特許第6033106号(P6033106)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033106
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   H01Q13/08
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-24445(P2013-24445)
(22)【出願日】2013年2月12日
(65)【公開番号】特開2014-155100(P2014-155100A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100173934
【弁理士】
【氏名又は名称】久米 輝代
(74)【代理人】
【識別番号】100156351
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 秀央
(72)【発明者】
【氏名】秋元 晋平
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼ 崇
(72)【発明者】
【氏名】深沢 徹
(72)【発明者】
【氏名】宮下 裕章
(72)【発明者】
【氏名】田原 志浩
(72)【発明者】
【氏名】石橋 秀則
(72)【発明者】
【氏名】大和田 哲
【審査官】 米倉 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−011490(JP,A)
【文献】 特開2001−094336(JP,A)
【文献】 特開2001−267837(JP,A)
【文献】 特開2004−040597(JP,A)
【文献】 特開2012−019421(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/069492(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q13/08
H01Q9/04−9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に地導体が配置された第1の誘電体基板と、
前記第1の誘電体基板の他方の面に配置され、一端がスルーホールからなる第1の導体に接続された整合回路と、
一方の面に放射導体が配置された第2の誘電体基板と、
前記第2の誘電体基板の他方の面に配置され、スルーホールからなる第2の導体により前記放射導体に接続された第3の導体と、
前記整合回路の他端と前記第3の導体とが向かい合うように配置され、該整合回路の他端と該第3の導体とが電気的に接続されるように、前記第1の誘電体基板の他方の面と前記第2の誘電体基板の他方の面との間を接着する異方導電性接着剤とを備えたアンテナ装置。
【請求項2】
第1の誘電体基板の他方の面に配置され、スルーホールからなる第4の導体に接続された第5の導体と、
第2の誘電体基板の他方の面に配置され、スルーホールからなる第6の導体により放射導体の一辺に接続された第7の導体とを備え、
異方導電性接着剤は、
前記第5の導体と前記第7の導体とが向かい合うように配置され、該第5の導体と該第7の導体とが電気的に接続されるように、前記第1の誘電体基板の他方の面と前記第2の誘電体基板の他方の面との間を接着することを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
当該アンテナ装置の動作周波数帯の中心周波数近傍で共振する電気長を有し、放射導体と電磁結合して複共振を生じる位置に配置された無給電素子を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のアンテナ装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のアンテナ装置を複数個配置してアレーアンテナが構成されたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項5】
整合回路は、
対向する導体からなるキャパシタンス素子と、
スパイラル状の導体からなるインダクタンス素子と、
を含む直列共振回路であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のアンテナ装置。
【請求項6】
整合回路は、
メアンダ形状の導体からなり、屈曲部間の長さを動作周波数の1/4波長に比べて短い長さにしたインダクタンス素子と、
両端部が不連続のメアンダ形状の導体からなり、両端部間の長さを動作周波数の1/4波長に比べて短い長さにしたキャパシタンス素子と、
