(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、医学や生物学等の分野では、細胞等の観察に、標本を照明して観察する顕微鏡が用いられている。また、工業分野においても、金属組織等の品質管理や、新素材の研究開発、電子デバイスや磁気ヘッドの検査等、種々の用途で顕微鏡が利用されている。顕微鏡による標本の観察は、目視によるものの他、CCDカメラ等の撮像素子を用いて標本像を撮像し、モニタ表示する構成を有するものが知られている。
【0003】
まず、従来の倒立型顕微鏡について、図面を参照して説明する。
図20は、従来の顕微鏡200の全体構成を示す模式図である。また、
図21,22は、従来の顕微鏡200の要部の構成を示す部分断面図である。なお、
図21,22は、後述する対物レンズ213aの中心軸を通過する平面に対して互いに直交する平面を切断面とする部分断面図である。
【0004】
図20に示すように、顕微鏡200は、例えば標本Sを観察するための倒立型顕微鏡であって、顕微鏡200の土台をなし、顕微鏡200全体の制御を行う制御基板211が設けられた顕微鏡本体210と、標本Sを載置するステージ212と、倍率の異なる複数の対物レンズ213aを標本Sに対して交換可能に保持するレボルバ213と、顕微鏡本体210に保持され、落射照明光を出射する第1ランプハウス214と、接眼レンズ215aが設けられる鏡筒215と、顕微鏡本体210に保持され、透過照明光を出射する第2ランプハウス216と、を備える。
【0005】
ステージ212は、顕微鏡本体210の中位の高さレベルに設けてある。ステージ212は、例えばシャーレやスライドガラスのような、底面に標本Sを保持または収容する標本載置部材100を保持する。ステージ212には、板状をなす第1部材212a、第2部材212bおよび第3部材212cが順に積層されてなる(
図21,22参照)。このとき、ステージ212は、いずれかの部材を基準として、他の一方の部材を一方向(例えば、XY平面におけるX方向)に往復動可能に積層するとともに、他方の部材を、基準となる部材の主面上で、一方の部材の移動方向と垂直な方向(例えば、XY平面におけるY方向)に往復動可能に積層する。
【0006】
レボルバ213は、ステージ212の下方域に設けられたレボルバ保持台213bに回転自在に固定されている。このレボルバ213は、倍率の異なる複数の対物レンズ213aを固定配置しており、自身が回転することにより択一的に選択された対物レンズ213aをステージ212に載置された標本載置部材110の直下に配置して標本Sへの光の照射または標本Sからの光の取り込みを所定の対物レンズ213aに行わせるものである。
【0007】
レボルバ保持台213bは、ラック−ピニオン機構(図示せず)を介して回転焦準部210aに接続されており、回転焦準部210aの回転による動力をラック−ピニオン機構に伝達することにより、レボルバ213をステージ212に対して近接離反する態様で上下方向(図中、紙面上下方向)に沿って変位させるものである。
【0008】
ここで、ステージ212には、対物レンズ213aとの間で光の入出力を行えるように、ステージ212の各部材の板厚方向に貫通する開口が形成されている。この開口によって、対物レンズ213aは、標本Sへの照明光(または励起光)の導入、および標本Sからの反射光もしくは透過光の入力を行う。
【0009】
このとき、ステージ212の第3部材212cは、例えば標本載置部材110に応じたホルダ300を保持することによって、ステージ構造体をなし、このホルダ300が保持する標本載置部材110を載置する。ホルダ300は、第3部材212cの開口に応じた外形をなし、開口に固定されるとともに、標本載置部材110を設置する。これにより、顕微鏡200では、ステージ212上で標本Sを設置して標本像の観察を行うことが可能となる。
【0010】
以上の構成を有する顕微鏡を用いて生体細胞や細胞片等の標本を観察する場合、この標本が載置された標本載置部材110を顕微鏡に設置して行うのが一般的である。生体細胞を生きたままで観察する場合には、シャーレのような円形状の底面を有する標本載置部材110の底面に標本S(生体細胞)を載置し、培養してから観察を行う。細胞片等を観察する場合には、スライドガラスのような矩形状の底面を有する標本載置部材110の底面に標本(細胞片等)を載置し、カバーガラスを接着させてから観察を行う。このように標本載置部材110には種々の形状等があり、これら標本載置部材110を選択的に保持するホルダが着脱可能に設けられるステージを備えた顕微鏡が知られている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0025】
