特許第6033181号(P6033181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6033181画像形成装置及び画像形成装置の発光量補正方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033181
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成装置の発光量補正方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/447 20060101AFI20161121BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20161121BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20161121BHJP
   B41J 2/45 20060101ALI20161121BHJP
   H04N 1/036 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   B41J2/447 101Q
   B41J2/447 101Z
   B41J2/447 101B
   B41J29/38 Z
   B41J29/00 B
   B41J2/45
   H04N1/036 A
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-156441(P2013-156441)
(22)【出願日】2013年7月29日
(65)【公開番号】特開2015-24606(P2015-24606A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2015年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】591044164
【氏名又は名称】株式会社沖データ
(74)【代理人】
【識別番号】100089093
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 健治
(72)【発明者】
【氏名】小林 隆
【審査官】 牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−325891(JP,A)
【文献】 特開2011−170090(JP,A)
【文献】 特開平11−174760(JP,A)
【文献】 特開2011−48317(JP,A)
【文献】 特許第3136099(JP,B2)
【文献】 特開2002−261763(JP,A)
【文献】 特開平7−42426(JP,A)
【文献】 特開2005−316229(JP,A)
【文献】 特開2007−188022(JP,A)
【文献】 特開2006−315340(JP,A)
【文献】 特開2007−30209(JP,A)
【文献】 特開2005−234685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 2/447
B41J 2/45
B41J 29/00
H04N 1/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子を備えた発光ヘッドと、
前記発光ヘッドを識別する個別識別情報及び前記発光素子の発光量を補正する補正情報を格納する第1の補正情報格納手段とを有し、
更に、前記発光ヘッドは、前記個別識別情報を格納し、前記補正情報を格納しない個別識別情報格納手段を有する第1の発光ヘッド又は前記個別識別情報及び前記補正情報を格納する第2の補正情報格納手段を有する第2の発光ヘッドのいずれかであり、
前記第1の発光ヘッドの前記個別識別情報格納手段又は前記第2の発光ヘッドの前記第2の補正情報格納手段に格納した前記補正情報の有無に基づいて、前記第1の補正情報格納手段又は前記第2の補正情報格納手段に格納した前記補正情報のいずれを使用するかを決定する補正情報決定手段を有し、
前記補正情報決定手段が決定した前記補正情報に基づいて前記発光素子の発光量を補正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記発光ヘッドは、前記第1の発光ヘッド、前記第2の発光ヘッド並びに前記個別識別情報を格納する情報格納手段及び前記補正情報を格納する前記情報格納手段のいずれも有さない第3の発光ヘッドのいずれか一であり、
前記補正情報決定手段は、前記第1乃至第3の発光ヘッドのいずれか一に係る前記補正情報の有無に基づいて、前記第1の補正情報格納手段又は前記第2の補正情報格納手段に格納した前記補正情報のいずれを使用するかを決定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記補正情報を格納するデータベースとネットワークを介して接続され、
前記補正情報決定手段が、前記第1の補正情報格納手段又は前記第2の補正情報格納手段に格納した前記補正情報のいずれを使用するかを決定することができないとき、前記データベースを検索することにより、前記補正情報を取得することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記発光ヘッドの前記個別識別情報を格納する情報格納手段は、
前記発光ヘッドに設けられた複数の電気的なコンタクトと、
導電性を有し、前記コンタクトの位置に選択的に穴が設けられた個別識別情報シールとを有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか一記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記個別識別情報は、前記発光ヘッドの種別データ及び製造シリアル番号であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか一記載の画像形成装置。
【請求項6】
オペレータが各種設定を入力するオペレーションパネルを有し、
前記オペレータパネルからの指示により、前記発光ヘッドと、前記第1の補正情報格納手段に格納している補正データとの対応を示す補正データリストを印刷可能としたことを特徴とする請求項1乃至4いずれか一記載の画像形成装置。
【請求項7】
発光素子に対して発光量を補正するための補正情報を前記発光素子に供給する画像形成装置の発光量補正方法において、
複数の発光素子を備えた発光ヘッドに対して、発光データを供給する発光データ供給工程と、
前記発光ヘッドを識別する個別識別情報及び前記発光素子の発光量を補正する前記補正情報を装置内の第1の補正情報格納手段に格納する補正情報格納工程と、
前記個別識別情報を格納し、前記補正情報を格納しない個別識別情報格納手段を有する第1の発光ヘッド又は前記個別識別情報及び前記補正情報を格納する第2の補正情報格納手段を有する第2の発光ヘッドから、前記個別識別情報格納手段又は前記第2の補正情報格納手段の格納内容を読み出す格納内容読出工程と、
前記格納内容読出工程で読み出した格納内容から前記補正情報の有無を判別する補正情報判別工程と、
前記補正情報判別工程の結果、前記第1の補正情報格納手段又は前記第2の補正情報格納手段に格納した前記補正情報のいずれを使用するかを決定する補正情報決定工程と、
前記補正情報決定工程で決定した前記補正情報に基づいて前記発光素子の発光量を補正する発光量補正工程を含むことを特徴とする画像形成装置の発光量補正方法。
【請求項8】