を含む直列共振回路であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面アンテナ、特にマイクロストリップアンテナ(以下、MSAと称す)等のアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平面アンテナの代表例であるMSAは、素子単体では、一般に非常に狭帯域であり、通常のMSAでは、比帯域幅は数%以下である。
従来の広帯域化の手法としては、基板の誘電体部の厚さを厚くする方法や、給電部に直列共振回路を設ける方法がある。
後者の方法では、オープンスタブおよびショートスタブをMSAに直列に装荷することで、並列共振特性を持つMSAに、オープンスタブとショートスタブにより生成されるキャパシタンスとインダクタンスによる直列共振回路を接続したことと等価になる。
キャパシタンスとインダクタンスは、スタブ導体の幅や長さ等で調整できるため、アンテナ装置の動作周波数帯域を広げる効果が得られる(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−66838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のアンテナ装置では、2つのスタブをMSAの放射導体の上に積層する必要があるため、その分、アンテナが厚くなるという課題があった。
また、2つのスタブを放射導体と地導体の間に配置することも開示されているが、スタブと地導体との間で形成されるキャパシタンス成分が無視できる程度にスタブと地導体の間隔を選定する必要があり、MSAの厚さを自由に選択できないという課題があった。
【0005】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、厚さを変えることなく動作周波数帯域を広げるアンテナ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のアンテナ装置は、一方の面に地導体が配置された第1の誘電体基板と、第1の誘電体基板の他方の面に配置され、一端がスルーホールからなる第1の導体に接続された整合回路と、一方の面に放射導体が配置された第2の誘電体基板と、第2の誘電体基板の他方の面に配置され、スルーホールからなる第2の導体により放射導体に接続された第3の導体と、整合回路の他端と第3の導体とが向かい合うように配置され、整合回路の他端と第3の導体とが電気的に接続されるように、第1の誘電体基板の他方の面と第2の誘電体基板の他方の面との間を接着する異方導電性接着剤とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、異方導電性接着剤を用いて、整合回路の他端と第3の導体とが電気的に接続されるように、第1の誘電体基板の他方の面と第2の誘電体基板の他方の面との間を接着したので、厚さを変えることなく動作周波数の広帯域化を実現することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1によるアンテナ装置を示す構成図である。
図2】本発明の実施の形態1によるアンテナ装置の整合回路の詳細を示す構成図である。
図3】異方導電性接着剤の機能を説明する断面図である。
図4】導体の長さとキャパシタンスとの関係、導体の巻き数とインダクタンスとの関係を示す特性図である。
図5】アンテナ装置を示す等価回路図である。
図6】MSAのインピーダンス特性を示す特性図である。
図7】本発明の実施の形態2によるアンテナ装置を示す構成図である。
図8】本発明の実施の形態3によるアンテナ装置を示す構成図である。
図9】本発明の実施の形態4によるアンテナ装置の整合回路の詳細を示す構成図である。
図10】屈曲部間の長さとインダクタンスとの関係、両端部間の長さとキャパシタンスとの関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1によるアンテナ装置を示す構成図である。
図1(a)はその外観斜視図、図1(b)はその分解図斜視図、図1(c)は図1(a)の破線部における断面図である。
図1において、1a,1bは誘電体基板である。
誘電体基板1aの背面に地導体1が形成される。
地導体1は、任意形状(例えば、矩形)で有限の大きさを持つ。
【0010】
誘電体基板1aの表面に整合回路2が形成される。
ここで、図2(a)、図2(b)は、整合回路2の詳細を示す。
図2(a)は、対向する平行2線形状の導体2aからなるキャパシタンス素子を示す。
図2(b)は、スパイラル形状の導体2bからなるインダクタンス素子を示す。
導体2aの点Aと導体2bの点Bとが接続され、直列共振回路を構成する。
また、直列共振回路の一端、すなわち、図2(a)の導体2aの点Cとスルーホールからなる導体3が電気的に接続される。
導体3は、誘電体基板1aおよび地導体1を介して後段の給電部に接続される。
給電部は、導体3に高周波電圧を印加あるいは受信する構成であるが、本発明の主要素ではないため省略する。
【0011】
誘電体基板1bの表面に放射導体4が形成される。
