記外部接続部に接続されている第3の巻線を含むトランスと、前記接続部と前記トランスとの間に挿入され、前記商用周波数に対して高インピーダンスとなり、前記通信周波数に対して低インピーダンスとなる特性を有する第1のインピーダンス回路とを含み、前記外部接続部は、前記商用電源用のアウトレットであり、前記通信中継部は、前記接続部と前記外部接続部との間に挿入され、前記通信周波数に対して高インピーダンスとなり、前記商用周波数に対して低インピーダンスとなる特性を有する第2のインピーダンス回路と、前記第3の巻線に直列に挿入され、前記商用周波数に対して高インピーダンスとなり、前記通信周波数に対して低インピーダンスとなる特性を有する第3のインピーダンス回路とをさらに含むことを特徴とする。
【0010】
この異相間カプラにおいて、前記接続部は、前記分電盤内で分岐ブレーカが接続される母線バーに接続されることが好ましい。
【0011】
この異相間カプラにおいて、電力負荷が接続される負荷側接続部と、前記接続部と前記負荷側接続部との間に挿入されたブレーカ部とをさらに備えることが好ましい。
【0012】
この異相間カプラにおいて、前記接続部と前記通信中継部との間にヒューズをさらに備えることが好ましい。
【0013】
この異相間カプラにおいて、前記ヒューズに直列に接続されている表示器をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、電力線搬送通信を行う外部装置の通信信号の通信中継部への入出力を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1に係る異相間カプラの回路構成を示す概略図である。
図2】実施形態1に係る異相間カプラの設置後の分電盤の内部を示す概略図である。
図3】実施形態1に係る異相間カプラと分岐ブレーカとの位置関係を示す斜視図である。
図4】実施形態1に係る異相間カプラの設置後の分電盤の内部を示す正面図である。
図5】実施形態1に係る異相間カプラと分岐ブレーカとの位置関係を示す側面図である。
図6】実施形態2に係る異相間カプラの回路構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の実施形態1,2に係る異相間カプラは、単相3線式の商用電源の異相間に接続されている機器同士が電力線搬送通信を行うように当該機器間を中継する通信中継部を備えている。さらに、この異相間カプラは、通信中継部に対して電力線搬送通信の通信信号の入出力を行う外部装置が接続される外部接続部を備えている。
【0017】
以下、図面を参照しながら、実施形態1,2について説明する。
【0018】
(実施形態1)
本実施形態の異相間カプラ1は、図示しない商用電源(柱上変圧器)からの単相3線式の2本の電圧線(L1相、L2相)および1本の中性線(N相)を利用して所定の通信周波数により各相間で通信を行う電力線搬送通信システムに用いられる。図2に示すように、異相間カプラ1は、分電盤2内において分岐ブレーカ4の設置スペースに設置されている。
【0019】
まず、異相間カプラ1が取り付けられる分電盤2について図3,4を用いて説明する。分電盤2は、例えば合成樹脂成形品などであり、図4に示す矩形枠状の箱本体21と、箱本体21の前面側に結合される蓋体(図示せず)とで構成される。図4に示すように、分電盤2には、1台の主幹ブレーカ3と複数台の分岐ブレーカ4,4,……とが内器として箱本体21の中に配置されている。複数台の分岐ブレーカ4,4,……は上下2段に配置されている。
【0020】
箱本体21には、第1の架台22と、第2の架台23とが架設されている。第1の架台22には、主幹ブレーカ3が取り付けられている。第2の架台23には、複数台の分岐ブレーカ4,4,……が取り付けられている。第1の架台22と第2の架台23とは互いに連結され一体化されている。第1の架台22および第2の架台23は、連結した状態で全体として矩形状をなし、左右両側縁の上下両端部にそれぞれ支持片221,231が突出して設けられている。各支持片221,231の取付孔222,232に取付ねじ223,233を挿入し、取付ねじ223,233を締め付けることによって、箱本体21に第1の架台22および第2の架台23を容易に取り付けることができる。主幹ブレーカ3は、固定ねじ224を用いて第1の架台22に取り付けられている。
