特許第6032623号(P6032623)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032623
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】太陽電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0236 20060101AFI20161121BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20161121BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20161121BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   H01L31/04 280
   H01L31/04 400
   H01L21/304 642A
   H01L21/306 J
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-527865(P2014-527865)
(86)(22)【出願日】2012年7月31日
(86)【国際出願番号】JP2012069436
(87)【国際公開番号】WO2014020693
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2015年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】島 正樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸二
【審査官】 井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−093891(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/123198(WO,A1)
【文献】 特開2007−324567(JP,A)
【文献】 特開2010−082558(JP,A)
【文献】 特開2004−288967(JP,A)
【文献】 実開平02−113332(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078、31/18−31/20、
51/42−51/48
H02S 10/00−50/15
H01L 21/304
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料からなる基板を有する太陽電池の製造方法であって、
カセットの凹部と隙間を有する状態で前記凹部に保持されるように一の方向に沿って配した複数の前記基板を、薬液槽に溜められた薬液に浸漬すると共に、前記薬液槽において前記複数の基板の下方に配された気泡発生部の複数の気泡発生口から前記薬液中の前記複数の基板に向けて気泡を供給して前記複数の基板を処理する処理工程を備え、
前記複数の基板を処理する処理工程では、
平面視において、前記気泡発生口が前記一の方向において隣り合う前記基板の間に位置するように前記複数の基板を配した状態で前記基板を処理し、
前記複数の基板のうち一の基板の一方の面側および前記一の基板に隣接する他の基板の前記一の基板に対向する面側に供給される気泡の量が前記一の基板の他方の面側および前記他の基板の前記一の基板に対向する面とは反対側の面側に供給される気泡の量よりも多い第1の状態と、前記一の基板の前記一方の面側および前記他の基板の前記一の基板に対向する面側に供給される気泡の量が前記一の基板の前記他方の面側および前記他の基板の前記一の基板に対向する面とは反対側の面側に供給される気泡の量よりも少ない第2の状態と、が交互に複数回繰り返して生じるように前記薬液中に気泡を供給する、
太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記平面視において、前記複数の気泡発生口のうち、前記基板の前記一方の面側に供給される気泡発生口は、前記基板の前記他方の面側に供給される気泡発生口に対して、前記一の方向と直交する方向において前記基板の中央部側または前記基板の端部側に位置している、
請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記第1の状態において、前記基板の前記一方の面側には気泡が供給され、かつ、前記基板の前記他方の面側には気泡が供給されず、
前記第2の状態において、前記基板の前記他方の面側には気泡が供給され、かつ、前記基板の前記一方の面側には気泡が供給されない、
請求項1または2に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記気泡発生口の直径が前記一の方向において隣り合う前記基板の間のギャップの距離よりも小さい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項5】
前記隣り合う基板間の間隔が、前記基板の平面形状を矩形に近似したときの一辺の長さの1/20以下となるように前記複数の基板を配する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項6】
前記基板の厚さが200μm以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項7】
前記処理工程として、
前記基板を洗浄液に浸漬することにより洗浄する洗浄工程と、
前記基板をエッチング液に浸漬することによりエッチングするエッチング工程と、
