(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一部が地中に埋没し、一部が地上に露出した状態で立設される支柱部を有する土台部と、当該土台部によって下方から支持され、地表より離れた位置で太陽電池パネルを固定する架台部とにより太陽電池パネルを設置する太陽電池パネルの設置構造であって、
前記支柱部の平面断面形状は、両端部分の間に少なくとも1つの屈曲部又は湾曲部を有し、両端部分が離間した状態であり、
さらに前記支柱部の平面断面形状は、両端部分にそれぞれ位置し、且つ間隔を空けて対向する2つの長辺部分を有しており、当該2つの長辺部分の間隔は、一方端側における間隔が他方端側における間隔よりも狭くなっており、一方端側から他方端側へ向かうにつれて間隔が広がっていくことを特徴とする太陽電池パネルの設置構造。
一部が地中に埋没し、一部が地上に露出した状態で立設される支柱部を有する土台部と、当該土台部によって下方から支持され、地表より離れた位置で太陽電池パネルを固定する架台部とにより太陽電池パネルを設置する太陽電池パネルの設置構造であって、
前記支柱部の平面断面形状は、両端部分の間に少なくとも1つの屈曲部又は湾曲部を有し、両端部分が離間した状態であり、
前記土台部は、前記支柱部の上端近傍に一体に取付けられる支持部を有し、前記架台部は、前記支持部を介して前記支柱部に取付けられ、
前記支持部は、前記架台部を載置するための板状の載置台部を有するものであり、
前記支持部を前記支柱部に取り付けた状態において、前記載置台部の投影形状が、前記支柱部の投影形状の対向する位置にある特定の2辺より内側に位置することを特徴とする太陽電池パネルの設置構造。
前記支持部は、前記支柱部と前記支持部との取付けに際して、前記支持部の前記支柱部への取付け位置を上下方向成分を含む方向に調節可能な上下方向調整手段を有し、さらに、前記支持部は、前記支持部と前記架台部との取付けに際して、前記架台部の前記支持部への取付け位置を前後方向成分と左右方向成分の少なくともいずれかを含む方向に調節可能な水平方向調整手段を有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の太陽電池パネルの設置構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで近年、太陽光発電システムの導入費用をより安価にしたいという市場の要求がある。特に、広大な敷地に多くの太陽電池パネルを並列して設置する、所謂メガソーラーと称されるような大規模な太陽光発電システムでは、導入費用が高騰しがちであるため、設置工事の効率化等による導入費用の削減が強く望まれている。
【0009】
そこで本発明は、太陽光発電システムの導入費用の低価格化を図るべく、設置時の取付け強度を維持しつつ施工工事の低価格化が可能な太陽電池パネルの設置構造、並びに、太陽電池パネルの設置工法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、一部が地中に埋没し、一部が地上に露出した状態で立設される支柱部を有する土台部と、当該土台部によって下方から支持され、地表より離れた位置で太陽電池パネルを固定する架台部とにより太陽電池パネルを設置する太陽電池パネルの設置構造であって、前記支柱部の平面断面形状は、両端部分の間に少なくとも1つの屈曲部又は湾曲部を有し、両端部分が離間した状態であ
り、さらに前記支柱部の平面断面形状は、両端部分にそれぞれ位置し、且つ間隔を空けて対向する2つの長辺部分を有しており、当該2つの長辺部分の間隔は、一方端側における間隔が他方端側における間隔よりも狭くなっており、一方端側から他方端側へ向かうにつれて間隔が広がっていくことを特徴とする太陽電池パネルの設置構造である。
【0011】
本発明の太陽電池パネルの設置構造では、太陽電池パネル及びそれを支える架台の下方側にある支柱部の平面断面形状が、両端部分の間に少なくとも1つの屈曲部又は湾曲部を有し、両端部分が離間している。即ち、支柱部が、板体を屈曲又は湾曲して形成された形状、又は板体を複数組み合わせたような形状となっている。このような形状の支柱部によると、同程度の大きさである従来の支柱、つまりは、単純な棒状、柱状、筒状といった形状の支柱と比べて、その表面積を大きくすることができる。そのことにより、支柱部の地中に埋没した部分において、土との接触面積を大きくすることができる。このように、支柱部と土との接触面積が増加すると、支柱部をより引き抜き荷重に強い状態で地面に立設できる。換言すると、支柱部の土への埋め込み長さが上記した単純な形状の支柱と比べて短い場合であっても、必要な引き抜き荷重に対する強さを確保できる。
このことにより、本発明の支柱部によると、特に風圧荷重のような設置時に負荷される自然外力に対して十分な地盤支持力を維持しつつ支柱部の長さを短くできる。そして、支柱部を短くすると、支柱部そのものを安価に製造可能となるので、太陽電池パネルの設置に係る費用を低減できる。即ち、本発明の太陽電池パネルの設置構造によると、設置時の強度を維持しつつ施工工事を低価格化できる。
そして、本発明の太陽電池パネルの設置構造は、架台部及び/又は太陽電池パネルは、低角度(例えば0度以上15度以下)となるように傾斜して取り付けられる構成において特に好適である。このように取り付けられることにより、高角度(例えば15度より大きく60度以下)となるように傾斜して取り付けられる構成に比べて、太陽電池パネル等に負荷される風圧、特に負圧に対する支柱部の地盤支持力を低くすることができるので、支柱部の長さをさらに短くできる。このことにより、支柱部そのものをさらに安価に製造可能となり、施工工事をさらに低価格化できる。
