(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032923
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】グラフェン電子素子及び製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20161121BHJP
H01L 51/05 20060101ALI20161121BHJP
H01L 51/30 20060101ALI20161121BHJP
H01L 51/40 20060101ALI20161121BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
H01L29/78 618B
H01L29/78 616V
H01L29/78 618E
H01L29/28 100A
H01L29/28 250E
H01L29/28 310E
H01L29/78 618A
【請求項の数】26
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-86171(P2012-86171)
(22)【出願日】2012年4月5日
(65)【公開番号】特開2012-222358(P2012-222358A)
(43)【公開日】2012年11月12日
【審査請求日】2015年4月1日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0032192
(32)【優先日】2011年4月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】許 鎭盛
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ 現鍾
(72)【発明者】
【氏名】徐 順愛
(72)【発明者】
【氏名】李 晟熏
(72)【発明者】
【氏名】梁 喜準
【審査官】
岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−164432(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/058651(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0199815(US,A1)
【文献】
国際公開第2011/021715(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0161098(US,A1)
【文献】
特開2009−155168(JP,A)
【文献】
特開2009−143761(JP,A)
【文献】
特開2010−141161(JP,A)
【文献】
特開2007−234676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/28−21/288、21/336、
21/44−27/28、29/40−29/49、
29/786、29/872、51/00−51/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極として作用する導電性基板と、
前記基板上に配置されたゲートオキサイドと、
前記ゲートオキサイド上で互いに離隔された一対の第1金属と、
前記第1金属上で、前記第1金属の間に延びたグラフェンチャネル層と、
前記グラフェンチャネル層の両端にそれぞれ配置されたソース電極及びドレイン電極と、を備え、
前記ソース電極及びドレイン電極は前記一対の第1金属の真上に形成され、前記グラフェンチャネル層の一部がこれらの間に配置され、
前記ソース電極及びドレイン電極は平面図から見る際、前記一対の第1金属と実質的に同じ形状を有することを特徴とするグラフェン電子素子。
【請求項2】
前記ソース電極及びドレイン電極は、金(Au)でもって形成されたことを特徴とする請求項1に記載のグラフェン電子素子。
【請求項3】
前記ソース電極及びドレイン電極の厚さは、10nmないし1000nmであることを特徴とする請求項1に記載のグラフェン電子素子。
【請求項4】
前記グラフェンチャネル層は、単層または二層のグラフェンからなることを特徴とする請求項1に記載のグラフェン電子素子。
【請求項5】
前記第1金属は、二重金属層であることを特徴とする請求項1に記載のグラフェン電子素子。
【請求項6】
前記第1金属は、Cu/NiまたはAu/Ni層であることを特徴とする請求項5に記載のグラフェン電子素子。
【請求項7】
基板と、
前記基板上で互いに離隔された一対の第1金属と、
前記第1金属上で、前記第1金属の間に延びたグラフェンチャネル層と、
前記グラフェンチャネル層の両端にそれぞれ配置されたソース電極及びドレイン電極と、
前記ソース電極及びドレイン電極に露出された前記グラフェンチャネル層を覆うゲートオキサイドと、
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間で、前記チャネル層上に形成されたゲート電極と、を備え、
