特許第6033075号(P6033075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6033075製品検索装置及び製品検索方法のプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033075
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】製品検索装置及び製品検索方法のプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/30 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   G06F17/30 419A
   G06F17/30 220C
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-282761(P2012-282761)
(22)【出願日】2012年12月26日
(65)【公開番号】特開2014-126993(P2014-126993A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】591057256
【氏名又は名称】株式会社エクサ
(74)【代理人】
【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125494
【弁理士】
【氏名又は名称】山東 元希
(72)【発明者】
【氏名】久保 晋
(72)【発明者】
【氏名】藤田 宏
【審査官】 田中 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−026426(JP,A)
【文献】 特開2009−266033(JP,A)
【文献】 特開2009−075734(JP,A)
【文献】 特開2001−022764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同種の製品の仕様の違いについて、該違いの基となる属性を属性種とし、前記製品が取り得る前記属性種の値を属性値として記憶し、さらに、複数の前記属性種の関係において取り得る前記属性値の組み合わせを条件として記憶する記憶装置と、
前記属性種をノードとし、前記属性値をブランチとして、ある属性種のノードと該ある属性種のブランチとを作成処理し、作成処理したノードのブランチに対して前記条件を満たすブランチ及びノードを作成していって木を生成し、末端のブランチまで作成した属性値の組み合わせに係る製品を、手配可能な製品として抽出する検索処理を行う検索処理手段を有する管理装置と
を備え
前記記憶装置は、前記属性値に対して、前記属性値を所定の基準で評価した値である評価属性を、前記製品に関する品目、加工条件及び作業方法に対して記憶し、
前記検索処理手段は、手配可能な製品における各属性値に係る前記評価属性の和を前記製品の評価属性値として算出することを特徴とする製品検索装置。
【請求項2】
前記管理装置は、前記検索処理によって得られた手配可能な製品を、選択された属性種に対する前記属性値毎にグループ分けし、前記評価属性値に基づいて、前記グループ毎の評価が最も高い製品を抽出する査定処理手段を有することを特徴とする請求項1に記載の製品検索装置。
【請求項3】
前記検索処理手段は、あらかじめ検索に係る属性値が指示されているときには、前記属性値に係る前記属性種の前記ノードと前記ブランチとを含む木を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の製品検索装置。
【請求項4】
前記記憶装置は、前記製品を生産するために行う作業について、該作業に係る各作業方法によって前記属性値が決まるものとして、前記作業方法に係るデータと前記属性値とを関連して記憶することを特徴とする請求項1又は2に記載の製品検索装置。
【請求項5】
前記管理装置からの信号に基づいて、検索結果の一覧を表示する表示装置をさらに備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の製品検索装置。
【請求項6】
記憶装置に記憶された、同種の製品の仕様の違いについて、該違いの基となる属性を属性種としたときの前記製品が取り得る前記属性種の値である属性値のデータに基づいて、前記属性種をノードとし、前記属性値をブランチとして、ある属性種のノードと該ある属性種のブランチとを作成処理する工程と、
前記記憶装置に記憶された、複数の前記属性種の関係において取り得る前記属性値の組み合わせを示す条件のデータに基づいて、作成処理したノードのブランチに対して、前記条件を満たす前記属性種と前記属性値とからブランチ及びノードを作成していって木を生成する工程と、
