【文献】
Gynecologic Oncology, 2010.05.11(online), Vol.118, pp.189-195
【文献】
ASH Annual Meeting Abstracts, 2008, Vol.112, No.11, p.222
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の背景
腫瘍細胞成長には、多数の遺伝子の発現、特に、その発現の調節不全が関与していることが公知である。調節不全を有するいくつかの遺伝子とは、発生の際には正常に発現されるが、腫瘍細胞では不適切に発現され、制御されない成長、侵襲性およびがんのその他の表現型的特徴の一因となる遺伝子である。
【0004】
1種のこのような遺伝子は、EVI1と呼ばれる。EVI1(エコトロピックウイルス組込み部位1)遺伝子は、ジンクフィンガータンパク質をコードし、正常な発生および発がんにおいての両方で重要な役割を果たす。EVI1の過剰発現は、雌の生殖器のものなど特定の固形腫瘍において見られ、EVI1は、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)および骨髄異形成症候群(MDS)を始めとする骨髄悪性腫瘍の出現および臨床特徴の重要な寄与因子であるとわかっている。
【0005】
ヒトEVI1は、3番染色体のバンドq26に位置している(Morishitaら、1990年、The human EVI1 gene is located on chromosome 3q24−q28 but is not rearranged in three cases of acute nonlymphocytic leukemias containing t(3;5)(q25;q34) translocations、Oncogene Res 5巻:221〜31頁)、60kbに及び、16のエキソンを含有し、複数の代替5’mRNA変異体およびいくつかの代替スプライシングされた転写物を有する(Wieser、2007年、The oncogene and developmental regulator EVI1: expression, biochemical properties, and biological functions、Gene 396巻:346〜57頁)。主要なEVI1型は、145kDaの見かけの分子量を有する1051個のアミノ酸のタンパク質である(Morishitaら、1990年、Unique expression of the human EVI1 gene in an endometrial carcinoma cell line: sequence of cDNAs and structure of alternatively spliced transcripts、Oncogene 5巻:963〜71頁;Matsugiら、1990年、Identification, nuclear localization, and DNA−binding activity of the zinc finger protein encoded by the EVI1 myeloid transforming gene、Mol Cell Biol 10巻:1259〜64頁)。EVI1は、各々、7つおよび3つのジンクフィンガードメインからなる2セットに組織化される複数のジンクフィンガードメインを有する。2セットのジンクフィンガードメインならびにC末端の酸性領域の間に抑制ドメインが同定されている(
図1参照)。「Δ324転写物」と呼ばれる、EVI1遺伝子からの1種の特定の転写物は、ジンクフィンガー6および7を欠く88−kDaのタンパク質をコードするEVI1の代替スプライシング変異体であり、ヒトおよびマウス細胞において低レベルで見られる(Bordereauxら、1990年、Alternative splicing of the EVI1 zinc finger gene generates mRNAs which differ by the number of zinc finger motifs、Oncogene 5巻:925〜7頁)。「−Rp9変異体」と呼ばれる別の変異体は、抑制ドメイン中の9個のアミノ酸を欠き、ヒトおよびマウス細胞では非常によく見られる。
【0006】
EVI1タンパク質は、核に位置し、そのジンクフィンガードメインの両方によって独立に特異的DNA配列と結合できる(Perkinsら、1991年、EVI1, a murine zinc finger proto−oncogene, encodes a sequence−specific DNA−binding protein、Mol Cell Biol 11巻:2665〜74頁;Delwelら、1993年、Four of the seven zinc fingers of the EVI1 myeloid−transforming gene are required for sequence−specific binding to GA(C/T)AAGA(T/C)AAGATAA、Mol Cell Biol 13巻:4291〜300頁;Morishitaら、1995年、EVI1 zinc finger protein works as a transcriptional activator via binding to a consensus sequence of GACAAGATAAGATAA(N1−28)CTCATCTTC、Oncogene 10巻:1961〜7頁)。近位ジンクフィンガードメインは、GA(C/T)AAGA(T/C)AAGATAA(配列番号201)からなる15ヌクレオチドのコンセンサス配列を認識し、EVI1は、このドメインによってGata2プロモーターと直接的に結合することがわかっている(Yuasaら、2005年、Oncogenic transcription factor EVI1 regulates hematopoietic stem cell proliferation through GATA−2 expression、EMBO J 24巻:1976〜87頁;Yatsulaら、2005年、Identification of binding sites of EVI1 in mammalian cells、J Biol Chem 280巻:30712〜22頁)。さらに、このドメインの結合部位は、Gata1と、DNA結合について競合するGata1コンセンサスモチーフを有する(Kreiderら、1993年、Loss of erythropoietin responsiveness in erythroid progenitors due to expression of the EVI1 myeloid−transforming gene、Proc Natl Acad Sci USA 90巻:6454〜8頁)。今日までに、in vitro研究によって、遠位ジンクフィンガードメインは、コンセンサスGAAGATGAG(配列番号202)を認識することが示されたが、遠位ジンクフィンガードメインを介してEVI1によって直接調節される遺伝子は報告されていない。
【0007】
図2に示されるように、EVI1はまた、いくつかの転写調節因子と相互作用する。特に、コレプレッサーCtBPとの相互作用は、EVI1機能にとって重要である(Izutsuら、2001年、The corepressor CtBP interacts with EVI1 to repress transforming growth factor beta signaling、Blood 97巻:2815〜22頁;Palmerら、2001年、EVI1 transforming and repressor activities are mediated by CtBP co−repressor proteins、J Biol Chem 276巻:25834〜40頁)。CtBPは、EVI1によるリポーター遺伝子の転写抑制を増大させ、相互作用を消滅させるEVI1における点突然変異は、EVI1媒介性転写抑制、トランスフォーミング増殖因子(TGF)−βに応じたMv1Lu細胞の成長阻害およびRat−1線維芽細胞の形質転換を大幅に低減する。
【0008】
EVI1はまた、ヒストン脱アセチル化酵素と直接的に、またはCtBPを介して相互作用し、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、EVI1による転写抑制を部分的に軽減する(Vinatzerら、2001年、The leukaemia−associated transcription factors EVI1 and MDS1/EVI1 repress transcription and interact with histone deacetylase、Br J Haematol 114巻:566〜73頁;Chakrabortyら、2001年、Interaction of EVI1 with cAMP−responsive element−binding protein−binding protein (CBP) and p300/CBP−associated factor (P/CAF) results in reversible acetylation of EVI1 and in co−localization in nuclear speckles、J Biol Chem 276巻:44936〜43頁;Spensberger & Delwel、2008年、A novel interaction between the proto−oncogene EVI1 and histone methyltransferases, SUV39H1 and G9a、FEB S Lett 582巻:2761〜7頁)。EVI1は、コアクチベーターCREB結合タンパク質(CBP)およびP300/CBP関連因子(P/CAF)と結合し、CBPの同時発現は、リポーター遺伝子に対するEVI1の抑制効果を中程度に活性化する効果に変換することができることもわかっている(Cattaneo & Nucifora、2008年、EVI1 recruits the histone methyltransferase SUV39H1 for transcription repression、J Cell Biochem 105巻:344〜52頁)。さらに、最近、EVI1は、ヒストンH3リシン9特異的ヒストンメチルトランスフェラーゼSUV39H1およびG9aと会合することがわかった(Kurokawaら、1998年、The oncoprotein EVI1 represses TGF−β signaling by inhibiting Smad3、Nature 394巻:92〜6頁;Soodら、1999年、MDS1/EVI1 enhances TGF−β1 signaling and strengthens its growth−inhibitory effect but the leukemia−associated fusion protein AML1/MDS1/EVI1, product of the t(3;21), abrogates growth−inhibition in response to TGF−β1、Leukemia 13巻:348〜5718、19頁)。したがって、EVI1は、種々の転写調節因子と高次複合体を形成し、これらの会合は、EVI1による転写調節にとって重要である(
図2参照のこと)。
【0009】
さらに、EVI1は、TGF−β経路(最良と特性決定されている)を始めとする種々のシグナル伝達経路に影響を及ぼすことがわかっている。TGF−βは、ほとんどの細胞種の増殖および細胞分化を制御し、腫瘍発生の阻害において重要な役割を果たす。EVI1は、HepG2細胞におけるp3TP−LuxリポータープラスミドのTGF−β媒介性活性化を大幅に抑制し、EVI1は、Mv1Luおよび32D細胞におけるTGF−β媒介性成長阻害を抑制する(Allistonら、2005年、Repression of BMP and activin−inducible transcription by EVI1、J Biol Chem 280巻:24227〜37頁;Nittaら、2005年、Oligomerization of EVI1 regulated by the PR domain contributes to recruitment of corepressor CtBP 2005年、Oncogene 24巻:6165〜73頁)。さらに、EVI1は、Xenopusアニマルキャップ外殖片において、およびC2C12細胞において、TGF−βおよびその他のTGF−βファミリーメンバーによる内因性遺伝子の誘導を干渉する(Allistonら、2005年、同著)。EVI1は、少なくとも2つの可能性ある機序によってTGF−βシグナル伝達を阻害する:物理的相互作用によるSmad3活性の低減およびコレプレッサーCtBPの動員(Izutsuら、2001年、同著;Kurokawaら、1998年、同書)。
【0010】
MDS1/EVI1と呼ばれる1種のEVI1転写物変異体は、MDS1遺伝子(EVI1の上流に位置し、それ自体でも発現される)に由来する配列と、EVI1とからなる(Wieser、2007年、同書)。MDS1−EVI1は、EVI1とは対照的に、32D細胞においてTGF−β誘発性成長阻害を増強し(Soodら、1999年、同書)、HepG2細胞においてp3TP−LuxのTGF−β媒介性活性化を効率的には抑制できない(Nittaら、2005年、同書)。低い抑制活性は、EVI1と比較して、MDS1/EVI1のコレプレッサーCtBPと結合する低い能力と相関する(同著)(
図2参照のこと)。
【0011】
対照的に、特定の細胞タンパク質は、アポトーシスを誘導し、腫瘍細胞成長の別の方法であるその破壊が促進される。このような細胞タンパク質の例として、c−Jun N末端キナーゼ(JNK)が挙げられ、これらは種々のストレス刺激に応答し、アポトーシスの誘発において重要な役割を果たすマイトジェン活性化タンパク質キナーゼである。EVI1は、c−JunのJNK1媒介性リン酸化を大幅に抑制する。反対に、アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用するEVI1発現の低減は、MOLM−1およびHEC1B細胞において、内因性JNK1活性を実験的に回復させる(Kurokawaら、2000年、The EVI1 oncoprotein inhibits c− Jun N−terminal kinase and prevents stress−induced cell death、EMBO J 19巻:2958〜68頁)。EVI1は、近位ジンクフィンガードメインを介してJNKと物理的に相互作用し、このドメインを欠くEVI1突然変異体は、JNK1活性を抑制できない。EVI1はまた、JNKを阻害する能力に依存して細胞をストレス誘導性細胞死から保護する(同著)(
図2参照のこと)。
【0012】
JNKに加えて、いくつかの機序が、EVI1の生存機能において役割を果たすと提案されている。EVI1は、前骨髄球性白血病(Pml)遺伝子を活性化することによってマウス骨髄前駆細胞をアポトーシスから保護する(Buonamiciら、2005年、EVI1 abrogates interferon−α response by selectively blocking PML induction、J Biol Chem 280巻:428〜36頁)。EVI1が、RIE細胞において、ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)−Akt依存性機序を介してTGF−βまたはタキソール媒介性アポトーシスを抑制することも報告された(Liuら、Evi1 is a survival factor which conveys resistance to both TGF−β and taxol−mediated cell death via PI3K/AKT、Oncogene 25巻:3565〜75頁)。アクチベータータンパク質(AP)−1は、Fos−Junヘテロ二量体またはJun−Junホモ二量体からなる転写因子複合体である。種々の刺激に応じて遺伝子発現を調節し、分化、増殖およびアポトーシスを始めとするいくつかの細胞プロセスを制御する。EVI1は、NIH3T3およびP19細胞において、その遠位ジンクフィンガードメインに依存して、AP−1活性を上げ、c−fosプロモーター活性化を刺激する(Tanakaら、1994年、EVI1 raises AP−1 activity and stimulates c−fos promotor transactivation with dependence on the second zinc finger domain、J Biol Chem 269巻:24020〜6頁)。遠位ジンクフィンガードメインは、Rat−1細胞におけるEVI1媒介性形質転換には必要であるので、AP−1活性の増強は、おそらく、EVI1による細胞形質転換に寄与する。
