特許第6033041号(P6033041)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6033041光学ガラス母材の自動品質検査装置及び光学ガラス母材の自動品質検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033041
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】光学ガラス母材の自動品質検査装置及び光学ガラス母材の自動品質検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/896 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   G01N21/896
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-241142(P2012-241142)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-92373(P2014-92373A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128784
【氏名又は名称】株式会社オハラ
(74)【代理人】
【識別番号】100120204
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 巌
(74)【代理人】
【識別番号】100123962
【弁理士】
【氏名又は名称】斎藤 圭介
(72)【発明者】
【氏名】金光 康中
(72)【発明者】
【氏名】杉方 稔
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−201887(JP,A)
【文献】 国際公開第01/073408(WO,A1)
【文献】 特開平09−243339(JP,A)
【文献】 特開平01−107140(JP,A)
【文献】 特開2004−251777(JP,A)
【文献】 特開昭54−059982(JP,A)
【文献】 特開平11−242002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/896
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の光学ガラス母材を載置する検査ユニットを少なくとも有し、
前記検査ユニットは、
前記光学ガラス母材の内部に光を照射する光源部と、
前記光源部からの光により照射された前記光学ガラス母材の内部と表面との少なくとも一方を前記表面側から撮像する撮像部と、
前記撮像部からの画像信号に基づいて前記光学ガラス母材の内部と表面との少なくとも一方の欠陥に関する情報を判定する判定制御部と、を有し、
前記光学ガラス母材は、その長手方向に直交する切断面を有し、
前記光学ガラス母材を撮像する表面側と反対側の面に遮光部材を設け、
前記光源部は前記切断面の方向から前記光学ガラス母材に光を照射することを特徴とする光学ガラス母材欠陥検査装置。
【請求項2】
さらに、ガラス母材製造ユニットのレアエンド部から送出された光学ガラス母材の送出状態を認識する第1のセンサを有し、第1のセンサからの第1の出力信号に基づいて、前記光学ガラス母材を所定の方向へ搬送する搬送ユニットを有することを特徴とする請求項1に記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【請求項3】
前記検査ユニットは、前記光学ガラス母材の前記検査ユニット上の位置を検出し、第2の出力信号を出力する第2のセンサを有することを特徴とする請求項1または2に記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【請求項4】
前記搬送ユニットは、前記第1のセンサからの前記第1の出力信号に基づいて、前記光学ガラス母材をガラス送り部により、前記検査ユニットへ搬出することを特徴とする請求項2または3に記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【請求項5】
前記検査ユニットは、光源駆動部を有し、
前記光源駆動部は、前記第2のセンサの検出結果に基づいて、前記光源部を、前記検査ユニット上の前記光学ガラス母材へ光を照射する照射位置と、前記光学ガラス母材の搬送路から退避する退避位置との、いずれか一方の位置に駆動することを特徴とする請求項3または4に記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【請求項6】
前記第2のセンサは、搬送されてきた前記光学ガラス母材が前記検査ユニット上の所定位置に載置されたとき第2の出力信号を送出し、