まず、本実施の形態にかかる倒立型顕微鏡について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態にかかる顕微鏡の全体構成を示す模式図である。
図1に示すように、顕微鏡1は、例えば蛍光色素にて特異的に染色された標本Sの標本像を結像して標本Sを観察するための倒立型顕微鏡であって、顕微鏡1の土台をなし、顕微鏡1全体の制御を行う制御基板11が設けられた顕微鏡本体10と、標本Sを載置するステージ12と、倍率の異なる複数の対物レンズ13aを標本Sに対して交換可能に保持するレボルバ13と、落射照明光を出射する第1ランプハウス14と、落射照明光、および標本Sが反射もしくは標本Sを透過した光の光路を切り替えるミラーユニット15と、ミラーユニット15からの光を所定方向に反射するミラー16と、ミラー16が反射した光の光軸上に設けられる鏡筒17と、透過照明光を出射する第2ランプハウス18と、第2ランプハウス18からの透過照明光を標本S(対物レンズ13a)に向けて反射するミラー19と、を備える。
【0026】
顕微鏡本体10は、顕微鏡1全体の制御を行う制御基板11が設けられ、略L字状をなし、第2ランプハウス18およびミラー19を保持する照明支柱10aと、照明支柱10aに上下動可能に支持されるコンデンサ10bと、照明支柱10aに設けられ、コンデンサ10bを上下動させる動力を入力するハンドル10cと、を有する。コンデンサ10bは、第2ランプハウス18の光源18a(後述)が発した光をステージ12上の標本Sに照射させる。このコンデンサ10bは、ハンドル10cからの動力の入力により上下方向に沿って移動可能である。なお、ハンドル10cによって入力される動力は、例えばハンドル10cの回転量に応じた距離だけコンデンサ10bが上下動するものであってもよいし、ハンドル10cの回転量に応じて制御基板11が電動でコンデンサ10bを上下動させるものであってもよい。
【0027】
ステージ12は、顕微鏡本体1の中位の高さレベルに設けてある。ステージ2は、後述するホルダ120を介して、例えばシャーレやスライドガラスのような、底面に標本Sを保持または収容する標本載置部材100を保持する。また、ステージ12は、標本載置部材100を載置する載置面を通過する平面上で、標本載置部材100を移動させることができる。
【0028】
レボルバ13は、ステージ12の下方域に設けられたレボルバ保持台13bに回転自在に固定されている。このレボルバ13は、倍率の異なる複数の対物レンズ13aを固定配置しており、自身が回転することにより択一的に選択された対物レンズ13aをステージ12に載置された標本載置部材100の直下に配置して標本Sへの光の照射または標本Sからの光の取り込みを所定の対物レンズ13aに行わせるものである。
【0029】
レボルバ保持台13bは、ラック−ピニオン機構(図示せず)を介して回転焦準部10dに接続されており、回転焦準部10dの回転による動力をラック−ピニオン機構に伝達することにより、レボルバ13をステージ12に対して近接離反する態様で上下方向に沿って変位させるものである。この回転焦準部10dは、この回転焦準部10dの回転量をレボルバ13の移動量としてもよいし、モータを内蔵することによって、制御基板11の制御のもと、レボルバ13を移動させるものであってもよい。
【0030】
第1ランプハウス14は、光源14aを内蔵した筐体であり、投光管14bを介して顕微鏡本体10に着脱可能となる態様で配設してある。投光管14bは、第1ランプハウス14の光源14aが発した光の通過を許容するものである。
【0031】
ミラーユニット15は、励起フィルタ15a、ダイクロイックミラー15bおよび吸収フィルタ15cを有し、ミラーカセット151の内部で保持されている。励起フィルタ15aは、励起波長に対応した光を光源14aから出射された出射光から抽出する。ダイクロイックミラー15bは、光源14aから出射された光のうち、所定波長の光を反射するとともに、標本Sが発した光のうち、所定波長の光を透過する。吸収フィルタ15cは、標本Sが発した光から所望の波長の光を抽出する。ミラーユニット15は、ミラーカセット151に内蔵されたモータ(図示せず)により、第1ランプハウス14の光源14aが発した光の光路に対して進入、あるいは離脱する態様で挿脱可能に構成してある。
