(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記複数の載置器具を順次搬送する搬送手段が、上記位置決定手段が決定した位置に当該位置が決定された載置器具を上記被記録媒体格納器に格納するように、上記搬送手段と上記被記録媒体格納器との相対的位置を制御する位置制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の格納制御装置。
上記位置決定手段は、前回位置を決定した上記載置器具が格納された格納箇所より上の格納箇所であって、当該前回位置を決定した上記載置器具の高さより高い位置にある格納箇所であり、且つ、最も低い段を格納箇所として決定する手段である請求項3に記載の格納制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の印刷装置において、高さが異なる、複数の、印刷済みのプリント対象物を一つの容器に、順次格納する場合、前回格納したプリント対象物の格納位置によって、次のプリント対象物の格納する位置が変わる。そのため、従来技術では手動で格納器の高さを調節したり、格納器に手動でプリント対象物を収めたりする必要がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みて成された発明であり、高さが異なる被記録媒体であっても自動的に被記録媒体格納器に順次格納させることができる格納制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る格納制御装置は、被記録媒体を載せた複数の載置器具を、被記録媒体格納器に格納するための格納制御装置であって、順次計測された、上記複数の載置器具における被記録媒体の上面までの高さを取得する高さ取得手段と、前回、上記高さ取得手段が取得した高さから、被記録媒体格納器に載置器具を格納する位置を決定する位置決定手段とを、備えることを特徴としている。
【0007】
前回高さが計測されて、被記録媒体格納器に格納された載置器具上の被記録媒体の上面より、上の位置に次の載置器具が格納されるように、当該載置器具の格納する位置を決定することができる。これにより、それぞれの載置器具に載せられた被記録媒体の高さが異なっても、適切な格納位置を順次自動的に求めることができる。よって、当該格納位置に載置器具を格納するように印刷装置を制御すれば、高さが異なる被記録媒体であっても自動的に被記録媒体格納器に順次格納させることができる。
【0008】
本発明に係る格納制御装置では、上記複数の載置器具を順次搬送する搬送手段が、上記位置決定手段が決定した位置に当該位置が決定された載置器具を上記被記録媒体格納器に格納するように、上記搬送手段と上記被記録媒体格納器との相対的位置を制御する位置制御手段をさらに備えることがより好ましい。
【0009】
搬送手段に対する被記録媒体格納器の高さを、位置決定手段の決定した位置に基づいて制御することにより、搬送手段から被記録媒体格納器に載置器具を順次、円滑に、格納することができる。
【0010】
本発明に係る格納制御装置では、上記被記録媒体格納器は上記載置器具を格納するための格納箇所が複数段設けられており、上記位置決定手段は、前回位置を決定した上記載置器具が格納された格納箇所より上の格納箇所であって、当該前回位置を決定した上記載置器具の高さより高い位置にある格納箇所を、載置器具を格納する格納箇所として決定する手段であることがより好ましい。
【0011】
載置器具を格納するための格納箇所が複数段設けられている被記録媒体格納器に対して、順次、円滑に載置器具を格納することができる。
【0012】
本発明に係る格納制御装置では、上記位置決定手段は、前回位置を決定した上記載置器具が格納された格納箇所より上の格納箇所であって、当該前回位置を決定した上記載置器具の高さより高い位置にある格納箇所であり、且つ、最も低い段を格納箇所として決定する手段であることがより好ましい。
【0013】
より多くの載置器具を格納でき、スペースを有効に活用できる。換言すればデッドスペースを削減できる。
【0014】
本発明に係る印刷装置は、本発明に係る格納制御装置と、印刷される前の複数の上記載置器具を搭載する被記録媒体搭載部とを備え、上記高さ取得手段は、上記被記録媒体搭載部内に搭載されている上記載置器具における被記録媒体の上面までの高さであって、印刷に供される上記載置器具の印刷順に、順次計測された高さを取得するものであることを特徴とする。
【0015】
被記録媒体搭載部内の載置器具の高さを印刷順に計測して、計測された高さに基づいて印刷後の載置器具の格納場所を決めることができる。つまり、最初に被記録媒体搭載部内に載置器具を所望の数だけ搭載しておけば、印刷済の被記録媒体が載せられた載置器具が格納されるまで自動で行なわれる。よって、ユーザが長時間印刷装置の傍にいなくてもよい。