前記格納内容読出工程は、前記第1の発光ヘッド、前記第2の発光ヘッド並びに前記個別識別情報を格納する情報格納手段及び前記補正情報を格納する前記情報格納手段のいずれも有さない第3の発光ヘッドのいずれか一から格納内容を読み出すことを特徴とする請求項7記載の画像形成装置の発光量補正方法。
【請求項9】
ネットワークを介してデータベースに格納された前記補正情報を検索可能とするデータベース検索工程と、
前記補正情報決定工程において、前記第1の補正情報格納手段に格納した前記補正情報又は前記第2の発光ヘッドの前記第2の補正情報格納手段に格納した前記補正情報がないとき、前記データベースを検索することにより前記補正情報を取得することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置の発光量補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ヘッドを持つ電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式のプリンタにおける露光部としての発光ヘッドでは、LEDからなる発光素子毎の発光量をできる限り揃えるため、当該LEDヘッド内に不揮発性記憶素子を備え、各LEDの発光素子への駆動電流を個別に補正する補正データを設定することが行われている。
【0003】
特許第3136099号公報(特許文献1)には、製造の際、試験機から入力される補正データをLEDドライバへ送出し、発光量の確認と調整を行うとともに、補正値確定後は切り替えて2次記憶回路に補正データを書き込むようにし、これにより補正データの保持を行っていた。これは不揮発性記憶素子を使用しているため、電源を切っても補正データが消えることなくLEDヘッドに記憶される。そして、LEDヘッドの交換においても、適正な補正値データをプリンタ本体に供給することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3136099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1による技術によれば、補正情報の保持のため発光ヘッド毎にEEPROMなどの記憶手段を備える必要があった。一方、画像形成装置本体には記憶手段が比較的豊富にあり、これらを有効活用することが求められている。更に、昨今の省エネ、省コスト、環境保全の立場では僅かであっても部品数の削減が必要であり、削減できる工夫も求められている。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、発光ヘッド毎に備えた補正情報の保持のための記憶手段を発光ヘッドから削減した画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に関する画像形成装置は、複数の発光素子を備えた発光ヘッドと、前記発光ヘッドを識別する個別識別情報及び前記発光素子の発光量を補正する補正情報を格納する第1の補正情報格納手段とを有し、更に、前記発光ヘッドは、前記個別識別情報を格納し、前記補正情報を格納しない個別識別情報格納手段を有する第1の発光ヘッド又は前記個別識別情報及び前記補正情報を格納する第2の補正情報格納手段を有する第2の発光ヘッドのいずれかであり、前記第1の発光ヘッドの前記個別識別情報格納手段又は前記第2の発光ヘッドの前記第2の補正情報格納手段に格納した前記補正情報の有無に基づいて、前記第1の補正情報格納手段又は前記第2の補正情報格納手段に格納した前記補正情報のいずれを使用するかを決定する補正情報決定手段を有し、前記補正情報決定手段が決定した前記補正情報に基づいて前記発光素子の発光量を補正することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、発光素子の発光量を補正する補正情報及び前記発光ヘッドを識別する個別識別情報を格納する第1の補正情報格納手段を画像形成装置本体に設けたことを特徴とするものである。上記構成を有する本発明によれば、補正情報の保持のため発光ヘッド毎に備えた記憶手段を発光ヘッドから削減することができる。
【0009】
従って、画像形成装置の工場においては製品としての出荷用発光ヘッドには補正情報は書き込まない。その代わりに、画像形成装置本体の第1の補正情報格納手段に補正情報を書き込むことになる。一方、製品の保守のために使用する保守用発光ヘッドというものもある。当該保守用発光ヘッドは、画像形成装置において、不具合のあった発光ヘッドの交換用のヘッドである。保守用発光ヘッドは、交換の容易性及び運搬の容易性から前記補正情報を当該保守用発光ヘッドに格納せざるを得ないものである。そうすると、画像形成装置からみると、補正情報を格納しない第1の発光ヘッド(前記出荷用発光ヘッド)と補正情報を格納する第2の発光ヘッド(交換済みの保守用発光ヘッド)との2種類の発光ヘッドが搭載されることになる。
【0010】
本発明は、画像形成装置本体に補正情報決定手段を設けたことを更なる特徴とするものである。これにより前記第1の発光ヘッド又は前記第2の発光ヘッドの補正情報の有無に基づいて、画像形成装置本体にある第1の補正情報格納手段又は第2の発光ヘッドにある前記第2の補正情報格納手段の補正情報のいずれを使用するかを決定するようにした。これにより、保守によって新しく交換された保守用としての第2の発光ヘッドが搭載されても、交換前の第1の発光ヘッドと同様に各発光素子への駆動電流を個別に補正することができる画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態に関する画像形成装置1の主要ブロック図である。
図2】画像形成装置1の画像形成部2の簡略断面を示す説明図である。
図3】LEDヘッド3と感光部15の外観を示す説明図である。
図4】第1の実施の形態に関するネットワーク接続図である。
図5】第1の実施の形態に関するCPU110の機能ブロック図である。
図6】第1の実施の形態に関する第1の補正情報格納手段11の格納内容を示す説明図である。
図7】第1の実施の形態に関する出荷用LEDヘッド3−1のブロック図である。
図8】第1の実施の形態に関する保守用LEDヘッド3−2のブロック図である。
図9】第1の実施の形態に関するLEDヘッド3のLEDヘッドアレイ部20のブロック図である。
図10】第1の実施の形態に関する補正回路235のブロック図である。
図11】第1の実施の形態に関する画像形成装置1のCPU110の動作を示すフローチャートである。
図12】第1の実施の形態に関するLEDヘッド3へ送られる補正データ27の信号波形を示す説明図である。
図13】第1の実施の形態に関するLEDヘッド3へ送られる画像データの信号波形を示す説明図である。
図14】第1の実施の形態に関する補正データリスト49の説明図である。
図15】第1の実施の形態の変形例1に関する のブロック図である。
図16】第1の実施の形態の変形例1に関する画像形成装置1のCPU110の動作を示すフローチャートである。
図17】第1の実施の形態の変形例2に関する画像形成装置1のCPU110の動作を示すフローチャートである。
図18】第2の実施の形態に関する個別識別情報読取回路58を示す回路図である。
図19】第2の実施の形態に関する個別識別情報26の読出し信号を示す波形図である。
図20】第2の実施の形態に関する識別端子付きLEDヘッド60の外観図である。
図21図20(b)の一部拡大図である。
図22】第2の実施の形態に関する識別端子付きLEDヘッド60の横断面図である。
