(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水溶性金属塩が塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム及び塩化リチウムから選ばれる1種以上である、請求項1又は2記載の茶抽出物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の茶抽出物の製造方法は、70〜98質量%の有機溶媒を含む有機溶媒水溶液中で、固形分中の非重合体カテキン類の含有量が5〜40質量%である粗茶抽出物と水溶性金属塩とを混合するものである。
【0011】
本発明で使用する「粗茶抽出物」としては、例えば、茶抽出液又はその濃縮物が挙げられ、その形態としては、固体、液体、溶液、スラリー等の種々のものがある。
ここで、「茶抽出液」とは、茶から熱水又は親水性有機溶媒を用いてニーダー抽出やカラム抽出等により抽出したものであって、濃縮や精製操作が行われていないものをいう。なお、親水性有機溶媒として、例えば、エタノール等のアルコールを使用することができる。
また、「茶抽出液の濃縮物」とは、茶から水又は親水性有機溶媒により抽出した茶抽出液から溶媒の少なくとも一部を除去して非重合体カテキン類濃度を高めたものをいい、例えば、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報等に記載の方法により調製することができる。
【0012】
抽出に使用する茶としては、例えば、Camellia属、例えば、C.var.sinensis(やぶきた種を含む)、C.var.assamica及びそれらの雑種から選択される茶樹が挙げられる。茶樹は、その加工方法により、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶に大別することができる。
不発酵茶としては、例えば、煎茶、番茶、碾茶、釜入り茶、茎茶、棒茶、芽茶の緑茶が挙げられる。また、半発酵茶としては、例えば、鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の烏龍茶が挙げられる。更に、発酵茶としては、ダージリン、アッサム、スリランカ等の紅茶が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、非重合体カテキン類の含有量の点から、緑茶が好ましい。
ここで、「非重合体カテキン類」とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類、並びにエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類を併せての総称である。非重合体カテキン類濃度は、上記8種の合計量に基づいて定義される。
【0013】
本発明においては、茶抽出液又はその濃縮物の固形物として、例えば、三井農林(株)の「ポリフェノン」、伊藤園(株)の「テアフラン」、太陽化学(株)の「サンフェノン」等の市販品を使用することもできる。
【0014】
本発明で用いる粗茶抽出物は、固形分中の非重合体カテキン類の含有量が5〜40質量%であるが、非重合体カテキン類の溶出率向上の観点から、8質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましく、そして、38質量%以下が好ましく、36質量%以下がより好ましく、35質量%以下が更に好ましい。粗茶抽出物の固形分中の非重合体カテキン類の範囲としては、好ましくは8〜38質量%、より好ましくは10〜36質量%、更に好ましくは15〜35質量%である。ここで、本明細書において「非重合体カテキン類」の含有量の測定は、後掲の実施例に記載の方法にしたがうものとする。また、「固形分」とは、試料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分をいう。
【0015】
また、本発明で使用する水溶性金属塩とは、水への溶解度が10g/100mL以上の金属塩を意味する。水溶性金属塩としては、水溶性の無機金属塩が好ましく、具体的には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を挙げることができる。アルカリ金属塩としては、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム等が挙げられ、またアルカリ土類金属塩としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等を挙げることができる。中でも、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウムが好ましい。
なお、水溶性金属塩は、1種でも良く、2種類以上混合して使用しても良い。2種の水溶性金属塩を用いる場合の好適な組み合わせとしては、硫酸マグネシウムと、塩化リチウムとの組み合わせ等を挙げることができる。
【0016】
