特許第6032809号(P6032809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032809
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】永久磁石同期電動機の制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 5/50 20160101AFI20161121BHJP
【FI】
   H02P5/50 D
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-21922(P2013-21922)
(22)【出願日】2013年2月7日
(65)【公開番号】特開2014-155290(P2014-155290A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2016年1月5日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年8月21日、一般社団法人電気学会発行の「平成24年電気学会産業応用部門大会 講演論文集(CD−ROM)」に発表、および、平成24年8月23日、一般社団法人 電気学会主催の「平成24年電気学会産業応用部門大会」において発表
(73)【特許権者】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 康司
(72)【発明者】
【氏名】伊東 淳一
(72)【発明者】
【氏名】長野 剛
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−295647(JP,A)
【文献】 特開2005−245058(JP,A)
【文献】 特開2013−031234(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0026964(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が主巻線と補助巻線とを有する複数の永久磁石同期電動機と、
前記複数の永久磁石同期電動機の各々に有する前記主巻線に接続された主インバータと、
前記複数の永久磁石同期電動機に対応して設けられ、前記永久磁石同期電動機に有する前記補助巻線に接続され、前記補助巻線を介して前記永久磁石同期電動機の負荷角の変動による乱調により生じるトルク振動を打ち消すトルクを発生させる電流を前記永久磁石同期電動機に流す複数の補助インバータと、
を備えることを特徴とする永久磁石同期電動機の制御装置。
【請求項2】
電圧/周波数制御により前記主インバータを制御して、前記複数の永久磁石同期電動機を並列運転させる主インバータ制御部と、
前記複数の補助インバータに対応して設けられ、前記補助巻線を介してベクトル制御及びダンピング制御により前記補助インバータに流す電流を個別に制御して、前記乱調により生じるトルク振動を打ち消すトルクを発生させる電流を前記永久磁石同期電動機に流す複数の補助インバータ制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の永久磁石同期電動機の制御装置。
【請求項3】
前記複数の補助インバータ制御部の各々は、
前記補助インバータに流れる三相電流をd軸電流検出値とq軸電流検出値に変換する第1のdq/uvw変換部と、
角速度指令と前記永久磁石同期電動機の回転角速度との偏差を求める加算器と、
前記加算器で得られた前記偏差にダンピングゲインを乗算してq軸電流指令値を得るダンピング制御部と、
d軸電流指令値及び前記d軸電流検出値に基づき求められるd軸指示電圧と前記q軸電流指令値及び前記q軸電流検出値に基づき求められるq軸指示電圧とを、三相指示電圧に変換して前記補助インバータに供給する第2のdq/uvw変換部と、
を備えることを特徴とする請求項2記載の永久磁石同期電動機の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の永久磁石同期電動機の並列運転を制御する永久磁石同期電動機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導電動機は、高信頼性を有し、構造が簡単であり、低価格であるため、クレーンなどの一般産業用機械に広く用いられ、中型、大型のモータでは他のモータに比べ、使用個数や電力容量の総量が最も多い。