図23】第2の実施の形態に関する識別端子付きLEDヘッド60に個別識別情報シール61を貼付けた状態を示す説明図である。
図24】個別識別情報シール61を貼付けた状態の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は第1の実施の形態に関する画像形成装置1の主要ブロック図である。画像形成装置1はカラー機対応の電子写真方式のタンデム式プリンタである。画像形成装置1は、オペレータが各種設定を入力するオペレーションパネル103を有する。また、画像形成装置1は、ネットワークI/F104を有し、LANケーブル104−1を介して上位装置としてのホストコンピュータ100に接続される。また、画像形成装置1は、USBメモリI/F105を有し、USBメモリ105−1を接続可能とし、図示しない制御基板の交換時に補正データ27の退避又は取り込みに使用する。ROM106は、画像形成装置1の動作に必要なプログラムを格納する。また、RAM107は、CPU110の動作に必要なワークメモリ及び画像の編集及び画像データの生成に使用する。
【0013】
LEDヘッド制御部108は、発光ヘッドとしてのLEDヘッド3に対して次の三つの機能を有する。即ち、第1にRAM107に生成された画像データを発光ヘッド(以下LEDヘッド3という)に送出することである。第2にLEDヘッド3の補正情報としての補正データ27又は個別識別情報26をLEDヘッド3から読み出すことである。補正データ27はLEDヘッド3の発光素子の発光量を補正するためのデータであり、個別識別情報26はLEDヘッド3を識別するための情報である。第3に補正データ27を再びLEDヘッド3に書き込むことである。
【0014】
第1の補正情報格納手段11は、図6において後述するようにLEDヘッド3の個別識別情報26と、個別識別情報26の製造シリアル番号46に対応した補正データ27を格納する。このように第1の補正情報格納手段11は画像形成装置1本体に設けられる。
【0015】
画像形成部2は、電子写真方式によって後述する印刷媒体10に画像を形成する。画像形成部2は露光装置としてのLEDヘッド3を含んで構成される。LEDヘッド3には、図7及び図8において後述するように出荷用LEDヘッド3−1及び保守用LEDヘッド3−2がある。図1に示すものは出荷用LEDヘッド3−1である。出荷用LEDヘッド3−1には、出荷用LEDヘッド3−1の製造シリアル番号46を書込んだ後述する個別識別情報格納手段21を含んで構成される。
【0016】
図2は画像形成装置1の画像形成部2の簡略断面を示す説明図である。印刷媒体10は媒体収納部9から画像形成部2へ矢印A方向に搬送される。画像形成部2は感光ドラムからなる複数の感光部15、帯電部11、LEDヘッド3a〜3d及び現像部14を有する。更に、画像形成部2は転写部13及び定着部16を有する。帯電部11は矢印B方向に回転する感光部15の表面を一様に帯電させる。LEDヘッド3a〜3dは一様に帯電された感光部15の表面を選択的に露光し、静電潜像を形成する。当該LEDヘッド3a〜3dは、後述するように複数の発光素子としてのLEDを主走査方向に配置して構成される。そして、LEDヘッド3a〜3dは、イエロー、マゼンダ、シアン、黒の4色に対応して設けられる。
【0017】
現像部14は、LEDヘッド3a〜3dによって形成された静電潜像にトナーを付着させて現像する。これら感光部15、帯電部11及び現像部14はイメージドラムユニットとして交換可能に構成される。カラータンデム機としての画像形成装置1は、イエロー、マゼンダ、シアン、黒の4色に対応する4つのイメージドラムユニットを有する。転写部13は、感光部15の表面に現像されたトナー像を印刷媒体10に転写する。更に、定着部16は、印刷媒体10に転写されたトナー像を熱及び圧力により印刷媒体10に定着させる。更に、画像形成部2は、印刷媒体10の搬送用の図示しないローラ類及びこれらを作動させる図示しない機構部を備えている。
【0018】
画像形成装置1はホストコンピュータ100からネットワークI/F104を介して画像データを受信すると、次のように動作する。即ち、CPU110は受信した画像データを編集し、図示しない機構部を動作させる。そして、画像データをLEDヘッド制御部108を介してLEDヘッド3a〜3dへと送信する。LEDヘッド3a〜3dは画像データに基づいて指定された発光素子としてのLEDを点滅させ、感光部15に静電潜像を形成する。感光部15に形成された静電潜像は現像部14によりトナーが付着されトナー像に変える。感光部15が印刷媒体10に接すると、印刷媒体10の裏面から掛けられた高電圧によりトナー像が印刷媒体10に吸着する。こうしてトナー像が吸着した印刷媒体10は高温の定着部16に搬送され、印刷媒体10に定着することになる。
【0019】
図3はLEDヘッド3と感光部15の外観を示す説明図である。印刷媒体10の搬送方向は矢印A方向であり、矢印A方向に垂直な方向、即ち印刷媒体10の幅方向が主走査方向である。LEDヘッド3は主走査方向に複数の発光素子としてのLEDが並べて設けられ、主走査方向に長い構造になっている。感光部15もLEDヘッド3に平行に円筒形をなしている。LEDヘッド3は感光部15に密着して設けられる。図では分かり易くするため間隔を置いて図示してある。図におけるLEDヘッド3と感光部15との間の矢印は複数の発光素子としてのLEDの光線を示す。
【0020】
図4は第1の実施の形態に関するネットワーク接続図である。ネットワーク252はインターネット接続である。特定の場所に限定されず、WAN(広域通信ネットワーク)を介してどこでも接続が可能である。LEDヘッド工場30は部品としてのLEDヘッド3を製造する工場である。プリンタ組立工場40はLEDヘッド3をはじめとした全ての部品を組み立ててプリンタとしての画像形成装置1を完成させる工場である。
【0021】
LEDヘッド工場30において、LEDヘッド試験機251はLEDヘッド3のLED毎の平均的な発光パワーを測定する。そして、その測定結果をもとにLEDヘッド3のLED毎の発光量がほぼ均一になるように各発光素子への駆動電流を補正するための補正データ27を作成する。そして、製造シリアル番号46と共に、当該補正データ27をデータベース250に格納する。そして、作業員は、製造シリアル番号46が表示されたバーコードラベル28をLEDヘッド3に貼り付ける。なお、LEDヘッド工場30は、後述するように製品として画像形成装置1に搭載される出荷用LEDヘッド3−1(図7参照)と、製品の保守のために使用する保守用LEDヘッド3−2(図8参照)の両方を製造する。出荷用LEDヘッド3−1は個別識別情報格納手段21を有し、保守用LEDヘッド3−2は第2の補正情報格納手段22を有する。詳細については後述する。
【0022】
その後、プリンタ組立工場40において、出荷用LEDヘッド3−1をはじめとした各部品の組み立てが行われ、未完成品としての画像形成装置1が組み上がる。組立工場試験機253は未完成品としての画像形成装置1に対して、出荷用LEDヘッド3−1に貼られたバーコードラベル28から前記製造シリアル番号46を読み取る。そして、組立工場試験機253は、ネットワーク252を介して、LEDヘッド工場30のデータベース250から前記製造シリアル番号46に対応する前記補正データ27を取り出す。そして、組立工場試験機253は、データベース250から取り出した補正データ27を当該画像形成装置1内の前記第1の補正情報格納手段11に書き込む。従って、プリンタ組立工場40においては、製品としての出荷用LEDヘッド3−1には補正データ27は書き込まない。その代わりに、画像形成装置1本体の第1の補正情報格納手段11に補正データ27を書き込むことになる。一方、製品の保守のために使用する保守用LEDヘッド3−2は、交換の容易性及び運搬の容易性から前記補正データを当該保守用LEDヘッド3−2に格納する。保守用LEDヘッド3−2は、LEDヘッド工場30において、データベース250から取り出した補正データ27を保守用LEDヘッド3−2の後述する第2の補正情報格納手段22に書き込むことになる。