前記ソース電極及びドレイン電極は前記一対の第1金属の真上に形成され、前記グラフェンチャネル層の一部がこれらの間に配置され、
前記ソース電極及びドレイン電極は平面図から見る際、前記一対の第1金属と実質的に同じ形状を有することを特徴とするグラフェン電子素子。
【請求項8】
前記ソース電極及びドレイン電極は、金(Au)でもって形成されたことを特徴とする請求項7に記載のグラフェン電子素子。
【請求項9】
前記ソース電極及びドレイン電極の厚さは、10nmないし1000nmであることを特徴とする請求項7に記載のグラフェン電子素子。
【請求項10】
前記グラフェンチャネル層は、単層または二層のグラフェンからなることを特徴とする請求項7に記載のグラフェン電子素子。
【請求項11】
前記第1金属は、二重金属層であることを特徴とする請求項7に記載のグラフェン電子素子。
【請求項12】
前記第1金属は、Cu/NiまたはAu/Ni層であることを特徴とする請求項11に記載のグラフェン電子素子。
【請求項13】
ゲート電極として作用する導電性基板上にゲートオキサイドを形成するステップと、
前記ゲートオキサイド上に触媒層である第1金属層を形成するステップと、
前記第1金属層上にグラフェン層を形成するステップと、
前記グラフェン層上に金属保護層を形成するステップと、
前記金属保護層、前記グラフェン層、及び前記第1金属層を、第1感光剤パターンでもって順次にパターニングするステップと、
第2感光剤パターンでもって、前記金属保護層及び前記第1金属層をウェットエッチングして、チャネル層形成領域にグラフェン層を露出させるステップと、を含むことを特徴とするグラフェン電子素子の製造方法。
【請求項14】
前記第1金属層は、二つの金属層からなることを特徴とする請求項13に記載のグラフェン電子素子の製造方法。
【請求項15】
前記第1金属層は、Cu/NiまたはAu/Ni層であることを特徴とする請求項14に記載のグラフェン電子素子の製造方法。
【請求項16】
前記グラフェン層形成ステップは、ICP−CVD(inductively coupled plasma-chemical vapor deposition)法により、約550ないし650℃で蒸着することを特徴とする請求項13に記載のグラフェン電子素子の製造方法。
【請求項17】
前記金属保護層は、金(Au)でもって形成することを特徴とする請求項13に記載のグラフェン電子素子の製造方法。
【請求項18】
前記金属保護層は、10nmないし1000nmの厚さに蒸着することを特徴とする請求項17に記載のグラフェン電子素子の製造方法。
【請求項19】
前記第2感光剤パターンでもってエッチングされた金属保護層は、ソース電極及びドレイン電極であり、
前記グラフェン電子素子は、電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項18に記載のグラフェン電子素子の製造方法。
【請求項20】
基板上に触媒層である第1金属層を形成するステップと、
前記第1金属層上にグラフェン層を形成するステップと、
前記グラフェン層上に金属保護層を形成するステップと、
前記金属保護層、前記グラフェン層、及び前記第1金属層を、第1感光剤パターンでもって順次にパターニングするステップと、
第2感光剤パターンでもって、前記金属保護層及び前記第1金属層をウェットエッチングして、チャネル層形成領域にグラフェン層を露出させるステップと、
前記露出されたグラフェン層を覆うゲートオキサイドを形成するステップと、
前記ゲートオキサイド上にゲート電極を形成するステップと、を含むことを特徴とするグラフェン電子素子の製造方法。
【請求項21】
前記第1金属層は、二つの金属層からなることを特徴とする請求項20に記載のグラフェン電子素子の製造方法。
【請求項22】
前記第1金属層は、Cu/NiまたはAu/Ni層であることを特徴とする請求項21に記載のグラフェン電子素子の製造方法。
【請求項23】
前記グラフェン層形成ステップは、ICP−CVD法により、約550ないし650℃で蒸着することを特徴とする請求項20に記載のグラフェン電子素子の製造方法。
【請求項24】
前記金属保護層は、金(Au)でもって形成することを特徴とする請求項20に記載のグラフェン電子素子の製造方法。
【請求項25】
前記金属保護層は、10nmないし1000nmの厚さに蒸着することを特徴とする請求項24に記載のグラフェン電子素子の製造方法。
【請求項26】
前記第2感光剤パターンでもってエッチングされた金属保護層は、ソース電極及びドレイン電極であり、
前記グラフェン電子素子は、電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項25に記載のグラフェン電子素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上で成長されたグラフェン層を備えたグラフェン電子素子及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次元六角形炭素構造(2-dimensional hexagonal carbon structure)を有するグラフェンは、半導体を代替できる新たな物質である。グラフェンは、ゼロギャップ半導体(zero gap semiconductor)である。また、キャリア移動度が常温で100,000cm