前記光源駆動部は、前記第2の出力信号に基づいて前記光源部を照射位置へ駆動し、前記光学ガラス母材へ光を照射することを特徴とする請求項5に記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【請求項7】
前記検査ユニットは、撮像用駆動部を有し、
前記撮像用駆動部は、前記撮像部と、載置された前記光学ガラス母材との相対的な距離を変化させ、
前記光源部により照射されている前記光学ガラス母材の表面から裏面までを所定の面積にわたって、走査し撮像することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【請求項8】
前記検査ユニットはさらにマーキング部を有し、
前記判定制御部が、撮像された画像情報から欠陥であると判定した部分の前記光学ガラス母材の表面にマーキングすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【請求項9】
前記判定制御部により判定された欠陥に関する情報は、前記光学ガラス母材の製造に関連する装置へフィードバック可能であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【請求項10】
前記光源部は、電球、蛍光灯、発光ダイオード、レーザ光源であり、射出する光の波長は、紫外光、可視光、赤外光のいずれかであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【請求項11】
さらに、前記検査ユニットに隣接して、欠陥検査が終了した前記光学ガラス母材を搬出する搬出ユニットを有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【請求項12】
搬送された板状の光学ガラス母材を検査する検査工程を少なくとも有し、
前記検査工程において、
前記光学ガラス母材の内部に光を照射する光照射工程と、
照射された前記光学ガラス母材の表面と内部との少なくとも一方を前記表面側から撮像する撮像工程と、
前記撮像工程からの画像信号に基づいて前記光学ガラス母材の欠陥に関する情報を判定する判定制御工程と、を有し、
前記光学ガラス母材は、その長手方向に直交する切断面を有し、
前記光学ガラス母材を撮像する表面側と反対側の面に遮光部材を設け、
前記光照射工程では前記切断面の方向から前記光学ガラス母材に光を照射することを特徴とする光学ガラス母材欠陥検査方法。
【請求項13】
母材である光学ガラス母材の搬送状態に基づいて、前記光学ガラス母材を所定の方向へ搬送する搬送工程をさらに有することを特徴とする請求項12に記載の光学ガラス母材欠陥検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ガラス母材の自動品質検査装置及び光学ガラス母材の自動品質検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光学機器やデジタルカメラだけでなく、携帯電話等にもカメラが搭載されるようになり、光学ガラス等からなるレンズ等の需要が年々大きくなってきている。このようなレンズ等を製造する元となる光学ガラス母材は、入射する像等を歪ませることなく透過させる必要がある。このため、光学ガラス母材には、高い品質、特に欠陥がなく、均一の屈折率等の光学特性を有することが要求される。このため、光学ガラス母材の製造、実用化にあたっては、光学ガラス母材内部と表面との少なくとも一方の欠陥の検出、評価等を行う必要がある。
なお、「欠陥」とは、光学ガラス母材の表面と内部との少なくとも一方において、例えば、泡、異物(混入物など)、傷、失透等をいう。さらに、「品質検査」とは、このような欠陥を検出し、その検出結果に基づいて品質を判定することをいう。
【0003】
例えば、光学材料の内部状態を検査するため、例えば特許文献1に記載の方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−117951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この検査方法では、被検体である光学材料を検査ごとに検査ユニットへ載置する必要がある。
【0006】
現状では、光学ガラス母材の品質検査において、以下(1)、(2)、(3)を満足することが強く望まれている。
(1)24時間、全数検査すること
(2)作業者による、抜き取り官能検査ではなく、全数を検査すること
(3)検査時間を迅速化すること、検査結果のばらつきを低減すること
