(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固定子コアに装着された固定子コイルを有する固定子と、前記固定子の内又は外に配設され、回転子コアに複数配置された磁石と前記磁石間に配置されたコア磁極部とを有する回転子と、前記回転子を固定するシャフトとを備えた回転電機において、前記回転子は、第1の回転子コア体と第2の回転子コア体とから構成され、第1の回転子コア体には複数配置された第1の磁石と前記第1の磁石間に配置された第1のコア磁極部とを有し、第2の回転子コア体には複数配置された前記第1の磁石とは異なる着磁方向の第2の磁石と前記第2の磁石間に配置された第2のコア磁極部とを有しており、前記第1のコア磁極部に対応した位置に前記第2の磁石が位置するように配置されており、前記第1の回転子コア体と前記第2の回転子コア体との間に空隙を設け、前記第1の回転子コア体と前記第2の回転子コア体とは前記シャフトに連結され、前記シャフトは非磁性であることを特徴とする回転電機。
前記第1の回転子コア体と前記第2の回転子コア体に配置された前記磁石は前記第1の回転子コア体と前記第2の回転子コア体の表面に固定されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の回転電機。
前記第1の回転子コア体と前記第2の回転子コア体に配置された前記磁石は前記第1の回転子コア体と前記第2の回転子コア体のコア磁極部に放射状に形成された穴部に埋め込まれるとともに周方向に同じ極性を持つように配置されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の回転電機。
前記第1の回転子コア体と前記第2の回転子コア体のコア磁極部に放射状に形成された前記穴部に前記磁石が配置されていない前記穴部に非磁性部材が埋められていることを特徴とする請求項12に記載の回転電機。
前記固定子コイルは3N相交流巻線からなり、前記3N相交流巻線の前記固定子コイルは3相結線されたものを1組としてN組の結線が電気的に互いに絶縁されており、前記固定子コイルの結線は異なるN組の駆動回路に接続されており、前記固定子コイルの結線の各相のコイル群に含まれる前記固定子コイルは、同相同士の位相差が前記固定子の周方向に電気角で約60/N°間隔に配置されており、前記固定子コイルの結線の同相同士の電流位相差を同じ約60/N°に制御することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の回転電機。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を
図1乃至
図6に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
図1はこの発明の実施の形態1に係わる回転電機を示す半断面図である。
図2はこの発明の実施の形態1に係わる回転電機を示す
図1のA−A線における断面図である。
図3はこの発明の実施の形態1に係わる回転電機を示す
図1のB−B線における断面図である。
図4はこの発明の実施の形態1に係わる回転電機における回転子を示す側断面図である。
図5はこの発明の実施の形態1に係わる回転電機における回転子の特性を示す表面磁束密度の波形図である。
図6はこの発明の実施の形態1に係わる回転電機におけるトルクの特性を示すトルク波形図である。
【0018】
これら各図において、回転電機100は、回転子3と、フレーム4に固定されている固定子コア5と、固定子コア5に装着された例えば多相交流巻線からなる固定子コイル6と、軸受7、ブラケット8、端板9を固定する軸受固定用ねじ10、及び軸受外輪7aの側面を固定する端板9とから固定子11が構成されている。回転子3は、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との2つが組み合わされて構成され、全体の軸方向長さに対して約1/2の長さをそれぞれが有しており、シャフト2に連結されている。回転子3は、固定子11と軸方向長さが同等に構成されている。なお、固定子11と回転子3との間には空隙G1が設けられている。
【0019】
第1の回転子コア体31には例えば等間隔に配置された4個のN極の極性を表面にもつ第1の磁石33と第1の磁石33間に配置された例えばS極の極性を表面にもつ第1のコア磁極部34とを有し、第2の回転子コア体32には例えば等間隔に配置された4個のS極の極性を表面にもつ第1の磁石33とは異なる着磁方向の第2の磁石35と第2の磁石35間に配置された例えばN極の極性を表面にもつ第2のコア磁極部36とを有している。
【0020】
第1の磁石33と第1のコア磁極部34とは第1の回転子コア体31の外周面に周方向に交互に配置され、第2の磁石35と第2のコア磁極部36とは第2の回転子コア体32の外周面に周方向に交互に配置されている。そして、第1の回転子コア体31の第1のコア磁極部34に対応した位置に第2の回転子コア体32の第2の磁石36が位置するように配置されている。なお、図中のN、Sは、それぞれ第1の磁石33、第2の磁石35、第1のコア磁極部34及び第2のコア磁極部36の表面における極性を表している。
【0021】
回転子3の軸方向約半分の第1の回転子コア体31は、磁性金属材料よりなる円環状の回転子コアが用いられ、第1の回転子コア体31の外周面には、周方向に90°の等角度間隔に4個の第1のコア磁極部34を有する略円環状の回転子コアが用いられており、第1の回転子コア体31の各第1のコア磁極部34間の凹所には、N極のみの合計4個の第1の磁石33がそれぞれ第1の回転子コア体31の表面に固着され、90°の等角度間隔に配置されている。N極の第1の磁石33と、N極の第1の磁石33により第1のコア磁極部34に生じるS極とを合せて磁極数が「8」として構成されている。
【0022】
回転子3の軸方向約半分の第2の回転子コア体32は、磁性金属材料よりなる円環状の回転子コアが用いられ、第2の回転子コア体32の外周面には、周方向に90°の等角度間隔に4個の第2のコア磁極部36を有する略円環状の回転子コアが用いられており、第2の回転子コア体32の各第2のコア磁極部36間の凹所には、S極のみの合計4個の第2の磁石35がそれぞれ第2の回転子コア体32の表面に固着され、90°の等角度間隔に配置されている。S極の第2の磁石35と、S極の第2の磁石35により第2のコア磁極部36に生じるN極とを合せて磁極数が「8」として構成されている。
【0023】
また、
図4に示すように、軸方向約半分の第1の回転子コア体31の第1のコア磁極部34または軸方向約半分の第2の回転子コア体32の第2のコア磁極部36と、軸方向約半分の第1の回転子コア体31の第1の磁石33または軸方向約半分の第2の回転子コア体32の第2の磁石35とがそれぞれ軸方向に並ぶように(磁極中心が一致するように)シャフト2に連結されている。
【0024】
さらに、軸方向約半分の第1の回転子コア体31の第1のコア磁極部34に対応した位置に第2の回転子コア体32の第2の磁石36が位置するように配置されている。そして、回転子3の軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との磁束の軸方向漏れにより平均化の効果が低下するのを防ぐために、回転子3の軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32とが軸方向に対向する部分に例えば空隙G2を設けている。
【0025】
ここで、回転子3の磁束の漏れを抑制するためには、この空隙G2は固定子11と回転子3とで形成される空隙G1の長さより大きく、シャフト2は非磁性が望ましい。この場合に、シャフト2の軸端の磁化を防ぐことができ、例えば図示していないが、半導体回転角度センサ用のマグネットや、レゾルバのロータをシャフト2の軸端に配置した場合に、シャフト2からの漏れ磁束による角度誤差の影響を抑制できる。また、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32をシャフト2に固定する際に空隙G2を設けるだけでなく、図示していないが非磁性体を間に挟むことでも同様の平均化の効果が得られ、透磁率の低い磁性体(例えば鋳物など)でも、ある程度の平均化の効果は得られる。
また、第1の回転子コア体31の第1のコア磁極部34と第2の回転子コア体32の第2のコア磁極部36の極性と同じ極性となるように軸方向に着磁された環状磁石を、非磁性体の代わりに挟むと、環状磁石が第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32に対して磁力で反発しあい第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32の双方に環状磁石を密着させるのは作業上困難となる。