【0013】
EVI1は、特定のがん細胞種において高度に発現される。EVI1遺伝子は、扁平上皮癌、非小細胞癌の最も豊富な種類の76%において増幅される(Kangら、2009年、Identification of novel candidate target genes, including EPHB3, MASP1 and SST at 3q26.2−q29 in squamous cell carcinoma of the lung、BMC Cancer 9巻:237〜52頁)。EVI1遺伝子はまた、肺腺癌においても増幅される(同著)。EVI1の発現は、非腫瘍組織と比較して、25種のヒト非小細胞肺がんサンプルのうち19種において大幅に高いことが、リアルタイム定量的RT−PCRによって決定された(Yokoiら、2003年、TERC identified as a probable target within the 3q26 amplicon that is detected frequently in non−small cell lung cancers、Clin Cancer Res. 9巻:4705〜13頁)。Brooksらによる研究は、EVI1は、25種のヒト卵巣腫瘍サンプルのうち22種および7種の黒色腫サンプルのうち6種において高度に発現されたことをRT−PCRによって実証した(Brooksら、1996年、Expression of the zinc finger gene EVI1 in ovarian and other cancers、Br. J. Cancer 74巻:1518〜25頁)。
【0014】
したがって、EVI1は、とりわけ、発がんにおけるその役割のために、特定のがんの治療のための望ましい治療標的であり、腫瘍細胞成長を阻害するために、腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導するために、そうでなければ、単独または従来の抗がん剤とともに使用される改善されたがん治療のための方法を提供するために、EVI1発現または活性または両方を阻害するための試薬および方法に対する必要性が当技術分野に存在する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
好ましい実施形態の詳細な説明
オリゴヌクレオチド合成および酵素反応には、当業者に周知の従来技術を使用し、精製技術は、製造業者の仕様書に従って、または当技術分野でよく遂行されるように、または本明細書に記載されるように実施した。技術および手順は、概して、当技術分野で周知の従来の方法に従って、また本明細書を通じて列挙され、論じられた種々の一般的な参考文献およびより特定の参考文献に記載されるように実施した。例えば、任意の目的で参照により本明細書に組み込まれる、Sambrookら、2001年、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.参照のこと。特別の定義が提供されない限り、本明細書に記載される分子生物学、遺伝子工学、分析化学、合成有機化学ならびに医薬品化学および製薬化学に関連して使用される術後体系ならびにそれらの実験室手順および技術は、当技術分野で周知であり、日常的なものである。化学合成、化学分析および患者の治療には、標準技術が使用され得る。
【0028】
特に文脈によって必要とされない限り、単数の用語は、複数を含むものとし、複数の用語は、単数を含むものとする。
【0029】
本開示内容に従って使用されるように、以下の用語は、特に断りのない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする:
本発明は、単離ポリヌクレオチド、特に、ヒトEVI1の一部をコードするポリヌクレオチドを提供する。本明細書において、用語「単離ポリヌクレオチド」とは、ゲノム、cDNAまたは合成由来のポリヌクレオチドまたはその組合せを意味し、その供給源によって、「単離ポリヌクレオチド」は、(1)「単離ポリヌクレオチド」が天然に見られるポリヌクレオチドのすべてまたは一部と会合されず、(2)天然に連結していないポリヌクレオチドに連結され、または(3)長い配列の一部として天然に生じない。
【0030】
特に断りのない限り、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側の末端は、5’末端であり;二本鎖ポリヌクレオチド配列の左方向は、5’方向と呼ばれる。新生RNA転写物の5’から3’への付加の方向は、転写方向と呼ばれ;RNAと同一配列を有し、RNA転写物の5’末端の5’であるDNA鎖上の配列領域は、「上流配列」と呼ばれ;RNAと同一配列を有し、RNA転写物の3’末端の3’であるDNA鎖上の配列領域は、「下流配列」と呼ばれる。
【0031】
本明細書において、用語「ポリヌクレオチド」とは、少なくとも10塩基の長さであるポリマー形態のヌクレオチドを意味する。特定の実施形態では、塩基は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドまたはいずれかの種類のヌクレオチドの修飾された形態であり得る。この用語は、一本鎖および二本鎖の形態のDNAまたはRNAを含む。
【0032】
本明細書において、用語「PEG化された」とは、1種または複数のポリエチレングリコール分子のタンパク質、脂質またはその他の生体分子との結合(共有結合またはその他の)を意味する。
【0033】
本明細書において、用語「オリゴヌクレオチド」とは、天然に存在する、および/または天然に存在しないオリゴヌクレオチド結合によって一緒に連結された天然に存在するヌクレオチドおよび修飾されたヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは、一般に200以下のヌクレオチドを含むポリヌクレオチドサブセットである。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、10から60のヌクレオチド長である。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または30から40個の塩基長である。オリゴヌクレオチドは、例えば、アンチセンスRNAとして使用するために一本鎖である場合も、低分子干渉RNA(siRNA)または低分子(または短鎖)ヘアピンRNA(shRNA)として二本鎖である場合もある。オリゴヌクレオチドは、放射標識、蛍光標識、抗原性標識またはハプテンなどの検出可能な標識を含み得る。
【0034】
用語「天然に存在するヌクレオチド」は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含む。用語「修飾されたヌクレオチド」は、修飾または置換された糖基などを有するヌクレオチドを含む。用語「オリゴヌクレオチド結合」は、リン酸、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホラニラデート(phoshoraniladate)、ホスホロアミデートなどといったオリゴヌクレオチド結合を含む。例えば、各々の開示内容が、任意の目的のために参照により本明細書に組み込まれる、LaPlancheら、1986年、Nucl. Acids Res. 14巻:9081頁;Stecら、1984年、J. Am. Chem. Soc. 106巻:6077頁;Steinら、1988年、Nucl. Acids Res. 16巻:3209頁;Zonら、1991年、Anti−Cancer Drug Design 6巻:539頁;Zonら、1991年、OLIGONUCLEOTIDES AND ANALOGUES:A PRACTICAL APPROACH、(F. Eckstein編)、Oxford University Press、Oxford England、87〜108頁;Stecら、米国特許第5,151,510号;UhlmannおよびPeyman、1990年、Chemical Reviews 90巻:543頁参照のこと。
【0035】
用語「ベクター」は、コード情報を宿主細胞または標的細胞に伝達するために使用される分子(例えば、核酸、プラスミドまたはウイルス)を指すよう使用される。本発明の方法に適したウイルスベクターとして、例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、単純ヘルペスウイルスまたはワクシニアウイルスに由来するものが挙げられる。
【0036】
用語「発現ベクター」とは、宿主細胞または標的細胞の形質転換に適しており、挿入された核酸配列の発現を方向付ける、および/または制御する制御配列を含む核酸配列を含有するベクターを指す。用語「発現」は、それだけには限らないが、転写およびイントロンが存在する場合にはRNAスプライシングなどのプロセスを含む。
【0037】
本発明の発現ベクターは、制御配列と作動可能に連結したコード配列を有するDNAまたはRNA配列を含み得る。本明細書において、用語「制御配列」または「制御エレメント」とは、それらが連結しているコード配列の発現およびプロセシングを達成できるポリヌクレオチド配列を指す。このような制御配列の性質は、宿主生物に応じて異なり得る。特定の実施形態によれば、原核生物の制御配列は、プロモーター、リプレッサー、オペレーター、リボソーム結合部位および転写終結配列およびアンチセンスmRNAを含み得る。特定の実施形態によれば、真核生物の制御配列は、プロモーター、エンハンサーおよび転写終結配列またはタンパク質分解、mRNA分解、核局在性、核外輸送、細胞質保持、タンパク質リン酸化、タンパク質アセチル化、タンパク質SUMO化(sumolation)もしくはRNA阻害(RNAi)を調節する配列を含み得る。特定の実施形態では、「制御配列」は、リーダー配列および/または融合パートナー配列を含み得る。「制御配列」は、「制御配列」が、それらが連結しているコード配列の発現およびプロセシングを達成する場合にコード配列に「作動可能に連結される」。
【0038】
本明細書において、語句「組織特異的プロモーター」とは、コード配列の転写を方向付けることができ、特定の細胞種内で特異的に活性化される制御配列を含む核酸配列を指す。例えば、肝臓細胞において遺伝子の発現を駆動する肝臓特異的プロモーターとして、それだけには限らないが、ヒトまたはマウスα1−アンチトリプシン、アルブミンプロモーター、血清アミロイドA、トランスサイレチン、肝細胞核因子6および主要尿タンパク質(MUP)をコードする遺伝子に由来するプロモーターが挙げられる。
【0039】
通常、宿主細胞または標的細胞に使用される発現ベクターは、ベクター維持のための、また外因性ヌクレオチド配列の発現のための配列を含有する。特定の実施形態では、「フランキング配列」とまとめて呼ばれるこのような配列は、通常、以下のヌクレオチド配列のうち1種または複数を含む:プロモーター、1種または複数のエンハンサー配列、転写終結配列、ドナーおよびアクセプタースプライシング部位を含有する完全イントロン配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化シグナル配列、発現されるべきsiRNAをコードする核酸を挿入するための1種または複数の制限エンドヌクレアーゼ部位を含むポリリンカー領域および選択マーカーエレメント。
【0040】
フランキング配列は、相同である(すなわち、宿主細胞または標的細胞と同一種および/または株に由来する)場合も、異種である(すなわち、宿主細胞または標的細胞種または株以外の種に由来する)、ハイブリッドである(すなわち、2種以上の供給源に由来するフランキング配列の組合せ)場合も、合成または天然である場合もある。そのようなものとして、フランキング配列の供給源は、フランキング配列が宿主細胞または標的細胞機構において機能的であり、それによって活性化され得る限り、任意の原核生物または真核生物、任意の脊椎動物または無脊椎動物生物、または任意の植物であり得る。
【0041】
本発明のベクターにおいて有用なフランキング配列は、当技術分野で周知の任意のいくつかの方法によって得ることができる。通常、本明細書において有用なフランキング配列は、マッピングすることによって、および/または制限エンドヌクレアーゼ消化によってこれまでに同定されており、ひいては、適当な制限エンドヌクレアーゼを使用して適切な組織供給源から単離することができる。場合によっては、フランキング配列の完全ヌクレオチド配列が公知であり得る。フランキング配列はまた、核酸合成またはクローニングのための本明細書に記載される方法を使用して合成してもよい。
【0042】
フランキング配列のすべてまたは一部のみが公知である場合は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などのin vitro増幅方法を使用して、ならびに/またはゲノムライブラリーを、同一または別の種に由来する適したオリゴヌクレオチドおよび/もしくはフランキング配列断片を用いてスクリーニングすることによって得ることができる。フランキング配列が公知ではない場合には、フランキング配列を含有するDNAの断片を、例えば、コード配列または、さらに別の遺伝子(単数または複数)を含有し得るDNAの大きな部分から単離してもよい。単離は、適切なDNA断片を製造するための制限エンドヌクレアーゼ消化と、それに続く、アガロースゲル精製、Qiagenカラムクロマトグラフィー(Chatsworth、Calif)または当業者に公知のその他の方法を使用する単離によって達成され得る。この目的を達成するための適した酵素の選択は、当業者には容易に明らかである。
【0043】
転写終結配列は、通常、ポリペプチドコード領域の末端の3’に位置し、転写を終結させるよう働く。普通、原核細胞における転写終結配列は、G−Cリッチ断片と、それに続くポリT配列である。配列は、ライブラリーから容易にクローニングされる、またはさらにベクターの一部として商業的に購入されるが、本明細書に記載されるものなど核酸合成のための方法を使用して容易に合成され得る。真核生物は、エンドヌクレアーゼ切断と、それに続く、ポリA残基の付加に必要な転写終結シグナルおよびポリAシグナルの両方として機能する配列を有する(普通、約200個のA残基からなる)。
【0044】
本発明の発現およびクローニングベクターは、通常、宿主生物によって認識され、ヒトEVI1遺伝子の一部をコードする核酸に作動可能に連結したプロモーターを含有する。プロモーターは、構造遺伝子の開始コドンの上流(すなわち、5’)(一般に、約100〜1000bp内)に位置し、構造遺伝子の転写を制御する転写されない配列である。プロモーターは、従来、2つのクラス:誘導プロモーターおよび構成的プロモーターの一方にグループ分けされる。誘導プロモーターは、栄養分の有無または温度の変化などの培養条件のいくつかの変化に応じて、その制御下でDNAから増大したレベルの転写を開始する。他方、構成的プロモーターは、連続的な遺伝子産物産生を開始する;すなわち、遺伝子発現に対する実験的制御はほとんどない、または全くない。種々の可能性ある宿主細胞または標的細胞によって認識される多数のプロモーターが周知である。
【0045】