【0021】
分岐ブレーカ4が取り付けられた第2の架台23は、図3に示す形状に板金(鉄板)により形成されており、右端縁の上端部および下端部に支持片231が設けられ、左端縁の上端部および下端部に連結片234が設けられている。
【0022】
第2の架台23の連結片234の前面側に第1の架台22の連結片225(図4参照)を重ね合わせ、連結突起235を連結孔226(図4参照)に挿入し、さらに、連結ねじ227(図4参照)を止めねじ孔236に螺合させることによって、第1の架台22と第2の架台23とが結合される。
【0023】
図3に示すバー支持部材25は、2本の電圧極の母線バー26,27と中性極の母線バー28との3本の母線バー26〜28を同時に保持する。
【0024】
母線バー26〜28は、分岐ブレーカ4を接続するために設けられており、上下2段に8個ずつの分岐ブレーカ4が配列されている。母線バー26〜28は、図4に示すように、主幹ブレーカ3の負荷側端子31〜33と電気的に接続される。母線バー26と負荷側端子31とは端子ねじ261を用いて外れないように接続される。母線バー27と負荷側端子32とは端子ねじ271を用いて外れないように接続される。母線バー28と負荷側端子33とは端子ねじ281を用いて外れないように接続される。
【0025】
主幹ブレーカ3は、図4に示すように、低圧配電線の電圧極に接続される2つの電源側端子34,35と、低圧配電線の中性極に接続される電源側端子36とを備えている。また、主幹ブレーカ3は、電源側端子34,35に各別に対応して電圧極となる2つの負荷側端子31,32と、電源側端子36に対応して中性極となる負荷側端子33とを備えている。さらに、主幹ブレーカ3は、電源側端子34〜36とそれぞれ対応する負荷側端子31〜33との間の通電をオンオフする開閉機構(図示せず)を内部に備えており、当該開閉機構のオンオフ操作用のハンドル37が前面に露出して設けられている。また、主幹ブレーカ3は、電源側端子34〜36とそれぞれ対応する負荷側端子31〜33との間に過電流(過負荷電流や短絡電流)が流れたり、漏電電流が生じたりした際(つまり異常電流が発生した際)に、電源側端子34〜36とそれぞれ対応する負荷側端子31〜33との間を遮断し、かつ、ハンドル37をオフ側に位置させる回路遮断機能を有している。
【0026】
3つの電源側端子34〜36は、導電材料からなり、主幹ブレーカ3の上側において水平方向に並んで設けられている。電源側端子34、電源側端子36、電源側端子35の順に並んでいる。各電源側端子34〜36には、端子ねじ341,351,361によって電力線51(電圧線511,512、中性線513)(図2参照)が接続される。
【0027】
分岐ブレーカ4は、母線バー26〜28に対する電源側接続部(図示せず)のプラグイン接続によって、母線バー26〜28に電気的に接続されている。分岐ブレーカ4の3つの電源側接続部のうち1つの電源側接続部には中性極の母線バー28が挿入され、残りの電源側接続部には電圧極の母線バー26,27の挿入端子片(図示せず)が挿入される。ただし、各分岐ブレーカ4はそれぞれ各母線バー26〜28のうちの2本にのみ電気的に接続され、他の1本はダミーとして扱われる。
【0028】
また、分岐ブレーカ4の内部には、電源側接続部と負荷側接続部(図示せず)との間の通電をオンオフする開閉機構(図示せず)が収納されている。さらに、分岐ブレーカ4は、電源側接続部と負荷側接続部との間に過電流が流れた際に、電源側接続部と負荷側接続部との間を遮断する回路遮断機能を有している。各分岐ブレーカ4の寸法は、いわゆる分電盤協約寸法(分電盤の内器の規格としてJIS規格に定められた寸法)に設定されている。
【0029】
