(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1に掲載されているUSBメモリーにライブ映像を収録するシステムは、ライブが終わるや否やパソコンを何台も準備して、販売するUSBメモリーを制作しなければならず、短時間の作業のために大量の人員を動員しなくてはならない。しかも、来場者のどれだけの人たちが購入するか正確にはわからず在庫リスクがある。ライブ会場でのみ限定販売という点に意義があるので、売れ残ったからといって後日CDショップなどで販売するわけにはいかない。
非特許文献2に掲載されているスマートフォンなどでダウンロードさせるシステムは、商品がカードなので在庫リスクは低く抑えることができるとはいえ、次の問題がある。専用サイトにアクセスして、購入したカードに記載されたシリアル番号と購入者のメールアドレスを入力すればダウンロードできるのであるが、メールアドレスのような個人情報の開示と引き換えでなくてはダウンロードできないことに二の足を踏む人もいるはずである。また、メールアドレスは本人以外の者によるなりすましも可能なので、購入者からカードのコピーを受け取ったり、カードのシリアル番号を聞いたりした悪意の者による不正なダウンロードも起こりうる。
【0007】
このような問題点に鑑み、本発明は、時間と製造コストの負担が少なく、大掛かりなPOSシステムなども必要とせず、セキュリティにも配慮し、正規なルートで購入した者のみがダウンロードを可能とするシステムの提供を目的とする。
ところで、本発明者が出願した特許文献1に記載の発明も、ライブ音源データの即売などに利用することは可能である。
しかし、この発明では、商品登録済でなければ、カード等の媒体を購入してもダウンロードは許可されないが、この商品登録は代金と引き換えで販売する際に行っている。小規模なライブなどでは問題ないが、大規模なコンサートでは、販売スタッフが少数では捌ききれない。販売時ではなく、販売開始前には商品登録を終了させておくことが望ましい。また、1枚ずつではなく、複数枚の媒体を同時に一括して商品登録できるならば便利である。その一方で、販売開始前に商品登録をするならば、売れ残った媒体は悪意の者によって不正に譲渡等されるおそれがある。これを防ぐには売れ残った媒体の商品登録を解除できることが望まれる。
そのため、本発明は、ライブ会場におけるライブ音源データの即売等に最適なシステムの提供も目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達するために、請求項1に係る発明は、
URL情報とID情報を含むデータコードが予め印刷されたコンテンツ配信用の媒体(以下、「配信媒体」)を介在させてコンテンツの配信を行うシステムであって、
販売者が使用する端末装置(以下、「販売者端末」)および利用者が使用する端末装置(以下、「利用者端末」)と通信ネットワークを介して接続されるとともに、
販売予定の配信媒体のID情報を登録し、配信対象のコンテンツを特定する情報を該ID情報と対応づけて登録する配信媒体管理用のデータベースにアクセス可能であり、
前記販売者端末の識別情報或いは販売者認証用情報を前記データベースに登録する販売者登録手段と、
前記識別情報或いは販売者認証用情報が登録された販売者端末によって、
前記データベースに未登録のID情報が送信された時、前記データベースに
該ID情報を登録するとともに、該ID情報に対応づけて配信対象のコンテンツを特定する情報を登録する商品登録手段と、
前記識別情報或いは販売者認証用情報が登録された販売者端末によって、
前記データベースに登録済の配信媒体のID情報が送信された時、前記データベース
から送信されたID情報を削除する商品登録解除手段と、を備え、
前記商品登録手段は、
連続する複数のID情報を特定可能とする情報が送信された時、該当するID情報を前記データベースに一括して登録し、前記商品登録解除手段は、連続する複数のID情報を特定可能とする情報が送信された時、該当するID情報
を前記データベースから一括して削除することを特徴とする。
【0009】
「URL情報」とは、本発明のシステムはサーバが管理するウェブサイトへのアクセスによって実現されるが、このウェブサイトのインターネット上の所在を表す情報である。
「ID情報」とは、コンテンツ配信用の配信媒体を識別するための情報であり、このID情報に基づいて、正当に販売された配信媒体であるか否かの検証即ち商品認証と、その利用者が正当な利用者であるか否かの検証即ち利用者認証と、ダウンロード可能なコンテンツの特定とが行える。このID情報はURL情報に付加されてサーバに送信される。下記の実施形態では、URL情報の引数とすることによりID情報を付加しているが、クッキー変数として送信する等の方法で付加してもよい。
「データコード」とは、バーコードと呼ばれる1次元コードや、2次元コードと呼ばれる縦と横の両方向に意味のある符合など、カメラ付き携帯で撮像することにより情報が得られる表示であれば、何でもよい。下記の実施形態では、QRコード(登録商標)を利用している。
「コンテンツ」とは、音楽、写真、映像、小説、ゲームなどインターネットで配信可能なデジタルデータであれば何でもよい
。
「端末装置」とは、例えば、スマートフォンと呼ばれる多機能携帯電話や従来タイプの携帯電話がある。下記の実施形態では、携帯端末としてスマートフォンを利用することを前提に説明しているが、これは本発明の出願時(平成24年)、スマートフォンが従来の携帯電話を凌駕する勢いで普及しつつあるからである。しかし、本発明は従来の携帯電話を用いて実施することは勿論可能である。さらに、カメラ機能、インターネット接続機能、音声・映像の視聴機能を備え、サーバ側で当該携帯端末の個体認証が可能であれば、スマートフォンや従来の携帯電話に限らず、今後出現しうる新たな種類の携帯端末でもよい。