哺乳動物細胞とともに使用するための適したプロモーターは周知であり、それだけには限らないが、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2などの)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、最も好ましくは、サルウイルス40(SV40)などの真核生物ウイルスのゲノムから得られたものが挙げられる。その他の適した哺乳動物プロモーターとして、異種哺乳動物プロモーター、例えば、熱ショックプロモーターおよびアクチンプロモーターが挙げられる。
【0046】
本発明の組換え発現ベクターの実施において有用な特定のプロモーターとして、それだけには限らないが、SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびChambon、1981年、Nature 290巻:304〜10頁);CMVプロモーター;ラウス肉腫ウイルスの3’長い末端反復配列に含有されるプロモーター(Yamamotoら、1980年、Cell 22巻:787〜97頁);ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら、1981年、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78巻:1444〜45頁);およびメタロチオニン(metallothionine)遺伝子の調節配列(Brinsterら、1982年、Nature 296巻:39〜42頁)が挙げられる。組織特異性を示し、トランスジェニック動物において利用されてきた以下の動物転写制御領域も対象とされる:脾臓腺房細胞において活性であるエラスターゼI遺伝子制御領域(Swiftら、1984年、Cell 38巻:639〜46頁;Ornitzら、1986年、Cold Spring Harbor Symp. Quaint. Biol. 50巻:399409頁;MacDonald、1987年、Hepatology 7巻:425〜515頁);脾臓β細胞において活性であるインスリン遺伝子制御領域(Hanahan、1985年、Nature 315巻:115〜22頁);精巣、乳房、リンパ球系および肥満細胞において活性であるマウス乳房腫瘍ウイルス制御領域(Lederら、1986年、Cell 45巻:485〜95頁);骨髄系細胞において活性であるβ−グロビン遺伝子制御領域(Mogramら、1985年、Nature 315巻:338〜40頁;Kolliasら、1986年、Cell 46巻:89〜94頁);脳中の乏突起神経膠細胞において活性であるミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readheadら、1987年、Cell 48巻:703〜12頁);骨格筋において活性であるミオシン軽鎖−2遺伝子制御領域(Sani、1985年、Nature 314巻:283〜86頁);視床下部において活性である性腺刺激放出ホルモン遺伝子制御領域(Masonら、1986年、Science 234巻:1372〜78頁);および最も特には、リンパ球系細胞において活性である免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedlら、1984年、Cell 38巻:647〜58頁;Adamesら、1985年、Nature 318巻:533〜38頁;Alexanderら、1987年、Mol. Cell Biol. 7巻:1436〜44頁)。
【0047】
好ましくは、本発明の発現ベクターのプロモーターは、標的または宿主細胞が由来する組織において活性である。例えば、細胞が、肝臓細胞である場合は、すべて肝臓において活性である、アルブミン遺伝子制御領域(Pinkertら、1987年、Genes and Devel. 1巻:268〜76頁);α−フェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlaufら、1985年、Mol. Cell Biol. 5巻:1639〜48頁;Hammerら、1987年、Science 235巻:53〜58頁);またはα1−アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelseyら、1987年、Genes and Devel. 1巻:161〜71頁)を使用できることが有利である。
【0048】
本発明のベクターはまた、高等真核細胞において転写を増大させるエンハンサー配列を含有し得る。エンハンサーとは、DNAのシス作用エレメントであり、普通、約10〜300bp長であり、転写を増大するようプロモーターに作用する。エンハンサーは、比較的配向依存性および位置依存性である。それらは、イントロン内ならびに転写単位の5’および3’両方の数キロベース内に見出されている。哺乳動物遺伝子から入手可能であるいくつかのエンハンサー配列が公知である(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン、インスリン、トランスサイレチンおよびHNF−6遺伝子に由来するエンハンサー)。ウイルス由来するエンハンサーもまた、遺伝子の発現を増大するために使用され得る。SV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエンハンサーおよびアデノウイルスエンハンサーは、真核細胞プロモーターの活性化のための例示的増強エレメントである。エンハンサーは、核酸分子の5’または3’位でベクター中にスプライシングされ得るが、通常は、プロモーターから5’の部位に位置する。
【0049】
本発明の発現ベクターは、市販のベクターなどの好都合な出発ベクターから構築され得る。このようなベクターは、所望のフランキング配列のすべてを含有する場合も、含有しない場合もある。本明細書に記載されるフランキング配列のうち1種または複数が、ベクター中にすでに存在しない場合は、個別に得て、ベクター中に連結してもよい。フランキング配列の各々を得るために使用される方法は、当業者に周知である。
【0050】
ベクターが構築された後、例えば、EVI1 siRNAをコードする核酸分子が、ベクターの適切な部位に挿入され、完成したベクターが適した宿主細胞または標的細胞中に挿入され得る。選択された宿主細胞または標的細胞への、EVI1 siRNAをコードするすべての発現ベクターの導入は、トランスフェクション、感染、塩化カルシウム、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、DEAE−デキストラン法または上記のその他の公知の技術などの方法を始めとする周知の方法によって達成され得る。選択される方法は、幾分かは、使用される予定の宿主細胞または標的細胞の種類の関数となる。これらの方法およびその他の適した方法は、当業者に周知であり、例えば、Sambrookら、2001年、MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.に示されている。
【0051】
用語「宿主細胞」は、核酸配列を導入されている、または核酸配列を導入され、次いで、対象とする遺伝子を発現させることができる細胞を指すよう使用される。この用語は、後代が、元の親と形態学において、または遺伝子構造において同一であろうと、そうでなかろうと、遺伝子が存在する限り、親細胞の後代を含む。好ましい実施形態では、宿主細胞は、真核細胞、より好ましくは、哺乳動物細胞であり、最も好ましくは、げっ歯類またはヒト細胞である。
【0052】
適当な標的細胞の選択は、適当な宿主細胞の選択について上記で論じられた種々の因子に応じて変わる。さらに、標的細胞は、本発明の方法によって治療される患者に影響を及ぼす疾患または状態に基づいて選択され得る。
【0053】
用語「トランスフェクション」は、細胞による外来または外因性DNAの取り込みを指すよう使用され、細胞は、外因性DNAが細胞の内側に導入されている場合に、「トランスフェクト」されている。いくつかのトランスフェクション技術が、当技術分野で周知であり、本明細書において開示されている。例えば、Grahamら、1973年、Virology 52巻:456頁;Sambrookら、2001年、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.;Davisら、1986年、BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY (Elsevier);およびChuら、1981年、Gene 13巻:197頁参照のこと。このような技術は、適した宿主細胞に外因性DNAを導入するために使用され得る。
【0054】
用語「薬剤」は、本明細書において、化合物、化合物の混合物、生物学的高分子または生物学的材料から製造された抽出物を示すよう使用される。
【0055】
本明細書において、用語「医薬組成物」とは、薬学的に許容される担体、賦形剤もしくは希釈液および化合物、ペプチドを含む組成物または患者に適宜投与された場合に、所望の治療効果を導入できる本明細書に記載される組成物を指す。
【0056】
用語「治療上有効な量」とは、哺乳動物において治療反応を生じると決定された、本発明の成長ホルモンもしくは医薬組成物または本発明のスクリーニング方法において同定された化合物の量を指す。このような治療上有効な量は、当業者によって、本明細書に記載される方法を使用して容易に確認される。
【0057】
本明細書において、「実質的に純粋な」とは、存在する主な種である(すなわち、モルベースで、組成物中の任意のその他の個々の種よりも豊富である)目的種を意味する。特定の実施形態では、実質的に精製された画分は、目的種が、存在するすべての高分子種の、少なくとも約50パーセント(モルベースで、または重量もしくは数ベースで)を含む組成物である。特定の実施形態では、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在するすべての高分子種の約80%、85%、90%、95%または99%超を含む。特定の実施形態では、目的種は、組成物が本質的に単一の高分子種からなる、本質的な均一性に(従来の検出方法によっては組成物中に混入する種が検出され得ない)精製される。
【0058】
用語「患者」は、ヒトおよび動物対象を含む。
【0059】
本明細書において、用語「腫瘍成長」および「腫瘍細胞増殖」は、腫瘍細胞の成長を指すよう使用される。本明細書において、用語「腫瘍細胞」とは、腫瘍性である細胞を指す。腫瘍細胞は、良性、すなわち、転移を形成せず、隣接する正常組織を浸潤および破壊しないものである場合も、悪性、すなわち、周囲組織を浸潤し、転移を生じることができ、試みられた除去後に再発し得、宿主の死亡を引き起こす可能性が高いものである場合もある。本発明の方法に付される腫瘍細胞は、皮膚細胞、肺細胞、腸上皮細胞、結腸上皮細胞、精巣細胞、乳房細胞、前立腺細胞、脳細胞、骨髄細胞、血液リンパ細胞、卵巣細胞または胸腺細胞に由来する腫瘍細胞などの上皮由来腫瘍細胞であることが好ましい。
【0060】
本発明の好ましい実施形態は、薬物、EVI1遺伝子から発現されたRNAの一部を認識する配列を有するヌクレオチドを含む。細胞内でのEVI1の発現の阻害は、細胞の分裂の阻止および/またはアポトーシスの活性化を引き起こす。本発明の一実施形態では、ヌクレオチドは、EVI1遺伝子配列とワトソン−クリック配列相補性によって結合して、その発現を阻止する。ヌクレオチドは、DNAまたはRNAレベルでEVI1遺伝子の発現を阻害するのに十分な長さのDNAオリゴヌクレオチドであり得る。別の実施形態では、ヌクレオチドは、RNAプロセシング機序と関連して、EVI1の発現を下方制御する二本鎖RNA(dsRNA)であり得る。このdsRNAは、およそ20塩基対の低分子干渉RNA(siRNA)であり得る。
【0061】
本発明の別の実施形態では、EVI1を阻害するヌクレオチドは、循環血液中でヌクレオチドを保護し、標的とされる組織においてヌクレオチドを濃縮できるリポソームまたはナノ粒子に被包されている。リポソームは、ヌクレオチドを囲む層を形成する脂質表面分子である。通常、負に帯電しているヌクレオチドを被包するためにカチオン性リポソームが使用される。ナノ粒子は、通常、ヌクレオチドを包み、血液中で分子を安定化させる化学的に基づいたシェル構造である。ナノ粒子は、通常、糖、デキストラン、リン酸カルシウム、キトサン、ペプチドおよび/またはプラスチックポリマーを含む。
【0062】
本発明のさらなる実施形態では、ターゲッティングリガンドは、EVI1を阻害する分子を含有するリポソームまたはナノ粒子と会合し、アポトーシス破壊のために指定された腫瘍細胞上の受容体を標的とする。リポソームは、循環におけるリポソームの寿命を延長するためにポリエチレングリコールで被覆(すなわち、PEG化)されてもよい。同様に、ナノ粒子もそのように被覆されてもよい。
【0063】
ターゲッティング分子は、標的細胞の表面上の受容体と特異的に結合するアプタマーと呼ばれる有機化学リンカーであり得る。アプタマーは、共有結合によってリポソームの脂質またはナノ粒子のポリマーと結合され得る。リポソームまたはナノ粒子を腫瘍細胞にターゲッティングするために使用されるその他の分子として、腫瘍細胞の表面上の特異的受容体に向けられるペプチド、タンパク質または抗体がある。本発明の好ましい実施形態では、リポソームまたはナノ粒子は、急性骨髄性白血病、肺、卵巣、皮膚またはその他の種類のがん細胞に向けられ得る。
【0064】
特定の実施形態では、本出願は、二本鎖RNA(dsRNA)およびRNAi構築物に関する。本明細書において、用語「dsRNA」とは、siRNAを含めた、RNA干渉(RNAi)できる二本鎖RNA分子を指す。さらに、RNAiは、二本鎖RNA(dsRNA)が特異的に、転写後に遺伝子発現を阻止する、植物および寄生虫において観察された現象に最初に適用された用語である。RNAiは、in vitroまたはin vivoで遺伝子発現を阻害または低減する有用な方法を提供する。
【0065】
本明細書において、用語「短鎖干渉RNA」、「siRNA」または「短鎖干渉核酸」とは、細胞によって適宜プロセシングされると、RNAiまたは遺伝子サイレンシングを媒介できる任意の核酸を指す。例えば、siRNAは、自己相補性センスおよびアンチセンス領域を含み、アンチセンス領域が、標的遺伝子に対して相補性を含む、二本鎖ポリヌクレオチド分子であり得る。siRNAは、自己相補性センスおよびアンチセンス領域を有し、アンチセンス領域が、標的遺伝子に対する相補性を含む、一本鎖ヘアピンポリヌクレオチドであり得る。siRNAは、2以上のループ構造と、自己相補性センスおよびアンチセンス領域を含むステムを有し、アンチセンス領域が、標的遺伝子に対して相補性を含む、環状一本鎖ポリヌクレオチドであり得、ここで、環状ポリヌクレオチドは、in vivoまたはin vitroのいずれかでプロセシングされて、RNAiを媒介し得る活性なsiRNAを生成し得る。siRNAはまた、標的遺伝子に対して相補性を有する一本鎖ポリヌクレオチドを含む場合もあり、一本鎖ポリヌクレオチドは、5’−リン酸または5’,3’−二リン酸などの末端リン酸基をさらに含み得る。特定の実施形態では、siRNAは、標的核酸と結合し、標的核酸の活性を変更する非酵素性核酸である。siRNAの結合および/または活性は、1種または複数のタンパク質またはRNA誘導サイレンシング複合体(またはRISC)などのタンパク質複合体との相互作用によって促進され得る。特定の実施形態では、siRNAは、標的配列と相補的である配列を、siRNA分子の一方の鎖の単一の連続配列に沿って含む。
【0066】
