(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1銅プレート層と前記半導体デバイス間には、モリブデン−銅合金または銅モリブデンのいずれかからなる電極層を備えることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記応力緩和構造は、前記セラミック基板の反りによって、引延ばされる方向に垂直な方向に延伸して配置されることを特徴とする請求項8に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記応力緩和構造は、前記セラミック基板の反りによって、引延ばされる方向の断面が、三角形、矩形、半円形、台形のいずれかを基調とするパターンを有することを特徴とする請求項8に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記スリット形状は、前記ヒートスプレッダの長手方向に沿う櫛形、長方形、円形ドット配列のいずれかであることを特徴とする請求項15に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記スリット形状は、前記ヒートスプレッダの長手方向に沿う櫛形もしくは長方形を備え、かつ前記スリット形状の端部は、曲線形、矩形もしくは三角形を有することを特徴とする請求項15に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記ヒートスプレッダは、前記半導体デバイスを搭載する部分に、高熱伝導率の金属を埋め込む構造を備えることを特徴とする請求項5または14に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記ヒートスプレッダは、前記半導体デバイスを搭載する部分、および前記ヒートスプレッダを固定するために形成されたネジ穴から遠い部分に高熱伝導率の金属を埋め込む構造を備えることを特徴とする請求項5または14に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記ヒートスプレッダはCuMoで形成され、かつ前記高熱伝導率の金属は、Cuで形成されたことを特徴とする請求項18〜20のいずれか1項に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記熱伝導性絶縁層上に前記半導体デバイスを駆動するゲートドライブ集積回路をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3、8〜21のいずれか1項に記載のパワーモジュール半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0016】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図1〜
図3に示すように、第1銅プレート層16
1と、第1銅プレート層16
1上に配置された半導体デバイス24と、半導体デバイス24上に配置された第1セラミック基板18
1と、第1セラミック基板18
1に開口された第1開口部2を介して半導体デバイス24表面に接続された第1端子電極10と、第1セラミック基板18
1に開口された第2開口部3を介して第1銅プレート層16
1に接続された第2端子電極12とを備える。ここで、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、半導体デバイス24の裏面と表面の両面から放熱を行うことができる。
【0018】
図1〜
図3に示すように、例えば、第1端子電極10は、第1開口部2を介して、半導体デバイス24のソースコンタクトCS/ゲートコンタクトCGに接続され、第2端子電極12は、第2開口部3を介して、半導体デバイス24のドレインコンタクトCDに接続される。
【0019】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1銅プレート層16
1は、裏面に第2銅プレート層16
2を有する第2セラミック基板18
2上に配置されていても良い。
【0020】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図1に示すように、第2セラミック基板18
2上に配置された第3セラミック基板18
3と、第3セラミック基板18
3上、第1セラミック基板18
1との間に配置された第4セラミック基板18
4と、第1セラミック基板18
1上に配置された第5セラミック基板18
5とを備えていても良い。ここで、第1〜第5セラミック基板18
1〜18
5は、積層面において互いに接着樹脂層20で接着されている。ここで、接着樹脂層20には、例えば、エポキシ系樹脂もしくはシリコーン系樹脂などを適用することができる。
【0021】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図1に示すように、第1端子電極10、第2端子電極12、および第5セラミック基板18
5上に配置された保護層14を備えていても良い。ここで、保護層14には、例えば、PPS(ポリフェニルサルファイド)などを適用することができる。
【0022】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置は、
図3に示すように、第1銅プレート層16と半導体デバイス24間には、銅合金または銅モリブデン電極層25を備えていても良い。また、半導体デバイス24と第1端子電極10・銅合金または銅モリブデン電極層25間は、半田層24aによって接続され、銅合金または銅モリブデン電極層25と第1銅プレート層16間は、半田層25aによって接続されている。このように、第1銅プレート層16と半導体デバイス24間に、銅合金または銅モリブデン電極層25を配置することによって、半導体デバイス24と第1銅プレート層16との間の密着性を向上し、熱伝導性を良好にすることができる。25は、銅合金またはモリブデン(Mo)からなる電極層であっても良い。
【0023】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置において、第1〜第5セラミック基板18
1〜18
5は、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al
2O
3、)、若しくは窒化シリコン(SiN)のいずれかで形成されていても良い。このような材料で形成することによって、熱伝導性を良好にすることができる。
【0024】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置においては、半導体デバイス24表面・裏面の両面から放熱を行う構造とすることで、裏面のみから放熱する時よりも、大電力動作時の半導体デバイス24表面の温度を10℃以上下げることが可能となる。
【0025】
例えば、半導体デバイス24をSiCで形成したSiCMOSFETにおいても200℃以上の高温動作では、電気抵抗が上昇するため、半導体デバイス24の両面から放熱を行う構造とすることで、大電力動作時の半導体デバイス24の損失を低減することができる。
【0026】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置においては、第1〜第5セラミック基板18
1〜18
5を層状に貼り付けることで、高放熱性の構造を実現することができる。
