(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
底部に形成された液出口を閉塞するために下方に向けて付勢される弁体を有するタンクと、該タンクが着脱自在に装着され、該タンクが装着された場合に前記弁体を上方へ押し上げることにより前記液出口を開放させる弁操作部が設けられたタンク装着部とを備え、該タンク装着部に装着されたタンクに貯留されている液体を前記液出口を通じて外部へ供給する液体供給装置において、
固形状の物質を収容する収容部材
を備え、
前記収容部材は、
前記タンクに貯留された液体が通流する複数の孔を有し、前記固形状の物質を収容する収容部と、
該収容部内の空間に連通する空間にて前記弁体を取り囲む周壁を有し、該周壁の内側及び前記タンク内部の空間を連通する連通孔を前記周壁に設けてある脚部と
を備えることを特徴とする液体供給装置。
底部に突設された筒状の液補充口と、該液補充口に着脱自在に取付けられるキャップとを備え、液出口と該液出口を閉塞するために所定方向に向けて付勢される弁体とを前記キャップに設けてあるタンクの内部に取付け可能な容器であって、
前記タンクに貯留された液体が通流する複数の孔を有し、固形状の物質を収容する収容部と、
前記キャップに取り付け可能であり、該収容部内の空間に連通する空間にて前記弁体を取り囲む周壁を有し、該周壁の内側及び前記タンク内部の空間を連通する連通孔を前記周壁に設けてある脚部と
を備えることを特徴とする容器。
【背景技術】
【0002】
室内の空気には、塵埃、花粉、タバコの煙、呼気等といったように、人体に不快又は有害とされる様々な物質が含まれている。特に近年では、住宅が高気密化されていることから、そのような有害物質が室内に滞り易い。そのため、旧来より部屋の窓を適宜開けて自然換気を行っていた。
【0003】
ところが、大気汚染のひどい地域や、花粉症を患っている人が居る家庭や職場では、自然換気を思いのまま行えないのが実情である。このような状況から、室内の空気を浄化する空気浄化機能を有する空気清浄機が広く一般に普及してきている。
【0004】
空気清浄機は、前面に浄化フィルタが取付けられ、内部には、送風機を配された通風路が形成されている。通風路は前面の開口から上部の吹出口に至る。このような空気清浄機は、送風機の回転に従い、外部の空気である室内の空気は、浄化フィルタを通じて通風路内に吸込み、吸込んだ空気を外部である室内へ吹出口より吹出す。その際、空気中に含まれる有害物質は浄化フィルタによって捕集、吸着、分解されたりして取除かれ、これにより空気が浄化される。
【0005】
空気清浄機には、室内の空気をより一層快適な状態に調節する目的から、加湿機能を併せ持つものも存在する。加湿機能付きの空気清浄機では、水分を含んだ加湿フィルタが通風路の断面領域の一部を遮るように配されており、浄化フィルタにより浄化された空気の一部が、その加湿フィルタを通過する際に水分を取り込み、これにより加湿されるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。また、加湿フィルタ全体で効率よく吸水するために、縦姿勢に配された円盤状の加湿フィルタを回転させる加湿装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
特許文献2のような加湿装置は、水を貯留する水槽を備え、加湿フィルタは、周方向の一部分が水槽にて浸水するようにして縦姿勢に配された状態で、加湿フィルタの中心位置に側面と直交する横姿勢の回転軸を中心に、周方向へ回転可能に構成されている。周方向へ回転することにより加湿フィルタは周方向に連続的に浸水し、また、浸水している部分から浸水していない部分へ水を吸い上げるため、加湿フィルタ全体に水が行き渡る。この結果、加湿フィルタは加湿フィルタ全体で効率よく吸水する。
【0007】
更に、吸水した加湿フィルタの一面側へ送風機で送風することにより、加湿フィルタを通過した空気が吸湿し、吸湿した空気が加湿装置の外部へ送風される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来の加湿装置の水槽には常に水が貯留され、加湿フィルタも常に湿った状態にあるため、抗菌対策を施していない場合、細菌やカビなどが発生し易い状況下にある。
