【実施例】
【0020】
つぎに本発明の第1の実施例によるRFIDタグ1を
図1および
図2にもとづき説明する。
図1は、RFIDタグ1の縦断面図、
図2は、RFIDタグ1を任意の物品、設備ないし構造物などの管理対象物Kに取り付けた状態を示す斜視図であって、RFIDタグ1は、タグ本体2と、タグ本体2に内蔵ないし埋蔵したRFIDインレット3と、タグ本体2の表面に形成した撥水性表面層4と、を有する。
【0021】
タグ本体2は、所定の柔軟性ないし弾性、および剛性を有する、たとえば硬質樹脂あるいは軟質樹脂など合成樹脂材料から任意の形状(図示の例では、細長板状)に形成した基材であって、その内部にRFIDインレット3を備えている。
【0022】
RFIDインレット3は、たとえばポリエチレンテレフタレートないしその積層フィルムなどによるインレット基材5と、ICチップ6およびRFIDアンテナ7と、を有して無線によるデータ通信が可能である。
RFIDインレット3は、たとえばUHF帯(300MHz〜3GHz(好ましくは860〜960MHz、さらに具体的には、433MHz、900MHz、915〜928MHz、950〜958MHz)やマイクロ波(1〜30GHz、具体的には2.45GHz)、HF帯(3MHz〜30MHz(好ましくは13.56MHz))あるいは135kHz以下など、その他、所定の周波数帯の電波および電磁的作用などにより、RFIDアンテナ7を介してICチップ6に必要なデータの無線による読み取りおよび書き込み(データ通信)を行う。
ただし、それぞれの使用電波に応じてICチップ6およびRFIDアンテナ7の具体的構成を適正なものとしている。
とくにUHF帯(たとえば、860〜960MHz)レベルの波長を有する電波を使用するものでは、その通信距離が通常は5〜10m程度であり、各種の分野における応用が期待されている。
【0023】
RFIDタグ1(タグ本体2)の断面構造は、積層工程あるいは射出成形工程あるいはこれらの組み合わせ処理など任意の手法によりこれを構成することができるとともに、RFIDタグ1の使用環境や使用目的に応じて任意の形状に構成可能である。
たとえば熱可塑性樹脂シートでRFIDインレット3を上下から挟み込んで平面熱プレス加工することによる積層構造によりRFIDインレット3を積層被覆し、これを堅固に保護して耐環境性を確保することができる。
【0024】
撥水性表面層4は、タグ本体2の表面に、任意の撥水性素材を積層する処理、撥水剤を塗工する処理、あるいは撥水剤に浸漬する処理など各種の撥水処理によりこれを形成するもので、タグ本体2の表面に雨水その他による水滴Wが付着しても、水滴Wをはじき、外部のリーダーライター8とRFIDインレット3との間のデータ通信機能を維持可能で、所定のデータ通信距離を確保可能とする。
【0025】
撥水性素材および撥水剤としては、シリコーン撥水剤を主成分とする材料が一般的であり、たとえば、たとえばジメチルシリコーンオイルや反応性ジメチルシリコーンオイルを基油とするオイル系溶液型のシリコーン撥水剤、たとえば特殊シランを成分とするシラン系溶液型のシリコーン撥水剤、および、たとえばシリコーンレジンを主成分とするワニス系溶液型のシリコーン撥水剤などから、タグ本体2の材質あるいはRFIDタグ1の使用環境や使用目的に応じて選択が可能である。
ただし、撥水性表面層4を形成するための各種処理としては、RFIDタグ1内部のRFIDインレット3を破壊しない程度の機械的外力あるいは熱応力に抑えておく必要がある。
また、上記シリコーン撥水剤の各種溶剤を除去するための加熱処理としては、同じくRFIDインレット3を破損しないように、また、タグ本体2が熱変性しないように注意する。場合によっては常温乾燥が好ましい。
もちろん、タグ本体2に撥水処理を施したのちに、インレット3をタグ本体の内部に封入(内蔵あるいは埋蔵)してもよい。
【0026】
RFIDタグ1自体は、管理対象物Kに固定用ボルト9などによりこれを固定するものである。
なお、管理対象物KへのRFIDタグ1の固定手段は、その設置場所ないし設置環境に応じて任意に選択可能である。両面接着テープによる固定あるいは接着剤による固定でもよい。
【0027】
こうした構成のRFIDタグ1によれば、タグ本体2の表面に撥水性表面層4という撥水処理を施しているので、管理対象物Kが屋外に設置されている場合に雨天の際、あるいはこれらの洗浄処理の際に、タグ本体2(撥水性表面層4)の表面に水滴Wが付着しても、撥水性表面層4の撥水特性により、水滴Wをはじいてその自重によりRFIDタグ1から落下させることができ、残留水分を極力低減可能である。