2V
−1s
−1であって、既存のシリコンに比べて約100倍高く、高速動作素子、例えば、RF素子(radio frequency device)に適用される。
【0003】
グラフェンは、チャネル幅を10nm以下に狭くしてグラフェンナノリボン(graphene nano-ribbon:GNR)を形成する場合、サイズ効果によってバンドギャップが形成される。かかるGNRを利用して、常温で作動が可能な電界効果トランジスタ(field effect transistor)を製作できる。
【0004】
グラフェン電子素子は、グラフェンを利用した電子素子であって、電界効果トランジスタなどをいう。
【0005】
グラフェン電子素子の製造時、グラフェンを基板上に転写して使用する場合、グラフェンが損傷する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、グラフェンを基板に直接成長し、グラフェンの下部の金属触媒層を除去する時、グラフェンの上部に金属保護層をあらかじめ形成して、グラフェンが感光剤と接触することを防止するグラフェン電子素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によるグラフェン電子素子は、ゲート電極として作用する導電性基板と、前記基板上に配置されたゲートオキサイドと、前記ゲートオキサイド上で互いに離隔された一対の第1金属と、前記第1金属上で、前記第1金属の間に延びたグラフェンチャネル層と、前記グラフェンチャネル層の両端にそれぞれ配置されたソース電極及びドレイン電極と、を備える。
【0008】
前記ソース電極及びドレイン電極は、金(Au)でもって形成されてもよい。
【0009】
前記ソース電極及びドレイン電極の厚さは、10nmないし1000nmであってもよい。
【0010】
前記グラフェンチャネル層は、単層または二層のグラフェンからなってもよい。
【0011】
前記第1金属は、二重金属層であってもよい。
【0012】
前記第1金属は、Cu/NiまたはAu/Ni層であってもよい。
【0013】
本発明の他の実施形態によるグラフェン電子素子は、基板と、前記基板上で互いに離隔された一対の第1金属と、前記第1金属上で、前記第1金属の間に延びたグラフェンチャネル層と、前記グラフェンチャネル層の両端にそれぞれ配置されたソース電極及びドレイン電極と、前記ソース電極及びドレイン電極に露出された前記グラフェンチャネル層を覆うゲートオキサイドと、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間で、前記チャネル層上に形成されたゲート電極と、を備える。
【0014】
本発明のさらに他の実施形態によるグラフェン電子素子の製造方法は、ゲート電極として作用する導電性基板上にゲートオキサイドを形成するステップと、前記ゲートオキサイド上に触媒層である第1金属層を形成するステップと、前記第1金属層上にグラフェン層を形成するステップと、前記グラフェン層上に金属保護層を形成するステップと、前記金属保護層、前記グラフェン層、及び前記第1金属層を、第1感光剤パターンでもって順次にパターニングするステップと、第2感光剤パターンでもって、前記金属保護層及び前記第1金属層をウェットエッチングして、チャネル層形成領域にグラフェン層を露出させるステップと、を含む。
【0015】
前記グラフェン形成ステップは、ICP−CVD(inductively coupled plasma-chemical vapor deposition)法により、約550ないし650℃で行われてもよい。
【0016】
前記パターニングされた金属保護層は、ソース電極及びドレイン電極であり、前記グラフェン電子素子は、電界効果トランジスタであってもよい。
【0017】
本発明のさらに他の実施形態によるグラフェン電子素子の製造方法は、基板上に触媒層である第1金属層を形成するステップと、前記第1金属層上にグラフェン層を形成するステップと、前記グラフェン層上に金属保護層を形成するステップと、前記金属保護層、前記グラフェン層、及び前記第1金属層を、第1感光剤パターンでもって順次にパターニングするステップと、第2感光剤パターンでもって、前記金属保護層及び前記第1金属層をウェットエッチングして、チャネル層形成領域にグラフェン層を露出させるステップと、前記露出されたグラフェン層を覆うゲートオキサイドを形成するステップと、前記ゲートオキサイド上にゲート電極を形成するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、グラフェン層の下部の金属触媒層をウェットエッチングする時、グラフェン層の上部に金属保護層を形成するので、感光剤パターンがグラフェン層と直接接触することを防止するので、感光剤パターンの除去時に残留する感光剤によるグラフェンの損傷を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態によるグラフェン電子素子の構造を示す概略的な断面図である。