【0003】
図8は、複数のインバータ101a〜101cにより複数の誘導電動機(IM:Induction motor)103a〜103cを駆動する従来の駆動システムを示している。ファン・ブロアの駆動などの複数の電動機を駆動するシステムでは、装置の小型化、軽量化、低コスト化の観点から、図9に示すように、1つのインバータ101dにより複数の誘導電動機103a〜103cを駆動するシステムが用いられている。
【0004】
誘導電動機において、1つのインバータ101dにより複数の誘導電動機を103a〜103cを駆動できる理由は、誘導電動機がすべりを持つためであり、このすべりにより誘導電動機はトルクを得ている。誘導電動機は、この特性上、並列運転した際には、すべりにより各々の誘導電動機が同一の回転速度に収束する。
【0005】
一方、永久磁石同期電動機は、誘導電動機と比べて、容量範囲に限らず、高効率であるとともに、小型であるため、近年、省エネルギー化の観点から広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−22184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、誘導電動機における並列運転技術を永久磁石同期電動機に適用した場合には、永久磁石同期電動機の原理・構造上、1台のインバータにより永久磁石同期電動機を並列運転することができない。即ち、永久磁石同期電動機では、磁極位置に応じて電流を制御しなければならないため、1台のインバータで永久磁石同期電動機を並列運転することができない。
【0008】
また、永久磁石同期電動機は、本質的にV(電圧)/f(周波数)制御で駆動されると、同期リアクタンスとの慣性モーメントの共振により、負荷トルク振動が発生する。この負荷トルク振動が乱調と呼ばれる負荷角の振動及びトルク回転速度の振動として現れる。この負荷角の振動により負荷トルクが脱出トルクを超えて、脱調が起きる。このため、複数の永久磁石同期電動機を並列運転するためには、トルク振動をいかに抑制するかが重要となる。
【0009】
本発明は、複数の永久磁石同期電動機を駆動でき、トルク振動を抑制することができる永久磁石同期電動機の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の永久磁石同期電動機の制御装置は、各々が主巻線と補助巻線とを有する複数の永久磁石同期電動機と、前記複数の永久磁石同期電動機の各々に有する前記主巻線に接続された主インバータと、前記複数の永久磁石同期電動機に対応して設けられ、前記永久磁石同期電動機に有する前記補助巻線に接続され、前記補助巻線を介して前記永久磁石同期電動機の負荷角の変動による乱調により生じるトルク振動を打ち消すトルクを発生させる電流を前記永久磁石同期電動機に流す複数の補助インバータとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、主インバータにより複数の永久磁石同期電動機を駆動でき、複数の補助インバータにより、補助巻線を介して永久磁石同期電動機の負荷角の変動による乱調により生じるトルク振動を打ち消すトルクを発生させる電流を永久磁石同期電動機に流すので、振動トルクを相殺することができ、トルク振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1の永久磁石同期電動機の制御装置の構成ブロック図である。
図2】本発明の実施例1の永久磁石同期電動機の制御装置に設けられた主インバータ制御部及び補助インバータ制御部の詳細な構成ブロック図である。
図3図2に示す補助インバータ制御部に設けられたダンピング制御部によるダンピング制御ブロックを示す図である。
図4】単独運転時のダンピング制御適用前のモータ加速時におけるシミュレーション結果を示す図である。
図5】単独運転時のダンピング制御適用後のモータ加速時におけるシミュレーション結果を示す図である。
図6】シミュレーション条件を示す図である。
図7】ダンピング制御を適用した並列運転時のシミュレーション結果を示す図である。
図8】複数のインバータで複数の誘導電動機を駆動する従来の駆動システムを示す構成ブロック図である。