ここで、「地中」とは、整地された地面の中だけでなく、海、湖、河川等の水のある所の底部分に位置する地面の中であってもよい。また、建屋の屋上部分に設けられた人工庭園における地面の中でもよく、所謂土壌と称される土地の中であってもよい。さらには、有機物及び/又は無機物を含む人工の土壌の中であってもよく、人工の砂地の中、人工の土の中、人工の基礎の内部であってもよい。
【0012】
この本発明の太陽電池パネルの設置構造では、前記支柱部の平面断面形状は、両端部分にそれぞれ位置し、且つ間隔を空けて対向する2つの長辺部分を有しており、当該2つの長辺部分の間隔は、一方端側における間隔が他方端側における間隔よりも狭くなっており、一方端側から他方端側へ向かうにつれて間隔が
広がっていく。
【0013】
請求項2に記載の発明は、一部が地中に埋没し、一部が地上に露出した状態で立設される支柱部を有する土台部と、当該土台部によって下方から支持され、地表より離れた位置で太陽電池パネルを固定する架台部とにより太陽電池パネルを設置する太陽電池パネルの設置構造であって、前記支柱部の平面断面形状は、両端部分の間に少なくとも1つの屈曲部又は湾曲部を有し、両端部分が離間した状態であり、前記土台部は、前記支柱部の上端近傍に一体に取付けられる支持部を有し、前記架台部は、前記支持部を介して前記支柱部に取付けられ、前記支持部は、前記架台部を載置するための板状の載置台部を有するものであり、前記支持部を前記支柱部に取り付けた状態において、前記載置台部の投影形状が、前記支柱部の投影形状の対向する位置にある特定の2辺より内側に位置することを特徴とする太陽電池パネルの設置構造である。
また、請求項3に記載の発明は、前記土台部は、前記支柱部の上端近傍に一体に取付けられる支持部を有し、前記架台部は、前記支持部を介して前記支柱部に取付けられることを特徴とする
請求項1に記載の太陽電池パネルの設置構造である。
【0014】
かかる構成によると、架台部が、支持部によって支柱部の上方に取り付けられる。このように、支持部を介して架台部を支柱部に取り付けると、支柱部の形状を変更することなく形状の異なる架台部を取り付け可能となる。
具体的に説明すると、太陽電池パネルには、原料や構造の違いによりさまざまな種類のものがあり、それぞれ発電効率等の特性が異なっている。そして、太陽電池パネルを設置する際には、日照条件といった設置場所の環境特性に加え、太陽電池パネルそのものの特性を考慮しつつ、設置間隔、設置角度等の設置条件が設定される。したがって、太陽電池パネルを支持する架台の形状もまた、設置条件に応じて変更されることがある。ここで、本発明の太陽電池パネルの設置構造では、支柱部に支持部を介して架台部を取り付けるので、たとえ架台部の形状が変更された場合であっても、架台部の形状の変更に伴って支持部を変更するだけで、支柱部の形状等を変更することなく太陽電池パネルを設置することができる。換言すると、本発明の太陽電池パネルの設置構造では、土台部の大部分を占める支柱部を変更することなく、支柱部とは別途製造される支持部をわずかに変更するだけで、多様な架台部を載置できる汎用性の高い土台部となっている。このことにより、土台部の大部分を占める支柱部を大量生産することができるので、太陽電池パネルの設置に係る費用を低減できる。
【0015】
さらに、請求項2に記載の発明は、前記支持部は、前記架台部を載置するための板状の載置台部を有するものであり、前記支持部を前記支柱部に取り付けた状態において、前記載置台部の投影形状が、前記支柱部の投影形状の対向する位置にある特定の2辺より内側に位置
する。
【0016】
かかる構成によると、架台部を載置するための載置台部が配される領域と、支柱部が配さる領域とが平面視で重なり、且つ、これら領域が重なったときに載置台部が配される領域が支柱部が配される領域の内側に位置する。別言すると、平面視したとき、載置台部の輪郭が支柱部の輪郭の外側にはみ出さない状態となっている。このような構成によると、太陽電池パネルの設置作業を実施するときに、支柱部から外側にはみ出してしまった載置台部の角部分が施工作業の邪魔になることがない。具体的には、例えば、支柱部から水平方向に飛び出す載置台部(支持部)に作業者がぶつかって怪我をするといったことがない。このことにより、施工作業をより円滑に実施できる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、前記支柱部は、前記支柱部と前記支持部との取付けに際して、前記支柱部と前記支持部の相対位置を位置決めする位置決め手段を有することを特徴とする
請求項2又は3に記載の太陽電池パネルの設置構造である。
【0018】
かかる構成によると、支柱部と前記支持部との取付けに際して、支柱部と前記支持部との位置合わせを容易にできるので、太陽電池パネルの設置作業をより円滑に実施できる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、前記支持部は、前記支柱部と前記支持部との取付けに際して、前記支持部の前記支柱部への取付け位置を上下方向成分を含む方向に調節可能な上下方向調整手段を有し、さらに、前記支持部は、前記支持部と前記架台部との取付けに際して、前記架台部の前記支持部への取付け位置を前後方向成分と左右方向成分の少なくともいずれかを含む方向に調節可能な水平方向調整手段を有することを特徴とする
請求項2乃至4のいずれかに記載の太陽電池パネルの設置構造である。
【0020】
かかる構成によると、支柱部と前記支持部との取付けに際して、取付け位置を上下方向成分を含む方向に調節することができる。
