(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032608
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】義歯洗浄方法及び該義歯洗浄方法に使用する義歯用染色剤
(51)【国際特許分類】
A61C 17/00 20060101AFI20161121BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
A61C17/00 U
A61L2/18
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-64642(P2013-64642)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-188075(P2014-188075A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2014年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】599103616
【氏名又は名称】株式会社デントケア
(73)【特許権者】
【識別番号】391034891
【氏名又は名称】鈴木油脂工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】亀水 忠宗
【審査官】
寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−151002(JP,A)
【文献】
特開2006−117600(JP,A)
【文献】
特開2007−254471(JP,A)
【文献】
特開2005−179188(JP,A)
【文献】
特開平05−097640(JP,A)
【文献】
特開2005−139128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/00
A61K 8/00− 8/99
A61L 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内から取り外した義歯の床部分、人工歯部分等の全面に亘って水溶性の染色顔料を
含んだ泡状の義歯用染色剤を付着させてから、所定時間経過後に水洗いした後に、前記義
歯用染色剤に含まれる染色顔料とデンチャープラークとが反応して着色している着色部位
を見つけて、その部位を義歯ブラシ等で機械的に着色が消えるまで磨いてデンチャープラ
ークを除去し、深いクラックや深い傷に入り込んで除去されないで残った染色顔料の付着
している部位が存在する場合に義歯の破損の恐れがあると判断することを特徴とする義歯洗浄方法
【請求項2】
請求項1に記載の義歯洗浄方法に用いる義歯用染色剤であって、重量比で、発泡剤として重炭酸ソーダを55〜60%、コハク酸を4〜5%、洗浄剤としてラウリル硫酸ナトリウムを0.9〜2.55%、湿潤剤としてソルビトール3〜4%、洗浄補助剤として硫酸ナトリウムを25〜30%、殺菌剤としてイソプロピルメチルフェノールを0.1〜0.5%、染色顔料である着色剤として赤106を0.05〜0.5%、着香剤としてハッカ脳を0.01〜0.5%を混合したものであり、水を注ぐことにより泡状となることを特徴とする錠剤状の義歯用染色剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、総義歯、部分義歯を含む義歯洗浄方法及び該義歯洗浄方法に使用する義歯用染色剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、超高齢社会に突入し、認知症患者も含め、寝たきりの要介護者が急増するようになり、それに伴い誤燕性肺炎の問題が社会的に取り上げられるようになった。この誤嚥性肺炎は自らの口腔内細菌や食物残渣の誤嚥により、要介護者をはじめ身体の抵抗力の弱くなった高齢者が肺炎を発症したものをいい、高齢者の死亡原因のトップに挙げられている。そのために、義歯に付着した細菌層(デンチャープラーク)の誤嚥による不顕性肺炎発症などの誤嚥性肺炎が、超高齢社会の進展とともに、今後ますます増加することが予想され、それに伴いデンチャープラークコントロールが見直され、非常に重要な位置づけとなってきている