そして、環状磁石と第1の回転子コア体31又は第2の回転子コア体32との間にわずかな隙間が生じると、第1の回転子コア体31の第1のコア磁極部34と第2の回転子コア体32の第2のコア磁極部36とに発生する磁束量に差が生じてしまうため、本実施の形態における非磁性体を間に挟んで磁束の軸方向の漏れを極力抑える場合と比べて、回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づける平均化の効果が失われてしまう。よって環状磁石を非磁性部材の代わりに用いることはできない。
【0026】
また、
図5において、上述した従来例における回転子の表面磁束密度は、波形Pにて示すように、正負の波形が正弦波状でない(以下、「非正弦波形状」と呼ぶ)波形となっているが、この発明の実施の形態1においては、その非正弦波形状の波形を反転したものを軸方向約半分の第2の回転子コア体32に波形Qとして併せ持つため、固定子11の多相交流巻線からなる固定子コイル6に磁束が鎖交する際に、回転子3全体の表面磁束密度として、波形Rにて示すように、正弦波形状の波形に近づくように平均化される効果が得られる。
【0027】
そして、
図26において、三相正弦波電流を固定子11の多相交流巻線からなる固定子コイル6に印加したときの電気角1周期分のトルク波形を示す。従来例のコンシクエントポールの構成では、N極の磁石12よりコア磁極部13に生じるS極の方が、回転子3の表面磁束密度の絶対値が小さくなり、回転子3の表面磁束密度が非正弦波形状の波形となるため、
図26に示すように、通常発生する電気角1周期当りの時間成分の1/2の次数成分(本図では時間3次成分)に相当するトルク脈動が発生する。
【0028】
これに対し、この発明の実施の形態1の構成により、回転子3の軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を相互に1極分周方向にずらすことができるため、その波形が平均化されて正弦波形状と同様の効果を得ることができ、
図6に示すように、時間成分次数が1/2のトルク脈動の発生を抑制でき、主成分は時間6次成分となっている。
【0029】
これにより、回転子3の軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との軸方向に空隙G2を設けることで、磁束漏れを抑えることができるため、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との磁束の軸方向漏れにより平均化の効果が低下するのを防ぐことができる。そして回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づけることができるため、トルク脈動を低減することができる。
また、図示していないが、軸方向約半分の第1の回転子コア体31の第1のコア磁極部34または軸方向約半分の第2の回転子コア体32の第2のコア磁極部36と、軸方向約半分の第1の回転子コア体31の第1の磁石33または軸方向約半分の第2の回転子コア体32の第2の磁石35とがそれぞれ磁極中心が完全に一致していない場合でも、電気各30度までは、回転子3全体の表面磁束密度として正弦波形状の波形に近づくようにある程度平均化される効果が得られる。
【0030】
なお、上述した極数、スロット数に限らず、上述した構成による回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づける効果は、どの極数、スロット数でも同様である。また、上述した固定子11において集中巻に限らず分布巻でも、回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形の影響によるトルク脈動を同様に抑制することができる。そして、上述した回転子3が固定子11内にある場合に限らず、回転子3が固定子11外にある場合でも同様の効果を得られる。さらに、第1の磁石33および第2の磁石35は第1の回転子コア体31および第2の回転子コア体32の表面に接着などにより固定するのでその固定作業が容易となる。
【0031】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2を
図7および
図8に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
図7はこの発明の実施の形態2に係わる回転電機を示す
図1のA−A線における断面図である。
図8はこの発明の実施の形態2に係わる回転電機を示す
図1のB−B線における断面図である。
【0032】
この実施の形態2においても、上述した実施の形態1における
図1において、回転子3は、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との2つが組み合わされて構成され、全体の軸方向長さに対して約1/2の長さをそれぞれが有しており、シャフト2に連結されている。回転子3は、固定子11と軸方向長さが同等に構成されている。
【0033】
また、
図7において、回転子3の軸方向約半分の第1の回転子コア体31は、磁性金属材料よりなる円環状の回転子コアが用いられ、第1の回転子コア体31の外周面には、周方向に90°の等角度間隔に4個の第1のコア磁極部34を有する略円環状の回転子コアが用いられており、第1の回転子コア体31の各第1のコア磁極部34間には穴部37が形成され、これら穴部37には、N極のみの合計4個の第1の磁石33がそれぞれ第1の回転子コア体31の穴部37に埋め込まれて固着され、90°の等角度間隔に配置されている。N極の第1の磁石33と、N極の第1の磁石33により第1のコア磁極部34に生じるS極とを合せて磁極数が「8」として、いわゆる磁石埋込型(IPM:
Interior
Parmanent
Magnet)の回転子3を構成している。
【0034】
そして、
図8において、回転子3の軸方向約半分の第2の回転子コア体32は、磁性金属材料よりなる円環状の回転子コアが用いられ、第2の回転子コア体32の外周面には、周方向に90°の等角度間隔に4個の第2のコア磁極部36を有する略円環状の回転子コアが用いられており、第2の回転子コア体32の各第2のコア磁極部36間には穴部38が形成され、これら穴部38には、S極のみの合計4個の第2の磁石35がそれぞれ第2の回転子コア体32の穴部38に埋め込まれて固着され、90°の等角度間隔に配置されている。S極の第2の磁石35と、S極の第2の磁石35により第2のコア磁極部36に生じるN極とを合せて磁極数が「8」として構成されている。
【0035】
また、上述した実施の形態1における
図4に示すように、軸方向約半分の第1の回転子コア体31の第1のコア磁極部34または軸方向約半分の第2の回転子コア体32の第2のコア磁極部36と、軸方向約半分の第1の回転子コア体31の第1の磁石33または軸方向約半分の第2の回転子コア体32の第2の磁石35とがそれぞれ軸方向に並ぶように(磁極中心が一致するように)シャフト2に連結されている。
【0036】
さらに、軸方向約半分の第1の回転子コア体31の第1のコア磁極部34に対応した位置に第2の回転子コア体32の第2の磁石36が位置するように配置されている。そして、回転子3の軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との磁束の軸方向漏れにより平均化の効果が低下するのを防ぐために、回転子3の軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32とが軸方向に対向する部分に例えば空隙G2を設けている。
【0037】
ここで、回転子3の磁束の漏れを抑制するためには、この空隙G2は固定子11と回転子3とで形成される空隙G1の長さより大きく、シャフト2は非磁性が望ましい。また、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32をシャフト2に固定する際に空隙G2を設けるだけでなく、図示していないが非磁性体を間に挟むことでも同様の平均化の効果が得られ、透磁率の低い磁性体(例えば鋳物など)でも、ある程度の平均化の効果は得られる。
【0038】
また、上述した実施の形態1と同様に、第1の回転子コア体31の各第1のコア磁極部34間に形成した穴部37に第1の磁石33を埋め込むとともに、第2の回転子コア体32の各第2のコア磁極部36間に形成した穴部38に第2の磁石35を埋め込む構成としても、回転子3の軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との表面磁束密度の非正弦波形状の波形を相互に1極分周方向にずらすことができるため、固定子11の多相交流巻線からなる固定子コイル6に磁束が鎖交する際に、回転子3全体の表面磁束密度の非正弦波形状の波形が平均化されて正弦波形状になるのと同様の効果を得ることができ、時間成分次数が1/2のトルク脈動の発生を抑制することができる。
【0039】