【0027】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置においては、
図1(b)の全体の高さは、3mm程度と薄くすることができ、従来構造に比較して、約60%薄層化可能である。
【0028】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置においては、半導体デバイスの表裏両面から放熱することにより、小型化、高放熱化を実現することができる。
【0029】
(変形例)
第1の実施の形態の変形例1〜4に係るパワーモジュール半導体装置1においては、
図4〜
図7に示すように、第1端子電極10・第2端子電極12は、屈曲した端子電極先端部0a・12aを備えていても良い。このような屈曲した端子電極先端部10a・12aを備えることによって、後述するヒートスプレッダとの密着性を向上させ、或いは第1端子電極10・第2端子電極12からの電極取り出しを容易にすることができる。このような屈曲した端子電極先端部0a・12aは、第1端子電極10・第2端子電極12をエッチング加工することによっても形成することができる。
【0030】
第1の実施の形態の変形例3に係るパワーモジュール半導体装置1においては、
図6に示すように、エッチング加工によって、端子電極内側コーナー部10b・12bが滑らかな曲面を有する例が示されている。
【0031】
一方、第1の実施の形態の変形例4に係るパワーモジュール半導体装置1においては、
図7に示すように、エッチング加工によって、端子電極内側コーナー部10c・12cがオーバーエッチングされた曲面を有する例が示されている。第1端子電極10・第2端子電極12のエッチング時のエッチング液の濃度、配合、時間、温度などの加工条件を調整することによって、
図5〜
図7に示すように、第1端子電極10・第2端子電極12の端子電極先端部0a・12aの形状を加工可能である。
【0032】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置を搭載したパワーモジュール部52とゲートドライブ部50の配線接続を説明する模式的平面パターン構成は、
図8に示すように表される。
図8において、パワーモジュール部52には、3相交流インバータ用のパワーモジュール半導体装置60
1〜60
6が配置されており、パワーモジュール半導体装置60
1〜60
6は、ゲートドライブ部50との間を、それぞれゲート駆動配線10
1〜10
6により接続されている。
【0033】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置60
1〜60
6の近傍にゲートドライブ回路70
1〜70
6を搭載したパワーモジュール部80の模式的平面パターン構成は、
図9に示すように表される。
図9の例では、パワーモジュール半導体装置60
1〜60
6の近傍にゲートドライブ回路70
1〜70
6を配置することによって、ゲートドライブ信号の信号遅延を低減し、3相交流インバータ用のパワーモジュール半導体装置60
1〜60
6の高周波、高効率の動作を実現可能である。
【0034】
(パワーモジュールの構成)
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置を用いて構成した3相インバータの模式的回路構成は、
図10に示すように、ゲートドライブ部50と、ゲートドライブ部50に接続されたパワーモジュール部52と、3相モータ部53とを備える。パワーモジュール部52は、3相モータ部53のU相、V相、W相に対応して、U、V、W相のインバータが接続されている。
【0035】
パワーモジュール部52は、コンデンサCが接続されたプラス端子(+)とマイナス端子(−)間に、インバータ構成のSiC・MOSFETQ1・Q2、Q3・Q4、およびQ5・Q6が接続されている。さらに、SiC・MOSFETQ1〜Q6のソース・ドレイン間には、ダイオードD1〜D6がそれぞれ逆並列に接続されている。
【0036】
第1の実施の形態およびその変形例に係るパワーモジュール半導体装置は、両面冷却構造を備えるため、このようなパワーモジュール半導体装置を用いて構成した3相インバータは、裏面のみから放熱する時よりも、大電力動作時の半導体デバイス24表面の温度を10℃以上下げることが可能となり、大電力動作時の損失を低減することができ、しかも薄層化により、小型化、高効率化を実現することができる。
【0037】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置に適用する半導体デバイス24の例として、SiC・MOSFETの模式的断面構造は、
図11に示すように、n
-エピタキシャル成長層126と、n
-エピタキシャル成長層126の表面側に形成されたpベース領域128と、pベース領域128の表面に形成されたソース領域130と、pベース領域128間のn
-エピタキシャル成長層126の表面上に配置されたゲート絶縁膜132と、ゲート絶縁膜132上に配置されたゲート電極138と、ソース領域130に接続されたソース電極134と、n
-エピタキシャル成長層126の表面と反対側の裏面に配置されたn
+ドレイン領域(n
+基板)124と、n
+ドレイン領域(n
+基板)124に接続されたドレイン電極136とを備える。
【0038】
ドレイン電極136は、例えば、
図3に示すように、半田層24a、銅合金または銅モリブデン電極層25、半田層25aを介して、第1銅プレート層16
1に接続されている。
【0039】
なお、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置に適用する半導体デバイスの例として、SiC・MOSFETの代わりに、GaNFETなどを適用することもできる。
【0040】
第1の実施の形態およびその変形例に係るパワーモジュール半導体装置は、両面冷却構造を備えるため、熱放散が容易となり、ヒートスプレッダの軽量化、半導体デバイスの熱暴走の抑制、高周波特性および消費電力効率などの性能向上をはかることができ、結果として、電力変換効率を増大することができる。
【0041】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1の模式的断面構造は、
図12(a)に示すように、半導体デバイス24と、半導体デバイス24の表面側に配置された第1DBC基板(16a・18a・16a)と、半導体デバイス24の裏面側に配置された第2DBC基板(16b・18b・16b)と、第1DBC基板(16a・18a・16a)に接続された第1端子電極10と、第2DBC基板(16b・18b・16b)に接続された第2端子電極12とを備える。ここで、第2の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、半導体デバイス24の裏面と表面の両面から放熱を行うことができる。
【0042】
図12(a)に適用するDBC基板の模式的断面構造は、
図12(b)に示すように、セラミック基板18と、セラミック基板18の表面と裏面に配置された銅(Cu)プレート層16とを備える。
【0043】
また、第2の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、半導体デバイス24と、第1DBC基板(16a・18a・16a)と、第2DBC基板(16b・18b・16b)と、第1端子電極10と、第2端子電極12とを封止する封止樹脂層22を備えていても良い。ここで、封止樹脂層22は、例えば、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、若しくはシリコーン系樹脂などを適用可能である。