末端のブランチまで作成した属性値の組み合わせに係る製品を、手配可能な製品として抽出する工程と
前記記憶装置が前記製品に関する品目、加工条件及び作業方法と関連して記憶した、前記属性値を所定の基準で評価した値である評価属性に基づいて、前記手配可能な製品における各属性値に係る前記評価属性の和を、前記製品の評価属性値として算出する工程と
をコンピュータに行わせることを特徴とする製品検索方法のプログラム。
【請求項7】
前記手配可能な製品を、選択された属性種に対し、前記属性値毎にグループ分けする工程と、
前記評価属性値に基づいて、前記グループ毎の評価が最も高い製品を抽出する工程と
をさらにコンピュータに行わせることを特徴とする請求項6に記載の製品検索方法のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品(その構成部品等の物品も含む)の手配可能な組み合わせを検索等する製品検索装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば製品又は部品の構成等を管理し、生産性向上等を図っている。このような製造情報技術管理を、例えば最終的な製品となるまでの中間品及び部品を含め、製品構成を部品表としてデータベース化したシステムがある。このシステムにおいて、データベース内のデータは、製品等の物品を親とし、その構成情報である製品等を子とする親子関係で表現される。
【0003】
従来、独立した部品表と製造手順表のデータを関連づけて一体化し、データの冗長性を排し、管理するデータ量を抑えることができるシステムも提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−259664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のシステムは、基本的には管理を行うためのシステムであるが、さらに手配可能(製造が可能もの、構成可能なものも含む)な製品の検索にも利用できるようにしたいという要求がある。しかしながら、例えば、部品との親子関係でのデータベースだけでは、製造作業等の違いによってできる仕様の違いを反映することは難しい。また、反映できたとしても、単純に親子関係では、違いが多くなると、仕様の組み合わせは膨大なものとなり、各組み合わせの可否を判断していくようにすると、現実的な検索時間に収まらない可能性がある。
【0006】
そこで、例えば、製品管理を工夫した上で、検索時間を高速にすることができるような製品検索装置等を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る製品検索装置は、同種の製品の仕様の違いについて、違いの基となる属性を属性種とし、製品が取り得る属性種の値を属性値として記憶し、さらに、複数の属性種の関係において取り得る属性値の組み合わせを条件として記憶する記憶装置と、属性種をノードとし、属性値をブランチとして、ある属性種のノードとある属性種のブランチとを作成処理し、作成処理したノードのブランチに対して条件を満たすブランチ及びノードを作成していって木を生成し、末端のブランチまで作成した属性値の組み合わせに係る製品を、手配可能な製品として抽出する検索処理を行う検索処理手段を有する管理装置とを備え、記憶装置は、属性値に対して、属性値を所定の基準で評価した値である評価属性を、製品に関する品目、加工条件及び作業方法に対して記憶し、検索処理手段は、手配可能な製品における各属性値に係る評価属性の和を製品の評価属性値として算出するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、管理装置の検索処理手段が、製品の仕様の違いを表す属性種をノードとし、属性種が取り得る値を示す属性値をブランチとし、条件に基づき、取り得ない組み合わせのブランチは作成せず、取りうるブランチを作成しながら木を生成して、末端のブランチまで作成できた組み合わせに係る製品を手配可能な製品として抽出するようにしたので、すべての仕様(属性値)の組み合わせを検討しなくてすみ、検索を高速にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1に係る製品検索装置を有する生産支援システムの構成を表す図である。
図2】データ管理装置1により管理され、データベース2に記憶されるデータ構成を表す図である。
図3】本発明の実施の形態1に係るルール定義記憶部2Cに記憶されるデータの内容を説明する図である。
図4】属性種と各属性値の候補値との関係を示す図である。
図5】検索結果を一覧で示す図である。
図6】実施の形態1に係る組み合わせ検索処理手段1Cが行う検索に係る木の生成について説明する図である。