場合により、本出願のsiRNAは、阻害される遺伝子(「標的」遺伝子)のmRNA転写物の少なくとも一部のヌクレオチド配列と、生理的条件下で(例えば、細胞環境において)ハイブリダイズするヌクレオチド配列を含有する。二本鎖RNAは、RNAiを媒介する能力を有する天然RNAに対して十分に類似していることのみが必要である。したがって、本出願は、遺伝子突然変異、株多型または進化的分岐のために予想され得る配列変動を許容できるという利点を有する。標的配列とsiRNA配列間の許容されるヌクレオチドミスマッチの数は、5塩基対中1以下または10塩基対中1以下または20塩基対中1以下または50塩基対中1以下である。siRNA二本鎖の中心のミスマッチは、最も決定的であり、標的RNAの切断を本質的に無効にする場合がある。対照的に、標的RNAと相補的であるsiRNA鎖の3’末端のヌクレオチドは、標的認識の特異性に大きくは寄与しない。配列同一性は、当技術分野で公知の配列比較およびアラインメントアルゴリズムおよび例えば、デフォルトパラメータを使用するBESTFITソフトウェアプログラムにおいて実行されるようなSmith−Watermanアルゴリズムによってヌクレオチド配列間の相違パーセントを算出することによって最適化され得る。siRNAと標的遺伝子の一部の間の90%、95%、96%、97%、98%または99%超の配列同一性、またはさらに100%の配列同一性が好ましい。あるいは、RNAの二本鎖領域は、ストリンジェントな条件(例えば、12〜16時間の、400mM NaCl、40mM PIPES pH6.4、1mM EDTA、50℃または70℃ハイブリダイゼーションと、それに続く洗浄)下で標的遺伝子転写物の一部とハイブリダイズできるヌクレオチド配列として機能的に定義され得る。
【0067】
dsRNAの二本鎖構造は、単一の自己相補性RNA鎖、2つの相補性RNA鎖、またはDNA鎖と相補性RNA鎖によって形成され得る。場合により、RNA二本鎖形成は、細胞の内側または外側のいずれかで開始され得る。RNAは、細胞あたり少なくとも1つのコピーの送達を可能にする量で導入され得る。高用量(例えば、細胞あたり少なくとも5、10、100、500または1000コピー)の二本鎖物質は、より効果的な阻害をもたらし得る一方で、特定の適用のためには、低用量もまた有用であり得る。阻害は、RNAの二本鎖領域に対応するヌクレオチド配列が、阻害のためにターゲッティングされる点で配列特異的である。
【0068】
本明細書に記載されるように、対象siRNAは、約19〜30ヌクレオチド長の、約21〜27ヌクレオチド長の、約21〜25ヌクレオチド長の、または約21〜23ヌクレオチド長の二本鎖領域を含む。siRNAは、ヌクレアーゼ複合体を動員し、複合体を、特異的配列と対形成することによって標的遺伝子転写物に導くと理解される。結果として、標的遺伝子転写物は、タンパク質複合体中のヌクレアーゼによって分解される。特定の実施形態では、siRNA分子は、3’ヒドロキシル基を含む。特定の実施形態では、siRNA構築物は、例えば、酵素ダイサーの存在下での長い二本鎖RNAのプロセシングによって生じ得る。一実施形態では、Drosophila in vitro系が使用される。この実施形態では、dsRNAは、Drosophila胚に由来する可溶性抽出物と組み合わされ、それによって、組合せが生じる。組合せは、dsRNAが、約21〜約27ヌクレオチドのRNA分子にプロセシングされる条件下で維持される。siRNA分子は、当業者に公知のいくつかの技術を使用して精製され得る。例えば、siRNAを精製するためにゲル電気泳動が使用され得る。あるいは、非変性カラムクロマトグラフィーなどの非変性法がsiRNAを精製するために使用され得る。さらに、クロマトグラフィー(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー)、グリセロール勾配遠心分離、抗体を用いるアフィニティー精製がsiRNAを精製するために使用され得る。
【0069】
対象dsRNA(例えば、siRNA)の製造は、化学合成法によって、または組換え核酸技術によって実施され得る。処理された細胞の内因性RNAポリメラーゼは、in vivoで転写を媒介する場合があり、またはクローニングされたRNAポリメラーゼが、in vitroで転写に使用される場合もある。本明細書において、本出願のdsRNAまたはsiRNA分子は、RNAのみを含有する分子に限定される必要はなく、化学的に修飾されたヌクレオチドおよび非ヌクレオチドをさらに包含する。例えば、dsRNAは、例えば、細胞ヌクレアーゼに対する感受性を低下させ、バイオアベイラビリティを改善し、製剤特徴を改善し、および/またはその他の薬物動態特性を変化させるための、リン酸−糖骨格またはヌクレオシドいずれかの修飾を含み得る。例示するために、天然RNAのホスホジエステル結合は、少なくとも1個の窒素または硫黄へテロ原子を含むよう修飾されてもよい。RNA構造の修飾は、dsRNAに対する遺伝子応答を避けながら特異的遺伝子阻害を可能にするように仕立てられる。同様に、塩基は、アデノシンデアミナーゼの活性を遮断するよう修飾され得る。dsRNAは、酵素的に、または部分的/完全有機合成によって製造されてもよく、任意の修飾されたリボヌクレオチドが、in vitro酵素的合成または有機合成によって導入され得る。RNA分子を化学的に修飾する方法が、dsRNAを修飾するのに適応され得る。単に例示するために、dsRNAまたはsiRNAの骨格は、ホスホロチオエート、ホスホルアミダート、ホスホジチオエート、キメラメチルホスホネート−ホスホジエステル、ペプチド核酸、5−プロピニル−ピリミジン含有オリゴマーまたは糖修飾(例えば、2’−置換リボヌクレオシド、a−立体配置)を用いて修飾され得る。特定の場合には、本出願のdsRNAは、2’−ヒドロキシ(2’−OH)含有ヌクレオチドを欠く。特定の実施形態では、siRNA分子は、ホスホロチオエートセンス鎖を含む。特定の実施形態では、siRNA分子は、ホスホジエステルアンチセンス鎖を含む。
【0070】
特定の実施形態では、siRNA分子の少なくとも一方の鎖は、約1〜約10ヌクレオチド長、約1〜5ヌクレオチド長、約1〜3ヌクレオチド長または約2〜4ヌクレオチド長の3’オーバーハングを有する。特定の実施形態では、siRNAは、3’オーバーハングを有する一方の鎖を含み得、もう一方の鎖は3’末端で平滑末端である(例えば、3’オーバーハングを有さない)。別の実施形態では、siRNAは、両鎖で3’オーバーハングを含む場合もある。オーバーハングの長さは、各鎖について同一である場合も、異なる場合もある。siRNAの安定性をさらに増強するために、3’オーバーハングが分解に対して安定化されてもよい。一実施形態では、RNAは、アデノシンまたはグアノシンヌクレオチドなどのプリンヌクレオチドを含むことによって安定化される。あるいは、修飾された類似体によるピリミジンヌクレオチドの置換、例えば、2’−デオキシチニジン(deoxythyinidine)によるウリジンヌクレオチド3’オーバーハングの置換は、許容され、RNAiの効率に影響を及ぼさない。2’ヒドロキシルがないことは、組織培養培地におけるオーバーハングのヌクレアーゼ耐性を大幅に増強し、in vivoで有利であり得る。
【0071】
別の特定の実施形態では、対象dsRNAは、長い二本鎖RNAの形態であり得る。例えば、dsRNAは、少なくとも25、50、100、200、300または400塩基である。いくつかの場合には、dsRNAは、400〜800塩基長である。場合により、dsRNAは細胞内で消化されて、例えば、細胞中にsiRNA配列が生じる。しかし、in vivoでの長い二本鎖RNAの使用は、おそらくは、配列非依存性dsRNA反応によって引き起こされ得る有害な作用のために常に実用的ではない。このような実施形態では、局所送達系および/またはインターフェロンまたはPKRの効果を低減する薬剤の使用が好ましい。
【0072】
さらなる特定の実施形態では、dsRNAまたはsiRNAは、短鎖ヘアピン構造(shRNA)の形態である。shRNAは、外因的に合成され得る、またはin vivoでRNAポリメラーゼIIIプロモーターから転写することによって形成され得る。好ましくは、このようなshRNAは、標的遺伝子の持続的な、安定した抑制を確実にするよう、細胞において、または動物において遺伝子操作される。siRNAは、細胞においてヘアピンRNAをプロセシングすることによって生じ得るということは当技術分野で公知である。
【0073】
好ましい実施形態では、EVI1 siRNAは、ヒトEVI1コード配列(配列番号1)のヌクレオチド残基246〜266(配列番号17〜56)、969〜1002(配列番号57〜120)、2900〜2920(配列番号121〜160)または2984〜3004(配列番号161〜200)に対応するsiRNAの製造を記載する、本明細書に記載されるように設計され、構築される。本明細書に記載されたEVI1 siRNAは、本明細書に示されるヌクレオチド配列を有する例示的EVI1 siRNA分子である。あるいは、EVI1 siRNAは、参照により本明細書に組み込まれる、Elbashirら (2001年、Genes Dev. 15巻:188〜200頁;2001年、Nature 411巻:494〜498頁)に記載される方法を使用して構築されてもよい。
【0074】
特定の実施形態では、本発明によって提供されるEVI1阻害剤は、短鎖干渉RNA(siRNA)の種である。本明細書において用語「短鎖干渉RNA」または「siRNA」とは、例えば、Bass、2001年、Nature 411巻:428〜429頁;Elbashirら、2001年、Nature 411巻:494〜498頁;およびKreutzerら、国際PCT公開番号WO00/44895;Zernicka−Goetzら、国際PCT公開番号WO01/36646;Fire、国際PCT公開番号WO99/32619;Plaetinckら、国際PCT公開番号WO00/01846;MelloおよびFire、国際PCT公開番号WO01/29058;Deschamps−Depaillette、国際PCT公開番号WO99/07409;およびLiら、国際PCT公開番号WO00/44914に開示されるような、RNA干渉または「RNAi」できる二本鎖核酸分子を指す。本明細書において、siRNA分子は、RNAのみを含有する分子に制限される必要はなく、RNAi能または活性を有する化学的に修飾されたヌクレオチドおよび非ヌクレオチドをさらに包含し得る。
【0075】
RNA干渉とは、短鎖干渉RNA(siRNA)によって媒介される、動物における配列特異的転写後遺伝子サイレンシングのプロセスを指す(Fireら、1998年、Nature 391巻:806頁)。細胞における長いdsRNAの存在は、「ダイサー」と呼ばれるリボヌクレアーゼIII酵素の活性を刺激する。ダイサーは、長いdsRNAの、dsRNAの短片であるsiRNAへのプロセシングに関与している(Bersteinら、2001年、Nature 409巻:363頁)。ダイサー活性に由来する短鎖干渉RNAは、通常、約21〜23ヌクレオチド長であり、約19塩基対二本鎖を含む。ダイサーはまた、翻訳制御に関与している保存された構造の前駆体RNAからの21および22ヌクレオチドの小さい一時的なRNA(stRNA)の切り出しにも関与している(Hutvagnerら、2001年、Science 293巻:834頁)。RNAi反応はまた、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と一般的に呼ばれる、siRNAを含有するエンドヌクレアーゼ複合体を特徴とし、これは、siRNAに対して相同な配列を有する一本鎖RNAの切断を媒介する。標的RNAの切断は、siRNA二本鎖のガイド配列と相補的である領域の中央で起こる(Elbashirら、2001年、Genes Dev.15巻:188頁)。
【0076】
短鎖干渉RNAによって媒介されるRNAiは、種々の系で研究されてきた。Fireらは、線虫(C.elegans)においてRNAiを観察した最初の人たちであった(1998年、Nature 391巻:806頁)。WiannyおよびGoetzは、マウス胚におけるdsRNAによって媒介されるRNAiを記載した(1999年、Nature Cell Biol. 2巻:70頁)。Hammondらは、dsRNAでトランスフェクトされたDrosophila細胞におけるRNAiを記載した(2000年、Nature 404巻:293頁)。Elbashirらは、ヒト胎児由来腎臓およびHeLa細胞を始めとする培養哺乳動物細胞における合成21−ヌクレオチドRNAの二本鎖の導入によって誘導されたRNAiを記載した(2001年、Nature 411巻:494頁)。
【0077】
Drosophila胚溶解物における最近の研究によって、効率的なRNAi活性を媒介するのに必須であるsiRNAの長さ、構造、化学組成および配列についての特定の必要条件が示された。これらの研究は、21ヌクレオチドを含むsiRNA二本鎖は、2つのヌクレオチド3’−オーバーハングを含有する場合に最も活性であることを示した。さらに、2’−デオキシまたは2’−O−メチルヌクレオチドでのsiRNA鎖の一方または両方の置換は、RNAi活性を無効にするが、3’−末端siRNAヌクレオチドのデオキシヌクレオチドでの置換は、許容されることがわかった。siRNA二本鎖の中央のミスマッチ配列もまた、RNAi活性を無効にすることがわかった。さらに、これらの研究はまた、標的RNA中の切断部位の位置が、siRNAガイド配列の3’−末端よりも5’−末端によって規定されることも示す(Elbashirら、2001年、EMBO J. 20巻:6877頁)。その他の研究は、siRNA二本鎖の標的相補鎖上の5’−リン酸が、siRNA活性にとって必要であること、およびsiRNA上のS’−リン酸部分を維持するのに、細胞ではATPが利用されることを示した(Nykanenら、2001年、Cell 107巻:309頁)。しかし、5’−リン酸を欠くsiRNA分子は、外因性に導入された場合は活性であり、これは、siRNA構築物の5’−リン酸化がin vivoで起こり得ることを示唆する。
【0078】
本発明のEVI1 siRNA分子は、自己相補性センスおよびアンチセンス領域を含み、アンチセンス領域が、EVI1のヌクレオチド配列の一部と相補的であるヌクレオチド配列を含み、センス領域が、EVI1核酸配列またはその一部に対応するヌクレオチド配列を有する二本鎖ポリヌクレオチド分子であり得る。EVI1 siRNA分子は、2つの別個のオリゴヌクレオチドから組み立てられることができ、これでは、一方の鎖がセンス鎖であり、もう一方がアンチセンス鎖であり、アンチセンスおよびセンス鎖は、自己相補性である。EVI1 siRNA分子はまた、核酸ベースまたは非核酸ベースのリンカーによって連結された自己相補性センスおよびアンチセンス領域を有する単一のオリゴヌクレオチドから組み立てられることができる。EVI1 siRNA分子は、ポリヌクレオチドであり得る、実質的に対称な二本鎖、非対称な二本鎖、ヘアピンまたは非対称なヘアピン二次構造を形成し得る。EVI1 siRNA分子はまた、EVI1ヌクレオチド配列またはその一部と相補的であるヌクレオチド配列を有する一本鎖ポリヌクレオチドを含む場合もあり、これでは、一本鎖ポリヌクレオチドは、例えば、Martinezら、2002、Cell 110巻:563〜574頁およびSchwarzら、2002年、Molecular:Cell 10巻:537〜568頁において論じられるように、5’,3’−二リン酸または5’−リン酸などの末端リン酸基をさらに含み得る。
【0079】
一本鎖ヘアピン構造を含む本発明のEVI1 siRNA分子は、相補配列のハイブリダイゼーションを可能にするスペーサー配列によって分離された約15〜約30ヌクレオチドの2つの相補配列を有する、約36〜約70ヌクレオチド長であることが好ましい。したがって、一本鎖ヘアピン構造は、分子の二本鎖部分を含む約15〜約30塩基対を有する。一実施形態では、ヘアピンsiRNAは、相補性siRNA配列のハイブリダイゼーションに対応する長さの二本鎖部分およびループ部分において約18、19、20または21塩基対を有する。
【0080】
特定の実施形態では、本発明は、EVI1 siRNA分子の発現を可能にする方法で、本発明の少なくとも1種のEVI1 siRNA分子をコードする核酸配列を含む発現ベクターを提供する。例えば、ベクターは、二本鎖を含むEVI1 siRNA分子の両鎖をコードする配列(複数可)を含有し得る。ベクターはまた、自己相補性であり、したがって、EVI1ヘアピンsiRNA分子を形成する単一の核酸分子をコードする配列(複数可)を含有し得る。このような発現ベクターの限定されない例は、Paulら、2002年、Nature Biotechnology 19巻:505頁;MiyagishiおよびTaira、2002年、Nature Biotechnology 19巻:497頁;Leeら、2002年、Nature Biotechnology 19巻:500頁;およびNovinaら、2002年、Nature Medicine、オンライン公開6月3日に記載されている。