【0044】
第2の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1においては、DBC基板を半導体デバイス24の表と裏の両側に接合することにより、裏面からだけでなく表面からも放熱することが可能になる。
【0045】
第2の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1においては、半導体デバイス24の両面から放熱を行う構造とすることで、裏面のみから放熱する時よりも、大電力動作時の半導体デバイス24表面の温度を10℃以上下げることが可能となる。
【0046】
例えば、半導体デバイス24をSiCで形成したSiCMOSFETにおいても200℃以上の高温動作では、電気抵抗が上昇するため、半導体デバイス24の両面から放熱を行う構造とすることで、大電力動作時の半導体デバイス24の損失を低減することができる。
【0047】
また、第2の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置においては、半導体デバイスの表裏両面から放熱することにより、小型化、高放熱化を実現することができる。
【0048】
(変形例)
第2の実施の形態の変形例1に係るパワーモジュール半導体装置1の模式的断面構造は、
図13に示すように、第2端子電極12は、屈曲した端子電極先端部12aを備えていても良い。このような屈曲した端子電極先端部12aを備えることによって、後述するヒートスプレッダとの密着性を向上させ、或いは第2端子電極12からの電極取り出しを容易にすることができる。このような屈曲した端子電極先端部12aは、第2端子電極12をエッチング加工することによって形成することができる。
【0049】
また、第2の実施の形態の変形例2に係るパワーモジュール半導体装置の模式的平面パターン構成は、
図14に示すように表され、
図14のII−II線に沿う模式的断面構造は、
図15に示すように表される。
【0050】
第2の実施の形態の変形例2に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図14および
図15に示すように、半導体デバイス24と第1DBC基板(16a・18a・16a)間を接続する柱状電極48をさらに備えていても良い。
【0051】
図14および
図15に示すように、第1端子電極10は、ゲートコンタクトCG/ソースコンタクトCSにおいて、第1DBC基板(16a・18a・16a)の銅(Cu)プレート層16aと接続され、第2端子電極12は、ドレインコンタクトCDにおいて、第2DBC基板(16b・18b・16b)の銅(Cu)プレート層16bと接続されている。
【0052】
第2の実施の形態の変形例2に係るパワーモジュール半導体装置1においても、
図15に示すように、半導体デバイス24と、第1DBC基板(16a・18a・16a)と、第2DBC基板(16b・18b・16b)と、第1端子電極10と、第2端子電極12と、柱状電極48を封止する封止樹脂層22を備えていても良い。
【0053】
また、第2の実施の形態の変形例3に係るパワーモジュール半導体装置1の模式的断面構造は、
図16に示すように、
図13と同様に、第2端子電極12が屈曲した端子電極先端部12aを備えていても良い。
【0054】
第2の実施の形態およびその変形例に係るパワーモジュール半導体装置は、両面冷却構造を備えるため、熱放散が容易となり、ヒートスプレッダの軽量化、半導体デバイスの熱暴走の抑制、高周波特性および消費電力効率などの性能向上をはかることができ、結果として、電力変換効率を増大することができる。
【0055】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図17〜
図19に示すように、第1銅プレート層16・16Gと、第1銅プレート層16・16G上に配置された半導体デバイス24と、半導体デバイス24上に配置された熱伝導性絶縁フィルム54と、熱伝導性絶縁フィルム54に開口された第1開口部2を介して半導体デバイス24表面に接続された第1端子電極10と、熱伝導性絶縁フィルム54に開口された第2開口部3を介して第1銅プレート層16に接続された第2端子電極12とを備える。ここで、第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、半導体デバイス24の裏面と表面の両面から放熱を行うことができる。
【0056】
また、第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図17および
図19に示すように、熱伝導性絶縁フィルム54に開口された第3開口部4を介して第1銅プレート層16G表面に接続されたゲート端子電極8を備える。ここで、第1銅プレート層16Gは、ゲート配線電極8Gを介して、半導体デバイス24のゲート電極138に接続されている。
【0057】
図17〜
図19に示すように、例えば、第1端子電極10は、第1開口部2を介して、半導体デバイス24のソースコンタクトCS/ゲートコンタクトCGに接続され、第2端子電極12は、第2開口部3を介して、半導体デバイス24のドレインコンタクトCDに接続され、ゲート端子電極8は、第3開口部4を介して、銅プレート層16G表面のゲートコンタクトCGに接続される。
【0058】
さらに、
図18および
図19に示すように、第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1全体は、セラミック基板18上に配置されたセラミックパッケージ外壁56に収納されている。ここで、セラミック基板18上に配置されたセラミックパッケージ外壁56は、
図18に示すように、側面部のみならず、上面部も備える。尚、中空部分には、希ガス、若しくは窒素ガスなどが封入されていても良い。
【0059】
また、第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図17〜
図19に示すように、第1銅プレート層16
1は、裏面に第2銅プレート層16
2を有するセラミック基板18上に配置されていても良い。
【0060】
また、第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図3と同様に、第1銅プレート層16
1と半導体デバイス24間には、銅合金または銅モリブデン電極層25を備えていても良い。また、半導体デバイス24と第1端子電極10・銅合金または銅モリブデン電極層25間は、半田層24aによって接続され、銅合金または銅モリブデン電極層25と第1銅プレート層16
1間は、半田層25aによって接続されていても良い。このように、第1銅プレート層16
1と半導体デバイス24間に、銅合金または銅モリブデン電極層25を配置することによって、半導体デバイス24と第1銅プレート層16
1との間の密着性を向上し、熱伝導性を良好にすることができる。
【0061】
また、第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、セラミック基板18は、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al
2O