これにより、回転子3の軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との軸方向に空隙G2を設けることで、磁束漏れを抑えることができるため、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との磁束の軸方向漏れにより平均化の効果が低下するのを防ぐことができる。そして回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づけることができるため、トルク脈動を低減することができる。そして、上述した回転子3が固定子11内にある場合に限らず、回転子3が固定子11外にある場合でも同様の効果を得られる。
【0040】
なお、上述した極数、スロット数に限らず、上述した構成による回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づける効果は、どの極数、スロット数でも同様である。また、上述した固定子11において集中巻に限らず分布巻でも、回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形の影響によるトルク脈動を同様に抑制することができる。
【0041】
さらに、第1の回転子コア体31の各第1のコア磁極部34間に形成した穴部37に第1の磁石33を埋め込むとともに、第2の回転子コア体32の各第2のコア磁極部36間に形成した穴部38に第2の磁石35を埋め込む構成としたことにより、第1の磁石33および第2の磁石35に働く遠心力に対して機械的強度を大きくできるため、回転電機の回転速度を向上できる。
【0042】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3を
図9および
図10に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
図9はこの発明の実施の形態3に係わる回転電機を示す
図1のA−A線における断面図である。
図10はこの発明の実施の形態3に係わる回転電機を示す
図1のB−B線における断面図である。
【0043】
この実施の形態3においても、上述した実施の形態1における
図1において、回転子3は、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との2つが組み合わされて構成され、全体の軸方向長さに対して約1/2の長さをそれぞれが有しており、シャフト2に連結されている。回転子3は、固定子11と軸方向長さが同等に構成されている。
【0044】
また、
図9において、回転子3の軸方向約半分の第1の回転子コア体31は、磁性金属材料よりなる円環状の回転子コアが用いられ、第1の回転子コア体31の外周面には、周方向に45°の等角度間隔に8個の第1のコア磁極部39を有する略円環状の回転子コアが用いられており、第1の回転子コア体31の各第1のコア磁極部39間には8個の径方向の穴部40が形成され、これら径方向の穴部40の1個置きに等角度間隔に配置され、合計4個の第1の磁石41がそれぞれ第1の回転子コア体31の径方向の穴部40に放射状に埋め込まれており、かつ周方向に同じ方向に極性を持つように固着され、90°の等角度間隔に配置されている。第1の磁石41と、第1の磁石41により第1のコア磁極部39に生じるN極、S極の磁極数が「8」として構成されている。
【0045】
そして、
図10において、回転子3の軸方向約半分の第2の回転子コア体32は、磁性金属材料よりなる円環状の回転子コアが用いられ、第2の回転子コア体32の外周面には、周方向に45°の等角度間隔に8個の第2のコア磁極部42を有する略円環状の回転子コアが用いられており、第2の回転子コア体32の各第2のコア磁極部42間には8個の径方向の穴部43が形成され、これら径方向の穴部43の1個置きに等角度間隔に配置され、合計4個の第2の磁石44がそれぞれ第2の回転子コア体32の径方向の穴部43に放射状に埋め込まれており、かつ周方向に同じ方向であって
図9と反対方向の極性を持つように固着され、90°の等角度間隔に配置されている。第2の磁石44と、第2の磁石44により第2のコア磁極部42に生じるS極、N極の磁極数が「8」として構成されている。
【0046】
また、上述した実施の形態1における
図4に示すように、軸方向約半分の第1の回転子コア体31の第1のコア磁極部39と軸方向約半分の第2の回転子コア体32の第2のコア磁極部42とがそれぞれ軸方向に並ぶように(磁極中心が一致するように)シャフト2に連結されている。
【0047】
さらに、軸方向約半分の第1の回転子コア体31の第1の磁石41が埋め込まれていない穴部40に対応した位置に第2の回転子コア体32の第2の磁石44が位置するように配置されている。そして、回転子3の軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との磁束の軸方向漏れにより平均化の効果が低下するのを防ぐために、回転子3の軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32とが軸方向に対向する部分に例えば空隙G2を設けている。
【0048】
ここで、回転子3の磁束の漏れを抑制するためには、この空隙G2は固定子11と回転子3とで形成される空隙G1の長さより大きく、シャフト2は非磁性が望ましい。また、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32をシャフト2に固定する際に空隙G2を設けるだけでなく、図示していないが非磁性体を間に挟むことでも同様の平均化の効果が得られ、透磁率の低い磁性体(例えば鋳物など)でも、ある程度の平均化の効果は得られる。
【0049】
また、上述した実施の形態1、実施の形態2と同様に、第1の回転子コア体31の各第1のコア磁極部39間に形成した径方向の穴部40に第1の磁石41を埋め込むとともに、第2の回転子コア体32の各第2のコア磁極部42間に形成した径方向の穴部43に第2の磁石44を埋め込む構成としても、回転子3の軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との表面磁束密度の非正弦波形状の波形を相互に1極分周方向にずらすことができるため、固定子11の多相交流巻線からなる固定子コイル6に磁束が鎖交する際に、回転子3全体の表面磁束密度の非正弦波形状の波形が平均化されて正弦波形状に近づくのと同様の効果を得ることができ、時間成分次数が1/2のトルク脈動の発生を上述した実施の形態1、実施の形態2よりも抑制することができる。
【0050】
これにより、回転子3の軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との軸方向に空隙G2を設けることで、磁束漏れを抑えることができるため、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との磁束の軸方向漏れにより平均化の効果が低下するのを防ぐことができる。そして回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づけることができるため、トルク脈動を低減することができる。
【0051】
なお、上述した極数、スロット数に限らず、上述した構成による回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づける効果は、どの極数、スロット数でも同様である。また、上述した固定子11において集中巻に限らず分布巻でも、回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形の影響によるトルク脈動を同様に抑制することができる。そして、上述した回転子3が固定子11内にある場合に限らず、回転子3が固定子11外にある場合でも同様の効果を得られる。
【0052】
また、第1の回転子コア体31の各第1のコア磁極部39間に形成した径方向の穴部40に第1の磁石41を埋め込むとともに、第2の回転子コア体32の各第2のコア磁極部42間に形成した径方向の穴部43に第2の磁石44を埋め込む構成としたことにより、第1の磁石41および第2の磁石44に働く遠心力に対して機械的強度を大きくできるため、回転電機の回転速度を向上できる。
【0053】
さらに、図示していないが、回転子3において、第1の磁石41および第2の磁石44が配置されていない径方向の穴部40および穴部43を樹脂等の非磁性部材で埋めることにより、周方向に分離された第1の回転子コア体31および第2の回転子コア体32をそれぞれ連結でき、第1の磁石41および第2の磁石44に働く遠心力に対して機械的強度をさらに大きくできるため、トルク脈動に影響を与えることなく、回転電機の回転速度をさらに向上できる。
【0054】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4を
図11乃至
図13に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
図11はこの発明の実施の形態4に係わる回転電機を示す回路図である。
図12はこの発明の実施の形態4に係わる回転電機を示す
図1のA−A線における断面図である。
図13はこの発明の実施の形態4に係わる回転電機を示す
図1のB−B線における断面図である。
【0055】
この実施の形態4においても、上述した実施の形態1における
