(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
図1を参照して、電気刺激装置1の構成について説明する。
電気刺激装置1は、刺激付与部10および本体部50を有する。電気刺激装置1は、使用者が筋力をトレーニングする動作(以下、「鍛練動作」)、および使用者の動作の開始タイミング(以下、「動作タイミング」)を本体部50により教示する。電気刺激装置1は、本体部50により教示する動作タイミングに応じて、刺激付与部10により使用者に電気刺激を付与する。
【0018】
刺激付与部10は、カフ20、第1電極部30、および第2電極部40を有する。刺激付与部10は、カフ20が使用者100の上肢110または下肢140に巻きつけられることにより、上肢110または下肢140に固定される。
【0019】
第1電極部30は、カフ20における人体との接触面に固定されている。第1電極部30は、プラス電極31およびマイナス電極32を有する。プラス電極31およびマイナス電極32は、それぞれ電気線により本体部50と接続されている。
【0020】
第2電極部40は、カフ20における人体との接触面に固定されている。第2電極部40は、プラス電極41およびマイナス電極42を有する。プラス電極41およびマイナス電極42は、それぞれ電気線により本体部50と接続されている。
【0021】
図2を参照して、本体部50の構成について説明する。
本体部50は、使用者100が片手で保持することが可能な形状を有する。本体部50は、刺激付与部10を制御する。本体部50は、制御部51、記憶部52、教示部53、操作部54、および電源55を有する。
【0022】
制御部51は、電源55から電力を受ける。制御部51は、第1電極部30、第2電極部40、および教示部53に電力を供給する。制御部51は、マイクロコンピューターおよびパルス発生回路を有する。
【0023】
制御部51は、記憶部52および操作部54から入力された信号に基づいて、教示制御信号SZを生成する。制御部51は、生成した教示制御信号SZを教示部53に出力する。制御部51は、記憶部52および操作部54から入力された信号に基づいて、刺激制御信号SXとしての第1刺激制御信号S1および第2刺激制御信号S2を生成する。制御部51は、第1刺激制御信号S1および第2刺激制御信号S2を個別に生成する。制御部51は、生成した第1刺激制御信号S1を第1電極部30に出力する。制御部51は、生成した第2刺激制御信号S2を第2電極部40に出力する。
【0024】
記憶部52は、複数の動作教示パターンおよび複数の刺激付与パターンを記憶している。記憶部52は、動作教示パターンと刺激付与パターンとを互いに関連付けて記憶している。記憶部52は、複数の動作教示パターンのうちの1個のパターンと、複数の刺激付与パターンのうちの1個のパターンとを互いに関連付ける情報を記憶している。
【0025】
動作教示パターンは、1つの鍛練動作における動作タイミングのパターンを規定する。刺激付与パターンは、関連付けられた動作教示パターンにおける電気刺激の付与のパターンを規定する。
【0026】
制御部51は、動作教示パターンを記憶部52から読み出したとき、読み出した動作教示パターンに基づいて教示制御信号SZを生成する。制御部51は、刺激付与パターンを記憶部52から読み出したとき、読み出した刺激付与パターンに基づいて刺激制御信号SXを生成する。
【0027】
教示部53は、動作教示情報としての鍛練動作および動作タイミングを視覚的または聴覚的な方法により使用者に提供する。教示部53は、制御部51から送信される教示制御信号SZに応じて動作する。教示部53は、画像表示部53Aおよび音出力部53Bを有する。教示部53は、鍛練動作を示す情報を画像表示部53Aにより使用者に提供する。教示部53は、動作タイミングを示す情報を画像表示部53Aおよび音出力部53Bにより使用者に提供する。
【0028】
操作部54は、マンマシンインターフェースとしての構成を有する。操作部54は、使用者の操作に応じた信号(以下、「操作信号SH」)を制御部51に出力する。操作部54は、操作信号SHの一例として、刺激付与部10の電源をオンまたはオフする信号、および教示部53の表示画像または出力音を変更する信号を出力する。
【0029】
図3を参照して、記憶部52が記憶するパターンについて説明する。
記憶部52は、複数の動作教示パターンを記憶している。記憶部52は、電気刺激装置1の初期状態において、第1教示パターン〜第4教示パターンを記憶している。
【0030】
