(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
量、持続時間などのような測定可能な値に関して言及する時に本明細書において使用される場合、「約」という用語は、その値の合理的な変動、例えば、特定された値から±10%などを含むように意図される。例えば、「約50%」という語句は50の±10%、すなわち45%〜55%を含み得る。
【0012】
本明細書において使用される場合、「被検体」という用語は、ヒトを含む温血動物、好適には哺乳類を含む。好適な実施形態において、被検体は霊長類である。またさらに好適な実施形態において、被検体はヒトである。
【0013】
化合物Aを使用して被検体の狼瘡を処置するための方法が提供される。化合物Aは[8−(4−メタンスルホニル−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−アミンという化学名を有するJAK2インヒビタである。化合物Aは下記の構造を有する。
【0015】
本発明において使用される化合物Aはプロドラッグを含む任意の適切な化学的形態で投与されてもよい。適切なプロドラッグは親化合物の薬学的に許容可能な塩の形態を含む。好適には、プロドラッグは投与後に親化合物(すなわち、化合物A)に転換する。本明細書において使用される通り、「薬学的に許容可能な塩」は親化合物の誘導体を指し、親化合物の誘導体においては、化合物の酸性塩または塩基塩を作ることによって化合物が変性させられる。薬学的に許容可能な塩の例は、塩基性アミン残基の鉱酸塩または有機酸塩を含むが、それらには限定されない。
【0016】
したがって、一実施形態において、化合物Aは親化合物の塩誘導体として投与される。一実施形態において、化合物Aは化合物Aの酸性塩として投与される。
【0017】
任意の適切な投与方法が使用されてもよい。例として、注入(皮下、静脈、非経口、腹腔内、髄腔内など)、経口、直腸、経粘膜、吸入、および経皮を含む。注入によって投与される時には、注入はボーラス投与または持続注入であり得る。
【0018】
化合物Aは、IV注入、または錠剤もしくはカプセルなどの経口投薬形態によって投与されるのが好ましい。例えば、化合物Aは無菌凍結乾燥粉末として提供されてもよく、無菌凍結乾燥粉末は、注入前に、例えば、注入のための無菌水、塩水溶液(NaCl)、またはマンニトール溶液で再構成されてもよい。したがって、一実施形態において、化合物Aは静脈(IV)注入によって投与される。別の実施形態において、化合物Aは経口投与される。一実施形態において、化合物Aは錠剤で経口投与される。別の実施形態において、化合物Aはカプセルで経口投与される。
【0019】
経口投与に関しては、化合物Aは当業者に周知の薬学的に許容可能な担体と化合物Aを組み合わせることによって容易に製剤化され得る。こうした担体は、化合物Aが、処置される被検体による経口摂取のために、錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリ、懸濁液、乳剤などとして製剤化されることを可能にする。経口使用のための薬学的製剤は、固体賦形剤と化合物Aを組み合わせ、選択的に、結果として生じる混合物を粉砕し、所望される場合には、錠剤または糖衣錠のコアを取得するために適切な補助剤を添加した後で顆粒の混合物を加工することによって取得されることができる。適切な賦形剤は、増量剤もしくは希釈剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、抗接着剤、流動促進剤、湿潤剤および界面活性剤、冷却剤および顔料、香味剤、甘味料、吸収剤、ならびに風味遮断剤を含む。
【0020】
希釈剤は典型的には、錠剤のサイズを増加させるために、わずかな量の活性薬物に添加される。最も一般的な希釈剤はラクトースであり、ラクトースはαラクトースまたはβラクトースという2つの異性体型で存在し、結晶質または非晶質のいずれかであり得る。様々な種類のラクトースは噴霧乾燥ラクトースモノハイドレート(例えば、Super−Tab(商標))、α−ラクトースモノハイドレート(例えば、Fast Flo(登録商標))、無水α−ラクトース、無水β−ラクトース、および凝集ラクトースを含む。他の希釈剤は、圧縮糖NF、デキストロース賦形剤NF、およびデキストレートNFなどの糖を含む。好適な希釈剤はラクトースモノアンヒドリド(例えば、FastFlo(登録商標))である。他の好適な希釈剤は微晶質セルロース(例えば、Aviccl(登録商標)PHおよびCoolus(商標))、および超微小セルロース(例えば、Elcema(登録商標))を含む。
【0021】
希釈剤はデンプンやデンプン誘導体を含んでもよい。デンプンは、小麦、とうもろこし、米、およびじゃがいもから取得された天然のデンプンを含む。他のデンプンは、事前にゼラチン化されたデンプンNF、およびデンプングリコール酸ナトリウムNFを含む。デンプンおよびデンプン誘導体は崩壊剤としても機能する。他の希釈剤は、2塩基性リン酸カルシウムUSP(例えば、Di−Tab(登録商標)およびEmcompress(登録商標))、3塩基性リン酸カルシウムNF(例えば、Tri−Tab(登録商標)およびTri−Cafos(登録商標))、および硫酸カリシウムNF(例えば、Compactrol(登録商標))などの無機塩を含む。マンニトールUSP、ソルビトールNF、およびキシリトールNFのようなポリオールもまた希釈剤として働いてもよい。多くの希釈剤が崩壊剤や結合剤としても機能し、これらの追加の特性は処方物を開発する時に考慮に入れられなければならない。