ここで、杭打ち機のような重機や、ハンマー等を使用して支柱部を地面に埋め込む作業では、打ち込み誤差が発生しまう場合がある。即ち、支柱部を打ち込みすぎてしまうことで、支柱部の地上に露出している部分の長さが予定より短くなってしまうことがある。より具体的には、支柱部の埋め込み作業を実施する場合、例えば、光学式の測定装置で支柱部の地中への貫入量を測定しつつ実施する等の方策により、支柱部の過剰な打ち込みを防止している。しかしながら、このような方策をもってしても、支柱部を打ち込みすぎてしまうことがある。そして、このような場合、架台部を所定の姿勢で取り付けることができなくなってしまう。
しかしながら、本発明の構成によると、上記したように、支持部を支柱部に取り付けるときの取付け位置を上下方向成分を含む方向に調節することができる。そのため、仮に支柱部を過剰に打ち込んでしまった場合であっても、架台部と支柱部の間に介在する支持部の位置を高さ方向(上下方向成分を含む方向)に調整することにより、架台部を所定の位置に取り付けることができる。即ち、支柱部の埋め込み量の誤差を架台部の取り付け高さを調整することで相殺することができる。
したがって、本発明の太陽電池パネルの設置構造によると、支柱部の打ち込み作業時に誤って支柱部を打ち込みすぎてしまった場合であっても、支柱部の打ち込み作業をやり直すことなく、架台部の取り付けが可能となる。そのため、施工作業をさらに効率よく実施できる。
【0021】
また、かかる構成によると、支持部と架台部との取付けに際して、取付け位置を前後方向成分と左右方向成分の少なくともいずれかを含む方向に調節することができる。
ここで、架台部を複数の支柱部及び支持部によって支えるとき、支柱部を所定の場所からずれた場所に誤って打ち込んでしまう等によって、支柱部間の間隔が所定の間隔より広がってしまう(又は狭まってしまう)ことが考えられる。このような場合、架台部を支持部へ取り付けようとすると、架台部の取付け位置と支持部の取付け位置とがずれてしまうので、取り付けができなくなってしまう。また、支柱部を所定の間隔で打ち込んだ場合であっても、架台部や支持部の製造誤差等により、架台部の取付け位置と支持部の取付け位置とがずれてしまう可能性がある。
これに対して、本発明の構成では、上記したように、支持部と架台部とを取り付けるときの取付け位置を水平方向(前後方向成分と左右方向成分の少なくともいずれかを含む方向)に調節することができる。そのため、架台部の取付け位置と、支持部の取付け位置とが水平方向にずれてしまった場合であっても、取付け位置を調整することで架台部を所定の位置に取り付けることができる。
このことにより、本発明の太陽電池パネルの設置構造によると、架台部の取付け位置と、支持部の取付け位置とが水平方向にずれてしまった場合であっても、支柱部の打ち込み作業をやり直すことなく、架台部の取り付けが可能となる。そのため、施工作業をさらに効率よく実施できる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、前記架台部を複数有するものであり、前記架台部は、高さ方向に異なる位置に形成された上側固定部と下側固定部とを備えるものであって、少なくとも一組の前記架台部が間隔を空けて配され、前記太陽電池パネルは、組を成す前記架台部のうちの一方の下側固定部と、他方の上側固定部とにそれぞれ直接又は間接的に取り付けられて傾斜した姿勢をとることを特徴とする請求項
1乃至5のいずれかに記載の太陽電池パネルの設置構造
である。
【0023】
かかる構成では、架台部が比較的高い位置にある上側固定部と、比較的低い位置にある下側固定部とを有している。そして、前後方向に間隔を空けて配置した一方側の架台部の下側固定部と、他方側の架台部とに太陽電池パネルを取り付けることで、太陽電池パネルを傾斜した姿勢で取り付けている。このような構成によると、間隔を空けて配置したそれぞれの架台部の形状を同一の形状とし、設置高さを同じ高さとした状態で、太陽電池パネルを傾斜させて取り付けることができる。
具体的に説明すると、例えば、2つの架台部を同一の形状とし、設置高さを同じ高さとして、水平方向に間隔を空けて並列させたとする。このとき、一方側の架台部の下側固定部と他方側の架台部の上側固定部とは、水平方向と高さ方向とに間隔を空けて配されることとなる。したがって、一方側の架台部の下側固定部と他方側の架台部の上側固定部とに太陽電池パネルを取り付けると、太陽電池パネルは傾斜した姿勢をとる。
したがって、かかる構成によると、太陽電池パネルを傾斜させるために、架台部の形状や設置高さを変える必要がない。このことにより、施工作業の簡易化や施工費用の低減が可能となる。
【0024】
即ち、太陽電池パネルの間隔を空けて配するそれぞれの架台部の形状を同一とすることにより、それぞれ異なる形状の架台部で太陽電池パネルを支持する場合とは異なり、架台部の量産化が可能となるので架台部の製造費用を低減できる。このことをもって、施工費用の低減が可能となる。
そして、それぞれの架台部の形状を同一とし、架台部の設置高さを同一とすることにより、各架台部を設置するときの架台部の設置作業を同一の作業とすることができる。即ち、仮にそれぞれの架台部の形状や設置高さが異なっているとすると、それぞれの架台部の形状や設置高さに応じた取付け作業を実施する必要が生じてしまう。この場合、必然的に取付け作業の種類が増えてしまうので、施工作業が煩雑になってしまう。それに対し、それぞれの架台部の形状を同一とし、架台部の設置高さを同一とすると、すべての架台部を同一の作業で取り付けることができるので、施工作業を簡易化できる。
【0025】
請求項7に記載の発明は、
請求項1乃至6のいずれかに記載の太陽電池パネルの設置構造によって、太陽電池パネルを設置するための太陽電池パネルの設置工法であって、前記支柱部に振動を与えつつ地面に打ち込む工程を含むことを特徴とする太陽電池パネルの設置工法である。
【0026】