【0032】
ミラー16は、ミラーカセット151の下方域に設けてあり、結像レンズ16aから射出された光を反射させるものである。ここで、結像レンズ16aは、対物レンズ13aから射出された平行光を収束させて標本Sの観察像を結像させるものである。
【0033】
鏡筒17は、顕微鏡本体10に着脱可能に設けたものであり、ミラー16で反射され、かつリレーレンズを有するレンズ光学系16bおよびプリズム17aを通過した光を接眼レンズ171に伝達させるものである。
【0034】
第2ランプハウス18は、光源18aを内蔵した筐体であり、顕微鏡本体10を構成する照明支柱10aに支持されている。ミラー19は、第2ランプハウス18の光源18aが発した光を標本S側に反射させるものである。
【0035】
図2は、本実施の形態にかかる顕微鏡の要部(ステージ構造体)の構成を模式的に示す分解斜視図である。
図3は、本実施の形態にかかる顕微鏡の要部の構成を模式的に示す上面図である。
図4は、
図3のA−A線断面を示す断面図である。
図2,3に示すステージ12およびホルダ120によって、ステージ構造体を構成する。
【0036】
ステージ12は、板状をなす第1部材12a、第2部材12bおよび第3部材12cが順に積層されてなる。このとき、ステージ12は、いずれかの部材を基準として、本実施の形態では、第2部材12bを基準として、第1部材12aを一方向(例えば、XY平面におけるX方向)に往復動可能に積層するとともに、第3部材12cを、第2部材12bの主面上で、第1部材12aの移動方向と垂直な方向(例えば、XY平面におけるY方向)に往復動可能に積層してなる。
【0037】
ここで、第2部材12bには、第1部材12aおよび第3部材12cを移動させるための動力を入力する入力部20が設けられる。この入力部20は、略棒状をなし、第2部材12bに連なる側と異なる側の端部に第1入力部20aおよび第2入力部20bを有する。第1入力部20aおよび第2入力部20bは、それぞれ入力部20の長手方向の中心軸まわりに回転可能であって、例えばラック−ピニオン機構(図示せず)を介して第1入力部20aの回転量を第1部材12aの移動量として入力し、第2入力部20bの回転量を第3部材12cの移動量として入力して、第1部材12aおよび第3部材12cを移動させる。なお、第1部材12aおよび第3部材12cに応じて入力ボタンおよびモータを設けて、制御基板11の制御のもと、第1部材12aをX方向に移動させ、第3部材12cをY方向に移動させるものであってもよい。
【0038】
また、第1部材12a、第2部材12bおよび第3部材12cには、対物レンズ13aと標本Sとの間で光の入出力を行えるように、板厚方向に略矩形をなして貫通する開口部121a,121b,121cがそれぞれ形成されている。この開口部121a,121b,121cによって、対物レンズ13aは、標本Sへの照明光(または励起光)の導入、および標本Sからの反射光もしくは透過光の入力を行うことが可能となる。
【0039】
このとき、ステージ12の第3部材12cは、上面において、標本載置部材100を保持するホルダ120を着脱可能に支持している。ホルダ120は、第3部材12cの開口部121cに応じた外形をなす板状であって、開口部121cに保持されるとともに、標本載置部材100を固定する。これにより、顕微鏡1では、ステージ12上で標本Sを固定して標本像の観察を行うことが可能となる。
【0040】
第3部材12cは、
図3,4に示すように、開口部121cの内部壁面から、この壁面と直交する方向に突出する突出部121d(支持部)を有する。この突出部121dは、少なくともホルダ120を載置する面が、第3部材12cの上面と平行となっている。また、突出部121dには、ホルダ120が載置された際にこのホルダ120をネジなどによって固定するためのネジ穴121eが形成されている。
【0041】
図5は、本実施の形態にかかる顕微鏡1の要部(ホルダ120)の構成を模式的に示す上面図である。
図6は、本実施の形態にかかる顕微鏡1の要部(ホルダ120)の構成を模式的に示す分解斜視図である。
図7は、本実施の形態にかかる顕微鏡1の要部の構成を模式的に示す斜視図であって、ホルダ120を第3部材12cに載置した場合を示す図である。