【0022】
崩壊剤は、錠剤を破壊して、薬学的な活性成分の粒子と賦形剤とにするために錠剤処方物に含まれ、賦形剤は活性成分の溶解を容易にすると共に活性成分のバイオアベイラビリティを高める。デンプンのカルボキシメチルエーテルの架橋ナトリウム塩(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムNF、Explotab(登録商標)、およびPrimogel(登録商標))を含むデンプンおよびデンプン誘導体が有用な崩壊剤である。好適な崩壊剤はStarch1500(登録商標)などの事前にゼラチン化されたデンプンである。別の好適な崩壊剤は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えば、クロスカルメロースナトリウムNF、Ac−Di−Sol(登録商標))である。他の崩壊剤は、架橋ポリビニルピロリドン(例えば、クロスポビドンNF)、微晶質セルロース(例えば、Avicel(登録商標)PH)を含む。
【0023】
結合剤は薬学的活性成分や他の賦形剤を凝集するための湿式造粒賦形剤として使用される。結合剤は粉末の流れを改善し成形性を改善するように選択される。結合剤は、微晶質セルロースNF、メチルセルロースUSP、カルボキシメチルセルロースナトリウムUSP、ヒドロキシプロピルメチルセルロースUSP、ヒドロキシエチルセルロースNF、およびヒドロキシプロピルセルロースNFなどのセルロース誘導体を含む。他の結合剤は、ポリビドン、ポリビニルピロリドン、ゼラチンNF、天然ガム(例えば、アカシア、トラガカント、グアー、およびペクチン)、デンプンペースト、事前にゼラチン化されたデンプンNF、スクロースNF、とうもろこしシロップ、ポリエチレングリコール、およびアルギン酸ナトリウム、アンモニウムカルシウムアルギネート、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ポリエチレングリコールを含む。好適な結合剤は、ポリビニルピロリドンであり、特にポリビドンUSPであり、好適にはポリビドンK−29/32である。
【0024】
潤滑剤は、パンチ面への錠剤の粘着を防ぐと共に圧縮段階の間に摩擦を減少させるために錠剤処方物において使用される。潤滑剤は典型的には、野菜油(例えば、コーン油)、鉱物油、ポリエチレングリコール(例えば、PEG−4000およびPEG−6000)、ステアリン酸の塩(例えば、ステアリン酸カルシウムおよびフマル酸ステアリルナトリウム)、鉱物塩(例えば、タルク)、無機塩(例えば、塩化ナトリウム)、有機塩(例えば、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、およびオレイン酸ナトリウム)、およびポリビニルアルコールを含む。好適な潤滑剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0025】
糖衣錠のコアは適切なコーティングを提供されてもよい。この目的のために、濃縮糖溶液が使用されてもよく、濃縮糖溶液は必要に応じて、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒または溶媒混合物を含んでもよい。染料または顔料は活性化合物の用量の異なる組み合わせを識別または特徴付けるために錠剤または糖衣錠のコーティングに添加されてもよい。
【0026】
経口的に使用されることができる薬学的製剤は、ゼラチンで作られた押込み式カプセルを含むだけでなく、ゼラチンと、グリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤とで作られたシールされた柔らかいカプセルを含む。押込み式カプセルは、ラクトースなどの増量剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、選択的に安定剤を有する混合物中に化合物Aを含むことができる。柔らかいカプセルにおいて、化合物Aは、脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中で溶解または懸濁させられてもよい。また、安定剤が添加されてもよい。経口投与のための処方物全てがこうした投与に適した用量のものであるべきである。
【0027】
口腔内投与に関して、組成物は従来の方法で処方された錠剤またはトローチ剤の形態をとってもよい。
【0028】
吸入による投与に関して、化合物Aは、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオルエタン、二酸化炭素、または他の適切な気体などの適切な高圧ガスを用いて、加圧パックまたは噴霧器からのエアロゾル噴霧提示の形態で送達されるのが便利である。加圧エアロゾルの場合、用量単位は測定した量を送達するための弁を提供することによって決定されてもよい。例えば、吸入具または吸入器における使用のためのゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、その化合物と、ラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末ベースとの粉末混合物を含んで処方されてもよい。