【0016】
本発明に係る印刷装置は、印刷する回数を示す回数情報が関連付けられた、印刷する画像を示す画像ファイルが複数格納されている格納場所を指定する格納場所指定情報を受け付ける受付手段と、上記受付手段が受け付けた格納場所の中にある上記画像ファイルを、上記回数情報が示す回数印刷するように印刷装置を制御する印刷装置制御手段とを、さらに備えることがより好ましい。
【0017】
ユーザはファイルの格納場所を指定するだけで、印刷制御装置は当該格納場所内の画像ファイル及び印刷回数に基づいて印刷装置に印刷を行なわせることができる。よって、複数の画像ファイルに基づく印刷であっても容易に印刷装置に対象の画像ファイルを認識させることができる。
【0018】
また、ユーザは載置器具を被記録媒体搭載部に搭載して、ファイルの格納場所を指定するだけで、載置器具が被記録媒体格納器に格納されるまで、印刷装置の傍にいなくてもよい。つまり、ファイルに関連付けられた回数だけ繰り返し印刷が行なわれるので、都度、載置器具又は被記録媒体を印刷装置に手動で供給する必要がない。よって、長時間の無人運転が可能となる。
【0019】
本発明に係る印刷装置は、上記画像ファイルには、印刷する順番を示す順番情報が関連付けられており、上記印刷装置制御手段は、当該順番情報に従って印刷するように印刷装置を制御するものであることがより好ましい。
【0020】
印刷装置制御手段は、順番情報の示す順番に沿って、画像ファイル及び回数に基づき印刷することができる。これにより、被記録媒体が異なり、それぞれの被記録媒体に対して画像ファイルが定まっている場合であっても、順番通りに被記録媒体を印刷装置に供給すれば、当該順番に従って印刷される。よって、異なる被記録媒体に対する印刷を簡便に行なうことができる。
【0021】
また、ユーザは載置器具を被記録媒体搭載部に搭載して、ファイルの格納場所を指定するだけで、載置器具毎に異なる種類の被記録媒体が載っていても、載置器具が被記録媒体格納器に格納されるまで、印刷装置の傍にいなくてもよい。つまり、ファイルに関連付けられた回数だけ繰り返し印刷が行なわれるので、都度、載置器具又は被記録媒体を印刷装置に手動で供給する必要がない。よって、長時間の無人運転が可能となる。
【0022】
また、本発明に係る格納制御装置を動作させるためのプログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるためのプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、高さが異なる被記録媒体であっても自動的に被記録媒体格納器に順次格納させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔印刷装置の構成〕
以下、本発明の実施の形態について、
図1を用いて詳細に説明する。
図1は本発明に係る格納制御装置の一実施形態である格納制御部を搭載した印刷装置の構成を模式的に示す図である。
【0026】
ここでは、本発明に係る格納制御装置の一実施形態である格納制御部110を搭載した印刷装置1の構成を説明する。
【0027】
印刷装置1は
図1に示すようにトレイ格納容器(被記録媒体搭載部)10、搬送部(搬送手段)30、ヘッド40、テーブル50、光学式センサ51、度当たりピン52、高さ検知センサ53、アクリル板60、印刷済メディア格納容器(被記録媒体格納器)70を備えている。
【0028】
また、印刷装置1は格納制御部(格納制御装置)110を搭載している。
【0029】
トレイ格納容器10は、印刷される前のメディア(被記録媒体)100が複数載せられたトレイ(載置器具)20を複数枚鉛直方向に並べて格納するためのものである。
【0030】
トレイ格納容器10へのトレイ20の格納は手動で行なうが、印刷が必要なメディア100を所望の数だけトレイ20に載せ、所望の数のトレイ20をトレイ格納容器10に予め搭載しておくことができる。印刷装置1では、複数のトレイ20が格納されたトレイ格納容器10から順次トレイ20を出して、ヘッド40のインク吐出面に対向する領域である印刷領域R1に搬送して印刷を行なうので、ユーザがトレイ20を印刷装置1に一枚ずつセットする必要がない。よって、長時間、ユーザが印刷装置1の傍にいなくても連続して複数のメディア100を印刷することができる。
【0031】
トレイ格納容器10は、押し出し部(載置器具移動部)31を備えている。押し出し部31は搬送部30の一構成部材である。押し出し部31はトレイ20を矢印X方向に押し出す。これにより、テーブル50上にトレイ20を移動させることができる。