【
図3】他の実施形態によるグラフェン電子素子の構造を示す概略的な断面図である。
【
図5A】本発明のさらに他の実施形態によるグラフェン電子素子の製造方法を段階別に示す図面である。
【
図5B】本発明のさらに他の実施形態によるグラフェン電子素子の製造方法を段階別に示す図面である。
【
図5C】本発明のさらに他の実施形態によるグラフェン電子素子の製造方法を段階別に示す図面である。
【
図5D】本発明のさらに他の実施形態によるグラフェン電子素子の製造方法を段階別に示す図面である。
【
図6A】本発明のさらに他の実施形態によるグラフェン電子素子の製造方法を段階別に示す図面である。
【
図6B】本発明のさらに他の実施形態によるグラフェン電子素子の製造方法を段階別に示す図面である。
【
図6C】本発明のさらに他の実施形態によるグラフェン電子素子の製造方法を段階別に示す図面である。
【
図6D】本発明のさらに他の実施形態によるグラフェン電子素子の製造方法を段階別に示す図面である。
【
図6E】本発明のさらに他の実施形態によるグラフェン電子素子の製造方法を段階別に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付された図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。この過程で、図面に示す層や領域の厚さは、明細書の明確性のために誇張されて示されたものである。明細書を通じて、実質的に同じ構成要素には同じ参照番号を使用し、詳細な説明は省略する。
【0021】
図1は、一実施形態によるグラフェン電子素子100の構造を示す概略的な断面図である。
図2は、
図1の平面図である。
図1は、
図2のI−I線の断面図である。
【0022】
図1及び
図2を参照すれば、シリコン基板110上にゲートオキサイド112が形成されている。ゲートオキサイド112は、シリコンオキサイドでもって約100nmないし300nmの厚さに形成される。シリコン基板110は、導電性基板であって、ゲート電極とも称する。シリコン基板110の代わりに、他の導電性基板が使われてもよい。
【0023】
ゲートオキサイド112上には、所定の間隔で離隔された一対の第1金属122,124が形成される。第1金属122,124は、金属層(図示せず)がパターニングされて形成された金属層である。第1金属122,124は、二重金属層であってもよい。第1金属122,124は、Cu/NiまたはAu/Ni層であってもよい。ゲートオキサイド112上に形成される銅または金は、約100ないし500nmの厚さに形成される。銅または金上のニッケルは、約10ないし30nmの厚さに形成される。
【0024】
第1金属122,124上には、それらの間で延びたグラフェンチャネル層130が形成される。グラフェンチャネル層130は、第1金属122,124間のゲートオキサイド112と接触するように形成される。グラフェンチャネル層130は、第1金属122,124上に化学気相蒸着法で形成されたグラフェン層がパターニングされて形成される。第1金属122,124は、グラフェン成長の触媒層の役割を行う。グラフェンは、単層または二層のグラフェンからなる。したがって、グラフェンをパターニングして得たグラフェンチャネル層130は、単層または二層の構造を有する。
【0025】
グラフェンチャネル層130の両端上には、それぞれソース電極142及びドレイン電極144が形成される。ソース電極142及びドレイン電極144は、第1金属122,124と実質的に同じ形状にそれぞれ第1金属122,124上に形成される。ソース電極142及びドレイン電極144は、金(Au)でもって約10nmないし1000nmの厚さに形成される。ソース電極142及びドレイン電極144は、金以外の金属で形成してもよい。金は、グラフェンとのコンタクトが良好であり、容易にドライエッチングまたはウェットエッチングを行える。
【0026】
グラフェンチャネル層130の幅Wを約1nmないし20nmに形成する場合、グラフェンチャネル層130は、サイズ効果によってバンドギャップが形成された半導体性質を有する。したがって、
図1のグラフェン電子素子100は、バックゲートタイプの電界効果トランジスタとなる。グラフェン電子素子100は、常温で作動が可能である。
【0027】
一実施形態によるグラフェン電子素子100は、転写過程なしにグラフェンチャネル層130が形成されるので、グラフェンチャネル層130が転写過程で損傷されることを防止できる。
【0028】
図3は、他の実施形態によるグラフェン電子素子200の構造を示す概略的な断面図である。
図4は、
図3の平面図である。
図3は、
図4のIII−III線の断面図である。
【0029】
図3及び
図4を参照すれば、シリコン基板210上に絶縁層212が形成されている。絶縁層212は、シリコンオキサイドでもって約100nmないし300nmの厚さに形成される。シリコン基板210の代わりに、絶縁性基板を使用する場合、絶縁層212は省略してもよい。