このため、従来の加湿装置では、水槽の底に抗菌成分を含んだシート(抗菌シート)を敷設したり、水槽に水を供給するための給水タンクの内部に固形の抗菌剤を投入することが行われていた。
【0010】
しかしながら、水槽の底に抗菌シートを敷設したり、タンク内に抗菌剤を投入する手法では、抗菌剤からの抗菌成分の溶出効率が低く、抗菌機能を十分に発揮することができないという課題を有していた。
【0011】
また、水槽の底に抗菌シートを敷設する手法では、抗菌機能としての寿命を終えたシートを交換する際に、加湿装置から水槽を取り出し、加湿フィルタを取り外して、新たな抗菌シートを敷設しなければならないため、抗菌シートの交換に手間が掛かるという問題点を有していた。
一方、給水タンクに固形の抗菌剤を投入する手法では、給水の都度、抗菌剤が給水タンクから落ちてしまう可能性を有していた。
【0012】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、抗菌機能を十分に発揮することができ、抗菌機能としての寿命を終えたときに新たなものと容易に取り換えることができる液体供給装置、加湿装置及び容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る液体供給装置は、底部に形成された液出口を閉塞するために下方に向けて付勢される弁体を有するタンクと、該タンクが着脱自在に装着され、該タンクが装着された場合に前記弁体を上方へ押し上げることにより前記液出口を開放させる弁操作部が設けられたタンク装着部とを備え、該タンク装着部に装着されたタンクに貯留されている液体を前記液出口を通じて外部へ供給する液体供給装置において、固形状の物質を収容する収容部材を備え、前記収容部材は、前記タンクに貯留された液体が通流する複数の孔を有し、前記固形状の物質を収容する収容部と、該収容部内の空間に連通する空間にて前記弁体を取り囲む周壁を有し、該周壁の内側及び
前記タンク内部の空間を連通する連通孔を前記周壁に設けてある脚部とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る液体供給装置は、前記
収容部と前記脚部とは着脱可能であり、前記脚部は、前記収容部内の空間と、前記周壁の内側の空間とを仕切る仕切り板を有し、該仕切り板に、前記収容部内の空間と、前記周壁の内側の空間とを連通する連通孔を設けてあることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る液体供給装置は、前記タンクは、前記底部にて下方に突設された筒状の液補充口と、該液補充口に着脱自在に取付けられるキャップとを備え、前記液出口及び弁体
、並びに前記収容部材が取り付けられる取付部を前記キャップに設けてあり、
前記取付部には雄ねじが形成されており、前記収容部材の脚部が備える前記周壁の内周面には雌ねじが形成されており、前記雌ねじと前記雄ねじとを螺着させることにより、前記収容部材の脚部は、前記キャップに取り付け可能であることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る加湿装置は、前記固形状の物質は、抗菌剤であり、前述した発明の何れか1つに記載の液体供給装置と、該液体供給装置から供給される液体を気化させる手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る容器は、底部に突設された筒状の液補充口と、該液補充口に着脱自在に取付けられるキャップとを備え、液出口と該液出口を閉塞するために所定方向に向けて付勢される弁体とを前記キャップに設けてあるタンクの内部に取付け可能な容器であって、前記タン
クに貯留された液体が通流する複数の孔を有し、固形状の物質を収容する収容部と、前記キャップに取り付け可能であり、該収容部内の空間に連通する空間にて前記弁体を取り囲む周壁を有し、該周壁の内側及び