【0081】
その他の実施形態では、本発明は、本発明の発現ベクターを含む哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞を提供する。さらなる実施形態では、本発明の前記細胞を含む発現ベクターは、ヒトEVI1コード配列の少なくとも一部と相補的であるsiRNA分子の配列を含み、ここで、細胞における前記siRNAの発現は、そこでのEVI1発現を阻害する。その他の実施形態では、本発明の発現ベクターは、同一であっても、異なっていてもよい2種以上のsiRNA分子をコードする核酸配列を含む。本発明のその他の実施形態では、siRNA分子、好ましくは、EVI1特異的siRNA分子は、DNAまたはRNAベクター中に挿入された転写単位から発現される。
【0082】
特定の実施形態では、本発明のsiRNA分子は、対象に投与するための、とりわけ、リポソームを含む送達媒体;担体および希釈剤およびその塩を含んでもよく;医薬組成物中に存在し得る。核酸分子の送達方法は、例えば、Akhtarら、1992年、Trends Cell Bio.2巻:139頁;Delivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics、Akhtar編、1995年、Maurerら、1999年、Mol. Membr. Biol.16巻:129〜140頁;HoflandおよびHuang、1999年、Handb. Exp. Pharmacol.、137巻:165〜192頁;およびLeeら、2000年、ACS Symp. Ser.752巻:184〜192頁に記載されており、そのすべては、参照により本明細書に組み込まれる。Beigelmanら、米国特許第6,395,713号およびSullivanら、PCT WO94/02595には、核酸分子を細胞および組織中に送達するための一般的な方法がさらに記載されている。これらのプロトコールは、細胞中への実質的にいずれの核酸分子の送達にも利用され得る。核酸分子は、それだけには限らないが、リポソーム中の被包、イオン導入法による、またはハイドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセルおよび生体接着性マイクロスフェアなどのその他の送達媒体中への組み込みによる、またはタンパク質性ベクターによる方法を含めた、当業者に公知の種々の方法によって細胞に投与され得る(例えば、O’HareおよびNormand、国際PCT公開番号WO00/53722参照のこと)。
【0083】
あるいは、核酸/媒体組合せは、直接注射によって、または注入ポンプの使用によって局所送達され得る。皮下、筋肉内または皮内にかかわらず、本発明の核酸分子の直接注射は、標準的なニードルおよびシリンジ法を使用して、またはConryら、1999年、Clin. Cancer Res.5巻:2330〜2337頁およびBarryら、国際PCT公開番号 WO99/31262に記載されたものなどのニードルを含まない技術によって行われ得る。当技術分野における多数の実施例が、浸透圧ポンプ(Chunら、1998年、Neuroscience Letters 257巻:135〜138頁、D’ Aldinら、1998年、Mol. Brain Research 55巻:151〜164頁、Drydenら、1998年、J. Endocrinol. 157巻:169〜175頁、Ghirnikarら、1998年、Neuroscience Letters 247巻:21〜24頁参照のこと)または直接注入(Broaddusら、1997年、Neurosurg. Focus 3巻、論文4)によるオリゴヌクレオチドの送達方法を記載している。その他の送達経路として、それだけには限らないが、経口送達(錠剤または丸剤形態でなど)および/またはくも膜下腔内送達(Gold、1997年、Neuroscience 76巻:1153〜1158頁)が挙げられる。核酸送達および投与のより詳細な説明は、Sullivanら、PCT WO94/02595、Draperら、PCT W093/23569、Beigelmanら、PCT WO99/05094およびKlimukら、PCT WO99/04819に提供されており、それらのすべては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
あるいは、本発明の特定のsiRNA分子は、細胞内で真核細胞プロモーターから発現され得る(例えば、IzantおよびWeintraub、1985年、Science 229巻:345頁;McGarryおよびLindquist、1986年、Proc. Natl. Acad. Sci USA 83巻:399頁;Scanlonら、1991年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88巻:10591〜5頁;Kashani−Sabetら、1992年、Antisense Res. Dev. 2巻:3〜15頁;Dropulicら、1992年、J. Virol. 66巻:1432〜41頁;Weerasingheら、1991年、J. Virol. 65巻:5531〜4頁;Ojwangら、1992年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89巻:10802〜6頁;Chenら、1992年、Nucleic Acids Res. 20巻:4581〜9頁;Sarverら、1990年、Science 247巻:1222〜1225頁;Thompsonら、1995年、Nucleic Acids Res. 23巻:2259頁;Goodら、1997年、Gene Therapy 4巻:45頁参照のこと。当業者ならば、適当なDNA/RNAベクターを使用して任意の核酸が真核細胞において発現され得ることは認識するであろう。このような核酸の活性は、酵素的核酸による一次転写物からのその放出によって増強され得る(Draperら、PCT WO93/23569およびSullivanら、PCT WO94/02595;Ohkawaら、1992年、Nucleic Acids Symp. Ser. 27:15〜6頁;Tairaら、1991年、Nucleic Acids Res. 19巻:5125〜30頁;Venturaら、1993年、Nucleic Acids Res. 21巻:3249〜55頁;Chowriraら、1994年、J. Biol. Chem. 269巻:25856頁)。
【0085】
本発明の別の態様では、本発明のRNA分子は、DNAまたはRNAベクター中に挿入された転写単位から発現され得る(例えば、Coutureら、1996年、TIG12巻:510頁参照のこと)。組換えベクターは、DNAプラスミドまたはウイルスベクターであり得る。siRNAを発現するウイルスベクターは、それだけには限らないが、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスまたはアルファウイルスをベースとして構築され得る。別の実施形態では、本発明の核酸分子を発現するためにpol IIIベースの構築物が使用される(例えば、Thompson、米国特許第5,902,880号および同6,146,886号参照のこと)。siRNA分子を発現できる組換えベクターは、上記のように送達され、標的細胞において持続し得る。あるいは、核酸分子の一時的な発現を提供するウイルスベクターが使用され得る。このようなベクターは、必要に応じて反復投与され得る。siRNA分子は、ひと度発現されると、標的mRNAと相互作用し、RNAi反応が生じる。siRNA分子を発現するベクターの送達は、静脈内または筋肉内投与などによって、対象から取り出された(ex−planted)標的細胞への投与と、それに続く対象への再導入によって、または所望の標的細胞への導入を可能にする任意のその他の手段によってなど、全身性であり得る(概説については、Coutureら、1996年、TIG.12巻:510頁参照のこと)。
【0086】
特定の実施形態では、本発明は、本発明の少なくとも1種のsiRNA分子をコードする核酸配列を含む発現ベクターを提供する。発現ベクターは、siRNA二本鎖の一方の鎖または両鎖、またはsiRNA二本鎖に自己ハイブリダイズする単一の自己相補性鎖をコードし得る。siRNA分子をコードする核酸配列は、siRNA分子の細胞における発現を可能にする方法で作動可能に連結され得る(例えば、Paulら、2002年、Nature Biotechnology 19巻:505頁;MiyagishiおよびTaira、2002年、Nature Biotechnology 19巻:497頁;Leeら、2002年、Nature Biotechnology 19巻:500頁;およびNovinaら、2002年、Nature Medicine、オンライン公開6月3日参照のこと)。
【0087】
その他の態様では、本発明は、a)転写開始領域(例えば、真核細胞のpol I、IIまたはIII開始領域);b)転写終結領域(例えば、真核細胞のpol I、IIまたはIII終結領域);およびc)本発明のsiRNA分子の少なくとも1種をコードする核酸配列を含み;前記配列が、siRNA分子の発現および/または送達を可能にする方法で、前記開始領域および前記終結領域に作動可能に連結された発現ベクターを提供する。ベクターは、本発明のsiRNAをコードする配列の5’側または3’側に作動可能に連結されたタンパク質のオープンリーディングフレーム(ORF)および/またはイントロン(介在配列)を場合により含み得る。
【0088】
siRNA分子の転写は、真核細胞のRNAポリメラーゼI(pol I)、RNAポリメラーゼII(pol II)またはRNAポリメラーゼIII(pol III)のプロモーターから駆動され得る。pol IIまたはpol IIIプロモーターからの転写物は、細胞において高レベルで発現され得、所与の細胞種における所与のpol IIプロモーターのレベルは、近隣に存在する遺伝子調節配列(エンハンサー、サイレンサーなど)の性質に応じて変わる。原核生物のRNAポリメラーゼ酵素が、適当な細胞中で発現されるという条件で、原核生物のRNAポリメラーゼプロモーターも使用される(Elroy−SteinおよびMoss、1990年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87巻:6743〜7頁;GaoおよびHuang 1993年、Nucleic Acids Res. 21巻:2867〜72頁;Lieberら、1993年、Methods Enzymol. 217巻:47〜66頁;Zhouら、1990年、Mol Cell Biol. 10巻:4529〜37頁)。幾人かの研究者が、このようなプロモーターから発現された核酸分子が、哺乳動物細胞において機能し得ることを実証した(例えば、Kashani−Sabetら、1992年、Antisense Res. Dev.2巻:3〜15頁;Ojwangら、1992年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89巻:10802〜6頁;Chenら、1992年、Nucleic Acids Res. 20巻:4581〜9頁;Yuら、1993年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90巻:6340〜4頁;L’ Huillierら、1992年、EMBO J. 11巻:4411〜8頁;Lisziewiczら、1993年、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A 90巻:8000〜4頁;Thompsonら、1995年、Nucleic Acids Res. 23巻:2259頁;SullengerおよびCech、1993年、Science 262巻:1566頁)。さらに詳しくは、U6小核(snRNA)、トランスファーRNA(tRNA)およびアデノウイルスVA RNAをコードする遺伝子に由来するものなどの転写単位が、細胞において、高濃度のsiRNAなどの所望のRNA分子を作製するのに有用である(Thompsonら、1995年、Nucleic Acids. Res. 23巻:2259頁;Coutureら、1996年、TIG 12巻:510頁、Noonbergら、1994年、Nucleic Acids. Res. 22巻:2830頁;Noonbergら、米国特許第5,624,803号;Goodら、1997年、Gene Ther. 4巻:45頁;Beigelmanら、国際PCT公開番号WO96/18736。上記のsiRNA転写単位は、哺乳動物細胞中に導入するために、制限されるものではないが、プラスミドDNAベクター、ウイルスDNAベクター(例えば、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルスベクター)またはウイルスRNAベクター(例えば、レトロウイルスベクターまたはアルファウイルスベクター)を始めとする種々のベクター中に組み込まれ得る(概説については、Coutureら、1996年、TIG 12巻:510頁参照のこと)。
【0089】
本発明の実施において有用である発現ベクターとして、小さいヌクレオチドスペーサー配列によって分離されたsiRNA分子の2種の相補配列をコードする核酸配列を、ヘアピンループを含有するsiRNA分子の発現を可能にする方法で含む発現ベクターがある。一般に、有用な発現ベクターは、a)転写開始領域;b)転写終結領域;およびc)小さいヌクレオチドスペーサー配列によって分離されたsiRNA分子の2種の相補配列をコードする核酸配列を含み;配列は、小さいヘアピンループを含有するsiRNA分子の発現および/または送達を可能にする方法で、開始領域および終結領域に作動可能に連結されている。
【0090】
特定の実施形態では、本発明は、その身体中に存在する少なくとも1個の腫瘍細胞を有する動物に、本明細書において提供されるEVI1 siRNA分子の治療上有効な量を治療上有効な期間、投与することを含む、動物において腫瘍成長を阻害する方法を提供し、ここで、EVI1 siRNA分子は、EVI1遺伝子発現を阻害し得る。
【0091】
特定の実施形態では、本発明は、哺乳動物細胞においてEVI1発現を阻害する、本明細書において提供されるEVI1 siRNA分子の治療上有効な量を、薬学的に許容される希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、防腐剤および/またはアジュバントと一緒に含む医薬組成物を提供する。本発明は、さらに、本明細書において提供されるEVI1 siRNA分子を含む医薬組成物を提供する。
【0092】
許容される製剤材料は、好ましくは、使用される投与量および濃度でレシピエントにとって非毒性である。医薬組成物は、例えば、pH、浸透圧、粘稠性、透明性、色、等張性、匂い、無菌性、安定性、組成物の溶解または放出、吸着または浸透の速度を修飾、維持または保存するために製剤材料を含有し得る。適した製剤材料として、それだけには限らないが、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシンなど);抗菌剤;抗酸化剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムなど);バッファー(ホウ酸、重炭酸、Tris−HCl、クエン酸、リン酸またはその他の有機酸など);充填剤(マンニトールまたはグリシンなど);キレート化剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、β−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなど);増量剤;単糖、二糖およびその他の炭水化物(グルコース、マンノースまたはデキストリンなど);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなど);着色剤、嬌味剤および希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(ナトリウムなど);保存料(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸または過酸化水素など);溶媒(グリセリン、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなど);糖アルコール(マンニトールまたはソルビトールなど);懸濁剤;界面活性剤または湿潤剤(プルロニック類、ポリエチレングリコール(PEG)、ソルビタンエステル、ポリソルベート20およびポリソルベート80などのポリソルベート、Triton、トリメタミン、レシチン、コレステロールまたはチロキサパル(tyloxapal)など);安定性増強剤(スクロースまたはソルビトールなど);張性増強剤(ハロゲン化アルカリ金属、好ましくは、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム、マンニトールまたはソルビトールなど);送達媒体;希釈剤;賦形剤および/または製剤補助薬が挙げられる。例えば、REMINGTON’ S PHARMACEUTICAL SCIENCES、第18版、(A.R.Gennaro編)、1990年、Mack Publishing Company参照のこと。
