特許第6032632号(P6032632)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032632
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】業務報告書作成プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20161121BHJP
   G06F 17/24 20060101ALI20161121BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20161121BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20161121BHJP
【FI】
   H04M1/00 R
   G06F17/24 630
   H04M11/00 302
   G06Q50/08
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-133477(P2012-133477)
(22)【出願日】2012年6月13日
(65)【公開番号】特開2013-258569(P2013-258569A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】512140094
【氏名又は名称】株式会社フォーリア
(74)【代理人】
【識別番号】100154210
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 宏
(72)【発明者】
【氏名】井上 徹
【審査官】 山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−091381(JP,A)
【文献】 特開2010−277442(JP,A)
【文献】 特開2008−225862(JP,A)
【文献】 特開2007−034822(JP,A)
【文献】 特開2007−018438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/20−17/26
G06Q 50/00
H04M 1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機において動作し、定められた入力項目を入力してサーバに業務報告書を送信する業務報告書作成プログラムであって、
前記入力項目は、当該携帯電話機によって撮影された2枚以上の写真と、当該携帯電話機を用いて入力されたテキスト情報とを、少なくとも含み、
前記2枚以上の写真が同一の対象を撮影したものであることを判定する撮影対象判定手段を備え、
前記撮影対象判定手段は、前記2枚以上の写真が共にユニークな図形を含む場合には同一の対象を撮影したものであると判断し、他の場合には同一の対象を撮影したものではないと判断することを特徴とする、業務報告書作成プログラム。
【請求項2】
写真の撮影時刻を含む各々の入力項目の入力時刻が所定の関係を充足することを判定する入力時刻判定手段を備えることを特徴とする、請求項に記載の業務報告書作成プログラム。
【請求項3】
前記入力項目の一部を、サーバに備えられた入力項目統合プログラムに向けて送信することを特徴とする、請求項1又は2に記載の業務報告書作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の携帯端末装置を用いて業務報告書を作成する業務報告書作成プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
企業活動においては、業務報告書が作成される。従来、社外において業務を行う社員は、業務を終えた後に帰社して業務報告書を作成することが多かった。
一方、近年においては、社外の業務を行う現場で撮影した画像データ(写真)を含む業務報告書も多い。この撮影のためにデジタルカメラ等の携帯端末装置を現場に持参しているので、その携帯端末装置によって業務報告書を作成することができれば、帰社の必要性がなくなり、また、業務完了から短時間で業務報告書が作成されて会社全体の業務管理が容易になり、企業活動の効率が高くなる。しかし、従来の業務報告書作成システムの多くは、現場で撮影した写真を会社のホストコンピュータに送信し、ホストコンピュータを利用して業務報告書を作成するものであり、帰社の必要性が残り、業務完了から業務報告書作成までに時間短縮につながっていなかった。
【0003】
特許文献1には、上記の問題を解決するものとして、現場で業務報告書を作成することのできる業務報告書作成機能付きデジタルカメラ及びプログラムが開示されている。