上記した本発明の太陽電池パネルの設置構造で採用される支柱部は、支柱部に振動を与えつつ地面に打ち込むことが望ましい。このように支柱部に振動を与えつつ地面に打ち込むと、支柱部をより円滑に地面へ打ち込むことができるので、支柱部の打ち込み作業が簡易化できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の太陽電池パネルの設置構造では、支柱部の平面断面形状が、両端部分が離間し、その両端部分の間に少なくとも1つの屈曲部又は湾曲部を有する形状となっている。そのため、支柱部を地中に埋没させたとき、支柱部と土との単位長さあたりの接触面積が大きくなるので、支柱部を引き抜き荷重に強い状態で地面に立設できるという効果がある。また、このことから、支柱部の土への埋め込み長さが短くても十分な強度を確保できるので、支柱部の長さを短くして支柱部そのものを低価格で製造できる。つまり、本発明の太陽電池パネルの設置構造によると、設置時の強度を維持しつつ施工工事を低価格化できる。
また、本発明の太陽電池パネルの設置工法では、支柱部を振動を与えつつ地面に打ち込むことにより、支柱部をより円滑に地面へ打ち込むことができるので、支柱部の打ち込み作業を簡易化できる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、特に断りがない限り、上下左右前後の位置関係は、
図1で示される通常の設置位置を基準に説明する。即ち、
図1のX方向を前後方向とする。また、
図1のY方向を左右方向とし、
図1のZ方向を上下方向とする。
【0030】
本実施形態の太陽電池パネルの設置構造1(以下単に設置構造1とも称す)は、
図1で示されるように、土台部2と架台3(架台部)によって、太陽電池パネル4を地表より所定の高さだけ離れた位置で固定するものである。この設置構造1では、
図2で示されるように、土台部2が支柱5(支柱部)と、中間取付金具6(支持部)とを有している。そして、地中に打ち込まれた複数の支柱5の上側部分に、中間取付金具6を介して架台3が取付けられている。そして、この架台3上に、傾斜角度や向きといった所定の条件を満足するように太陽電池パネル4が固定されている。
【0031】
支柱5は、
図3で示されるように、平面視が略「M」字状で上下方向に延びる長尺状の部材であり、一枚の金属板を屈曲して形成されている。より具体的には、この支柱5は、中心板部10と、中心板部10の外側に位置する2つの内側板部11,11と、内側板部11,11のさらに外側に位置する2つの外側板部12,12(長辺部分)とが折曲げ部分13(屈曲部)を介して連続した状態となっている。
なお、中心板部10と、2つの内側板部11,11と、2つの外側板部12,12とは、いずれも直立した略長方形平板状であって、それぞれ大きさが異なっている。
【0032】
中心板部10は、支柱5の中心部分近傍に位置する立板状の部分である。この中心板部10の上端よりやや下方側の部分には、中心板部10を前後方向(厚さ方向)に貫通する取付孔15が設けられている。
【0033】
2つの内側板部11,11は、中心板部10の左右方向の両端部分とそれぞれ連続し、中心板部10の前方で間隔を空けて対向している。このとき、2つの内側板部11,11の間隔は、前方に向かうにつれて(中心板部10から離れるにつれて)徐々に開いていく。別言すると、内側板部11の後端部分が中心板部10の左右方向の端部と連続し、内側板部11の前端部分は後端部分よりも外側に位置している。そして、
図4で示されるように、内側板部11と前側表面と中心板部10の前側表面とが交わる角度αが鈍角となっている。即ち、2つの内側板部11,11は、立板状であって、中心板部10の左右方向の両端からそれぞれ前方外側へ突出するように形成されている。なお、中心板部10と2つの内側板部11,11は平面断面形状が略「コ」字状となるように連続している。
【0034】
2つの外側板部12,12は、
図3で示されるように、2つの内側板部11,11の前端部分とそれぞれ連続し、支柱5の左右方向の最も外側の部分にそれぞれ位置して、間隔を空けて対向した状態となっている。このとき、2つの外側板部12,12の間隔は、後方に向かうにつれて徐々に開いていく。別言すると、外側板部12の前端部分が内側板部11の前端部分と連続し、外側板部12の後端部分は前端部分よりも外側に位置している。そして、
図4で示されるように、外側板部12の後側表面と内側板部11の後側表面とが交わる角度βが鋭角となっている。
【0035】
ところで、
図4で示されるように、支柱5の平面断面形状に注目すると、左右方向の一方側から他方側に向かって、外側板部12、内側板部11、中心板部10、内側板部11、外側板部12が間に折曲げ部分13を介して連続している。より具体的には、外側板部12の後端から前端までの部分、内側板部11の前端から後端までの部分、中心板部10の左右方向の片側端部から他方端部までの部分、内側板部11の後端から前端までの部分、外側板部12の前端から後端までの部分が、それぞれの間に折曲げ部分13を介して連続している。つまり、支柱5は一方の外側板部12の後端と、もう一方の外側板部12の後端とが左右方向のそれぞれの端部となるものであり、一方の外側板部12の後端から、もう一方の外側板部12の後端までの間に4つの折曲げ部分13を介在させて連続する構成となっている。
【0036】
また、支柱5の平面断面形状では、
図4で示されるように、左右方向の両端部分にそれぞれ外側板部12が位置しており、2つの外側板部12が間隔を空けて対向するように配されている。ここで、この2つの外側板部は、前後方向における一方端側(前側)の間隔が、他方端側(後側)の間隔より狭くなっており、一方端側から他方端側に向かうにつれて間隔が広くなっている。そして、この2つの外側板部12の間に、中心板部10と2つの内側板部11によって構成される折り曲げられた板状部分が位置している。