これにより、検査結果の早期フィードバック、不良品流出防止、正確な検査結果による品質の向上、人件費低減が実現できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、光学ガラス母材の内部と表面との少なくとも一方に光を照射し、光学ガラス母材の外側から撮像することにより、光学ガラス母材の内部(表面及び裏面を含む)に存在する欠陥の有無を検出し、自動的に品質を判定(検査)できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のような装置及び方法を提供する。
なお、以下、光学ガラス母材に関して単に「内部」という場合でも、光学ガラス母材の表面、裏面、内部の少なくともいずれか一つを含むことを適宜意味する。
また、光学ガラス母材のうちでも、特に板状の母材の品質を検査することに適している。
具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0008】
(1)光学ガラス母材を載置する検査ユニットを少なくとも有し、
前記検査ユニットは、
前記光学ガラス母材の内部に光を照射する光源部と、
前記光源部からの光により照射された前記光学ガラス母材の内部と表面との少なくとも一方を撮像する撮像部と、
前記撮像部からの画像信号に基づいて前記光学ガラス母材の内部と表面との少なくとも一方の欠陥に関する情報を判定する判定制御部と、を有することを特徴とする光学ガラス母材欠陥検査装置。
【0009】
(2)ガラス母材製造ユニットのレアエンド部から送出された光学ガラス母材の送出状態を認識する第1のセンサを有し、第1のセンサからの第1の出力信号に基づいて、前記光学ガラス母材を所定の方向へ搬送する搬送ユニットを有することを特徴とする(1)に記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【0010】
(3)前記検査ユニットは、前記光学ガラス母材の前記検査ユニット上の位置を検出し、第2の出力信号を出力する第2のセンサを有することを特徴とする(1)または(2)に記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【0011】
(4)前記搬送ユニットは、前記第1のセンサからの前記第1の出力信号に基づいて、前記光学ガラス母材をガラス送り部により、前記検査ユニットへ搬出することを特徴とする(2)または(3)に記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【0012】
(5)前記検査ユニットは、光源駆動部を有し、
前記光源駆動部は、前記第2のセンサの検出結果に基づいて、前記光源部を、前記検査ユニット上の前記光学ガラス母材へ光を照射する照射位置と、前記光学ガラス母材の搬送路から退避する退避位置との、いずれか一方の位置に駆動することを特徴とする(3)または(4)に記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【0013】
(6)前記第2のセンサは、搬送されてきた前記光学ガラス母材が前記検査ユニット上の所定位置に載置されたとき第2の出力信号を送出し、
前記光源駆動部は、前記第2の出力信号に基づいて前記光源部を照射位置へ駆動し、前記光学ガラス母材へ光を照射することを特徴とする(5)に記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【0014】
(7)前記検査ユニットは、撮像用駆動部を有し、
前記撮像用駆動部は、前記撮像部と、載置された前記光学ガラス母材との相対的な距離を変化させ、
前記光源部により照射されている前記光学ガラス母材の表面から裏面までを所定の面積にわたって、走査し撮像することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【0015】
(8)前記検査ユニットの前記光学ガラス母材を撮像する側と反対側の面に遮光部材を設けることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【0016】
(9)前記検査ユニットはさらにマーキング部を有し、
前記判定制御部が、撮像された画像情報から欠陥であると判定した部分の前記光学ガラス母材の表面にマーキングすることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【0017】
(10)前記判定制御部により判定された欠陥に関する情報は、前記光学ガラス母材の製造に関連する装置へフィードバック可能であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【0018】
(11)前記光源部は、電球、蛍光灯、発光ダイオード、レーザ光源などであり、射出する光の波長は、紫外光、可視光、赤外光のいずれかであることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【0019】