第1教示パターンは、鍛練動作が腕立て伏せの場合の教示パターンを示す。第2教示パターンは、鍛練動作が腕曲げ伸ばし運動の場合の教示パターンを示す。第3教示パターンは、鍛練動作が歩行の場合の教示パターンを示す。第4教示パターンは、鍛練動作がスクワットの場合の教示パターンを示す。
【0031】
記憶部52は、複数の刺激付与パターンを記憶している。記憶部52は、鍛練動作、および電気刺激を筋肉に付与する目的(以下、「刺激付与目的」)と関連付けて各刺激付与パターンを記憶している。記憶部52は、電気刺激装置1の初期状態において、複数の刺激付与パターンとして第1付与パターン〜第8付与パターンを記憶している。
【0032】
第1付与パターンは、鍛練動作が腕立て伏せ、かつ刺激付与目的が筋力アップの場合に対応した刺激付与パターンを示す。第2付与パターンは、鍛練動作が腕立て伏せ、かつ刺激付与目的が筋力アシストの場合に対応した刺激付与パターンを示す。第3付与パターンは、鍛練動作が腕曲げ伸ばし運動、かつ刺激付与目的が筋力アップの場合に対応した刺激付与パターンを示す。第4付与パターンは、鍛練動作が腕曲げ伸ばし運動、かつ刺激付与目的が筋力アシストの場合に対応した刺激付与パターンを示す。第5付与パターンは、鍛練動作が歩行、かつ刺激付与目的が筋力アップの場合に対応した刺激付与パターンを示す。第6付与パターンは、鍛練動作が歩行、かつ刺激付与目的が筋力アシストの場合に対応した刺激付与パターンを示す。第7付与パターンは、鍛練動作がスクワット、かつ刺激付与目的が筋力アシストの場合に対応した刺激付与パターンを示す。
【0033】
図4を参照して、使用者100の鍛練動作の一例について説明する。
使用者100は、上肢110を有する。上肢110は、上腕120および前腕130を有する。上腕120は、上腕二頭筋121および上腕三頭筋122を有する。使用者100は、鍛練動作の1つとして上肢110の腕曲げ伸ばし運動を行う。使用者100は、上肢110の腕曲げ伸ばし運動において、
図4(a)に示される上肢110の伸張状態および
図4(b)に示される上肢110の屈曲状態を繰り返す。上肢110の伸張状態は、上肢110の肘関節が伸ばされた状態を示す。上肢110の屈曲状態は、上肢110の肘関節が曲げられた状態を示す。
【0034】
図5を参照して、腕曲げ伸ばし運動における筋電図について説明する。
時刻t11および時刻t13は、上肢110を屈曲状態から伸張状態に向けて変化させる動作が開始された時刻を示す。時刻t12および時刻t14は、上肢110を伸張状態から屈曲状態に向けて変化させる動作が開始された時刻を示す。すなわち、時刻t11から時刻t12までの期間は、上肢110が屈曲状態から伸張状態に向けて動作している過程の状態を示す。また、時刻t12から時刻t13までの期間は、上肢110が伸張状態から屈曲状態に向けて動作している過程の状態を示す。また、時刻t13から時刻t14までの期間は、上肢110が屈曲状態から伸張状態に向けて動作している過程の状態を示す。
【0035】
図5(a)に示されるとおり、上腕二頭筋の筋電図は、上肢110が伸張状態から屈曲状態に向けて変化する過程において振幅が増加する。このことは、上腕二頭筋が主導筋として機能し、上腕三頭筋が拮抗筋として機能していることを示している。このため、上肢110が伸張状態から屈曲状態に向けて変化する過程において、主導筋としての上腕二頭筋に電気刺激を付与することにより、上肢110の動作がアシストされる。また、上肢110が伸張状態から屈曲状態に向けて変化する過程において、拮抗筋としての上腕三頭筋に電気刺激を付与することにより、上肢110の筋力が鍛えられる。
【0036】
図5(b)に示されるとおり、上腕三頭筋の筋電図は、上肢110が屈曲状態から伸張状態に向けて変化する過程において振幅が増加する。このことは、上腕三頭筋が主導筋として機能し、上腕二頭筋が拮抗筋として機能していることを示している。このため、上肢110が屈曲状態から伸張状態に向けて変化する過程において、主導筋としての上腕三頭筋に電気刺激を付与することにより、上肢110の動作がアシストされる。また、上肢110が屈曲状態から伸張状態に向けて変化する過程において、拮抗筋としての上腕二頭筋に電気刺激を付与することにより、上肢110の筋力が鍛えられる。
【0037】
電気刺激装置1は、上肢110の腕曲げ伸ばし運動が行われるとき、