図9】1つのインバータで複数の誘導電動機を駆動する従来の駆動システムを示す構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態の永久磁石同期電動機の制御装置を図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1の永久磁石同期電動機の制御装置の構成ブロック図である。実施例1の永久磁石同期電動機の制御装置は、1つの主インバータとn(n≧2の整数)個の補助インバータとを用いて、n個の永久磁石同期電動機を駆動することを特徴とする。図1に示す実施例1では、nを3個とした例を示している。nは3に限定されるものではない。
【0015】
図1に示す永久磁石同期電動機の制御装置は、1つの主インバータ1と、補助インバータ3a〜3cと、3つの永久磁石同期電動機5a〜5cとを備える。
【0016】
永久磁石同期電動機5aは、主インバータ1に接続される主巻線7aと補助インバータ3aに接続されるダンピング制御用の補助巻線9aと有する。永久磁石同期電動機5bは、主インバータ1に接続される主巻線7bと補助インバータ3bに接続されるダンピング制御用の補助巻線9bと有する。永久磁石同期電動機5cは、主インバータ1に接続される主巻線7cと補助インバータ3cに接続されるダンピング制御用の補助巻線9cと有する。
【0017】
主インバータ1は、大容量であり、複数の永久磁石同期電動機5a〜5cを群運転し、V/f制御により複数の永久磁石同期電動機5a〜5cを並列運転する。V/f制御は、センサを必要とせず、オープンループで永久磁石同期電動機を駆動するため、ベクトル制御よりも複数の永久磁石同期電動機5a〜5cの並列運転が容易になる。
【0018】
補助インバータ3a〜3cは、補助巻線9a〜9cを介して乱調により生じるトルク振動を打ち消すトルクを発生させる電流を永久磁石同期電動機5a〜5cに流すことで、乱調による振動トルクを相殺する。具体的には、補助インバータ3a〜3cは、ベクトル制御により、個別に電流制御を行い、速度制御器をダンピング制御器として動作させ、即ち、補助巻線9a〜9cを介してダンピング制御を行い、乱調を抑制する。
【0019】
補助巻線9a〜9cは、主巻線7a〜7cに対して、十分に小さい定格容量に設計され、補助インバータ3a〜3cは、主インバータ1に対して、十分に小さい定格容量に設計されている。
【0020】
従って、実施例1の永久磁石同期電動機の制御装置は、出力トルク及び回転速度に乱調が発生せず、並列運転を行うことができる。
【0021】
なお、各々の永久磁石同期電動機5a〜5cに付随する補助インバータ3a〜3cが各々の永久磁石同期電動機5a〜5cで生じる乱調を抑制するため、3つ以上の永久磁石同期電動機を並列運転させても、同様のシステムにより装置の安定化が図れる。
【0022】
このため、実施例1の永久磁石同期電動機の制御装置は、1台の永久磁石同期電動機に中容量のインバータを接続するシステムに比較して、大容量の1つの主インバータ1に複数の永久磁石同期電動機5a〜5cを接続し、小容量の補助インバータ3a〜3cを接続することでシステムの低コスト化が図れる。
【0023】
図2は、本発明の実施例1の永久磁石同期電動機の制御装置に設けられた主インバータ制御部及び補助インバータ制御部の詳細な構成ブロック図である。
【0024】
主インバータ制御部11は、主インバータ1をV/f制御するもので、速度指令ωжをf/V変換部111により指示電圧vγδжに変換し、速度指令ωжを微分(1/s)して指示角度θγδを求め、指示電圧vγδж及び指示角度θγδをγδ/3φ変換部115によりu相v相w相の3相の三相指示電圧vum、vwm、vvmに変換して、三相指示電圧vum、vwm、vvmを主インバータ1に供給する。
【0025】
パルス発生器(PS)15は、永久磁石同期電動機5の磁極位置及び回転角速度に応じてパルスを発生し、発生したパルスに応じた磁極位置検出値θをdq/uvw変換部134及びdq/uvw変換部149に出力し、回転角速度ωを加算器131に出力する。
【0026】
補助インバータ制御部13は、d軸及びq軸の2軸により補助インバータ3をベクトル制御する。各々の補助インバータ3の座標軸は、通常のベクトル制御と同じく、d軸を磁束ベクトルの方向と一致させる。d軸電流指令値idжは、最大効率運転を実現するように制御する方法もあるが、ここでは簡単のためd軸電流指令値idжをゼロとする。q軸電流指令値iqжは、トルクの振動を抑制するため、磁極位置の変動分に応じて逆方向にカウンターを与える。