放射導体4は、板状の導体からなり、任意形状(例えば、矩形)であり、所定の周波数で共振するように寸法が選定される。
誘電体基板1bの背面にストリップ導体パターン5が形成される。
ストリップ導体パターン5は、任意形状(例えば、円形)であり、一部が放射導体4とスルーホールからなる導体6によって電気的に接続される。
【0012】
7は異方導電性接着剤である。
誘電体基板1aの整合回路2が形成された表面に異方導電性接着剤7を配置し、誘電体基板1aの表面と誘電体基板1bの裏面を向かい合わせて、整合回路2の他端とストリップ導体パターン5が向かい合うように挟み積層した構造としている。
図3は、図1に示した異方導電性接着剤7の機能を説明する断面図である。
異方導電性接着剤7は、絶縁性の接着剤7aの中に導電性の粒子7bを分散させたタイプの接着剤である。
図3において、2つの誘電体基板1a、1bの間に異方導電性接着剤7を挟み、加圧させながら硬化させることにより、相対する電極(整合回路2、ストリップ導体パターン5)に対しては、導電性の粒子7bを介して導電し、隣接する電極に対しては導電性の粒子7bが分散されているため、絶縁される。
なお、直列共振回路の他端、すなわち、図2(b)の導体2bの面Dとストリップ導体パターン5とが電気的に接続される。
そのため、図1において、整合回路2の他端とストリップ導体パターン5が向かい合っている部分のみ厚さ方向に導通するため、導体3から伝送される高周波信号は、整合回路2を介して放射導体4に伝送される。
【0013】
次に動作について説明する。
導体2aに高周波電流が流れると、導体2aはコンデンサとして動作する。
この等価容量Cは、対向する導体の長さlと比例関係で見積もられる。
図4(a)は、対向する導体長さlとキャパシタンスCの関係を示したものである。
図4(a)において、導体長さlを伸ばすことで、キャパシタンスCが線形的に増加していることがわかる。
導体2bに高周波電流が流れると、導体2bはインダクタとして動作する。
図4(b)は、スパイラルの巻き数とインダクタンスLの関係を示したものである。
図4(b)において、巻き数を増やすことで、インダクタンスLが線形的に増加していることがわかる。
【0014】
すなわち、導体2a,2bを、放射導体4と給電プローブに相当する導体3の間に直列接続することで、本実施の形態1のアンテナ装置は、図5のような回路と等価であることが導かれる。
図5において、ZaはMSAのインピーダンスであり、8は導体2aによるキャパシタンスC、導体2bによるインダクタンスLからなる直列共振回路である。
【0015】
図5の等価回路図を用いて、要求VSWR(=ρ)に対して広帯域化を実現するための整合回路を考える。
MSAのインピーダンス特性Zaは並列共振特性を示し、図6(a)のように表される。
規格化インピーダンスをZとし、MSAのインピーダンスの軌跡と定抵抗円R=Z/ρが交わる周波数をそれぞれω,ωとする。
ここで、ω,ωにおけるインピーダンスのリアクタンス成分が零となり、かつ直列共振回路8の共振周波数を並列共振回路の共振周波数と等しくなるように、図5の等価回路におけるL,Cの値を選べば、直列共振回路8を装荷後のインピーダンスZinの軌跡は、図6(b)のようになり、ωからωの範囲で所望のVSWR以下の特性を得ることができる。
ここで、導体2aと導体2bは、独立の構成要素であるから、前記直列共振回路8のインダクタンスLとキャパシタンスCは互いに独立に選定できる。
したがって、本実施の形態1における構成により、MSAの広帯域化が実現できる。
【0016】
以上のように、本実施の形態1によれば、異方導電性接着剤7を用いて、整合回路2の他端とストリップ導体パターン5とが電気的に接続されるように、誘電体基板1a,1b間を接着したので、アンテナ装置の厚さを変えることなく動作周波数の広帯域化を実現することができる。
また、異方導電性接着剤7を用いて、誘電体基板1a,1bの層間接続を行ったことで、基板間における厚さ方向のみの導通が可能になったことから、半田付けを必要とせず簡易な工程で製造することができる。
さらに、整合回路2を、対向する導体2aからなるキャパシタンス素子と、スパイラル状の導体2bからなるインダクタンス素子と、を含む直列共振回路から構成したので、直列共振回路をストリップ導体パターンにより容易に構成することができる。
なお、前記実施の形態1では、直列共振回路8のインダクタンスLとキャパシタンスCを、導体3、図2(a)のキャパシタンス素子の導体2a、図2(b)のインダクタンス素子の導体2b、異方導電性接着剤7を挟んで、ストリップ導体パターン5の順序で接続した。
しかしながら、直列共振回路8のインダクタンスLとキャパシタンスCの接続順序に制限はなく、導体3、図2(b)のインダクタンス素子の導体2b、図2(a)のキャパシタンス素子の導体2a、異方導電性接着剤7を挟んで、ストリップ導体パターン5の順序で接続してもよい。
【0017】
実施の形態2.