【0010】
これにより、コンテンツはサーバからダウンロードするので、コンテンツを格納したCD−RやUSBメモリーを販売する必要はなく、サーバからのダウンロードに必要な情報が印刷等された紙カードのような媒体を販売すればよい。よって、製造コストは安価であり、たとえ売れ残りが発生しても損失額は無視しうる。
さらに本発明によれば、携帯端末をシステムに事前に登録している者のみが配信媒体を販売可能状態にできる。そのため、カードを不正に取得した者による販売を防止できる
。
【0011】
また、請求項1に係る発明によれば、ID情報が連続している複数の配信媒体を一括して販売可能状態あるいは販売不可状態とすることができる。大規模なコンサートなどで大量の配信媒体を販売するときでも短時間で処理できる。
【0012】
さらに、請求項1に係る発明によれば、販売者は端末識別情報以外の認証用情報も登録しているならば、端末識別情報を登録していないパソコンなどの他の情報処理装置によっても販売可能状態あるいは販売不可状態にできる。
「販売者認証用情報」とは、販売者を特定できる情報のうち販売者端末の識別情報を除く情報である。下記の実施形態の販売者IDとパスワードの組み合わせが一例である。
【0013】
「配信媒体」には、データコードを付すことが可能で且つ平面的か立体的かは問わない物品が含まれる
。
「配信媒体」の一例として、下記の実施形態で「ダウンロード用カード」を挙げているが、カード状に限らず映画や展覧会のパンフレット、絵本の表紙など、データコードの印刷が可能なものであれば何でもよい。印刷可能であればマグカップのような立体的な物品を配信媒体とすることもできる。データコードを物品に直接印刷してもよいが、データコードを印刷したシールなどを物品に貼付してもよい。配信媒体はCDやDVDなどと同様に有形物としてCDショップなどで購入でき、販促品や贈答品とすることもできる。
【0014】
請求項2のコンテンツ配信方法に関する発明も本発明の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0015】
カードなどの配信媒体を介してサーバからデジタルデータをダウンロードするので、販売コストを低く抑えることができる。特にライブにおいては資するところ大である。
しかも本発明はきわめて簡素な構成でありながら、配信媒体は正当な者のみによる販売と、正規のルートで入手した者による視聴とを確保でき、著作権者等の利益が保護されるのである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(1)第1の実施形態
本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
(1−1)第1の実施形態の概略
ライブ会場において、観客に終了したばかりのライブ録音のコンテンツを販売する場合を考える。ダウンロード可能な配信媒体(以下、単に「カード」)を例にとって、システムの概略を説明する。
カードの販売を担当するスタッフ(A)は、自分の使用するスマートフォン(B)の端末識別情報(C)をシステム(D)に登録する。これを、「販売者登録」という。以後システム(D)は、この端末識別情報(C)を用いて正当な販売者か否かをチェックする。
スタッフ(A)は、ライブ終了時までに、販売予定のダウンロード用カード(E)に印刷されたデータコード(F)を自分のスマートフォン(B)で読み取り、システム(D)にアクセスして、カード(E)を「販売可能状態」にする。これを、「商品登録」という。
カード(E)の販売準備とは別に、録音システムはライブを録音してスマートフォンで聴けるように変換したデジタルデータ(G)を所定のサーバ(H)にアップロードする。
ライブ終了後、観客(I)は、「販売可能状態」にあるカード(E)を購入する。カード(E)を入手した観客(I)は、カード(E)に印刷されたデータコード(F)を自分のスマートフォン(J)で読み取り、システム(D)にアクセスし、デジタルデータ(G)をダウンロードする。観客(I)がシステム(D)に最初にアクセスしたときに、システム(D)はスマートフォン(J)の端末識別情報(K)を登録する。これを、「利用者登録」という。
以後、システム(D)は、ダウンロードを要求してきた者がその商品の正当な利用者であるか否かを、端末識別情報(K)を用いてチェックする。これを、「利用者認証」という。これによりスマートフォン(J)を介してのみデジタルデータ(G)のダウンロードができる。仮に、観客(I)がカード(E)あるいはそのコピーを友人(L)に渡し、友人(L)が自分のスマートフォン(M)を用いてシステム(D)にアクセスをしてダウンロードしようとしてもできない。
一方、ライブ会場でのカード(E)が売れ残った場合は、スタッフ(A)は、データコード(F)を自分のスマートフォン(B)で再度読み取り、システム(D)にアクセスして、カード(E)を「販売不可状態」にする。これを、「商品登録解除」という。ここで、スタッフ(N)が自分のスマートフォン(O)をシステム(D)に登録することで販売者登録をすませているものとする。この場合、スタッフ(A)の代わりにスタッフ(N)がカード(E)を「販売不可状態」にしてもよい。「販売不可状態」になったカード(E)は再度「商品登録」をしない限り販売することができない。仮に、悪意のある者によって第三者に販売されても購入者はダウンロードができない。