【0023】
プリンタ組立工場40において、その後、完成した画像形成装置1の印刷動作において、LEDヘッド制御部108は、前記上位のコンピュータから受信する画像データをLEDヘッド3へ送信する。そして、LEDヘッド制御部108は、前記第1の補正情報格納手段11から補正データ27を読み出し、LEDヘッド3へ書き込むことができる。
【0024】
また、画像形成装置1の保守においては、補正データ27を格納した第2の補正情報格納手段22を保守用LEDヘッド3−2が使用される。出荷用LEDヘッド3−1から保守用LEDヘッド3−2へ交換され、保守用LEDヘッド3−2に格納された補正データが使用されることになる。しかしながら、画像形成装置1を直接又はホストコンピュータ100を介してネットワーク252に接続し、LEDヘッド工場30のデータベース250を検索することにより、前記補正データ27を得ることもできる。データベース250から得られた補正データ27は、図示しない書込手段により前記第1の補正情報格納手段11に書き込めばよい。
【0025】
図5は第1の実施の形態に関するCPU110の機能ブロック図である。同図は本発明に関連する機能のみ図示してある。CPU110のプリンタ制御部112はROM106に格納されたプログラムによって動作し、CPU110内の各部を制御する。
【0026】
LEDヘッド補正情報決定部113は、LEDヘッド制御部108が読み出した出荷用LEDヘッド3−1の個別識別情報格納手段21又は保守用LEDヘッド3−2の第2の補正情報格納手段22の情報格納手段の種類、換言すれば、格納された補正データ27の有無を判別する。補正データ27の有無を判別する理由は、運用時に画像形成装置1に搭載されているのは、補正データ27を格納しない出荷用LEDヘッド3−1及び補正データ27を格納する交換済みの保守用LEDヘッド3−2の2種類が存在することになり、この相違を画像形成装置1が判別する必要があるからである。
【0027】
LEDヘッド補正情報決定部113は、補正データ27の有無に基づいて、第1の補正情報格納手段11又は第2の補正情報格納手段22のいずれかに格納された補正データ27を使用するかを決定する。具体的には、図7に示す出荷用LEDヘッド3−1の個別識別情報格納手段21には、個別識別情報26が格納されているが、補正データ27は格納されていない。従ってその場合、LEDヘッド補正情報決定部113は、図6に示す第1の補正情報格納手段11に格納されている補正データ27を使用することを決定する。一方、図8に示す保守用LEDヘッド3−2の第2の補正情報格納手段22には、個別識別情報26と補正データ27が格納されている。従ってこの場合、LEDヘッド補正情報決定部113は、当該第2の補正情報格納手段22に格納されている補正データ27を使用することを決定する。これにより、保守によって新しく交換された保守用LEDヘッド3−2が搭載されても、交換前の出荷用LEDヘッド3−1と同様に各LED237への駆動電流を個別に補正することができる。
【0028】
画像データ編集部114は、ホストコンピュータ100からネットワークI/F104を介して受信した画像データを編集する。編集された画像データはLEDヘッド制御部108を介して画像形成部2に送られ、画像形成される。機構制御部115は、画像形成部2の図示しない機構部の動作を制御する。
【0029】
図6は第1の実施の形態に関する第1の補正情報格納手段11の格納内容を示す説明図である。第1の補正情報格納手段11は個別識別情報26及びこれに対応する補正情報としての補正データ27を格納する。個別識別情報26は、例えばA4用LEDヘッド及びLEDのドット密度等からなる種別データ45並びに製造シリアル番号46である。補正データ27は、個別識別情報26のうち、製造シリアル番号46に対応する発光量補正データ47である。個別識別情報26は、イエロー、マゼンダ、シアン、黒用の4個有し、これに対応して補正データ27も4個有する。
【0030】
画像形成装置1を前記プリンタ組立工場40で組み立てる際、画像形成装置1に取り付けるLEDヘッド3の製造シリアル番号46に対応する補正データ27を画像形成装置1本体の第1の補正情報格納手段11に格納する。第1の補正情報格納手段11は部品としてはROMで構成し、具体的なROM種類としてはNANDFlashなどの大容量の不揮発性メモリである。この大容量の不揮発性メモリに、当該補正データ27と他の情報を共有して格納してもよい。フォントデータなどのデータ量は数十MByteであるのに対して補正データ27は数十KByteと小さい。そのため、補正データ27のために特別に記憶手段を持つ必要はなく、共有している不揮発性メモリの一部を使用する。
【0031】
補正データ27はLEDヘッド3の製造シリアル番号46に対応する。ここで、LEDヘッド3a〜3dは、イエロー、マゼンダ、シアン、黒の4色に対応しており、製造シリアル番号は異なるが、いずれも同じ仕様である。このことから、例えば黒用のLEDヘッド3aにドット不良があり、記録媒体上の黒い画像にこのドットの不良が原因で白筋が出る場合がある。そのとき、ユーザが黒用のLEDヘッド3aと他色、例えば黄色用のLEDヘッド3bと交換して印刷しようというときが想定される。このような理由でLEDヘッド3a〜3dが交換されたとしても、LEDヘッド3の個別識別情報26、特に製造シリアル番号46を格納するので、製造シリアル番号46に対応した補正データ27を特定できる。
【0032】
図7は第1の実施の形態に関する出荷用LEDヘッド3−1のブロック図である。製品となる画像形成装置1に搭載される第1の発光ヘッドとしての出荷用LEDヘッド3−1は、LEDヘッドアレイ部20と個別識別情報格納手段21を有する。出荷用LEDヘッド3−1は、画像形成装置1の中にイエロー、マゼンダ、シアン、黒用の4個有する。出荷用LEDヘッド3−1の個別識別情報格納手段21は補正データ27を格納しない。個別識別情報格納手段21に格納された個別識別情報26は、種別データ45及び出荷用LEDヘッド3−1を識別する製造シリアル番号46などが含まれる。製造シリアル番号46はイエロー、マゼンダ、シアン、黒用の4個毎に異なる。LEDヘッド3は、LEDヘッド制御部108と接続され(図1参照)、画像データと補正データ27の書込みは、クロック31、データ32、ラッチ信号33、ストローブ信号34及びロード信号35を介して行われる。また、個別識別情報26の読出しは、EEクロック36、EEデータ37及びEEデータ選択信号38を介して行われる。
【0033】
個別識別情報格納手段21はEEPROMなどの不揮発性メモリである。EEPROMは容量により当然価格が異なるが、容量の大きなものは高価であり、少ないものは安価である。補正データ27はEEPROMの容量としては大きな容量を必要とする。よって補正データ27を格納するEEPROMは高価となる。一方、当該個別識別情報26は数十Byte程度である。よって、個別識別情報格納手段21は最も小さいEEPROMにすることができ、価格も安価に抑えることができる。
【0034】