【0030】
絶縁層212上には、所定の間隔で離隔された一対の第1金属222,224が形成される。第1金属222,224は、金属層(図示せず)がパターニングされて形成された金属層である。第1金属222,224は、二重金属層であってもよい。第1金属222,224は、Cu/NiまたはAu/Ni層であってもよい。絶縁層212上に形成される銅または金は、約100ないし500nmの厚さに形成される。銅または金上のニッケルは、約10ないし30nmの厚さに形成される。
【0031】
第1金属222,224上には、グラフェンチャネル層230が形成される。グラフェンチャネル層230は、第1金属222,224上に化学気相蒸着法で形成されたグラフェン層がパターニングされて形成される。第1金属222,224は、グラフェン成長の触媒層の役割を行う。グラフェンは、単層または二層のグラフェンからなる。したがって、グラフェンをパターニングして得たグラフェンチャネル層230は、単層または二層の構造を有する。
【0032】
グラフェンチャネル層230の両端上には、それぞれソース電極242及びドレイン電極244が形成される。ソース電極242及びドレイン電極244は、第1金属222,224と実質的に同じ形状に、それぞれ第1金属222,224上に形成される。ソース電極242及びドレイン電極244は、金(Au)でもって約10nmないし1000nmの厚さに形成される。
【0033】
グラフェンチャネル層230上には、ゲートオキサイド250が形成される。ゲートオキサイド250は、シリコンオキサイドで形成される。
【0034】
ゲートオキサイド250上には、ゲート電極260が形成される。ゲート電極260は、アルミニウムなどで形成される。
【0035】
グラフェンチャネル層230の幅Wを約1nmないし20nmに形成する場合、グラフェンチャネル層230は、サイズ効果によってバンドギャップが形成された半導体性質を有する。したがって、
図3のグラフェン電子素子200は、トップゲートタイプの電界効果トランジスタとなる。グラフェン電子素子200は、常温で作動が可能である。
【0036】
図5Aないし
図5Dは、本発明の他の実施形態によるグラフェン電子素子の製造方法を段階別に示す図面である。
【0037】
図5Aを参照すれば、基板310上にゲートオキサイド312を形成する。基板310は、不純物でドーピングされた導電性のシリコン基板であり、ゲート電極として作用する。ゲートオキサイド312は、基板310を熱酸化処理して形成されたシリコンオキサイドであり、100nmないし300nmの厚さに形成される。
【0038】
ゲートオキサイド312上に第1金属層320を形成する。第1金属層320は、スパッタリング法により、CuまたはAuで約100ないし500nmの厚さに蒸着する。
【0039】
第1金属層320上には、第2金属層321、例えば、Ni層を約10nmないし30nmの厚さにさらに形成する。
【0040】
第1金属層320及び第2金属層321は、グラフェン成長の触媒層として作用する。
【0041】
第2金属層321上に、約550ないし650℃でICP−CVD(inductively coupled plasma-chemical vapor deposition)でグラフェン層330を形成する。グラフェン層330は、単層または二層のグラフェン層の構造で形成される。約1000℃で行われるCVD法を使用しないので、高温による基板などの損傷を防止できる。
【0042】
次いで、グラフェン層330上に金属保護層340を蒸着する。金属保護層340は、金(Au)でもって約10ないし1000nmの厚さに形成される。
【0043】
図5Bを参照すれば、金属保護層340上に感光剤345を形成した後、感光剤345に露出された金属保護層340、グラフェン層330、第2金属層321、及び第1金属層320を順次にドライエッチングする。
【0044】
図5Cは、感光剤345を除去した、パターニングされた結果物の平面図である。
図5Cを参照すれば、パターニングされた金属保護層340の形状は、
図5Cに示すように、所定の幅Wを有するチャネル形成領域A1と、チャネル形成領域A1の両端の電極形成領域A2とを備える。チャネル形成領域A1の幅Wは、約1nmないし20nmに形成される。
【0045】
図5Dを参照すれば、電極形成領域A2上に感光剤347を形成した後、感光剤347で露出されたチャネル形成領域A1の金属層をウェットエッチングにより選択的に除去する。金属層は、金属保護層340、第2金属層321及び第1金属層320である。ウェットエッチャントとしては、例えば、DHF(diluted hydrofluoric acid)を使用する。ウェットエッチングされたチャネル形成領域A1には、グラフェン層330が露出される。露出されたグラフェン層330は、チャネル層332である。チャネル層332の長さがある程度長くなるにつれて、チャネル層332は、ゲートオキサイド312に接触してもよい(
図1参照)。
【0046】