水溶性金属塩の使用量は、非重合体カテキン類の溶出率向上の観点から、粗茶抽出物の固形分に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、また生産性の観点から、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、15質量%以下が更に好ましい。かかる使用量の範囲としては、粗茶抽出物の固形分に対して、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.5〜25質量%、更に好ましくは0.5〜20質量%、更に好ましくは1〜15質量%である。なお、本明細書において、水溶性金属塩の使用量は、無水物換算した値である。
【0017】
また、粗茶抽出物の固形分1g当たりの水溶性金属塩の使用量は、非重合体カテキン類の溶出率向上の観点から、0.05mmol以上が好ましく、0.1mmol以上がより好ましく、0.2mmol以上が更に好ましく、また生産性の観点から、3.0mmol以下が好ましく、2.0mmol以下がより好ましく、1.5mmol以下が更に好ましく、1.1mmol以下が更に好ましい。かかる使用量の範囲としては、粗茶抽出物の固形分1g当たり、好ましくは0.05〜3.0mmol、より好ましくは0.05〜2.0mmol、より好ましくは0.1〜1.5mmol、更に好ましくは0.2〜1.1mmolである。
【0018】
本発明においては、有機溶媒水溶液の存在下で、粗茶抽出物と水溶性金属塩とを混合するが、有機溶媒水溶液中の有機溶媒としては、親水性有機溶媒が好ましい。具体的には、エタノール、メタノールなどのアルコール、アセトンなどのケトン、酢酸エチルなどのエステル等を挙げることができる。中でも、エタノール、メタノールなどのアルコール、アセトンなどのケトンが好ましく、エタノールが更に好ましい。
【0019】
有機溶媒水溶液中の有機溶媒濃度は、70〜98質量%であるが、非重合体カテキン類の溶出率向上の観点から、80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、また生産性の観点から、96質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、94質量%以下が更に好ましい。かかる有機溶媒濃度の範囲としては、好ましくは80〜96質量%、より好ましくは85〜95質量%、更に好ましくは90〜94質量%である。
【0020】
有機溶媒水溶液の使用量は、非重合体カテキン類の溶出率向上の観点から、粗茶抽出物の固形分に対して、2質量倍以上が好ましく、3質量倍以上がより好ましく、4質量倍以上が更に好ましく、また生産性の観点から、10質量倍以下が好ましく、8質量倍以下がより好ましく、6質量倍以下が更に好ましい。有機溶媒水溶液の使用量の範囲としては、粗茶抽出物の固形分に対して、好ましくは2〜10質量倍、より好ましくは3〜8質量倍、更に好ましくは4〜6質量倍である。
【0021】
混合方法としては、有機溶媒水溶液、粗茶抽出物及び水溶性金属塩を個別に添加しても、3者を同時に添加してもよい。なお、個別に添加する場合、有機溶媒水溶液、粗茶抽出物及び水溶性金属塩の添加順序も特に限定されないが、有機溶媒水溶液に対する粗茶抽出物および水溶性金属塩の分散性の観点から、有機溶媒水溶液をはじめに添加するのが好ましい。
【0022】
粗茶抽出物に溶媒として水が含まれている場合には、当該粗茶抽出物中の水の含有量を考慮し、有機溶媒水溶液中の有機溶媒濃度が上記範囲内となるように水又は有機溶媒を配合することができる。また、水溶性金属塩は、固体のまま添加しても良いが、水溶液の形態で添加しても良い。水溶液の形態で添加する場合、当該水溶液中の水の含有量を考慮し、有機溶媒水溶液中の有機溶媒濃度が上記範囲内となるように水又は有機溶媒を配合する。
【0023】
混合時間は、非重合体カテキン類の溶出率向上の観点から、1時間以上が好ましく、3時間以上がより好ましく、5時間以上が更に好ましく、また生産性の観点から、12時間以下が好ましく、10時間以下がより好ましく、8時間以下が更に好ましい。混合時間の範囲としては、好ましくは1〜12時間、より好ましくは3〜10時間、更に好ましくは5〜8時間である。
【0024】
混合温度は、生産効率の観点から、10℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、20℃以上が更に好ましく、そして、50℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましく、30℃以下が更に好ましい。混合温度の範囲としては、好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜40℃、更に好ましくは20〜30℃である。
【0025】
また、本発明においては、非重合体カテキン類の溶出率、及び、カフェインの除去率の観点から、酸性白土又は活性白土の存在下に、粗茶抽出物と水溶性金属塩とを有機溶媒水溶液中で混合しても良い。