以下、このシステムの構成と動作について詳しく説明する。
【0019】
(1−2)第1の実施形態のシステムの構成
図1を参照しながら、本実施形態のシステム(以下、「本システム」)の構成を説明する。
このシステムは、カードの販売者側のスマートフォン1と、カードを購入した利用者側のスマートフォン2を、インターネットNを介して、本システムのサーバ3と接続する。サーバ3は、配信媒体管理データベース(以下、「カード管理DB」)4とアクセス可能に接続されている。本システムはライブ終了直後にライブ音源を即売することを想定しているので、ライブ録音システム100と連携動作する。サーバ3は、単独のアーティストやプロダクションが運営してもよいが、複数のアーティストやプロダクションからデジタルコンテンツの販売を受注した業者が運営してもよい。
スマートフォン1およびスマートフォン2は、移動体通信網(図示せず)、無線LAN(図示せず)及びインターネットNを介してサーバ3と接続する。
図1では、スマートフォン1とスマートフォン2は、それぞれ1台しか記載されていないが、台数に制限はない。
【0020】
ここで、スマートフォン1、2によって読み取られるデータコード5が印刷されているカード6について説明する。このカード6は、
図2に例示するように、財布などに収納できる程度の大きさと厚さのカード状であり、印刷されているデータコード5を撮像することにより、スマートフォン1,2からの所定のサイトへのアクセスが可能となる。データコード5に含まれる情報は、サイトのURL(5a)とカード6に固有のカードID(5b)が必須であり、適宜他の情報も含む。このカードIDとは、請求項1にいうID情報のことである。
図2の例では、カードIDを表す文字列も印刷されている。
【0021】
スマートフォン1、2は、
図3に示すように、画像取得部7と、コード読取部8と、SIMカード接続部9と、ブラウジング部10と、タッチパネル等の操作入力部兼用表示部(以下、単に、「表示部」)11と、音声再生部12と、通信部13と、記憶部14と、制御部15を備える。
【0022】
画像取得部7は、撮像素子としてCCDを用いたカメラによって撮影されたデータコード5を取得する。
コード読取部8は、画像取得部7によって取得されたデータコード画像を解析し、その中に有している情報を抽出する。
SIMカード接続部9は、SIM(Subscriber Identity Module)カードSCと接続し、SIMカードSC内の番号などを読み取る。
ブラウジング部10は、ブラウザあるいはウェブブラウザなどと呼ばれるプログラムに従い、コード読取部8によって抽出されたURL情報に基づいてシステムのサイトへのアクセスを行うとともに、アクセス先からの情報を受取ると、その情報を表示部11に表示させる。
表示部11は、画面を表示すると共に、画面にタッチすることにより、操作手段や入力手段として機能する。
音声再生部12は、音声データを再生するスピーカである。
通信部13は、移動通信網を通じてサーバ3等に接続する無線通信機能を有する。
記憶部14は、ウェブブラウザなどのプログラム、サーバ3からダウンロードした本システムの実行に必要なアプリケーションプログラム(以下、「専用アプリケーション」)を記憶するほか、各種データや中間処理結果などを記憶する。記憶されているデータにはスマートフォン本体の識別情報も含まれ、この識別情報とSIMカードSC側の番号とを組み合わせた情報が、請求項1にいう「端末識別情報」に相当する。
制御部15は、所定の制御プログラムに従って、上記の各部の動作を制御するものである。
スマートフォン1、2は他にマイクロホン、内部バッテリなども備えるが、図示は省略する。
【0023】
サーバ3は、
図4に示すように、記憶部16と、処理部17と、通信部18を備える。
ただし、
図4に示す各手段の分類は固定的なものではなく、あくまで説明の便宜上にすぎない。
【0024】
記憶部16は、カード管理DB4、コンテンツ格納データベース(以下、「コンテンツ格納DB」)19、プログラム記憶手段20、ダウンロード状況記憶手段21、各種パラメータや本システムのウェブページを記述したHTMLファイル、中間処理結果などを記憶するその他の記憶手段22を含む。
カード管理DB4については、後に詳しく説明する。
コンテンツ格納DB19は、録音システム100によって録音・変換された音声データを格納する。
プログラム記憶手段20は、OSなどの制御プログラム、本システムに固有のプログラム、スマートフォン1,2に実装させる専用アプリケーションなどを記憶する。
ダウンロード状況記憶手段21は、利用者のスマートフォン2からの不正なダウンロードを防止するために必要な情報をテンポラリに記憶する。これについて後で詳しく説明する。
【0025】
処理部17は、販売者登録手段17aと、商品登録手段17bと、利用者登録手段17cと、コンテンツ配信手段17dと、商品登録解除手段17eを備える。
販売者登録手段17aは、販売者のスマートフォン1の端末識別情報をカード管理DB4に登録する。この登録により、当該販売者は販売前のカードの取り扱い、つまりカードを販売可能状態にしたり、これを取り消して販売不可状態にしたりすることが可能となる。
商品登録手段17bは、登録された販売者のスマートフォン1によってカードIDが送信されてきた時、カード管理DB4において該カードIDと対応するカードを販売可能状態にする。