【0003】
このことにより、歯科従事者を中心として、特に身体の抵抗力の弱い高齢者のオーラルケアの必要性が盛んに叫ばれるようになってきた。その一環として、残存歯牙や口腔粘膜の清掃、保湿等のオーラルケアが施されているが、この装着義歯の清掃に関しては、口腔外に取り出して水洗いすることが一般的で義歯洗浄剤による清掃も一部でなされている。泡タイプの義歯洗浄剤によると、義歯を洗浄容器に入れて、或いは紙などの上において、洗浄剤、界面活性剤、防腐剤、殺菌剤などを含有している混合液を封入した密封容器からムース状の洗浄液をノズルから義歯に噴射して包み込めば、義歯の表面に付着しているデンチャープラークが義歯から剥離されるが、水洗いだけでは除去出来ないものも存在するので、義歯ブラシを用いてこれを機械的に除去して清掃するというものである(例えば、特許文献1)。
【0004】
更に、別の洗浄方法としては、一部の歯科従事者の間ではあるが、従来の歯牙用の歯垢染色液(例えば、特許文献2)を代用して綿棒で床部分、人工歯部分を含む義歯全体に塗布した後に、水洗いしてもなお赤色又は青色に染色した部分が残っている部位をデンチャープラークとして検出し、その部位を歯ブラシなどで磨いて除去し、清掃するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】公開特許2006−273830号公報
【特許文献2】特許第4841146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記の義歯洗浄剤による洗浄では、デンチャープラークの付着している部位が判らないために、床部分や人工歯部分、或いは部分義歯の場合のクラスプやバーを含む義歯全体を、義歯用ブラシを用いて漏れなく時間をかけて丁寧に磨かなければならず、手数と時間がかかる問題点がある。又、このような手間と時間をかけて機械的に磨いても、デンチャープラークが硬く凝固付着している時や層が厚い場合にはこれを完全に除去するまで磨き終えたか否かの客観的判断が行い難いという問題点がある。
【0007】
また、歯牙用の歯垢染色液を使用する場合には、デンチャープラークの付着している部位は赤色又は青色に染色しているので判別できるものの、歯垢染色液は液体であるために、義歯床部分の表面や人工歯部分に塗布すると流れ落ちて周囲を汚染し、扱い難いという問題点がある。そして、これを防ぐために、義歯塗布用に綿球や綿棒等の塗布用具を使用しなければならず、これ以外にも別途小分け容器などの道具類が余分に必要となる問題点がある。
【0008】
更に、綿棒などの塗布用具による塗布が点接触の線状となるために、対象が総義歯の場合には研磨面や粘膜面などの広範囲な義歯床部分への塗布が必要であるので、これらの塗布には時間と手間が掛かるという問題点がる。また、歯垢染色液の使用中、使用後において、飛散した染色液が流し台の表面、畳み、床、衣服等に付着した場合には除去に手間取り、特に介護施設などへ訪問診療で訪れた先での歯科従事者がこれらを清掃するまで退去出来ないという問題点がある。
【0009】
更に又、歯垢染色液は、主な塗布面となる義歯床部分がレジン床や金属床であるのではじきやすく、且つ、万遍なく均一に塗布し難いので、全てのデンチャープラークに塗布出来ていない塗布漏れの可能性もあるという問題点がある。このような問題点を克服するために、塗布作業に代えて歯垢染色液を入れた小容器の内部に義歯を浸漬した場合には、高価な歯垢染色液が大量に必要となる問題点がある。
【0010】
加えて、歯垢用染色液は着色し易い液状であるために、義歯床部分と人工歯歯頚部の接合部や、微小クラックなどの割れ目に浸透した染色液は極めて除去が困難である。そのため、人工歯唇側歯頚部や義歯床部分の裏装移行部、破折修理跡等に着色した染色は除去されないまま残留して、義歯は審美的に極めて悪くなるという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その特徴とするところは、請求項1の義歯洗浄方法においては、口腔内から取り外した義歯の床部分、人工歯部分等の全面に亘って水溶性の染色顔料を含んだ泡状の義歯用染色剤を付着させてから、所定時間経過後に水洗いした後に、前記義歯用染色剤に含まれる染色顔料とデンチャープラークとが反応して着色している着色部位を見つけて、その部位を義歯ブラシ等で機械的に着色が消えるまで磨いてデンチャープラークを除去し、深いクラックや深い傷に入り込んで除去されないで残った染色顔料の付着している部位