【0029】
化合物Aは、注入、例えば、ボーラス注入または持続注入による非経口投与のために処方されてもよい。注入のための処方物は、保存剤を添加された単位用量の形態、例えば、アンプルまたは多回投与容器で提示されてもよい。組成物は、油性または水性のビヒクル中の、懸濁液、溶液、または乳剤のような形態をとってもよく、懸濁剤、安定剤、および/または分散剤などの処方剤を含んでもよい。
【0030】
非経口投与のための薬学的処方物は水溶性形態の化合物Aの水溶液を含む。さらに、化合物Aの懸濁液は適切な油性注入懸濁液として調製されてもよい。適切な親油性溶媒またはビヒクルは、ごま油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームを含む。水性注入懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含んでもよい。選択的に、懸濁液は、高濃度溶液の調製を可能にするように化合物Aの可溶性を増加させる適切な安定剤または薬剤を含んでもよい。
【0031】
化合物Aは、使用前には、例えばピロゲンを含まない無菌水などの適切なビヒクルを用いた構成のために粉末の形態のものであってもよい。
【0032】
化合物Aはまた、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドなどの従来の座薬の基剤を含有する、座薬または停留浣腸などの直腸組成物に製剤化されてもよい。
【0033】
先に記載された製剤に加えて、化合物Aはまたデポ製剤として製剤化されてもよい。こうした長時間作用型製剤は、(例えば、皮下または筋肉内)植込みによって、または筋肉注射によって投与されてもよい。このように、例えば、化合物Aは、(例えば、許容可能な油中の乳剤としての)適切なポリマー材料または適切な疎水性材料、またはイオン交換樹脂と共に製剤化されたり、難溶性の誘導体、例えば、難溶性の塩として製剤化されたりしてもよい。
【0034】
リポソームと乳剤とは疎水性薬物に対する送達ビヒクルまたは担体の周知例である。ジメチルスルホイシドなどの特定の有機溶媒もまた利用されてもよいが、それらは通常非常に毒性があるという代償を伴う。さらに、化合物Aは治療剤を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスなどの徐放システムを使用して送達されてもよい。様々な形態の徐放性材料が確立されており、それらは当業者には周知である。徐放性カプセルは、それらの化学的性質に応じて、数時間から100日を超える期間の間、化合物Aを放出してもよい。
【0035】
薬学的組成物はまた適切な固相またはゲル相の担体または賦形剤を備えてもよい。こうした担体または賦形剤の例は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマーを含むが、それらには限定されない。
【0036】
化合物Aは、狼瘡を処置するために有効な量、すなわち、疾患の症状を妨げ、緩和し、または改善するために有効な量、処置される被検体の生存を延ばすために有効な量、および/または被検体における狼瘡関連バイオマーカに好ましい影響を与えるために有効な量で投与される。化合物Aの有効量の決定は本明細書において提供される詳細な開示や実施例を鑑みた当業者の能力の充分な範囲内である。有効量は、被検体の大きさ、狼瘡疾患の重篤度、投与の頻度(例えば、一日に複数回に対して一日一回)、化合物の投与の方法、被検体の健康状態や共存症の状態、(例えば、同じ薬物または同様な薬物を用いる)処方する医師の判断や経験、投与の方式、投与される剤形のバイオアベイラビリティ特性、選択された用法、および併用療法の種類(例えば、グルココルチコイド)などの要因に従って変化し得る。例えば、単独療法のための化合物Aの有効量は、化合物Aが他の狼瘡治療と組み合わせて共に使用される時に有効である化合物Aの量よりも多い用量であり得る。有効な用量はインビトロまたは動物モデルの試験系から導き出される用量反応曲線から推定されることができ、有効な用量は被検体の表面積または体重に基づいてもよい。
【0037】
化合物の最適な用量未満である少ない用量で処置を始めることができる。その後、現状で最適な効果に到達するまで、わずかな増分で用量を増加させることができる。一日分の総用量は、所望される場合には、その日の間に、ポーションに分割されて投与されてもよい。用法を最適化するために、化合物Aの有効性が処置を受けている被検体内の様々なバイオマーカに対する処置の効果をモニタリングすることによってモニタリングされることができる。有用なバイオマーカは本明細書の実施例に列挙されるものを含む(例えば、抗核抗体、IFNαおよびIL−12などのサイトカイン、タンパク尿、JAK2インヒビタなど)。狼瘡処置の有効性をモニタリングするために特に便利な2つのバイオマーカはタンパク尿および抗核抗体である。有効な用量の化合物Aは処置前のバイオマーカのレベルと比較して所望の方法でバイオマーカを変化させる(例えば、タンパク尿を減少させ、抗核抗体を減少させ、pSTAT3を減少させるなどである)。こうして、化合物Aの有効な用量は、少ない用量で開始して、これらのバイオマーカのうちの1つ以上をモニタリングしながら徐々に増やすことによって最適化されることができる。概して、治療を開始する前に患者からのバイオマーカ(例えば、タンパク尿または抗核抗体)の最初の評価と、処置の間の異なる時点における1つ以上の追加の評価とを取得することが好ましい。こうした用途において、治療前のベースライン決定が決定され、それからバイオマーカ(例えば、タンパク尿または抗核抗体)の変化が治療の流れの間に決定される。あるいは、2つ以上の連続した決定が処置前ベースライン測定を必要とすることなく処置の間に行われることができる。こうした用途においては、バイオマーカ(例えば、タンパク尿または抗核抗体)の最初の評価が、レベルが増加しているか、または減少しているかを決定するためのベースラインレベルとして被検体から行われるべきである。