【0027】
図3は、図2に示す補助インバータ制御部に設けられたダンピング制御部によるダンピング制御ブロックを示す図である。図3(a)に示すダンピング制御では、加算器19により磁極位置指令θжと磁極位置検出値θとの差δを求め、この差δを1次遅れ微分要素及び積分要素を持つ伝達関数21により擬似微分して、磁極位置の変動分を取り出す。さらに、磁極位置の変動分に比例ゲインKdを乗算し、d軸電流指令値iqжを得る。
【0028】
しかし、図3(a)に示すダンピング制御方法は、位置情報を微分するため、ノイズの影響を受け易いという問題や擬似微分による帯域の制限がある。
【0029】
そこで、図2に示す補助インバータ制御部13では、磁極位置の微分が速度であることに着目し、図3(b)及び補助インバータ制御部13に示すように、速度情報を用いて、加算器131は、角速度指令ωжからパルス発生器(PS)15からの回転角速度ωを減算し、得られた偏差Δωをダンピング制御部133に出力する。
【0030】
ダンピング制御部133は、加算器131からの偏差ΔωにダンピングゲインKdを乗算してq軸電流指令値iqжを得る。ここで、ダンピング制御は、速度制御器(ACR)と同様の構成になるが、制御器を比例制御器とすることで、V/f制御が設定する速度指令に対して、変動分のみを補償する形で動作する。
【0031】
ここでは、磁束情報は、簡単のため、センサ付きを仮定するが、センサレスベクトル制御の技術を用いて、推定することもできる。
【0032】
電流検出器17は、補助インバータ3に流れる三相電流iu,iw,ivを検出し、dq/uvw変換部134に出力する。dq/uvw変換部134は、三相電流iu,iw,ivをd軸電流検出値idとq軸電流検出値iqに変換し、d軸電流検出値idを加算器137に出力し、q軸電流検出値iqを加算器135に出力する。
【0033】
加算器137は、d軸電流指令値idжからd軸電流検出値idを減算し、減算出力をACR141とデカプリング制御部139に出力する。加算器135は、q軸電流指令値iqжからq軸電流検出値iqを減算し、減算出力をACR143とデカプリング制御部139に出力する。
【0034】
加算器145は、ACR141の出力からデカプリング制御部139の出力を減算し、減算出力をd軸指示電圧vdж としてdq/uvw変換部149に出力する。加算器147は、ACR143の出力とデカプリング制御部139の出力とを加算し、加算出力をq軸指示電圧vqжとしてdq/uvw変換部149に出力する。
【0035】
dq/uvw変換部149は、d軸指示電圧vdж及びq軸指示電圧vqжをuvw変換して、u相v相w相の3相の三相指示電圧vua、vwa、vvaに変換して、三相指示電圧vua、vwa、vvaを補助インバータ3に供給する。
【0036】
図4は、単独運転時のダンピング制御適用前のモータ加速時におけるシミュレーション結果を示す図である。図5は、単独運転時のダンピング制御適用後のモータ加速時におけるシミュレーション結果を示す図である。図6は、シミュレーション条件を示す図である。
【0037】
図5に示すダンピング制御を適用した後のシミュレーションでは、負荷として定トルク負荷35Nm(1p.u.) を加速時間が終了した後に加算している。加速時間は、定格加速時間の0.164sとした。
【0038】
図4に示すダンピング制御を適用する前では、加速開始直後から乱調による負荷角が振動することで、トルクと回転速度に振動が発生している。
【0039】
一方、図5に示すダンピング制御を適用した後は、加速開始直後に負荷角の振動が見られるが、ダンピング制御により振動が収束していることがわかる。その結果、トルク及び回転速度の振動は、抑制され、回転速度は速度指令に追従している。
【0040】
また、定格トルクを加速時間が終了した後に印加し、負荷変動が生じた際にもダンピング制御によるトルクおよび速度変動が抑制された。これにより、ダンピング制御により乱調の抑制が可能であることが確認できる。
【0041】
補助インバータが乱調発生時にのみ動作しているか確認するために、出力トルクTと主インバータ1のdq軸電流寄与のトルクTmと補助インバータ3a〜3cのdq軸電流寄与のトルク(ダンピングトルク)TDに着目する。
【0042】
図5から、主インバータ1のdq軸電流寄与のトルクTmにダンピングトルクTDを加算することで、トルクTに振動が発生した際に、ダンピングトルクTDが振動を打ち消すように生じていることが確認できる。