図8は、
図7のB−B線断面を示す断面図であって、ホルダ120を第3部材12cに載置した場合を示す図である。
【0042】
ホルダ120は、略矩形の板状をなす基部120aからなる。基部120aには、基部120aの板厚方向に略矩形をなして貫通する開口部120bが形成され、標本載置部材100などを保持した際に、所定方向に押し付ける押付部材122が設けられている。開口部120bは、内部壁面の一組の対向する壁面に設けられ、この壁面と直交する方向に突出して、標本載置部材100などを支持する第1支持部120cと、内部壁面の矩形の角部分の壁面に設けられ、この壁面と直交する方向に突出して、第2ホルダ123などを支持する第2支持部120dと、を有する。
【0043】
押付部材122は、
図5,6に示すように、土台をなす基部122aと、基部122aに取り付けられ、ホルダ120に保持された標本載置部材100を押し付ける押付部122bと、基部122aおよび押付部122bに挿通され、押付部122bを回転可能に支持する支持ピン122cと、を有する。また、押付部122bは、押付部材122がホルダ120に取り付けられた際に、開口部120bに向けて延出する延出部122dが標本載置部材100に当接する。基部122aは、固定ネジ122eによってホルダ120に固定されている。
【0044】
このとき、押付部122bは、コイルばね122fによって、押付部材122がホルダ120に取り付けられた際に、延出部122dが、開口部120bの最も近い角部から対角線上の角部に向けた方向に移動するように付勢されている。また、押付部122bは、規制面122g,122hを有し、それぞれが基部122aの側面122i,122jと当接することによって、押付部122bの回転範囲が規制されている。
【0045】
上述した構成をなすホルダ120は、
図7,8に示すように、第3部材の開口部121cに収容され、保持される。このとき、ホルダ120が第3部材12cによって支持される支持面の位置Lは、第3部材12cの上面位置から退避している。すなわち、支持面の位置Lは、第3部材12cの上面位置よりも低くなっている。また、ホルダ120の上面の位置は、第3部材12cの上面位置から突出している。
【0046】
図9は、本実施の形態にかかる顕微鏡の要部の構成を模式的に示す斜視図であって、標本載置部材100をホルダ120に載置した場合を示す図である。
図10は、
図9のC−C線断面に応じたステージ構造体を示す断面図であって、ホルダ120に標本載置部材100を載置した場合を示す図である。本実施の形態では、標本載置部材100が、標本を収容する収容部を複数有する略矩形状をなすものとして説明する。
【0047】
標本載置部材100は、略矩形の板状をなし、標本Sを収容可能な収容部100aを複数有する。収容部100aは、板面に対してマトリックス状に配列されている。また、標本載置部材100の外周形状は、開口部122bに応じた形状をなしており、ホルダ120の開口部120bに収容された際に、上述した第1支持部120cおよび第2支持部120dに支持され、後述する押付部材122によって付勢されて位置決めされる。
【0048】
標本載置部材100は、ホルダ120の開口部120bに収容されると、第1支持部120cおよび第2支持部120dに支持される。また、標本載置部材100は、延出部122dによって開口部120bの角部に向けて付勢されることによって、開口部120bの内部壁面と当接して位置決めされる(
図9参照)。
【0049】
このとき、標本載置部材100がホルダ120によって支持される支持面の位置L1(底面位置)は、第3部材12cの上面位置から退避して、第3部材12cの上面位置より低くなっている(
図10参照)。
【0050】
上述した本実施の形態によれば、ステージ12が支持するホルダ120の支持面の位置を、このステージ12の上面位置から退避させるとともに、ホルダ120が保持する標本載置部材100の底面位置をステージ12の上面位置から退避させて、ステージ12の上面位置より下方となるようにしたので、ステージと対物レンズとの干渉を抑制することができる。特に、対物レンズ13aが、ステージ12の開口部に進入した場合、標本載置部材100の底面位置がステージ12の上面より下方となるために焦点位置における対物レンズ13aの上端の高さを下方移動させて、ステージの開口壁面と対物レンズとの干渉を防止することができる。