前記タンク内部の空間を連通する連通孔を前記周壁に設けてある脚部とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、収容部材に抗菌剤を収容した場合、給水時には収容部材の外部から液体が取り込まれる。収容部材の内部に取り込まれた液体は、収容されている抗菌剤から抗菌成分を溶解させるので、抗菌成分をよく含んだ液体が孔から外部へ通流する。また、タンクの外部から導入される空気は、孔を通じて収容部材の内側の空間に取り込まれる。収容部材に導入される空気の流れによって、収容部材に収容された抗菌剤は適度に撹乱及び衝突するので、抗菌成分の溶解が進み、抗菌成分をよく含んだ液体が収容部材の外部へ拡散する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、タンクの給水時に導入される液体及び空気の流れを利用して抗菌剤に含まれる抗菌成分を溶解させることができるので、タンク内に単に抗菌剤を投入する場合と比べて、溶出効率を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る液体供給装置及び加湿装置の実施形態の1つとして、加湿機能を備えた空気清浄機に適用した形態について図面を用いて具体的に説明する。
【0022】
図1は本実施の形態に係る空気清浄機の構成を示す分解斜視図、
図2は空気清浄機の内部構成を示す縦断面図である。本実施の形態においては、加湿機能及びイオン放出機能を備えた空気清浄機の例について説明する。
【0023】
図に示す空気清浄機は、運転時には室内の適所で床上に置かれたり壁に掛けられたりするものであり、大きくは、後面に吸込口1aを有するハウジング1と、該ハウジング1の吸込口1aに配され、複数の小孔を有する後パネル2とにより外殻が構成される。ハウジング1は、全体として直方体をなし、垂直に立てたような外形であって、後面には、直方体状に大きく窪んだフィルタ収納部1bが形成されており、一側面には加湿フィルタ3及び水槽4を横方向から取出しを可能に挿入するための挿入部1cが形成されている。フィルタ収納部1bには、後側より順に、浄化フィルタとしての脱臭フィルタ6及び集塵フィルタ7が重ね合わされた状態で収納されている。
【0024】
脱臭フィルタ6は、空気中の臭い成分であるアセトアルデヒドやアンモニアや酢酸等を吸着する役割を担うもので、長方形をなす枠体にポリエステル製の不織布を取付け、その上に活性炭を均一に分散配置し、その上からポリエステル製の不織布を被せたものである。
【0025】
集塵フィルタ7は微細な塵埃を捕集する役割を担うもので、いわゆるHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタであり、ポリエステル/ビニロン系不織布からなる骨材に電石加工したメルトブロー不織布を合わせて濾材とし、これを折り畳んだ上、その上下面にハイドロキシアパタイト加工した不織布からなる抗菌シートを重ねて熱圧着し、ホットメルト付き不織布からなる枠を溶着したものである。
【0026】
フィルタ収納部1bに収納された脱臭フィルタ6及び集塵フィルタ7は、後パネル2によってフィルタ収納部1bからの脱落が防止される。後パネル2は、概ね矩形の形状をなし、マトリクス状に複数の通気口2aが形成されており、裏面にはメッシュ上の繊維シートが貼付けられている。
【0027】
脱臭フィルタ6及び集塵フィルタ7が収納されているハウジング1の後面に対し、後パネル2が離隔して取付けられ、脱臭フィルタ6及び集塵フィルタ7を含めて後パネル2にて完全に覆い隠してある。
【0028】
後パネル2は、ハウジング1へ向けて折れ曲がった上部からのフック2bがハウジング1の上部に引掛けられて支持されるとともに、下部に係止部2cによって固定される。
【0029】
ハウジング1には、フィルタ収納部1bの前側に、隔壁11、12を挟んで送風機8が配置されている。送風機8は、ファン81及び該ファン81を駆動するファンモータ82から成り、前側を隔壁12によって隔離されている。また、前側の隔壁12にファンモータ82が固定され、後側の隔壁11に、送風機8に通じる複数の通気孔が形成されている。ファン81はターボファンであるが、その他、プロペラファンを採用することも、クロスフローファンを採用することも可能であり、ファンの種類は特に限定されない。ターボファンの場合、ファンの直径に比較して厚さを大きくとり、騒音レベルを下げる工夫がなされている。また、ファンモータ82は、駆動制御の容易性を重視して直流モータを用いてある。
【0030】
また、フィルタ収納部1bの前側には、保護カバーが設けられ、直接、加湿フィルタ3及び該加湿フィルタ3を回転させる回転駆動機構9に触れられないようにし、空気を通過させる開口は形成されている。
【0031】