利用者登録手段17cは、カードを購入した利用者のスマートフォン2から初めてダウンロード要求があったとき、このスマートフォン2の端末識別情報をカード管理DB4に利用者認証用情報として登録する。この利用者認証用情報は、以後利用者認証のために利用される。
コンテンツ配信手段17dは、利用者のスマートフォン2からカードIDが送信された時、同時に送信された端末識別情報が、カード管理DB4に登録された利用者認証用情報と一致するときはコンテンツをスマートフォン2に配信する
商品登録解除手段17eは、登録済の販売者のスマートフォン1が、販売可能状態にあり且つ利用者認証用情報が未登録のカードIDを送信してきた時、カード管理DB4において該カードIDと対応するカードを販売不可状態にする
【0026】
上記の各手段17a〜17eは、その機能に応じて、ハードウェア、ソフトウェアで実装される。ソフトウェアによる場合は、記憶部16に格納されているコンピュータプログラムを、CPU(図示せず)が読み込んで実行することにより実現される。
また、サーバ3は、通信部18および通信ネットワークNを介して、スマートフォン1,2とデータの送受信を行う。
なお、サーバ3は、ウェブサーバ、データベースサーバ、コンテンツ配信専用のサーバなど、複数のサーバに分散し、システムの処理を連携して実現するような構成としてもよい。
たとえば、カード管理DB4、コンテンツ格納DB19は、サーバ3に含まれる記憶部16に格納されていても、サーバ3とは別のデータベースサーバに備えられていてもよい。
【0027】
図4に示すように、カード管理DB4には、販売者テーブル23、商品テーブル24、コンテンツ情報テーブル25が含まれる。
販売者テーブル23は、ライブ会場などで販売を担当するスタッフが使用するスマートフォン1のように、カードを販売可能状態(販売不可状態)に設定できるスマートフォン1の端末識別情報(23a)を記憶するとともに、スタッフ名や携帯電話番号などの情報(23b)も記憶する。
【0028】
商品テーブル24は、カード6のカードID(24a)と、販売可能状態の設定に使用されたスマートフォン1の端末識別情報(24b)と、販売不可状態の設定に使用されたスマートフォン1の端末識別情報(24c)と、カード6の利用者のスマートフォン2の端末識別情報(24d)とが少なくとも記憶される。ここで、スマートフォン1の端末識別情報(24b、24c)として登録されうるのは、販売者テーブル23の端末識別情報(23a)に登録されているものに限られる。なお、欄24b、24cには、スマートフォン1の端末識別情報が登録されている販売者テーブル23上のレコードを特定する情報を記憶させてもよい。欄24dに登録されている情報は、請求項1にいう「利用者認証用情報」に相当する。
販売者テーブル23は、販売者登録の都度レコードが追加されるのに対し、商品テーブル24は販売予定のカードの枚数分のレコードをカード製造時に登録しておく。
【0029】
コンテンツ情報テーブル25は、コンテンツのID(25a)と、このカード6に対応付けられたコンテンツを特定する情報(25b)とが少なくとも記憶される。コンテンツのID(25a)は、商品テーブル24にカードID(24a)として記憶されている値を入れてもよい。この場合は、カード毎にコンテンツを特定する情報を持つわけである。しかし、同一のコンテンツに対応するカードが多量に販売されることもあるので、コンテンツに固有のIDでもよい。その場合、カード6のカードIDからコンテンツIDが取り出せるようなルールが設けられていてもよい。配信するためのコンテンツ本体は、コンテンツ格納DB19に格納しても、コンテンツ専用のデータベースサーバに格納してもよい。欄25bには、コンテンツ格納DB19上の格納場所、あるいはデータベースサーバにアクセスするためのURLなどが登録される。
【0030】
(1−3)第1の実施形態のシステムの動作
次に、本システムの動作について説明する。
このシステムは、
図5に示すように、販売者の登録(ステップS100),商品の販売可能状態設定つまり商品登録(ステップS200),カードを購入した顧客による利用者登録およびコンテンツのダウンロード(ステップS300)の順に実行される。この基本フローとは別に、ライブ終了後短時間内にライブ録音データのアップロード(ステップS400)処理が行われ、適宜必要に応じて商品の販売不可状態の設定つまり商品登録解除(S500)処理が行われる。
【0031】
まず、販売者の登録(ステップS100)について、
図6を参照しながら説明する。
販売者のスマートフォン1は、本システムのウェブサイトにアクセスする(ステップS101)。アクセスするためには、サイトのURLが記述されている販売者登録専用のデータコードを読み込んでアクセスしてもよく、電子メールでURLを通知しても、URLを表す文字列を表示部11から入力してもよい。
販売者登録用のウェブ画面(図示せず)を介してサーバ3に、販売者登録要求とともにスマートフォン1の端末識別情報を送信する(ステップS102)。
ここで端末識別情報の送信について一例を説明する。ステップS102にて販売者登録要求をしたときに、スマートフォン1のウェブブラウザは端末識別情報をサーバ3に送信するための専用アプリケーションの起動あるいは専用アプリケーションのダウンロードを指示するアイコンを表示する。もし専用アプリケーションがスマートフォン1に実装されていなければサーバ3からダウンロードし、記憶部14に格納する。実装されている専用アプリケーションを起動すると、専用アプリケーションは記憶部14からスマートフォン1本体の識別情報を取り出すとともに、SIMカード接続部9を介してSIMカードSC側の番号を取り出し、これらを組み合わせて端末識別情報を生成し、サーバ3に送信する。サーバ3との送受信の都度、端末識別情報を生成してもよいが、一度生成するとこれを記憶部14に格納し、起動の都度読み出してサーバ3に送信するようにしてもよい。