【0093】
最適医薬組成物は、例えば、意図される投与経路、送達形式および所望の投与量に応じて当業者によって決定され得る。例えば、REMINGTON’ S PHARMACEUTICAL SCIENCES、同著参照のこと。このような組成物は、本発明の抗体の物理的状態、安定性、in vivo放出の速度およびin vivoクリアランスの速度に影響を及ぼし得る。
【0094】
医薬組成物中の主要な媒体または担体として、それだけには限らないが、おそらくは、非経口投与用の組成物において一般的なその他の材料を補給した注射水、生理食塩水溶液または人工脳脊髄液を挙げることができる。中性緩衝生理食塩水または血清アルブミンと混合した生理食塩水は、さらなる例示的媒体である。医薬組成物は、約pH7.0〜8.5のTrisバッファーまたは約pH4.0〜5.5の酢酸バッファーを含む場合があり、これは、ソルビトールまたはその適した代替物をさらに含み得る。本発明の医薬組成物は、凍結乾燥ケーキまたは水溶液の形態で、所望の純度を有する選択された組成物を任意選択の製剤物質と混合することによって、保存用に調製され得る(REMINGTON’ S PHARMACEUTICAL SCIENCES、同著)。さらに、EVI1を阻害するsiRNAは、スクロースなどの適当な賦形剤を使用して凍結乾燥物として製剤され得る。
【0095】
製剤成分は、投与部位に許容される濃度で存在する。バッファーは、生理学的pHで、またはわずかに低いpH、通常、約5〜約8のpH範囲内で、組成物を維持するよう有利に使用される。
【0096】
本発明の医薬組成物は、非経口的に送達され得る。非経口投与が考慮される場合には、本発明において使用するための治療用組成物は、本発明の所望のsiRNAを含む、発熱物質を含まない、非経口的に許容される水溶液の形態であり得る。調製物は、所望の分子の製剤を、製品の制御放出または持続放出を提供し得、次いで、製品がデポー注射によって送達され得る、注射用マイクロスフェア、生体侵食性粒子、ポリマー化合物(ポリ乳酸またはポリグリコール酸など)、ビーズまたはリポソームなどの物質とともに含むことができる。ヒアルロン酸を有する製剤は、循環における持続期間を増進する効果を有する。所望の分子を導入するために埋め込み可能な薬物送達装置が使用され得る。
【0097】
組成物は、吸入用に製剤されてもよい。これらの実施形態では、本発明のスクリーニング法において同定された化合物または本明細書において開示されたEVI1 siRNAが、吸入用ドライパウダーとして製剤される、または吸入溶液はまた、噴霧によってなど、エアゾール送達のために噴射剤を用いて製剤され得る。肺の投与は、化学修飾されたタンパク質の肺の送達を記載し、参照により組み込まれるPCT出願番号PCT/US94/001875にさらに記載されている。
【0098】
本発明の医薬組成物は、経口的になど、消化管によって送達され得る。このような薬学的に許容される組成物の調製は、当業者の範囲内である。この様式で投与される本明細書に開示されたEVI1 siRNAは、錠剤およびカプセル剤などの固体投与形の配合において通常使用される担体とともに、またはそれらを伴わずに製剤され得る。カプセル剤は、バイオアベイラビリティが最大化され、プレシステミック分解が最小に抑えられる消化管中の時点で製剤の活性部分を放出するよう設計され得る。本明細書において開示されたEVI1 siRNAの吸収を促進するためにさらなる薬剤が含まれてもよい。希釈剤、嬌味剤、低融点ワックス、植物油、滑沢剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤および結合剤も使用され得る。
【0099】
医薬組成物は、錠剤の製造に適している非毒性賦形剤との混合物中に、有効量の本明細書において開示されたEVI1 siRNAを含み得る。錠剤を滅菌水または別の適当な媒体に溶解することによって、単位用量形で溶液を調製してもよい。適した賦形剤として、それだけには限らないが、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウム、ラクトースもしくはリン酸カルシウムなどの不活性希釈剤;またはデンプン、ゼラチンもしくはアラビアガムなどの結合剤;またはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸もしくはタルクなどの滑沢剤が挙げられる。
【0100】
持続送達または制御送達製剤中に本明細書において開示されたEVI1阻害剤または本発明の化合物を含む製剤をはじめ、さらなる医薬組成物が、当業者には明らかである。リポソーム担体、生体侵食性微粒子または多孔質ビーズおよびデポー注射などの種々のその他の持続送達または制御送達手段を製剤する技術も当業者に公知である。例えば、医薬組成物の送達のための多孔質ポリマー微粒子の制御放出を記載するPCT出願番号PCT/US93/00829参照のこと。持続放出調製物として、成形品の形態の半透性ポリマーマトリックス、例えば、フィルムまたはマイクロカプセル、ポリエステル、ハイドロゲル、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号およびEP058,481)、L−グルタミン酸およびガンマエチル−L−グルタメートのコポリマー(Sidmanら、1983年、Biopolymers 22巻:547〜556頁)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)(Langerら、1981年、J. Biomed. Mater. Res. 15巻:167〜277頁)およびLanger、1982年、Chem. Tech. 12巻:98〜105頁)、エチレン酢酸ビニル(Langerら、同著)またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133.988)を挙げることができる。持続放出組成物はまた、当技術分野で公知のいくつかの方法のいずれによって調製されてもよいリポソームを含み得る。例えば、Eppsteinら、1985年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82巻:3688〜3692頁;EP036,676;EP088,046およびEP143,949参照のこと。
【0101】
in vivo投与に使用される医薬組成物は、通常、無菌である。特定の実施形態では、これは、滅菌濾過メンブランを通す濾過によって達成され得る。組成物が凍結乾燥されている特定の実施形態では、この方法を使用する滅菌法は、凍結乾燥および再構成の前または後のいずれで実施されてもよい。特定の実施形態では、非経口投与用の組成物は、凍結乾燥形態で、または溶液で貯蔵され得る。特定の実施形態では、非経口組成物は一般に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針によって穴を開けることができるストッパーを有する輸液バッグまたはバイアル中に入れられる。
【0102】
本発明の医薬組成物は製剤されると、溶液、懸濁液、ゲル、エマルジョン、固体として、または脱水粉末もしくは凍結乾燥粉末としてのいずれかで滅菌バイアル中で貯蔵され得る。このような製剤は、すぐに使える形態で、または投与の前に再構成される(例えば、凍結乾燥した)形態のいずれかで貯蔵され得る。
【0103】
本発明は、単回用量投与単位を製造するためのキットを対象とする。本発明のキットは、各々、本発明のスクリーニング法において同定された乾燥タンパク質化合物を有する第1の容器と、例えば、単一チャンバーおよびマルチチャンバーのプレフィルドシリンジ(例えば、液体シリンジ、リオシリンジ(lyosyringe)またはニードルのないシリンジ)を始めとする、水性製剤を有する第2の容器とを含有し得る。
【0104】
治療上使用される本発明の医薬組成物の有効量は、例えば、治療の状況および目的に応じて変わる。当業者ならば、特定の実施形態に従う、治療のための適当な投与量レベルは、したがって、幾分かは、送達される分子、医薬組成物が使用される適応症、投与経路および大きさ(体重、体表面または器官の大きさ)および/または患者の状態(年齢および全身の健康)に応じて変わることは理解するであろう。臨床医ならば、最適な治療効果を得るために、投与量を用量設定し、投与経路を改変できる。
【0105】
投薬頻度は、本明細書において開示されたEVI1 siRNAの薬物動態パラメータに応じて変わる。例えば、臨床医は、所望の効果を達成する投与量が達せられるまでsiRNAを投与する。したがって、組成物は、単回用量として、または2以上の用量(同一量の所望の分子を含有する場合も、含有しない場合もある)として、経時的に、または移植装置もしくはカテーテルを介した連続注入として投与され得る。適当な投与量のさらなる微調整は、当業者によって日常的に行われ、彼らによって日常的に実施される課題の範囲内にある。適当な投与量は、適当な用量−応答データの使用によって確認され得る。
【0106】
本発明の医薬組成物の投与経路として、経口経路、静脈内、腹腔内、大脳内(柔組織内)、脳室内、筋肉内、眼内、動脈内、門脈内または病巣内経路による注射を介するもの;持続放出系によるもの、または移植装置によるものが挙げられる。医薬組成物は、ボーラス注射によって、または注入によって連続的に、または移植装置によって投与され得る。医薬組成物はまた、その上に所望の分子が吸収され、被包されているメンブレン、スポンジまたは別の適当な物質の移植を介して局所的に投与され得る。移植装置が使用される場合には、装置を任意の適した組織または器官中に埋め込むことができ、所望の分子の送達は、拡散、徐放性ボーラスまたは連続投与によるものであり得る。
【0107】
特定の実施形態では、本明細書において開示されたEVI1 siRNAまたは本発明のEVI1 siRNAを含む医薬組成物をex vivo法で使用することが望ましいものであり得る。このような場合には、患者から摘出された細胞、組織または器官が、本発明の医薬組成物または本明細書において開示されたsiRNAに曝露され、その後、続いて、細胞、組織および/または器官が患者に埋め戻される。
【0108】
本発明の医薬組成物は、単独またはその他の治療薬と組み合わせて、特に、その他のがん治療薬と組み合わせて投与され得る。このような薬剤は、一般に、放射線療法または化学療法を含む。化学療法は、例えば、以下の薬剤:アントラサイクリン、タキソール、タモキシフェン、ドキソルビシン、5−フルオロウラシルおよび当業者に公知のその他の薬物のうち1種または複数を用いる治療を含み得る。
【0109】
本発明のsiRNAを細胞中に導入することは、当技術分野で公知の、または本明細書に記載された任意の方法を使用して達成され得る。例えば、EVI1 siRNAの局所送達は、直接注射によって、またはその他の適当なウイルス性または非ウイルス性送達ベクターによって達成され得る(Hefti、1994年、Neurobiology 25巻:1418〜35頁)。例えば、EVI1ポリペプチドをコードする核酸分子は、標的とされる細胞への送達のためにアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター中に含有され得る(例えば、Johnson、PCT公開番号WO95/34670;PCT出願番号PCT/US95/07178参照のこと)。本発明の教示に従って使用される組換えAAVゲノムは、通常、機能性プロモーターおよびポリアデニル化配列と作動可能に連結した、EVI1 siRNAをコードするDNA配列に隣接するAAV逆方向末端反復配列を含有する。
【0110】
代替の適したウイルスベクターとして、それだけには限らないが、レトロウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、レンチウイルス、肝炎ウイルス、パルボウイルス、パポーバウイルス、ポックスウイルス、アルファウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルスおよびパピローマウイルスベクターが挙げられる。米国特許第5,672,344号には、組換え神経栄養性HSV−1ベクターを含むin vivoウイルス媒介性遺伝子導入系が記載されている。米国特許第5,399,346号は、治療タンパク質をコードするDNAセグメントを挿入するようin vitroで処理されたヒト細胞の送達によって患者に治療タンパク質を提供する方法の例を提供する。遺伝子療法技術を実施するためのさらなる方法および材料が、米国特許第5,631,236号(アデノウイルスベクターを含む)、同5,672,510号(レトロウイルスベクターを含む)および同5,635,399号(サイトカインを発現するレトロウイルスベクターを含む)に記載されている。
【0111】
非ウイルス性送達方法として、それだけには限らないが、リポソーム媒介性移動、裸のDNAの送達(例えば、直接注射による)、受容体媒介性移動(リガンド−DNA複合体)、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿および微粒子銃(例えば、遺伝子銃)が挙げられる。遺伝子療法材料および方法はまた、誘導プロモーター、組織特異的エンハンサー−プロモーター、部位特異的組込みのために設計されDNA配列、親細胞を上回る選択的利点を提供できるDNA配列、形質転換された細胞を同定するための標識、負の選択系および発現制御系(安全対策)、細胞特異的結合物質(細胞ターゲッティングのための)、細胞特異的内部移行因子およびベクターによる発現を増強するための転写因子ならびにベクター製造の方法も含み得る。遺伝子療法技術を実施するためのこのようなさらなる方法および材料は、米国特許第4,970,154号(エレクトロポレーション技術を含む)、同5,679,559号(遺伝子送達のためのリポタンパク質含有系を記載する)、同5,676,954号(リポソーム担体を含む)、同5,593,875号(リン酸カルシウムトランスフェクションのための方法を記載する)および同4,945,050号(生物学的に活性な粒子が、細胞で、粒子が細胞の表面を貫通し、細胞の内部に組み込まれるようになる速度で推進される(aye propelled)方法を記載する)およびPCT公開番WO96/40958(核リガンドを含む)に記載されている。
【0112】
以下の実施例は、上記の方法および有利な結果の特定の態様を例示する。以下の実施例は、例示として示されるものであって、制限としてではない。
【実施例】
【0113】
本明細書に記載される発明のために、EVI1の機能を混乱させるヌクレオチド分子が、in vivoで腫瘍量および腫瘍の大きさを低減するために使用される。EVI1は、がん細胞において過剰発現され、非がん性細胞では発現されない。例えば、EVI1は、雌の生殖器系の腫瘍において過剰発現される(