したがって、RFIDタグ1とリーダーライター8との間のデータ通信機能は損なわれることなく、屋外あるいは屋内を問わず、水滴Wの付着するような使用形態であっても、RFIDタグ1としてのデータ通信機能を適正に維持し、所定のデータ通信距離を確保可能である。
【0028】
つぎに本発明においては、RFIDインレット3を外装ケースにより被覆することができる。
すなわち
図3は、本発明の第2の実施例によるRFIDタグ10の縦断面図であって、RFIDタグ10は、既述のRFIDインレット3を外装ケース11の内部に封入している。
【0029】
外装ケース11は、RFIDインレット3を保護するものであり、細長いドーム形状のケース本体12と、ケース本体12の開口部を閉鎖する蓋13と、を有する。
【0030】
外装ケース11の材料としては、電波を透過させる材料であればよく、例えば、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−エチレン・プロピレン・ジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリルスチレン共重合樹脂、ブタジエンスチレンメチルメタクリレート共重合樹脂、ポリ塩化ビニール、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、ノルボルネン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリパラメチルスチレン、ポリビニルホルマール、ポリフェニレンサルファイド、ポリメチルペンテン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ポリイミドなどの熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0031】
また、上記熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂に、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、セラミック繊維(シリコンカーバイド、ボロン、アルミナ)、ウィスカー(Al2O3、β−SiC、グラファイト、チタン酸カリウム、ポリオキシメチレン)などを含有させることにより、その強度を高めてもよい。
【0032】
ケース本体12および蓋13の接着方法は、超音波接着、熱融着、接着剤による接着など任意の方法を採用可能である。
接着剤としては、エポキシ樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、糊料、粘着テープなどを用いることができる。
【0033】
外装ケース11の、たとえばケース本体12には、インレット支持材14を設け、このインレット支持材14にRFIDインレット3を接着剤などで固定することにより、外装ケース11の内部にRFIDインレット3を封入する。
このRFIDインレット3と、外装ケース11との間の空間は、これを空洞としておいてもよいし、任意の充填材を配置することもできる。
なお図示は省略するが、インレット支持材14にRFIDインレット3を片持ち式に取り付けることにより、外装ケース11への外力による歪みの影響をRFIDインレット3に及ぼすことがないようにすることもできる。
また、RFIDインレット3をケース本体12あるいは蓋13の裏面に直接貼り付けることにより、比較的簡単な構成とすることもできる。ただし、管理対象物Kが金属製である場合には、RFIDインレット3をケース本体12の裏面側に位置させることにより、管理対象物Kから極力離間させることが望ましい。
【0034】
上述のような外装ケース11の表面に、前述した撥水性表面層4という撥水処理を施すことにより、外装ケース11(撥水性表面層4)の表面に水滴Wが付着しても、水滴Wをはじいてその自重によりRFIDタグ10から落下させることができる。
なお、外装ケース11を撥水処理したのちに、RFIDインレット3をその内部に封入してもよい。
【0035】
こうした構成のRFIDタグ10によれば、RFIDインレット3を外装ケース11により保護して、耐候性および耐環境性に優れたRFIDタグとすることができるとともに、RFIDタグ10とリーダーライター8との間のデータ通信機能は損なわれることなく、屋外あるいは屋内を問わず、水滴Wの付着するような使用形態であっても、RFIDタグ10としてのデータ通信機能を適正に維持し、所定のデータ通信距離を確保可能である。