図7】本発明の実施の形態2に係る組み合わせ検索処理手段1Cが行う検索に係る木の生成について説明する図である。
図8】本発明の実施の形態2に係る製品検索装置を有する生産支援システムの構成を表す図である。
図9】実施の形態3における査定処理について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る製品検索装置を有する生産支援システムの構成を表す図である。図1における生産支援システムは、製品検索装置として機能するデータ管理装置1、技術情報用データベース2、表示装置3及び入力装置4で構成される。
【0011】
データ管理装置1は、例えば管理手段1A、演算手段1B及び組み合わせ検索処理手段1Cで構成され、技術情報用データベース2(以下、データベース2という)に記憶されているデータの管理等を行う。特に本実施の形態では、異なる仕様を有する同種の物品の中から、手配(製造、構成)可能な物品の組み合わせを検索する。
【0012】
管理手段1Aはデータベース2にデータとして記憶されている技術情報の管理を行う手段である。また、演算手段1Bは、技術情報のデータに基づく演算を行って新たなデータの生成を行う。また、製品検索装置の一部となる組み合わせ検索処理手段1Cは、例えばオペレータから与えられた条件を満たす手配可能な種類を製品の中から検索し、検索結果を表示装置3に表示させる処理を行う。
【0013】
データ管理装置1に関して、これを機器(ハードウェア)だけで構成することもできるが、一般的には、例えば、CPU(Central Processing Unit )を中心とする演算制御手段(コンピュータ)でハードウェアを構成し、データ管理装置1の各部が行う処理手順をあらかじめプログラム化してソフトウェア、ファームウェア等とする。そして、演算制御手段がプログラムを実行することにより、各手段の処理を行う。
【0014】
データベース2は、ハードウェアとしては例えばハードディスク、半導体メモリ等の記憶手段で構成され、製品、部品等の生産に関する技術情報、在庫等の各種データをデータ管理装置1による管理の下で記憶する。ここで、データベース2は、データの内容に基づいて、さらに品目記憶部2A、作業方法記憶部2Bで構成されるものとする。品目記憶部2A及び作業方法記憶部2Bは、それぞれ、技術情報となる品目データ、作業方法データを記憶する(品目データ、作業方法データについては後述する)。ここでは、便宜的に品目データと作業方法データとに分けているが、これらのデータは従来の部品表のデータと製造手順表のデータとの関係以上に密接に関係付けられている。
【0015】
また、製品検索装置の一部となるルール定義記憶部2Cは、例えば製品が有する複数の属性のうちの2つの属性において、取り得る(手配が可能な)属性値の関係(条件)を条件名とともに定義したものを記憶する。本システムにおいては、製品の品種に係る定義は属性値により行うことができる。したがって、属性値の組み合わせがあればその品種は存在し、なければ存在しないことになる。そして、本実施の形態のシステムにおいて、組み合わせがあるか否かは、製品を生産する作業方法、その作業方法による作業を行う際、用いられる部品、材料(投入品目)等によって決まる。したがって、ルール定義記憶部2Cは、作業方法記憶部2Bの一部として記憶される。ここで、図1においては、ルール定義記憶部2Cは独立した記載としているが、ルール定義記憶部2Cに記憶される条件(ルール)は、作業方法が定義されることにより定義され、その関係は各作業方法の作業方法データの一部として記憶される。
【0016】
表示装置3は、例えばディスプレイであり、データ管理装置1から送信される表示信号に基づいて、例えばオペレータに対して表示を行う。また、入力装置4は、例えばキーボード等であり、オペレータから入力された指示、データ等を入力信号に含み、データ管理装置1に送信する。本実施の形態では、検索に係る属性値を指示する。
【0017】
図2はデータ管理装置1により管理され、データベース2に記憶されるデータ構成を表す図である。まず、品目記憶部2Aに記憶される品目データについて主として説明する。図2に示す例では油圧シリンダを製品とする場合について説明する。製品(図2では油圧シリンダ)は、その製品を構成する部品(図2ではシリンダ、ロッド等)、その部品を生産等するための材料(図2ではロッド材)等の物品(以下、製品、部品を含めて物品とすることがある)で構成される。
【0018】