分電盤2には、主幹ブレーカ3が遮断された状態でも例えば火災報知器などの電源を確保することができるように、主幹ブレーカ3の電源側(一次側)から主幹ブレーカ3を通さずに電源を得る電源系が設けられている。この電源系には、箱本体21に収納される内器としての一次送り開閉器(一次送りブレーカ)5が挿入されている。
【0030】
続いて、本実施形態の異相間カプラ1について説明する。本実施形態の異相間カプラ1は、図3,5に示すように、筐体11を備えている。また、異相間カプラ1は、図1に示すように、接続部12と、通信中継部13と、ヒューズ161,162と、表示器171,172と、外部接続部(コネクタ)6とを備えている。
【0031】
図5に示す筐体11は、いわゆる分電盤協約寸法(分電盤の内器の規格としてJIS規格に定められた寸法)の1個分または2個分に設定されている。すなわち、異相間カプラ1は、分電盤協約寸法の1個分または2個分に設定されている。
【0032】
図1に示す接続部12は、電力線搬送通信を行う機器(図示せず)が接続されている電路と通信中継部13とを電気的に接続するために設けられている。接続部12は、第1の接点121と、第2の接点122と、第3の接点123とを備えている。複数の接点121〜123は、主幹ブレーカ3の複数の負荷側端子31〜33に1対1に対応して電気的に接続される。図5に示すように、第1の接点121は、L1相の電圧線(第1の電圧線)に接続される接点であり、母線バー26に接続される。第2の接点122は、L2相の電圧線(第2の電圧線)に接続される接点であり、母線バー27に接続される。第3の接点123は、中性線(N相)に接続される接点であり、母線バー28に接続される。
【0033】
図1に示す通信中継部13は、単相3線式の商用電源の異相間に接続されている機器(図示せず)同士が電力線搬送通信を行うように当該機器間を中継するように構成されている。通信中継部13は、筐体11(図5参照)内に収納されている。本実施形態の通信中継部13は、トランス14と、第1のインピーダンス回路15とを備えている。
【0034】
トランス14は、第1の巻線141と第2の巻線142と第3の巻線146とを備える3巻線トランスである。第1の巻線141は、第1の接点121と第3の接点123との間に挿入されている。第2の巻線142は、第2の接点122と第3の接点123との間に挿入されている。第3の巻線146は、外部接続部6に接続されている。第1の巻線141と第2の巻線142とは同極性となるように設定されている。また、第1の巻線141と第2の巻線142との巻数比は例えば1:1である。なお、第1の巻線141と第2の巻線142との巻線比は1:1には限定されない。
【0035】
第1のインピーダンス回路15は、接続部12とトランス14との間に挿入されている。第1のインピーダンス回路15は、商用電源(図示せず)の商用周波数に対して高インピーダンスとなり、電力線搬送通信の通信周波数に対して低インピーダンスとなる特性を有している。電力線搬送通信の通信周波数は商用電源の商用周波数よりも高い。本実施形態の第1のインピーダンス回路15は、第1の接点121と第3の接点123との間に、コンデンサ151を備えている。コンデンサ151は、第1の接点121とトランス14の第1の端子143との間に挿入されている。また、第1のインピーダンス回路15は、第2の接点122と第3の接点123との間に、コンデンサ152を備えている。コンデンサ152は、第2の接点122とトランス14の第2の端子144との間に挿入されている。コンデンサ151,152はハイパスフィルタとしての機能を有している。
【0036】
外部接続部6は、第1の端子部61と、第2の端子部62とを備えており、外部装置(図示せず)が接続されるように設けられている。外部接続部6は、トランス14の第3の巻線146に電気的に接続されている。外部接続部6に接続される外部装置は、通信中継部13に対して電力線搬送通信の通信信号の入出力を行う装置である。
【0037】
ヒューズ161は、第1の接点121と通信中継部13との間に設けられている。ヒューズ162は、第2の接点122と通信中継部13との間に設けられている。