また、ハウジング1には、送風機8の上方に相当する上部に、隔壁11、12によって吹出通路13が形成され、該吹出通路13は上向きに開口する吹出口14に連通しており、該吹出口14に風向板15が設けられている。ハウジング1の上部には、電源のオン/オフや運転設定を行うための操作ボタン、及び運転状態を表示する表示ランプ等より成る操作・表示部が設けられている。
【0032】
風向板15は、空気の流れを斜め方向若しくは水平方向から上方向までの範囲で吹出すためにステッピングモータなどの駆動手段で、斜め方向若しくは水平方向から上方方向までの所定範囲で駆動させる。
【0033】
送風機8の駆動、即ち、ファンモータ82によるファン81の回転に従い、後パネル2の通気口2aから外部の空気(室内の空気)が導入される。導入された空気は、脱臭フィルタ6によって臭いや塵埃のない空気に浄化される。浄化された空気は、通風路を経て隔壁12の通気孔からファン81の中心部に吸込まれる。ファン81の中心部に吸込まれた空気は、ファンブレード同士の間を通りファン81の外周から吐出され、上方に導かれて吹出口14、風向板15の向きにより外部である室内へ吹き出される。
【0034】
脱臭フィルタ6及び集塵フィルタ7から送風機8に通じる通風路には、回転自在の加湿フィルタ3が配されている。具体的には、ハウジング1の下部には、一方の側部から着脱可能な水槽4と、水槽4の上方には円盤状の加湿フィルタ3が回転を可能に配置される。
【0035】
水槽4は、ハウジング1の側面部に配置される給水タンク5の下側に配置される給水部4aと該給水部4aの一側に連なり、ハウジング1の挿入部1cからハウジング1内へ挿入される貯水部4bとを有する平面視T字形をなし、貯水部4bの両側部に軸支柱部10,10が保持されており、該軸支柱部10,10の頂部に装着される加湿フィルタ3とともに貯水部4bを挿入部1cから取出すことができるように構成され、貯水部4bには、給水タンク5から給水部4aを経て水が適時供給され、一定の水位に水が貯められる。
【0036】
フィルタとしての加湿フィルタ3は、吸水性及び通気性を有し、ジグザグに折り畳まれた円盤状のフィルタ本体31及び該フィルタ本体31の外周部を保持する円環状の枠体32とから成り、回転中心に横方向の回転軸33が設けられており、該回転軸33が軸支柱部10,10の頂部に回転を可能に支持されることにより、周方向の一部が水槽4内に浸水されるように縦姿勢に配され、最下部が浸水され、その水を吸上げて水分を含んだ状態になる。また、加湿フィルタ3は軸支柱部10,10に支持された状態で水槽4の貯水部4bとともに挿入部1cへ径方向から挿脱することができるように構成されている。
【0037】
加湿フィルタ3には、枠体32の内側へ侵入した水によってフィルタ本体31が浸水する浸水部、及び浸水しない非浸水部が、周方向へ離隔して設けられている。
【0038】
フィルタ本体31は、適宜の厚みを有する円盤状のフィルタ素材の外周部の周方向の一部を切断加工するか、矩形状のフィルタ素材を所望の形状に打ち抜いてなり、前面視の形状が大略D字形である。
【0039】
加湿フィルタ3は、非浸水部の周方向中央が鉛直で停止した場合、フィルタ本体31が非浸水状態になるように構成されている。非浸水状態のフィルタ本体31は水槽4の水を吸水しないため、フィルタ本体31が乾燥し、フィルタ本体31を通過する空気の吸湿が抑制される。
【0040】
枠体32は合成樹脂製であり、フィルタ本体31の浸水部の外周面に沿う円環状である。また、枠体32は、造作業者又は使用者が手作業で容易に組立て、また解体することが可能なように構成されており、このため、製造作業者又は使用者が手作業で、枠体32に対してフィルタ本体31を容易に取付け、また取外すことが可能である。
【0041】
加湿フィルタ3の回転中心には、フィルタ本体31の側面に直交する円柱状の回転軸33が設けられている。加湿フィルタ3は、周方向の一部が水槽4にて浸水可能であるよう縦姿勢に配されるため、回転軸33は横姿勢に配される。
【0042】
回転軸33は、貯水部4bの離隔して対向する側壁夫々から上方へ延設されている軸支柱部10,10の頂部に回転自在に支持され、この結果、加湿フィルタ3は回転軸33を中心に周方向へ回転自在に支持される。
【0043】
加湿フィルタ3はフィルタ本体31が枠体32内に取付けられており、非浸水部は浸水部に比べて重量を重くしてある。この重量は浸水部のフィルタ本体31が水分を含んだ状態でも同じように非浸水部は浸水部に比べて重量を重くしてある。
【0044】