【0037】
中間取付金具6は、
図5で示されるように、一枚の鋼板をプレス後に折り曲げ加工して形成されるものであり、載置台部20と取付板部21とが略垂直に交差している。
【0038】
載置台部20は、前側(基端側)の略台形板状部分と、後側(自由端側)の略半円板状の部分とが一体に組み合わさったような形状となっている。このとき、前側の台形板状の部分では、前方から後方へ向かうにつれて左右方向(幅方向)の長さが長くなっている。また、後側の半円板状の部分は、後方に向かって丸みを帯びて凸となっている。
ここで、載置台部20には、載置台部20を上下方向(厚さ方向)に貫通する貫通孔が複数集結した貫通孔群22(水平方向調整手段)が設けられている。
【0039】
貫通孔群22は、複数の貫通孔を列状に配して貫通孔列を形成し、その貫通孔列をさらに列状に配することで形成されている。より具体的には、所定の数の貫通孔が並列して形成される貫通孔列が、前後方向成分を含む方向、及び/又は左右方向成分を含む方向にそって並んだ状態で配されて貫通孔群22を形成している。
【0040】
取付板部21は、載置台部20の前端部分であって左右方向の中心となる位置から、略垂直下方へ向かって垂下された略長方形板状の部分である。この取付板部21には、取付板部21を前後方向(厚さ方向)に貫通する取付用長孔23(上下方向調整手段)が設けられている。
【0041】
取付用長孔23は、取付板部21の左右方向の中心近傍に形成された長孔であり、上下方向に沿って延びている。ここで、取付用長孔23の開口形状は、上端部分及び下端部分が略半円状であって、その間の部分が略長方形状となっている。より具体的には、上端部分は上方に丸みを帯びて凸となる半円状であり、下端部分は下方に丸みを帯びて凸となる半円状となっている。
【0042】
架台3は、公知の太陽電池パネル設置用架台であり、
図6で示されるように、断面形状略「コ」字状で延びる長尺状の部材である。この架台3は、長方形平板状の下板部30(下側固定部)と、下板部30と同形の上板部31(上側固定部)、下板部30と上板部31の間でこれらを一体に連結する連結板部32とを有している。
【0043】
下板部30には、
図6で示されるように、下板部30を上下方向に貫通するパネル取付孔35が複数設けられており、これらが長手方向に間隔を空けて配されている。そして、このパネル取付孔35は、太陽電池パネル4を直接又は間接的に取り付けるための貫通孔となっている。
さらに、下板部30には、下板部30を上下方向に貫通する貫通孔であり、下板部30を上記した中間取付金具6(
図5参照)に固定するための固定用貫通孔36が形成されている。この固定用貫通孔36は、複数設けられており、下板部30の長手方向に間隔を空けて配されている。
【0044】
上板部31にもまた、上板部31を上下方向に貫通し、太陽電池パネル4を直接又は間接的に取り付けるためのパネル取付孔35が形成されている。
【0045】
連結板部32は、上板部31の短手方向の片側端部と、下板部30の短手方向の片側端部とを連結する立壁状の部分である。この連結板部32は、上板部31及び下板部30とそれぞれ略垂直に交わっており、上板部31と下板部30の間に形成される空間の一方側を閉塞している。
【0046】
太陽電池パネル4は、太陽電池パネル自身に、図示しない端子ボックス、ケーブル、断熱補強材等の部材を取り付けて使用されるものである。なお、本実施形態の設置構造1によって支持される太陽電池パネル4は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、所謂枠体を使用しないフレームレス太陽電池パネルとも称されるものを支持した例を示している。
【0047】
次に、本実施形態の設置構造1の施工方法について説明する。
【0048】
まず、
図7で示されるように、太陽電池パネル4の設置場所となる土地に、複数の支柱5を所定の間隔を空けて打ち込んでいく。ここで、各支柱5を打ち込む際、図示しない重機によって支柱5に振動を加えつつ打ち込んでいく。
【0049】
支柱5に振動を加えつつ打ち込む工法によると、仮に支柱5を地中に埋め込みすぎてしまった場合であっても、打ち直し作業が容易であるという利点がある。即ち、地面に穴を空けてからハンマー等で支柱5を打ち込む工法によると、支柱5を打ち込みすぎてしまった場合、支柱5を引き抜いて穴を埋め、再び地面に穴を空けて支柱5を打ち直すといった支柱5の打ち直し作業が必要となる。それに対して、支柱5に振動を加えつつ打ち込む工法によると、仮に支柱5を地中に埋め込みすぎた場合であっても、そのまま支柱5を上方へと移動させるだけで支柱5を立設するにたる強度を確保できる。そのため、打ち込みすぎた支柱5を上方へと移動させるだけで適正な埋め込み量での打ち込みが可能となる。このことにより、打ち直し作業を容易化できる。
なお、本実施形態の支柱5の地中への埋め込み量は、特に限定されるものではないが、1.5m程度の長さの支柱5である場合、1.0m程度打ち込むことが望ましい。このように本実施形態では、支柱5の全長の3分の2程度の長さだけ地中に打ち込まれている。
【0050】
そして、支柱5に振動を加えつつ支柱を打ち込む工法によると、地表面にコンクリートブロックを設置する工法に比べて、土地を平らにするための整地工事を簡易化できるという利点がある。
具体的に説明すると、起伏ある土地の地表面に複数のコンクリートブロックを設置していく場合、各コンクリートブロックの設置位置の間で大きな高低差が発生してしまう。そして、コンクリートブロックの設置高さが大きく異なってしまうと、それに伴って、コンクリートブロックに固定する支柱5の上端部分の高さが大きく異なることになってしまう。この状態で支柱5上に太陽電池パネル4を固定すると、太陽電池パネル4は大きく傾いてしまうので、傾斜角度や向き等の所定の条件を満足するように太陽電池パネル4を固定できない。したがって、地表面にコンクリートブロックを設置する工法の場合、コンクリートの設置位置を水平に近い状態まで整地する整地工事が必要となる。