ところで、スマートフォンを特定するための端末識別情報は、本体の識別情報だけでもよい。しかし、この実施形態ではSIMカードSC側の番号も使用する。これにより、スマートフォン本体が中古販売品などでも対応可能となる。
【0032】
サーバ3は、カード管理DB4の販売者テーブル23から、送信されてきた端末識別情報を検索し、一致するものがなければカード管理DB4の販売者テーブル23に新規に登録する(ステップS103)。続いて、サーバ3は、販売者名などの入力を促し(ステップS104)、送信(ステップS105)されてくると、カード管理DB4にこの販売者名なども登録する(ステップS106)。以上で、販売者側のスマートフォン1の端末識別情報の登録、即ち販売者登録が終了する。
【0033】
次は、
図7に従い、販売前のカードを販売可能状態に設定する処理、つまり商品登録処理(ステップS200)について説明する。
販売者テーブル23に登録済のスマートフォン1によってカード6のデータコード5が読み込まれる(ステップS201)。
読み取ったURLに対応付けられたサイトへアクセスする。このとき、記憶部14に格納されている専用アプリケーションが起動し、カード6のカードIDと同時にスマートフォン1の端末識別情報もURLの引数として送信される(ステップS202)。
サーバ3は、送信されてきた端末識別情報をカード管理DB4の販売者テーブル23から検索する(ステップS203)。もし、一致するものがあれば(ステップS204でYes)、送信されてきたカードIDを商品テーブル24から検索し、販売状態設定を行った端末識別情報の欄(24b)が空欄であることを確認し、送信された端末識別情報を欄(24b)に登録する(ステップS205)。これで、商品登録が完了した。
【0034】
販売者テーブル23には送信されてきた端末識別情報がない場合(ステップS204でNo)は、サーバ3は
図8のステップS303以降の処理へ移る(ステップS206)。販売者による商品登録も、利用者によるダウンロード要求も、カード6に印刷されたデータコード5を介して行われる。そのため、送信されてきた端末識別情報が販売者テーブル23に存在しなければ、サーバ3は利用者からのダウンロード要求であると推定して処理を続けるわけである。
以上が、商品登録時の処理の流れである。
このように、販売者登録(ステップS100)を行っているスマートフォンによってのみ商品登録(ステップS200)が行えるので、不正なルートでカードを入手した者による販売を防ぎうる。
【0035】
販売可能状態になったカード6は、ライブ録音がコンテンツ格納DB19にアップロードされると直ちに観客に配布できる。カードの配布は有償に限らず無償でもよい。また、有償の場合、カードと引き換えに代金を受け取ることを想定しているので、課金処理は不要である。カードそのものは無償であって、所定金額以上のグッズ(CD,DVDなど)を購入した観客にプレゼントするようにしてもよい。
【0036】
続いて、
図8に従い、カード6の購入者即ち利用者がコンテンツのダウンロードを要求してから受信(ステップS300)するまでの流れを説明する。
利用者側のスマートフォン2の画像取得部7によって、データコード5が読み取られる(ステップS301)。
コード読取部8によって、データコード5から、URLなどの情報が取り出される。
ブラウジング部10により、取り出されたURLに基づいてインターネットNを介し、サーバ3のウェブサイトへのアクセスが行われる。アクセス時に、記憶部14に記憶された専用アプリケーションが起動しカードIDとともにスマートフォン2の端末識別情報がURLに引数として付加されて送信される(ステップS302)。もし、専用アプリケーションがスマートフォン2に実装されていなければ、サーバ3にダウンロード要求をする。この専用アプリケーションの実装と起動、専用アプリケーションによる端末識別情報の生成は、販売者側のスマートフォン1が販売者登録を行う(
図6のステップS102)場合と同様なので、説明は省略する。
【0037】
サーバ3は、送信されたカードIDを、カード管理DB4の商品テーブル24から検索し、販売可能状態でないならば、つまり販売者端末識別情報欄(24b)が空欄であれば(ステップS303でNo)、当該カード6は、正規の商品でない旨の、エラーメッセージをアクセス元に返す(ステップS304)。スマートフォン2の表示部12にエラーが表示され(ステップS305)、処理は終了する。
正規のルートで入手したカード6であれば、このエラーメッセージが通知されるはずはないので、単なる操作ミスではなく何らかの不正行為とみなさなければならない。これは販売元への問い合わせを要する事態である。
【0038】
販売可能状態であれば(ステップS303でYes)、送信された端末識別情報に基づいて利用者認証を行う。
通常、利用者認証のためには利用者IDやパスワードなどを用いることが多いが、本システムでは、これらを使用しない。個人情報保護の観点から入力をためらう利用者がいることも理由ではあるが、利用者IDやパスワードは、他人に教えることができるので、当該カード6を貸与された他人が、このカード6を使用しうるからである。
【0039】
利用者認証を行うために、送信されたカードIDと対応する商品テーブル24の利用者端末識別情報欄(24d)から値を取り出す。