3、)、若しくは窒化シリコン(SiN)のいずれかで形成されていても良い。このような材料で形成することによって、熱伝導性を良好にすることができる。
【0062】
また、第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1端子電極10および第2端子電極12は、
図4〜
図7、或いは
図13および
図16と同様に、屈曲した端子電極先端部を備えていても良い。
【0063】
また、第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、熱伝導性絶縁フィルム54は、例えば、ポリイミドフィルムなどを適用可能である。
【0064】
尚、ポリイミドフィルムは、熱圧着により形成することができる。また、ポリイミドフィルムの厚さは、例えば、約50μmである。
【0065】
電気的な絶縁性能は、ポリイミドフィルムのみで充分であるため、第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置の厚さは、実質的に放熱用第1銅プレート層16
1のCu板の厚さが主要な厚さに寄与する。このため、第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置の全体的な厚さを相対的に薄く形成することができる。
【0066】
(変形例)
第3の実施の形態の変形例に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図20に示すように、熱伝導性絶縁フィルム54上に第2銅プレート層16
3をさらに備えていても良い。ここで、第2銅プレート層16
3の厚さは、例えば、約50μm〜2mm程度である。
【0067】
第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1においては、半導体デバイス24の表面上に熱伝導性絶縁フィルムを形成し、半導体デバイス24の裏面上に第1銅プレート層16
1および裏面に第2銅プレート層16
2を有するセラミック基板18を形成することによって、裏面からだけでなく表面からも放熱することが可能になる。
【0068】
第3の実施の形態およびその変形例に係るパワーモジュール半導体装置1においては、半導体デバイス24の両面から放熱を行う構造とすることで、裏面のみから放熱する時よりも、大電力動作時の半導体デバイス24表面の温度を10℃以上下げることが可能となる。
【0069】
例えば、半導体デバイス24をSiCで形成したSiCMOSFETにおいても200℃以上の高温動作では、電気抵抗が上昇するため、半導体デバイス24の両面から放熱を行う構造とすることで、大電力動作時の半導体デバイス24の損失を低減することができる。
【0070】
また、第3の実施の形態およびその変形例に係るパワーモジュール半導体装置1においては、半導体デバイスの表裏両面から放熱することにより、小型化、高放熱化を実現することができる。
【0071】
第3の実施の形態およびその変形例に係るパワーモジュール半導体装置は、両面冷却構造を備えるため、熱放散が容易となり、ヒートスプレッダの軽量化、半導体デバイスの熱暴走の抑制、高周波特性および消費電力効率などの性能向上をはかることができ、結果として、電力変換効率を増大することができる。
【0072】
―熱伝導性絶縁フィルムによる被覆例―
第3の実施の形態およびその変形例に係るパワーモジュール半導体装置を3相インバータに適用した配置例において、熱伝導性絶縁フィルム54の模式的平面パターン構成は、
図21に示すように表される。
図21において、インバータを構成する半導体デバイス24
1・24
4、24
2・24
5、24
3・24
6上に開口部56aを設けると共に、第1銅プレート層16
1に対する開口部58が設けられている。
【0073】
第3の実施の形態およびその変形例に係るパワーモジュール半導体装置の半導体デバイス24近傍の熱伝導性絶縁フィルム54の模式的平面パターン構成は、
図22に示すように表され、
図22のIV−IV線に沿う模式的断面構造は、
図23に示すように表される。
【0074】
第3の実施の形態およびその変形例に係るパワーモジュール半導体装置において、熱伝導性絶縁フィルム54は、
図22に示すように、半導体デバイス24を被覆するコーナー部分Cに、削除部54aを形成しても良い。このように、半導体デバイス24を被覆するコーナー部分Cに、削除部54aを形成することによって、
図23に示される半導体デバイス24の角部Bを被覆する熱伝導性絶縁フィルム54のステップカバレッジを良好にすることができる。尚、
図23に示す例では、半導体デバイス24と第1銅プレート層16
1間は、半田層24aで接続される例が示されている。
【0075】
第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置において、半導体デバイス24および第2端子電極12の配線部近傍の熱伝導性絶縁フィルム54の模式的平面パターン構成例は、
図24に示すように表され、
図24のV−V線に沿う模式的断面構造は、
図25に示すように表される。
図24および
図25に示すように、第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置において、半導体デバイス24を被覆するコーナー部分に、削除部54aを形成して、
図25に示される半導体デバイス24の角部を被覆する熱伝導性絶縁フィルム54のステップカバレッジを良好にしている。
【0076】
また、
図24および
図25に示すように、熱伝導性絶縁フィルム54に開口された第1開口部2を介して半導体デバイス24表面上のソースコンタクトCSと第1端子電極10とを接続し、熱伝導性絶縁フィルム54に開口された第2開口部3を介して第1銅プレート層16上のドレインコンタクトCDと第2端子電極12とを接続している。
【0077】
第3の実施の形態およびその変形例に係るパワーモジュール半導体装置の半導体デバイス24近傍の熱伝導性絶縁フィルム54の別の模式的平面パターン構成は、
図26に示すように表される。
図26の削除部54bは、
図22の削除部54aに比べて、削除部54bの面積が小さい。
【0078】
第3の実施の形態およびその変形例に係るパワーモジュール半導体装置において、熱伝導性絶縁フィルム54は、半導体デバイス24を被覆するコーナー部分に、削除部54bを形成することによって、
図23に示される半導体デバイス24の角部Bを被覆する熱伝導性絶縁フィルム54のステップカバレッジを良好にすることができる。
【0079】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図27に示すように、第1銅プレート層16S・16Gと、第1銅プレート層16S上に配置された半導体デバイス24と、半導体デバイス24上に配置された熱伝導性絶縁フィルム64と、熱伝導性絶縁フィルム64に開口された第1開口部を介して半導体デバイス24表面に接続された第2銅プレート層68Sと、熱伝導性絶縁フィルム64に開口された第2開口部を介して第1銅プレート層16Gに接続された第2銅プレート層68Gとを備える。
【0080】
また、第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図27に示すように、第1銅プレート層16S・16Gは、裏面に第3銅プレート層16を有するセラミック基板18上に配置されていても良い。ここで、第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、半導体デバイス24の裏面と表面の両面から放熱を行うことができる。