しかし、特許文献1に開示された業務報告書作成機能付きデジタルカメラは、テキストデータを入力するためのキー装置を備えておらず、業務報告書内のテキストはプログラムによって提示されたもののうちから選択することとなる。このため、現場において自由文のテキストを入力するような業務報告書を作成することはできなかった。(特許文献1にはデジタルカメラに音声認識機能を持たせて自由文のテキストを入力することが開示されているが、音声認識機能は高価であり、また、その処理に比較的高性能のCPUを要するため、現実的でない。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−286687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、作業現場に持参する携帯端末装置を用いて業務報告書を作成することができ、自由文のテキストを業務報告書に含むことができるような業務報告書作成プログラムを提供することである。
合わせて、発明の具体的な実装によって、写真の妥当性をチェックする機能及び業務実施後にのみ業務報告書作成を効率的に行えるように管理する機能を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
携帯電話機(通常の携帯電話機とスマートフォンとを含む。以下同じ。)であれば、写真を撮影することも、自由文のテキストを入力することもできる。携帯端末装置として携帯電話機を利用することにより、課題を解決する。
【0007】
本発明の業務報告書作成プログラムは、
携帯電話機において動作し、定められた入力項目を入力してサーバに業務報告書を送信する業務報告書作成プログラムであって、
前記入力項目は、当該携帯電話機によって撮影された2枚以上の写真と、当該携帯電話機を用いて入力されたテキスト情報とを、少なくとも含むことを特徴とする。
携帯電話を利用して自由文のテキストを業務報告書に含むことを可能にしたものである。
ここで、「2枚以上」の写真を含むこととしたのは、不動産工事の業務報告書を想定したものである。不動産工事においては、工事前の写真と工事後の写真とを業務報告書に含めて工事の成果を示すものである。以下の説明において、不動産工事の業務報告書に基づく例を用いる。
【0008】
本発明の業務報告書作成プログラムは、
前記2枚以上の写真が同一の対象を撮影したものであることを判定する撮影対象判定手段を備えることを特徴とする。
工事前の写真と工事後の写真との2枚の写真が業務報告書に含まれる場合には、その2枚の写真が同一の対象を撮影したものであることが必要である。社員が誤って(あるいは意図的に)異なる対象を撮影した2枚の写真を業務報告書に含めてしまうことを、撮影対象判定手段によって防止する。
なお、同一の対象を撮影したものであることの判定は、種々の方法によって行うことができる。例えば、写真に付されたExifデータに含まれる位置情報によって同一場所であることを確認することでもよく、撮影する工事現場等に撮影場所を示す看板を設置等してその看板が両方の写真に含まれることを確認することでもよい。
【0009】
本発明の業務報告書作成プログラムは、
写真の撮影時刻を含む各々の入力項目の入力時刻が所定の関係を充足することを判定する入力時刻判定手段を備えることを特徴とする。
業務報告書の2以上の入力項目は、相互に、その入力されるべき時間の前後関係を持っている場合がある。例えば、「工事の所要時間」を入力項目とする場合、この項目は他の入力項目である「工事後の写真」よりも後に入力されることが好ましい。工事の所要時間は工事完了後でなければ確定していないからである。工事の完了は工事後の写真の入力によって示される。「工事の所要時間」が「工事後の写真」よりも後に入力されるようにすることによって、社員が誤って(あるいは意図的に)工事完了前に工事の所要時間を入力してしまうことを、入力時刻判定手段によって防止する。
【0010】
本発明の業務報告書作成プログラムは、
前記入力項目の一部を、サーバに備えられた入力項目統合プログラムに向けて送信することを特徴とする。
業務報告書の入力項目は、工事開始前に入力可能(或いは入力されるべき)もの、工事完了後にのみ入力可能(或いは入力されるべき)ものがある。業務報告書を作成する社員にとって、一部の入力項目のみが入力された業務報告書を携帯端末装置に保存しておくための操作をするよりも、入力した項目のみをサーバに向けて送信することが効率的な場合もある。また、多くの工事を管理する会社の管理部門にとっても、工事開始前に入力された内容を工事完了前に閲覧することが可能となり、資材配送の効率化などが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の業務報告書作成プログラムは、作業現場に持参する携帯端末装置を用いて業務報告書を作成することができ、自由文のテキストを業務報告書に含むことができる。
合わせて、発明の具体的な実装によって、写真の妥当性をチェックする機能及び業務実施と業務報告書作成の時間的関係を管理する機能が提供され、業務を確実かつ効率的に実施することに資する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、業務報告書作成プログラムの構成の例を示す図である。