図8は第1の実施の形態に関する保守用LEDヘッド3−2のブロック図である。第2の発光ヘッドとしての保守用LEDヘッド3−2は、LEDヘッドアレイ部20と第2の補正情報格納手段22を有する。保守用LEDヘッド3−2は、画像形成装置1の中にイエロー、マゼンダ、シアン、黒用の4個有する。第2の補正情報格納手段22は、個別識別情報26と補正情報としての補正データ27を格納する。個別識別情報26は種別データ45及び保守用LEDヘッド3−2を識別する製造シリアル番号46などが含まれる。補正データ27は発光量補正データ47である。製造シリアル番号46及び補正データ27はイエロー、マゼンダ、シアン、黒用の4個毎に異なる。
【0035】
LEDヘッド3はLEDヘッド制御部108と接続され(図1参照)、画像データと補正データ27の書込みは、クロック31、データ32、ラッチ信号33、ストローブ信号34及びロード信号35を介して行われる。また、補正データ27の読出しはEEクロック36、EEデータ37、EEデータ選択信号38を介して行われる。第2の補正情報格納手段22の容量は数十Kbyteである。
【0036】
図9は第1の実施の形態に関するLEDヘッド3のLEDヘッドアレイ部20のブロック図である。シフトレジスタ230はクロック31に同期して、データ32を順にシフトして取り込む。ラッチ回路231は、シフトレジスタ230に取り込んだ1ライン分のデータを一斉に取り込む。1個のLEDヘッドアレイ部20内に発光素子としてのLED237がNo.1〜No.4992設けられる。各発光素子としてのLED237は、ANDゲート232、LED用電源としてのVDD234、補正回路235、FET236とともにドットを構成する。
【0037】
まず、LEDヘッド制御部108より送信されたデータ32がクロック31に同期してシフトレジスタ230により取り込まれる。1ライン分がシフトレジスタ230にシフトされ取り込まれると、次にラッチ信号33により後段のラッチ回路231に一斉に取り込まれる。次にストローブ信号34により、ANDゲート232をONし、FET236をドライブする。次に説明する補正回路235により各LEDが同等の発光量になるように調整された駆動電流がLED237に流れ、こうしてLED237が発光する。
【0038】
図10は第1の実施の形態に関する補正回路235のブロック図である。補正回路235は、シリアルパラレル変換回路250とトランジスタ252a〜252e及び抵抗251から構成される。そして、補正回路235は、ロード信号35、ストローブ信号34及びラッチ信号33を入力とする。補正データ27の設定時は、データ32をシリアルインSINから取り込み、内部の図示しないシフト回路によりシフトし、シリアルパラレル変換回路250の各ポートA〜Eに出力する。この出力によりトランジスタ252a〜252eをON又はOFFする。
【0039】
LED発光時は、トランジスタ252a〜252eのON又はOFF状態を保持したままとなり、VDD234端子からFET236端子間の抵抗値を制限する。トランジスタ252a〜252eをこのように構成する理由は、発光量を均一になるように補正するためである。より具体的には、同一アレイユニット内のLEDの発光量の差をできる限り少なくするようにするためである。例えば、あるLED237の発光効率が低い場合には、トランジスタ252a〜252eを全てオンにすることにより、多くの駆動電流によってLED237を駆動する。一方、発光効率が極めて高い場合には、トランジスタ252a〜252eを全てオフにすることにより、少しの駆動電流によってLED237を駆動する。LED237の発光効率がその間である場合には、トランジスタ252a〜252eを選択的にオンにすることにより、LED237の発光量がほぼ均一になるように補正している。さらに、他のLEDについても。LED237と同様にして発光量を調整する。
【0040】
図11は第1の実施の形態に関する画像形成装置1のCPU110の動作を示すフローチャートである。
S100:電源が入るとCPU110は、各部に対し動作を開始するよう指示する。
S101:画像形成部2には、出荷用LEDヘッド3−1又は保守用LEDヘッド3−2のいずれかが搭載されている。CPU110はLEDヘッド制御部108に対し、画像形成部2の出荷用LEDヘッド3−1における個別識別情報格納手段21又は保守用LEDヘッド3−2における第2の補正情報格納手段22に格納されているデータを読み出すよう指示する。格納されているデータに補正データ27がある場合(図8参照)又は個別識別情報26のみの場合(図7参照)のいずれかである。
【0041】
S102:CPU110のプリンタ制御部112は、LEDヘッド補正情報決定部113に対し、読み出したデータに補正データ27が含まれているかいないか判別するよう指示する。LEDヘッド補正情報決定部113は、補正データ27の有無に基づいて判別する。補正データ27が含まれている場合はステップ103へ移行し、補正データ27が含まれていない場合はステップ104へ移行する。
【0042】
S103:ステップ102において補正データ27が含まれている場合、画像形成装置1に搭載されているLEDヘッド3は保守用LEDヘッド3−2である。CPU110のプリンタ制御部112は、LEDヘッド補正情報決定部113に対し、保守用LEDヘッド3−2の第2の補正情報格納手段22に格納されている補正データ27を使用することを決定するよう指示する。そしてCPU110は、LEDヘッド制御部108に対し、この補正データ27を読み出すよう指示する。そして、補正データ27を第1の補正情報格納手段11に格納するよう指示する。更に、CPU110は、LEDヘッド制御部108に対し、第1の補正情報格納手段11に格納した補正データ27を再度LEDヘッド3に送出するよう指示する。こうしてLEDヘッド3は補正データ27に基づいてLED237の発光量を補正する。
【0043】
なお、補正データ27はイエロー、マゼンダ、シアン、黒の4色に対応しており、各色のLEDヘッド3a〜3dに送出する。この補正データ27は前記プリンタ組立工場40において、保守用LEDヘッド3−2に貼られたバーコードラベル28に基づいて、データベース250から取り出されて、第2の補正情報格納手段22に格納された補正データ27である(図8参照)。
【0044】
S104:ステップ102において補正データ27が含まれていない場合、画像形成装置1に搭載されているLEDヘッド3は出荷用LEDヘッド3−1である。CPU110はLEDヘッド制御部108に対し、出荷用LEDヘッド3−1の個別識別情報格納手段21から個別識別情報26を読み出すよう指示する。プリンタ制御部112は、LEDヘッド補正情報決定部113に対し、第1の補正情報格納手段11に格納されている補正データ27のうち、読み出した個別識別情報26に対応した補正データ27を使用することを決定するよう指示する。そして、CPU110はLEDヘッド制御部108に対し、補正データ27をLEDヘッド3に送出するよう指示する。こうしてLEDヘッド3は補正データ27に基づいてLED237の発光量を補正する。
【0045】
第1の補正情報格納手段11には、製造シリアル番号46に対応して補正データ27が格納されている。従って、ステップ101で読み出した出荷用LEDヘッド3−1の個別識別情報26を参照して、同じ製造シリアル番号46の補正データ27を出荷用LEDヘッド3−1に送出する。
【0046】
同様に、補正データ27はイエロー、マゼンダ、シアン、黒の4色に対応しており、各色のLEDヘッド3a〜3dに送出する。この補正データ27は前記プリンタ組立工場40において、出荷用LEDヘッド3−1に貼られたバーコードラベル28に基づいて、データベース250から取り出されて、第1の補正情報格納手段11に格納された補正データ27である(図7参照)。