これに対して、振動を加えつつ支柱5を打ち込む工法によると、支柱5を打ち込んでいく土地に起伏があり、各支柱5の打ち込み位置の間にわずかな高低差があった場合であっても、支柱5の打ち込み量をわずかに可変させる等の手段によって土地の高低差を相殺できる。そのため、地表面にコンクリートブロックを設置する工法のように水平に近い状態まで整地する必要はなく、ある程度の起伏を許容した整地工事で十分に支柱5の立設が可能となる。したがって、整地工事を簡易化できる。
【0051】
さらに、支柱5に振動を加えつつ打ち込む工法によると、地表面にコンクリートブロックを設置して、コンクリートブロックに支柱5を固定する工法や、地中にコンクリートを流し込んで支柱5を固定する工法に比べて、工期の短縮が可能となるという利点がある。即ち、上記したコンクリートブロックに支柱5を固定する工法や、地中にコンクリートを流し込んで支柱5を固定する工法では、通常、必要な強度を得るためにコンクリートの硬化を促す期間(所謂養生期間)が必要となる。それに対し、上記した支柱5に振動を加えつつ打ち込む工法によると、このコンクリートの硬化を促す期間(所謂養生期間)を必要としないので、工期の短縮が可能となる。
【0052】
また、上記した支柱5に振動を加えつつ打ち込む工法によると、地表面にコンクリートブロックを設置して、コンクリートブロックに支柱5を固定する工法や、地中にコンクリートを流し込んで支柱5を固定する工法に比べて、撤去工事が容易化できるという利点がある。即ち、太陽電池パネル4の設置後、太陽電池パネル4を設置していた土地を他の用途で使用する必要が生じた場合、太陽電池パネル4と、太陽電池パネル4の設置にかかる各部材を撤去する必要がある。このとき、上記した支柱5に振動を加えつつ打ち込む工法によると、高重量のコンクリートブロックや、地中に流れ込んで固まったコンクリート等を撤去する煩雑な作業を必要としないので、撤去工事の工費を低減できる。
【0053】
このように支柱5を地面に打ち込んでいくことにより、各支柱5は、下部が地中に埋没すると共に上部が地上に露出した状態で立設されることとなる(
図8参照)。そして、複数の支柱5が所定の間隔を空けて配された状態となる。この状態において、
図9で示されるように、支柱5の上端近傍に中間取付金具6が取り付けられる。
【0054】
より具体的には、中間取付金具6を支柱5の前方から接近させ、支柱5の中心板部10と中間取付金具6の取付板部21とを重ね合わせ、中心板部10の取付孔15と取付板部21の取付用長孔23とを重ね合わせた状態とする。そして、取付孔15と取付用長孔23に締結要素40を挿通し、中間取付金具6と支柱5を締結要素40を介して固定する(
図2参照)。
なお、本明細書において「締結要素」とは、ボルト、ネジ、釘、鋲等の上位概念であるものとして説明する。
【0055】
ところで、
図9で示されるように、中間取付金具6の取付板部21の左右方向の長さL1は、中心板部10の左右方向の長さL2と略同じ長さとなっている。ここで、上記したように、中心板部10の前方では2つの内側板部11,11が間隔を空けて対向しており、2つの内側板部11,11の間隔が前方から後方に向かうにつれて狭くなっている。
このとき、2つの内側板部11,11の前端近傍における間隔は、中心板部10の左右方向の長さL2よりも大きくなっており、2つの内側板部11,11の後端近傍における間隔は、中心板部10の左右方向の長さL2と略同じ長さとなっている。
【0056】
したがって、中間取付金具6を支柱5に取付けるため、中間取付金具6を支柱5へと近接させていくと、中間取付金具6の取付板部21が2つの内側板部11,11の間に前方側から侵入する。このとき、2つの内側板部11,11の前端側における間隔の長さは、中間取付金具6の取付板部21の左右方向の長さL1よりも大きくなっており、取付板部21を細かく位置合わせすることなく、容易に2つの内側板部11,11の間へ侵入させることができる。そして、2つの内側板部11,11の間隔が後端に向かうにつれて狭まっていくので、中間取付金具6をそのまま押し込むだけで、2つの内側板部11,11がガイド(位置決め手段)として機能し、中間取付金具6の取付板部21を支柱5の中心板部10と重なった状態とすることができる。つまり、本実施形態の設置構造1によると、作業者が細かい位置合わせすることなく、取付板部21と中心板部10とを左右方向のずれがない状態で重ね合わせることができる。
【0057】
ところで、中心板部10の取付孔15は開口形状が円形であり、取付板部21の取付用長孔23は開口形状が上下方向に延びた形状となっている。そして、これら取付孔15と取付用長孔23は、左右方向(幅方向)の長さが略同一であって、上下方向の長さが異なっている。したがって、取付用長孔23と取付孔15を重ね合わせた状態で、取付用長孔23を取付孔15に対して上下方向へ移動させることにより、取付用長孔23の取付孔15と重なる位置、即ち、取付用長孔23の締結要素40が挿通される位置を上下方向に調整することができる。
具体的に説明すると、
図10(a)で示されるように、取付用長孔23の下端近傍の部分と取付孔15とを重ね合わせた状態でこれらに締結要素40を挿通して固定すると、中間取付金具6は支柱5に対して比較的高い位置に固定されることとなる。これに対して、
図10(b)で示されるように、取付用長孔23の上端近傍の部分と取付孔15とを重ね合わせた状態でこれらに締結要素40を挿通して固定すると、中間取付金具6は支柱5に対して比較的低い位置に固定されることとなる。このように、本実施形態では、中間取付金具6を支柱5に取り付けるとき、中間取付金具6の取り付け位置を上下方向に調整することができる。