【0081】
図27の応力緩和構造部分の拡大構造は、
図28に示すように表され、凸型形状の熱伝導性絶縁フィルム64と、この凸型形状の熱伝導性絶縁フィルム64上に積層された銅プレート層68とを備える。セラミック基板18と凸型形状の熱伝導性絶縁フィルム64間には、空隙部74を備える。
【0082】
第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図27に示すように、熱伝導性絶縁フィルム64上に第2銅プレート層68S・68Gを備える。
【0083】
また、第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図27〜
図28に示すように、熱伝導性絶縁フィルム64と第2銅プレート層68Sの積層構造の一部に熱応力を緩和するための応力緩和構造72を有する。
【0084】
第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、熱応力が加わった状態の模式的断面構造は、
図29に示すように表される。
【0085】
第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、応力緩和構造72は、
図29に示すように、熱応力によるセラミック基板18の反りによって、引延ばされるように形成されている。
【0086】
第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置を3相インバータに適用した配置例であっての配置パターンを説明する模式的平面パターン構成は、
図30に示すように表される。
図30おいて、応力緩和構造72は、インバータを構成する半導体デバイス24
1・24
4、24
2・24
5、24
3・24
6の周囲を取り囲むように、セラミック基板18上に配置されている。
【0087】
また、
図30の半導体デバイス24近傍の拡大は、
図31に示すように表され、
図31において、熱応力が加わった状態の模式的平面パターン構成は、
図32に示すように表される。
【0088】
第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、応力緩和構造72は、
図30〜
図32に示すように、セラミック基板18の反りによって、引延ばされる方向に垂直な方向に延伸して配置されていても良い。
【0089】
第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置において、応力緩和構造部分の模式的断面構造であって、三角構造例は
図33(a)に示すように表され、矩形構造例は、
図33(b)に示すように表され、台形構造例は、
図33(c)に示すように表され、半円構造例は、
図33(d)に示すように表され、別の矩形構造例は、
図33(e)に示すように表され、別の半円構造例は、
図33(f)に示すように表される。
【0090】
第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置において、応力緩和構造72は、
図33(a)〜
図33(f)に示すように、セラミック基板18の反りによって、引延ばされる方向の断面が、三角形、矩形、半円形、台形のいずれかを基調とするパターンを備えていても良い。
【0091】
第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1においては、半導体デバイス24の表面上に、熱伝導性絶縁フィルム64と第2銅プレート層68Sを形成し、セラミック基板18の表面上に熱伝導性絶縁フィルム64と第2銅プレート層68Sからなる応力緩和構造を形成し、半導体デバイス24の裏面上に第1銅プレート層16Sおよび裏面に第3銅プレート層16を有するセラミック基板18を形成することによって、裏面からだけでなく表面からも放熱することが可能になる。
【0092】
第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1においては、半導体デバイス24の両面から放熱を行う構造とすることで、裏面のみから放熱する時よりも、大電力動作時の半導体デバイス24表面の温度を10℃以上下げることが可能となる。
【0093】
例えば、半導体デバイス24をSiCで形成したSiCMOSFETにおいても200℃以上の高温動作では、電気抵抗が上昇するため、半導体デバイス24の両面から放熱を行う構造とすることで、大電力動作時の半導体デバイス24の損失を低減することができる。
【0094】
また、第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置においては、応力緩和構造によって、セラミック基板の反りに伴う応力を緩和し、クラックの発生を抑制することができる。
【0095】
また、第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置においては、半導体デバイス24の表裏両面から放熱することにより、小型化、高放熱化を実現することができる。
【0096】
また、第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置においては、半導体デバイスの表裏両面から放熱することにより、小型化、高放熱化を実現することができる。
【0097】
第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置は、両面冷却構造を備えるため、熱放散が容易となり、ヒートスプレッダの軽量化、半導体デバイスの熱暴走の抑制、高周波特性および消費電力効率などの性能向上をはかることができ、結果として、電力変換効率を増大することができる。
【0098】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図34に示すように、第1銅プレート層16
1と、第1銅プレート層16
1(16D)上に配置された半導体デバイス24と、半導体デバイス24上に配置された第1セラミック基板18
1と、第1セラミック基板18
1に開口された第1開口部を介して半導体デバイス24表面に接続された第1端子電極10と、1セラミック基板18
1上に配置され、半導体デバイス24を駆動するゲートドライブ集積回路76とを備える。ここで、第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、半導体デバイス24の裏面と表面の両面から放熱を行うことができる。
【0099】
また、第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1銅プレート層16
1は、裏面に第2銅プレート層16
2を有する第2セラミック基板18
2上に配置されていても良い。また、第1端子電極10は、第2セラミック基板18
2上に配置された第1銅プレート層16
1(16S)に接続されている。
【0100】
また、第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図34に示すように、第2セラミック基板18
2上に配置された第3セラミック基板18
3と、第3セラミック基板18
3上、第1セラミック基板18
1との間に配置された第4セラミック基板18
4と、第1セラミック基板18
1上に配置された第5セラミック基板18