水槽4の一側壁にはリードスイッチ20が配され、加湿フィルタ3の一側面には磁石21が配され、リードスイッチ20が磁石21の接近/離隔を検出する都合上、使用者は、加湿フィルタ3の磁石21が配されている一面を水槽4の一側壁に対面させた状態で加湿フィルタ3を取付ける必要がある。
【0045】
磁石21は枠体32の一側面に固定されており、加湿フィルタ3の回転に伴い円軌道を描いて回転移動する。詳しくは磁石21は、フィルタ本体31の回転中心と非浸水部の周方向中央とを結ぶ仮想線上の非浸水部側に配されている。このため、磁石21が加湿フィルタ3の鉛直(最下部)に位置した場合、非浸水部の周方向中央も鉛直に配される。
【0046】
リードスイッチ20に磁石21が接近するとリードスイッチ20はオンになり、離隔するとオフになる。この結果、リードスイッチ20は、リードスイッチ20に対する磁石21の接近/離隔を検出する検出器として機能する。
【0047】
磁石21がスイッチオン領域の周方向中央に配されている場合、磁石21、ひいては非浸水部の周方向中央が鉛直(最下部)に配される。この状態においては、フィルタ本体31は浸水しない。一方、磁石21がスイッチオン領域の周方向中央から大きく外れている場合、少なくとも浸水部の一部が水没し、フィルタ本体31が浸水する。
【0048】
空気の加湿を行なわない場合(非加湿運転時)、フィルタ本体31が浸水しない状態で加湿フィルタ3の回転を止める必要があるため、この回転を止めるタイミングを計るために、リードスイッチ20及び磁石21が用いられ、非浸水部の周方向中央が鉛直(最下部)に到ったとき、リードスイッチ20はオンになり、加湿フィルタ3の回転は停止するように構成されている。
【0049】
回転駆動機構9は、枠体32の外周面に接触して加湿フィルタ3を回転させるローラ91及び該ローラ91に連動連結されている電動モータ92を備える。フィルタ本体31は円盤状ではないが、枠体32は円環状であるため、ローラ91が枠体32の外周面に接触して加湿フィルタ3を回転させることが可能となる。
【0050】
ローラ91が枠体32の外周面に接触する位置は、枠体32の外周面の最上部位置よりも挿入部1cと反対側の周方向へ僅かに離隔した位置、換言すると前記最上部位置よりも下側の位置である。
【0051】
ローラ91は、加湿フィルタ3の最上部位置よりも周方向へ離隔した箇所に接触するように配されており、また、回転軸33とローラ91の回転中心とは互いに平行に配されている。
このため、電動モータ92が作動することによってローラ91が回転すると、ローラ91の回転に伴い、加湿フィルタ3が時計回りに回転する。つまり、回転駆動機構9は、加湿フィルタ3を周方向へ回転させる。
【0052】
加湿フィルタ3の水垢や水槽4の清掃などのメンテナンスをするときには、水槽4の軸支柱部10,10に加湿フィルタ3が装着された状態で水槽4とともにハウジング1の挿入部1cから取出すことができる形態である。
【0053】
ハウジング1内から取出された加湿フィルタ3は、水槽4から取外され、加湿フィルタ3及び水槽4を単体にて、加湿フィルタ3、水槽4に堆積、付着している水垢やゴミなどを除去や清掃のメンテナンスを行う。
【0054】
メンテナンスを完了すると、再度、水槽4の軸支柱部10,10に加湿フィルタ3を装着する。このときの形態は、加湿フィルタ3の非浸水部が水槽4の水中に浸水する状態、つまり、加湿フィルタ3の非浸水部が浸水部に比べて重量が重いので、非浸水部が鉛直となるように加湿フィルタ3が自重で回転し、非浸水部が鉛直で水槽4の水中に浸水する状態である。
【0055】
加湿フィルタ3の非浸水部が鉛直で水槽4に装着された形態で、挿入部1cからハウジング1内に挿入されると、ローラ91の周面が加湿フィルタ3の外周面と接触し、運転開始が可能となる。
【0056】
なお、吹出口14と送風機8との間に、正負のイオンを同時に又は一方を個別に発生するイオン発生器22が配設されている。イオン発生器22が駆動されると、ファン81から吹出口14へ向かう空気に、イオン発生器22からイオンが放出され、浄化された空気、更には加湿された空気が、イオンを含んで吹出口14より室内に吹出される。
【0057】
図3は給水タンク5の一例を示す斜視図である。給水タンク5は、タンク本体5aと、キャップ50とにより構成される。タンク本体5aは、概ね扁平な箱を垂直に立てたような中空の部材により構成され、内部に水が貯留される。タンク本体5aの下面からは、筒状の注水口5b(