【0032】
トレイ格納容器10は、トレイ格納容器10から取り出し移動させる対象のトレイ20が押し出し部31によって押し出される位置になるように、押し出し部31の位置を固定したまま、筐体等のその他の部材を鉛直方向に上下移動するものであってもよい。これにより、円滑に複数のトレイ20を順次テーブル50上に移動させることができる。なお、押し出し部31によってトレイ20を押し出す際に、テーブル50は矢印X方向とは逆方向に移動してトレイ20を受け取ることができる位置まで移動されて置くことが好ましい。
【0033】
搬送部30は、押し出し部31及びベルトコンベア32から構成されている。
【0034】
押し出し部31はトレイ格納容器10の内から矢印X方向にトレイ20を押し出すものである。
【0035】
ベルトコンベア32はテーブル50を搬送するためのものである。これによりトレイ20が受け渡し領域R2から印刷済メディア格納容器70まで搬送される。なお、受け渡し領域R2において、トレイ20がテーブル50の上に載せられる。受け渡し領域R2は、押し出し部31によって押し出されたトレイ20がトレイ格納容器10から出てきたときに置かれる領域であり、テーブル50が受け渡し領域R2に位置するときにトレイ20が押し出されることによって、テーブル50の上にトレイ20が置かれる。
【0036】
ベルトコンベア32は、歯付きベルトと、歯付きベルトの歯に咬合する歯車とから構成されている。このような構成によりテーブル50をより高速に搬送することができる。印刷装置1では、トレイ格納容器10から取り出されたトレイ20を印刷済メディア格納容器70まで、長距離にわたって搬送する必要があるが、このような装置に歯付きベルトを備えるベルトコンベア32を用いることによって、より短時間で搬送することができる。よって、印刷の工程全体を短時間で終了させることができる。また、歯付きであることにより位置のずれが少なく、より高精度な印刷を行なうことができる。
【0037】
ヘッド40はメディア100にインクを吐出するためのものである。ヘッド40のインクを吐出する面に対向する領域、換言すれば、吐出したインクが着弾可能な領域が印刷領域R1である。ヘッド40はトレイ20上を走査するものであってもよく、トレイ20がヘッド40から吐出されたインクを受けるように適宜印刷領域R1を移動するものであってもよい。
【0038】
テーブル50はトレイ20を載置するためのものである。テーブル50はベルトコンベア32上に配置されている。ベルトコンベア32の駆動に従って、矢印X方向又はその逆方向に移動する。
【0039】
光学式センサ51はメディア100の上面の位置を検出するためのものである。当該位置を検出することにより、テーブル50を上下動させて印刷に適した位置にメディア100を配置することができる。
【0040】
度当たりピン52は、押し出し部31によるトレイ20の搬送方向の先にあり、当該搬送方向への移動距離を規制するための位置決め部材である。押し出されたトレイ20は、度当たりピン52によって移動を停止することで矢印X方向、即ち搬送方向の位置を調節される。
【0041】
高さ検知センサ53は、印刷済みのメディア100が載せられたトレイ20の高さ、つまり、トレイ20の底面からメディア100の上面までの高さを順次計測するものである。計測した高さは格納制御部110に送信する。高さ検知センサ53は、例えば、赤外線等の光を発して反射光を受信することにより対象物の高さを検知するセンサ等で構成してもよい。
【0042】
アクリル板60は、メディア100の鉛直方向の位置を調整するためのものである。例えば、押し出されたトレイ20が度当たりピン52に当たるときの衝撃でメディア100が鉛直方向上向きに浮く等してずれた場合に、アクリル板60で上から押さえることによって、ずれを修正する。よって、より高精度に印刷することができる。なお、本発明に係る印刷装置における鉛直方向位置調整部は、アクリル板等の板状部材に限定されず、載置器具を鉛直方向に移動させることができるものであればよい。
【0043】
アクリル板60の上下動は手動で行なってもよいが、センサ等でずれを検知した上で自動的に上下動させてもよい。上下動させる機構としては、例えば、空気圧によりアクリル板60を上下動させるシリンダが挙げられる。
【0044】
また、鉛直方向の位置調整は、本発明における前処理の一態様である。本発明における前処理は位置調整に限定されるものではなく、例えば、メディアの清掃、静電気除去、プライマの塗布、表面を荒らす処理等が挙げられる。表面を荒らす処理としてはコロナ処理、例えば254nmの低波長の紫外線を照射する処理等が挙げられる。