が存在する場合に義歯の破損の恐れがあると判断す
ることにある。
【0013】
請求項
2に記載の義歯用染色剤は、請求項1に記載の
義歯洗浄方法に用いる義歯用染色剤
であって、重量比で、発泡剤として重炭酸ソーダを55〜60%、コハク酸を4〜5%、洗浄剤としてラウリル硫酸ナトリウムを0.9〜2.55%、湿潤剤としてソルビトール3〜4%、洗浄補助剤として硫酸ナトリウムを25〜30%、殺菌剤としてイソプロピルメチルフェノールを0.1〜0.5%、
染色顔料である着色剤として赤106を0.05〜0.5%、着香剤としてハッカ脳を0.01〜0.5%を混合したもので
あり、水を注ぐことにより泡状となることにある。
【発明の効果】
【0014】
上記の義歯洗浄方法によると、義歯に付着しているデンチャープラークの部位が赤色に着色するので、その着色した部位を色が消失するまでブラシで磨けばよく、手間が掛からずしかもデンチャープラークが付着している部位を適確に磨くことができる。又、泡の中に染色顔料が含まれているが、泡は極めてきめ細かいために、手指又は義歯ブラシで全体に塗り広げやすい。さらに泡は容易に消滅し難いために染色顔料の義歯への接触時間が長く保持できる結果、染色顔料の含有率が少なくてもデンチャープラークの染色が良好に行われるので、洗浄時等の染色顔料による周囲への汚れが殆どなくなる。また、泡の中に染色顔料を閉じ込めておくことになるので、この点からも染料顔料の飛散が防止出来て周囲の汚れを防止できる。
【0015】
更にまた、綿球、綿棒等の塗布用具、更には小容器も不要となる。染色顔料の使用量も少なくて済むので経済的である。更に加えて、日頃義歯の清掃に携わっている介護者が義歯の汚れを把握できるので、義歯のブラッシング後の清掃不足箇所が判ることから義歯清掃の教育的効果を期待できる利点がある。
【0017】
請求項
2の義歯用染色剤によれば、特別な密封容器が不要でありその分製造が簡単で安価である。錠剤であるので、訪問介護時に嵩張らず利用しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】口腔内から取り出した義歯を収納容器中で泡状の義歯用染色剤を吹きかけている説明図
【
図7】クラックや傷等の部位に着色部位が残存している説明図
【
図8】錠剤の義歯用染色剤が水中で泡を発生して義歯を包んだ断面説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の義歯洗浄方法の最良の実施態様について説明する。この義歯洗浄方法は、
図1乃至
図8に示すように、口腔内から取り外した義歯1の床部分2、人工歯部分3等の表裏全面に亘って、密封容器4に封入されている水溶性の染色顔料を含んだ泡状の義歯用染色剤5を直接塗布するか、または収納容器6内で付着させてから、所定時間経過後に水洗いした後に、前記義歯用染色剤5に含まれる染色顔料と目には見えないデンチャープラークとが反応した着色部位7を見つけて、その着色部位7を義歯ブラシ等8で機械的に着色が消えるまでブラッシングして、デンチャープラークを除去することを特徴とする義歯洗浄方法である。義歯1は総義歯でも部分義歯でもよいが、図では総義歯で説明している。
【0020】
ここで使用する水溶性の染色顔料を含んだ泡状の義歯用染色剤5は、密封容器4の中に封入しておき、使用時にその容器4の噴出口から泡状態で義歯1の床部分2、人工歯部分3等の全面に行き渡るように直接ムース状となった義歯染色剤5を吹き付けてゆくものであっても、錠剤にして、水に溶解すると泡状になって、収納容器6の中に入れてある義歯1を泡で包むものでもよいが、ここではまず密封容器4に封入した義歯染色剤5の使用例について
図1の流れ図の順序で
図2乃至7の図解に基づいて説明する。
【0021】
口腔内から取り出した義歯1は、簡単に水洗いしてから洗面台の流しの上面に置いてもよいし、紙の上に置いてもよいし、