同種の物品においては、それぞれ共通の属性(仕様。用途、使用条件等によっても規定される)がある。その一方で、同じ物品であっても、例えば、色、材料、大きさ、強度等、その用途、使用条件等の違いによって様々なバリエーション(異なる仕様)が存在し、それに合わせて物品を生産しなければならない場合もある。そこで、同種類の物品において、ある製品の品種(仕様)と別の製品の品種とを区別する属性を、本実施の形態では属性種として設定し、その値を属性値として定義する。本実施の形態のシステムにおいては、特にその物品を生産等するために行う作業により属性に違いが生じる属性種を設定し、属性値を定義する。
【0019】
また、各属性値が関連付いた品目、加工手段、作業方法には、評価属性が関連づけられている。評価属性とは、検索した結果の物品が複数検索された場合に、その中から最適な物品を見つけるための評価基準となる属性である。例えば、その物品を製造するのに費やしたコスト(作業コスト、材料コスト等)、その物品の重量(重さ)等である。また、評価属性における値が大きいものが評価が高いことを表すものではない。例えば評価属性「コスト」においては、値が小さい方が、評価が高い。
【0020】
このようにして、入力装置4を介してオペレータから入力された各物品の属性値をデータ管理装置1の管理手段1Aが管理処理する。各物品の属性値は品目データとして品目記憶部2Aに記憶される。また、管理手段1Aは同種の物品の品目データを品目群として管理する。これにより、物品が有する全ての属性のデータを物品毎に管理しなくてもよく、作業方法の違いに基づく属性値をデータとして品目記憶部2Aに記憶しておけばよいのでデータの冗長性を排除することができる。そのため、記憶するデータ量の抑制を図ることができる。
【0021】
ここで、例えば色を属性種として設定しているものの、クライアントの指示待ちにより、まだ色が確定していない等、属性値が未定の場合がある。この場合、例えば「未定」という文字の入力を許容する等、未定であることを他の属性値と区別できるような属性値の定義(設定)を行い、この属性値として扱うものとする。ここで、「未定」であることを示す属性値は、本来、数値を定義しなければならない属性種に対しても適用することができる。また、例えば、荷重を属性種としており、その範囲だけが決まっている場合は「50_500」等、範囲による定義も行えるものとする。後に属性値が確定した際に変更を行うことができる。
【0022】
図2の例において、物品が油圧シリンダである場合に、ある油圧シリンダと別の油圧シリンダとを区別するための属性種は、呼び圧力、荷重、金具オプションの有無(構成部品の違い)及び錆止めオプションであるものとする。圧力、荷重、金具オプション及び錆止めオプションのうち、属性値が1つでも異なる油圧シリンダは、油圧シリンダ群内において別の物品(製品)となる。各品目群において、どの仕様を属性種とするかについては、任意に定義することができる。
【0023】
品目群:油圧シリンダには、その部品となる、品目群:シリンダ、品目群:ロッドがさらに関連づけられている。これらについても属性種が設定されており、品目群内の各品目(物品)に関して属性値が定義されている。図2の品目群:油圧シリンダに対し、品目:シリンダ、品目:ロッドのような関係は、従来の部品表のように物品(上位)と、その構成部品等(下位)という関係である。
【0024】
ただ、本実施の形態のシステムでは、後述するように、作業を介して品目間の関係を見ており、このような観点から、ある作業の投入品目(物品)と産出品目(物品)という関係とみることができる(産出品目が他の作業との関係においては投入品目となることもある)。ここで、以後、2以上の品目群(物品)間の関係において、相対的に製品に近い物品(下流工程の物品)を上位品目といい、そうでない品目(上流工程の物品)を下位品目ということにする。
【0025】
ここで、ある物品の属性種と別の物品の属性種、例えば上位品目の属性種と下位品目の属性種との間に一定の関係があることがある(同じ属性値を共有する場合も含む)。場合によっては、さらに上流工程の作業に対する上位品目の属性種、下位品目の属性種との間において関係がある場合もある。例えば、製品の色を統一する場合、部品等の色は、製品に確定した色の制限を受ける。また、油圧シリンダにおいて、図2に示すように、ロッドの属性種である内径が、(1)式のように油圧シリンダの属性種である荷重と呼び圧力とで表すことができる。この場合、(1)式の関係さえ記憶しておけば、内径の属性値を記憶しなくとも、上位品目の属性である荷重と呼び圧力とに基づいて算出することができ、データベース2に記憶するデータ量を抑えることができる。また、関係をあらかじめ明確にしておくことで、品目間の属性種の関係を容易に把握することができ、変更も容易である。
内径(mm)=4×荷重/3.14×呼び圧力 …(1)
【0026】
次に作業方法記憶部2Bに記憶される作業方法データについて説明する。本実施の形態のシステムにおいては、作業方法による作業を行って実現される属性値が定義されている。これにより、従来、独立して管理していた、製品の部品構成と製品を生産等するに到る作業(工程)とを関連づけ、一体化して扱うことができる。
