特許第6033110号(P6033110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033110
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】固体撮像装置および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/357 20110101AFI20161121BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20161121BHJP
   H04N 5/374 20110101ALI20161121BHJP
   H04N 5/378 20110101ALI20161121BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20161121BHJP
   H01L 27/14 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   H04N5/335 570
   H04N5/335 690
   H04N5/335 740
   H04N5/335 780
   H01L27/14 A
   H01L27/14 D
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-26814(P2013-26814)
(22)【出願日】2013年2月14日
(65)【公開番号】特開2014-158086(P2014-158086A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢司
【審査官】 松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−057350(JP,A)
【文献】 特開2008−271159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/357
H01L 27/14
H01L 27/146
H04N 5/369
H04N 5/374
H04N 5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と第2の基板とが積層され、接続部によって電気的に接続された固体撮像装置であって、
前記第1の基板は、
行列状に配置され、入射光量に応じた信号を出力する画素部と、
前記画素部と、前記接続部を接続する第1の配線部と、
を備え、
前記第2の基板は、
前記画素部で発生した信号を処理する列処理回路と、
前記接続部と、前記処理回路を接続する第2の配線部と、
を備え、
前記第1の配線部の配線抵抗と前記第2の配線部の配線抵抗との和は、列毎に略等しい
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記第1の配線部の配線長と前記第2の配線部の配線長との和は、列毎に略等しい
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の固体撮像装置を備える撮像装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビデオカメラや電子スチルカメラが広く一般に普及している。このカメラには、CCD型やCMOS型の固体撮像装置(固体撮像素子)が使用されている。固体撮像装置は、二次元の行列状に配置された複数の画素を有し、各画素に配置される光電変換部が入射光に応じた電荷を生成し、蓄積する。
【0003】
特許文献1では、光電変換部が形成された第1の基板と、複数のMOSトランジスタが形成された第2の基板とを貼り合わせ、第1の基板と第2の基板とを、接続電極によって電気的に接続している固体撮像装置が開示されている。上記固体撮像装置では、入射光量に応じた信号電荷を第1の基板に形成された光電変換部が蓄積する。蓄積した信号電荷は、第2の基板に接続電極を介して入力される。第2の基板に入力された信号電荷は、第2の基板に形成された処理回路により所定の信号処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−104684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示している固体撮像装置は、2枚の基板を接続する垂直信号線について、シェーディングを抑圧する方法を示しているが、接続電極の配置方法については、接続電極の径と第2の基板の処理回路の幅に応じてジグザグに配置すればよいといったこと以外には、何等開示していない。
【0006】