【0045】
本実施形態における前処理は受け渡し領域R2で行なう。このように前処理を受け渡し領域R2で行なうと省スペースになるため好ましいが、前処理と受け渡しとを別々の領域で行なってもよい。
【0046】
印刷済メディア格納容器70は、印刷が終了したメディア100が載っているトレイ20を格納する容器である。搬送部30によって搬送されたトレイ20が順次印刷済メディア格納容器70に格納されていく。
【0047】
印刷済メディア格納容器70は、トレイ20を格納するための格納箇所が複数段設けられており、トレイ20は各段に格納される。
【0048】
格納されるトレイ20は
図1に示すように鉛直方向に並べられる。そのため、ベルトコンベア32から搬送されるトレイ20を適切な段に格納できるように、印刷済メディア格納容器70は鉛直方向に上下動してもよい。
【0049】
また、印刷済メディア格納容器70は、ベルトコンベア32から搬送されたトレイ20を自容器内に引き込むためのローラ等の機構を有していてもよい。
【0050】
格納制御部110はトレイ20を印刷済メディア格納容器70に格納するための制御部である。格納制御部110は、高さ取得部(高さ取得手段)101、位置決定部(位置決定手段)102、位置制御部(位置制御手段)103を備えている。
【0051】
高さ取得部101は、順次計測された、複数のトレイ20におけるメディア100の上面までの高さを、高さ検知センサ53から取得する。取得した高さは位置決定部102に送信するが、図示しないメモリ等に送信して当該メモリ等に記録させてもよい。
【0052】
本実施形態では高さ検知センサ53は、印刷後のトレイ20の高さを順次検知するが、この形態に限定されない。例えば、トレイ格納容器10内に搭載されているトレイ20の高さを、印刷に供されるトレイ20の順に、順次検知するものであってもよい。このとき、高さ取得部101は、トレイ格納容器10内に搭載されているトレイ20の高さであって、印刷に供されるトレイ20の順に、順次計測されたものを取得する。この場合の高さ検知センサ53も、例えば、光学センサ、カメラ等でトレイ格納容器10内のトレイ20の高さを測定するものであってもよい。
【0053】
位置決定部102は、前回、高さ取得部101が取得した高さから、印刷済メディア格納容器70にトレイ20を格納する位置を決定する。最初は最も低い位置にトレイ20を格納するように決定して、その次は、前回位置を決定したトレイ20の高さ以上の高さに次のトレイ20を格納するように位置を決定する。つまり、前回位置を決定したトレイ20が格納された段より上の段であって、前回位置を決定したトレイ20の高さより高い位置にある段を、トレイ20を格納する段として決定する。このとき、該当する段の中で最も低い段を格納する位置として決定することが好ましい。より多くのトレイ20を格納できるため、スペースを有効に活用できるからである。換言すればデッドスペースを削減できる。
【0054】
なお、前回位置を決定した後、次に位置を決定すべきトレイ20の存在を、位置決定部102が認識する方法については特に限定されず、例えば、次に高さを取得したときに、その対象のトレイ20の格納位置を前回取得した高さから決定してもよく、別途トレイ20の存在を検知するセンサを設けて、当該センサがトレイ20の存在を確認したとき、前回存在を確認したトレイ20についての高さを取得して格納位置を決定してもよい。
【0055】
位置決定部102は、トレイ20を格納する段の位置を決定すると、その位置を示す情報を位置制御部103に送信する。
【0056】
位置制御部103は、トレイ20を順次搬送するベルトコンベア32が、位置決定部102が決定した位置に当該位置が決定されたトレイ20を印刷済メディア格納容器70に格納するように、ベルトコンベア32と印刷済メディア格納容器70との相対的位置を制御するものである。本実施形態では、位置制御部103が、印刷済メディア格納容器70の鉛直方向(矢印Y方向)の位置を制御するものであることとして説明する。
【0057】
位置制御部103は、位置決定部102から次のトレイ20を格納する段を示す情報を受信すると、ベルトコンベア32のトレイ20を載せている面の高さが、当該段の高さになるように印刷済メディア格納容器70の高さを決定する。そして、印刷済メディア格納容器70を矢印Y方向に移動させて、高さを調節する。これにより、トレイ20は位置決定部102により定められた段に順次格納される。
【0058】
なお、本発明に係る印刷装置は、搬送方向における印刷領域の後、換言すれば搬送手段によって搬送する印刷領域から後の領域に被記録媒体に対して後処理を施す後処理手段を備えてもよい。後処理手段としては、オーバーコートするドーミング装置、スプレーガンが挙げられる。これにより、ドーミング工程、スプレーガン工程等を行なうことができる。