値が取り出せない、つまり利用者の端末識別情報が未登録であれば(ステップS306でNo)、利用者が初めてこのカード6を使用する場合であるから、利用者のスマートフォン2の端末識別情報を商品テーブル24の利用者認証用情報欄(24d)に登録し(ステップS307)、コンテンツをダウンロードするための然るべき画面データを送信する(ステップS309)。
利用者側スマートフォンの端末識別情報が取り出せた場合(ステップS306でYes)、登録されている端末識別情報と、今回送信された端末識別情報とを照合し、一致しているならば(ステップS308で‘一致‘)、正当な利用者であると判断し、コンテンツをダウンロードするための画面データを送信する(ステップS309)。
しかし、不一致であれば(ステップS308で‘不一致‘)、不当な利用者であると判断し、アクセス元にエラーメッセージを返す(ステップS310)。もし、このエラーメッセージが正当な利用者に通知(ステップS311)された場合でも、利用者は、最初に使用したスマートフォン2で再度アクセスを試みれば、ダウンロードが可能である。つまりこのエラーは単なる手違いの可能性が大きい。
【0040】
このように、本システムでは、正当な利用者か否かは、同一のスマートフォン2を使用しているか否かによって判断される。そのため、システムもシンプルであり、利用者側に利用者IDなどの入力の手間が発生することもない。また、他人の使用したカード6を貰ったり拾ったり、あるいはコピーしても、認証されない。つまり、本システムは簡素な構成でありながら、正規のルートで購入したカードによるダウンロードが確保されるのである。
【0041】
利用者認証が受理され、ステップS309にて、ダウンロード用画面が送信されたならば、スマートフォン2は送信されたダウンロード用画面を表示し(ステップS312)、この画面を起点に利用者は、ダウンロードしたいコンテンツを選択し、サーバ3に対し配信要求を送信する(ステップS313)。サーバ3は、データ管理DB4のコンテンツ情報テーブル25を参照し、コンテンツ格納DB19からコンテンツを取り出して送信する(ステップS314)と、スマートフォン2は、これを再生する(ステップS315)。
配信されるコンテンツの再生の仕方は、全てのデータをスマートフォン2にダウンロードしてから再生するだけでなく、ダウンロードしながら同時に再生するストリーミング再生も可能である。
【0042】
ところで、著作権者等の権利・利益の保護の観点からは、上記のステップS309およびS312〜S314の処理においてセキュリティに十分な配慮をすることが好ましい。
アップロードされているデジタルコンテンツデータに直結されたURLでは誰もが無制限にダウンロードできてしまう。この対策として一般的にはユーザIDとパスワードを元にユーザがサーバにログインし、生成された認証情報を引数やクッキー変数などの付加情報として送受信することでセキュリティチェックを行う。
本システムでは、セキュリティを確保しつつ煩雑なユーザIDとパスワードの入力を避けるために以下のような方法を採用している。
すなわち、専用アプリケーションを経由しステップS302でカードIDと端末識別情報を送信することにしている。この送信情報を元にサーバ3はステップS309の送信の際に、一時的なコード(以下、「ワンタイムパスワード」)を生成して、このワンタイムパスワードをダウンロード状況記憶手段21に端末識別情報と対応づけて記憶させておく。あわせて、ダウンロード用画面の送信とともにワンタイムパスワードも送信する。スマートフォン2は、ステップS313で配信要求を送信する際に、URLの引数としてワンタイムパスワードを付加する。受信したサーバ3は、ステップS314において付加されたワンタイムパスワードがダウンロード状況記憶手段21に記憶されていれば正当なダウンロード要求と判定してコンテンツを送信すればよい。送信後すみやかに、ダウンロード状況記憶手段21から当該ワンタイムパスワードを削除もしくは無効とする。このようにダウンロードの都度、引数も含めたURLが異なるので、安全性が高まる。
【0043】
本システムはライブ終了後に直ちにカードを販売することを想定している。そのため、録音システム100はライブと同時に音声・映像を収録し、スマートフォンで再生できる形式に変換する。この作業を終えたならばライブの音声と映像をコンテンツ格納DB19にアップロードする(
図5のステップS400)。アップロードが完了したならば、会場出口などでカードを販売する。
【0044】
出口やグッズ売り場、あるいはカード販売用の自動販売機での混雑を防止するために、予め商品登録(ステップS200)をしておく。足りなくなって購入できない人が出ると問題なので、通常大目に商品登録をしておくが、当然のことながら売れ残りが出るはずである。その分はCDショップなどで販売しうるが、ライブ会場限定という付加価値のある商品である。そのため、会場で売り切れなかったカードは廃棄処分にまわすこともありうる。もし販売可能状態のまま廃棄するならば、悪用されるおそれを否定できない。そこで、本システムでは、売れ残ったカードの販売可能状態を販売不可状態に設定変更し、商品登録を解除することにした。
なお、いったん販売不可状態とし、後日のイベントで利用するために再度販売可能状態とすることは勿論可能である。
以下、
図9を参照しながら商品登録解除処理(
図5のステップS500)について説明する。
【0045】
販売者テーブル23に登録済のスマートフォン1によってカード6のデータコード5が読み込まれる(ステップS501)。
読み取ったURLに対応付けられたサイトへアクセスする。このとき、専用アプリケーションが起動し、カード6のカードIDと同時にスマートフォン1の端末識別情報もURLの引数として送信する(ステップS502)。