5と、ゲートドライブ集積回路76上に封止樹脂層22を介して配置された第6セラミック基板18
6とを備えていても良い。
【0101】
また、半導体デバイス24とゲートドライブ集積回路76との間は、ゲート端子電極8を介して接続され、さらに、ゲートドライブ集積回路76には、ゲート端子電極8Iが接続されている。
【0102】
また、第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図34に示すように、第1端子電極10、ゲート端子電極8、第6セラミック基板18
6およびゲート端子電極8I上に配置された第7セラミック基板18
7と、第7セラミック基板18
7上に配置された保護層14を備えていても良い。ここで、保護層14には、例えば、PPS(ポリフェニルサルファイド)などを適用することができる。また、第1〜第7セラミック基板18
1〜18
5は、積層面において互いに接着樹脂層20で接着されている。ここで、接着樹脂層20には、例えば、エポキシ系樹脂もしくはシリコーン系樹脂などを適用することができる。
【0103】
第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置によれば、半導体デバイス24上にセラミック基板を層状に重ねて形成し、その中にゲートドライブ集積回路76を搭載することで、半導体デバイス24とゲートドライブ集積回路76の距離を近付けて配置することができるため、ゲート駆動用配線にノイズが重畳することを抑えることができる。
【0104】
また、第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置によれば、層状に積み重ねたセラミック基板の間に、銅プレート層や半導体デバイスを内蔵することで、ゲートドライブ集積回路もパワーモジュール半導体装置内に内蔵することができ、パワーモジュール半導体装置の小型化を図ることができる。
【0105】
(変形例)
第5の実施の形態の変形例1に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図35に示すように、第1銅プレート層16
1(16D)と、第1銅プレート層16
1(16D)上に配置された半導体デバイス24と、半導体デバイス24上に配置された熱伝導性絶縁フィルム54と、熱伝導性絶縁フィルム54に開口された開口部を介して半導体デバイス24表面に接続された第1端子電極10と、熱伝導性絶縁フィルム54上に配置されたゲートドライブ集積回路76とを備える。ここで、第5の実施の形態の変形例1に係るパワーモジュール半導体装置1は、半導体デバイス24の裏面と表面の両面から放熱を行うことができる。また、第1端子電極10は、セラミック基板18
1上に配置された第1銅プレート層16
1(16S)に接続されている。
【0106】
また、半導体デバイス24とゲートドライブ集積回路76との間は、ゲート端子電極8を介して接続され、さらに、ゲートドライブ集積回路76には、ゲート端子電極8Iが接続されている。
【0107】
第5の実施の形態の変形例1に係るパワーモジュール半導体装置によれば、半導体デバイス24上に熱伝導性絶縁フィルムを形成し、熱伝導性絶縁フィルム上にゲートドライブ集積回路76を搭載することで、半導体デバイス24とゲートドライブ集積回路76の距離を近付けて配置することができるため、ゲート駆動用配線にノイズが重畳することを抑えることができる。
【0108】
また、第5の実施の形態の変形例1に係るパワーモジュール半導体装置によれば、半導体デバイス24上に熱伝導性絶縁フィルムを形成し、銅プレート層や半導体デバイスを内蔵することで、ゲートドライブ集積回路もパワーモジュール半導体装置内に内蔵することができ、パワーモジュール半導体装置の小型化を図ることができる。
【0109】
第5の実施の形態の変形例2に係るパワーモジュール半導体装置の模式的平面パターン構成は、
図36に示すように表され、
図36のVI−VI線に沿う模式的断面構造は、
図37に示すように表される。
【0110】
第5の実施の形態の変形例2に係るパワーモジュール半導体装置は、
図36〜
図37に示すように、第1銅プレート層16Dと、第1銅プレート層16D上に配置された半導体デバイス24と、半導体デバイス24上に配置された熱伝導性絶縁フィルム54と、熱伝導性絶縁フィルム54に配置されたゲートドライブ集積回路76と、半導体デバイス24表面に接続された第1端子電極10(CS)およびゲート配線電極8Gと、ゲートドライブ集積回路76とゲート配線電極8Gとを接続するゲート配線電極82とを備える。ここで、第5の実施の形態の変形例2に係るパワーモジュール半導体装置1は、半導体デバイス24の裏面と表面の両面から放熱を行うことができる。
【0111】
第5の実施の形態の変形例2に係るパワーモジュール半導体装置によれば、半導体デバイス24上に熱伝導性絶縁フィルムを介してゲートドライブ集積回路76を配置することで、ゲートドライブ集積回路もパワーモジュール半導体装置内に内蔵することができ、パワーモジュール半導体装置の小型化を図ることができる。
【0112】
また、第5の実施の形態の変形例2に係るパワーモジュール半導体装置においては、ゲート配線電極82を流れる信号電流I
GLの向きと、半導体デバイス24内を流れる電流I
GTの向きが反対になることから、ゲート配線電極82に伴うインダクタンス成分を打ち消すことができる。
【0113】
第5の実施の形態の変形例3に係るパワーモジュール半導体装置の模式的平面パターン構成は、
図38に示すように表される。第5の実施の形態の変形例3に係るパワーモジュール半導体装置においては、半導体デバイス24表面に接続されたゲート配線電極8Gと、ゲートドライブ集積回路76とゲート配線電極8Gとを接続するゲート配線電極82のパターンレイアウトが異なるが、その他の構成は、変形例3に係るパワーモジュール半導体装置と同様である。
【0114】
第5の実施の形態の変形例3に係るパワーモジュール半導体装置においても、半導体デバイス24上に熱伝導性絶縁フィルムを介してゲートドライブ集積回路76を配置することで、ゲートドライブ集積回路もパワーモジュール半導体装置内に内蔵することができ、パワーモジュール半導体装置の小型化を図ることができる。
【0115】
また、第5の実施の形態の変形例3に係るパワーモジュール半導体装置においても、ゲート配線電極82を流れる信号電流I
GLの向きと、半導体デバイス24内を流れる電流I
GTの向きが反対になることから、ゲート配線電極82に伴うインダクタンス成分を打ち消すことができる。
【0116】
[第6の実施の形態]
比較例に係るパワーモジュール半導体装置の柱状電極構造部分の模式的鳥瞰構造は、
図39に示すように、セラミック基板18と、セラミック基板18上に配置された半導体デバイス24と、半導体デバイス24上に配置された柱状電極90と、柱状電極90上に配置された金属板92とを備える。
【0117】
また、比較例に係るパワーモジュール半導体装置の模式的鳥瞰構造は、
図40に示すように、ヒートスプレッダ100と、ヒートスプレッダ100上に配置されたセラミック基板18と、セラミック基板18上に配置された半導体デバイス24
1、24
2、24
3と、半導体デバイス24
1、24
2、24
3上に配置された柱状電極90
1、90
2、90
3と、柱状電極90
1、90
2、90
3上に配置された金属板92とを備える。
【0118】