【0059】
また、本発明に係る印刷装置は、差し込み作業の機能が付加されていてもよい。差し込み作業とは、載置器具を順次搬送して作業を行なう途中で、別の載置器具に対して、印刷、前処理、後処理等を行ないたい場合に当該別の載置器具を印刷装置に供することである。例えば、受け渡し領域で当該別の載置器具を載せて前処理して回収したり、そのまま印刷を行なったり、搬送方向における印刷領域の後の領域で当該別の載置器具を載せて後処理したり、差し込ませて印刷した当該別の載置器具を回収したりしてもよい。
【0060】
また、印刷装置1は、受付部(受付手段)、印刷装置制御部(印刷装置制御手段)を備えていてもよい。
【0061】
受付部は、印刷する回数を示す回数情報が関連付けられた、印刷する画像を示す画像ファイルが複数格納されている格納場所を指定する格納場所指定情報を受け付けるものである。
【0062】
本明細書において「画像」とは、印刷によって描く図形のことを意味し、絵のみでなく、文字も包含する。
【0063】
受付部が格納場所指定情報を受け付ける方法については特に限定されない。例えば、ユーザが、マウス、キーボード、タッチパネル等の入力手段によって格納場所指定情報を入力して、受付部が当該格納場所指定情報を受け付けてもよい。このとき、例えば、ユーザは印刷する目的の画像ファイルが格納されているフォルダ(格納場所)を指定すればよい。また、例えば、ユーザが印刷装置1にUSBメモリ等の外部記憶媒体を取り付けた際に、当該外部記憶媒体内の画像ファイルが格納されている場所を検知することによって、格納場所指定情報を認識してもよい。このような認識も格納場所指定情報の受付の一態様である。
【0064】
印刷装置制御部は、受付部が受け付けた格納場所の中にある画像ファイルを、回数情報が示す回数印刷するように印刷装置を制御するものである。また、本実施形態では、画像ファイルに印刷する順番を示す順番情報が関連付けられているので、印刷装置制御部は、当該順番情報に従って印刷するように印刷装置を制御するものでもある。
【0065】
被記録媒体が複数種類あり、例えば、或る被記録媒体には或る画像ファイルで印刷して、別の被記録媒体には別の画像ファイルで印刷する場合においても、印刷装置に供給する被記録媒体の順番を定めておき、当該順番を示す順番情報を画像ファイルに関連付けておけば、ユーザは一度格納場所を指示するだけで、全ての被記録媒体に印刷を行なうことができる。よって、例えば、ペンケース、携帯電話のカバー等の異なる被記録媒体に対する印刷を簡便に行なうことができる。
【0066】
ここで、画像ファイルの格納場所は記憶媒体に記憶されているものとして説明する。印刷装置制御部は、受付部が受け付けた格納場所指定情報に基づいて、記憶媒体内の格納場所を参照する。
【0067】
格納場所内には複数の画像データが格納されている。例えば、複数の画像ファイルが一つのフォルダ(格納場所)の中に格納されている。それぞれの画像ファイルには印刷回数を示す回数情報及び印刷順を示す順番情報が関連付けられている。印刷装置制御部は、当該フォルダ内の画像ファイルを読み取ることにより、各画像ファイルの印刷順及び印刷回数を認識することができる。この印刷順、印刷回数に従って画像ファイルに基づく画像を印刷するように印刷装置1のトレイ格納容器10及びヘッド40を制御する。
【0068】
記憶媒体は画像ファイルを格納するためのものである。ここでは記憶媒体は印刷装置1に内装されているものとして説明をするが、外付けのものであってもよい。また、記憶媒体300はハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク類等で構成されていてもよい。
【0069】
〔印刷装置の動作〕
次に印刷装置1の動作について説明する。
【0070】
まず、メディア100をトレイ20に載せる。1枚のトレイ20に載せるメディア100の数及びトレイ20の数は目的の印刷量に応じて適宜設定すればよい。
【0071】
次に、トレイ20をトレイ格納容器10に格納する。本実施形態では、
図1に示すようにトレイ格納容器10内に鉛直方向に並ぶようにトレイ20を並べる。
【0072】
次に、印刷装置1を稼動させる。まず、印刷装置1は、ベルトコンベア32を駆動させて、テーブル50を受け渡し領域R2に配置する。
【0073】
次に、押し出し部31によってトレイ20を矢印X方向に押し出す。これにより、テーブル50の上にトレイ20が載る。このとき、押し出し部31による押し出しの力によって、トレイ20が度当たりピン52に当たるまで勢いよく移動する。そして、度当たりピン52に当たることによって、搬送方向への移動距離が規制されて、当該搬送方向における位置が調整される。