特許文献1の方法では、接続電極を画素部内の一部に集中して配置することになり、基板同士を接合する際に圧力が集中するため、接合部周辺のデバイス特性に悪影響を与え、歩留りも悪くなる。そのため、ある程度以上の間隔をあけて、接続電極を分布して配置する必要である。しかし、間隔を置いて接続電極を配置することで、光電変換部から処理回路までの配線長が列毎に異なってしまい、列毎の配線抵抗による電圧降下のばらつきに起因する縦筋ノイズが発生し、画質が劣化してしまう。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、列毎の配線抵抗のばらつきに起因する縦筋ノイズを抑制し、画質の劣化を抑制することができる固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、第1の基板と第2の基板とが積層され、接続部によって電気的に接続された固体撮像装置であって、前記第1の基板は、
行列状に配置され、入射光量に応じた信号を出力する画素部と、前記画素部と、前記接続部を接続する第1の配線部と、を備え、前記第2の基板は、前記画素部で発生した信号を処理する処理回路と、前記接続部と、前記処理回路を接続する第2の配線部と、を備え、
前記第1の配線の配線抵抗と前記第2の配線の配線抵抗との和は、列毎に略等しいことを特徴とする固体撮像装置である。
【0009】
また、本発明は、上記固体撮像装置を備える撮像装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、列毎の配線抵抗のばらつきに起因する縦筋ノイズを抑制することができ、画質劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態の固体撮像装置の概略図である。
図2】第1の実施形態の固体撮像装置が備える第1の基板の概略図である。
図3】第1の実施形態の固体撮像装置が備える第2の基板の概略図である。
図4】第1の実施形態の固体撮像装置が備える第2の基板の概略図である。
図5】第1の実施形態の固体撮像装置が備える画素部の回路構成を示す図である。
図6】第1の実施形態の固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。
図7】第1の実施形態の固体撮像装置の画素部から列処理部までの配線を示す図である。
図8】第1の実施形態の固体撮像装置を搭載した撮像装置の概略構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態における固体撮像装置の概略図である。
【0013】
図1に示す固体撮像装置1は、第1の基板10と、第2の基板20と、接続部30とを備えている。
【0014】
第1の基板は、絶縁体あるいは半導体で所定の厚さを有する板状またはシート状に形成されている。第1の基板を構成する絶縁体および半導体としては、例えばシリコン、樹脂、セラミクス、ガラス等が挙げられる。
【0015】
第2の基板は、第1の基板と同様に、絶縁体あるいは半導体で所定の厚さを有する板状またはシート状に形成されている。
【0016】
接続部30は、第1の基板と第2の基板を電気的に接続するもので、金やはんだ等のバンプで構成される。
【0017】
図2は、本実施形態の固体撮像装置1が備える第1の基板10の概略図である。第1の基板は、画素部11と、垂直走査回路12と、制御信号線13、垂直信号線14とを備える。
【0018】
画素部11は、入射光量に応じた信号(画素信号)を発生させるものであり、第1の基板に行列状に複数配列されている。図2では、4行×4列の16個の画素部11が配列されているが、図2に示す画素の配列は、一例であり、行数および列数は2以上であればよい。
【0019】
垂直走査回路12は、例えばシフトレジスタで構成されており、行単位で画素部11の駆動制御を行う。この駆動制御には、画素部11のリセット動作、蓄積動作、信号読み出し動作等が含まれる。この駆動制御を行うため、垂直走査回路12は、行毎に設けられている制御信号線13を介して、それぞれの画素部11へ制御信号(制御パルス)を出力し、画素部11を行毎に制御する。垂直走査回路12が駆動制御を行うことによって、列毎に設けられている垂直信号線14へ画素部11から画素信号が出力される。垂直信号線14に出力された画素信号は、接続部30を介して、第2の基板に入力される。
【0020】
図3は、本実施形態の固体撮像装置1が備える第2の基板20の概略図である。第2の基板は、列処理回路21と、水平走査回路22とを備える。
【0021】
列処理回路21は、接続部30を介して列毎の垂直信号線14に接続されており、画素部11から出力された画素信号に対して、アナログデジタル変換(A/D変換)を含む信号処理を行う。
【0022】
水平走査回路22は、例えばシフトレジスタで構成されており、画素信号を読み出す画素列を選択して、選択した画素列に係わる列処理回路21を順次選択し、列処理回路21画素信号を順次出力する。なお、図3では、水平走査回路21が1つの例を示しているが、