図7は本発明の実施の形態2によるアンテナ装置を示す構成図である。
図7(a)はその外観斜視図、図7(b)はその分解図斜視図、図7(c)は図7(a)の破線部における断面図である。
ここでは、図1で示したアンテナ装置を例にして説明する。
図7において、放射導体10は、図1における放射導体4の長さの半分の長さを有する。
また、誘電体基板1aの表面にストリップ導体パターン11が形成される。
ストリップ導体パターン11は、任意形状(例えば、円形)であり、一部が地導体1とスルーホールからなる導体12によって電気的に接続される。
さらに、誘電体基板1bの背面にストリップ導体パターン13が形成される。
ストリップ導体パターン13は、任意形状(例えば、円形)であり、一部が放射導体10の端部とスルーホールからなる導体14によって電気的に接続される。
誘電体基板1aのストリップ導体パターン11が形成された表面に異方導電性接着剤7を配置し、誘電体基板1aの表面と誘電体基板1bの裏面を向かい合わせて、ストリップ導体パターン11,13が向かい合うように挟み積層した構造としている。
【0018】
図1に示したように、基本形状のMSAの場合、放射導体4の長さが半波長であるので、その中央で電界が零になる。
つまり、その中央部で地導体1と短絡し、放射導体4の長さを半分にしても、MSA内部の電界分布に変化はない。
したがって、本実施の形態2のアンテナ装置の動作も、図5に示した等価回路で説明することができ、前記実施の形態1と同様の原理により広帯域化できる。
【0019】
以上のように、本実施の形態2によれば、異方導電性接着剤7を用いて、ストリップ導体パターン11,13が電気的に接続されるように、誘電体基板1a,1b間を接着したので、放射導体10の一辺が地導体1に接続され、放射導体10の長さを基本形状の長さの半分にし、小型化することができる。
なお、放射導体10の一辺を地導体1と接続することで、本実施の形態2の効果を得られることから、ストリップ導体パターン11,13を介さずに、貫通スルーホール等で放射導体10の一辺を地導体1とを直接接続してもよい。
【0020】
実施の形態3.
図8は本発明の実施の形態3によるアンテナ装置を示す構成図である。
図8(a)はその外観斜視図、図8(b)はその分解図斜視図、図8(c)は図8(a)の破線部における断面図である。
ここでは、図1で示したアンテナ装置を例にして説明する。
図8において、誘電体基板1cの表面に無給電素子21が形成される。
無給電素子21は、板状の導体からなる任意形状(例えば、矩形)であり、アンテナ装置の動作周波数帯の中心周波数近傍で共振する電気長を有する。
放射導体4と電磁結合して複共振を生じる位置に配置されている。
誘電体基板1bの放射導体4が形成された表面に接着剤22を配置し、誘電体基板1bの表面と誘電体基板1cの裏面を向かい合うように挟み積層した構造としている。
【0021】
一般に、無給電素子を設けたMSAでは、放射導体である励振素子と無給電素子との結合によって複共振特性が得られ、無給電素子の形状および励振素子と無給電素子との位置関係を適切に選定することにより、広帯域化できることが知られている。
無給電素子21を設けたMSAであっても、そのインピーダンス特性は、並列共振特性を示すので、前記実施の形態1と同様の原理により広帯域化できる。
【0022】
以上のように、本実施の形態3によれば、無給電素子21を備えたので、さらに、動作周波数の広帯域化を実現することができる。
なお、無給電素子21を、放射導体4と電磁結合して複共振を生じさせる位置に配置することで、本実施の形態3の効果を得られることから、誘電体基板1cの代わりに、スペーサ等で無給電素子21を支える構造でもよい。
【0023】
実施の形態4.