図12を参照)が突出していて、タンク本体5a内部の水の量が少なくなった場合、この注水口5bよりタンク本体5aの内部に水道等から水が注ぎ込まれ、補充される。注水口5bの外周面には、雄ねじ5cが形成されていて、キャップ50の内周面に形成された雌ねじ50aに螺合するように構成されている(
図12を参照)。
【0058】
後述するように、キャップ50には液出口51及び弁体60が設けられていて、弁体60は液出口51を閉塞するために所定の方向(キャップ50を注水口5bに取り付けた場合に、給水タンク5の外側に向く方向)に向けて付勢されている(
図12を参照)。給水タンク5は、キャップ50が注水口5bに取り付けられた状態で、水槽4の給水部4aに装着される。給水タンク5が給水部4aに装着された場合、弁体60は上方に押し上げられ、液出口51を開放するので、この液出口51を通じて給水タンク5内部の水は外部へ流出し、給水部4aに水が供給される。なお、キャップ50に設けられた弁体60の構成については、後に詳述することとする。
【0059】
なお、タンク本体5aの一側面には、透明又は半透明のスリット5dが形成されていて、タンク本体5a内部の水の量をユーザが外側から確認できるように構成されている。また、タンク本体5aの上側には、横方向の軸により回転可能に軸支されたハンドル5eが設けられている。このハンドル5eは、給水タンク5が給水部4aに装着されている場合には横姿勢で収容されており、給水タンク5を給水部4aから取り出す際に使用される。給水タンク5を運搬する際には、ハンドル5eは
図3に示すように縦姿勢に戻されて使用される。
【0060】
本実施の形態では、固形状の抗菌剤を収容するイオンカートリッジ70が給水タンク5のキャップ50に着脱自在に取り付けられる。
図4はイオンカートリッジ70の取り付け状態及び取り外し状態を示す模式図である。イオンカートリッジ70は、抗菌剤を収容するための収容部71、及び収容部71の下側に設けられる脚部72により構成される。収容部71に収容する抗菌剤は適宜選択することができる。一例として、銀イオンを担持したゼオライト粉末をペレット状又は円柱状に成型した抗菌剤を使用することができる。銀イオンの担体としてゼオライト以外にシリカゲル、ガラス、活性炭などを用いることも可能である。また、銀イオンを含む無機系抗菌剤に代えて、有機系抗菌剤(樹脂系抗菌剤)を用いてもよい。
【0061】
収容部71の下側に設けられる脚部72は円筒状の側壁を有しており、この側壁の下端側の内周面には雌ねじ722aが形成されている(
図8を参照)。一方、給水タンク5のキャップ50には、液出口51の周囲に突設した円筒状の取付部52が設けられており、この取付部52の外周面に脚部72の雌ねじ722aと螺合する雄ねじ52aが形成されている。イオンカートリッジ70側の脚部72に設けられた雌ねじ722aと、キャップ50側の取付部52に設けられた雄ねじ52aとを位置合わせし、両者を螺合することにより、イオンカートリッジ70は給水タンク5のキャップ50に取付けられる。
図4(a)は、イオンカートリッジ70を給水タンク5のキャップ50に取付けた状態を示し、
図4(b)は、イオンカートリッジ70を給水タンク5のキャップ50から取り外した状態を示している。
【0062】
なお、本実施の形態では、イオンカートリッジ70側の脚部72に設けられた雌ねじ722aと、キャップ50側の取付部52に設けられた雄ねじ52aとを螺合することにより、イオンカートリッジ70を給水タンク5のキャップ50に取り付ける構成としたが、イオンカートリッジ70及びキャップ50の一方に係合突起を設け、他方に係合溝を設け、両者を係合する構成としてもよい。また、イオンカートリッジ70の脚部72とキャップ50側の取付部52とが互いに嵌合するように形成し、嵌合によりイオンカートリッジ70を取り付ける構成としてもよい。
【0063】
図5はイオンカートリッジ70の縦断面図であり、
図6はイオンカートリッジ70の脚部72の正面図、
図7は上面図、
図8は縦断面図、
図9はイオンカートリッジ70の収容部71の正面図、
図10は上面図、
図11は縦断面図を示す。なお、
図8の縦断面図は、
図7のVIII−VIII線における断面図を示したものであり、
図11の縦断面図は、
図9のXI−XI線における断面図を示したものである。
【0064】