【0026】
酸性白土又は活性白土は、ともに一般的な化学成分として、SiO
2、Al
2O
3、Fe
2O
3、CaO、MgO等を含有するものである。SiO
2/Al
2O
3比は、好ましくは3〜12、更に好ましくは4〜9である。また、Fe
2O
3を2〜5質量%、CaOを0〜1.5質量%、MgOを1〜7質量%含有する組成のものが好ましい。活性白土は天然に産出する酸性白土(モンモリロナイト系粘土)を硫酸等の鉱酸で処理したものであり、大きい比表面積と吸着能を有する多孔質構造をもった化合物である。
【0027】
酸性白土又は活性白土は、比表面積が50〜350m
2/gであるものが好ましく、pH(5%サスペンジョン)が2.5〜8、更に3.6〜7であるものが好ましい。例えば、酸性白土としては、ミズカエース#600(水澤化学社製)等の市販品を用いることができる。
【0028】
酸性白土又は活性白土の使用量は、非重合体カテキン類の溶出率、及び、カフェインの除去率の観点から、粗茶抽出物の固形分に対して、0.10質量倍以上が好ましく、0.15質量倍以上がより好ましく、0.30質量倍以上が更に好ましく、また生産性の観点から、1.5質量倍以下が好ましく、1.0質量倍以下がより好ましく、0.6質量倍以下が更に好ましい。酸性白土又は活性白土の使用量の範囲としては、粗茶抽出物の固形分に対して、好ましくは0.10〜1.5質量倍、より好ましくは0.15〜1.0質量倍、更に好ましくは0.2〜0.6質量倍である。
【0029】
酸性白土又は活性白土の混合方法としては、酸性白土又は活性白土を、有機溶媒水溶液、粗茶抽出物及び水溶性金属塩と個別に添加しても、4者を同時に添加してもよい。なお、個別に添加する場合、酸性白土又は活性白土、有機溶媒水溶液、粗茶抽出物及び水溶性金属塩の添加順序は特に限定されないが、分散性の観点から有機溶媒水溶液を初めに添加するのが好ましい。また、酸性白土又は活性白土の存在下に粗茶抽出物及び水溶性金属塩を混合する際の混合時間及び混合温度は、前述において説明したとおりである。
【0030】
このようにして本発明の茶抽出物が得られるが、得られた茶抽出物は高濃度のエタノールを始めとする種々の有機溶媒水溶液に対する非重合体カテキン類の溶解性を改善することができる。
【0031】
次に、非重合体カテキン類の有機溶媒水溶液への溶出率向上方法ついて説明する。
本発明の溶出率向上方法は、高濃度の有機溶媒、例えば、有機溶媒濃度が70質量%以上の有機溶媒水溶液に対する非重合体カテキン類の溶出率を向上させるものである。有機溶媒水溶液中の有機溶媒濃度は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、そして、98質量%以下が好ましく、96質量%以下がより好ましく、94質量%以下が更に好ましい。かかる有機溶媒濃度の範囲としては、好ましくは70〜98質量%、より好ましくは80〜96質量%、更に好ましくは90〜94質量%である。有機溶媒水溶液中の有機溶媒としては、親水性有機溶媒が好ましく、例えば、前述と同様のアルコール、ケトン、エステルを挙げることができる。中でも、アルコールが好ましく、エタノールが更に好ましい。
なお、本発明の溶出率向上方法は、前述の茶抽出物の製造方法と同様の構成を採用することができる。
【0032】
前述の実施形態に関し、本発明は更に以下の茶抽出物の製造方法、非重合体カテキン類の有機溶媒水溶液への溶出率向上方法を開示する。
【0033】
<1>
70〜98質量%の有機溶媒を含む有機溶媒水溶液中で、固形分中の非重合体カテキン類の含有量が5〜40質量%である粗茶抽出物と水溶性金属塩とを混合する、茶抽出物の製造方法。
【0034】
<2>
70〜98質量%の有機溶媒を含む有機溶媒水溶液中で、固形分中の非重合体カテキン類の含有量が5〜40質量%である粗茶抽出物と水溶性金属塩とを混合する、非重合体カテキン類の有機溶媒水溶液への溶出率向上方法。
【0035】
<3>
前記粗茶抽出物が、好ましくは茶抽出液又はその濃縮物である、前記<1>記載の茶抽出物の製造方法又は前記<2>記載の非重合体カテキン類の有機溶媒水溶液への溶出率向上方法(以下。「茶抽出物の製造方法又は非重合体カテキン類の有機溶媒水溶液への溶出率向上方法」を「製造方法等」と称する)。
<4>
前記粗茶抽出物が、好ましくは緑茶抽出物である、前記<1>〜<3>のいずれか一に記載の製造方法等。
<5>
前記粗茶抽出物は、固形分中の非重合体カテキン類の含有量が、好ましくは8質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であって、好ましくは38質量%以下、より好ましくは36質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である、前記<1>〜<4>のいずれか一に記載の製造方法等。
<6>
前記粗茶抽出物は、固形分中の非重合体カテキン類の含有量が、好ましくは8〜38質量%、より好ましくは10〜36質量%、更に好ましくは15〜35質量%である、前記<1>〜<5>のいずれか一に記載の製造方法等。