【0038】
表示器171,172は、例えばLED(Light Emitting Diode)などである。表示器171には、表示器171の電流制限用の抵抗173が直列に接続されている。表示器172には、表示器172の電流制限用の抵抗174が直列に接続されている。表示器171および抵抗173は、第1の接点121と第3の接点123との間に、ヒューズ161に直列に接続されている。表示器172および抵抗174は、第2の接点122と第3の接点123との間に、ヒューズ162に直列に接続されている。
【0039】
次に、本実施形態に係る異相間カプラ1を電力線搬送通信システムに用いた場合の動作について説明する。第1の通信機器(図示せず)がL1相の電圧線−中性線間に接続され、第2の通信機器(図示せず)がL2相の電圧線−中性線間に接続されているとする。
【0040】
第1の通信機器がL1相の電圧線−中性線間に通信信号を出力したとすると、当該通信信号がトランス14の第1の巻線141に入力し、電磁誘導によって同一コアに巻かれた第2の巻線142に起電力が発生して電流が流れる。第1の巻線141と第2の巻線142との巻数比が1:1である場合、第1の巻線141に入力した通信信号と同一振幅の電流が第2の巻線142に流れる。これにより、第2の通信機器は、第1の通信機器からの通信信号を正常に受信することができる。
【0041】
以上説明した本実施形態の異相間カプラ1は、通信中継部13に対して電力線搬送通信の通信信号の入出力を行う外部装置(図示せず)が接続される外部接続部6を備える。これにより、本実施形態の異相間カプラ1では、外部装置の通信信号の通信中継部13への入出力を効率よく行うことができる。
【0042】
また、本実施形態の異相間カプラ1では、L1相の電圧線(第1の電圧線)−中性線間の通信信号をL2相の電圧線(第2の電圧線)−中性線間に伝送すると同時に、L1相の電圧線−L2相の電圧線間へも伝送することができる。
【0043】
さらに、本実施形態の異相間カプラ1では、接続部12が母線バー26〜28に接続される。これにより、本実施形態の異相間カプラ1では、既存の分電盤2において分岐ブレーカ4の設置スペースに簡単に取り付けることができる。
【0044】
また、本実施形態の異相間カプラ1は、第1の接点121と通信中継部13との間にヒューズ161を備え、第2の接点122と通信中継部13との間にヒューズ162を備える。これにより、異相間カプラ1がショートモードで故障した場合であっても、異相間カプラ1に過電流が流れにくくすることができるので、主幹ブレーカ3が遮断するのを低減させることができる。
【0045】
さらに、本実施形態の異相間カプラ1では、表示器171,172がヒューズ161,162に直列に接続されている。これにより、本実施形態の異相間カプラ1では、ユーザがヒューズ161,162の切断の有無を表示器171,172で確認することができるので、異相間カプラ1の故障によって通信性能が劣化した場合に、問題箇所を容易に特定することができる。
【0046】
本実施形態の異相間カプラ1は、主幹ブレーカ3の負荷側(二次側)に設置されているので、主幹ブレーカ3が遮断した場合であっても、分散電源(図示せず)があれば、電力線搬送通信を継続して行うことができる。
【0047】
(実施形態2)
実施形態2に係る異相間カプラ1は、外部接続部6が商用電源用のアウトレットである点で、実施形態1に係る異相間カプラ1と相違する。なお、実施形態1の異相間カプラ1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
本実施形態の外部接続部6は、商用電源用のアウトレットである。すなわち、本実施形態の外部接続部6は、商用電源用に規格化された形状のアウトレットである。なお、実施形態1の外部接続部6と同様の機能については説明を省略する。
【0049】
本実施形態の通信中継部13は、図6に示すように、第2のインピーダンス回路18と、第3のインピーダンス回路19とを備えている。
【0050】