図5の上肢110の筋電図から得られる上記知見に基づいて、上肢110に電気刺激を付与する。また、上肢110に関する他の鍛練動作(例えば、腕立て伏せ)が行われるとき、上肢110の腕曲げ伸ばし運動が行われるときの考え方に準じて上肢110に電気刺激を付与する。また、下肢140に関する鍛練動作(例えば、歩行またはスクワット)が行われるとき、上肢110の腕曲げ伸ばし運動が行われるときの考え方に準じて下肢140に電気刺激を付与する。
【0038】
電気刺激装置1は、例えば次のとおり上肢110に電気刺激を付与する。
使用者100が鍛練動作として腕曲げ伸ばし運動を行うとき、かつ上肢110の筋力アップを刺激付与目的として設定しているとき、電気刺激装置1は次のとおり使用者100に電気刺激を付与する。
【0039】
電気刺激装置1は、上肢110を伸張状態から屈曲状態に変化させる動作にともない、上腕二頭筋が主導筋として機能し、上腕三頭筋が拮抗筋として機能するとき、上腕三頭筋に電気刺激を付与する。電気刺激装置1は、上肢110を屈曲状態から伸張状態に変化させる動作にともない、上腕二頭筋が拮抗筋として機能し、上腕三頭筋が主導筋として機能するとき、上腕二頭筋に電気刺激を付与する。
【0040】
使用者100が鍛練動作として腕曲げ伸ばし運動を行うとき、かつ上肢110の筋力アシストを刺激付与目的として設定しているとき、電気刺激装置1は次のとおり使用者100に電気刺激を付与する。
【0041】
電気刺激装置1は、上肢110を伸張状態から屈曲状態に変化させる動作にともない、上腕二頭筋が主導筋として機能し、上腕三頭筋が拮抗筋として機能するとき、上腕二頭筋に電気刺激を付与する。電気刺激装置1は、上肢110を屈曲状態から伸張状態に変化させる動作にともない、上腕二頭筋が拮抗筋として機能し、上腕三頭筋が主動筋として機能するとき、上腕三頭筋に電気刺激を付与する。
【0042】
電気刺激装置1は、使用者100に電気刺激を付与するにあたり、鍛練動作の種類および刺激付与目的に応じて、鍛練動作の動作タイミングを教示部53により使用者100に教示する。また、電気刺激装置1は、教示する動作タイミングと関連付けて刺激付与部10により使用者100に電気刺激を付与する。
【0043】
このため、使用者100の鍛練動作の動作タイミング、および刺激付与部10による電気刺激の付与タイミングが、教示部53により教示される動作タイミングと相関する。このため、使用者100の鍛練動作の動作タイミングと、刺激付与部10による電気刺激の付与タイミングとが互いに相関する。このため、使用者100の鍛練動作に適したタイミングにおいて電気刺激が出力される頻度が高くなる。このため、電気刺激が筋肉に及ぼす効果が高められる。
【0044】
制御部51は、操作部54が操作されたとき、操作部54から出力された操作信号SHを受信する。制御部51は、操作信号SHが示す鍛練動作の種類および刺激付与目的に対応する動作教示パターンおよび刺激付与パターンを記憶部52から読み出す。制御部51は、動作教示パターンを読み出した後、動作教示パターンに基づいて教示制御信号SZを生成する。教示部53は、生成した教示制御信号SZを教示部53に出力する。制御部51は、刺激付与パターンを読み出した後、刺激付与パターンに基づいて刺激制御信号SXを生成する。制御部51は、生成した刺激制御信号SXを刺激付与部10に出力する。
【0045】
教示部53は、制御部51から出力された教示制御信号SZに基づいて、使用者100に教示情報を提供する。刺激付与部10は、制御部51から出力された刺激制御信号SXに基づいて、使用者100に電気刺激を付与する。
【0046】
制御部51は、互いに関連付けられた動作教示パターンおよび刺激付与パターンを記憶部52から読み出す。制御部51は、読み出した動作教示パターンに基づいて、刺激制御信号SXを生成する。制御部51は、刺激制御信号SXの形成に関するパターン(以下、「刺激信号形成パターン」)として複数の刺激信号形成パターンを有する。
【0047】
なお、以下の説明においては、教示信号オン時刻、刺激信号オン時刻、および刺激信号オフ時刻を用いて、教示制御信号SZおよび刺激制御信号SXのそれぞれがオンまたはオフするタイミングを示す。教示信号オン時刻は、教示制御信号SZがオフからオンに変化するタイミングを示す。刺激信号オン時刻は、刺激制御信号SXがオフからオンに変化するタイミングを示す。刺激信号オフ時刻は、刺激制御信号SXがオンからオフに変化するタイミングを示す。
【0048】
刺激信号形成パターンは、刺激信号オン時刻および刺激信号オフ時刻の組み合わせにより規定される。刺激信号オン時刻および刺激信号オフ時刻は、教示信号オン時刻と関連付けて規定される。
【0049】