図9は本発明の実施の形態4によるアンテナ装置の整合回路の詳細を示す構成図である。
本発明の実施の形態4によるアンテナ装置は、次に説明するような整合回路が形成されたアンテナ装置である。
ここでは、図1で示したアンテナ装置を例にして説明する。
図9(a)、図9(b)は、メアンダ形状を基本とした導体2c,2dからなる整合回路2の詳細を示す。
本実施の形態4のアンテナ装置は、前記実施の形態1で説明したアンテナ装置の構成における導体2a,2bからなる整合回路2を、導体2c,2dからなる整合回路2に変更した構造としている。
【0024】
図9(a)は、メアンダ形状の導体2cからなるインダクタンス素子を示す。
導体2cにおいて、屈曲部間の長さを動作周波数の1/4波長に比べて短い長さにした場合、終端短絡平行2線線路と等価なので、インダクタンス素子を装荷した導体として考えることができる。
図10(a)は、屈曲部間の長さとインダクタンスLの関係を示したものである。
図10(a)において、屈曲部間を1/4波長以下の範囲内で長くすることでインダクタンスLが、指数関数的に増加していることがわかる。
【0025】
図9(b)は、両端部が不連続のメアンダ形状の導体2dからなるキャパシタンス素子を示す。
導体2dにおいて、両端部間の長さを動作周波数の1/4波長に比べて短い長さにした場合、終端開放平行2線線路と等価なので、キャパシタンス素子を装荷した導体として考えることができる。
図10(b)は、両端部間の長さとキャパシタンスCの関係を示したものである。
図10(b)において、両端部間を1/4波長以下の範囲内で長くすることでキャパシタンスCが、指数関数的に増加していることがわかる。
【0026】
導体2dの点Eと導体2cの点Fとが接続され、直列共振回路を構成する。
また、直列共振回路の一端、すなわち、導体2dの点Gとスルーホールからなる導体3が電気的に接続される。
導体3は、誘電体基板1aおよび地導体1を介して後段の給電部に接続される。
さらに、導体2cの面Hとストリップ導体パターン5とが、異方導電性接着剤7の導電性の粒子7bにより電気的に接続される。
【0027】
以上のように、本実施の形態4によれば、整合回路2を、メアンダ形状の導体2cからなり、屈曲部間の長さを動作周波数の1/4波長に比べて短い長さにしたインダクタンス素子と、両端部が不連続のメアンダ形状の導体2dからなり、両端部間の長さを動作周波数の1/4波長に比べて短い長さにしたキャパシタンス素子と、を含む直列共振回路から構成したので、インダクタンス素子とキャパシタンス素子を、互いに独立に指数関数的に選定できる。
したがって、インダクタンスとキャパシタンスの要求値がどんなに高い場合であっても、屈曲部間の長さ、あるいは、両端部間の長さを動作周波数の1/4波長以下に収めることができる。
また、直列共振回路をストリップ導体パターンにより容易に構成することができる。
なお、前記実施の形態4では、直列共振回路8のインダクタンスLとキャパシタンスCを、導体3、図9(b)のキャパシタンス素子の導体2d、図9(a)のインダクタンス素子の導体2c、異方導電性接着剤7を挟んで、ストリップ導体パターン5の順序で接続した。
しかしながら、直列共振回路8のインダクタンスLとキャパシタンスCの接続順序に制限はなく、導体3、図9(a)のインダクタンス素子の導体2c、図9(b)のキャパシタンス素子の導体2d、異方導電性接着剤7を挟んで、ストリップ導体パターン5の順序で接続してもよい。
【0028】
実施の形態5.
本発明の実施の形態5によるアンテナ装置は、次に説明するようなアレーアンテナが構成されたアンテナ装置である。
前記実施の形態1から実施の形態4で説明したアンテナ装置のいずれかの構成をアレーアンテナの素子アンテナの構成とし、その複数個を適宜に配置して給電することによりアレーアンテナを構成する。
なお、それぞれのアレーアンテナについては図示省略する。
【0029】
以上のように、本実施の形態5によれば、アンテナ装置を複数個配置してアレーアンテナが構成されるので、薄型で広帯域なアレーアンテナを得ることができる。
【0030】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 地導体、1a,1b,1c 誘電体基板、2 整合回路、2a,2b,2c,2d, 3,6,12,14 導体、4,10 放射導体、5,11,13 ストリップ導体パターン、7 異方導電性接着剤、7a,22 接着剤、7b 粒子、8 直列共振回路、21 無給電素子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10