図2に示すように、収納容器6の中に置いても良い。いずれにしても、これら義歯1の下に置く部材は染色顔料が水溶性であり、しかも含有量が少ないので何処に付着しても水洗いで容易に汚れを流して清掃出来る。義歯1の全外周囲はこの泡状となった液体の中に含まれる染色顔料により包まれた状態になる。
【0022】
泡状であるために、義歯1の義歯床部分2がレジン床や金属床であってもその表面で弾けず塗布がし易い。また、泡状であるために、塗装面積が広くても短時間で広範囲に塗布が可能で、しかも比較的長時間に亘って泡状態が保持されて壊れないため垂れ落ちることなく、結果的に義歯1の全表面との接触時間が長く保たれて、泡の中に含まれている染色顔料との接触時間も長くなるので、デンチャープラークとの反応も効果的に漏れなく行われて、少しの汚れでも発見でき易くなる。
【0023】
図3に示すように、義歯1の表面全体に染色媒体の泡を覆った状態で、約30〜60秒間放置して、デンチャープラークと義歯用染色剤5に含まれる染色顔料との着色反応を待つ。この反応時間は義歯染色剤5に含まれる染色顔料及びその他の配合成分の割合により異なる。
【0024】
その後、
図4に示すように、流し台の水道水などで水洗いして、
図5に示すように、赤色着色した着色部位7を確認する。この時に、着色部位7が存在しないときには、デンチャープラークの付着がなかったこととして作業を終了する。着色部位7が存在する時には、
図6に示すように、赤色がなくなるまでブラッシングを続ける。このブラッシングの作業はブラシ8で擦って水道水などで流しながら分離した着色デンチャープラークを除去してもよい。義歯床部分と人工歯歯頚部の接合部や、微小クラックなどの割れ目に浸透した着色は除去が困難であったが、この義歯用染色剤5の場合には、義歯用染色剤5に含まれる染色顔料の含有量が少ないために人工歯唇側歯頚部や義歯床部分の裏装移行部、破折修理跡等に着色した染色は水洗いやブラッシングの段階で除去される。
【0025】
デンチャープラークが除去された義歯1は元の口腔へ戻して使用する。もし、
図7に示すように、除去されないで残った染色顔料の付着している部位9は、水洗いやブラッシングでも落ちない深いクラックや深い傷に入り込んだものであるので、補修しないと破損する恐れがあるものと判断できる。この時には歯科医師に義歯1の補修を依頼して、義歯1が割れるなどして使用不可にならないために早めの対策を講じることが可能となる。
【0026】
前記密封容器4の中に封入する義歯用染色剤5は、重量比で例えば、洗浄剤として、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン30%を10〜35%の範囲で、好ましくは15〜25%、最も好ましくは18〜21%である。湿潤剤として、グリセリンを3〜15%の範囲で、好ましくは5〜10%、最も好ましくは7〜10%である。安定剤として、クエン酸Naを0.5〜5%の範囲で、好ましくは1.0〜4%、最も好ましくは1.2〜2.5
%である。殺菌剤として、イソプロチルフェノールを0.01〜2.0%の範囲で、好ましくは0.05〜1.0%、最も好ましくは0.08〜0.6
%、染色顔料である着色剤として、赤106号のタール色素を0.2〜3.0%の範囲で、好ましくは0.7〜1.5
%、最も好ましくは0.8〜1.1
%である。着香料として、ペパーミントオイルを0.01〜1.8%の範囲で、好ましくは0.05〜0.5%、最も好ましくは0.02〜0.3
%である。精製水を55〜80%の範囲で、好ましくは65〜75%、最も好ましくは68〜72%である。以上の物質をそれぞれ重量%の割合で混合したものを密封容器の中に封入したものである。
【0027】