比較例に係るパワーモジュール半導体装置は、柱状電極を使用することで、電気的にも熱的にもモジュール性能が向上する。しかしながら、
図40に示すように、柱状電極構造とした時に、ヒートスプレッダ100の反りの方向A+―A+/A−―A−と、金属板92の反りの方向C+―C+/C−―C−が直交しているため、歩留まりが低下する。
【0119】
第6の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1の模式的鳥瞰構造は、
図41に示すように、ヒートスプレッダ100と、ヒートスプレッダ100上に配置されたセラミック基板18と、セラミック基板18上に配置された半導体デバイス24
1、24
2、24
3と、半導体デバイス24
1、24
2、24
3上に配置された柱状電極90
1、90
2、90
3と、柱状電極90
1、90
2、90
3上に配置された金属板94とを備える。ここで、金属板94は、
図41に示すように、スリット構造を備える。ここで、第6の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、半導体デバイス24の裏面と表面の両面から放熱を行うことができる。
【0120】
第6の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1の模式的鳥瞰構造は、
図41に示すように、ヒートスプレッダ100の反りの方向A+―A+/A−―A−と、スリット構造を備える金属板94の反りの方向B+―B+/B−―B−が平行になされているため、歩留まりが向上する。また、柱状電極90
1、90
2、90
3を使用することで、電気的にも熱的にもモジュール性能が向上する。
【0121】
第6の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1においては、半導体デバイス上に柱状電極を立てる構造のモジュールを作製する際に、柱上の金属板の形をヒートスプレッダの形に合わせる構造にすることで、機械的な応力を抑え、金属接合部のクラックの発生を抑制することができる。
【0122】
第6の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1においては、モジュールの温度が上昇、下降する時の金属材料の反りが、金属接合部分に応力を発生させるため、ヒートスプレッダ100の反りの方向と柱上の金属板94の反りの方向を合わせるように形状を揃えることで、応力を小さくし、金属接合後の冷却時に発生する応力を抑え、組み立て歩留まりを増大することができる。
【0123】
ヒートスプレッダ100と柱上の金属板94の反りの方向を合わせなかったときの組み立て歩留まりは、18モジュール中5モジュールが良品であり、約28%であるが、ヒートスプレッダ100と柱上の金属板94の反りの方向を合わせたときの組み立て歩留まりは、18モジュール中18モジュールが良品であり、100%である。
【0124】
長方形の金属は、反りが発生する際に、長手方向に反るため、ヒートスプレッダ100と柱上の金属板94のそれぞれの長手方向を同じ向きにすることで、ヒートスプレッダと柱上の金属板の反りの方向を合わせることができる。
【0125】
(変形例)
第6の実施の形態の変形例に係るパワーモジュール半導体装置1の模式的鳥瞰構造は、
図42に示すように、DBC基板(16・18・16)と、DBC基板(16・18・16)上に配置された複数の半導体デバイス24と、複数の半導体デバイス24上に配置された熱伝導性絶縁フィルム54と、熱伝導性絶縁フィルム54に開口された開口部を介して半導体デバイス24上に配置された柱状電極90と、柱状電極90上に配置されたスリット構造を有する金属板94とを備える。ここで、第6の実施の形態の変形例に係るパワーモジュール半導体装置1は、半導体デバイス24の裏面と表面の両面から放熱を行うことができる。
【0126】
第6の実施の形態およびその変形例に係るパワーモジュール半導体装置に適用可能な金属板94の模式的平面パターン構成であって、矩形スリットを有する例は、
図43(a)に示すように表され、長円形スリットを有する例は、
図43(b)に示すように表され、複数の円形パターンを有する例は、
図43(c)に示すように表され、別の矩形スリット有する例は、
図43(d)に示すように表される。第6の実施の形態およびその変形例に係るパワーモジュール半導体装置に適用可能な金属板94のスリット端部の模式的平面パターン構成であって、矩形構造例は、
図44(a)に示すように表され、楔型構造例は、
図44(b)に示すように表され、鋭角三角構造例は、
図44(c)に示すように表される。
【0127】
第6の実施の形態およびその変形例に係るパワーモジュール半導体装置において、スリット形状は、ヒートスプレッダの長手方向に沿う櫛形、長方形、円形ドット配列のいずれかであっても良い。
【0128】
また、第6の実施の形態およびその変形例に係るパワーモジュール半導体装置において、スリット形状は、ヒートスプレッダの長手方向に沿う櫛形もしくは長方形を備え、かつスリット形状の端部は、曲線形、矩形もしくは三角形を有していても良い。
【0129】
第6の実施の形態およびその変形例に係るパワーモジュール半導体装置においては、柱状電極および金属板を適用することによって、さらに放熱性能の向上を図ることができる。
【0130】
第6の実施の形態およびその変形例に係るパワーモジュール半導体装置においては、半導体デバイスの表裏両面から放熱することにより、小型化、高放熱化を実現することができる。
【0131】
第6の実施の形態およびその変形例に係るパワーモジュール半導体装置は、両面冷却構造を備えるため、熱放散が容易となり、ヒートスプレッダの軽量化、半導体デバイスの熱暴走の抑制、高周波特性および消費電力効率などの性能向上をはかることができ、結果として、電力変換効率を増大することができる。
【0132】
[第7の実施の形態]
第7の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置に適用するヒートスプレッダの鳥瞰構造であって、半導体デバイスを搭載する部分に高熱伝導率金属層を埋め込む構造例は、
図45(a)に示すように表され、
図45(a)上にDBC基板を配置した構造例は、
図45(b)に示すように表される。
【0133】
また、第7の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置に適用するヒートスプレッダの鳥瞰構造であって、半導体デバイスおよび端子電極を搭載する部分に高熱伝導率金属層を埋め込む構造例は、
図45(c)に示すように表され、放熱セラミック基板を搭載する部分に高熱伝導率金属層を埋め込む構造例は、
図45(d)に示すように表される。
【0134】
また、第7の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置に適用するヒートスプレッダの鳥瞰構造であって、半導体デバイスを搭載する部分およびネジ穴から遠い部分に高熱伝導率金属層を埋め込む構造例は、
図45(e)に示すように表される。
【0135】
第7の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、ヒートスプレッダ102は、
図45(a)に示すように、半導体デバイス24を搭載する部分に、高熱伝導率金属層104を埋め込む構造を備えていても良い。
【0136】
また、第7の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、ヒートスプレッダ102上には、