刺激信号オン時刻は、第1刺激信号オン時刻〜第3刺激信号オン時刻に分類される。第1刺激信号オン時刻は、教示信号オン時刻よりも一定時間前の時刻として設定される。第2刺激信号オン時刻は、教示信号オン時刻と同じ時刻として設定される。第3刺激信号オン時刻は、教示信号オン時刻よりも一定時間後の時刻として設定される。
【0050】
刺激信号オフ時刻は、第1刺激信号オフ時刻および第2刺激信号オフ時刻に分類される。第1刺激信号オフ時刻は、教示信号オン時刻と同じ時刻として設定される。第2刺激信号オフ時刻は、教示信号オン時刻よりも一定時間後の時刻として設定される。
【0051】
複数の刺激信号形成パターンのそれぞれは、第1刺激信号オン時刻〜第3刺激信号オン時刻のいずれか1つの刺激信号オン時刻と、第1刺激信号オフ時刻または第2刺激信号オフ時刻のいずれかの刺激信号オフ時刻との組み合わせにより規定される。
【0052】
記憶部52は、第1刺激信号オン時刻〜第3刺激信号オン時刻のいずれか1つと、第1刺激信号オフ時刻または第2刺激信号オフ時刻との組み合わせが可能な全てのパターンを刺激信号形成パターンとして記憶している。
【0053】
以上のとおり、制御部51は、互いに関連付けられた動作教示パターンおよび刺激付与パターンに基づいて、教示制御信号SZおよび刺激制御信号SXを出力する。その結果として実現される制御部51の制御は、以下の伸張動作対応制御および屈曲動作対応制御に分類することができる。
【0054】
制御部51は、次のとおり伸張動作対応制御を行う。制御部51は、刺激付与目的として筋力アップが設定されているとき、かつ教示部53が伸張教示情報を出力しているとき、第1電極部30のオンを指示する第1刺激制御信号S1を出力する。また制御部51は、刺激付与目的として筋力アップが設定されているとき、かつ教示部53が伸張教示情報を出力しているとき、第2電極部40のオフを指示する第2刺激制御信号S2を出力する。制御部51がこのように第1刺激制御信号S1および第2刺激制御信号S2を出力する理由を以下に示す。
【0055】
教示部53が伸張教示情報を出力しているとき、上肢110が屈曲状態から伸張状態に向けて動作していると推定される。上肢110が屈曲状態から伸張状態に向けて動作しているとき、上腕二頭筋が拮抗筋として機能し、上腕三頭筋が主導筋として機能する。このため、上肢110の筋力アップの効果を高めるためには、電気刺激により上腕二頭筋を収縮させること、および電気刺激による上腕三頭筋の収縮を生じさせないことが好ましい。
【0056】
そして、第1電極部30が上腕二頭筋に対応して上肢110に固定されていることから、第1電極部30により上肢110に電気刺激を付与することにより、電気刺激により上腕二頭筋を収縮させることができる。また、第2電極部40が上腕三頭筋に対応して上肢110に固定されていることから、第2電極部40から上肢110に電気刺激を付与しないことにより、電気刺激による上腕三頭筋の収縮が生じることが抑制される。
【0057】
以上の理由から、少なくとも教示部53が伸張教示情報を出力しているとき、かつ刺激付与目的として筋力アップが設定されているとき、第1電極部30をオンに設定し、第2電極部40をオフに設定することにより、上肢110の筋力アップの効果を高めることができる。なお、少なくとも教示部53が伸張教示情報を出力しているとき、かつ刺激付与目的として筋力アシストが設定されているとき、第1電極部30をオフに設定し、第2電極部40をオンに設定することにより、筋力アシストの効果を高めることができる。
【0058】
制御部51は、次のとおり屈曲動作対応制御を行う。制御部51は、刺激付与目的として筋力アップが設定されているとき、かつ教示部53が屈曲教示情報を出力しているとき、第1電極部30のオフを指示する第1刺激制御信号S1を出力する。また制御部51は、刺激付与目的として筋力アップが設定されているとき、かつ教示部53が屈曲教示情報を出力しているとき、第2電極部40のオンを指示する第2刺激制御信号S2を出力する。制御部51がこのように第1刺激制御信号S1および第2刺激制御信号S2を出力する理由を以下に示す。
【0059】
教示部53が屈曲教示情報を出力しているとき、上肢110が伸張状態から屈曲状態に向けて動作していると推定される。上肢110が伸張状態から屈曲状態に向けて動作しているとき、上腕二頭筋が主導筋として機能し、上腕三頭筋が拮抗筋として機能する。このため、上肢110の筋力アップの効果を高めるためには、電気刺激により上腕三頭筋を収縮させること、および電気刺激による上腕二頭筋の収縮を生じさせないことが好ましい。