【0051】
また、上述した本実施の形態によれば、ホルダ120が保持する標本載置部材100の底面位置がステージ12の上面位置より下方となるため、対物レンズ13aの可動域を従来よりも大きく取ることができる。これにより、標本Sの観察範囲も大きくすることができ、標本Sの観察にかかる自由度を向上させることが可能となる。
【0052】
また、ホルダ120の上面の位置が第3部材12cの上面位置から突出する構成など、ホルダ120の板厚は、装置構成に影響しない程度で大きいことが好ましい。これにより、ステージ12およびホルダ120自体の剛性を向上させることが可能となる。
【0053】
なお、上述した実施の形態では、ホルダ120が保持する標本載置部材100の底面位置を、ステージ12の上面位置から退避させるものとして説明したが、上面位置以下であれば、上述した効果を得ることができる。すなわち、ホルダ120が保持する標本載置部材100の底面位置が、ステージ12の上面位置と一致する位置以下であれば適用可能である。
【0054】
図11は、本実施の形態の変形例1にかかる顕微鏡の要部(ホルダ123)の構成を模式的に示す分解斜視図である。
図12は、本実施の形態の変形例1にかかる顕微鏡の要部(ホルダ123)の構成を模式的に示す斜視図であって、第1ホルダ120に対して第2ホルダ124を取り付けた図である。
図13は、
図12のD−D線断面を示す断面図であって、第1ホルダ120に標本載置部材101を載置した場合を示す図である。上述した実施の形態では、ホルダが、第1ホルダとしてのホルダ120のみで構成されるものとして説明したが、第1および第2ホルダによって構成されるホルダ123であってもよい。
【0055】
ホルダ123は、開口部121cに応じた外形をなし、第3部材12cに支持される上述したホルダ120に対応する第1ホルダ120と、第1ホルダ120に着脱可能に支持され、標本載置部材101を保持する第2ホルダ124からなる。第3部材12cは、使用する標本載置部材101に応じた第2ホルダ124を、第1ホルダ120を介して支持することによって、この第2ホルダ124が保持する標本載置部材101をステージ12上に載置する。第1ホルダ120は、第3部材12cの開口部121cに応じた外形をなす板状であって、開口部121cに保持されるとともに、第2ホルダ124を固定する。これにより、顕微鏡1では、ステージ12上で標本Sを固定して標本像の観察を行うことが可能となる。
【0056】
第2ホルダ124は、シャーレのような円筒状をなし、一端側が開口して標本載置部材101を保持するものであって、
図2に示すように、略矩形の板状をなす基部124aからなる。基部124aは、基部124aの板厚方向に略円筒状をなして延びる円筒部124bを有する。標本載置部材101は、円筒部124bの内部に形成された開口部124cによって保持される。なお、この開口部124cは、標本載置部材101の外周の形状に応じて形成されている。
【0057】
第2ホルダ124は、第1ホルダ120の開口部120bに収容されると、第1支持部120cおよび第2支持部120dに支持される。また、第2ホルダ124は、延出部122dによって開口部120bの角部に向けて付勢されることによって、開口部120bの内部壁面と当接して位置決めされる(
図9参照)。
【0058】
このとき、標本載置部材101が第2ホルダ124によって支持される支持面の位置L2は、第3部材12cの上面位置から退避して、第3部材12cの上面位置より低くなっている(
図13参照)。
【0059】
上述した変形例1によれば、ステージ12が支持する第1ホルダ122の支持面の位置を、このステージ12の上面位置から退避させるとともに、第2ホルダ124が保持する標本載置部材101の底面位置をステージ12の上面位置から退避させて、ステージ12の上面位置より下方となるようにしたので、ステージの開口壁面と対物レンズとの干渉を防止することができる。
【0060】
図14は、本実施の形態の変形例2にかかる顕微鏡1の要部の構成を模式的に示す上面図である。
図15は、
図14のE−E線断面を示す断面図である。