(12)さらに、前記検査ユニットに隣接して、欠陥検査が終了した前記光学ガラス母材を搬出する搬出ユニットを有することを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の光学ガラス母材欠陥検査装置。
【0020】
(13)搬送された光学ガラス母材を検査する検査工程を少なくとも有し、
前記検査工程において、
前記光学ガラス母材の内部に光を照射する光照射工程と、
照射された前記光学ガラス母材の表面と内部との少なくとも一方を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程からの画像信号に基づいて前記光学ガラス母材の欠陥に関する情報を判定する判定制御工程と、を有することを特徴とする光学ガラス母材欠陥検査方法。
【0021】
(14)母材である光学ガラス母材の搬送状態に基づいて、前記光学ガラス母材を所定の方向へ搬送する搬送工程をさらに有することを特徴とする(13)に記載の光学ガラス母材の欠陥検査方法。
【0022】
(15)光学ガラス母材を載置する検査ユニットを少なくとも有し、
前記検査ユニットは、
前記光学ガラス母材の内部に光を照射する光源部と、
前記光源部からの光により照射された前記光学ガラス母材の内部と表面との少なくとも一方を撮像する撮像部と、
前記撮像部からの画像信号に基づいて前記光学ガラス母材の内部と表面との少なくとも一方の欠陥に関する情報を判定する判定制御部と、を有することを特徴とする光学ガラス母材の自動品質検査装置。
【0023】
(16)搬送された前記光学ガラス母材を検査する検査工程とを少なくとも有し、
前記検査工程において、
前記光学ガラス母材の内部に光を照射する光照射工程と、
照射された前記光学ガラス母材の表面と内部との少なくとも一方を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程からの画像信号に基づいて前記光学ガラス母材の欠陥に関する情報を判定する判定制御工程と、を有することを特徴とする光学ガラス母材の自動品質検査方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、光学ガラスの母材の表面と内部との少なくともいずれか一方の欠陥を正確、迅速に全数検査できる光学ガラス母材の自動品質検査装置及び光学ガラス母材自動品質欠陥検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】(a)は、第1実施形態に係る光学ガラス母材欠陥検査装置を側面からみた図である。(b)は、第1実施形態に係る光学ガラス母材欠陥検査装置を側面からみた他の図である。
図2】第1実施形態に係る光学ガラス母材欠陥検査装置を側面からみたさらに他の図である。
図3】第2実施形態に係る光学ガラス母材欠陥検査方法を説明するフローチャートである。
図4】(a)は、光学ガラスの母材を検査しているときの、光学ガラスの母材部分を示す図である。(b)母材内部で発生した泡を拡大して示すズームレンズである。
図5】(a)、(b)、(c)は、欠陥に対する異なるピントの画像を示す図、(d)、(e)は種々の欠陥マップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本実施形態の光学ガラス母材欠陥検査装置及び光学ガラス母材欠陥検査方法の説明をする。なお、この実施形態によって本発明は限定されるものではない。これらの詳細な内容に色々なバリエーションや変更を加えても、本発明の範囲を超えない。
【0027】
図1(a)、(b)、図2は、それぞれ第1実施形態の光学ガラス母材欠陥検査装置100の外観構成を示す図である。図1(a)、(b)、図2の順番に、光学ガラス母材G1が紙面右方向へ送られる状態をそれぞれ示している。
【0028】
図1(a)において、光学ガラス母材欠陥検査装置100は、搬送ユニット20と、検査ユニット30と、搬出ユニット40とを少なくとも有している。
【0029】
搬送ユニット20は、ガラス母材製造ユニット10のレアエンド部11から送出された光学ガラス母材G1の送出状態を認識する第1のセンサ22を有する。搬送ユニット20は、第1のセンサ22からの出力信号に基づいて、光学ガラス母材G1を搬送部31により所定の方向(紙面右方向)へ搬送する。また、検査ユニット30は、搬送ユニット20から搬送された光学ガラス母材G1を所定の位置に載置させる。
【0030】
図1(b)を参照して説明を続ける。光学ガラス母材G1は、板状の光学ガラス母材である。搬送ユニット20は、第1のセンサ22からの第1の出力信号に基づいて、光学ガラス母材G1をガラス送り部21、例えばベルトコンベアにより、検査ユニット30へ搬送する。
【0031】