図4および5)。腫瘍組織(左)および隣接する正常組織(右)のホモジネートが、SomaPlex(商標)がん組織溶解物タンパク質マイクロアレイスライド(Gentel、Madison、WI)において、3連でポリビニルジフルオリドメンブレン上にスポットされている。アレイを、Cell Signalingから購入した抗EVI1モノクローナル抗体を用いてプローブした。スライバー(sliver)コーティングされたヤギ抗マウス二次抗体を使用して組織ホモジネート中のEVI1レベルを可視化した。各スポット中のEVI1タンパク質の量に相当する濃度測定容積を、写真スキャニングを使用して定量化し、相対発現が
図5に図で示されている。EVI1は、同一対象から得た隣接する正常組織と比較して、雌の生殖組織に由来する腫瘍サンプルにおいて高度に上昇していることがわかった。これらの結果は、EVI1の過剰発現は、組織の腫瘍化特性と関連しており、推定抗がん標的であることを示唆する。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイ:
PCRアッセイは、本明細書に記載されたsiRNA試薬の存在下でEVI1遺伝子発現の変化を検出するよう実施される。これらのアッセイのために、使用されるPCR反応条件は、60秒間95℃の融解温度;30秒間95℃、30秒間60℃および30秒間72℃で25〜30サイクルの熱サイクリングおよび60秒間72℃の伸長である。
【0114】
これらのアッセイでは、Fermentas GeneJETキットを使用して全RNAが単離される。定量的PCR(qPCR)は、標的特異的プローブおよびIDTから得られたプライマーを使用して実施される。EVI1およびβ−アクチンmRNAのプライマーおよびリポーターは、CloneManagerプログラムを使用して設計されている。フォワードおよびリバースプライマーの配列は、以下に示されている。PCR鋳型は、ThermoFisher Verso cDNA合成キットを使用して調製されている。すべてのqPCR試薬は、全RNAから作製したcDNAを使用して、3対数範囲の核酸濃度にわたって、サンプル濃度と増幅速度論間の直線関係を実証することによって検証されている。PCR反応にはTaqman Universal Master Mix(Fermentas)が使用され、増幅データは、ABI Prism 7900 Sequence Detectorを使用して集められ、ABI製のSequence Detection Systemソフトウェア(SDS V2.0)を使用して分析されている。特に断りのない限り、mRNAの存在量は、β−アクチンΔC
T=C
T標的−C
Tβ−アクチンに対する標準化によって算出され、未処理腫瘍細胞におけるmRNA存在量に対して較正されている(ΔΔCT=ΔC
TEVIRNAΔC
TsiGlo)。データは、HT−29中の個々のmRNAの存在量が1.0として表されるよう、2
−ΔΔCTとして表されている(ΔC
THT−29=0および2
−0=1.0)。結腸がん細胞中のEVI1 mRNAの存在量は、β−アクチンに対して標準化され、HFC細胞に対して較正されている。QPCR結果の統計分析は、Sigma Statのマンホイットニー順位和分析関数を使用して実施されている。
【0115】
【化1】
(実施例1)
本発明の好ましい実施形態では、EVI1阻害剤は、21bpの低分子干渉RNA(siRNA)である。EVI1発現をサイレンシングできる強力である可能性のあるsiRNAを同定するアルゴリズムを使用して、ヒトEVI1アイソフォームlb mRNAのコンピュータによる解析を実施した。siRNAが強力なEVI1下方制御因子を提供する、5種のコア標的配列が表1に示されている(配列番号2〜6)。これらの標的部位A(配列番号7〜8)、B(配列番号9〜10)、C(配列番号11〜12)、D(配列番号13〜14)およびE(配列番号15〜16)に対応するsiRNAが、表2に示されている。256コア(配列番号2)の周囲の着目された配列が表3に示されている(配列番号17〜56)。979コア(配列番号3)および992コア(配列番号4)の周囲の着目された配列が表4に示されている(配列番号57〜120)。2910コア(配列番号5)の周囲の着目された配列が表5に示されている(配列番号121〜160)。2994コア(配列番号6)の周囲の着目された配列が表6に示されている(配列番号161〜200)。
【0116】
表2中に示される5種のsiRNA二本鎖の各々を、50nMの濃度で卵巣腫瘍細胞の培養物中に入れた。試験された卵巣腫瘍細胞の特性が表4に示されている。手短には、5万〜10万個の腫瘍細胞を、6ウェルプレートの各ウェルに加え、表面に付着させ、10%ウシ胎仔血清を含有するDMEM培地中で18時間成長させた。2mlの総容量の培地中、1マイクロリットルのDharmaFECT(Thermo Scientific)試薬を使用して、合計100pmolの各siRNAを細胞に入れた。細胞をsiRNAとともに96時間インキュベートした。トリパンブルー排出染色後に、血球算定器を用いて細胞を計数することによって卵巣腫瘍細胞の生存力を評価した。結果が表5に示されている。5種の配列の各々が、少なくとも1種の卵巣腫瘍細胞株において生存細胞数を少なくとも40%低減させた(対照siRNA処理細胞と比較して)。
【0117】
(実施例2)
有効ながん治療薬である物質については、極めて低い濃度で頑強ながん死滅効果が必要であり、siRNAにとっては、細胞培養物中、ナノモル以下の濃度であると理解されよう。卵巣腫瘍細胞の成長を50%阻害したsiRNAの濃度(IC
50)は、培養中の同数の腫瘍細胞に、種々の用量レベルのsiRNAのうち1種を添加した96時間後に細胞生存力を測定することによって決定した。
図6Aは、ES−2細胞についてのsiEVI1−979(配列番号9〜10)のIC
50が、約2.5nMであり、siEVI1−2910(配列番号13〜14)のIC
50が、約0.5nMであることを示す。TOV−112D細胞については、siEVI1−979(配列番号9〜10)のIC
50は、約4nMであり、siEVI1−2910(配列番号13〜14)のIC
50は、約0.8nMである。さらに同定するために、卵巣腫瘍細胞の成長を阻害する強力な配列、siEVI1−2910(配列番号121〜160)の最大10bp上流および10bp下流の配列を調製し、DharmaFECTトランスフェクション試薬を使用して、2.5nMの濃度で、ES−2およびTOV−112D卵巣腫瘍細胞に投与した。
図7Aは、トランスフェクション対照に対するTOV−112D卵巣腫瘍細胞の成長阻害パーセントの結果を表す。siRNA配列(配列番号121〜124、127〜132、133〜136および137〜138)は、2.5nM以下の濃度で、TOV−112D卵巣腫瘍細胞の成長を阻害するとわかった。
図7Bは、トランスフェクション対照に対するES−2卵巣腫瘍細胞の成長阻害パーセントの結果を表す。siRNA配列(配列番号121〜126、129〜130、133〜142、147〜148および151〜152)は、2.5nM以下の濃度でES−2卵巣腫瘍細胞の成長を阻害するとわかった。
【0118】
(実施例3)
EVI1の強力なsiRNA阻害剤は、腫瘍中への直接注射後に、マウスにおいて腫瘍の成長を低減させることができる。siRNAの効力を評価するために、300万個の卵巣転移性腫瘍細胞を雌のヌードマウスに皮下に注射し、腫瘍を10日間にわたって成長させた。リポソームナノ粒子中に被包された1nmolのsiRNAを各々含有する10マイクロリットルの最大5回の注射を、腫瘍のすぐ下に、週に2回、3週間注射する。陰性対照としてスクランブルsiRNA配列を含有するナノ粒子を用いて、同様の腫瘍を有する等数のマウスに注射する。3週間の投薬の後に腫瘍を採取し、測定し、秤量する。強力なsiRNA種については、EVI1をターゲッティングするsiRNAを投薬したマウスにおける腫瘍は、スクランブルsiRNA配列を投薬されたものの平均して約10%の大きさの腫瘍を有すると思われる。これらの結果は、EVI1をターゲッティングするsiRNAの、抗がん療法としての有効性および効力の実証を提供する。腫瘍におけるEVI1の全体の発現は、例えば、抗EVI1抗体を用いてプローブされた腫瘍ホモジネートのウエスタンブロットによって明らかなように、70%超低減すると思われる。EVI1 mRNAの発現はまた、EVI1エキソン14の300bp領域を増幅するプライマーを用いたEVI1遺伝子発現の定量的PCR分析によって明らかなように、数倍減少すると思われる。
【0119】
(実施例4)
本発明の試薬の有効な実施形態については、siRNAは、ナノモル以下の濃度での腫瘍中への直接注射後に、マウスにおいて腫瘍の成長を低減させる。siRNAの効力を評価するために、300万個の卵巣転移性腫瘍細胞を、雌のヌードマウスに腹腔内に注入し、腫瘍を21日間成長させた。リポソームナノ粒子中に被包された100マイクロリットルの量の1nmol siRNAを、マウス尾静脈中に、週に2回、3週間注射する。陰性対照としてスクランブルsiRNA配列を含有するナノ粒子を用いて、同様の腫瘍を有する等数のマウスに注射する。3週間の投薬の後に腫瘍を採取し、測定し、秤量する。強力なsiRNA種については、EVI1をターゲッティングするsiRNAを投薬したマウスから得た腫瘍は、スクランブルsiRNA配列を投薬されたマウスから得たものの平均して約10%の大きさの腫瘍を有すると思われる。これらの結果は、EVI1をターゲッティングするsiRNAの、抗がん療法としての有効性および効力の実証を提供する。腫瘍におけるEVI1の全体の発現は、例えば、抗EVI1抗体を用いてプローブされた腫瘍ホモジネートのウエスタンブロットによって明らかなように、70%超低減すると思われる。EVI1 mRNAの発現はまた、EVI1エキソン14の300bp領域を増幅するプライマーを用いたEVI1遺伝子発現の定量的PCR分析によって明らかなように、数倍減少すると思われる。
【0120】
(実施例5)
本明細書に示されるように、低分子干渉RNA(siRNA)は、EVI1発現をサイレンシングできる強力である可能性のあるsiRNAを同定するアルゴリズムを使用して実施されるヒトEVI1アイソフォームlb mRNAのコンピュータによる解析から提供される。siRNAが強力なEVI1下方制御因子を提供する、5種のコア標的配列が表1に示されている(配列番号2〜6)。これらの標的部位A(配列番号7〜8)、B(配列番号9〜10)、C(配列番号11〜12)、D(配列番号13〜14)およびE(配列番号15〜16)に対応するsiRNAが、表2に示されている。256コア(配列番号2)の周囲の着目された配列が表3に示されている(配列番号17〜56)。979コア(配列番号3)および992コア(配列番号4)の周囲の着目された配列が表4に示されている(配列番号57〜120)。2910コア(配列番号5)の周囲の着目された配列が表5に示されている(配列番号121〜160)。2994コア(配列番号6)の周囲の着目された配列が表6に示されている(配列番号161〜200)。
【0121】
表2中に示される5種のsiRNA二本鎖の各々を、50nMの濃度で前立腺腫瘍細胞の培養物中に入れた。試験された前記前立腺腫瘍細胞の特性が表9に示されている。手短には、5万〜10万個の腫瘍細胞を、6ウェルプレートの各ウェルに加え、表面に付着させ、10%ウシ胎仔血清を含有するDMEM培地中で18時間成長させた。2mlの総容量の培地中、1マイクロリットルのDharmaFECT試薬を使用して、合計200ピコモルの各siRNAを細胞に入れた。細胞をsiRNAとともに96時間インキュベートした。トリパンブルー排出染色後に、血球算定器を用いて細胞を計数することによって前立腺腫瘍細胞の生存力を評価した。結果が表10に示されている。5種の配列の各々が、少なくとも1種の前立腺腫瘍細胞株において生存細胞数を少なくとも40%低減させた(対照siRNA処理細胞と比較して)。
【0122】
(実施例6)
有効ながん治療薬である物質については、極めて低い濃度で頑強ながん死滅効果が必要であり、siRNAにとっては、細胞培養物中、ナノモル以下の濃度であると理解されよう。前立腺腫瘍細胞の成長を50%阻害したsiRNAの濃度(IC
50)は、培養中の同数の腫瘍細胞に、漸増用量のsiRNAを添加した96時間後に細胞生存力を測定することによって決定した。
【0123】
(実施例7)
表2中に示される5種のsiRNA二本鎖の各々を、50nMの濃度で乳房腫瘍細胞の培養物中に入れた。試験された乳房腫瘍細胞の特性が表11に示されている。手短には、5万〜10万個の腫瘍細胞を、6ウェルプレートの各ウェルに加え、表面に付着させ、10%ウシ胎仔血清を含有するDMEM培地中で18時間成長させた。2mlの総容量の培地中、1マイクロリットルのDharmaFECT試薬を使用して、合計200ピコモルの各siRNAを細胞に入れた。細胞をsiRNAとともに96時間インキュベートした。トリパンブルー排出後に、血球算定器を用いて細胞を計数することによって乳房腫瘍細胞の生存力を評価した。結果が表12に示されている。5種の配列の各々が、少なくとも1種の卵巣腫瘍細胞株において生存細胞数を少なくとも40%低減させた(対照siRNA処理細胞と比較して)。
【0124】
(実施例8)
乳房腫瘍細胞の成長を50%阻害したsiRNAの濃度(IC
50)は、培養中の同数の腫瘍細胞に、漸増用量のsiRNAを添加した96時間後に細胞生存力を測定することによって決定した。
【0125】
(実施例9)
本発明の試薬の有効な実施形態については、siRNAは、ナノモル以下の濃度での腫瘍中への直接注射後に、マウスにおいて腫瘍の成長を低減させる。siRNAの効力をさらに評価するために、300万個の前立腺転移性腫瘍細胞を、雌のヌードマウスに皮下に注射し、腫瘍を10日間にわたって成長させた。リポソームナノ粒子中に被包された1nmolのsiRNAを各々含有する10マイクロリットルの最大5回の注射を、腫瘍のすぐ下に、週に2回、3週間注射した。陰性対照としてスクランブルsiRNA配列を含有するナノ粒子を用いて、同様の腫瘍を有する等数のマウスに注射した。3週間の投薬の後に腫瘍を採取し、測定し、秤量した。EVI1をターゲッティングするsiRNAを投薬したマウスにおける腫瘍は、スクランブルsiRNA配列を投薬されたものの平均して約10%の大きさの腫瘍を有していた。結果は、EVI1をターゲッティングするsiRNAの、抗がん療法としての有効性および効力を実証する。腫瘍におけるEVI1の全体の発現は、抗EVI1抗体を用いてプローブされた腫瘍ホモジネートのウエスタンブロットによって明らかなように、70%超低減した。EVI1 mRNAの発現はまた、EVI1エキソン14の300bp領域を増幅するプライマーを用いたEVI1遺伝子発現の定量的PCR分析によって明らかなように、数倍減少した。
【0126】
(実施例10)
siRNAの効力をさらに評価するために、300万個の前立腺転移性腫瘍細胞を、雌のヌードマウスに腹腔内に注入し、腫瘍を21日間にわたって成長させた。リポソームナノ粒子中に被包された100マイクロリットルの量の1nmol siRNAを、マウス尾静脈中に、週に2回、3週間注射した。陰性対照としてスクランブルsiRNA配列を含有するナノ粒子を用いて、同様の腫瘍を有する等数のマウスに注射した。3週間の投薬の後に腫瘍を採取し、測定し、秤量した。EVI1をターゲッティングするsiRNAを投薬したマウスから得た腫瘍は、平均すると、スクランブルsiRNA配列を投薬されたマウスから得たものの約10%の大きさであった。結果は、EVI1をターゲッティングするsiRNAの、抗がん療法としての有効性および効力を実証した。これらの腫瘍におけるEVI1の全体の発現は、抗EVI1抗体を用いてプローブされた腫瘍ホモジネートのウエスタンブロット分析によって明らかなように、70%超低減した。EVI1 mRNAの発現はまた、EVI1エキソン14の300bp領域を増幅するプライマーを用いたEVI1遺伝子発現の定量的PCR分析によって明らかなように、数倍減少した。
【0127】
(実施例11)
表2中に示される5種のsiRNA二本鎖の各々を、50nMの濃度で肺腫瘍細胞の培養物中に入れる。試験された肺巣腫瘍細胞の特性が表13に示されている。手短には、5万〜10万個の腫瘍細胞を、6ウェルプレートの各ウェルに加え、表面に付着させ、10%ウシ胎仔血清を含有するDMEM培地中で18時間成長させた。2mlの総容量の培地中、1マイクロリットルのDharmaFECT試薬を使用して、合計200ピコモルの各siRNAを細胞に入れる。細胞をsiRNAとともに96時間インキュベートする。トリパンブルー排出染色後に、血球算定器を用いて細胞を計数することによって肺腫瘍細胞生存力を評価する。5種の配列の各々が、少なくとも1種の卵巣腫瘍細胞株において生存細胞数を少なくとも40%低減させる(対照siRNA処理細胞と比較して)と思われる。