図16は、本実施の形態の変形例2にかかる顕微鏡1の要部の構成を模式的に示す断面図であって、第2ホルダ125に標本載置部材102を載置した場合を示す図である。上述した変形例1では、第2ホルダ124が、シャーレのような円筒状をなし、一端側が開口して標本載置部材101を保持するものとして説明したが、第1ホルダ120に着脱可能に支持され、スライドガラスのような矩形をなす板状の標本載置部材102を保持する第2ホルダ125であってもよい。なお、本変形例2では、第1ホルダ120および第2ホルダ125がホルダ123aを構成するものとして説明する。
【0061】
第2ホルダ125は、
図14,15に示すように、略矩形の板状をなす基部125aからなる。基部125aには、基部125aの板厚方向に貫通する開口部125bが形成され、標本載置部材102などを保持した際に、標本載置部材102に当接して所定方向に押し付ける押付部材126が設けられている。開口部125bは、押付部材126が設けられる側の壁面と対向する側の壁面に設けられ、この壁面と直交する方向に突出して、標本載置部材102などに当接する当接部125cと、内部壁面の角部分の壁面に設けられ、この壁面と直交する方向に突出して、標本載置部材102などを支持する支持部125dと、を有する。
【0062】
押付部材126は、帯状の部材を湾曲させてなり、標本載置部材102に当接して所定方向に押し付ける押付部126aと、押付部126aを挿通して、基部125aに取り付けられるビス126bと、を有する。また、押付部126aは、基部125aに取り付けられた状態において、標本載置部材102に当接する側面126cが、押し付けにかかる所定方向に対して略垂直な方向(例えば、押付部126aの外縁に対して45°)に傾斜している。ビス126bは、押付部126aに設けられ、板厚方向に貫通する長穴126dに挿通されており、この長穴126dによって、押付部126aの基部125aの上面と平行な面上における移動方向を規制している。また、押付部126は、ばね(本変形例2では、コイルばね126e)によって開口部125bの内部側に向けて付勢されている。すなわち、押付部126aは、長穴126dによって移動方向および移動量が規制されるとともに、コイルばね126eによって、配設される標本載置部材102を所定方向に向けて押し付ける。なお、コイルばね126eの付勢力は、コイルばね126eを取り付けるネジによって調節が可能であり、コイルばねのほか、板ばねなどを用いることも可能である。
【0063】
第2ホルダ125は、開口部125bに標本載置部材102を収容すると、支持部125dによって標本載置部材102を支持する。また、第2ホルダ125は、押付部材126の押付部126aがコイルばね126eの付勢力によって標本載置部材102を当接部125c側に向けて荷重を加えるとともに、当接部125cと押付部126aとで挟持することによって、標本載置部材101を位置決めして固定する。
【0064】
このとき、第2ホルダ125が保持する標本載置部材101の底面の位置L3は、第3部材12cのから退避して、第3部材12cの上面位置より低くなっている(
図16参照)。
【0065】
上述した変形例2によれば、ステージ12が支持するホルダ123aの支持面の位置を、このステージ12の上面位置から退避させるとともに、ホルダ120aが保持する標本載置部材101の底面位置をステージ12の上面位置から退避させて、ステージ12の上面位置より下方となるようにしたので、ステージの開口壁面と対物レンズとの干渉を防止することができる。
【0066】
また、上述した実施の形態および変形例1,2によれば、第1ホルダ120(ホルダ120)は、異なる形状をなす複数の標本載置部材100,101,102のうち、標本載置部材100、または標本載置部材101,102に応じた第2ホルダ124,125を選択的に着脱可能に支持することができる。
【0067】
また、上述した実施の形態および変形例1,2によれば、第1ホルダ120に対して、第2ホルダ124,125を選択的に着脱可能に固定できるようにすることで、第2ホルダを小さくすることができる。一方、従来では、各標本載置部材に応じたホルダが固定されていたため、各標本載置部材に対応するためにホルダの大きさを一定とする必要があり、小さい標本載置部材用のホルダのサイズを、大きな標本載置部材用のホルダの大きさに合わせなければならず、原価上昇の要因や、大きい保管スペースが必要となっていた。
【0068】
図17は、本実施の形態の変形例3にかかる顕微鏡1の要部の構成を模式的に示す上面図である。
図18は、本実施の形態の変形例3にかかる顕微鏡1の要部の構成を模式的に示す断面図であって、