のうちの少なくとも一方を行う、請求項1〜6のいずれか一項に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境負荷の低いエネルギー源として、太陽電池に対する注目が高まってきている。なかでも、結晶シリコン基板などの半導体材料からなる基板を有する太陽電池に対する注目が高まってきている。
【0003】
このような半導体材料からなる基板を備える太陽電池の製造に際しては、例えば半導体材料からなる基板の表面にテクスチャ構造と呼ばれる凹凸構造を形成する工程などといった基板をウェットエッチングする工程を行う必要がある(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−303443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板をエッチングする工程などを行った後には、基板を液体で洗浄する工程が必要となる。この洗浄工程や上述のエッチング工程などにおいては、基板の全体が均一に薬液と接触するようにする必要がある。基板に洗浄が不十分な部分やエッチングが不十分な部分が生じると、所望の太陽電池の特性が得られない場合があり、良品率が低下する場合があるためである。
【0006】
本発明の主な目的は、改善された良品率で太陽電池を製造し得る方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る太陽電池の製造方法は、半導体材料からなる基板を有する太陽電池の製造方法に関する。本発明に係る太陽電池の製造方法は、処理工程を備える。処理工程では、一の方向に沿って配した複数の基板を、薬液槽に溜められた薬液に浸漬すると共に、薬液槽において複数の基板の下方に配された気泡発生部の複数の気泡発生口から薬液中の複数の基板に向けて気泡を供給して複数の基板を処理する。平面視において、気泡発生口が一の方向において隣り合う基板の間に位置するように複数の基板を配した状態で処理工程を行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、改善された良品率で太陽電池を製造し得る方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態におけるカセットの略図的斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態におけるカセットの略図的平面図である。
図3図3は、第1の実施形態における処理工程を説明するための模式的正面図である。なお、図3においては、気泡及び気泡発生口と基板との関係が模式的に描画されており、実際とは異なる。
図4図4は、第1の実施形態における気泡供給口と基板との関係を表す模式的平面図である。
図5図5は、第1の実施形態におけるパイプ15a〜15dから気泡を発生させるタイミングを説明するためのタイムチャートである。
図6図6は、第2の実施形態における気泡供給口と基板との関係を表す模式的平面図である。
図7図7は、第3の実施形態における気泡供給口と基板との関係を表す模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0011】
また、実施形態等において参照する各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照することとする。また、実施形態等において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0012】
(第1の実施形態)
本実施形態では、半導体材料からなる基板を有する太陽電池の製造方法について説明する。半導体材料からなる基板は、結晶シリコン基板であってもよい。即ち、本発明に係る太陽電池の製造方法は、結晶シリコン太陽電池の製造方法であってもよい。
【0013】
太陽電池は、例えば、半導体材料からなる基板と、基板の一主面の上に配された一の導電型を有する第1の半導体層と、基板の他主面の上に配された他の導電型を有する第2の半導体層と、第1の半導体層の上に配された第1の電極と、第2の半導体層の上に配された第2の電極とを備えていてもよい。
【0014】
また、太陽電池は、例えば、半導体材料からなる基板と、基板の一主面の上に配された第1及び第2の半導体層と、第1の半導体層の上に配された第1の電極と、第2の半導体層の上に配された第2の電極とを備える裏面接合型の太陽電池であってもよい。
【0015】
半導体材料からなる基板の少なくとも一方の主面には、基板への光の入射効率を高めるためのテクスチャ構造と呼ばれる凹凸構造が設けられていてもよい。テクスチャ構造は、例えば、結晶シリコン基板の表面を異方性エッチングすることにより形成することができる。
【0016】
本実施形態の太陽電池の製造方法は、半導体材料からなる基板を薬液に浸漬することにより処理する処理工程を含む。処理工程の具体例としては、基板を洗浄液に浸漬することにより基板を洗浄する洗浄工程や、基板をエッチング液に浸漬することにより基板をエッチングするエッチング工程などが挙げられる。処理工程として、洗浄工程とエッチング工程との少なくとも一方を行うことが好ましい。
【0017】
例えば、エッチング工程を行った後に、洗浄工程を行う場合などのように、太陽電池を製造するに際して、複数の処理工程を行う場合が考えられる。このような場合においては、複数の処理工程のうちの少なくともひとつの処理工程を本実施形態において説明する処理工程とすればよく、すべての処理工程を本実施形態において説明する処理工程と同様に行う必要は必ずしもない。
【0018】