図1において、回転子3は、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との2つが組み合わされて構成され、全体の軸方向長さに対して約1/2の長さをそれぞれが有しており、シャフト2に連結されている。回転子3は、固定子11と軸方向長さが同等に構成されている。
この実施の形態4は固定子11の構成が上述した各実施の形態と相違する。すなわち、固定子11は、固定子コア51に例えば48個のスロット52が形成され、各スロット48に分布巻のコイルで構成された多相交流巻線61が装着されている場合を示している。
【0056】
そして、
図11では簡単のため詳細省略し、電機子巻線の周辺部を示している。回転電機の電機子巻線は、第1のU相巻線U1と第1のV相巻線V1と第1のW相巻線W1とによって構成される第1の電機子巻線101と、第2のU相巻線U2と第2のV相巻線V2と第2のW相巻線W2とによって構成される第2の電機子巻線102とから構成される。ECU103も簡単のため詳細は省略し、インバータのパワー回路部のみを示す。
【0057】
ECU103は第1のインバータ104と第2のインバータ105の2台のインバータ回路から構成されていて、それぞれのインバータから2つの電機子巻線に3相の電流を供給する。ECU103にはバッテリーなどの電源106から直流電源が供給されており、ノイズ除去用のコイル107を介して、第1の電源リレー108および第2の電源リレー109がそれぞれ接続されている。
【0058】
図11では電源106がECU103の内部にあるかのように描かれているが、実際はバッテリー等の外部の電源106からコネクタを介して、電力が供給される。電源リレーは第1の電源リレー108および第2の電源リレー109の2個あり、それぞれ2個のMOS-FETで構成され故障時などは第1の電源リレー108、第2の電源リレー109を開放して、過大な電流が流れないようにする。
【0059】
なお、
図11では、電源106、コイル107、第1の電源リレー108、第2の電源リレー109の順に接続されているが、第1の電源リレー108、第2の電源リレー109はコイル107よりも電源106に近い位置に設けられてもよいことは言うまでもない。第1のコンデンサ110、第2のコンデンサ111は平滑コンデンサで構成されている。
図11ではそれぞれ、1個のコンデンサで構成されているが、複数のコンデンサを並列に接続されて構成してもよいことは言うまでもない。
【0060】
第1のインバータ104と第2のインバータ105はそれぞれ6個のMOS-FETを用いたブリッジで構成され、第1のインバータ104では、第1MOS-FET111と第2MOS-FET112が直列接続され、第3MOS-FET113と第4MOS-FET114が直列接続され、第5MOS-FET115と第6MOS-FET116が直列接続されて、さらに、この3組のMOS-FETが並列に接続されている。さらに、下側の3つの第2MOS-FET112、第4MOS-FET114、第6MOS-FET116のGND(グランド)側にはそれぞれシャント抵抗が1つずつ接続されており、第1シャント117、第2シャント118、第3シャント119としている。これらシャント抵抗は電流値の検出に用いられる。
【0061】
なお、シャントは3個の例を示したが、2個のシャントであってもよいし、1個のシャントであっても電流検出は可能であるため、そのような構成であってもよいことは言うまでもない。回転電機100側への電流の供給は
図11に示すように第1MOS-FET111と第2MOS-FET112の間からバスバーなどを通じて回転電機100のU1相へ、第3MOS-FET113と第4MOS-FET114の間からバスバーなどを通じて回転電機100のV1相へ、第5MOS-FET115と第6MOS-FET116の間からバスバーなどを通じて回転電機100のW1相へそれぞれ供給される。
【0062】
第2のインバータ105も第1のインバータ104と同様の構成となっていて、第2のインバータ105では、第1MOS-FET121と第2MOS-FET122が直列接続され、第3MOS-FET123と第4MOS-FET124が直列接続され、第5MOS-FET125と第6MOS-FET126が直列接続されて、さらに、この3組のMOS-FETが並列に接続されている。さらに、下側の3つの第2MOS-FET122、第4MOS-FET124、第6MOS-FET126のGND(グランド)側にはそれぞれシャント抵抗が1つずつ接続されており、第1シャント127、第2シャント128、第3シャント129としている。これらシャント抵抗は電流値の検出に用いられる。
【0063】
なお、シャントは3個の例を示したが、2個のシャントであってもよいし、1個のシャントであっても電流検出は可能であるため、そのような構成であってもよいことは言うまでもない。回転電機100側への電流の供給は
図11に示すように第1MOS-FET121と第2MOS-FET122の間からバスバーなどを通じて回転電機100のU2相へ、第3MOS-FET123と第4MOS-FET124の間からバスバーなどを通じて回転電機100のV2相へ、第5MOS-FET125と第6MOS-FET126の間からバスバーなどを通じて回転電機100のW2相へそれぞれ供給される。
【0064】
また、2台の第1のインバータ104、第2のインバータ105は回転電機100に備えられた回転角度センサ130によって検出した回転角度に応じて制御回路(図示しない)から各MOS-FETに信号を送ることでスイッチングし、第1の電機子巻線101と第2の電機子巻線102に所望の3相電流を供給する。なお、回転角度センサ130はレゾルバやホールセンサやGMRセンサやMRセンサなどが用いられる。
【0065】
第1のインバータ104と第2のインバータ105によって、第1の電子機巻線101と第2の電機子巻線102に3相の電流が流れるが、第1の電子機巻線101と第2の電機子巻線102の位相差を電気角20°〜40°、望ましくは電気角30°とすると、トルク脈動の6次成分(電気角360度周期の成分を1次とした)が大幅に低減される。これは、回転子3側が発生する起磁力高調波に5次、7次(電気角360度周期の成分を1次とした)が含まれていたとしても、第1の電子機巻線101と第2の電機子巻線102の通電電流の位相を変化させることで電機子側の起磁力波形の5次、7次成分がなくなるか、あるいは非常に小さくできるためである。この位相差は回転電機100の駆動状態に応じて変化させてもよいし、たとえば電気角30°で固定してもよい。
【0066】
また、位相差を電気角30°としたときは巻線係数が等価的に向上し、トルクも向上するために、少ない永久磁石で大きなトルクを得ることができ、回転電機の低コスト化に寄与できるという効果がある。
【0067】
さらに、この実施の形態4の構成では、その非正弦波形状の波形を反転したものを軸方向約半分の第2の回転子コア体32に併せ持つため、固定子11の例えば多相交流巻線からなる固定子コイル61に磁束が鎖交する際に、回転子3全体の表面磁束密度として、正弦波形状の波形に近づくように平均化されて、正弦波形状と同様の効果を得ることができ、時間成分次数が1/2のトルク脈動の発生を抑制できる効果もある。
なお、上述した極数、スロット数に限らず、2組の電機子巻線101、102のU相、V相、及びW相の各相コイル群に含まれる各コイルにおける同相同士(例えばU1とU2)の位相差が固定子11の周方向に電気角で約30°間隔に配置される組合せにおいて、上述した構成による回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づける効果は同様である。また、上述した固定子11において分布巻に限らず集中巻でも、回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形の影響によるトルク脈動を同様に抑制することができる。そして、上述した回転子3が固定子11内にある場合に限らず、回転子3が固定子11外にある場合でも同様の効果を得られる。
【0068】
なお、この実施の形態4の6相交流電流の例に限らず、3N相(N=2M、Mは自然数)の交流電流の場合でも、3相結線されたものを1組としてN組の結線が電気的に互いに絶縁されており、前記複数の結線は異なるN組の駆動回路に接続されており、各結線の各相のコイル群に含まれる各コイルは、同相同士の位相差が固定子の周方向に電気角で約60/N°間隔に配置されており、各結線の同相同士の電流位相差を同じ約60/N°にすることで、上記構成と同じ原理でトルク脈動の6次成分が大幅に低減される。
【0069】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5を
図14および
図15に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
図14はこの発明の実施の形態5に係わる回転電機を示す半断面図である。
図15はこの発明の実施の形態5に係わる回転電機を示す半断面図である。
【0070】