【0027】
各作業方法の設定については、まず、その作業方法によって実現可能な(作業方法を選択することができる)属性値の条件(適合条件)をパラメータとしてすべて定義する。例えば、同じ属性種の場合はOR条件となり、異なる属性種との間はAND条件となる。条件を定義する際に、適用できる物品の属性値を定義するだけでいいので、パラメータ作成、変更等が容易に行える。また、例えば、投入品目の個数(必要数又は在庫数)、加工手段、作業者、サイクル時間等のパラメータが定義され、作業方法データとして作業方法記憶部2Bに記憶される。管理手段1Aは、同種の作業方法データの集まりを作業として管理する。品目群との関係においては作業を作業の順序に並べ替えた順序付き集合となる。
【0028】
ここで、生産する製品仕様の一部が未定の状態でも生産計画を立てて、仕様が決まっている部品については製造を進められるようにするために、製品の仕様が未定の属性値には適当な値を指定し、生産計画を進めることができる。このような属性値は後に指定し直され、これに伴い再計画されるが、指定した属性値によっては、その属性値変更による計画変更の結果に大きなずれが生じる。また、サイクル時間等のずれが大きいと、納期割れ等の事態が生じることも想定される。そこで、変更による差を小さくするために、例えば、以下のような方法で未定という属性値に対応したパラメータを作業方法に予め定義しておき、データ管理装置1の演算手段1Bは、未定の属性値が指定された場合の計画の実現性を向上させるようにする。
(1)その作業において、最も多く選択し直される先の作業方法のパラメータ値と同じ値に設定する。
(2)最も安全と考えられる値(安全値)を演算手段1Bの演算により設定する(特に時間に関する設定)。
【0029】
以上のような物品、作業方法に係る定義を行いながら、上位から下位方向に段階的に物品の製造方法を導出し、そこに投入される品目に対して、再帰的に導出を繰り返すことにより所要量展開等を行う。そして、その過程で定義される各属性種との間で取り得る属性値の関係等に基づいて、仕様が異なる同種の製品の中から、手配可能な製品を検索することができる。
【0030】
図3は本発明の実施の形態1に係るルール定義記憶部2Cに記憶されるデータの内容を説明する図である。前述したように、ルール定義記憶部2Cは、複数の任意の属性において、取り得る属性値の関係を条件(ルール)として定義したものである。図3は、図2に示す品目群:油圧シリンダの属性種について、呼び圧力と荷重との間で取り得る属性値の関係、先端金具に対する荷重と先端金具オプションとの間で取り得る属性値の関係、錆止め塗装作業に対する先端金具オプションと錆止めオプションとの間で取り得る属性値の関係について行った定義を示している。
【0031】
図3において、例えば、呼び圧力と荷重との関係を「圧力−荷重」としてルール定義部に定義している。呼び圧力の属性値と荷重の属性値との間で取り得る条件は3種類ある。条件名:圧力−荷重−P1は、呼び圧力の属性値が「3」で、かつ荷重の属性値が「5_50」(5以上50以下)を条件としている。また、条件名:圧力−荷重−P2は、呼び圧力の属性値が「10」、荷重の属性値が「50_500」を条件としている。そして、条件名:圧力−荷重−P3は、呼び圧力の属性値が「21」、荷重の属性値が「50_500」(50以上500以下)を条件としている。
【0032】
図4は属性種と各属性値の候補値との関係を示す図である。候補値とは検索候補として挙げられた属性値である。図4(a)に示しているように、呼び圧力は3つ、荷重は3つ、先端金具オプションは2つ、錆止めオプションは3つの候補値を有している。したがって、すべての組み合わせは3×3×2×3=54通りある。例えばこの組み合わせを木(TREE)の構造で表すと図4(b)のようになる。
【0033】
図5は検索結果を一覧で示す図である。通常のデータベースシステムでは、すべての組み合わせを実行し、手配可能であるかどうかを判断しながら、一覧を作成していく。特に製造管理システム等において、製品−部品関係を示すデータベースでは、属性値に係るデータが記憶されているとは限らず、その際には属性の抽出作業から行う必要がある。このような従来の方法で手配可能な製品を検索することは、組み合わせるための属性が少なければ影響がないが、通常は製品の違いには多くの属性の種類が関係し、各属性値も多いため、組み合わせが膨大になる。
【0034】