図16のE−E線断面に対応している。上述した実施の形態では、ステージ12が、ホルダ120を介して、ステージ12の上面位置から退避させて標本載置部材100を保持するものとして説明したが、ステージ12の上面位置において標本載置部材、または標本を保持するものであっても適用可能である。本変形例3では、第3部材12cの開口部121cに配設され、第3部材12cの上面を通過する平面上に上面が位置する中座ホルダ127を用いるものとして説明する。
【0069】
中座ホルダ127は、第3部材12cの上面と等しい高さの上面となるように、ステージ12に対して着脱可能に設けられ、開口部121cの開口領域より標本Sが小さく、第3部材12cの上面で載置不可能な標本Sを載置するためのものである。また、中座ホルダ127は、
図16,17に示すように、略矩形の板状をなす基部127aからなる。基部127aには、基部127aの板厚方向に貫通する開口部127bが形成され、対物レンズ13aとの間において、標本Sへの照明光(または励起光)の導入、および標本Sからの反射光もしくは透過光の入力を行うことを可能としている。ここで、中座ホルダ127と、上述したホルダ120とは、選択的にステージ12に取り付けることが可能である。
【0070】
図19は、本実施の形態の変形例4にかかる顕微鏡の要部の構成を模式的に示す断面図である。第2部材12bおよび第3部材12cにおいて、長穴および凸部もしくは挿通ピンを設けて、第3部材12cの第2部材12bに対する移動量を規制する構成を有するものである。
【0071】
上述した第2部材12bおよび第3部材12cにおいて、第2部材12bの第3部材12c側の面に第1長穴128aおよび第2長穴128bが形成され、第3部材12cの第2部材12b側の面に、この面から凸状をなして突出する凸部129aおよび挿通ピン130が挿通可能な挿通孔129bが形成されている。
【0072】
第1長穴128aおよび第2長穴128bは、長手方向が、第3部材12cの移動方向と一致する。また、第2長穴128bの長手方向の長さは、第1長穴128aの長手方向の長さと比して短い。すなわち、挿通孔129bに挿通ピン130が挿通されていない場合、第3部材12cは、凸部129aによって移動量が規制され、第1長穴128aの長手方向の長さに応じて往復動可能である。一方で、挿通孔129bに挿通ピン130が挿通されている場合、第3部材12cは、挿通ピン130によって移動量が規制され、第2長穴128bの長手方向の長さに応じて往復動可能である。挿通孔129bに挿通ピン130を挿通するか否かによって、移動量を段階的に規制することが可能となる。これにより、対物レンズ13aとステージ12開口壁面との干渉をさらに確実に防止することができる。
【0073】
なお、凸部129aおよび挿通孔129bの形成位置は、第1長穴128aおよび第2長穴128bに対する相対位置が等しいことが好ましい。すなわち、凸部129aが、第1長穴128aの長手方向の中央部に位置する場合、挿通孔129bにおいても第2長穴128bの中央部に位置することが好ましい。
【0074】
また、凸部129aおよび挿通ピン130の外周部分は、緩衝シートなどによって覆われていることが好ましい。緩衝シートで覆われることによって、第1および第2長穴の側面に当接した場合の衝撃が吸収され、凸部129aおよび挿通ピン130の損傷を防止することができる。
【0075】
また、上述した変形例4では、第1長穴128aおよび第2長穴128bの2つの長穴を有するものとして説明したが、3つ以上の長穴であってもよい。また、長穴は、長手方向が第3部材12cの移動方向と平行に延びていれば、配設位置は、標本Sの載置に影響のない如何なる位置に設けてもよい。このとき、形成される凸部または挿通孔の配設位置は、各長穴に対する相対位置が等しいことが好ましい。
【0076】
なお、上述した実施の形態では、倒立型顕微鏡を例に説明したが、例えば、上述したステージ構造体を用いるものであって、微分干渉観察光学系を形成し、標本を拡大する対物レンズ、対物レンズを介して標本を撮像する撮像機能および画像を表示する表示機能を備えた撮像装置、例えば、ビデオマイクロスコープ等であっても、本発明を適用することができる。
【0077】
以上のように、本発明にかかるステージ構造体および倒立型顕微鏡は、ステージと対物レンズとの干渉を防止するのに有用である。