イオンカートリッジ70の脚部72の側壁721は円筒状に形成されており、その一端側(下面側)は開放端722となっており、他端側(上面側)には側壁721と連なる円板状の仕切板723が設けられている。開放端722には、雌ねじ722aが設けられており、キャップ50側の取付部52に設けられた雄ねじ52aと螺合するように構成されている。
【0065】
また、側壁721の下側寄りの位置には、側壁721の外側及び内側の空間を連通する連通孔724,724が設けられている。更に、仕切板723には、上側から見て放射状に形成され、仕切板723の上側の空間と下側の空間とを連通する連通孔725,725,…,725が設けられている。
図7に示す例では、放射状に8方向に連通孔725を設けた構成を示しているが、抗菌剤が通過しない程度の大きさの孔であれば、孔の形状及び数は
図7に示すものに限定されない。
【0066】
連通孔725の周囲には円筒状に立設された係合部726が設けられている。この係合部726の外周面には等間隔を隔てて形成される4つの係合突起726a,726a,726a,726aが設けられている。係合突起726aは、下方に傾斜する傾斜面を有する。
【0067】
イオンカートリッジ70の収容部71の側壁711は、円筒状に形成されており、その一端側(下面側)は開放端712となっており、他端側(上面側)は側壁711と連なる円板状の仕切板713が設けられている。収容部71の側壁711は、脚部72の側壁721よりも少しだけ小さな直径を有するように設計されている。
【0068】
側壁711の下側寄りの位置には、側壁711を貫通する係合孔714が外周面の周方向に等間隔を隔てて4つ設けられている。それぞれの係合孔714は、脚部72側のそれぞれの係合突起726aに対応して設けられる。
イオンカートリッジ70の収容部71を脚部72に取り付ける場合、収容部71側の係合孔714と脚部72側の係合突起726aとを位置合わせして、収容部71を脚部72の側へ押圧することにより、脚部72側のそれぞれの係合突起726aは、収容部71側のそれぞれの係合孔714に係合されて、取り付けが完了する。
【0069】
収容部71が脚部72に取り付けられた場合、収容部71の側壁711及び仕切板713並びに脚部72の仕切板723で区画される空間(以下、収容スペース700という)が形成される。抗菌剤はこの収容スペース700に収容される。
図5に示した例では、円柱状に成形された抗菌剤が多数収容されている様子を示している。
【0070】
なお、収容スペース700は、収容する抗菌剤の全容積に対して2倍程度の容積を有するものであることが好ましい。この場合、収容した抗菌剤の上側に空間ができるため、抗菌剤が動くだけの余裕があり、イオンカートリッジ70内部を通流する液体及び空気(
図14を参照)により、抗菌剤を効率良く攪拌することができる。
【0071】
また、収容部71の側壁711における上端の外周面には、周方向に等間隔を隔てて形成される8つの外側連通孔715,715,…,715が設けられている。更に、仕切板713にも上側から見て円弧状の内側連通孔716が同心円状に複数設けられている。これらの外側連通孔715及び内側連通孔716は、収容スペース700とイオンカートリッジ70の外側の空間とを連通する孔である。
【0072】
以下、イオンカートリッジ70の使用例について説明する。
図12は給水タンク5の着脱時の状態を示す断面図であり、
図13は給水タンク5の装着時の状態を示す断面図である。
図12及び
図13は、イオンカートリッジ70がキャップ50に取り付けられた状態を示している。
【0073】
給水タンク5のキャップ50には、キャップ50の筒軸と同心に液出口51が設けられると共に、その筒軸と作動方向が一致するように支持された弁体60が設けられている。弁体60は、柱状の基部61と、基部61の下端に形成したフランジ部62と、基部61の上部側に取り付けられ、下向きの球面状(断面円弧状)に形成された弁部63とから構成される。
【0074】
弁体60の基部61は、キャップ50の筒軸と同心に形成される円筒部55内側の貫通孔55aに上下方向に移動自在に保持されている。弁体60のフランジ部62と円筒部55の下面との間には、弁部63を液出口51に押し付けて液出口51を閉じるようにするために、弁体60を下方に向けて付勢するばね65が配置されている。液出口51の上部開口縁部には弁座が形成されており、弁座は給水タンク5の非装着時において弁部63と当接し、液出口51を閉塞するように構成されている。なお、給水タンク5は、