【0038】
好適な実施形態において、化合物Aを用いた処置を受けている被検体は狼瘡疾患と関連付けられる1つ以上のバイオマーカの望ましい変化を経験する。狼瘡と関連付けられる適切なバイオマーカは、リンパ腺腫、脾腫、脾臓の白血球数、血清IL−12、血清C3、腎臓糸球体細胞充実度、腎臓間質浸潤、腎臓pSTAT3、脾臓形質細胞、血清抗核抗体、血清抗dsDNA抗核抗体、血清IFNα、タンパク尿、肺浸潤物、血清IL−17A、血清IL−6、血清CCL3/MIP−1α、血清CXCL10/IP−10、血清CXCL9/MIG、血清IL−4、血清IL−13、血清TNFα、血清KC/IL−8、および血清CTxを含む。したがって、一実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間にリンパ腺腫の減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に脾腫の減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に脾臓の白血球数の減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に血清IL−12の減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に血清C3の増加を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に腎臓糸球体細胞充実度の減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に腎臓間質浸潤の減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に腎臓pSTAT3の減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に脾臓間質細胞の減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に血清抗核抗体の減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に血清抗ds−DNA抗核抗体の減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に血清INFαの減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間にタンパク尿の減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に肺浸潤物の減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に血清IL−17Aの減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に血清IL−6の減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に血清CCL3/MIP−1αの減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に血清CXC10/IP−10の減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に血清CXC9/MIGの減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に血清IL−4の減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に血清IL−13の減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に血清TNFαの減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に血清KC/IL−8の減少を経験する。別の実施形態において、被検体は化合物Aを用いた処置の間に血清CTxの減少を経験する。
【0039】
化合物Aの投与レジメンは、剤形の薬物動態、処置または阻害される狼瘡症状の種類、被検体の大きさ、狼瘡疾患の重篤度、および有効用量などの要因に従って変化し得る。化合物Aの投与のタイミングは、上記の考慮や本発明の詳細な開示を鑑みて有効性を最適化したり副作用を最小化したりするように、処置する医師によって容易に変更されることができる。
【0040】