【0043】
図7は、ダンピング制御を適用した並列運転時のシミュレーション結果を示す図である。キャプションのサフィックスは、2台の永久磁石同期電動機を区別するためにそれぞれ1,2を付けている。例えば、回転速度ω1,ω2、トルクT1,T2、補助出力電圧P1,P2である。
【0044】
なお、シミュレーション条件は、永久磁石同期電動機を単独運転する時と同一である。しかし、2台の永久磁石同期電動機を並列運転しているため、出力電力は2台の永久磁石同期電動機の定格出力の合計で基準化している。加速時間は、0.164sとした。
【0045】
ダンピング制御を適用した時には、単独運転時と同様に加速を開始した後にトルクや回転速度に乱調が発生する。しかし、その後、収束している。
【0046】
また、定格回転速度まで到達した後、異なるタイミングで各々の永久磁石同期電動機に定格トルクを入力した場合、負荷変動は生じるが、問題なく安定動作している。
【0047】
さらに、同時に負荷バランスが異なる場合でも並列運転が行える。振動が収束した後には、補助インバータは動作していないため、乱調発生時にのみ補助インバータが動作していることを確認でき、単独運転時と同様の効果が得られる。また、永久磁石同期電動機を加速中でも乱調を抑制し、安定な動作が可能であることを確認できる。
【0048】
出力電力に着目すると、並列運転しているため、主インバータ1の出力電圧は、定格出力の2倍の電力(1p.u.)を出力しているのに対して、補助インバータの出力電力は、それぞれ最大で0.25p.u.出力している。
【0049】
単独運転時の結果と比較すると、永久磁石同期電動機の並列台数の増加とともに主インバータ1の容量は増加してしまうが、補助インバータの容量は変化しないことがわかる。
【0050】
さらに、単独運転時と同様にダンピングゲインKdを調整することによって、各補助インバータの出力電力、電流は変化するため、各補助インバータの容量は、主インバータ1に比べて、25%以下の容量で構成することができる。
【0051】
これは、並列台数が増えても同様であるため、並列台数の増加に伴い、主インバータ1と比較して各補助インバータを小容量で構成できることがわかる。
【0052】
なお、並列台数が3台以上の場合でも同様に並列運転が可能なことをシミューレーションで確認している。各々の永久磁石同期電動機でダンピング制御を行うことで乱調を抑制しているため、並列台数に制限はない。
【0053】
このように実施例1の永久磁石同期電動機の制御装置によれば、主インバータ1により複数の永久磁石同期電動機5a〜5cを駆動でき、複数の補助インバータ3a〜3cにより、補助巻線9a〜9cを介して永久磁石同期電動機5a〜5cの負荷角の変動による乱調により生じるトルク振動を打ち消すトルクを発生させる電流を永久磁石同期電動機5a〜5cに流すので、振動トルクを相殺することができ、トルク振動を抑制することができる。
【0054】
主インバータ1は、V/f制御により複数の永久磁石同期電動機5a〜5cを並列運転し、補助インバータ3a〜3cは、ベクトル制御により個別に電流制御を行い、速度制御器をダンピング制御器として動作させることにより補助巻線9a〜9cを介してダンピング制御を行い、乱調を抑制することができる。
【0055】
具体的には、加算器131が角速度指令ωжと永久磁石同期電動機の回転角速度ωとの偏差Δωを求め、ダンピング制御部133が加算器131で得られた偏差ΔωにダンピングゲインKdを乗算してq軸電流指令値iqжを得るので、このダンピングゲインKdを調整することによって、各補助インバータ3a〜3cの出力電圧、電流を調整することができる。即ち、ダンピング制御を行い、乱調を抑制することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 主インバータ
3,3a〜3c 補助インバータ
5,5a〜5c 永久磁石同期電動機(PM)
7,7a〜7c 主巻線
9,9a〜9c 補助巻線
11 主インバータ制御部
13 補助インバータ制御部
15 パルス発生器
17 電流検出器
19,131,135,137,145,147 加算器
111 f/V変換部
115 rδ/3φ変換部
133 ダンピング制御部
134,149 dq/uvw変換部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9