【0060】
そして、第1電極部30が上腕二頭筋に対応して上肢110に固定されていることから、第2電極部40により上肢110に電気刺激を付与することにより、電気刺激により上腕三頭筋を収縮させることができる。また、第1電極部30が上腕二頭筋に対応して上肢110に固定されていることから、第1電極部30から上肢110に電気刺激を付与しないことにより、電気刺激による上腕二頭筋の収縮が生じることが抑制される。
【0061】
以上の理由から、少なくとも教示部53が屈曲教示情報を出力しているとき、かつ刺激付与目的として筋力アップが設定されているとき、第1電極部30をオフに設定し、第2電極部40をオンに設定することにより、上肢110の筋力アップの効果を高めることができる。なお、少なくとも教示部53が屈曲教示情報を出力しているとき、かつ刺激付与目的として筋力アシストが設定されているとき、第1電極部30をオンに設定し、第2電極部40をオフに設定することにより筋力アシストの効果を高めることができる。
【0062】
図6を参照して、電気刺激装置1の動作の具体例について説明する。
図6は、鍛練動作の種類として腕曲げ伸ばし運動が設定され、かつ刺激付与目的として筋力アップが設定された場合における電気刺激装置1の動作および使用者100の動作の一例を示す。
図6は、任意の時刻t21から次の時刻t21までを刺激付与部10の1制御周期として示している。なお、以下の説明における「伸張動作」とは、上肢110が、ある状態から
図4(a)に示す伸張状態に移行する動作を意味する。また、「屈曲動作」とは、上肢110が、ある状態から
図4(b)に示す屈曲状態に移行する動作を意味する。すなわち、鍛練動作の状態は、上肢110のある状態を基準として伸張動作または屈曲動作のいずれかに分類される。
【0063】
時刻t20において、制御部51は動作を開始する。制御部51は、動作の開始後において、操作部54から操作信号SHを受信する。制御部51は、一例として、鍛練動作の種類として腕曲げ伸ばし運動を示し、かつ刺激付与目的として筋力アップを示す操作信号SHを受信する。制御部51は、操作信号SHに対応する動作教示パターンおよび刺激付与パターンを記憶部52から読み出す。制御部51は、一例として、腕曲げ伸ばし運動に対応する動作教示パターンおよび刺激付与パターンを記憶部52から読み出す。
【0064】
制御部51は、読み出した動作教示パターンに基づいて教示制御信号SZを生成する。制御部51は、生成した教示制御信号SZを教示部53に出力する。制御部51は、読み出した刺激付与パターンに基づいて刺激制御信号SXを生成する。制御部51は、生成した刺激制御信号SXを第1電極部30または第2電極部40に出力する。
【0065】
時刻t20から時刻t21までの期間において、制御部51は、上肢110の動作状態の維持を示す教示制御信号SZを生成する。制御部51は、生成した教示制御信号SZを教示部53に出力する。制御部51は、一例として、上肢110を屈曲状態に維持することを示す教示制御信号SZを教示部53に出力する。
【0066】
教示部53は、上肢110の動作状態の維持を示す教示制御信号SZに基づいて、上肢110の動作状態の維持を案内する教示情報を画像表示部53Aにより出力する。教示部53は、上肢110の動作状態の維持を示す教示制御信号SZに基づいて、上肢110の動作状態の維持を案内する教示情報を音出力部53Bにより出力する。
【0067】
時刻t21において、制御部51は、上肢110の鍛練動作の開始を指示する教示制御信号SZを生成する。時刻t21において、制御部51は、生成した教示制御信号SZを教示部53に出力する。制御部51は、一例として、上肢110が伸張動作、屈曲動作の順に動作を行うことを指示する教示制御信号SZを教示部53に出力する。
【0068】
教示部53は、上肢110の鍛練動作の開始を指示する教示制御信号SZに基づいて、上肢110の伸張動作および屈曲動作を案内する教示情報を画像表示部53Aにより出力する。教示部53は、上肢110の鍛練動作の開始を指示する教示制御信号SZに基づいて、上肢110の伸張動作および屈曲動作を案内する教示情報を音出力部53Bにより出力する。教示部53は、一例として、上肢110が伸張動作、屈曲動作の順に動作を行うことを案内する教示情報を、画像表示部53Aおよび音出力部53Bにより出力する。なお、以下の説明においては、教示制御信号のうち、次の1制御周期の鍛練動作の開始を案内する信号を「周期切替信号」として示す。また、教示制御信号のうち、伸張動作および屈曲動作を継続することを案内する信号を「動作継続信号」として示す。