図2図2は、業務報告書作成プログラムの表示する画面の例を示す図である。
図3図3は、テンプレートの例を示す図である。
図4図4は、写真撮影の状況の例を示す図である。
図5図5は、印刷される業務報告書の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を示す。なお、以下の実施例はスマートフォンを用いるものであるが、通常の携帯電話機を用いても同様の業務報告書作成プログラムを実施することができる。(スマートフォンを用いてボタンに触れることに替えて通常の携帯電話機を用いてカーソルを移動してキーを押す、その他同等の効果となる操作が広く知られている。)
【実施例1】
【0014】
図1は、業務報告書作成プログラムの構成の例を示す図である。携帯端末装置1は、スマートフォンであり、業務報告書作成プログラム2を備えている。業務報告書作成プログラム2は、テンプレート21に基づいて動作し、入力データ22を保存する。業務報告書作成プログラム2には、撮影対象判定手段23及び入力時刻判定手段24が備えられている。
業務報告書作成プログラム2は、サーバ3との間で通信を行う。サーバ3には、入力項目統合プログラム31が備えられている。入力項目統合プログラム31は、入力データ32を保存する。入力データ32は入力データ22と同等のものである。
社外で作業を行う社員が携帯端末装置1を持ち歩く。サーバ3はその社員が所属する会社に備えられている。
【0015】
図2は、業務報告書作成プログラムの表示する画面の例を示す図である。携帯端末装置1の画面に、複数の入力項目表示エリア41が表示され、各入力項目表示エリア41に付随して完了ボタン42が表示されている。図には3つの入力項目表示エリアを示すが、画面を上下にスクロールして多数の入力項目表示エリアを表示することができる。
社員は入力を行う入力項目表示エリア41にタッチする。業務報告書作成プログラム2は、その入力項目を入力する画面(定型テキストの入力のための候補を表示して選択させる画面、自由文テキストの入力のためのタッチキー、写真の入力のための撮影した写真を表示して選択させる画面、その他必要な画面)を表示して入力をさせる。入力された内容が入力項目表示エリア41にされる。社員が完了ボタン42にタッチすることにより、その入力が確定し、入力データ22として保存される。なお、完了ボタン42は必ずしも必要ではなく、入力項目表示エリア41に付随して表示されなくともよい。例えば、入力項目を入力する画面の操作の終了によって完了ボタンへのタッチと同等の処理を行うこととしてもよい。(以下、「完了ボタンにタッチ」との記載は、かかる同等の処理を行うための操作を含むものとする。)
また、入力項目表示エリア41のタッチによって入力項目を選択してその入力項目を入力する画面を表示することも、必ずしも必要としない。例えば、すべての入力項目の入力順序が決められており所定の順番に入力させる(各時点において入力すべき入力項目が予め確定している)場合には、入力項目表示エリア41のタッチによらずに、その時点において入力すべき入力項目を入力する画面を自動的に表示してもよい。
【0016】
社員が送信ボタン43にタッチすると、入力データ22が入力項目統合プログラム31に送信される。入力項目統合プログラム31は、送信された入力データを、入力データ32として保存する。
【0017】
図3は、テンプレートの例を示す図である。テンプレート21には、全ての入力項目について、名称及び入力内容のデータが含まれている。名称は、何を入力すべきかを社員に伝達するものであり、入力項目表示エリア41に表示される。入力内容は、それに依存して入力項目を入力する画面がいかなるものであるかを定めるものである。
テンプレート21には、撮影対象判定手段23及び入力時刻判定手段24が処理すべき内容も含まれている。
なお、以上の情報は必ずしもテンプレートとしてのデータの形式でなくともよい。例えば、業務報告書作成プログラムのソースコードとして記述されていてもよい。しかし、テンプレートであれば、それをサーバから携帯端末装置に送信する等の方法によって1つの業務報告書作成プログラムによる多種の業務報告書作成が可能となるので、テンプレートとしてのデータの形式であることが好ましい。
【0018】
図3に示したテンプレートに基づき、ドアの交換工事の業務報告書を作成する場合を例として、以下説明する。工事を現場で監督する社員が携帯端末装置1を携帯している。
工事開始前に、社員は、以下の操作を行う。
まず、部材配送確認の入力項目エリアをタッチする。入力項目を入力する画面にはドアの交換工事に必要な部材(交換対象のドア等)が表示され、社員は配送済又は未配送を選択する。全ての部材が配送されており、配送済が選択されたものとする。
次に、工事前写真の入力項目エリアをタッチする。入力項目を入力する画面には携帯端末装置1で撮影した写真の一覧が表示され、社員は適切な写真を選択する。なお、入力項目を入力する画面において、写真の一覧を表示することに替えて携帯端末装置1のカメラ機能を呼び出して写真撮影を行わせてもよい。