本実施の形態のシステムでは、製品を製造するのに行われる作業、投入品目等が予め定義され、その中で定義された属性種間で取り得る属性値の関係を示すデータがルール定義記憶部2Cに記憶されている。このため、本実施の形態では、組み合わせ検索処理手段1Cが、絞り込みを行って、ルール定義記憶部2Cに記憶されたデータに基づいて2つ以上の属性種の属性値の関係において定義されていないものを除外しながら、ノード、ブランチの作成を行っていく。そして、最終的に葉(リーフ)を作成できるに至った組み合わせが製品として手配可能であるものとして処理して、一覧を作成して表示装置3に表示を行う。
【0035】
図6は実施の形態1に係る組み合わせ検索処理手段1Cが行う検索に係る木の生成について説明する図である。ここでは、本実施の形態の組み合わせ検索処理手段1Cがルール定義記憶部2Cに記憶されたデータに基づいて行う処理について説明する。本実施の形態では、木の生成手順について説明する。ここでは例えば手配可能なすべての製品を検索する場合について説明する。
【0036】
(1)例えば一部の属性種の属性値が選択されている状態で、検索処理手段1Cは、記憶装置2を検索して、選択された属性値を有する製品を生産(製造)するための作業方法を判断する。そして、判断した作業方法において定義されている属性種における各属性値を組み合わせ候補として絞込みを行う絞込み処理を行う。絞り込み処理により、品目群に設定されている未処理の最初の属性種と絞り込まれた候補値を取得する。図6(a)では、油圧シリンダの呼び圧力における候補値「3」が選択され、絞り込み処理により、呼び圧力が「3」では取り得ない荷重における候補値「500」が除外される。したがって、呼び圧力の候補値「3」においては、荷重の候補値「500」以降のノード及びブランチ作成は行われず、検索はそれ以上行わないことになる。このため、検索時間短縮をはかることができる。
【0037】
(2)(1)の処理において取得した属性種のノードを作成処理する。ここで、最初に作成したノードはルートノードとし、それ以外は単にノードとする。図6(b)においては、呼び圧力のルートノードが作成される。
【0038】
(3)(1)の処理において取得した候補値のブランチを作成して(2)の処理において作成したノードの下に追加作成処理する。図6(b)ではルートノード「呼び圧力」にブランチ「3」が作成され、以降「10」、「21」も同様に作成される。
【0039】
(4)(3)の処理において作成したブランチ毎に、該当する属性種と候補値とを追加選択した状態にして、(1)から(3)と同様の処理を未処理の属性種がなくなるまで再帰的に行う。ブランチに関しては、ひとつのブランチにおける処理が終了したら、そのブランチの選択状態を解除し、別のブランチが存在すれば、そのブランチに対しての処理を行う。
【0040】
(5)(4)の処理を行っていき、ブランチの下に新たなノードを作成することができなくなったものと判断すると、ルートノードから末端のブランチまでの候補値(属性値)の組み合わせを指定して、部品展開を行って、手配可能な製品の評価属性値を算出する。手配可能な製品の評価属性値は、ルートノードから末端のブランチに至るまでの各ブランチ(属性値)の評価属性の値を加算したものである。ここで、評価属性と同様に、評価属性値が大きいものが評価が高いことを意味するものではない。
【0041】
(6)前述した末端のブランチにリーフを作成し、(5)の処理を行って算出した製品の評価属性値を格納する。そして、(5)、(6)の処理をすべての末端のブランチに対して行う。
【0042】
以上のようにして得られた手配可能な製品の組み合わせを、図5のように、属性値及び評価属性値と共に表示装置3に一覧表示する。また、特に限定するものではないが、検索結果をデータベース2に記憶するようにしてもよい。
【0043】
以上のように、実施の形態1のシステムによれば、データ管理装置1の検索処理手段1Cが、製品の仕様の違いを表す属性種をノードとし、属性種が取り得る値を示す属性値をブランチとし、データベース2のルール定義記憶部2Cに記憶された条件に基づき、取りうるブランチを作成しながら木を生成して、末端のブランチまで作成できた組み合わせに係る製品を手配可能な製品として抽出するようにしたので、ノード及びブランチの作成過程で、取り得ない組み合わせのブランチは作成しないようにすることで、仕様(属性値)の組み合わせを作成し、手配可能かどうかの可否判断を、すべての仕様(属性値)の組み合わせに対して行う必要がないので、検索を高速にすることができる。特に、仕様(属性種)の違いが多岐にわたるが、手配可能な製品数が少ないような場合には、木の作成処理中にブランチ作成を除外できる属性値が多くなるので、有効である。
【0044】
また、本実施の形態のシステムによれば、品目、加工手段、作業方法に対して評価属性を関連づけてデータベース2に記憶しておき、検索結果となる手配可能な製品の組み合わせに係る各属性値の和を評価属性値として算出するようにしたので、製品の評価を行うことができる。
【0045】
実施の形態2.