【0047】
次に図12により、LEDヘッド3に対する補正データ27の信号波形について説明する。図12は第1の実施の形態に関するLEDヘッド3へ送られる補正データ27の信号波形を示す説明図である。信号はクロック31、データ32、ラッチ信号33及びロード信号35である。
【0048】
補正データ27は5bitあり、すべての発光素子に対して設定する。データ送出の方法は、まずBit0をすべての発光素子に設定し、ラッチ信号33をONする。次にBit1を送出し、ラッチ信号33をONするといったようにBit4まで繰り返すことで補正回路235(図10参照)に補正データ27を設定する。画像データの送出と補正データの送出とでモードを分けるために、補正データ27を送出している期間はロード信号35を"H"にする。
【0049】
図13は第1の実施の形態に関するLEDヘッド3へ送られる画像データの信号波形を示す説明図である。信号はクロック31、データ32、ラッチ信号33及びストローブ信号34である。期間t1ではLEDヘッド3に送られたデータ32がクロック31に同期してシフトレジスタ230に取り込まれる。1ライン分送信が完了するとラッチ信号がONし、ラッチ回路231に取り込まれる。期間t2では期間t1と同様、データ32がシフトレジスタ230に取り込まれる。一方、先ほどラッチ回路231に取り込まれたデータ32とストローブ信号34がANDゲート232に入力される。そして、ストローブ信号34が"L"の期間FET236をONさせ、補正回路235により補正を受けた駆動電流がLED237を発光させる。期間t3では同様に処理が行われる。
【0050】
こうして印刷媒体10の副走査方向のライン分のデータが選択的にLEDヘッド3にて露光され、感光部15に静電潜像を形成する。これを印刷媒体10に転写し、そして定着器により定着し、印刷媒体10に印刷ができる。
【0051】
図14は第1の実施の形態に関する補正データリスト49の説明図である。補正データリスト49は、第1の補正情報格納手段11に格納しているLEDヘッド3a〜3d及びLEDヘッド3の補正データ27との対応表である。第1の補正情報格納手段11には、前述のように個別識別情報26及び製造シリアル番号46に対応する補正データ27が格納されている。DEFAULT49−1の文字列には、LEDヘッド3a〜3d毎にプリンタ組立工場40で書き込まれた補正データ27が記載されている。OTHER49−2の文字列は、図8に示すように保守のために交換した保守用LEDヘッド3−2の補正データ27である。即ち、ステップ103において、保守用LEDヘッド3−2の第2の補正情報格納手段22に格納されている補正データ27を第1の補正情報格納手段11に格納したものである。
【0052】
オペレータは画像形成装置1のオペレーションパネル103からこの補正データリスト49の印刷指示をすることができる。オペレーションパネル103からの補正データリスト49の印刷指示があると、CPU110はLEDヘッド制御部108に対し、第1の補正情報格納手段11からLEDヘッド3a〜3d及びこれらの補正データ27を読み出すよう指示する。そして、CPU110はオペレーションパネル103に対し、これらを表示するよう指示する。オペレーションパネル103はこれらを表示することにより、オペレータは実際に取り付けられたLEDヘッド3a〜3d及び記録されている補正データ27を目視で確認ができる。
【0053】
プリンタ組立工場40で画像形成装置1を組み立てる場合は、図7に示す個別識別情報26を持つ出荷用LEDヘッド3−1を使用して組み立てる。完成品としての画像形成装置1は第1の補正情報格納手段11に格納された補正データ27を使用するため正常に動作する。
【0054】
画像形成装置1の保守によりLEDヘッド3a〜3dのいずれか一を交換する場合、保守員は図8の補正データ27を持つ保守用LEDヘッド3−2に交換する。画像形成装置1は保守用LEDヘッド3−2の第2の補正情報格納手段22に格納された補正データ27を使用するため、この場合も正常に動作する。
【0055】
同じく装置の保守により、第1の補正情報格納手段11を含む図示しない制御基板ごと交換する場合は、オペレータは画像形成装置1のオペレーションパネル103から退避メニューを選択する。これにより、一旦USBメモリ104に補正データ27を退避させ、オペレータが制御基板を交換後、復元メニューを選択することにより、補正データ27を復元する。そして、前述の補正データリスト49で正しく補正データ27が対応されていることを確認することができる。
【0056】
本実施の形態はカラー機(4本のLEDヘッド)を前提としている。そのため、前述のようにユーザがLEDヘッド3を入れ替えて使用する場合、黒色の印刷物で白筋が目立つので、黄色のヘッドと交換してしまうといったことがあると想定される。この場合でも、画像形成装置1はLEDヘッド3が交換されたことを検出し、個別識別情報26に合致した補正データ27を使用することを決定することができる。
【0057】
(第1の実施の形態の変形例1)
第1の実施の形態の説明では、画像形成装置1がカラー機の場合について説明した。第1の実施の形態の変形例1はモノクロ機に関するものである。画像形成装置1がモノクロ機の場合、LEDヘッド3は1本のみであるので、前述のカラー機と異なり画像形成装置1内でLEDヘッド3が交換される可能性が低い。このようにモノクロ機では、図15に示すように情報格納手段を持たないモノクロ用LEDヘッド3−3を使用することで一層の効果が得られる。図15は第1の実施の形態の変形例1に関するモノクロ用LEDヘッド3−3のブロック図である。第3の発光ヘッドとしてのモノクロ用LEDヘッド3−3は情報格納手段としてのEEPROMを有さない。即ち、個別識別情報26を格納する情報格納手段及び補正データ27を格納する情報格納手段のいずれも有さない。これは、プリンタ組立工場40で画像形成装置1の第1の補正情報格納手段11に補正データ27を書込み、その補正データ27にて運用する。そして保守時には、図8に示す補正データ27を持つ保守用LEDヘッド3−2に交換すればよい。こうすることで、当該モノクロ用LEDヘッド3−3には一切のEEPROMを削減することが可能となる。
【0058】
図15において、モノクロ用LEDヘッド3−3はLEDヘッドアレイ部20を有する。EEクロック36、EEデータ37は抵抗Rを介してグランドに接続され、EEデータ選択信号38は結線されていない。即ち、読み込もうとしても"0"しか読めないようになっている。こうすることにより、LEDヘッド制御部108から読み込もうとしたとき、エラーとせずに、"0"を読むことにより、情報格納手段を持たないモノクロ用LEDヘッド3−3であることを判別させることができる。即ち、モノクロ用LEDヘッド3−3に対しても、カラー用のLEDヘッド3と共通のLEDヘッド制御部108とすることができる。
【0059】
図16は第1の実施の形態の変形例1に関する画像形成装置1のCPU110の動作を示すフローチャートである。
S200:電源が入るとCPU110は、各部に対し動作を開始するよう指示する。
S201:画像形成部2には、出荷用LEDヘッド3−1、保守用LEDヘッド3−2及びモノクロ用LEDヘッド3−3のいずれか一が搭載されている。CPU110はLEDヘッド制御部108に対し、画像形成部2のLEDヘッド3における個別識別情報格納手段21又は第2の補正情報格納手段22に格納されているデータを読み出すよう指示する。格納されているデータに補正データ27がある場合(図8参照)、個別識別情報26のみの場合(図7参照)又はデータがない場合(図15参照)のいずれかである。