検査ユニット30は、光源駆動部34を有している。光源駆動部34は、第2のセンサの検出結果に基づいて、光源部33a(33b)を、検査ユニット30上の光学ガラス母材G1へ光を照射する照射位置(図1(b)において点線で示す)と、光学ガラス母材G1の搬送路から退避する退避位置(図1(b)において実線で示す)との、いずれか一方の位置に駆動する。
【0032】
第2のセンサ32は、搬送されてきた光学ガラス母材G1が検査ユニット30上の所定位置に載置されたとき第2の出力信号を送出する。光源駆動部34は、第2の出力信号に基づいて光源部33aを照射位置へ駆動する。そして、駆動された光源部33bは、光学ガラス母材G1へ光を照射する。
【0033】
検査ユニット30は、撮像用駆動部36を有している。撮像用駆動部36は、撮像部37と、載置された光学ガラス母材G1との相対的な距離を変化させる。
そして、光源部33bにより照射されている光学ガラス母材G1の表面から裏面までを所定の面積にわたって、走査し撮像する。
【0034】
撮像用駆動部36は、例えば撮像部37であるカメラを、図1(b)の矢印Cで示す方向に上下移動する、つまり光学ガラス母材G1の表裏面から内部方向へ移動させる。光学ガラス母材G1の厚さ分だけ、所定の領域にわたってスキャンを繰り返す。
このとき、撮像部37であるカメラのピント位置に合わせて光源部33a(33b)の高さも調整される。これにより、ピント位置と光源部の高さとが一致し、より欠陥の検出精度が向上する。
【0035】
判定制御部35は、撮像部37からの画像信号に基づいて光学ガラス母材G1の内部の欠陥に関する情報を判定する。
【0036】
図5(a)、(b)、(c)は、撮影された画像の種々のピント状態を示す。一番ピントがあった深さ(例えば、図5(c))のスキャンデータを検出結果とする。この結果、欠陥の大きさの測定精度が向上する。これにより、光学ガラス母材G1の表面、内部の欠陥(泡・異物・失透等)を検出できる。
【0037】
また、カメラは固定焦点レンズに限られず、ズームレンズを用いることもできる。ここで、撮像用のレンズは単焦点又はズームレンズのオートフォーカスも適用可能である。
また、撮像用のカメラは、エリアカメラ、ラインカメラのいずれでも良い。
【0038】
光学ガラス母材G1は、図4(a)の斜視図に示すように、長手方向に直交する垂直な切断面G1bを有している。
光源部33bは、切断面G1bの方向から光学ガラス母材G1を照明する。
これにより、反射光を低減することができる。
なお、切断面からの照射に限られず、長手方向(図4(a)では曲率を有している方向)から照明することもできる。
【0039】
光源部33bは、電球、蛍光灯、発光ダイオード、レーザ光源などである。射出する光の波長は、紫外光、可視光、赤外光のいずれかでもよい。
【0040】
検査ユニット30の光学ガラス母材G1を撮像する側と反対側の面G1cに遮光部材39を設けることが望ましい。
また、光学ガラス母材G1の裏面G1cに限られず、撮像する表面G1aの撮像領域以外に遮光部材を設置することもできる。
これにより、光学ガラス母材G1の表面のうねりなどにより迷光を低減でき、より正確な欠陥検出が可能となる。
【0041】
図1(a)、(b)、及び図2に示すように、検査ユニット30はさらにマーキング部38を有している。
そして、判定制御部35が、撮像された画像情報から欠陥であると判定した部分の光学ガラス母材G1の表面に、例えば円形のマーキング(図4(a)のMK)をする。マーキングには、インクジェット方式を用いることが望ましい。さらに、マーキングする方法としては、インクジェット方式以外にも、レーザーマーカー、刻印、その他公知の転写機能を使用することができる。
【0042】
例えば、大きさ100μm以上の欠陥が検出された場合は、光学ガラス母材G1の表面G1a(図4(a))の該当箇所にマーキングが行われる。
図4(b)は、泡B1を拡大して示す図である。
【0043】
判定制御部35により判定された欠陥に関する情報は、光学ガラス母材G1の製造に関連する装置(不図示)へフィードバック可能であるように構成されている。
例えば、欠陥が大量に検出された場合は、工程異常発生として警報を上げ、関連部門へ即座に通知する事も可能である。
【0044】
さらに、判定制御部35は、検出された欠陥の個数と大きさから予め定めたガラス内部品質規格に沿った合否判定を行う。そして、欠陥の大きさと個数、合否判定等をまとめた検査結果表、及び実際のスキャン画像から欠陥位置のマップ図を、品質検査結果として自動的に作成する。
【0045】
図5(d)、(e)に示すように、検査結果を常時表示すること、グラフ化による時系列データも表示させること、検出された欠陥のマッピングデータを常時表示することなどが可能である。
【0046】
図2へ戻って説明を続けると、検査ユニット30に隣接して、欠陥検査が終了した光学ガラス母材G1を搬出する搬出ユニット40が設けられている。