【0069】
時刻t21から時刻t23において、使用者100は、次のとおり動作する。時刻t21において、使用者100は、伸張動作を開始する。すなわち、使用者100は、上肢110の任意の状態から、伸張状態となるように上肢110を動作する。
【0070】
時刻t23において、使用者100は、次のとおり動作する。時刻t23において、使用者100は屈曲動作を開始する。すなわち、使用者100は、伸張状態の上肢110が屈曲状態となるように上肢110を動作する。
【0071】
時刻t23以降において、使用者100は、次のとおり動作する。使用者100は、教示部53から、周期切替信号が出力されるまで(2制御周期目の時刻t22)、屈曲動作を行う。
【0072】
時刻t20から時刻t22までの期間において、制御部51は、第1電極部30のオフを指示する第1刺激制御信号S1を生成する。制御部51は、生成した第1刺激制御信号S1を第1電極部30に出力する。このため、第1電極部30は、時刻t20から時刻t22までの期間において使用者100に電気刺激を付与しない。
【0073】
時刻t22から時刻t23までの期間において、制御部51は、第1電極部30のオンを指示する第1刺激制御信号S1を生成する。制御部51は、生成した第1刺激制御信号S1を第1電極部30に出力する。このため、第1電極部30は、時刻t22から時刻t23までの期間において使用者100に電気刺激を付与する。
【0074】
時刻t20から時刻t23までの期間において、制御部51は、第2電極部40のオフを指示する第2刺激制御信号S2を生成する。制御部51は、生成した第2刺激制御信号S2を第2電極部40に出力する。このため、第2電極部40は、時刻t20から時刻t23までの期間において使用者100に電気刺激を付与しない。
【0075】
時刻t23から2制御周期目の時刻t22までの期間において、制御部51は、第2電極部40のオンを指示する第2刺激制御信号S2を生成する。制御部51は、生成した第2刺激制御信号S2を第2電極部40に出力する。このため、第2電極部40は、時刻t23から2制御周期目の時刻t22までの期間において使用者100に電気刺激を付与する。
【0076】
なお、鍛練動作の種類として腕曲げ伸ばし運動が設定され、かつ刺激付与目的として筋力アシストが設定された場合における電気刺激装置1の動作は、
図6に示す電気刺激装置1の動作と反対の動作となる。すなわち、電気刺激装置1は、第1電極部30のオンとオフのタイミングが反対になるように動作する。また、電気刺激装置1は、第1電極部30のオンとオフのタイミングが逆になるように動作する。
【0077】
図7を参照して、刺激付与パターンの変更について説明する。
制御部51は、動作教示パターンを形成する情報(以下、「教示形成情報」)を変更することにより、使用者100の鍛練動作を変化させる。制御部51は、教示形成情報として鍛練動作周期TTを変更する。鍛練動作周期TTは、動作教示情報を出力してから次の動作教示情報を出力するまでの期間を示す。すなわち、鍛練動作周期TTは、
図9に示す時刻t31から次の1制御周期の時刻t31までの時間を示す。
【0078】
制御部51は、刺激付与パターンを形成する情報(以下、「付与形成情報」)を変更することにより、使用者100に対する電気刺激の付与形態を変更する。制御部51は、付与形成情報として供給電圧V(電力値)、刺激付与周期TE、第1刺激時間TEA、第2刺激時間TEB、デューティ比TP、および刺激付与ディレイ時間TDの少なくとも一つを変更する。
【0079】
供給電圧Vは、第1電極部30または第2電極部40に供給される電圧の大きさを示す。刺激付与周期TEは、第1電極部30または第2電極部40をオンに設定してから次に第1電極部30または第2電極部40をオンに設定するまでの時間を示す。すなわち、刺激付与周期TEは、
図9に示す時刻t32から次の1制御周期の時刻t32までの時間を示す。
【0080】
第1刺激時間TEAは、1制御周期において、第1電極部30をオンに設定し、かつ第2電極部40をオフに設定する時間を示す。すなわち、第1刺激時間TEAは、
図9に示す時刻t32から時刻t33までの時間を示す。
【0081】
第2刺激時間TEBは、1制御周期において、第1電極部30をオフに設定し、かつ第2電極部40をオンに設定する時間を示す。すなわち、第2刺激時間TEBは、
図9に示す時刻t33から次の1制御周期の時刻t32までの時間を示す。
【0082】