密封容器4内に封入する義歯染色剤5の粘性を向上させて、噴出したムース状の泡の消失を遅らせるためには、湿潤剤としてのグリセリンの割合を多くして調節し、義歯の着色を濃くするためには着色剤としての赤106の含有割合を多くするなど、配合割合を調節することにより可能である。しかしながら、泡を義歯に密着させてデンチャープラークと反応させるために要する最低の時間は確保しなければならないので、湿潤剤の割合は3%を下回ることがなく、又、多くなりすぎると濃い着色となり厚い層の色素をブラッシングで除去するのに多くの時間を要するので、その上限は15%以下の範囲である。更に、染色顔料である着色剤の混合割合は、着色剤の種類にもよるので一概には決められないが、一般に使用されている赤106の場合には、0.2以下であれば泡を長時間保持するために湿潤剤としてのグリセリンや安定剤としてのクエン酸Naの配合割合を大きくしなければならなくなり全体の配合バランスを崩すことになり好ましくない。又、逆に3.0%以上であるとデンチャープラークの付着していない部位にも着色するので、この着色部分のブラッシング作業が余分にかかり全体の作業時間の延長に繋がるのに加えて周囲の環境汚染を来たし、且つ、染色顔料を多く使うことから不経済となる。その他の混合薬剤は、その使用用途、目的に応じて適宜増減すれば良い。
【0028】
上記した
図1乃至7の実施態様においては、義歯用染色剤5としては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン30%を20%、グリセリンを8%、クエン酸Naを2.0%、イソプロチルフェノールを0.2、赤106号のタール色素を0.8%、ペパーミントオイルを0.1、精製水を68.9%の割合で混合して全体重量が130gの義歯染色剤5を密封容器に封入したものを用いた
。
【0029】
なお、上記した洗浄剤、湿潤剤、安定剤、殺菌剤、着色剤、着香料は、一例であって、他の市販の薬剤を用いても良い。例えば、洗浄剤としてラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド(30%)を、湿潤剤としてプロピレングリコールを、着色剤として赤104を、それぞれ用いてもよい。
【0030】
図8は、義歯用染色剤5が錠剤である例を示す。この場合には、口腔内から取り出した義歯1を簡単に水洗いしてから収納容器6に収納し、義歯用染色剤5の錠剤を入れてから水を注ぐことによって泡状になり、これが義歯1の全体を包み込む。その後の作業工程は、
図3〜
図7と同じであるので説明を省略する。
【0031】
ここで使用する義歯用染色剤5の錠剤としては、重量比で例えば、発泡剤として重炭酸ソーダを45〜75%、コハク酸を2〜8%の範囲で、好ましくはそれぞれ50〜65、3〜6%、最も好ましくはそれぞれ55〜60%、4〜5%の範囲である。
洗浄剤としてラウリル硫酸ナトリウムを0.5〜5%の範囲で、好ましくは0.7〜3.0%、最も好ましくは0.9〜2.5%である。湿潤剤としてソルビトールを1〜8%の範囲で、好ましくは2〜7%、最も好ましくは3〜4%である。
洗浄補助剤として硫酸ナトリウムを15〜40%の範囲で、好ましくは20〜35%、最も好ましくは25〜30%である。殺菌剤としてイソプロピルメチルフェノールを0.05〜2.0%の範囲で、好ましくは0.08〜1.5%、最も好ましくは0.1〜0、5%である。着色剤として赤106を0.01〜1.5%の範囲で、好ましくは0.03〜1.0%、最も好ましくは0.05〜0.5%である。着香剤としてハッカ脳を0.01〜0.5%、をそれぞれ混合して錠剤にしたものである。
【0032】
図3〜6及び
図8の使用例においては、重炭酸ソーダを60%、コハク酸を5%、ラウリル硫酸ナトリウムを1.0%、ソルビトールを5%、硫酸ナトリウムを28.6%、イソプロピルメチルアルコール0.2%、赤106を0.1%、ハッカ脳を0.1%、それぞれ混合して錠剤にしたもの2gを使用した。
【0033】
なお、上記したのは、一例であって、他の市販の薬剤を用いても良い。例えば、発泡剤として炭酸ナトリウム、リンゴ酸を、洗浄助剤として高級脂肪酸ナトリウムを、湿潤剤としてスクロールスを、洗浄補助剤として塩化ナトリウムを、殺菌剤としてトリクロサンを、着色剤として赤104をそれぞれ使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
この発明の義歯洗浄方法及び該義歯洗浄方法に使用する義歯用染色剤は、歯科治療を行っている歯科医院、病院、あるいは介護訪問先の介護施設、個人宅等において、有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 義歯
2 床部分
3 人工歯部分
4 密封容器
5 義歯用染色剤
6 収納容器
7 着色部位
8 義歯ブラシ