センサ42は光学ガラス母材G1の位置を検出する。搬出部41は、光学ガラス母材G1を次工程へ送る。
【0047】
このように、図2からわかるように、光学ガラス母材G1の欠陥検査が終了している状態において、ガラス母材製造ユニット10のレアエンド部11からは、他の光学ガラス母材G3が送り出されている。そして、検査ユニット30では、別の光学ガラス母材G2の検査が行われている。
【0048】
以上述べたように、本実施形態によれば、24時間にわたって、全数検査が可能となる。さらに、内部品質の製造工程へ早期フィードバックができる。この結果、品質が向上した光学ガラス母材を製造できる。
ここで、本明細書中において、フィードバックとは、ガラス母材の欠陥についてのモニタリング結果、及び場合によってはそれらを統計化したデータを検証し、ガラス母材の溶解段階における各種パラメータの調整に反映させることを意図している。
また、従来の抜き取り官能検査とは異なり、全数について確実な検査ができる。この結果、欠陥の見逃しによる品質不良流出を防止できる。加えて、人件費を削減でき、品質不良流出による検査者増員の必要がなくなる。
【0049】
次に、第2実施形態に係る光学ガラス母材欠陥検査方法について説明する。図3は、本実施形態の手順を説明するフローチャートである。
【0050】
ステップS101において、レアエンド部11の作業者が光学ガラス母材欠陥検査装置100のコンピュータ端末に光学ガラス母材の情報(厚さ、製番等)を入力する。入力には、例えばタッチパネルを使用できる。
【0051】
ステップS102において、作業者はレアエンド部11において、光学ガラス母材G1を1m単位で切断する。そして、レアエンド部11の搬出口のベルトコンベア(ガラス送り部21)と検査ユニット30の搬送部31にまたがる様に光学ガラス母材G1を載置する。
また、切断の単位は特に限定されるものではない。所定の単位の長さごとに検査することができる。通常は、0.5m〜2mの範囲で切断を行うことが好ましい
【0052】
ステップS103において、光源駆動部34は、光源部33aを退避位置へ駆動する。
【0053】
ステップS104において、光学ガラス母材G1は、搬送されて検査ユニット30上に載置される。
【0054】
ステップS105において、第2のセンサ32により光学ガラス母材G1の位置が検出される。第2のセンサ32からの第2の出力信号に基づいて光源部33bを照射位置へ駆動する。
【0055】
ステップS106において、レアエンド部11のベルトコンベアから押し出された光学ガラス母材G1が検査ユニット30の第2のセンサ32の検出エリアに到達すると、第1実施形態において説明したように、検査ユニット30において光学ガラス母材G1の表面、内部の少なくとも一方欠陥の検出が行われる。
ここでは、1mの長さのガラス母材の厚さに合わせた回数のスキャン(例えば1mmピッチ)が行われる。
【0056】
ステップS107において判定制御部35は、検査データに基づいて、欠陥の有無を判定する。
【0057】
ステップS108において、必要に応じてマーキングが行われる。
【0058】
ステップS109において、作業者はモニタ上で検査結果を確認する。そして、搬出ユニット40へ送られたガラスを、パレット上へ移動する。
【0059】
ステップS110において、判定制御部35は、欠陥に関する情報を所定の判断基準に応じてフィードバックする。
【0060】
このように、検査工程にて、検査者が検査しなければならない部分を、オンラインにて自動検査結果から確認する。また、検査工程にて、難易度の高い検査内容の部分のみ、検査員が目視で判定をしてもよい。
【0061】
本実施形態によれば、24時間にわたって、全数検査が可能となる。さらに、内部品質の製造工程へ早期フィードバックができる。この結果、品質が向上した光学ガラス母材を製造できる。
また、従来の抜き取り官能検査とは異なり、全数について確実な検査ができる。この結果、欠陥の見逃しによる品質不良流出を防止できる。加えて、人件費を削減でき、品質不良流出による検査者増員の必要がなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明にかかる光学ガラス母材欠陥検査装置及び光学ガラス母材欠陥検査方法は、官能検査を不要として、全数を正確かつ迅速に検査する場合に有用である。
【符号の説明】
【0063】
100 光学ガラス母材欠陥検査装置
11 レアエンド部
20 搬送ユニット
22 第1のセンサ
30 検査ユニット
31 搬送部
32 第2のセンサ
33a、33b 光源部
34 光源駆動部
35 判定制御部
36 撮像用駆動部
37 撮像部
40 搬出ユニット
G1、G2、G3 板状の光学ガラス母材
図1
図2
図3
図4
図5