本発明に従った化合物Aに対する投薬スケジュールには広い柔軟性がある。特定の実施形態において、特定の実施形態において、投薬スケジュールは他のJAKインヒビタに適していることが公知の投薬スケジュールから適合させられることができる。例えば、JAKインヒビタであるタソシチニブ(CP−690550)やINCB028050がそれぞれ、二日ごとに5mg〜30mgの用量、または一日ごとに4mg〜10mgの用量で関節リウマチに有効であることが示された(Coombs、J.H. et al、2010;www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ACR/23308)。従来技術のJAKインヒビタが関節リウマチを処置するために使用され、狼瘡を処置するために使用されなかったとしても、比較は可能である。なぜならば、有効なJAKインヒビタは両方の疾患を処置する能力があるからである。
【0041】
化合物Aは任意の適切な用量で投与されてもよい。一実施形態において、化合物Aは体重1kg当たり約0.01mg〜約1gの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは体重1kg当たり約0.1mg〜約200mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは体重1kg当たり約1mg〜約500mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは体重1kg当たり約1mg〜約100mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは体重1kg当たり約10mg〜約200mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは体重1kg当たり約10mg〜約100mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは体重1kg当たり約25mg〜約150mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは体重1kg当たり約50mg〜約100mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは体重1kg当たり約55mg〜約100mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは体重1kg当たり約1mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは体重1kg当たりの約5mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは体重1kg当たり約10mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは体重1kg当たり約50mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは体重1kg当たり約100mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは約0.1mg〜約1gの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは約0.5mg〜約500mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは約1mg〜約100mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは約5mg〜約50mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは約5mg〜約30mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは約5mg〜約20mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは約1mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは約5mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは約10mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは約20mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは約30mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは約40mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは約50mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは約100mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物Aは約200mgの用量で投与される。上記の用量は化合物Aを投与するあらゆる方法に適し、特に経口投薬に適している。
【0042】