図7は本発明の実施の形態2に係る組み合わせ検索処理手段1Cが行う検索に係る木の生成について説明する図である。本実施の形態は、例えば、未処理の属性種の候補値において、初期状態において既に選択済みの候補値がある場合について具体的に説明する。ここでは、1つのリーフを作成するまでの処理について説明する。
【0046】
(1)属性種が荷重における候補値「500」が選択されている状態で、ルール定義記憶部2Cに記憶されたデータに基づいて絞込み処理を行う。図7(a)では、品目群:油圧シリンダに設定されている未処理の最初の属性種は「呼び圧力」となる。そして、属性種「荷重」における候補値「500」では取り得ない属性種「呼び圧力」の候補値「3」が除外され、候補値「10」と「21」を取得する。
【0047】
(2)(1)の処理において取得した属性種「呼び圧力」のルートノードを作成処理する。
(3)(1)の処理において取得した候補値「10」と「21」のブランチを作成して(2)の処理において作成したノードの下に追加する。
(4)(3)の処理において作成したブランチのひとつ「10」に対して、属性種「呼び圧力」の候補値「10」を追加選択した状態にして、次の未処理の属性種に対して処理を行う。
【0048】
(5)次の未処理の属性種として「荷重」を取得する。取得した属性種「荷重」は、初期状態で候補値「500」がすでに選択されている。このような場合は、選択されている候補値「500」を絞り込まれた候補値として取得する。このとき、図7(b)に示すように、属性種「荷重」において候補値「5」、「50」は除外される。また、候補値「500」では取り得ない属性種「先端金具オプション」の候補値「なし」も除外される。
【0049】
(6)(5)で取得した属性種「荷重」のノードを作成処理する。
(7)(5)の処理において取得した候補値「500」のブランチを作成して(6)の処理において作成した「荷重」のノードの下に追加処理する。
(8)(7)の処理において作成したブランチ「500」に対して、属性種「荷重」の候補値「500」を追加選択した状態にして、次の未処理の属性種に対して処理を行う。
【0050】
(9)次の未処理の属性種として「先端金具オプション」を取得する。取得した属性種「先端金具オプション」は未選択状態であるため、絞り込みにより得られた候補値「あり」を取得する
(10)(9)の処理において取得した属性種「先端金具オプション」のノードを作成する。
(11)(9)の処理において取得した候補値「あり」のブランチを作成して、(10)の処理において作成した「先端金具オプション」のノードの下に追加する。
【0051】
(12)次の未処理の属性種として「錆止めオプション」を取得する。取得した属性種「錆止めオプション」は未選択状態であるため、絞り込みにより得られた候補値「1度塗り」、「2度塗り」、「なし」を取得する
(13)(12)の処理において取得した属性種「錆止めオプション」のノードを作成する。
(14)(12)の処理において取得した候補値「1度塗り」、「2度塗り」、「なし」のブランチを作成して、(13)の処理において作成した「錆止めオプション」のノードの下に追加する。
【0052】
(15)例えば(14)の処理において作成したブランチ「なし」に対して、次の未処理の属性種に対して処理を行おうとするが、次の未処理の属性種はない。このため、ルートノードから末端のブランチまでの属性種と候補値の組み合わせ(「10」、「500」、「あり」、「なし」)を指定して、データベース2に記憶されたデータに基づいて部品展開を行い、各属性値に対する評価属性を加算した評価属性値(例えばコスト=2300,重量=500等)の値を取得する。
(16)「錆止めオプション」のノードの下に作成した末端のブランチの下にリーフを作成して追加し、(15)の処理で取得した評価属性値を格納する。
【0053】
実施の形態3.