この実施の形態5においても、上述した実施の形態1における
図1において、回転子3は、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との2つが組み合わされて構成され、全体の軸方向長さに対して約1/2の長さをそれぞれが有しており、シャフト2に連結されている。回転子3は、固定子11と軸方向長さが同等に構成されている。なお、
図14においては、第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32との間には空隙G2が設けられておらず、第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32とは連続した連結体として構成されている。
【0071】
また、
図14において、第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32との磁束の軸方向漏れにより平均化の効果が低下するのを防ぐために、この実施の形態5においては、第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32との間の空隙G2の代わりに、固定子コア5の軸方向約半分の第1の固定子コア511と軸方向約半分の第2の固定子コア512との2つが組み合わせされて固定子コア5が構成され、軸方向約半分の第1の固定子コア511と軸方向約半分の第2の固定子コア512とが軸方向に対向する部分に、すなわち、軸方向の略中央部に例えば空隙G3を設けている点で上述した実施の形態1の構成と異なる。
【0072】
このように軸方向約半分の第1の固定子コア511と軸方向約半分の第2の固定子コア512とが軸方向に対向する部分に、すなわち、軸方向の略中央部に例えば空隙G3を設けたことにより、固定子11内において軸方向の磁束を遮断でき、回転子3における第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32による例えば多相交流巻線からなる固定子コイル6への鎖交磁束を平均化する効果を向上させることができるため、トルク脈動を低減することができる。
【0073】
なお、固定子11内において軸方向の磁束を抑制するためには、第1の固定子コア511と第2の固定子コア512間の空隙G3は固定子11と回転子3とで形成される空隙G1の長さより大きい方が望ましい。勿論、第1の固定子コア511と第2の固定子コア512間に空隙G3を設けるだけでなく、図示していないが非磁性体を間に挟むことでも同様の平均化の効果が得られ、透磁率の低い磁性体(例えば鋳物など)でも、ある程度の平均化の効果は得られる。また、シャフト2の材質を高価な非磁性体にする必要がなくなりコストを低減することができる。
【0074】
さらに、
図15において、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32とが軸方向に対向する部分に例えば空隙G2を設けて、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との磁束の軸方向漏れにより平均化の効果が低下するのを防ぐとともに、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32が軸方向に対向する部分の空隙G2に加えて、固定子コア5の軸方向約半分の第1の固定子コア511と軸方向約半分の第2の固定子コア512との2つが組み合わせされて固定子コア5が構成され、軸方向約半分の第1の固定子コア511と軸方向約半分の第2の固定子コア512とが軸方向に対向する部分に、すなわち、軸方向の略中央部に例えば空隙G3を設けている点で上述した実施の形態1の構成と異なる。
【0075】
このように、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32が軸方向に対向する部分の空隙G2に加えて、軸方向約半分の第1の固定子コア511と軸方向約半分の第2の固定子コア512とが軸方向に対向する部分に、すなわち、軸方向の略中央部に例えば空隙G3を設けたことにより、固定子11内において軸方向の磁束を遮断でき、回転子3における第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32による例えば多相交流巻線からなる固定子コイル6への鎖交磁束を平均化する効果をさらに向上させることができるため、上述した実施の形態1よりもトルク脈動を低減することができる。
【0076】
なお、固定子11内において軸方向の磁束を抑制するためには、第1の固定子コア511と第2の固定子コア512間の空隙G3は固定子11と回転子3とで形成される空隙G1の長さより大きい方が望ましい。勿論、第1の固定子コア511と第2の固定子コア512間に空隙G3を設けるだけでなく、図示していないが非磁性体を間に挟むことでも同様の平均化の効果が得られ、透磁率の低い磁性体(例えば鋳物など)でも、ある程度の平均化の効果は得られる。また、シャフト2の材質を高価な非磁性体にする必要がなくなりコストを低減することができる。
【0077】
なお、上述した極数、スロット数に限らず、上述した構成による回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づける効果は、どの極数、スロット数でも同様である。また、上述した固定子11において集中巻に限らず分布巻でも、回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形の影響によるトルク脈動を同様に抑制することができる。そして、上述した回転子3が固定子11内にある場合に限らず、回転子3が固定子11外にある場合でも同様の効果を得られる。
【0078】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6を
図16乃至
図18に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
図16はこの発明の実施の形態6に係わる回転電機を示す半断面図である。
図17はこの発明の実施の形態6に係わる回転電機におけるトルク脈動の特性を示す特性図である。
図18はこの発明の実施の形態6に係わる回転電機におけるトルク/磁石量、トルクの特性を示す特性図である。
【0079】
上述した各実施の形態においては、固定子コア5の軸方向長さと、第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32との軸方向長さとは実質的に同じ場合について述べたが、この実施の形態6においては、
図16に示すように、固定子コア5の軸方向長さより、第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32との軸方向長さの方が大きい点で、上述した各実施の形態とは異なる。
【0080】
このように、固定子コア5の軸方向長さより、第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32との軸方向長さの方を大きく構成したことにより、回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づけるだけでなく、固定子コア5を伸ばすことなく、固定子コア5より軸方向にオフセットした第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32の第1の磁石33と第2の磁石35から生じる磁束を、第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32を通して軸方向に流すことができる。
【0081】
例えば、
図17に示す10極12スロットの構成とした特性図に示すように、従来例の構成で回転子コア1の軸方向長さを固定子コア5の軸方向長さより長く(オフセット)した場合よりも、上述した実施の形態1および実施の形態6においてトルク脈動を低減することができる。そして、
図18の特性図に示すように、N極の磁石、およびS極の磁石を交互に周方向に配置する通常の磁石配置の回転子コア1の軸方向長さを固定子コア5の軸方向長さより長く(オフセット)した場合よりも、この実施の形態6においてはトルク/磁石量を向上させることができる。
【0082】
なお、上述した極数、スロット数に限らず、どの極数、スロット数においても、
図16のような構成をとることが可能なため、この実施の形態6の効果を同様に得ることができる。また、上述した固定子11において分布巻に限らず集中巻でも、回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形の影響によるトルク脈動を同様に抑制することができる。そして、上述した回転子3が固定子11内にある場合に限らず、回転子3が固定子11外にある場合でも同様の効果を得られる。さらに、上述した実施の形態2から実施の形態5においてもこの実施の形態6との組合せにより同様の効果を得ることができるのは言うまでもない。
【0083】
実施の形態7.