化合物Aは任意の適切なスケジュールに従って上記の用量で投与されてもよい。化合物Aの投薬量は一定であるか、または投薬スケジュールの範囲内で変化されるかであり得る。(a)所望のバイオマーカの変化が観察されない場合、または(b)顕著な薬物関連毒性が観察される場合でなければ、化合物Aの用量は、スケジュールの間、一定のレベルで維持されてもよく、(a)の場合には、次の用量が例えば約20%〜30%だけ増加させられることができ、(b)の場合には、次の用量が例えば約20%〜30%だけ減少させられることができる。適切な化合物Aのスケジュールは典型的には月一回の投薬から一日に複数回の投薬の範囲である。好適な実施形態において、化合物Aは一日一回投与される。別の実施形態において、化合物Aは週一回投与される。別の実施形態において、化合物Aは一日に二回投与される。別の実施形態において、化合物Aは一日に三回投与される。別の実施形態において、化合物Aは一日に四回投与される。
【0043】
1つ以上の追加の狼瘡処置を化合物Aの投与と組み合わせて使用することができる。こうした処置は狼瘡薬剤を含み、狼瘡薬剤は、グルココルチコイド、ヒドロキシクロロキン、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、アザチオプリン(AZA)、およびシクロホスファミド(CTX)を含むが、それらには限定されない。これらの薬剤の適切な用量は当該分野において周知である。
【0044】
材料および方法
動物
狼瘡になりやすい6週齢のメスのMRL/lpr(Jackson Labs、第000485号)のマウスと狼瘡になりにくい対照のMRL/Mpj(Jackson Labs、第000486号)のマウスとを生後6週間でJackson Laboratories(メイン州Bar Harbor)から取得した。SLEになりやすい自然発症NZBWF1/J(NZM)(カタログ番号第100008号)のメスのマウスと(実験の時間からの範囲内で)狼瘡になりにくいNZW/LacJ(カタログ番号第001058号)のメスのマウスとを生後15週間でJackson Laboratories(メイン州Bar Harbor)から取得した。全てのマウスを24時間の明暗周期で維持し、食料や水を自由裁量で入手可能にした。全ての実験動物の手順は、Cephalon,IncのInstitutional Animal Care and Use Committee(IACUC)の規制、承認されたIACUCプロトコルの第03−040号および第03−03−041号によって承認され、そしてそれらに従った。
【0045】
MRL/lprマウスは、一次リンパ組織と二次リンパ組織とにおける自己反応性T細胞および自己反応性B細胞の適切なアポトーシスを妨げる不活性Fas分子(中枢性寛容機構と末梢性寛容機構との両方における欠陥)によって迅速なリンパ増殖性疾患にかかる。この障害のある寛容機構により、末梢に入る全T細胞および全B細胞のうちの一定の割合が、自己タンパク質/組織に反応する可能性が高いので、若年期に自己免疫を起こす。MRL/lprモデルのマウスはいくつかの慢性炎症疾患の様な症状にかかり、それらは、抗核抗体の発生、関節炎、皮膚科的兆候、タンパク尿をもたらし最終的に死をもたらす免疫複合体媒介性糸球体腎炎を含む早期狼瘡および末期狼瘡の特性である。あまり特徴付けられていない現象はCNSおよび心臓の症状であり、それらの両方ともヒトにおいてはより一般的である。これまでの最適化の研究や妥当性の研究が、疾患は罹患したMRL/lpr動物だけに現れ、対照マウスであるMRL/Mpには現れないことと、抗核抗体(ANA)が第4週から第12週の間に迅速に形成し、第18週から第25週程度でループス腎炎の発症をもたらし、タンパク尿が存在することとを明らかに示した。致死率はメスにおいて高く、生後約25週間で生じ、直腸疾患は、糸球体腎炎、糸球体浸潤物、硬化症、および血管炎を含む。皮膚炎と関連付けられる脾腫とリンパ腺腫との両方もまた観察されることができる。
【0046】
NZM種は遺伝的な進行性全身性紅斑性狼瘡(SLE)のマウスモデルとして働く。NZMマウスにおける疾患の展開は異常なポリクローナルB細胞活性によって特徴付けられ、DNAや他の核抗原に対する自己抗体、および細胞骨格タンパク質に対する自己抗体を含む様々な自己抗体を多く作り出す。循環する免疫複合体の増加が高齢のマウスにおいて致命的な糸球体腎炎をもたらし得る。
【0047】
化合物A
化合物Aを以下で記載される5工程の方法と類似した方法で調製した(国際出願第PCT/US01/37363号の実施例35を参照されたい)。
【0048】
工程1:メタノール(約25mL)中の1−(3−ブロモ−フェニル)−ピペラジン(約1g)と酢酸(約0.4mL)との溶液に水/メタノール中で37%のホルムアルデヒド(約56.7:37:6.3、水:ホルムアルデヒド:メタノール、約5mL)を添加する。混合物を約18時間室温で攪拌する。懸濁液を氷/水浴中で約5℃に冷却し、シアノ水酸化ホウ素ナトリウム(約5g)を小分けにして添加する。混合物を攪拌して約18時間室温まで温める。混合物を飽和含水塩化アンモニウム(約200mL)の中にゆっくりと注ぎ、約1時間攪拌する。混合物をジクロロメタンで抽出する(約75mLで3回)。組み合わされた有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過して蒸発させる。1−(3−ブロモ−フェニル)−4−メチル−ピペラジンを淡黄色油(約1g)として生じさせるように、材料を約18時間高真空下に置く。
1H NMR(400MHz,CDCl