第2のインピーダンス回路18は、接続部12と外部接続部6との間に挿入されている。第2のインピーダンス回路18は、電力線搬送通信の通信周波数に対して高インピーダンスとなり、商用電源(図示せず)の商用周波数に対して低インピーダンスとなる特性を有している。第2のインピーダンス回路18は、インダクタンス181を備えている。インダクタンス181は、一端が第3の接点123とトランス14の第3の端子145との間に接続され、他端が第3のインピーダンス回路19と外部接続部6の第2の端子部62との間に接続されている。また、コンデンサ152とヒューズ162との間とトランス14の第5の端子148と外部接続部6の第1の端子部61との間が短絡されている。このような第2のインピーダンス回路18を経由して、単相3線式の配線から、外部接続部6に接続される外部装置に、電圧100Vの商用電力を供給することができる。一方、第2のインピーダンス回路18は通信信号を遮断する。
【0051】
なお、図示しないが、インダクタンス181の一端は、第3の接点123とトランス14の第3の端子145との間ではなく、第1の接点121とトランス14の第1の端子143との間に接続されてもよい。この場合、単相3線式の配線から、外部接続部6に接続される外部装置に、電圧200Vの商用電力を供給することができる。
【0052】
第3のインピーダンス回路19は、トランス14の第3の巻線146に直列に挿入されている。第3のインピーダンス回路19は、商用電源(図示せず)の商用周波数に対して高インピーダンスとなり、電力線搬送通信の通信周波数に対して低インピーダンスとなる特性を有している。第3のインピーダンス回路19は、コンデンサ191を備えている。このような第3のインピーダンス回路19によって、第2のインピーダンス回路18からの商用電力が第3のインピーダンス回路19を流れずに外部装置へ供給されるようにすることができる。一方、第3のインピーダンス回路19は通信信号を通すので、通信信号はトランス14の第3の巻線146側に伝達される。
【0053】
以上説明した本実施形態の異相間カプラ1では、第2のインピーダンス回路18を経由して接続部12(電路)から外部装置(図示せず)に商用電力を供給することができる。また、本実施形態の異相間カプラ1では、第3のインピーダンス回路19を経由して外部装置と通信中継部13との間で通信信号の入出力を行うことができる。これにより、例えば外部装置が電力線搬送モデムである場合、この電力線搬送モデムを外部接続部6に接続するだけで、異相間カプラ1を経由して電力線搬送モデムに商用電力を供給することができ、電力線搬送モデムによる通信信号の入出力を行うことができる。その結果、異相間カプラ1の分電盤2への設置後に、電力線搬送モデムの設置が必要になった場合、電気工事を行う必要がなく、外部接続部6に電力線搬送モデムを接続するだけで、電力線搬送モデムを動作させることができる。
【0054】
なお、各実施形態の変形例として、異相間カプラ1は、図示しないが、負荷側接続部と、ブレーカ部とを備えていてもよい。負荷側接続部は、電力負荷が接続される端子部である。ブレーカ部は、筐体11内において、接続部12と負荷側接続部との間に挿入されている。
【0055】
本変形例の異相間カプラ1は、接続部12と負荷側接続部との間に挿入されたブレーカ部を備える。これにより、本変形例の異相間カプラ1では、分電盤2内の限られたスペースを有効活用することができる。すなわち、分岐ブレーカ4としての動作を同時に行うことができる。
【符号の説明】
【0056】
1 異相間カプラ
12 接続部
121 第1の接点
122 第2の接点
123 第3の接点
13 通信中継部
14 トランス
141 第1の巻線
142 第2の巻線
146 第3の巻線
15 第1のインピーダンス回路
161,162 ヒューズ
171,172 表示器
18 第2のインピーダンス回路
19 第3のインピーダンス回路
6 外部接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6