図4に示すように、水平走査回路21を列処理回路を2つ配置してもよい。この場合、例えば、奇数列の列処理回路21における画素信号の読み出しを一方の水平走査回路21で行い、偶数列の列処理回路21における画素信号の読み出しを他方の水平走査回路21で行う。
【0023】
図5は、本実施形態の固体撮像装置が備える画素部11の回路構成を示す図である。画素部11は、光電変換素子101と、転送トランジスタ102と、FD(フローティングディフュージョン)103、リセットトランジスタ104と、増幅トランジスタ105と、電流源106、選択トランジスタ107とを備える。
【0024】
光電変換素子101の一端は、接地されている。転送トランジスタ102のドレイン端子は、光電変換素子101の他端に接続されている。転送トランジスタ102のゲート端子は、垂直走査回路12に接続されており、転送パルスΦTX1が供給される。
【0025】
FD103の一端は、転送トランジスタのソース端子に接続されている。FD103の他端は、接地されている。
【0026】
リセットトランジスタ104のソース端子は、転送トランジスタ102のソース端子に接続されている。リセットトランジスタ104のドレイン端子は、電源電圧VDDに接続されている。リセットトランジスタ104のゲート端子は、垂直走査回路12に接続されており、リセットパルスΦRSTが供給される。
【0027】
増幅トランジスタ105のドレイン端子は、電源電圧VDDに接続されている。増幅トランジスタ105の入力部であるゲート端子は、転送トランジスタ102のソース端子に接続されている。電流源106の一端は、増幅トランジスタ105のソース端子に接続されており、電流源106の他端は、接地されている。
【0028】
選択トランジスタ107のドレイン端子は、増幅トランジスタ105のソース端子に接続されており、選択トランジスタ107のソース端子は、列処理回路21に接続されている。選択トランジスタ107のゲート端子は、垂直走査回路12に接続されており、選択パルスΦSELが供給される。
【0029】
光電変換素子101は、例えば、フォトダイオードであり、入射した光に基づく信号電荷を生成(発生)し、生成(発生)した信号電荷を保持し、蓄積する。
【0030】
転送トランジスタ102は、光電変換素子101に蓄積された信号電荷をFD103に転送するトランジスタである。転送トランジスタ102のオン/オフは、垂直走査回路12からの転送パルスΦTXによって制御される。
【0031】
FD103は、光電変換素子101から転送された信号電荷を一時的に保持し、蓄積する容量である。
【0032】
リセットトランジスタ104は、FD103をリセットするトランジスタである。リセットトランジスタ104のオン/オフは、垂直走査回路12からのリセットパルスΦRSTによって制御される。リセットトランジスタ104と転送トランジスタ102を同時にオンすることによって、光電変換素子101をリセットすることも可能である。FD103や光電変換素子101のリセットは、FD103や光電変換素子の状態(電位)を基準状態(基準電圧、リセットレベル)に設定することである。
【0033】
増幅トランジスタ105は、ゲート端子に入力され、FD103に蓄積されている信号電荷に基づく信号を増幅した増幅信号をソース端子から出力するトランジスタである。
【0034】
電流源106は、増幅トランジスタ105の負荷として機能し、増幅トランジスタ105を駆動する電流を増幅トランジスタに供給する。増幅トランジスタ105と電流源106は、ソースフォロア回路を構成する。
【0035】
選択トランジスタ107は、画素部11を選択し、増幅トランジスタ105の出力信号を垂直信号線14に伝えるトランジスタである。選択トランジスタ107のオン/オフは、垂直走査回路12からの選択パルスΦSELによって制御される。
【0036】
第1の基板10に配置された増幅トランジスタ105から出力された増幅信号は、接続部30を介して、第2の基板20に出力され、列処理回路21に入力される。
【0037】
図6は、垂直走査回路12から行毎に画素部11に供給される制御信号を示している。以下では、図6に示す期間T1〜T3おける画素部11の動作を説明する。
【0038】
[期間T1の動作]
まず、転送パルスΦTXが、L(Low)レベルからH(High)レベルに変化することで、転送トランジスタ102がオン状態となる。同時に、リセットパルスΦRSTが、LレベルからHレベルに変化することで、リセットトランジスタ104がオン状態となる。これによって、光電変換素子101がリセットされる。
【0039】