【0058】
ところで、中間取付金具6を支柱5に取り付けた状態では、
図11で示されるように、中間取付金具6の載置台部20が、支柱5の2つの外側板部12の内側に位置した状態となる。
より具体的には、中間取付金具6の載置台部20は、
図2で示されるように、外側板部12の上端より上方に位置した状態となっているので、載置台部20は、左右方向で外側板部12の内側であり、上下方向で外側板部12の上側に位置している。つまり、載置台部20は、2つの外側板部12,12より内側に形成される領域A1(
図11参照)の上方に位置している。したがって、載置台部20の投影形状と、支柱5の投影形状を重ねてみると、載置台部20の投影形状は、支柱5の投影形状のうち2つの外側板部12,12より内側に位置した状態となる。
【0059】
支柱5の上端近傍に中間取付金具6が取り付けられると、続いて、中間取付金具6に架台3が取付けられる。
【0060】
詳細に説明すると、
図12で示されるように、中間取付金具6の載置台部20上に架台3の下板部30を載置し、載置台部20に設けられた貫通孔群22を形成する貫通孔のうちの1つと、下板部30の固定用貫通孔36とを重ね合わせた状態とする。そして、載置台部20の貫通孔と、下板部30の固定用貫通孔36に締結要素41を挿通し、載置台部20上に架台3を固定する。
【0061】
ここで、上記したように、載置台部20には、複数の貫通孔によって構成された貫通孔群22が設けられている。そして、載置台部20に架台3を固定するとき、この貫通孔群22を構成する貫通孔の中から所定の貫通孔を選択して使用する。このことにより、架台3と載置台部20の相対位置が前後方向や左右方向にずれてしまった場合であっても、架台3の固定用貫通孔36と載置台部20の貫通孔とを重ね合わせ、締結要素41を挿通することが可能となる。
【0062】
具体的に説明すると、支柱5を所定の位置からずれた場所に打ち込んでしまう等の理由により、載置台部20が規定の位置より前後方向や左右方向にずれてしまうおそれがある。このとき、仮に載置台部20に貫通孔が1つのみしか設けられていない場合、載置台部20上に架台3を載置しても固定用貫通孔36と載置台部20の貫通孔がずれた状態となってしまうので、締結要素41を挿通できなくなってしまうことが考えられる。
これに対して、本実施形態の載置台部20には、複数の貫通孔によって構成された貫通孔群22が設けられている。したがって、仮に架台3と載置台部20の相対位置がずれてしまい、固定用貫通孔36と貫通孔群22のうちの一つの貫通孔との位置がずれてしまった場合であっても、固定用貫通孔36は、貫通孔群22のうちの他の一つの貫通孔と重なった状態となる。つまり、架台3と載置台部20の相対位置がずれてしまっても、固定用貫通孔36は、貫通孔群22を構成する貫通孔のうちのいずれか一つの貫通孔と重なった状態を維持することができる。このことにより、架台3を載置台部20に固定するとき、締結要素40が挿通される位置を水平方向に調整することができるので、架台3と載置台部20の相対位置がずれてしまっても、架台3の載置台部20への取り付けが可能となっている。
【0063】
支柱5の中間取付金具6に架台3が取付けられると、
図13で示されるように、太陽電池パネル4が架台3に直接的又は間接的に取り付けられる。なお、本実施形態では、図示しない補強桟を介して太陽電池パネル4が架台3に取り付けられている。このとき、太陽電池パネル4は、予め定められた所定の角度(例えば5度程度)で傾斜した状態となっている。
【0064】
より具体的には、それぞれの太陽電池パネル4は、前後方向(
図13では左右方向)に間隔を空けて配された2つの架台3に取り付けられている。即ち、太陽電池パネル4の前端側(
図13では右端側)の部分は、前方側(
図13では右側)に位置する架台3の下板部30に取り付けられており、太陽電池パネル4の後端側(
図13では左端側)の部分は、後方側(
図13では左側)に位置する架台3の上板部31とに取り付けられている。このことにより、太陽電池パネル4は、所定の角度(例えば5度程度)で傾斜した姿勢をとっている。
即ち、本実施形態の設置構造1では、前後方向と上下方向とでそれぞれ離れた位置にある前方側(
図13では右側)に配された架台3の下板部30と、後方側(
図13では左側)に配された架台3の上板部31とに、太陽電池パネル4を取り付ける。このことにより、2つの架台3の形状を同一の形状とし、2つの架台3の設置高さを同じ高さとした状態で、太陽電池パネル4を傾斜させて取り付けることができる。
【0065】
このため、本実施形態の設置構造1によると、太陽電池パネル4を傾斜させるために、前側の架台を支持する支柱と後側の架台を支持する支柱の長さを変えたり、前側の架台と後側の架台の形状を異なるものとするような構造とは異なり、施工作業の簡易化や施工費用の低減が可能となる。
即ち、太陽電池パネル4の前後方向の両端部分をそれぞれ支持する架台3の形状を同一とすることにより、それぞれ異なる形状の架台で太陽電池パネル4を支持する場合とは異なり、架台3の量産化が可能となるので架台3の製造費用を低減できる。このことをもって、施工費用の低減が可能となる。
また、同形の架台3を同じ高さに取り付ける構造とすることにより、設置場所に架台3を固定するときの架台3の固定作業を同一の作業とすることができる。例えば、異なる形状の架台を使用する場合、架台の土台部分への固定作業は架台毎に異なる作業となってしまう。即ち、架台の形状に応じた土台部分への取付け作業を実施する必要が生じてしまう。また、それぞれの架台を異なる高さに取り付ける場合も同様に、架台の土台部分への固定作業が架台毎に異なる作業となってしまう。これらの場合、必然的に作業の種類が増えてしまうので、施工作業が煩雑になってしまう。それに対し、本実施形態の設置構造1によると、同形の架台3を同じ高さに取り付ければよく、すべての架台3を同一の作業で固定できるので、施工作業を簡易化できる。