この発明の実施の形態7を
図19乃至
図23に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
図19はこの発明の実施の形態7に係わる回転電機を示す半断面図である。
図20はこの発明の実施の形態7に係わる回転電機を示す
図19のA1−A1線における断面図である。
図21はこの発明の実施の形態7に係わる回転電機を示す
図19のC1−C1線における断面図である。
図22はこの発明の実施の形態7に係わる回転電機を示す
図19のB1−B1線における断面図である。
図23はこの発明の実施の形態7に係わる回転電機におけるトルク、トルク/磁石量の特性を示す特性図を示す断面図である。
【0084】
図19、
図20、
図21、
図22において、回転子3は、上述した実施の形態6における第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32と同様に固定子コア5の軸方向長さより長く(オフセット)した第1の回転子コア体311と第2の回転子コア体321が配置され、第1の回転子コア体311と第2の回転子コア体321との間に第3の回転子コア体501が配置され、これら第1の回転子コア体311、第3の回転子コア体501、第2の回転子コア体321とが連続して一体的に連結された場合を示している。
【0085】
第1の回転子コア体311には
図20に示すように例えば等間隔に配置された4個のN極の極性を表面にもつ第1の磁石331と第1の磁石331間に配置された例えばS極の極性を表面にもつ第1のコア磁極部341とを有し、第2の回転子コア体321には
図22に示すように例えば等間隔に配置された4個のS極の極性を表面にもつ第1の磁石331とは異なる着磁方向の第2の磁石351と第2の磁石351間に配置された例えばN極の極性を表面にもつ第2のコア磁極部361とを有している。
【0086】
第1の磁石331と第1のコア磁極部341とは第1の回転子コア体311の外周面に周方向に交互に配置され、第2の磁石351と第2のコア磁極部361とは第2の回転子コア体321の外周面に周方向に交互に配置されている。そして、第1の回転子コア体311の第1のコア磁極部341に対応した位置に第2の回転子コア体321の第2の磁石361が位置するように配置されている。なお、図中のN、Sは、それぞれ第1の磁石331、第2の磁石351、第1のコア磁極部341及び第2のコア磁極部361の表面における極性を表している。
【0087】
第1の回転子コア体311と第2の回転子コア体321との間に配設された第3の回転子コア体501には
図21に示すように例えばN極の極性を表面にもつ第3の磁石502と、S極の極性を表面にもつ第4の磁石503とが周方向に交互に配置されており、このような第3の回転子コア体501を設けた構成は上述した実施の形態6とは異なる。すなわち、その固定子コア5と径方向に対向する部分の各回転子コア体の各磁石は、固定子コア5から軸方向にオフセットした部分の磁石の極性と同一になるように軸方向に並んで(磁極中心が一致するように)配置されてシャフト2に連結されている。
【0088】
また、この実施の形態7においては第1の回転子コア体311と第2の回転子コア体321との磁束の軸方向漏れを防ぐための空隙を有していない。これは第1の回転子コア体311と第2の回転子コア体321の第1の磁石331と第2の磁石361の比透磁率が空気とほぼ同一であり、固定子コア5に対して軸方向にオフセットした第1の回転子コア体311と第2の回転子コア体321に配置された第1の磁石331と第2の磁石361の互いの異極磁石同士の短絡を防ぐ役割を果たすためである。また、シャフト2は非磁性でなく磁性であっても良い。
【0089】
さらに、固定子コア5に対して軸方向にオフセットした第1の回転子コア体311と第2の回転子コア体321のオフセット部分で異極磁石を周方向にずらしているため、回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づける効果がある。
【0090】
このような構成としたことにより、固定子コア5と対向する中央部分において、第3の回転子コア体501の磁石をN極の極性をもつ第3の磁石502とS極の極性をもつ第4の磁石503とを周方向に交互に配置することができるため、
図23に示すように、従来例の構成によるコンシクエントポール構造よりもトルクを向上させることができる。
【0091】
さらに、N極の磁石、およびS極の磁石を交互に周方向に配置する通常の磁石配置よりも、第1の回転子コア体311と第2の回転子コア体321の軸方向にオフセットさせる部分をコンシクエントポール構造にするこの発明の実施の形態7の方が、磁石の利用率を表すトルク/磁石量を向上させることができる。
【0092】
これは、回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づけるだけでなく、固定子コア5を伸ばすことなく、固定子コア5より軸方向にオフセットした第1の回転子コア体311と第2の回転子コア体321の第1の磁石331と第2の磁石361から生じる磁束を、第1の回転子コア体311と第2の回転子コア体321の磁性体内部を通して軸方向に流すことができるためである。
なお、上述した極数、スロット数に限らず、上述した構成による回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づける効果は、どの極数、スロット数でも同様である。また、上述した固定子11において分布巻に限らず集中巻でも、回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形の影響によるトルク脈動を同様に抑制することができる。そして、上述した回転子3が固定子11内にある場合に限らず、回転子3が固定子11外にある場合でも同様の効果を得られる。
【0093】
実施の形態8.
この発明の実施の形態8を
図24乃至
図26に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
図24はこの発明の実施の形態8に係わる回転電機を示す半断面図である。
図25はこの発明の実施の形態8に係わる回転電機を示す
図24のD−D線における断面図である。
図26はこの発明の実施の形態8に係わる回転電機を示す
図24のE−E線における断面図である。
【0094】
この実施の形態8においても、上述した実施の形態1における
図1において、回転子3は、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との2つが組み合わされて構成され、全体の軸方向長さに対して約1/2の長さをそれぞれが有しており、シャフト2に連結されている。回転子3は、固定子11と軸方向長さが同等に構成されている。なお、
図24において、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32とが軸方向に対向する部分に例えば空隙G2を設けて、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との磁束の軸方向の漏れにより、回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づける平均化の効果が低下するのを防いでいる。
【0095】
さらに、
図24乃至
図26において、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32とが軸方向に対向する部分の面にそれぞれピン穴111,112を少なくとも1箇所(この実施の形態8においては2箇所)設けて、それらのピン穴111,112にピン113を嵌め合うことにより、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との相対的な周方向位置が精度良く決められている。すなわち、第1の回転子コア体と前記第2の回転子コア体との周方向位置を決める位置決め手段を有する点で上述した実施の形態1の構成と異なる。またこの場合においてピンは非磁性部材からなる。
【0096】
このように、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32が軸方向に対向する部分の空隙G2に加えて、軸方向約半分の第1の回転子コア
体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32とが軸方向に対向する部分の面にそれぞれピン穴111,112を少なくとも1箇所設けてそのピン穴111,112にピン113を嵌め合う、すなわち、第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32との周方向位置を決める位置決め手段を有することにより、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との相対的な周方向位置が決められるため、
図5において回転子3における第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32による表面磁束密度波形PとQの周方向位置を正確に合わせることができ、その合成した波形Rを正弦波形状の波形に近づけることができる。よって、回転子3における第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32による例えば多相交流巻線からなる固定子コイル6への鎖交磁束を平均化する効果をさらに向上させることができるため、上述した実施の形態1よりもトルク脈動を低減することができる。
【0097】
上述の構成では、回転子3の軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を相互に1極分周方向にずらして正確に位置決めできるため、その波形が平均化されて正弦波形状と同様の効果を得ることができ、上述した実施の形態1の
図6に示すように、時間成分次数が1/2のトルク脈動の発生を抑制でき、主成分は時間6次成分となる。もし、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との相対的な周方向位置が正確に決められない場合は、
図43に示すような電気角1周期当りの時間成分の1/2の次数成分(本図では時間3次成分)を打ち消すことができず、その成分に相当するトルク脈動を抑制することができない。トルク脈動の要因となる磁束密度波形の高調波成分の変化を10%以内抑えるには、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との相対的な周方向位置の精度を電気角±5°以内に収めることが望ましい。
【0098】
なお、回転子3の磁束の漏れを抑制するためには、この空隙G2は固定子11と回転子3とで形成される空隙G1の長さより大きく、シャフト2は非磁性が望ましい。また、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32をシャフト2に固定する際に空隙G2を設けるだけでなく、図示していないが非磁性体を間に挟むことでも同様の平均化の効果が得られ、透磁率の低い磁性体(例えば鋳物など)でも、ある程度の平均化の効果は得られる。
【0099】
なお、上述した極数、スロット数に限らず、上述した構成による回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づける効果は、どの極数、スロット数でも同様である。また、上述した固定子11において集中巻に限らず分布巻でも、回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形の影響によるトルク脈動を同様に抑制することができる。そして、上述した回転子3が固定子11内にある場合に限らず、回転子3が固定子11外にある場合でも同様の効果を得られる。
【0100】
実施の形態9.