<7>
前記非重合体カテキン類が、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートから選ばれる少なくとも1種である、前記<5>又は<6>記載の製造方法等。
<8>
前記水溶性金属塩が、好ましくは水溶性の無機金属塩、より好ましくはアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種、更に好ましくは塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム及び硫酸マグネシウムから選ばれる少なくとも1種である、前記<1>〜<7>のいずれか一に記載の製造方法等。
<9>
前記水溶性金属塩を組み合わせて用いる場合、好ましくは硫酸マグネシウムと、塩化リチウムとの組み合わせである、前記<1>〜<8>のいずれか一に記載の製造方法等。
<10>
前記水溶性金属塩の使用量が、前記粗茶抽出物の固形分に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であって、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である、前記<1>〜<9>のいずれか一に記載の製造方法等。
【0036】
<11>
前記水溶性金属塩の使用量が、前記粗茶抽出物の固形分に対して、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.5〜25質量%、更に好ましくは0.5〜20質量%、更に好ましくは1〜15質量%である、前記<1>〜<10>のいずれか一に記載の製造方法等。
<12>
前記水溶性金属塩の使用量が、粗茶抽出物の固形分1g当たり、好ましくは0.05mmol以上、より好ましくは0.1mmol以上、更に好ましくは0.2mmol以上であって、好ましくは3.0mmol以下、より好ましくは2.0mmol以下、更に好ましくは1.5mmol以下、更に好ましくは1.1mmol以下である、前記<1>〜<11>のいずれか一に記載の製造方法等。
<13>
前記水溶性金属塩の使用量が、粗茶抽出物の固形分1g当たり、好ましくは0.05〜3.0mmol、より好ましくは0.05〜2.0mmol、より好ましくは0.1〜1.5mmol、更に好ましくは0.2〜1.1mmolである、前記<1>〜<12>のいずれか一に記載の製造方法等。
<14>
前記有機溶媒水溶液中の有機溶媒が、好ましくは親水性有機溶媒、より好ましくはアルコール、ケトン及びエステルから選ばれる少なくとも1種、更に好ましくはアルコール及びケトンから選ばれる少なくとも1種、更に好ましくはアルコール、更に好ましくはエタノールである、前記<1>〜<13>のいずれか一に記載の製造方法等。
<15>
前記有機溶媒水溶液中の有機溶媒濃度が、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であって、好ましくは96質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは94質量%以下である、前記<1>〜<14>のいずれか一に記載の製造方法等。
<16>
前記有機溶媒水溶液中の有機溶媒濃度が、好ましくは80〜96質量%、より好ましくは85〜95質量%、更に好ましくは90〜94質量%である、前記<1>〜<15>のいずれか一に記載の製造方法等。
<17>
前記有機溶媒水溶液の使用量が、粗茶抽出物の固形分に対して、好ましくは2質量倍以上、より好ましくは3質量倍以上、更に好ましくは4質量倍以上であって、好ましくは10質量倍以下、より好ましくは8質量倍以下、更に好ましくは6質量倍以下である、前記<1>〜<16>のいずれか一に記載の製造方法等。
<18>
前記有機溶媒水溶液の使用量が、粗茶抽出物の固形分に対して、好ましくは2〜10質量倍、より好ましくは3〜8質量倍、更に好ましくは4〜6質量倍である、前記<1>〜<17>のいずれか一に記載の製造方法等。
<19>
混合時間が、好ましくは1時間以上、より好ましくは3時間以上、更に好ましくは5時間以上であって、好ましくは12時間以下、より好ましくは10時間以下、更に好ましくは8時間以下である、前記<1>〜<18>のいずれか一に記載の製造方法等。
<20>
混合時間が、好ましくは1〜12時間、より好ましくは3〜10時間、更に好ましくは5〜8時間である、前記<1>〜<19>のいずれか一に記載の製造方法等。
【0037】
<21>
混合温度が、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、更に好ましくは20℃以上であって、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは30℃以下である、前記<1>〜<20>のいずれか一に記載の製造方法等。
<22>
混合温度が、好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜40℃、更に好ましくは20〜30℃である、前記<1>〜<21>のいずれか一に記載の製造方法等。