【0128】
(実施例12)
肺腫瘍細胞の成長を50%阻害したsiRNAの濃度(IC
50)は、培養中の同数の腫瘍細胞に、漸増用量のsiRNAを添加した96時間後に細胞生存力を測定することによって決定する。
【0129】
(実施例13)
siRNAの効力をさらに評価するために、300万個の肺転移性腫瘍細胞を、雌のヌードマウスに皮下に注射し、腫瘍を10日間にわたって成長させた。リポソームナノ粒子中に被包された1nmolのsiRNAを各々含有する10マイクロリットルの最大5回の注射を、腫瘍のすぐ下に、週に2回、3週間注射した。陰性対照としてスクランブルsiRNA配列を含有するナノ粒子を用いて、同様の腫瘍を有する等数のマウスに注射した。3週間の投薬の後に腫瘍を採取し、測定し、秤量した。EVI1をターゲッティングするsiRNAを投薬したマウスにおける腫瘍は、平均して、スクランブルsiRNA配列を投薬されたマウスの約10%の大きさであった。結果は、EVI1をターゲッティングするsiRNAの、抗がん療法としての有効性および効力を実証した。腫瘍におけるEVI1の全体の発現は、抗EVI1抗体を用いてプローブされた腫瘍ホモジネートのウエスタンブロットによって明らかなように、70%超低減した。EVI1 mRNAの発現はまた、EVI1エキソン14の300bp領域を増幅するプライマーを用いたEVI1遺伝子発現の定量的PCR分析によって明らかなように、数倍減少した。
【0130】
(実施例14)
siRNAの効力をさらに評価するために、300万個の肺転移性腫瘍細胞を、雌のヌードマウスに腹腔内に注入し、腫瘍を21日間にわたって成長させた。リポソームナノ粒子中に被包された100マイクロリットルの量の1nmol siRNAを、マウス尾静脈中に、週に2回、3週間注射した。陰性対照としてスクランブルsiRNA配列を含有するナノ粒子を用いて、同様の腫瘍を有する等数のマウスに注射した。3週間の投薬の後に腫瘍を採取し、測定し、秤量した。EVI1をターゲッティングするsiRNAを投薬したマウスから得た腫瘍は、平均すると、スクランブルsiRNA配列を投薬されたマウスから得たものの約10%の大きさであった。これらの結果は、EVI1をターゲッティングするsiRNAの、抗がん療法としての有効性および効力を実証した。これらの腫瘍におけるEVI1の全体の発現は、抗EVI1抗体を用いてプローブされた腫瘍ホモジネートのウエスタンブロットによって明らかなように、70%超低減した。EVI1 mRNAの発現はまた、EVI1エキソン14の300bp領域を増幅するプライマーを用いたEVI1遺伝子発現の定量的PCR分析によって明らかなように、数倍減少した。
【0131】
(実施例15)
表2中に示される5種のsiRNA二本鎖の各々を、50nMの濃度で結腸腫瘍細胞の培養物中に入れる。試験された結腸腫瘍細胞の特性が表14に示されている。手短には、5万〜10万個の腫瘍細胞を、6ウェルプレートの各ウェルに加え、表面に付着させ、10%ウシ胎仔血清を含有するDMEM培地中で18時間成長させた。2mlの総容量の培地中、1マイクロリットルのDharmaFECT試薬を使用して、合計200ピコモルの各siRNAを細胞に入れる。細胞をsiRNAとともに96時間インキュベートする。トリパンブルー排出染色後に、血球算定器を用いて細胞を計数することによって結腸腫瘍細胞生存力を評価する。5種の配列の各々が、少なくとも1種の卵巣腫瘍細胞株において生存細胞数を少なくとも40%低減させる(対照siRNA処理細胞と比較して)と思われる。
【0132】
(実施例16)
有効ながん治療薬である物質については、極めて低い濃度で頑強ながん死滅効果が必要であり、siRNAにとっては、細胞培養物中、ナノモル以下の濃度であると理解されよう。結腸腫瘍細胞の成長を50%阻害したsiRNAの濃度(IC
50)は、培養中の同数の腫瘍細胞に、漸増用量のsiRNAを添加した96時間後に細胞生存力を測定することによって決定した。
【0133】
(実施例17)
siRNAの効力をさらに評価するために、300万個の結腸転移性腫瘍細胞を、雌のヌードマウスに皮下に注射し、腫瘍を10日間にわたって成長させた。リポソームナノ粒子中に被包された1nmolのsiRNAを各々含有する10マイクロリットルの最大5回の注射を、腫瘍のすぐ下に、週に2回、3週間注射する。陰性対照としてスクランブルsiRNA配列を含有するナノ粒子を用いて、同様の腫瘍を有する等数のマウスに注射する。3週間の投薬の後に腫瘍を採取し、測定し、秤量する。EVI1をターゲッティングするsiRNAを投薬したマウスにおける腫瘍は、平均して、スクランブルsiRNA配列を投薬されたマウスから得た腫瘍の約10%の大きさであると思われる。結果は、EVI1をターゲッティングするsiRNAの、抗がん療法としての有効性および効力を実証すると思われる。腫瘍におけるEVI1の全体の発現は、例えば、抗EVI1抗体を用いてプローブされた腫瘍ホモジネートのウエスタンブロットによって明らかなように、70%超低減すると思われる。EVI1 mRNAの発現はまた、EVI1エキソン14の300bp領域を増幅するプライマーを用いたEVI1遺伝子発現の定量的PCR分析によって明らかなように、数倍減少すると思われる。
【0134】
(実施例18)
siRNAの効力をさらに評価するために、300万個の結腸転移性腫瘍細胞を、雌のヌードマウスに腹腔内に注入し、腫瘍を21日間にわたって成長させた。リポソームナノ粒子中に被包された100マイクロリットルの量の1nmol siRNAを、マウス尾静脈中に、週に2回、3週間注射する。陰性対照としてスクランブルsiRNA配列を含有するナノ粒子を用いて、同様の腫瘍を有する等数のマウスに注射する。3週間の投薬の後に腫瘍を採取し、測定し、秤量する。EVI1をターゲッティングするsiRNAを投薬したマウスにおける腫瘍は、平均して、スクランブルsiRNA配列を投薬されたマウスから得た腫瘍の約10%の大きさであると思われる。これらの結果は、EVI1をターゲッティングするsiRNAの、抗がん療法としての有効性および効力を実証すると思われる。腫瘍におけるEVI1の全体の発現は、例えば、抗EVI1抗体を用いてプローブされた腫瘍ホモジネートのウエスタンブロットによって明らかなように、70%超低減すると思われる。EVI1 mRNAの発現はまた、EVI1エキソン14の300bp領域を増幅するプライマーを用いたEVI1遺伝子発現の定量的PCR分析によって明らかなように、数倍減少すると思われる。
【0135】
(実施例19)
siRNAの効力をさらに評価するために、300万個の乳房転移性腫瘍細胞を、雌のヌードマウスに皮下に注射し、腫瘍を10日間にわたって成長させた。リポソームナノ粒子中に被包された1nmolのsiRNAを各々含有する10マイクロリットルの最大5回の注射を、腫瘍のすぐ下に、週に2回、3週間注射した。陰性対照としてスクランブルsiRNA配列を含有するナノ粒子を用いて、同様の腫瘍を有する等数のマウスに注射した。3週間の投薬の後に腫瘍を採取し、測定し、秤量した。EVI1をターゲッティングするsiRNAを投薬したマウスにおける腫瘍は、平均して、スクランブルsiRNA配列を投薬されたマウスから得た腫瘍の約10%の大きさであった。結果は、EVI1をターゲッティングするsiRNAの、抗がん療法としての有効性および効力を実証した。腫瘍におけるEVI1の全体の発現は、抗EVI1抗体を用いてプローブされた腫瘍ホモジネートのウエスタンブロットによって明らかなように、70%超低減した。EVI1 mRNAの発現はまた、EVI1エキソン14の300bp領域を増幅するプライマーを用いたEVI1遺伝子発現の定量的PCR分析によって明らかなように、数倍減少した。
【0136】
(実施例20)
siRNAの効力をさらに評価するために、300万個の乳房転移性腫瘍細胞を、雌のヌードマウスに腹腔内に注入し、腫瘍を21日間にわたって成長させた。リポソームナノ粒子中に被包された100マイクロリットルの量の1nmol siRNAを、マウス尾静脈中に、週に2回、3週間注射した。陰性対照としてスクランブルsiRNA配列を含有するナノ粒子を用いて、同様の腫瘍を有する等数のマウスに注射した。3週間の投薬の後に腫瘍を採取し、測定し、秤量した。EVI1をターゲッティングするsiRNAを投薬したマウスから得た腫瘍は、平均すると、スクランブルsiRNA配列を投薬されたマウスから得た腫瘍の約10%の大きさであった。これらの結果は、EVI1をターゲッティングするsiRNAの、抗がん療法としての有効性および効力を実証した。これらの腫瘍におけるEVI1の全体の発現は、抗EVI1抗体を用いてプローブされた腫瘍ホモジネートのウエスタンブロットによって明らかなように、70%超低減した。EVI1 mRNAの発現はまた、EVI1エキソン14の300bp領域を増幅するプライマーを用いたEVI1遺伝子発現の定量的PCR分析によって明らかなように、数倍減少した。
【0137】
(実施例21)
表2中に示される5種のsiRNA二本鎖の各々を、50nMの濃度で黒色腫腫瘍細胞の培養物中に入れる。試験された黒色腫腫瘍細胞の特性が表15に示されている。手短には、5万〜10万個の腫瘍細胞を、6ウェルプレートの各ウェルに加え、表面に付着させ、10%ウシ胎仔血清を含有するDMEM培地中で18時間成長させた。2mlの総容量の培地中、1マイクロリットルのDharmaFECT試薬を使用して、合計200ピコモルの各siRNAを細胞に入れる。細胞をsiRNAとともに96時間インキュベートする。トリパンブルー排出染色後に、血球算定器を用いて細胞を計数することによって黒色腫腫瘍細胞生存力を評価する。5種の配列の各々が、少なくとも1種の黒色腫腫瘍細胞株において生存細胞数を少なくとも40%低減させる(対照siRNA処理細胞と比較して)と思われる。
【0138】
(実施例22)
黒色腫腫瘍細胞の成長を50%阻害するsiRNAの濃度(IC
50)は、培養中の同数の腫瘍細胞に、漸増用量のsiRNAを添加した96時間後に細胞生存力を測定することによって決定する。
【0139】
(実施例23)
siRNAの効力をさらに評価するために、300万個の黒色腫転移性腫瘍細胞を、雌のヌードマウスに皮下に注射し、腫瘍を10日間にわたって成長させた。リポソームナノ粒子中に被包された1nmolのsiRNAを各々含有する10マイクロリットルの最大5回の注射を、腫瘍のすぐ下に、週に2回、3週間注射する。陰性対照としてスクランブルsiRNA配列を含有するナノ粒子を用いて、同様の腫瘍を有する等数のマウスに注射する。3週間の投薬の後に腫瘍を採取し、測定し、秤量する。EVI1をターゲッティングするsiRNAを投薬したマウスにおける腫瘍は、平均して、スクランブルsiRNA配列を投薬されたマウスから得た腫瘍の約10%の大きさであると思われる。結果は、EVI1をターゲッティングするsiRNAの、抗がん療法としての有効性および効力を実証すると思われる。腫瘍におけるEVI1の全体の発現は、例えば、抗EVI1抗体を用いてプローブされた腫瘍ホモジネートのウエスタンブロットによって明らかなように、70%超低減すると思われる。EVI1 mRNAの発現はまた、EVI1エキソン14の300bp領域を増幅するプライマーを用いたEVI1遺伝子発現の定量的PCR分析によって明らかなように、数倍減少すると思われる。
【0140】
(実施例24)
siRNAの効力をさらに評価するために、300万個の黒色腫転移性腫瘍細胞を、雌のヌードマウスに腹腔内に注入し、腫瘍を21日間にわたって成長させた。リポソームナノ粒子中に被包された100マイクロリットルの量の1nmol siRNAを、マウス尾静脈中に、週に2回、3週間注射する。陰性対照としてスクランブルsiRNA配列を含有するナノ粒子を用いて、同様の腫瘍を有する等数のマウスに注射する。3週間の投薬の後に腫瘍を採取し、測定し、秤量する。EVI1をターゲッティングするsiRNAを投薬したマウスから得た腫瘍は、平均すると、陰性対照としてスクランブルsiRNA配列を投薬されたマウスから得た腫瘍の約10%の大きさであると思われる。結果は、EVI1をターゲッティングするsiRNAの、抗がん療法としての有効性および効力を実証すると思われる。腫瘍におけるEVI1の全体の発現は、例えば、抗EVI1抗体を用いてプローブされた腫瘍ホモジネートのウエスタンブロット分析によって明らかなように、70%超低減すると思われる。EVI1 mRNAの発現はまた、EVI1エキソン14の300bp領域を増幅するプライマーを用いたEVI1遺伝子発現の定量的PCR分析によって明らかなように、数倍減少すると思われる。
【0141】
(実施例24)
siRNAの効力をさらに評価するために、300万個の黒色腫転移性腫瘍細胞を、雌のヌードマウスに腹腔内に注入し、腫瘍を21日間にわたって成長させた。リポソームナノ粒子中に被包された100マイクロリットルの量の1nmol siRNAを、マウス尾静脈中に、週に2回、3週間注射する。陰性対照としてスクランブルsiRNA配列を含有するナノ粒子を用いて、同様の腫瘍を有する等数のマウスに注射する。3週間の投薬の後に腫瘍を採取し、測定し、秤量する。EVI1をターゲッティングするsiRNAを投薬したマウスから得た腫瘍は、平均すると、スクランブルsiRNA配列を投薬されたマウスから得た腫瘍の約10%の大きさであると思われる。結果は、EVI1をターゲッティングするsiRNAの、抗がん療法としての有効性および効力を実証すると思われる。腫瘍におけるEVI1の全体の発現は、例えば、抗EVI1抗体を用いてプローブされた腫瘍ホモジネートのウエスタンブロットによって明らかなように、70%超低減すると思われる。EVI1 mRNAの発現はまた、EVI1エキソン14の300bp領域を増幅するプライマーを用いたEVI1遺伝子発現の定量的PCR分析によって明らかなように、数倍減少すると思われる。
【0142】
(実施例25)
表2中に示される5種のsiRNA二本鎖の各々を、50nMの濃度でHEL白血病細胞の培養物中に入れる。試験されたHEL白血病細胞の特性が表16に示されている。手短には、5万〜10万個のHEL細胞を、6ウェルプレートの各ウェルに加え、表面に付着させ、10%ウシ胎仔血清を含有するRPMI培地中で18時間成長させた。2mlの総容量の培地中、1マイクロリットルのDharmaFECT試薬を使用して、合計200ピコモルの各siRNAを細胞に入れる。細胞をsiRNAとともに96時間インキュベートする。トリパンブルー排出染色後に、血球算定器を用いて細胞を計数することによって白血病細胞生存力を評価する。5種の配列の各々が、少なくとも1種のHEL白血病腫瘍細胞株において生存細胞数を少なくとも40%低減させる(対照siRNA処理細胞と比較して)と思われる。
【0143】
(実施例26)
EVI1に感染した骨髄細胞を移植したC57BL/Ly5.2マウス(Buonamici、2004年)は、急性骨髄性白血病と同様の致死的骨髄異形成疾患を発生する。マウスを、ナノ粒子製剤中の抗EVI1 siRNAを用いて処理し、脾臓および骨髄におけるアポトーシスの程度ならびにTer119陽性骨髄細胞数を測定した。抗EVI1 siRNAを投与されているマウスは生存が延長し、Ter119細胞数が減少した。
【0144】
【表1】
【0145】
【表2】
【0146】
【表3】
【0147】
【表4-1】
【0148】
【表4-2】
【0149】
【表5-1】
【0150】
【表5-2】
【0151】
【表5-3】
【0152】
【表6-1】
【0153】
【表6-2】
【0154】
【表7】
【0155】
【表8】
【0156】
【表9】
【0157】
【表10】
【0158】
【表11】
【0159】
【表12】
【0160】
【表13】
【0161】
【表14】
【0162】
【表15】
【0163】
【表16】
前記の開示内容は、本発明の特定の具体的な実施形態を強調するが、すべての改変形態またはそれと均等な代替形態が、添付の特許請求の範囲に示される発明の趣旨および範囲内にあるということは理解されなくてはならない。
【0164】
【化2-1】
【0165】
【化2-2】
【0166】
【化2-3】