サーバ3は、送信されてきた端末識別情報をカード管理DB4の販売者テーブル23から検索する(ステップS503)。一致するものが見つかれば(ステップS504でYes)、送信されてきたカードIDを商品テーブル24から検索する。販売可能状態設定を行った端末識別情報の欄(24b)が登録済であれば(ステップS505でYes)、商品テーブル24の販売不可状態を表す端末識別情報の欄(24c)に、今送信されてきた端末識別情報を登録する(ステップS506)。これで、商品登録の解除が完了した。
商品登録済ではないならば(ステップS505でNo)、商品登録されていない旨のメッセージを送信し(ステップS507),受信したスマートフォン1はこれを画面表示する(ステップS508)。操作をした販売者が、例えば未登録にもかかわらず登録済と勘違いをした場合はこのメッセージが送信されてくる。
販売者テーブル23には送信されてきた端末識別情報がない場合(ステップS504でNo)は、サーバ3は
図8のステップS303以降の処理へ移る(ステップS509)。販売者によるアクセスでないならば、利用者によるダウンロード要求と推定して処理を続けるわけである。
なお
図9の処理フローの中では、販売可能状態の設定をした端末識別情報(24b)と販売不可状態の設定をしようとする端末識別情報(24c)との異同をチェックしていない。これは、大規模なコンサートなどで販売担当のスタッフが複数いる場合を考慮したからである。もし、スタッフが1人であれば、端末識別情報の異同をチェックする処理を追加すれば安全性が高まる。
【0046】
上記の実施形態では、スマートフォンとも呼ばれる多機能携帯電話の利用を前提としていた。しかし、本システムは従来タイプの携帯電話でも利用できることは言うまでもない。その場合、端末識別情報はウェブブラウザによってURLの引数としてサーバ3側に送信されるので専用アプリケーションを実装する必要はない。とはいえ、専用アプリケーションもウェブブラウザもコンピュータプログラムであることに変わりはないので、本質的な相違は無いと言える。
【0047】
上記の実施形態では事前にカードの商品登録をしているが、商品登録のタイミングは観客への販売前なら任意である。例えば、小規模なライブなどのときは、アーティスト自身が、予め販売者登録をしておき、観客の一人ひとりにカードを手渡しする際に自分のスマートフォンで商品登録をしてもよい。
一方、大規模なイベントの場合は、事前に商品登録をしておくならば購入希望者を待たせる時間を短縮でき、販売者登録していない者(例:ライブ当日だけのアルバイトのスタッフ)でも販売できるという利点がある。
【0048】
上記の実施形態では直前に終了したライブの映像・音声をサーバにアップロードした後にカードが販売される。このように、直前のライブの映像・音声のアップロードは必須であるが、それ以外のデジタルデータをアップロードすることも勿論可能である。たとえば、ライブを間近にしたアーティストのインタビュー、アーティスト本人による次回ライブのお知らせ、当該ライブ会場の次回ライブの予告、これまでのライブの様子などをまとめたもの等を予め用意しておき、これらも併せてアップロードしてもよい。これにより、カードを購入した観客の満足度もライブの価値も一層高まるとともに、アーティストやライブハウスの宣伝にもなる。
上記の実施形態では、ライブでの利用を例に説明した。しかし、さまざまなイベントで本システムを利用できる。音楽に限らず、落語や漫才などの各種演芸、高層ビルや電波塔の展望台から眺めた初日の出や花火大会の映像などあらゆるデジタルデータの販売に利用できる。
【0049】
(2)第2の実施形態
この実施形態は商品登録の仕方が第1の実施形態と相違する。他は共通なので相違点のみを説明する。
第1の実施形態では、販売登録済のスマートフォン1を用いて、1枚ずつカードのデータコードを読み取り、販売可能状態に設定していた。
しかし、大規模なコンサートなどでは、この方法では時間と手間がかかりすぎる。
一方、印刷会社などから納品されたカードは所定枚数ずつ箱や袋に入れられている。この場合、カードIDとして連続する番号が付されていることが通常である。
図10に示すように、複数枚のカード6を収納するパッケージ26の表面にQRコード27が印刷されており、一括登録用の情報がコード化されているならば、スマートフォン1でこのQRコード27を読み取り、サーバ3に送信することで複数のカード6を同時に商品登録できる。
QRコード27には、例えば、“http://****.jp/***/一括登録?先頭カードID&末尾カードID”という範囲指定、あるいは”http://****.jp/***/一括登録?先頭カードID&カード枚数”という枚数指定をパラメータとして持つURLがコード化されている。
パッケージ毎売れ残った場合も、同様にQRコード27を読み取り、サーバ3に送信するだけで迅速に商品登録の解除が行える。バラになっているカードについてのみ、1枚ずつ登録解除をする。
【0050】
QRコード27には、“http://****.jp/***/一括登録?パッケージID&カード枚数”といったパッケージ指定をパラメータとして持つURLがコード化されていてもよい。
例えば、6桁のカードIDの先頭3桁がパッケージIDであり、末尾の3桁がパッケージ内のカードの連番であるとする。パッケージ26のIDがABCであり、パッケージ内には001から始まる連番が付与された100枚のカードが収納されているとする。