【0066】
なお、特に限定されるものではないが、太陽電池パネル4の傾斜角度が5度程度となるように取り付けることが望ましい。太陽電池パネル4の傾斜角度を5度程度となるように取り付けると、傾斜角度が25度乃至35度となるような構造に比べて、風の吹き上げよってかかる荷重を低減することができる。
具体的に説明すると、太陽電池パネル4を設置したとき、太陽電池パネル4の裏面側へと風が吹き込んで太陽電池パネル4へと当たることにより、太陽電池パネル4に対して浮き上がらせる方向へ力が加わってしまうことがある。このとき、太陽電池パネル4を傾斜角度が低角度となるように設置すると、この浮き上がらせる方向へと加わる力が低減される。このため、太陽電池パネル4の単位面積当たりの重量を重くしたり、支柱5を地中深く埋め込んで強く固定したりすることなく、風による太陽電池パネル4の飛散等を防止できるので望ましい。
【0067】
上記した実施形態では、平面視が略「M」字状で上下方向に延びる支柱5を支柱部として採用する例を示したが、本発明の設置構造で採用される支柱部はこれに限るものではない。
例えば、平面視が略「C」字状で延びる支柱を支柱部として採用してもよい。即ち、本発明で採用する支柱は、一枚の金属板を湾曲して形成し、平面視したときに周方向の両端となる部分の間に湾曲部を有する構成であってもよい。
なお、平面視が波型となる支柱を支柱部として採用してもよい。即ち、本発明で採用する支柱は、一枚の金属板を湾曲したときに形成される湾曲部を複数有する構成であってもよい。
つまり、本発明で採用する支柱は、金属板が屈曲して形成される屈曲部と、金属板が湾曲して形成される湾曲部のいずれかを少なくとも1つ有する構成であればよく、屈曲部と湾曲部とを両方有する構成であってもよい。また、本発明で採用する支柱は、屈曲部と湾曲部を1つだけ有する構成であってもよく、屈曲部と湾曲部とを複数有する構成であってもよい。
【0068】
したがって、本発明で採用する支柱は、平面視が略「L」字状、略「工」字状、略「U」字状、略「V」字状、略「W」字状のいずれかであってもよい。しかしながら、上記した実施形態のような平面視が略「M」字状の支柱5によると、
図14で示されるように、支柱5を重ね合わせて積み上げたときに、各支柱5が安定した姿勢を保ちつつ単位体積あたりの数をより多くした状態で支柱5を積み重ねることができる。そのため、支柱5を施工現場へ搬送するときに効率よい搬送が可能となるという利点がある。
【0069】
上記した実施形態では、載置台部20は、2つの外側板部12,12より内側に形成される領域A1(
図11参照)の上方に位置し、且つ、載置台部20の全体がこの領域A1の内側に位置するように設けられている例を示したが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、載置台部20の一部分が、前後左右方向において、2つの外側板部12,12より内側に形成される領域A1からはみ出すように設けてもよい。例えば、載置台部20の後端側部分のみが、2つの外側板部12,12より内側に形成される領域A1から後側にはみ出すように設けてもよい。
しかしながら、上記したように載置台部20の全体がこの領域A1の内側に位置するように設けられた構成によると、太陽電池パネルの設置作業を実施するときに、領域A1から外側にはみ出してしまった載置台部20が施工作業の邪魔になることがない。即ち、支柱5から水平方向に飛び出した部分に作業者がぶつかって怪我をするといったことがないので、施工作業をより円滑に実施できる。
【0070】
上記した実施形態では、中間取付金具6と支柱5とを締結要素40を介して固定し、中間取付金具6の載置台部20と架台3もまた締結要素41を介して固定する例を示したが、本発明の太陽電池パネルの設置構造は、これに限るものではない。これらは、溶接等の手段によって固定されてもよい。
【0071】
上記した実施形態では、載置台部20を上下方向に貫通する貫通孔が複数集結した貫通孔群22を水平方向調整手段とし、取付板部21を前後方向に貫通する取付用長孔23を上下方向調整手段とした中間取付金具6の例を示したが、本発明の太陽電池パネルの設置構造で採用される中間取付金具は、これに限るものではない。
例えば、
図15で示されるように、左右方向に延びる長孔が前後方向に沿って並列した長孔列122(水平方向調整手段)を有する中間取付金具106(支持部)であってもよい。架台3を中間取付金具106に取り付けるとき、取り付け位置を水平方向(前後方向成分を含む方向及び/又は左右方向成分を含む方向)に調節可能であればよい。
また、
図15で示されるように、開口形状が円形の貫通孔が上下方向に沿って並列した貫通孔列123(上下方向調整手段)を有する中間取付金具106であってもよい。中間取付金具106を支柱5に取り付けるとき、取り付け位置を上下方向成分を含む方向に調節可能であればよい。
【0072】
さらにまた、上記した実施形態においては、中間取付金具6,106に対して水平方向調整手段と上下方向調整手段を設けた例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、支柱5に複数の貫通孔や長孔によって形成される上下方向調整手段を設けてもよく、架台3に複数の貫通孔や長孔によって形成される水平方向調整手段を設けてもよい。支柱5に対する架台3の相対的な位置を上下方向、水平方向(前後方向成分を含む方向及び/又は左右方向成分を含む方向)に調節可能であればよい。