図12に示すように、斜め姿勢で水槽4の給水部4aに着脱される。
【0075】
給水部4aの底部には柱状の凸部40が形成されている。凸部40は、給水タンク5が給水部4aに装着された場合、凸部40の上部の当接面40aが弁体の下部に当接するように位置決めされて、給水部4aの底部に立設されている。
また、給水タンク5は、装着時において鉛直姿勢となるように給水部4aによって支持されるように構成されている。このため、給水タンク5が給水部4aに装着された場合、キャップ50に設けられた弁体60のフランジ部62は、凸部40上部の当接面40aと当接し、鉛直方向に押し上げられるように構成されている。このとき、弁体60の弁部63は、液出口51の上部開口縁部に形成された弁座から離隔し、液出口51が開放されるようになる。
開放された液出口51からは給水タンク5に貯留された液体が流出し、液出口51の内周面と円筒部55の外周面との間の間隙を通って水槽4の給水部4aに流下する。
【0076】
本実施の形態では、液出口51の上側にイオンカートリッジ70が取り付けられているので、給水タンク5から流出する液体は、イオンカートリッジ70の内部を通過し、液出口51を通じて外部へ流出する。また、給水タンク5から液体が流出することに伴い、給水タンク5の外部から空気が流入する。このときに流入する空気は、液出口51から導入され、イオンカートリッジ70の内部を通過して液体タンク5の内部に流入する。
【0077】
図14は液体及び空気の通流経路を示す模式図である。
図14において、液体の通流経路を黒矢印で示し、空気の通粒径路を白抜き矢印で示している。給水タンク5が水槽4の給水部4aに装着されている場合、
図14に示すように、液出口51は開放された状態となり、この液出口51を通じて給水タンク5内部の液体が外部へ流出する。このとき、イオンカートリッジ70の収容部71に設けた外側連通孔715及び内側連通孔716、並びに脚部72の側壁721に設けた連通孔724を通じて、イオンカートリッジ70の外部から液体が取り込まれる。収容部71内に取り込まれた液体は、収容スペース700に収容されている抗菌剤から抗菌成分を溶解させるので、脚部72の側壁721に囲まれた空間には、抗菌成分をよく含んだ液体が仕切板723の連通孔725を通じて流入する。抗菌成分をよく含んだ液体は、脚部72の下側に設けた連通孔724から流入する液体と混ざり合い、液出口51を通じて給水タンク5の外部(水槽4の給水部4a)へ流下する。
【0078】
一方、給水タンク5の外部から導入される空気は、液出口51を通じて脚部72内の空間に流入する。脚部72内の空間に流入した空気は、仕切板723の連通孔725から収容部71内の空間(収容スペース700)に流入する。収容スペース700には、適宜の大きさを有する抗菌剤が多数収容されているため、仕切板723の連通孔725から空気が流入して通流する際に、抗菌剤を適度に撹乱及び衝突させることができる。収容部71内に流入した空気は、収容部71上側の外側連通孔715及び内側連通孔716を通じて給水タンク5の内部(イオンカートリッジ70の外部)へ放出される。
【0079】
以上のように、本実施の形態では、給水タンク5からの給水時に導入される液体及び空気の流れを利用して抗菌剤に含まれる抗菌成分を溶解させることができるので、タンク内に単に抗菌剤を投入する場合と比べて、溶出効率が高いという効果が得られる。
例えば、長さ3.0mm、直径2.5mmのペレット状の抗菌剤を5gだけタンク内に投入する場合では、6時間後の抗菌成分の濃度は15ppbであったのに対し、本実施の形態に係るイオンカートリッジ70を用いて同じ実験をしたところ、30〜40ppb程度まで抗菌成分の濃度を高めることができた。
【0080】
なお、本発明を加湿機能付きの空気清浄機に適用した形態について説明したが、加湿装置で利用される給水装置にも適用できることは勿論のことである。また、本発明は、加湿機能や空気清浄機能を有しない、ウォータサーバなどのような給水装置にも適用することができる。この場合、イオンカートリッジ70内に収容する固形状の物質は必ずしも抗菌剤である必要はなく、それ以外の物質であってもよい。例えば、イオンカートリッジ70内に活性炭を収容した場合、イオンカートリッジ70の内部で撹乱及び衝突することにより、脱臭・浄水効果が向上することは言うまでもない。