スマートフォン1は、QRコード27からURL“http://****.jp/***/一括登録?ABC&100”を読み取り、サーバ3にアクセスする。サーバ3は、ABC001〜ABC100の計100枚のカードが販売可能状態になったものとしてカード管理DB4に商品登録する。
パッケージ毎売れ残った場合も、QRコード27を読み取るだけで一括して商品登録を解除できる。
【0051】
(3)第3の実施形態
この実施形態は商品登録をスマートフォンではなくパソコンで行う点で第1・第2の実施形態と相違する。他は共通なので相違点のみを説明する。
販売者が自分のスマートフォン1を登録する際に、販売者IDとパスワードも入力すると、サーバ3は販売者テーブル23に端末識別情報と対応づけて販売者IDとパスワードも登録しておく。第1の実施形態では、販売者認証をスマートフォン1の端末識別情報で行っていたが、この実施形態では、販売者IDとパスワードの組み合わせで行うこともできる。この方法ならば、端末識別情報を登録済のスマートフォン1に限らず、端末識別情報を登録していないパソコンなどを用いて商品登録を行うこともできる。
サーバ3は、販売者テーブル23を参照して販売者IDおよびパスワードに対応する端末識別情報を取り出し、これを商品テーブル24の欄24bに登録すれば、商品テーブル24の構成を変更しなくてすむ。
このようにスマートフォンとパソコンのいずれも利用可能なので、商品登録はパソコンで行い,商品登録解除はスマートフォンで行ったり、その逆を行ったりすることも可能である。
【0052】
(4)第4の実施形態
第1の実施形態では、コンテンツの再生をスマートフォン2で行っていた。
しかし、この第4の実施形態では、カード6を介したシステムへのアクセスはスマートフォン2で行うが、コンテンツのダウンロードおよび再生はパソコン上で行う点で相違する。カード6の商品登録までの処理(
図5のステップS100およびステップS200の処理)並びにカード管理DB4のテーブル構造は相違しない。
以下、第1の実施形態と異なる点を中心に、
図11に従い説明する。なお、図中、第1の実施形態と同一の機能を有するものには同一の符号を付してある。
【0053】
パソコン28のウェブブラウザを立ち上げ、本システムのURLを入力し送信する(ステップS601)と、システムからカードIDの入力を促す画面が送信される(ステップS602)。
図2に示すように、カード6には、データコード5とともに、英数字列などのカードIDも印刷されているので、これを入力し送信する(ステップS603)。サーバ3の処理部17がカードID、URL、パソコンとセッションとを特定する情報(セッションIDと呼ばれる情報など)を含むデータコード29を生成し送信してくる(ステップS604)ので、パソコン画面にこれを表示する。
【0054】
このデータコードを自分のスマートフォン2で撮影(ステップS605)し、データコードに含まれる情報をデコードして、サーバ3に送信する(ステップS606)。
サーバ3は、カード管理DB4の商品テーブル24を参照し、スマートフォン2の端末識別情報に基づき利用者認証を行う。もし、カード管理DB4にこの利用者側スマートフォン2の端末識別情報が登録されていなければ、カード6は未使用であったと判断し、この端末識別情報を利用者認証用情報として登録する。登録済みであれば、商品テーブル24に登録されている利用者認証用情報とスマートフォン2の端末識別情報とを照合し、一致すれば、ダウンロード用画面をパソコンに送信する(ステップS607)。以後、このダウンロード用画面を基点として、コンテンツを受信すればよい。
この実施形態のデータコード29は、パソコンを特定するための情報が毎回異なるので、サーバ3によって、その都度生成される。この点、カード6に印刷されたデータコード5を利用する第1の実施形態と異なる。
【0055】
上記の実施形態は、テーブル構造や処理の流れをはじめ、すべての点で例示であって制限的なものではない。
例えば、商品テーブル24には、販売予定の全カードのIDを予め登録しているが、商品登録したときに当該カードのレコードを新規登録してもよい。商品登録を解除したときは、商品テーブル24から当該カードのレコードを削除してもよい。ダウンロード可能な回数や期限に制限が設けられている場合は、適宜商品テーブル24に回数や期限の欄を設ければよい。また、商品登録を解除した端末識別情報欄(24c)を設けず、販売者端末識別情報欄(24b)を空欄にすることによって商品登録を解除してもよい。さらに、商品テーブル24には、ステータス欄を設け、初期状態、販売可能状態、販売済、販売不可状態の別が0〜3などのコードで判別できるようにしてもよい。
他にも、サーバによる携帯端末の識別方法や、不正なダウンロードを防ぐための対策などにつき上記の実施形態に記載した以外に種々が考えられる。例えば、上記の第1の実施形態では、ダウンロード要求の都度サーバはワンタイムパスワードを生成しているが、これは一例にすぎず不正を防止できるならばどのような実装でもよい。
【0056】
本発明は、安価に且つ著作権者などの利益に配慮したデジタルデータの販売方法を提案するものである。しかし、オフラインのCD−RやUSBメモリーで販売するのではなく、サーバにアクセスするという特徴に着目すると、単にライブの音声や映像の再現にとどまらず、さまざまな活用の余地がある。たとえば、ライブに来る人は熱心なファンが多いので、ダウンロードのためにサーバにアクセスした人たちをファンクラブの入会画面等へ誘導したり、次回のライブのチケットなどの優先予約を受け付けたり、といったファンとの交流の手段としても本発明は利用しうる。