図45(b)に示すように、さらにDBC基板(18・16D)を備えていても良い。
【0137】
また、第7の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、ヒートスプレッダ102は、
図45(c)に示すように、さらに第1端子電極10おとび第2端子電極12を搭載する部分に、高熱伝導率金属層105を埋め込む構造を備えていても良い。
【0138】
また、第7の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、ヒートスプレッダ102は、
図45(d)に示すように、セラミック基板18を搭載する部分に、高熱伝導率金属層106を埋め込む構造を備えていても良い。
【0139】
また、第7の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、ヒートスプレッダ102は、半導体デバイス24を搭載する部分、およびヒートスプレッダ102を固定するために形成されたネジ穴110から遠い部分に高熱伝導率金属層104・108を埋め込む構造を備えていても良い。
【0140】
また、第7の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、ヒートスプレッダ102はCuMoで形成され、かつ高熱伝導率金属層104・105・106・108は、Cuで形成されていても良い。
【0141】
半導体デバイス下は、Cu材をヒートスプレッダとして、Cu材の周りをCuMo材とすることで、低応力、高放熱のヒートスプレッダを形成することができ、しかも高放熱で反りが少ないヒートスプレッダを形成することができる。
【0142】
第7の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1においては、ヒートスプレッダ102の半導体デバイス24下を高熱伝導の銅で形成して、それ以外のヒートスプレッダ全体をCuMoのような低線熱膨張率でかつ高強度の金属で形成することで、低応力、高放熱のモジュールを提供することができる。
【0143】
第7の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1においては、ヒートスプレッダ102の半導体デバイス24下にCuなどの低熱抵抗の材料を使用することで、大電力動作時の半導体デバイスの温度を10℃以上下げることが可能となる。また、CuMoのような低線熱膨張率の材料を使用することで、半導体デバイス下の金属接合部の応力を10%以上下げることが可能となる。
【0144】
[第8の実施の形態]
第8の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置において、高周波駆動を説明する回路構成は、
図46に示すように、ゲートドライブ部50と、ゲートドライブ部50から供給されたゲートドライブ信号V
Gを供給される半導体デバイスQとを備える。
【0145】
第8の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置において、反射波Irを考慮した高周波駆動を説明する回路構成は、
図47に示すように、ゲートドライブ部50と、ゲートドライブ部50から供給されたゲートドライブ信号V
Gを供給される半導体デバイスQとを備え、ゲートドライブ部50から半導体デバイスQまでの金属配線の配線長Lをゲートドライブ信号波長の半波長の奇数倍としている。
【0146】
また、半導体デバイスQのゲート電極は、金属材料で形成されていることが望ましい。
【0147】
第8の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置において、半導体デバイスQを高周波駆動する時に、ゲートドライブ部50からゲートドライブ信号V
Gを半導体デバイスQに入力した時、半導体デバイスQへの入射波Iiと、半導体デバイスQから反射してくる反射波Irが弱め合わないように、ゲートドライブ信号V
Gの半波長の奇数倍の配線長Lとする。
【0148】
半導体デバイスQを10kHz〜20kHzで動作させるときには、動作周波数がスイッチング時間に対応する周波数帯域に比べて充分に小さいため、特性上大きな影響はない。しかしながら、動作周波数が、例えば10MHzを超えると、スイッチング時間は無視できなくなり、入力信号の反射波の影響が出るようになる。
【0149】
低周波駆動のときは、半導体デバイスQのゲート電極は、シート抵抗に値が、約数100mΩ/□〜約数Ω/□のポリシリコンを使用していても特性上大きな影響はないが、高周波駆動では、ゲートへの入力インピーダンスを下げるためにゲート電極を金属電極で形成する必要があり、これにより動作周波数を数MHzまで上昇することが可能となる。
【0150】
非接触給電やDC−DCコンバータでは、高周波駆動することで効率が上昇し、或いは使用する部品を小型化できる。高周波駆動する時に、ゲートドライブ部50からゲートドライブ信号V
Gを半導体デバイスQに入力した時、半導体デバイスQへの入射波Iiと、半導体デバイスQから反射してくる反射波Irが弱め合わないように、ゲートドライブ信号V
Gの半波長の奇数倍の配線長Lとする。このように、パワーモジュールへ入力するゲートドライブ信号を、ゲートドライブ部50から半導体デバイスQへの配線長Lを駆動周波数の半波長の奇数倍の長さにすることで、入射波と反射波の打ち消しをなくすことができる。
【0151】
より詳細には、ゲートドライブ部50から半導体デバイスQのゲート酸化膜までの配線長を駆動周波数の半波長の奇数倍の長さにすると良い。
【0152】
ここで、半導体デバイスQは、Si、SiCもしくはGaN系半導体のいずれかである。
【0153】
第8の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置において、複数チップを同相で駆動する制御時に、パワーモジュールへ入力するゲートドライブ信号を、ゲートドライブ部50から半導体デバイスQへの配線長Lを駆動周波数の半波長の奇数倍の長さにすることで、入射波と反射波の打ち消しをなくすことが、特に有効である。
【0154】
第8の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置において、DBC基板(16・18・16)上に配置された半導体デバイス24とボンディングワイヤBWで接続された配線基板98上の金属配線96の表面96a・裏面96bを粗面化する構成例は、
図48に示すように表される。
【0155】
第8の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置において、金属配線96の表面96a・裏面96bともに粗面形成し、周辺材料との接着性を上げると共に、金属配線96の表面96aと裏面96bで、信号伝達速度を調整し、整合化することができる。
【0156】
以上に述べたように、本発明によれば、放熱特性に優れたパワーモジュール半導体装置を提供することができる。
【0157】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は実施の形態および変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0158】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。