【0060】
S202:CPU110のプリンタ制御部112は、LEDヘッド補正情報決定部113に対し、読み出したデータがあるかないか判別するよう指示する。LEDヘッド補正情報決定部113は、出荷用LEDヘッド3−1、保守用LEDヘッド3−2及びモノクロ用LEDヘッド3−3から読み出したデータの有無に基づいて判別する。データがない場合はモノクロ用LEDヘッド3−3であるのでステップ203へ移行し、データがある場合は、当該データは補正データ27又は個別識別情報26であるのでステップ204へ移行する。
【0061】
S203:読み出したデータがない場合は、画像形成装置1に搭載されているLEDヘッド3はモノクロ用LEDヘッド3−3である。CPU110のプリンタ制御部112は、LEDヘッド補正情報決定部113に対し、第1の補正情報格納手段11に格納されている補正データ27を使用することを決定するよう指示する。その後、CPU110は、LEDヘッド制御部108に対し、第1の補正情報格納手段11に格納されている補正データ27をモノクロ用LEDヘッド3−3に送出するよう指示する。補正データ27はモノクロ用LEDヘッド3−3に対応しており、モノクロ用LEDヘッド3−3に送出する。この補正データ27は前記プリンタ組立工場40において、LEDヘッド3に貼られたバーコードラベル28に基づいて、データベース250から取り出されて、第1の補正情報格納手段11に格納された補正データ27である。
【0062】
S204:出荷用LEDヘッド3−1、保守用LEDヘッド3−2及びモノクロ用LEDヘッド3−3から読み出したデータがある場合、CPU110のプリンタ制御部112は、LEDヘッド補正情報決定部113に対し、読み出したデータに補正データ27が含まれているかいないか判別するよう指示する。LEDヘッド補正情報決定部113は、補正データ27の有無に基づいて判別する。補正データ27が含まれている場合はステップ205へ移行し、補正データ27が含まれていない場合はステップ206へ移行する。
【0063】
S205:ステップ204において補正データ27が含まれている場合、画像形成装置1に搭載されているLEDヘッド3は保守用LEDヘッド3−2である。この場合、プリンタ制御部112は、LEDヘッド補正情報決定部113に対し、保守用LEDヘッド3−2の第2の補正情報格納手段22に格納されている補正データ27を使用することを決定するよう指示する。その後、CPU110は、LEDヘッド制御部108に対し、保守用LEDヘッド3−2の第2の補正情報格納手段22に格納されている補正データ27を読み出すよう指示する。そして、第1の補正情報格納手段11に格納するよう指示する。更に、第1の補正情報格納手段11に格納した補正データ27を再度LEDヘッド3に送出するよう指示する。こうしてLEDヘッド3は補正データ27に基づいてLED237の発光量を補正する。
【0064】
S206:ステップ204において読み出したデータに補正データ27が含まれていない場合は、画像形成装置1に搭載されているLEDヘッド3は出荷用LEDヘッド3−1である。この場合、LEDヘッド補正情報決定部113は、データはあるが補正データ27がない状態、即ち、データが個別識別情報26のみであると判断する。すると、プリンタ制御部112はLEDヘッド補正情報決定部113に対し、第1の補正情報格納手段11に格納する補正データ27のうち、読み出した個別識別情報26に対応した補正データ27を使用することを決定するよう指示する。
【0065】
その後、CPU110は、LEDヘッド制御部108に対し、第1の補正情報格納手段11に格納されている補正データ27をLEDヘッド3に送出するよう指示する。第1の補正情報格納手段11には、製造シリアル番号46に対応して補正データ27が格納されている。従って、ステップ101で読み出したLEDヘッド3の個別識別情報26を参照して、同じ製造シリアル番号46の補正データ27をLEDヘッド3に送出する。こうしてLEDヘッド3は補正データ27に基づいてLED237の発光量を補正する。
【0066】
(第1の実施の形態の変形例2)
第1の実施の形態においては、プリンタ組立工場40からネットワーク252を介して補正データを格納するデータベース250に対して、補正データ27の検索を行うことを説明した。第1の実施の形態の変形例2は、出荷後の運用において、ホストコンピュータ100又は画像形成装置1からネットワーク252を介してデータベース250の検索を行うものである。ホストコンピュータ100又は画像形成装置1は、ネットワーク252を介して補正データを格納するデータベース250と接続されている。第1の実施の形態の変形例2は、何らかの原因で第1の補正情報格納手段11に格納されている補正データ27にアクセスできない場合に有効となる。
【0067】
図17は第1の実施の形態の変形例2に関する画像形成装置1のCPU110の動作を示すフローチャートである。ステップ300からステップ303はステップ100からステップ103と同じであるから説明を省略する。
【0068】
S304:ステップ302において補正データ27が含まれていない場合、画像形成装置1に搭載されているLEDヘッド3は出荷用LEDヘッド3−1である。CPU110はLEDヘッド制御部108に対し、出荷用LEDヘッド3−1の個別識別情報格納手段21から個別識別情報26を読み出すよう指示する。CPU110のプリンタ制御部112は、LEDヘッド補正情報決定部113に対し、第1の補正情報格納手段11に格納されている補正データ27のうち、読み出した個別識別情報2に対応した補正データ27があるかどうか判別するよう指示する。該当する補正データ27が含まれていればステップ305へ移行し、何らかの原因で補正データ27が含まれていなければステップ306へ移行する。
【0069】
S305:ステップ304において補正データ27が含まれている場合、プリンタ制御部112はLEDヘッド補正情報決定部113に対し、第1の補正情報格納手段11に格納されている補正データ27を使用することを決定するよう指示する。そして、CPU110はLEDヘッド制御部108に対し、第1の補正情報格納手段11に格納されている補正データ27をLEDヘッド3に送出するよう指示する。第1の補正情報格納手段11には、製造シリアル番号46に対応して補正データ27が格納されている。従って、LEDヘッド制御部108は、ステップ301で読み出したLEDヘッド3の個別識別情報26を参照して、同じ製造シリアル番号46の補正データ27をLEDヘッド3に送出する。こうしてLEDヘッド3は補正データ27に基づいてLED237の発光量を補正する。
【0070】
S306:ステップ304において、何らかの原因により、第1の補正情報格納手段11に格納する個別識別情報26に対応した補正データ27が含まれていない場合があり得る。この場合、補正情報決定手部113は、第1の補正情報格納手段11又は第2の補正情報格納手段22に格納した補正データ27のいずれを使用するかを決定することができない。CPU110はホストコンピュータ100に対し、ネットワーク252を介してLEDヘッド工場30のデータベース250に対し、個別識別情報26と同じ製造シリアル番号46があるかどうか検索するよう指示する。
【0071】
S307:データベース250の検索の結果、個別識別情報26に対応する補正データ27が得られたら、CPU110はホストコンピュータ100に対し、これを読み出すよう指示する。