【0074】
次に、トレイ20が度当たりピン52に衝突することによって、トレイ20の上のメディア100が浮く等して鉛直方向にずれた場合には、アクリル板60によって押さえつけて位置を調整する。
【0075】
次に、テーブル50は印刷領域R1に搬送される。印刷領域R1では、光学式センサ51によってメディア100上面の位置が検出される。検出した位置が印刷に適していない位置である場合にはテーブル50を上下動させて位置合わせが行なわれる。
【0076】
次に、ヘッド40からインクが吐出されて、メディア100の印刷が行なわれる。
【0077】
印刷が終了するとテーブル50はさらに矢印X方向に搬送される。搬送方向において、ヘッド40の後であって、印刷済メディア格納容器70の前の領域では、必要に応じて、ドーミング工程及びスプレーガン工程等の後処理が行なわれる。
【0078】
最後に、テーブル50は印刷済メディア格納容器70の前まで搬送されて、トレイ20は印刷済メディア格納容器70に格納される。印刷済メディア格納容器70は、トレイ20を回収するためにトレイ20を巻き込むローラ等の機構を有していてもよい。
【0079】
トレイ20を印刷済メディア格納容器70に格納するときの格納制御部110による制御をより詳細に説明する。
【0080】
まず、高さ取得部101がトレイ20の高さを高さ検知センサ53から取得する。
【0081】
次に、位置決定部102が位置を決定する。位置決定部102の処理を
図2を用いて説明する。
図2は、ある位置決定部の処理フローの一例を示す図である。
【0082】
印刷装置1による印刷が開始されると位置決定部102も処理を開始する(ステップS1)。
【0083】
まず、位置決定部102は前回位置を決定したか否かを認識する(ステップS2)。つまり、処理を開始して初めて位置を決定する場合(ステップS2においてNO)、印刷済メディア格納容器70にはトレイ20は格納されていないので、最も低い段をトレイ20の格納位置として決定する。そして、決定した結果を位置制御部103に送信する。位置制御部103は当該結果に基づいて、最も低い段がベルトコンベア32のトレイ20を載せた面の高さ近傍になるように印刷済メディア格納容器70の位置を調整する。これにより、最初のトレイ20は印刷済メディア格納容器70の最も低い段に格納される。
【0084】
位置決定部102は、前回位置を決定している場合(ステップS2)、つまり、処理を開始後、一度でも既にトレイ20の格納位置を決定している場合、当該前回の高さを取得する(ステップS3)。前回の高さの取得は、例えば、高さ取得部101がメモリ等に記録させておいた高さを取得することにより行なわれる。印刷済メディア格納容器70内にある最も高い位置のトレイ20の高さを別途のセンサ等により計測して取得してもよい。
【0085】
次に、位置決定部102は、今回格納すべきトレイ20の格納位置を決定する(ステップS5)。具体的には、位置決定部102は、前回位置を決定したトレイ20の高さ以上の高さに次のトレイ20を格納するように位置を決定する。つまり、前回位置を決定したトレイ20が格納された段より上の段であって、前回位置を決定したトレイ20の高さより高い位置にある段を、位置決定部102はトレイ20を格納する段として決定する。また、このとき、該当する段の中で最も低い段を格納する位置として決定する。位置を決定すると、位置決定部102は、その結果を位置制御部103に送信する。位置制御部103は当該結果に基づいて、当該結果に対応する段がベルトコンベア32のトレイ20を載せた面の高さ近傍になるように印刷済メディア格納容器70の位置を調整する。これにより、トレイ20は印刷済メディア格納容器70に格納される。
【0086】
次に、位置決定部102は、次に格納位置を決定すべきトレイ20があるか判別する(ステップS6)。この判別をする方法は特に限定されず、例えば、印刷装置1本体の制御部等から印刷が終了したか否かの情報を受信したり、印刷する総量を位置決定部102が予め認識している場合には既に位置を決定したトレイ20の数が当該総量に達したか否かを判別したりすることによって行なう。次に格納位置を決定すべきトレイ20が有る場合には(ステップS6においてYES)、ステップS2の処理に戻る。これにより、トレイ20は、順次、印刷済メディア格納容器70に格納される。次に格納位置を決定すべきトレイ20が無い場合には(ステップS6においてNO)、処理を終了する(ステップS7)。
【0087】
〔受付部及び印刷装置制御部の動作〕
受付部及び印刷装置制御部の処理について説明する。
【0088】