デューティ比TPは、刺激付与周期TEに対する第1電極部30または第2電極部40をオンに設定する時間の比率を示す。
刺激付与ディレイ時間TDは、教示制御信号SZの出力タイミングに対して、第1刺激制御信号S1または第2刺激制御信号S2の出力タイミングを遅延させる時間の長さを示す。すなわち、刺激付与ディレイ時間TDは、
図9に示す時刻t31から時刻t32までの時間または時刻t31から時刻t33までの時間を示す。
【0083】
電気刺激装置1は、以下の効果を奏する。
(1)電気刺激装置1は、第1電極部30、第2電極部40、制御部51、および教示部53を有する。制御部51は、教示部53が教示する動作タイミングに基づいて刺激制御信号SXを出力する。この構成によれば、使用者の行う動作の開始タイミングが、教示部53が教示する動作タイミングと相関する。このため、制御部51による刺激制御信号SXの出力タイミングと、使用者の動作タイミングとが互いに相関する。このため、第1電極部30または第2電極部40の電気刺激の出力タイミングと使用者の動作タイミングとが互いに相関する。このため、使用者の動作に適したタイミングにおいて電気刺激が出力される頻度が高くなる。このため、電気刺激が筋肉に及ぼす影響が高められる。
【0084】
(2)制御部51は、刺激制御信号SXの内容を変更することにより、第1電極部30および第2電極部40の供給電圧Vの大きさを変更する。このため、電気刺激装置1によれば、筋肉に付与する負荷を変更することができる。
【0085】
(3)制御部51は、刺激制御信号SXの内容を変更することにより、刺激付与周期TEを変更する。このため、電気刺激装置1によれば、筋肉に付与する負荷を変更することができる。
【0086】
(4)制御部51は、刺激制御信号SXの内容を変更することにより、動作タイミングに対する電気刺激の出力タイミングを変更する。このため、電気刺激装置1によれば、筋肉に付与する負荷を変更することができる。
【0087】
(5)制御部51は、刺激制御信号SXの内容を変更することによりデューティ比TPを変更する。このため、電気刺激装置1によれば、筋肉に付与する負荷を変更することができる。
【0088】
(6)制御部51は、鍛練動作周期TTを変更する。このため、電気刺激装置1によれば、行うことができるトレーニングが多様になる。
(7)電気刺激装置1は、第1電極部30および第2電極部40を有する。制御部51は、刺激制御信号SXとして第1刺激制御信号S1および第2刺激制御信号S2を出力する。制御部51は、第1刺激制御信号S1を第1電極部30に出力する。制御部51は、第2刺激制御信号S2を第2電極部40に出力する。制御部51は、第1刺激制御信号S1および第2刺激制御信号S2を個別に生成する。このため、電気刺激装置1は、複数の筋肉に多様な電気刺激を付与することができる。
【0089】
(8)電気刺激装置1の記憶部52は、刺激付与パターンを記憶する。このため、刺激付与パターンを使用者が設定する構成と比較して、より簡単に電気刺激を筋肉に付与することができる。
【0090】
(9)電気刺激装置1の制御部51は、付与形成情報として、供給電圧V、刺激付与周期TE、第1刺激時間TEA、第2刺激時間TEB、デューティ比TP、および刺激付与ディレイ時間TDの少なくとも一つを変更する刺激制御信号SXを第1電極部30および第2電極部40に出力する。このため、電気刺激装置1は、筋肉に対する負荷を変更することができる。
【0091】
(10)電気刺激装置1の教示部53を有する。教示部53は、画像表示部53Aおよび音出力部53Bを有する。このため、例えば、使用者100の鍛練動作をセンサーによって検知して電気刺激を付与する構成の電気刺激装置と比較して、コストが高くなることを抑制できる。
【0092】
(第2実施形態)
本実施形態の電気刺激装置1は、第1実施形態の電気刺激装置1との主要な相違点として、次の相違点を有する。すなわち、第1実施形態の記憶部52は、鍛練動作の種類と刺激付与目的とを予め組み合わせて記憶する。第1実施形態の制御部51は、鍛練動作の種類と刺激付与目的の組み合わせを記憶部52から読み出す。一方、本実施形態の電気刺激装置1は、鍛練動作の種類、刺激対象部位、および刺激付与目的を使用者が任意に選択する。
【0093】
図8に示されるように、使用者は、教示部53に表示される情報から、鍛練動作の種類を選択する。例えば、使用者が、鍛練動作の種類として腕立て伏せを選択した場合、教示部53に表示される情報は、