図8は本発明の実施の形態2に係る製品検索装置を有する生産支援システムの構成を表す図である。図8において、図1と同じ符号を付している機器、手段等については、実施の形態1で説明したことと同様の処理等を行う。
【0054】
図8において、データ管理装置1が有する査定処理手段1Dは、手配可能な製品の中から、選択された属性種に基づいて査定処理を行う。査定処理とは、検索結果において、選択された属性種の同じ属性値を有するものの中で、選択した評価属性の評価属性値が最も高い製品を抽出する処理である。
【0055】
図9は実施の形態3における査定処理について説明する図である。図9に基づいて本実施の形態における査定処理手段1Dが行う査定処理について説明する。組み合わせ検索処理手段1Cの処理により、検索結果が表示装置3に表示される。例えばオペレータは、さらに入力装置4を介して査定処理を指示する。このとき、グループ化しようとする属性種(仕様)及び評価属性を選択指示する。ここでは、属性種「呼び圧力」と「荷重」及び評価属性「コスト」が選択指示されたものとする。
【0056】
査定処理手段1Dは、属性種「呼び圧力」と「荷重」において、属性値が同じものをグループ化する(図9(1))。例えば、図9では、属性値「呼び圧力」の属性値「3」と属性値「荷重」の属性値「5」とのグループ及び属性値「呼び圧力」の属性値「3」と属性値「荷重」の属性値「50」とのグループを示している。
【0057】
次に、グループの中で、選択された評価属性の評価属性値による評価が最も高いものを抽出する(図9(2))。例えば、属性値「呼び圧力」の属性値「3」と属性値「荷重」の属性値「5」とのグループでは、評価属性「コスト」における評価属性値が最も小さい「2000」である、属性値「呼び圧力」の属性値「3」、属性値「荷重」の属性値「5」、属性値「先端金具オプション」の属性値「なし」、属性値「錆止めオプション」の属性値「なし」の組み合わせを抽出する。また、属性値「呼び圧力」の属性値「3」と属性値「荷重」の属性値「50」とのグループでは、評価属性「コスト」における評価属性値が最も小さい「2100」である、属性値「呼び圧力」の属性値「3」、属性値「荷重」の属性値「50」、属性値「先端金具オプション」の属性値「なし」、属性値「錆止めオプション」の属性値「なし」の組み合わせを抽出する。
【0058】
そして、抽出した結果に基づいてリスト(一覧)を作成し、表示装置3に表示させる(図9(3))。
【0059】
以上のように実施の形態3のシステムによれば、査定処理手段1Dが、選択された属性種(仕様)に基づいて、組み合わせ検索処理手段1Cをグループ分けし、選択された評価属性の評価属性値に基づいて、グループ毎に評価が高い製品を抽出して表示装置3に表示するようにしたので、手配可能な製品の中から、さらに評価属性に基づく最適な仕様の製品を検索することができる。
【0060】
実施の形態4.
上述の実施の形態では、例えば製品(上位品目)の属性値が部品(下位品目)の属性値を有している場合には、部品が有する属性種における属性値を候補値として指示できるようにしても、手配可能な製品を検索することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
上述の実施の形態では、製品の検索に係るシステムとして説明したが、本発明のシステムの管理は、工業製品の管理だけでなく、他の分野の物品等、例えば建築物の設計、建築、資材調達におけるコンフィグレーションにも適用することができるため、製品以外の検索も行うことができる。
【符号の説明】
【0062】
1 データ管理装置
1A 管理手段
1B 演算手段
1C 組み合わせ検索処理手段
1D 査定処理手段
2 データベース
2A 品目記憶部
2B 作業方法記憶部
2C ルール定義記憶部
3 表示装置
4 入力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9