処理工程に供される基板は、半導体材料からなる基板のみにより構成されていてもよいし、表面上に半導体層や保護層などの層や、電極などの部材が設けられた半導体材料からなる基板であってもよい。
【0019】
以下、本実施形態における処理工程の詳細について、図1図5を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
(カセット10への基板11のセット)
まず、例えば、図1及び図2に示すようなカセット10に複数の基板11をセットする。ここで、基板11は、半導体材料からなる基板であってもよいし、半導体層などが表面上に配された半導体材料からなる基板であってもよい。
【0021】
カセット10は、一方向に沿って相互に間隔をおいて複数の基板11を保持可能な形状を有するものである限りにおいて特に限定されない。本実施形態では、カセット10の両側面には、複数の凹部10aが設けられている。カセット10の一方側の側面に設けられた凹部10aと、他方側の側面に設けられた凹部10aとはy軸方向に対向している。このy軸方向において対向する凹部10aの対に基板11が挿入される。これにより、複数の基板11がx軸方向に沿って相互に間隔をおいた状態で保持される。
【0022】
凹部10aは、鉛直方向であるz軸方向に沿って延びている、凹部10aを構成している2つの側壁部間の間隔は、基板11側に向かって広くなっている。すなわち、凹部10aを構成している2つの側壁部間の間隔は、y軸方向における中央側に向かって広くなっている。このため、基板11がカセット10と広い面積で接触することを抑制している。
【0023】
カセット10のx方向の両側に位置する側壁部には、薬液が通過するための切欠10bや開口が設けられている。また、カセット10の底部には壁面が設けられていない。従って、カセット10の下方からカセット10内に薬液や泡等が浸入可能である。
【0024】
基板11の形状は、特に限定されない。基板11は、例えば、矩形状、正方形状、多角形状、円形状等であってもよい。また、基板11は、例えば、角部が直線または曲線で切り取られた形状である略矩形状、略正方形状等であってもよい。以下、基板11が、略矩形状である例について説明する。
【0025】
基板11の一辺の長さは、例えば、100mm〜200mm程度とすることができる。基板11の厚さは、200μm程度以下であることが好ましく、50μm〜200μm程度であることがより好ましい。基板11の厚みに対する基板11の一辺の長さの比((基板11の一辺の長さ)/(基板11の厚み))は、400〜40000であることが好ましい。
【0026】
なお、ひとつのカセット10に保持される基板11の数は、特に限定されないが、例えば、25枚〜100枚程度とすることができる。ひとつのカセット10にセット可能な基板11の枚数を多くする観点からは、x軸方向に隣接する基板11間の距離Lは、6mm以下であることが好ましく、5mm以下であることが好ましい。x軸方向に隣接する基板11間の距離Lは、基板11の一辺の長さの1/20以下であることが好ましく、1/30以下であることがより好ましい。但し、x軸方向に隣接する基板11間の距離Lが小さすぎると、基板11のセットが困難になったり、隣接する基板11同士がウェットエッチング時に張り付く等の弊害が生じる場合がある。従って、x軸方向に隣接する基板11間の距離Lは、3mm以上であることが好ましく、4mm以上であることがより好ましい。x軸方向に隣接する基板11間の距離Lは、基板11の一辺の長さの1/42以上であることが好ましく、基板11の一辺の長さの1/32以上であることがより好ましい。
【0027】
(基板11の処理工程)
次に、図3に示されるように、カセット10にセットされ、x軸方向に沿って相互に間隔をおいて配された複数の基板11を、カセット10ごと、薬液槽12に溜められた薬液13に浸漬することにより複数の基板11を処理する処理工程を行う。この処理工程は、基板11のエッチング工程や洗浄工程等である。例えばエッチング工程を行う場合は、薬液13をエッチング液とすることができる。例えば洗浄工程を行う場合は、薬液13を洗浄液とすることができる。
【0028】
この処理工程においては、複数の基板11を薬液13に浸漬すると共に、薬液槽12において複数の基板11の下方に配されており、気泡発生部を構成しているパイプ15a〜15dの複数の気泡発生口16から薬液13中の複数の基板11に向けて気泡14(典型的には空気や窒素ガスなどの不活性ガス等の気泡)を供給して複数の基板11を処理する。
【0029】
詳細には、本実施形態では、平面視において、複数の気泡発生口16がx軸方向において隣り合う基板11の間のギャップ17に位置するように、複数の基板11を配した状態で処理工程を行う。このため、気泡発生口16からの気泡14によって、凹部10aに部分的に接触していた基板11が効率的に剥離される。よって、基板11の全体が均一に薬液13と接触しやすい。従って、複数の基板11を好適に処理することができる。複数の基板11の表面に洗浄不足の部分が生じたり、エッチング不足の部分が生じたりしにくい。また、処理工程が異方性エッチングを行うことにより、所謂テクスチャ構造と呼ばれる凹凸構造を形成するエッチング工程においては、形成される凹凸構造に形状むらや寸法むらが生じにくい。従って、改善された良品率で太陽電池を製造することが可能となる。
【0030】
凹部10aに部分的に接触していた基板11の剥離がより効率的に生じるようにする観点からは、気泡発生口16の直径が、x軸方向において隣り合う基板11の間のギャップ17の距離Lより小さいことが好ましく、距離Lの0.8倍以下であることがさらに好ましい。
【0031】