この発明の実施の形態9を
図27乃至
図29に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
図27はこの発明の実施の形態9に係わる回転電機を示す半断面図である。
図28はこの発明の実施の形態9に係わる回転電機を示す
図27のD−D線における断面図である。
図29はこの発明の実施の形態9に係わる回転電機を示す
図27のE−E線における断面図である。
【0101】
この実施の形態9においても、
図27乃至
図29において、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との径方向内周側の面とシャフトの外周側の面とにそれぞれキー溝114,115を少なくとも1箇所(本実施の形態においては1箇所)設けて、それらのキー溝114,115にキー116を嵌め合ってシャフトに連結されることにより、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との相対的な周方向位置が決められている。すなわち、第1の回転子コア体と前記第2の回転子コア体との周方向位置を決める位置決め手段を有する点で上述した実施の形態8の構成と異なる。またこの場合においてキーは非磁性部材からなる。
【0102】
このように、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32が軸方向に対向する部分の空隙G2に加えて、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との径方向内周側の面とシャフトの外周側の面とにそれぞれキー溝114,115を少なくとも1箇所設けてそのキー溝114,115にキー116を嵌め合う、すなわち、第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32との周方向位置を決める位置決め手段を有することにより、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との相対的な周方向位置が決められるため、
図5において回転子3における第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32による表面磁束密度波形PとQの周方向位置を正確に合わせることができ、その合成した波形Rを正弦波形状の波形に近づけることができる。よって、回転子3における第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32による例えば多相交流巻線からなる固定子コイル6への鎖交磁束を平均化する効果をさらに向上させることができるため、上述した実施の形態8と同様にトルク脈動を低減することができる。
【0103】
また、第1の回転子コア体31及び第2の回転子コア体32からシャフトに、キー116を介してトルクを伝達できるため、第1の回転子コア体31及び第2の回転子コア体32とシャフトとを圧入や焼きばめにより締結して、トルクを直接伝達する必要がなくなり、上述した実施の形態8に比べて第1の回転子コア体及び第2の回転子コア体とシャフトとの組立性又は分解性が向上する。
【0104】
なお、回転子3の磁束の漏れを抑制するためには、この空隙G2は固定子11と回転子3とで形成される空隙G1の長さより大きく、シャフト2は非磁性が望ましい。また、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32をシャフト2に固定する際に空隙G2を設けるだけでなく、図示していないが非磁性体を間に挟むことでも同様の平均化の効果が得られ、透磁率の低い磁性体(例えば鋳物など)でも、ある程度の平均化の効果は得られる。
【0105】
なお、上述した極数、スロット数に限らず、上述した構成による回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づける効果は、どの極数、スロット数でも同様である。また、上述した固定子11において集中巻に限らず分布巻でも、回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形の影響によるトルク脈動を同様に抑制することができる。そして、上述した回転子3が固定子11内にある場合に限らず、回転子3が固定子11外にある場合でも同様の効果を得られる。
【0106】
実施の形態10.
この発明の実施の形態10を
図30乃至
図32に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
図30はこの発明の実施の形態10に係わる回転電機を示す半断面図である。
図31はこの発明の実施の形態10に係わる回転電機を示す
図30のD−D線における断面図である。
図32はこの発明の実施の形態10に係わる回転電機を示す
図30のE−E線における断面図である。
【0107】
この実施の形態10においても、
図30乃至
図32において、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との径方向内周側の面にそれぞれ四角形状の穴部117,118を設けており、シャフトに形成された四角形状のハブ119がその四角形状の穴部117,118に嵌め合ってシャフトに連結されることにより、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との相対的な周方向位置が決められている。すなわち、第1の回転子コア体31と前記第2の回転子コア体32との周方向位置を決める位置決め手段を有する点で上述した実施の形態8の構成と異なる。
【0108】
このように、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32が軸方向に対向する部分の空隙G2に加えて、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との径方向内周側の面にそれぞれ四角形状の穴部117,118を設けてその四角形状の穴部117,118にシャフトに形成された四角形状のハブ119を嵌め合う、すなわち、第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32との周方向位置を決める位置決め手段を有することにより、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との相対的な周方向位置が決められるため、
図5において回転子3における第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32による表面磁束密度波形PとQの周方向位置を正確に合わせることができ、その合成した波形Rを正弦波形状の波形に近づけることができる。よって、回転子3における第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32による例えば多相交流巻線からなる固定子コイル6への鎖交磁束を平均化する効果をさらに向上させることができるため、上述した実施の形態8と同様にトルク脈動を低減することができる。
【0109】
また、シャフトに四角形状のハブ119が形成されているため、上述した実施の形態8と実施の形態9と比べて、周方向位置決めのための部品点数を1点減らすことができる。さらに、上述した実施の形態9と同様に、第1の回転子コア体31及び第2の回転子コア体32からシャフトに、四角形状のハブ119と四角形状の穴部117,118を介してトルクを伝達できるため、第1の回転子コア体31及び第2の回転子コア体32とシャフトとを圧入や焼きばめにより締結して、トルクを直接伝達する必要がなくなり、上述した実施の形態8に比べて第1の回転子コア体31及び第2の回転子コア体32とシャフトとの組立性及び分解性が向上する。
【0110】
なお、回転子3の磁束の漏れを抑制するためには、この空隙G2は固定子11と回転子3とで形成される空隙G1の長さより大きく、シャフト2は非磁性が望ましい。また、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32をシャフト2に固定する際に空隙G2を設けるだけでなく、図示していないが非磁性体を間に挟むことでも同様の平均化の効果が得られ、透磁率の低い磁性体(例えば鋳物など)でも、ある程度の平均化の効果は得られる。
【0111】
なお、上述した極数、スロット数に限らず、上述した構成による回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づける効果は、どの極数、スロット数でも同様である。また、上述した固定子11において集中巻に限らず分布巻でも、回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形の影響によるトルク脈動を同様に抑制することができる。そして、上述した回転子3が固定子11内にある場合に限らず、回転子3が固定子11外にある場合でも同様の効果を得られる。
【0112】
実施の形態11.