【0072】
S308:CPU110のプリンタ制御部112は、第1の補正情報格納手段11に対し、個別識別情報26に対応する補正データ27を格納するよう指示する。その後はステップ305へ移行する。
なお、ステップ304において、第1の補正情報格納手段11に、個別識別情報26に対応した補正データ27が含まれていない場合について、データベースを検索することを説明したがこれに限らない。即ち、保守用LEDヘッド3−2の第2の補正情報格納手段22に、個別識別情報26に対応した補正データ27が含まれていない場合についても、同様にデータベースを検索するようにしても同様の効果を有する。
【0073】
また、ステップ306において、LEDヘッド工場30のデータベース250への検索に際しホストコンピュータ100に対して指示をしたが、これに限らない。即ち、画像形成装置1が直接ネットワーク252を介して、データベース250へ検索を行うこととしてもよい。
【0074】
以上のように第1の実施の形態では、LEDヘッド3の情報格納手段の種類である個別識別情報格納手段21又は第2の補正情報格納手段22を判別すること、換言すると、LEDヘッド3の情報格納手段に格納された補正データ27の有無を判別することによって、最適な補正データ27の使用を決定することができる。これによりLEDヘッド3のEEPROMを削減できる。更に、LEDヘッド3の製造時に補正データ27をLEDヘッド3自体に書込む工程も削減することができる。
【0075】
また、画像形成装置1の保守においては、補正データ27及び個別識別情報26を格納した保守用LEDヘッド3−2を用意できるという効果を有する。また、補正データ27を画像形成装置1の第1の補正情報格納手段11に格納するようにしたので、保守時の補正データ書込工数を削減できるという効果を有する。
【0076】
ユーザが黒用のLEDヘッド3aと他色、例えば黄色用のLEDヘッド3bと交換して印刷しようというときが想定される。LEDヘッド3の個別識別情報26、特に製造シリアル番号46を格納するので、LEDヘッド3a〜3dが交換されても補正データ27を特定できるという効果を有する。
【0077】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、第1の実施の形態のLEDヘッド3の個別識別情報格納手段21の改善策である。第1の実施の形態の個別識別情報格納手段21は容量の少ないEEPROMを使用して個別識別情報26を格納していた。第2の実施の形態の情報格納手段はEEPROMによらないで個別識別情報26を格納するものである。第2の実施の形態は、LEDヘッド3に貼付する個別識別情報シール61から個別識別情報26を読み取るものである。
【0078】
図18は第2の実施の形態に関する個別識別情報読取回路58を示す回路図である。個別識別情報読取回路58は個別識別情報格納手段として機能する。個別識別情報読取回路58はパラレルシリアル変換回路50を有する。パラレルシリアル変換回路50はnbit(n=8)の状態をシリアルデータに変換する。F0〜F7は電気的なコンタクト51である。開放状態では"H"、グランドに接地された状態では"L"になる。コンタクト51は同じものがF0からF7の8個ある。信号はEECLK35、EEDATA36及びEEデータ選択信号37を接続する。これは図7に示した個別識別情報格納手段21に置き換えて接続するものである。
【0079】
図19は第2の実施の形態に関する個別識別情報26の読出し信号を示す波形図である。EEデータ選択信号37が"L"のとき回路が選択され、EECLK35に同期してF0〜Fnコンタクト51の状態をEEDATA36にシリアルに出力する。
【0080】
図20は第2の実施の形態に関する識別端子付きLEDヘッド60の外観図である。同図(a)は識別端子付きLEDヘッド60の斜視図である。同図(a)に示すように識別端子付きLEDヘッド60の側面にF0〜F7のコンタクト51の先端が現れている。同図(b)は識別端子付きLEDヘッド60の一部省略平面図である。基板54はプラスチック製のカバー55によって封入される。カバー55の下に基板54があることを表現するため、同図(b)はカバー55を一部省略して示す。
【0081】
図21図20(b)の一部拡大図である。図22は第2の実施の形態に関する識別端子付きLEDヘッド60の横断面図である。基板54には、パラレルシリアル変換回路50、接続線50−1、アングルタイプのピンヘッダ53及びコンタクト51が形成されている。接続線50−1はコンタクト51とパラレルシリアル変換回路50とを接続する。コンタクト51は、ピンヘッダ53から垂直に立ち上がり、その後は、識別端子付きLEDヘッド60の側面に設けられたゴムラバー56へ向けて水平に設けられる。ゴムラバー56には個別識別情報シール61との接触をしないため、コンタクト51が通るように穴56−2が設けられている。コンタクト51の先端51−1はゴムラバー56の外面より若干突出しているとよい。後述するように個別識別情報シール61との選択的に接触を維持するためである。
【0082】
図23は第2の実施の形態に関する識別端子付きLEDヘッド60に個別識別情報シール61を貼付けた状態を示す説明図である。図24は個別識別情報シール61を貼付けた状態の拡大図である。個別識別情報シール61は銀ラミネートシールであり、電導性を有する。個別識別情報シール61はバーコード62が印刷され、バーコード62の意味する情報に合わせてレザー加工機によって穴63が選択的に開けられている。これを図23に示すように識別端子付きLEDヘッド60の側面のコンタクト51の位置に合わせて貼り付けることでビットを表現することができる。個別識別情報シール61はバーコード62の意味する情報に合わせて複数の穴63が選択的に開いている。例えばコンタクト51のF0は対応する位置に穴63が開いているため、コンタクト51は個別識別情報シール61と開放状態となる。一方、例えばコンタクト51のF4及びF6は対応する位置に穴63がない。そのため、コンタクト51の先端51−1は個別識別情報シール61と接触するためコンタクト51のF4及びF6は導通状態となる。
【0083】
これにより、第2の実施の形態に関する個別識別情報読取回路58によれば、第1の実施の形態と同じく、図11に示した画像形成装置1のCPU110の動作を示すフローチャートにより個別識別情報26の読み取り動作をすることができる。
【0084】
以上第2の実施の形態によれば、個別識別情報26の書込工数を削減することができる。バーコードラベル28の貼り付け工程と個別識別情報26の書込工程が同時にできるので工数の削減になる。
【0085】
第2の実施の形態の製造シリアル番号のラベルはヘッドのモード設定ピンとしても利用が可能である。例えば品種を削減する目的でデータ送出モードの異なる2品種を設定ピンにより使い分けるなどの設定を行う。レベルの貼り付け方で機能を変えることができるので、旧機種の保守を目的としたユニバーサルヘッドなどへの応用が可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 画像形成装置
2 画像形成部
3 LEDヘッド
10 印刷媒体
11 第1の補正情報格納手段
21 個別識別情報格納手段
22 第2の補正情報格納手段
26 個別識別情報
27 補正データ
30 LEDヘッド工場
40 プリンタ組立工場
100 ホストコンピュータ
108 LEDヘッド制御部
110 CPU
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