ここで、部材配送確認の入力項目と工事前写真の入力項目との間には入力時刻判定手段24が処理すべき内容がなく、どちらを先に入力してもよい。
【0019】
社員は、送信ボタン43をタッチする。これにより、部材配送確認及び工事前写真に係る入力データ22が入力項目統合プログラム31に送信され、入力データ32として保存される。会社の管理部門は、工事開始直後に、部材配送が正しく行われたことを確認でき、工事前写真を閲覧することが可能となる。これにより、不足部材の緊急配送、工事現場への指示などを必要に応じて行うことができる。本実施例ではその必要はないものとする。
【0020】
図4は、写真撮影の状況の例を示す図である。左側が工事前写真、右側が工事後写真である。ドア52が交換されたことがわかる。写真撮影に当たっては、看板51を配置して撮影する。看板51は、この業務報告書に係る業務のために準備されたものである。図において三角形で示す図形が、他の工事と峻別するためのユニークな図形となっている。工事を現場で監督する社員が看板を管理して、自分が監督した工事の写真であることを明確にする。
【0021】
工事終了後に、社員は、以下の操作を行う。
まず、工事後写真の入力項目エリアをタッチする。入力項目を入力する画面には携帯端末装置1で撮影した写真の一覧が表示され、社員は適切な写真を選択する。社員が完了ボタンをタッチした時に、撮影対象判定手段23が呼び出される。テンプレート21に基づき、工事後写真は撮影対象判定の対象となっているからである。
撮影対象判定手段23は、工事前写真と工事後写真とが同一の撮影対象(工事した現場)であるか否かを判定する。携帯端末装置を用いて撮影された写真には、その撮影位置のデータが付されている(たとえば、GPSの情報をExif形式で画像データに付してある。)。撮影対象判定手段23は、工事前写真と工事後写真との撮影位置のデータが一致すること、及び、両写真に同一の看板が含まれていることを確認し、事前写真と工事後写真とが同一の撮影対象であると判定する。
なお、撮影位置のデータが一致することと同一の看板が含まれていることとによって判定しているが、これらの一方のみで判定してもよく、他の手段によって判定してもよい。また、Exif形式には撮影時刻のデータが含まれるので、工事前写真の撮影から工事後写真の撮影までの時間が所定の範囲内であることを確認してもよい。要するに、工事前と工事後の写真の少なくとも一方が誤って選択された場合に警告することが、撮影対象判定手段23の目的である。撮影対象判定手段23は、同一の撮影対象ではないと判定された場合には、その旨を画面に表示して正しい写真への修正を促す。
【0022】
次に、工事所要時間の入力項目エリアをタッチする。入力項目を入力する画面には時間を現す数字が表示され、社員は時間を選択する。なお、数字を表示して選択させるのでなく、テンキーによる入力としてもよい。
次に、報告事項の入力項目エリアをタッチする。入力項目を入力する画面にはテキスト入力のための仮想キーが表示される。社員は、自由文の報告事項を入力する。
工事後写真、工事所要時間及び報告事項の入力項目については、この順に入力することを入力時刻判定手段24が処理すべきである(図3参照)。入力時刻判定手段24は、社員が完了キーにタッチした時に判定を行い、テンプレートに基づく入力順序によらない場合には、その旨を画面に表示して正しい順序での入力を促す。なお、完了ボタンにタッチした時に判定を行うのではなく、入力が認められないような入力項目については、その入力項目エリアをタッチしても入力項目を入力する画面が表示されないようにしてもよい。
【0023】
最後に、社員は、送信ボタン43をタッチする。これにより、入力データ22が入力項目統合プログラム31に送信され、入力データ32として保存される。全ての入力データが揃ったこととなり、サーバ3において、業務報告書を印刷することができる。図5は、印刷される業務報告書の例を示す図である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
作業現場に持参する携帯端末装置を用いて業務報告書を作成することができ、自由文のテキストを業務報告書に含むことができる業務報告書作成プログラムであり、現場作業を伴う業務を行う企業(建設工事業、巡回小売業等)による利用が期待できる。
合わせて、発明の実装に依存して、業務を確実かつ効率的に実施することに資する業務報告書作成プログラムであり、特に不動産工事を行う企業による利用が期待できる。
【符号の説明】
【0025】
1 携帯端末装置
2 業務報告書作成プログラム
21 テンプレート
22 入力データ
23 撮影対象判定手段
24 入力時刻判定手段
3 サーバ
31 入力項目統合プログラム
32 入力データ
41 入力項目表示エリア
42 完了ボタン
43 送信ボタン
51 看板
52 ドア
図1
図2
図3
図4
図5