<23>
酸性白土又は活性白土の存在下に、好ましくは前記粗茶抽出物と前記水溶性金属塩とを有機溶媒水溶液中で混合する、前記<1>〜<22>のいずれか一に記載の製造方法等。
<24>
前記酸性白土又は前記活性白土が、好ましくはSiO
2、Al
2O
3、Fe
2O
3、CaO、MgO等を含有するものであって、SiO
2/Al
2O
3比が、好ましくは3〜12、更に好ましくは4〜9であり、Fe
2O
3を2〜5質量%、CaOを0〜1.5質量%、MgOを1〜7質量%含有するものである、前記<23>記載の製造方法等。
<25>
前記酸性白土又は前記活性白土は、好ましくは比表面積が50〜350m
2/gである、前記<23>又は<24>記載の製造方法等。
<26>
前記酸性白土又は前記活性白土の5%サスペンジョンのpHが、好ましくは2.5〜8、更に好ましくは3.6〜7である、前記<23>〜<25>のいずれか一に又は<24>記載の製造方法等。
<27>
前記酸性白土又は前記活性白土の使用量が、粗茶抽出物の固形分に対して、好ましくは0.10質量倍以上、より好ましくは0.15質量倍以上、更に好ましくは0.30質量倍以上であって、好ましくは1.5質量倍以下、より好ましくは1.0質量倍以下、更に好ましくは0.6質量倍以下である、前記<23>〜<26>のいずれか一に又は<24>記載の製造方法等。
<28>
前記酸性白土又は前記活性白土の使用量が、粗茶抽出物の固形分に対して、好ましくは0.10〜1.5質量倍、より好ましくは0.15〜1.0質量倍、更に好ましくは0.2〜0.6質量倍である、前記<23>〜<27>のいずれか一に又は<24>記載の製造方法等。
<29>
当該溶出率向上方法は、有機溶媒として、好ましくは親水性有機溶媒、より好ましくはアルコール、ケトン及びエステルから選ばれる少なくとも1種、更に好ましくはアルコール及びケトンから選ばれる少なくとも1種、更に好ましくはアルコール、更に好ましくはエタノールを含む有機溶媒水溶液に対する非重合体カテキン類の溶出率を向上させるものである、前記<2>記載の非重合体カテキン類の有機溶媒水溶液への溶出率向上方法。
<30>
当該溶出率向上方法は、有機溶媒濃度が、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であって、好ましくは96質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは94質量%以下である有機溶媒水溶液に対する非重合体カテキン類の溶出率を向上させるものである、前記<2>又は<29>記載の非重合体カテキン類の有機溶媒水溶液への溶出率向上方法。
<31>
当該溶出率向上方法は、有機溶媒濃度が、好ましくは80〜96質量%、より好ましくは85〜95質量%、更に好ましくは90〜94質量%である有機溶媒水溶液に対する非重合体カテキン類の溶出率を向上させるものである、前記<2>、<29>又は<30>記載の非重合体カテキン類の有機溶媒水溶液への溶出率向上方法。
【実施例】
【0038】
1.非重合体カテキン類の測定
茶抽出物を蒸留水で適宜希釈を行い、フィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L−カラムTM ODS、4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により行った。カテキン類の標準品としては、三井農林製のものを使用し、検量線法で定量した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。なお、グラジエントの条件は、以下のとおりである。
【0039】
時間(分) A液濃度(体積%) B液濃度(体積%)
0.0 97 3
5.0 97 3
37.0 80 20
43.0 80 20
43.5 0 100
48.5 0 100
49.0 97 3
60.0 97 3
【0040】
2.エタノールへの非重合体カテキン類の溶解試験
実施例のスラリーを静置分離し、上清を0.2μmのフィルター処理を行い、上清液を回収した。この上清液中の非重合体カテキン類の含有量、乾燥固形分の測定を行った。なお、乾燥固形分は、試料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥した後、測定した。
【0041】
3.エタノールへの非重合体カテキン類の溶出率
下記式(1)により算出した。
エタノールへの非重合体カテキン類の溶出率=(上清液中の非重合体カテキン類量)/(粗茶抽出物中の非重合体カテキン類量)×100 ・・・(1)
【0042】
4.カフェインの除去率
茶抽出物のスラリーを静置分離し、上清を0.2μmのフィルター処理を行い、上清液を回収した。この上清液中のカフェインの含有量の測定を行った後、下記式(2)より算出した。
【0043】
カフェインの除去率=〔1−(上清液中のカフェイン)/(粗茶抽出物中のカフェイン)〕×100・・・(2)
【0044】