この発明の実施の形態11を
図33乃至
図36に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
図33はこの発明の実施の形態11に係わる回転電機を示す半断面図である。
図34はこの発明の実施の形態11に係わる回転電機を示す
図33のD−D線における断面図である。
図35はこの発明の実施の形態11に係わる回転電機を示す
図33のE−E線における断面図である。
図36はこの発明の実施の形態11に係わる回転電機における非磁性部材の斜視図である。
【0113】
この実施の形態11においても、
図33乃至
図36において、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32とが軸方向に対向する部分の間に非磁性からなる非磁性部材120が配置され、非磁性部材120の両面が軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32とに当接している。さらに、非磁性部材120の周方向側面において径方向に突出した突起120aが周方向に等間隔に設けられ、その突起120aの周方向側面に当接部120bが設けられている。この突起120aの当接部120bが、軸方向約半分の第1の回転子コア体31の第1の磁石33と第1のコア磁極部34と、軸方向約半分の第2の回転子コア体32の第2の磁石35と第2のコア磁極部36の周方向側面に、軸方向位置が非磁性部材120の位置において当接することにより、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との相対的な周方向位置が決められている。すなわち、第1の磁石33、第2の磁石35、第1のコア磁極部34、第2のコア磁極部36の周方向側面に当接する当接部120bが設けられた非磁性部材120を有している点で上述した実施の形態1の構成と異なる。
【0114】
このように、第1の磁石33、第2の磁石35、第1のコア磁極部34、第2のコア磁極部36の周方向側面に当接する当接部120bが設けられた非磁性部材120を有することにより、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との相対的な周方向位置が決められるため、
図5において回転子3における第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32による表面磁束密度波形PとQの周方向位置を正確に合わせることができ、その合成した波形Rを正弦波形状の波形に近づけることができる。よって、回転子3における第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32による例えば多相交流巻線からなる固定子コイル6への鎖交磁束を平均化する効果をさらに向上させることができるため、上述した実施の形態8と同様にトルク脈動を低減することができる。
【0115】
また、非磁性部材120により第1の回転子コア体31及び第2の回転子コア体32の軸方向位置も位置決めできるため、軸方向の磁束の漏れを確実に抑制でき、組立性も向上できる。
【0116】
なお、回転子3の磁束の漏れを抑制するためには、この空隙G2は固定子11と回転子3とで形成される空隙G1の長さより大きく、シャフト2は非磁性が望ましい。また、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32をシャフト2に固定する際に空隙G2を設けるだけでなく、図示していないが非磁性体を間に挟むことでも同様の平均化の効果が得られ、透磁率の低い磁性体(例えば鋳物など)でも、ある程度の平均化の効果は得られる。
【0117】
なお、上述した非磁性部材120の当接部120bは
図36の形状に限らず、第1の磁石33、第2の磁石35、第1のコア磁極部34、第2のコア磁極部36の周方向側面に当接するような形状になっていれば良い。例えば、図示していないが当接部は平面ではなく曲面であっても構わない。その際、同様に回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づける効果があり、回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形の影響によるトルク脈動を同様に抑制することができる。
【0118】
なお、上述した極数、スロット数に限らず、上述した構成による回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づける効果は、どの極数、スロット数でも同様である。また、上述した固定子11において集中巻に限らず分布巻でも、回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形の影響によるトルク脈動を同様に抑制することができる。そして、上述した回転子3が固定子11内にある場合に限らず、回転子3が固定子11外にある場合でも同様の効果を得られる。
【0119】
実施の形態12.
この発明の実施の形態12を
図37乃至
図40に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
図37はこの発明の実施の形態12に係わる回転電機を示す半断面図である。
図38はこの発明の実施の形態12に係わる回転電機を示す
図37のD−D線における断面図である。
図39はこの発明の実施の形態12に係わる回転電機を示す
図37のE−E線における断面図である。
図40はこの発明の実施の形態12に係わる回転電機における非磁性部材の斜視図である。
【0120】
この実施の形態12においても、
図37乃至
図40において、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32とが軸方向に対向する部分の間に非磁性からなる非磁性部材121が配置され、非磁性部材121の両面が軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32とに当接している。さらに、非磁性部材121の軸方向側面において軸方向に突出した突起121aが周方向に等間隔に設けられ、その突起121aの周方向側面に当接部121bが設けられている。この突起121aの当接部121bが、軸方向約半分の第1の回転子コア体31の第1の磁石33と第1のコア磁極部34と、軸方向約半分の第2の回転子コア体32の第2の磁石35と第2のコア磁極部36の周方向側面に、軸方向位置が第1の回転子コア体31及び第2の回転子コア体32の位置において当接することにより、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との相対的な周方向位置が決められている。すなわち、第1の磁石33、第2の磁石35、第1のコア磁極部34、第2のコア磁極部36の周方向側面に当接する当接部121bが設けられた非磁性部材121を有している点で上述した実施の形態1の構成と異なる。
【0121】
このように、第1の磁石33、第2の磁石35、第1のコア磁極部34、第2のコア磁極部36の周方向側面に当接する当接部121bが設けられた非磁性部材121を有することにより、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32との相対的な周方向位置が決められるため、
図5において回転子3における第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32による表面磁束密度波形PとQの周方向位置を正確に合わせることができ、その合成した波形Rを正弦波形状の波形に近づけることができる。よって、回転子3における第1の回転子コア体31と第2の回転子コア体32による例えば多相交流巻線からなる固定子コイル6への鎖交磁束を平均化する効果をさらに向上させることができるため、上述した実施の形態8と同様にトルク脈動を低減することができる。
また、非磁性部材121により第1の回転子コア体31及び第2の回転子コア体32の軸方向位置も位置決めできるため、軸方向の磁束の漏れを確実に抑制でき、組立性も向上できる。
【0122】
また、第1の磁石33、第2の磁石35、第1のコア磁極部34、第2のコア磁極部36の周方向側面に軸方向位置が第1の回転子コア体31及び第2の回転子コア体32の位置において、非磁性部材の当接部が当接するため、第1の回転子コア体31及び第2の回転子コア体32に対する第1の磁石33、第2の磁石35、第1のコア磁極部34、第2のコア磁極部36の周方向位置決め部材として代用でき、第1の回転子コア体31及び第2の回転子コア体32の外周面を旋盤加工することができるため、周方向位置決め部材を第1の回転子コア体31及び第2の回転子コア体32の外周面をエンドミル加工する場合よりも加工コストを削減できる。さらに、第1の磁石33、第2の磁石35、第1のコア磁極部34、第2のコア磁極部36の軸方向長さを、第1の回転子コア体31及び第2の回転子コア体32の軸方向長さ以下にできるため、第1の磁石33、第2の磁石35、第1のコア磁極部34、第2のコア磁極部36の材料コストを削減できる。
【0123】
なお、回転子3の磁束の漏れを抑制するためには、この空隙G2は固定子11と回転子3とで形成される空隙G1の長さより大きく、シャフト2は非磁性が望ましい。また、軸方向約半分の第1の回転子コア体31と軸方向約半分の第2の回転子コア体32をシャフト2に固定する際に空隙G2を設けるだけでなく、図示していないが非磁性体を間に挟むことでも同様の平均化の効果が得られ、透磁率の低い磁性体(例えば鋳物など)でも、ある程度の平均化の効果は得られる。
【0124】
なお、上述した非磁性部材121の当接部121bは
図40の形状に限らず第1の磁石33、第2の磁石35、第1のコア磁極部34、第2のコア磁極部36の周方向側面に当接するような形状になっていれば良い。例えば、図示していないが当接部は平面ではなく曲面であっても構わない。その際、同様に回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づける効果があり、回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形の影響によるトルク脈動を同様に抑制することができる。
【0125】
なお、上述した極数、スロット数に限らず、上述した構成による回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形を正弦波形状に近づける効果は、どの極数、スロット数でも同様である。また、上述した固定子11において集中巻に限らず分布巻でも、回転子3の表面磁束密度の非正弦波形状の波形の影響によるトルク脈動を同様に抑制することができる。そして、上述した回転子3が固定子11内にある場合に限らず、回転子3が固定子11外にある場合でも同様の効果を得られる。
【0126】
なお、この発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。