続いて、転送パルスΦTXおよびリセットパルスΦRSTが、HレベルからLレベルに変化することで、転送トランジスタ102およびリセットトランジスタ104がオフ状態となる。これによって、全画素部の光電変換素子101のリセットが終了し、露光(信号電荷の蓄積)開始される。
【0040】
[期間T2の動作]
露光開始から一定期間が経過した後に、リセットパルスΦRSTが、Hレベル、Lレベルとパルス状に変化することで、リセットトランジスタ102がオン状態、オフ状態と変化する。これにより、全画素部のFD103がリセットされる。リセットパルスΦRSTが、LレベルからHレベルに変化すると同時に、選択パルスΦSELが、LレベルからHレベルに変化することで、選択トランジスタ107がオン状態となる。これにより、リセットされたFD103の信号が垂直信号線14に出力される。
【0041】
[期間T3の動作]
転送パルスΦTXが、LレベルからHレベルに変化することで、転送トランジスタ102が、オン状態になる。ここで、選択パルスΦSELは、Hレベルを維持しているので、選択トランジスタ107は、オン状態を維持している。これにより、光電変換素子101に蓄積した信号電荷が、垂直信号線14に出力される。
【0042】
上記のようにして、垂直信号線14に出力された2つの信号の差分を列処理回路14でとることにより、ノイズを除去した画像信号を得ることができる。ここでは、1行分の光電変換素子101の動作を説明した。同様の動作を、他の光電変換素子101についても行毎に順番に行う。
【0043】
図7(a)は、本実施形態の固体撮像装置における第M行目の画素部11から列処理部21までの配線を示す図である。
【0044】
図7(a)に示す第M行目の第1列目における画素部11−1と、第M行目の第2列目における画素部11−2と、第M行目の第3列目における画素部11−3と、第M行目の第4列目における画素部11−4は、第1の配線15を通じて、接続部30に電気的に接続されている。
【0045】
接続部30は、第2の配線23を通じて、列処理回路21に電気的に接続されている。
【0046】
画素部11−1、11−2、11−3、11−4の出力信号は、第1の配線15と、接続部30と、第2の配線23と、を介して、列処理回路21に入力される。
【0047】
列処理回路21は、画素部11−1、11−2、11−3、11−4の出力信号に対して,A/D変換を含む信号処理をする。
【0048】
水平走査回路22は、列処理回路21で処理された信号を読み出す。
【0049】
図7(b)は、本実施形態の固体撮像装置における第N行目の画素部11から列処理部21までの配線を示す図である(M≠N)。
【0050】
図7(b)に示す第N行目の第1列目における画素部11−1´と、第N行目の第2列目における画素部11−2´と、第N行目の第3列目における画素部11−3´と、第N行目の第4列目における画素部11−4´は、第1の配線15´を通じて、接続部30´に電気的に接続されている。
【0051】
接続部30´は、第2の配線23´を通じて列処理回路21´に電気的に接続されている。
【0052】
画素部11−1´、11−2´、11−3´、11−4´の出力信号は、第1の配線15´と、接続部30と、第2の配線23´と、を介して、列処理回路21に入力される
列処理回路21´は、画素部11−1´、11−2´、11−3´、11−4´の出力信号に対して、A/D変換を含む信号処理をする。
【0053】
水平走査回路22´は、列処理回路21´で処理された信号を読み出す。
【0054】
ここで、本実施形態の固体撮像装置は、第1の配線15の配線長と、第2の配線23の配線長との和が、列毎に略等しい。
【0055】
具体的には、画素部11−1と接続部30を結ぶ第1の配線15−1における配線長l1-1と、接続部30と列処理回路21を結ぶ第2の配線23における配線長l2との和(l1-1+l2)が、画素部11−1´と接続部30´を結ぶ第1の配線15−1´における配線長l1-1´と、接続部30´と列処理回路21´を結ぶ第2の配線23´における配線長l2´との和(l1-1´+l2´)が、略等しい。
【0056】
同様に、画素部11−2と接続部30を結ぶ第1の配線15−2における配線長l1-2と、接続部30と列処理回路21を結ぶ第2の配線23における配線長l2との和(l1-2+l2)が、画素部11−2´と接続部30´を結ぶ第1の配線15−2´における配線長l1-2´と、接続部30´と列処理回路21´を結ぶ第2の配線23´における配線長l2´との和(l1-2´+l2´)が、略等しい。
【0057】
同様に、画素部11−3と接続部30を結ぶ第1の配線15−3における配線長l1-3と、接続部30と列処理回路21を結ぶ第2の配線23における配線長l2との和(l1-3+l2)が、画素部11−3´と接続部30´を結ぶ第1の配線15−3´における配線長l1-3´と、接続部30´と列処理回路21´を結ぶ第2の配線23´における配線長l2´との和(l1-3´+l2´)が、略等しい。