図9に示される情報に切り替わる。すなわち、教示部53に表示される情報は、刺激対称部位の名称に切り替わる。このとき、教示部53には、使用者が選択した鍛練動作の種類に関連のある筋肉の名称が表示される。
【0094】
例えば、使用者が、刺激対象部位として、上腕二頭筋を選択した場合、
図10に示すように、教示部53に表示される情報が、刺激付与目的を示す情報に切り替わる。このように使用者は、各項目を順次選択する。記憶部52は、使用者が選択し得る各項目の全ての組み合わせに対応する刺激付与パターンを記憶している。制御部51は、該当する刺激付与パターンを記憶部52から読み出す。
【0095】
本実施形態の電気刺激装置1は、以下の効果を奏する。
(11)刺激付与パターンは、鍛練動作の種類、刺激対象部位、および刺激付与目的といった項目を使用者が適宜選択することにより決定される。このため、電気刺激装置1は、筋肉に多様な電気刺激を付与することができる。
【0096】
(第3実施形態)
本実施形態の電気刺激装置1は、第2実施形態の電気刺激装置1との主要な相違点として、次の相違点を有する。すなわち、第2実施形態の電気刺激装置1の教示部53は、刺激対象部位を文字により表示する。一方、本実施形態の電気刺激装置1は、刺激対象部位を画像により表示する。
【0097】
図11に示すように、教示部53は、使用者により刺激対象部位が選択されるとき、人体の画像を表示する。例えば、使用者は、刺激対象部位としての上腕二頭筋121のおおよその位置を把握しているが、上腕二頭筋121の正式な名称を把握していない場合、選択領域XAを選択する。使用者は、操作部54を操作することにより選択領域XAを選択する。選択領域XAは、人体の画像のうち、上腕二頭筋121が含まれる領域を示す。
【0098】
教示部53は、使用者が選択領域XAを選択後、
図12に示すように、選択領域XAを拡大した画像を表示する。その後、使用者は、操作部54を操作することにより上腕二頭筋121を選択する。
【0099】
本実施形態の電気刺激装置1は以下の効果を奏する。
(11)電気刺激装置1は、刺激対象部位を画像により表示する。このため、使用者は、所望する刺激対象部位の正式名称を把握していなくても、容易に刺激対象部位を選択できる。
【0100】
(その他の実施形態)
本電気刺激装置は、第1実施形態〜第3実施形態以外の実施形態を含む。以下、電気刺激装置のその他の実施形態としての第1実施形態〜第3実施形態の変形例を示す。なお、以下の各変形例は、互いに組み合わせることもできる。
【0101】
・第1実施形態の教示部53は、画像表示部53Aおよび音出力部53Bを有する。すなわち、第1実施形態の教示部53は、画像および音を媒体として動作タイミングを使用者に教示する。ただし、教示部53の構成はこれに限られない。例えば、変形例の教示部53は、音声、映像、振動、文字および照明の少なくとも一つにより使用者に動作タイミングを教示する。
【0102】
・第1実施形態のカフ20は、上肢110または下肢140に巻きつけられる構成を有する。ただし、カフ20の構成はこれに限られない。例えば、変形例のカフ20は、使用者100の腹、背中、および肩の少なくとも一つに装着可能な形状を有する。
【0103】
・第1実施形態の記憶部52は、予め動作教示パターンおよび刺激付与パターンを記憶している。ただし、使用者は、動作教示パターンおよび刺激付与パターンを自身の特徴に応じたパターンに変更することができる。記憶部52は、使用者によって変更された動作教示パターンおよび刺激付与パターンとしての変更パターンを記憶する。
【0104】
・第1実施形態の電気刺激装置1は、第1電極部30および第2電極部40を有する。ただし、電気刺激装置1が有する電極部の数はこれに限られない。例えば、変形例の電気刺激装置1は、第1電極部30のみを有する。さらに、変形例の電気刺激装置1は、第1電極部30および第2電極部40に加えて、第3電極部を有する。この場合、制御部51は、刺激制御信号SXとして第3刺激制御信号を第3電極部に出力する。すなわち、制御部51は、第1刺激制御信号S1、第2刺激制御信号S2、および第3刺激制御信号を個別に生成する。要するに、変形例の電気刺激装置1は、任意の数の電極部を有する。
【0105】
・第2実施形態の刺激付与パターンは、鍛練動作の種類、刺激対象部位、および刺激付与目的を使用者が任意に選択することにより決定される。ただし、刺激付与パターンの構成はこれに限られない。例えば、変形例の刺激付与パターンは、使用者が鍛練動作の種類のみを選択する。変形例の刺激付与パターンにおいては、刺激対象部位および刺激付与目的は、電気刺激装置1が任意に決定する。