まず、ユーザは、印刷を目的とする画像ファイルの格納場所を入力する。受付部は当該格納場所を指定する格納場所指定情報を受け付ける。
【0089】
次に、受付部は受け付けた格納場所指定情報を印刷装置制御部に送信する。
【0090】
印刷装置制御部が処理を開始すると、まず、格納場所指定情報を受付部から受信する。
【0091】
次に、受信した格納場所指定情報が示す格納場所を参照する。具体的には格納場所は記憶媒体内にあるので、記憶媒体内の格納場所を参照する。
【0092】
次に、印刷装置制御部は当該格納場所内の画像ファイルに関連付けられた順番情報を参照する。
【0093】
次に、印刷装置制御部は、順番情報の示す順番で、画像ファイルに関連付けられた印刷回数分当該画像ファイルを印刷するように制御する。具体的には、本実施形態においては、印刷装置制御部はトレイ格納容器10及びヘッド40を操作して、画像ファイルに基づく画像を所定の回数だけ印刷する。
【0094】
或る画像ファイルの印刷が終わると、次は、別の画像ファイルの画像を所定の回数だけ印刷するようにヘッド40等を制御する。当該格納場所内の画像ファイルの全てを、関連付けられた回数だけ印刷すると処理を終了する。
【0095】
印刷順に沿って、一つの画像ファイルの印刷が終わる毎に次の画像ファイルを参照してもよく、全ての画像ファイル及び印刷回数を参照して、一時的に記憶するいわゆるワーキングメモリとしてのRAM(Random Access Memory)に全て記憶させておいた上で、全ての印刷を行なってもよい。
【0096】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0097】
〔ソフトウェアによる実現例〕
最後に、格納制御部110の各ブロックは、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0098】
後者の場合、格納制御部110は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記憶媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである格納制御部110の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記憶媒体を、上記格納制御部110に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0099】
上記記憶媒体としては、一時的でない有形の媒体(non-transitory tangible medium)、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク類、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード類、マスクROM/EPROM/EEPROM(登録商標)/フラッシュROM等の半導体メモリ類、あるいはPLD(Programmable logic device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路類などを用いることができる。
【0100】
また、格納制御部110を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークは、プログラムコードを伝送可能であればよく、特に限定されない。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11無線、HDR(High Data Rate)、NFC(Near Field Communication)、DLNA(Digital Living Network Alliance)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0101】
〔付記事項〕
以上のように、格納制御部110は、メディア100を載せた複数のトレイ20を、印刷済メディア格納容器70に格納するためのものであって、順次計測された、複数のトレイ20におけるメディア100の上面までの高さを取得する高さ取得部101と、前回、高さ取得部101が取得した高さから、印刷済メディア格納容器70にトレイ20を格納する位置を決定する位置決定部102とを、備える。
【0102】
前回高さが計測されて、印刷済メディア格納容器70に格納されたメディア100の上面より、上の位置に次のトレイ20が格納されるように、当該トレイ20の格納する位置を決定することができる。これにより、それぞれのトレイ20に載せられたメディア100の高さが異なっても、適切な格納位置を順次自動的に求めることができる。よって、当該格納位置にトレイ20を格納するように印刷装置を制御すれば、高さが異なるメディア100であっても自動的に印刷済メディア格納容器70に順次格納させることができる。