また、本実施形態では、処理工程において、第1の状態と第2の状態とが交互に生じるように薬液13中に気泡14を供給する。ここで、第1の状態とは、基板11のx軸方向の一方側に供給される気泡14の量が、基板11のx軸方向の他方側に供給される気泡14の量よりも多い状態である。第2の状態とは、基板11のx軸方向の一方側に供給される気泡14の量が、基板11のx軸方向の他方側に供給される気泡14の量よりも少ない状態である。
【0032】
具体的には、図4に示されるように、複数の基板11の下方に、複数のパイプ15a〜15dが配されている。複数のパイプ15a〜15dは、それぞれ、気泡発生口16を有しており、気泡発生口16から複数の基板11に向けて気泡14を発生させる。
【0033】
パイプ15a〜15dは、それぞれ、基板11の配列方向であるx軸方向に沿って延びている。複数のパイプ15a〜15dは、基板11の延びる方向と平行なy軸方向に沿って相互に間隔をおいて配されている。パイプ15aとパイプ15bとは、基板11のy軸方向における中央よりもy1側に配されている。パイプ15aは、パイプ15bよりも外側に配されている。パイプ15cとパイプ15dとは、基板11のy軸方向における中央よりもy2側に配されている。パイプ15dは、パイプ15cよりも外側に配されている。
【0034】
パイプ15a〜15dには、基板11間のギャップ17に位置するように、複数の気泡発生口16が設けられている。各パイプ15a〜15dにおいて、複数の気泡発生口16は、ひとつおきのギャップ17に設けられている。すなわち、各パイプ15a〜15dにおいて、気泡発生口16が位置するギャップ17と、気泡発生口16が位置していないギャップ17とが、x軸方向に沿って交互に生じるように、複数の気泡発生口16が設けられている。
【0035】
外側に位置するパイプ15a、15dの気泡発生口16と、内側に位置するパイプ15b、15cの気泡発生口16とは、異なるギャップ17に位置している。このため、外側に配されたパイプ15a、15dの気泡発生口16が位置しているギャップ17と、内側に配されたパイプ15b、15cの気泡発生口16が位置しているギャップ17とがx軸方向において交互に設けられている。
【0036】
図5に示されるように、第1の状態においては、パイプ15a、15dの気泡発生口16から発生する気泡14の量が、パイプ15b、15cの気泡発生口16から発生する気泡14の量よりも多くなる一方、第2の状態においては、パイプ15a、15dの気泡発生口16から発生する気泡14の量が、パイプ15b、15cの気泡発生口16から発生する気泡14の量よりも少なくなるように制御される。このように制御することによって、基板11のx軸方向の一方側に供給される気泡14の量が、基板11のx軸方向の他方側に供給される気泡14の量よりも多い第1の状態と、基板11のx軸方向の一方側に供給される気泡14の量が、基板11のx軸方向の他方側に供給される気泡14の量よりも少ない第2の状態とが交互に生じる。このため、第1の状態において供給される気泡14と、第2の状態において供給される気泡とによって基板11がx軸方向に沿って振動したり揺動したりする。よって、例えば基板11のある部分が、他の基板11やカセット10と接触した状態が継続しにくく、基板11の全体が均一に薬液13と接触しやすい。従って、複数の基板11をより好適に処理することができる。
【0037】
基板11の振動や揺動をより促進する観点からは、第1の状態において、基板11のx軸方向の一方側に気泡14を供給する一方、基板11のx軸方向の他方側に気泡14を供給せず、第2の状態において、基板11のx軸方向の一方側に気泡14を供給しない一方、基板11のx軸方向の他方側に気泡14を供給するようにすることが好ましい。また、基板11のx軸方向の一方側における気泡14の供給位置と、基板11のx軸方向の他方側における気泡14の供給位置とが、基板11の延びる方向であるy軸方向において相互に異なることが好ましい。また、凹部10aが内側に向かって間隔が広くなるように設けられているため、基板11の振動や揺動がより促進されている。
【0038】
例えば、基板11の厚みが200μm以下と薄い場合は、基板11が撓みやすい。よって、隣り合う基板11同士が接触し、基板11の接触部に薬液が好適に供給されにくくなる場合がある。同様に、隣り合う基板11間の間隔が、基板11の平面形状を矩形に近似したときの一辺の長さの1/20以下である場合、さらには1/30以下である場合には、隣り合う基板11同士が接触し、基板11の接触部に薬液が好適に供給されにくくなる場合がある。よって、本実施形態の技術が特に有用である。
【0039】
なお、第1の実施形態では、基板11の一方側に気泡14を供給するパイプ15a、15dと、基板11の他方側に気泡14を供給するパイプ15b、15cとを、それぞれ2つずつ設ける例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、図6に示されるように、基板11の一方側に気泡14を供給するパイプ15aと、基板11の他方側に気泡14を供給するパイプ15cとを、それぞれひとつずつ設けてもよい。
【0040】
また、図7に示されるように、各パイプ15a〜15dの気泡発生口16がすべてのギャップ17に位置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10…カセット
10a…凹部
11…基板
12…薬液槽
13…薬液
14…気泡
15a〜15d…パイプ(気泡発生部)
16…気泡発生口
17…ギャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7