チャネル層332の両端は、電極形成領域A2に延びている。電極形成領域A2で、チャネル層332の上部には、金属保護層340がパターニングされて、ソース電極342及びドレイン電極344が形成される。電極形成領域A2で、グラフェン層330の下部には、第1金属322,324が形成される。ソース電極342及びドレイン電極344の形状は、第1金属322,324と実質的に同一である。
【0047】
前述した実施形態によれば、グラフェンチャネル層が転写過程なしに基板上に直接成長される。したがって、転写過程でグラフェンチャネル層が損傷されることを防止できる。また、比較的低い温度でグラフェンを成長させるので、高温のCVD工程による基板の損傷などを防止できる。また、グラフェン上に金属保護層を形成した状態でウェットエッチングを行って、グラフェンチャネル層を形成するので、感光剤がグラフェンに接触することを防止し、感光剤によるグラフェン層の固有特性の損失を防止できる。
【0048】
図6Aないし
図6Eは、本発明の他の実施形態によるグラフェン電子素子の製造方法を段階別に示す図面である。
【0049】
図6Aを参照すれば、基板410上に絶縁層412を形成する。基板410が絶縁性物質で形成された場合、絶縁層412を形成しなくてもよい。
【0050】
絶縁層412上に第1金属層420を形成する。第1金属層420は、スパッタリング法により、CuまたはAuで約100ないし500nmの厚さに蒸着する。
【0051】
第1金属層420上には、第2金属層421、例えば、Ni層を約10nmないし30nmの厚さにさらに形成する。
【0052】
第1金属層420及び第2金属層421は、グラフェン成長の触媒層として作用する。
【0053】
第2金属層421上に、約550ないし650℃でICP−CVDによりグラフェン層430を形成する。グラフェン層430は、単層または二層のグラフェン層の構造で形成される。約1000℃で行われるCVD法を使用しないので、高温による基板などの損傷を防止できる。
【0054】
次いで、グラフェン層430上に金属保護層440を蒸着する。金属保護層440は、金(Au)でもって約10ないし1000nmの厚さに形成される。
【0055】
図6Bを参照すれば、金属保護層440上に感光剤445を形成した後、感光剤445に露出された金属保護層440、グラフェン層430、第2金属層421、及び第1金属層420を順次にドライエッチングする。
【0056】
図6Cは、感光剤445を除去した、パターニングされた結果物の平面図である。
図6Cを参照すれば、パターニングされた金属保護層440の形状は、
図5Cに示すように、所定の幅Wを有するチャネル形成領域A1と、チャネル形成領域A1の両端の電極形成領域A2とを備える。チャネル形成領域A1の幅Wは、約1nmないし20nmに形成される。
【0057】
図6Dを参照すれば、電極形成領域A2上に感光剤447を形成した後、感光剤447で露出されたチャネル形成領域A1の金属層をウェットエッチングにより除去する。金属層は、金属保護層440、第2金属層421、及び第1金属層420である。ウェットエッチングされたチャネル形成領域A1には、グラフェン層430が露出される。露出されたグラフェン層430は、チャネル層432である。
【0058】
チャネル層432の両端は、電極形成領域A2に延びている。電極形成領域A2で、チャネル層432の上部には、金属保護層440がパターニングされて、ソース電極442及びドレイン電極444が形成される。電極形成領域A2で、グラフェン層430の下部には、第1金属422,424が形成される。ソース電極442及びドレイン電極444の形状は、第1金属422,424と実質的に同一である。
【0059】
図6Eを参照すれば、感光剤447を除去する。チャネル層432の長さがある程度長くなるにつれて、チャネル層432は、絶縁層412に接触する。絶縁層412上にチャネル層432を覆うゲートオキサイド450を形成する。次いで、ゲートオキサイド450上に金属層(図示せず)を形成した後、金属層をパターニングしてゲート電極460を形成する。
【0060】
以上、添付された図面を参照して説明した本発明の実施形態は、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、それらから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であることを理解できるであろう。したがって、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲によって決まらねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、トランジスタ関連の技術分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
100,200 グラフェン電子素子
110,210 シリコン基板
112,250 ゲートオキサイド
122,124,222,224 第1金属
130,230 グラフェンチャネル層
142,242 ソース電極
144,244 ドレイン電極
212 絶縁層
260 ゲート電極