実施例1
粉末状の粗茶抽出物(非重合体カテキン類31.3質量%)4.0gを採取し、これに塩化カルシウム0.44g、92.4質量%エタノール16gを添加して、25℃で6時間混合した。次いで、静置分離した後に0.2μmのフィルター処理を行って、茶抽出物1(非重合体カテキン類6.2質量%)を得た。茶抽出物1の製造条件、及び92.4質量%エタノールへの非重合体カテキン類の溶出率を表1に示す。
【0045】
実施例2
塩化カルシウムの代わりに、塩化ナトリウム0.23gを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、茶抽出物2(非重合体カテキン類6.2質量%)を得た。茶抽出物2の製造条件、及び92.4質量%エタノールへの非重合体カテキン類の溶出率を表1に示す。
【0046】
実施例3
塩化カルシウムの代わりに、塩化マグネシウム0.38gを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、茶抽出物3(非重合体カテキン類6.7質量%)を得た。茶抽出物3の製造条件、及び92.4質量%エタノールへの非重合体カテキン類の溶出率を表1に示す。
【0047】
実施例4
塩化カルシウムの代わりに、硫酸マグネシウム・7水和物0.98gを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、茶抽出物4(非重合体カテキン類5.9質量%)を得た。茶抽出物4の製造条件、及び92.4質量%エタノールへの非重合体カテキン類の溶出率を表1に示す。
【0048】
実施例5
塩化カルシウムの代わりに、塩化カリウム0.30gを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、茶抽出物5(非重合体カテキン類5.9質量%)を得た。茶抽出物5の製造条件、及び92.4質量%エタノールへの非重合体カテキン類の溶出率を表1に示す。
【0049】
実施例6
塩化カルシウムの代わりに、塩化リチウム0.17gを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、茶抽出物6(非重合体カテキン類6.5質量%)を得た。茶抽出物6の製造条件、及び92.4質量%エタノールへの非重合体カテキン類の溶出率を表1に示す。
【0050】
比較例1
水溶性金属塩を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作により、茶抽出物7(非重合体カテキン類5.8質量%)を得た。茶抽出物7の製造条件、及び92.4質量%エタノールへの非重合体カテキン類の溶出率を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
実施例7
粗茶抽出物(非重合体カテキン類31.3質量%)4.0gを採取し、これに塩化ナトリウム0.23g、92.4質量%エタノール16g、酸性白土(ミズカエース#600、水澤化学社製)を2.0g、ろ過助剤(ソルカフロック、栗田工業社製)0.25gを添加して、25℃で6時間混合し、茶抽出物7(非重合体カテキン類6.4質量%)を得た。茶抽出物7の製造条件、並びに92.4質量%エタノールへの非重合体カテキン類の溶出率及びカフェインの除去率を表2に示す。
【0053】
実施例8
塩化ナトリウムの代わりに、硫酸マグネシウム・7水和物1.01gを使用したこと以外は、実施例7と同様の操作により、茶抽出物8(非重合体カテキン類4質量%)を得た。茶抽出物8の製造条件、並びに92.4質量%エタノールへの非重合体カテキン類の溶出率及びカフェインの除去率を表2に示す。
【0054】
実施例9
塩化ナトリウムの代わりに、硫酸マグネシウム・7水和物0.05gを使用したこと以外は、実施例7と同様の操作により、茶抽出物9(非重合体カテキン類6.5質量%)を得た。茶抽出物9の製造条件、及び92.4質量%エタノールへの非重合体カテキン類の溶出率を表2に示す。
【0055】
実施例10
塩化ナトリウムの代わりに、硫酸マグネシウム・7水和物0.35gを使用したこと以外は、実施例7と同様の操作により、茶抽出物10(非重合体カテキン類6.5質量%)を得た。茶抽出物10の製造条件、及び92.4質量%エタノールへの非重合体カテキン類の溶出率を表2に示す。
【0056】
実施例11
塩化ナトリウムの代わりに、硫酸マグネシウム・7水和物0.51g、及び、塩化リチウム0.08gを使用したこと以外は、実施例7と同様の操作により、茶抽出物11(非重合体カテキン類6.5質量%)を得た。茶抽出物11の製造条件、及び92.4質量%エタノールへの非重合体カテキン類の溶出率を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
表1及び2より、70〜98質量%の有機溶媒水溶液中で、固形分中の非重合体カテキン類含有量が5〜40質量%である粗茶抽出物を水溶性金属塩と接触させることにより、高濃度の有機溶媒に対する非重合体カテキン類の溶解性を高めた茶抽出物が得られることがわかる。