【0103】
格納制御部110では、複数のトレイ20を順次搬送する搬送部30が、位置決定部102が決定した位置に当該位置が決定されたトレイ20を印刷済メディア格納容器70に格納するように、搬送部30と印刷済メディア格納容器70との相対的位置を制御する位置制御部103をさらに備える。
【0104】
搬送部30に対する印刷済メディア格納容器70の高さを、位置決定部102の決定した位置に基づいて制御することにより、搬送部30から印刷済メディア格納容器70にトレイ20を順次、円滑に、格納することができる。
【0105】
格納制御部110では、印刷済メディア格納容器70はトレイ20を格納するための格納箇所が複数段設けられており、位置決定部102は、前回位置を決定したトレイ20が格納された格納箇所より上の格納箇所であって、当該前回位置を決定したトレイ20の高さより高い位置にある格納箇所を、次のトレイ20を格納する格納箇所として決定するものである。
【0106】
トレイ20を格納するための格納箇所が複数段設けられている印刷済メディア格納容器70に対して、順次、円滑に載置器具を格納することができる。
【0107】
格納制御部110では、位置決定部102は、前回位置を決定したトレイ20が格納された格納箇所より上の格納箇所であって、当該前回位置を決定したトレイ20の高さより高い位置にある格納箇所であり、且つ、最も低い段を格納箇所として決定するものである。
【0108】
より多くのトレイ20を格納でき、スペースを有効に活用できる。換言すればデッドスペースを削減できる。
【0109】
印刷装置1は、格納制御部110と、印刷される前の複数のトレイ20を搭載するトレイ格納容器10とを備え、高さ取得部101は、トレイ格納容器10内に搭載されているトレイ20におけるメディア100の上面までの高さであって、印刷に供されるトレイ20の印刷順に、順次計測された高さを取得するものである。
【0110】
トレイ格納容器10内のトレイ20の高さを印刷順に計測して、計測された高さに基づいて印刷後のトレイ20の格納場所を決めることができる。つまり、最初にトレイ格納容器10内にトレイ20を所望の数だけ搭載しておけば、印刷済のメディア100が載せられたトレイ20が格納されるまで自動で行なわれる。よって、ユーザが長時間印刷装置1の傍にいなくてもよい。
【0111】
印刷装置1は、印刷する回数を示す回数情報が関連付けられた、印刷する画像を示す画像ファイルが複数格納されている格納場所を指定する格納場所指定情報を受け付ける受付部と、受付部が受け付けた格納場所の中にある画像ファイルを、回数情報が示す回数印刷するように印刷装置1を制御する印刷装置制御部とを備える。
【0112】
ユーザは格納場所を指定するだけで、印刷制御部は当該格納場所内の画像ファイル及び印刷回数に基づいて印刷装置1に印刷を行なわせることができる。よって、複数の画像ファイルに基づく印刷であっても容易に印刷装置1に対象の画像ファイルを認識させることができる。
【0113】
また、ユーザはトレイ20をトレイ格納容器10に搭載して、ファイルの格納場所を指定するだけで、トレイ20が印刷済メディア格納容器70に格納されるまで、印刷装置1の傍にいなくてもよい。つまり、ファイルに関連付けられた回数だけ繰り返し印刷が行なわれるので、都度、トレイ20又はメディア100を印刷装置1に手動で供給する必要がない。よって、長時間の無人運転が可能となる。
【0114】
印刷装置1では、画像ファイルには、印刷する順番を示す順番情報が関連付けられており、印刷装置制御部は、当該順番情報に従って印刷するように印刷装置1を制御するものである。
【0115】
印刷装置制御部は、順番情報の示す順番に沿って、画像ファイル及び回数に基づき印刷することができる。これにより、被記録媒体が異なり、それぞれの被記録媒体に対して画像ファイルが定まっている場合であっても、順番通りに被記録媒体を印刷装置に供給すれば、当該順番に従って印刷される。よって、異なる被記録媒体に対する印刷を簡便に行なうことができる。
【0116】
また、ユーザはトレイ20をトレイ格納容器10に搭載して、ファイルの格納場所を指定するだけで、トレイ20毎に異なる種類のメディア100が載っていても、トレイ20が印刷済メディア格納容器70に格納されるまで、印刷装置1の傍にいなくてもよい。つまり、ファイルに関連付けられた回数だけ繰り返し印刷が行なわれるので、都度、トレイ20又はメディア100を印刷装置1に手動で供給する必要がない。よって、長時間の無人運転が可能となる。