【0058】
同様に、画素部11−4と接続部30を結ぶ第1の配線15−4における配線長l1-4と、接続部30と列処理回路21を結ぶ第2の配線23における配線長l2との和(l1-4+l2)が、画素部11−3´と接続部30´を結ぶ第1の配線15−4´における配線長l1-4´と、接続部30´と列処理回路21´を結ぶ第2の配線23´における配線長l2´との和(l1-4´+l2´)が、略等しい。
【0059】
画素部からの出力信号は、垂直信号線の配線抵抗による電圧が降下する。このため、列処理回路14への入力信号は、画素毎に異なるオフセットが重畳される。このオフセットの影響は、列処理回路14でリセットされた信号と画像信号との差分をとることで除去されるが、列処理回路14のオフセット抑圧比が無限大ではないため、固定パターンノイズとなって残ってしまう。さらに垂直信号線の配線抵抗が列毎に異なる場合は、列毎のオフセットが異なることになり、固定パターンノイズが縦筋となってあらわれる。配線抵抗の電圧降下に起因する縦筋の発生を抑圧するためには、垂直信号線の配線抵抗を列毎に等しくしなければならない。そのためには、列毎における第1の配線と第2の配線との配線抵抗の和は、列処理回路21で行われる信号処理結果に影響を与えない程度に等しくしなければならない。
【0060】
ここで、第1の配線と第2の配線との配線抵抗により許容できる電圧降下をΔV、画素
11−1から列処理回路21までの配線抵抗をR1、画素11−1´から列処理回路21´までの配線抵抗をR1´、第1の配線と第2の配線とに流れる電流をiとすると、第1列目では、以下の関係式が成り立つ。
[数1]
ΔV≧i(R1´−R1
画素11−1から列処理回路21までの配線抵抗をR1は、配線の抵抗率をρ、配線の断面積をSとすると、以下の式で表すことができる。
[数2]
1=ρ・(l1-1+l2)/S
画素11−1´から列処理回路21´までの配線抵抗をR1´は、配線の抵抗率をρ´、配線の断面積をS´とすると、以下の式で表すことができる。

[数3]
1´=ρ´・(l1-1´+l2´)/S´
数式2と数式3を、数式1に代入すると、以下の関係式が成り立つ。
[数4]
ρ・(l1-1´+l2´)/S−ρ´・(l1-1+l2)/S´≦ΔV/i

ここで、(l1-1´+l2´)は、第N行目の第1列目における第1の配線と第2の配線の配線長の和であり、(l1-1+l2)は、第M行目の第1行目における第1の配線と第2の配線の配線長の和である。これらの差が、数式4の右辺で示される値以下となればよい。
【0061】
例えば、第1の配線と第2の配線との配線抵抗により許容できる電圧降下ΔVを、A/
D変換の分解能を光電変換素子101の出力範囲に換算した値にした場合は、ΔVは、以
下のとおりになる。
[数5]
ΔV=(光電変換素子の出力範囲)/(A/D変換の分解能)
ここで、光電変換素子の出力範囲を1.2[V]、A/D変換の分解能を12ビットとしたとき、数式5は、以下のとおりになる。
[数6]
ΔV=1.2[V]/212
また、第1の配線と第2の配線のいずれもが、アルミで構成され(ρ=ρ´=2.65×10-8[Ω/m])、配線の厚さが、0.25×10-6[m]、配線幅が、0.25×10-6[m](S=S´=0.25×10-6[m]×0.25×10-6[m])、第1の配線と第2の配線に流れる電流iを6.0×10-6[A]とし、ΔVが数式6の値である
場合には、数式4は、以下のとおりになる。
[数7]
(l1-1´+l2´)−(l1-1+l2)≦1.15×10-3[m]
この場合、列毎の第1の配線と第2の配線における配線長の和の差分が、1.15×10-3[m]以下であれば、列毎の第1の配線と第2の配線における配線長は、略等しいことになる。
【0062】
なお、上記計算では、列毎の第1の配線と第2の配線における配線長が、略等しい例の一例を示したものであり、例えば、第1の配線と第2の配線が、銅で構成される場合には、数式2と数式3における抵抗率ρを、銅の抵抗率(1.68×10-8[Ω/m])にして計算すればよい。
【0063】
また、上記計算では、第1の配線と第2の配線に流れる電流iを6.0×10-6[A]としたが、第1の配線と第2の配線に流れる電流iが異なる電流値となる場合には、数式4に、その異なる電流値を代入して計算すればよい。
【0064】
また、上記計算では、光電変換素子の出力範囲を1.2V、A/D変換の分解能を12ビットとして計算したが、これに限らず、光電変換素子の出力範囲や、A/D変換の分解能が異なる場合には、数式5に、適宜異なる値を代入して計算すればよい。
【0065】
また、上記計算では、配線の断面積Sが同じ場合について、説明したが、これに限らず、列毎に配線幅や配線厚さ等が異なる場合には、数式2と数式3における断面積Sを適宜変更して計算すればよい。
【0066】
このように、本実施形態における固体撮像装置1は、第1の配線における配線長と、第2の配線長との和が、列毎に略等しいので、画素部11から列処理回路21までの配線抵抗が列毎に略等しい。このため、同じ光量の光を画素部11に入力した場合に、列処理回路21から出力される信号は、列毎に等しくなる。よって、各列における配線抵抗の違いにより発生する電圧降下のばらつきを抑制することができ、電圧降下のばらつきに起因するノイズを抑制することができる。
【0067】
以上のことから、本実施形態における固体撮像装置1は、高品質な画像信号を生成することができる。
【0068】
(第2の実施形態)
次に、第1の実施形態の固体撮像装置1を搭載した撮像装置について説明する。図8は、本発明の実施形態による固体撮像装置1を搭載した撮像装置(例えば、デジタル一眼カメラ、内視鏡、顕微鏡等)の概略構成を示したブロック図である。
【0069】
図8に示した撮像装置7は、レンズユニット部2、固体撮像装置1、画像信号処理装置3、記録装置4、カメラ制御装置5、表示装置6から構成される。
【0070】
レンズユニット部2は、カメラ制御装置5によってズーム、フォーカス、絞りなどが駆動制御され、被写体像を固体撮像装置1に結像させる。
【0071】
固体撮像装置1は、第1の実施形態の固体撮像装置1である。固体撮像装置1は、カメラ制御装置5によって駆動・制御され、レンズユニット部2を介して固体撮像装置1内に入射した被写体光を電気信号に変換し、入射光量に応じた画像信号を画像信号処理装置3に出力する。
【0072】
画像信号処理装置3は、固体撮像装置1から入力された画像信号に対して、信号の増幅、画像データへの変換および各種の補正、画像データの圧縮などの処理を行う。画像信号処理装置3は、各処理における画像データの一時記憶手段として図示しないメモリを利用する。
【0073】
記録装置4は、半導体メモリなどの着脱可能な記録媒体であり、画像データの記録または読み出しを行う。
【0074】
カメラ制御装置5は、撮像装置7の全体の制御を行う制御装置である。
【0075】
表示装置6は、固体撮像装置1に結像され、画像信号処理装置3によって処理された画像データ、または記録装置4から読み出された画像データに基づく画像を表示する液晶などの表示装置である。
【0076】
上記に述べたように、本実施形態の撮像装置7は、第1の実施形態の固体撮像装置1を搭載する。これにより、本実施形態の撮像装置7に備えた画像信号処理装置3は、列毎の配線抵抗のばらつきに起因するノイズを抑制した画像データを生成することができる。このことより、本実施形態の撮像装置7では、高品質な画像データを出力することができる。
【0077】
なお、本発明における具体的な構成は、本発明を実施するための形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更をすることができる。また、本発明における回路構成および駆動方法の具体的な構成は、本発明を実施するための形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更をすることができる。
【0078】
また、単位画素の行方向および列方向の配置は、本発明を実施するための形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において単位画素を配置する行方向および列方向の数を変更することができる。
【0079】
また、本発明の実施形態に係る固体撮像装置は、2枚の基板が接続部により接続されていてもよいし、3枚以上の基板が接続部で接続されていてもよい。3枚以上の基板が接続部で接続される固体撮像装置の場合、そのうちの2枚が請求項に係る第1の基板と第2の基板に相当する。
【0080】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
【符号の説明】
【0081】
1・・・固体撮像装置、2・・・レンズユニット部、3・・・画像信号処理装置、4・・・記録装置、5・・・カメラ制御装置、6・・・表示装置、7・・・撮像装置、10・・・第1の基板、11・・・画素部、11−1〜11−4・・・画素部、11−1´〜11−4´・・・画素部、12・・・垂直走査回路、13・・・制御信号線、14・・・垂直信号線、20・・・第2の基板、21・・・列処理回路、21´・・・列処理回路、22・・・水平走査回路、22´・・・水平走査回路、30・・・接続部、30´・・・接続部、101・・・光電変換素子、102・・・転送トランジスタ、103・・・FD(フローティングディフュージョン)、104・・・リセットトランジスタ、105・・・増幅トランジスタ、106・・・電流源、107・・・選択トランジスタ、



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8