3,δ,pm):7.10(dd,=8.2,8.2Hz,1H),7.04(dd,J=2.1,2.1Hz,1H),6.95(ddd,J=7.8,1.7,0.7Hz,1H),6.83(ddd,J=8.3,2.4,0.6Hz,1H),3.23−3.18(m,4H),2.58−2.54(m,4H),2.35(s,3H).MS=255,257(MH)+。
【0049】
工程2:1,4−ジオキサン(約100mL)中の3−ブロモ−ピリジン−2−イルアミン(約10g)の溶液にエトキシカルボニルイソチオシアネート(約7mL)を滴下添加する。混合物を約18時間窒素雰囲気の下で攪拌する。揮発性物質を蒸発させて、ろう様固体を生じさせる。回収した材料をヘキサン(約250mL)で圧潰する。N−(3−ブロモ−2−ピリジニル)−N’−カルボエトキシ−チオ尿素を単離し、さらに精製することなく使用する。
1H NMR(400MHz,(D
3C)
2SO,δ,ppm):11.46(s,1H),11.43(s,1H),8.49(dd,J=4.6,1.5Hz,1H),8.18(dd,J=8.0,1.5Hz,1H),7.33(dd,J=8.0,4.7Hz,1H),4.23(q,J=7.1Hz,2H),1.27(t,J=7.2Hz,3H).MS=215(MH)+。
【0050】
工程3:メタノール(約70mL)とエタノール(約70mL)との混合物中のヒドロキシルアミンヒドロクロリド(約17g)とN,N−ジイソプロピルエチルアミン(約26mL)との攪拌した懸濁液にN−(3−ブロモ−2−ピリジニル)−N’−カルボエトキシ−チオ尿素を添加する。混合物を室温で約2時間攪拌して約18時間約60℃に加熱する。懸濁液を室温まで冷却し、濾過し、そしてメタノールですすぎ、水ですすぎ、それからメタノールですすぐ。8−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミンをオフホワイト固体(約8g)として単離する。
1H NMR(400MHz,(D
3C)
2SO,δ,ppm):8.58(d,J=6.4Hz,1H),7.73(d,J=7.6Hz,1H),6.80(t,J=7.0Hz,1H),6.25(s,2H).MS=213,215(MH)+。
【0051】
工程4:オーブン乾燥チューブを酢酸パラジウム(約0.2g)とトリフェニルホスフィン(約0.6g)で満たす。チューブを高真空下から取り除き、約5分間窒素流の下でバックフラッシュする。1,4−ジオキサン(約10mL)などの適切な溶媒を添加し、混合物を適切な時間(例えば、約10分間)窒素の下で攪拌する。8−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミン(約0.75g)と、(4−メチルスルホニルフェニル)ボロン酸(約1g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(約10mL)などの適切な溶媒と、水(約10mL)中で約1.5Mの炭酸ナトリウムなどの適切な塩基とを添加する。窒素の下で約2分間室温で混合物を攪拌して、チューブをシールし、約18時間約80℃で加熱した。混合物を丸底フラスコに移し、揮発性物質を減圧下で蒸発させる。製品を適切な方法で単離する。例えば、水(約100mL)を添加して混合物を攪拌してもよい。次に濾過によって固体を収集し、選択的に水ですすぎ、空気乾燥させ、エーテル/ジクロロメタン(約4:1、約10mL)で圧潰し、濾過してエーテルですすいでもよい。8−(4−メタンスルホニル−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミンを黄褐色固体(約0.6g)として単離する。MP=236〜239℃。
1H NMR(400MHz,(D
3C)
2SO,δ,ppm):8.63(d,J=6.3Hz,1H),8.38(d,J=7.9Hz,2H),8.03(d,J=7.9Hz,2H),7.84(d,J=7.3Hz,1H) 7.03(t,J=7.0Hz,1H),6.21(br s,2H),3.28(s,3H).MS=289(MH)+。
【0052】
工程5:オーブン乾燥チューブに酢酸パラジウム(約10mg)と、2,2’−ビス−ジシクロヘクシルホスファニル−ビフェニル(約30mg)と、8−(4−メタンスルホニル−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミン(約75mg)、1−(3−ブロモ−フェニル)−4−メチル−ピペラジン(約80mg)、炭酸セシウムなどの適切な塩基(約270mg)と、1,4−ジオキサンなどの適切な溶媒(約5mL)を添加する。チューブを取り外し、窒素で三回バックフラッシュする。チューブをシールし、約72時間80℃で加熱する。混合物を室温まで冷却し、製品を適切な方法で単離する。例えば、冷却した混合物をジクロロメタン(約10mL)で希釈し、珪藻土のプラグを通して濾過し、ジクロロメタンですすぎ、蒸発させてもよい。次に、例えばISCO自動生成装置(例えば、アミン変性シリカ・ゲル・カラムでは、ヘキサン中で5%から100%のエチルアセテート)を使用して、例えば、クロマトグラフィを介して材料を精製してもよい。[8−(4−メタンスルホニル−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−アミン(すなわち、化合物A)を黄色固体(約0.07g)として単離する。MP=232〜234℃。
1H NMR(400MHz,CDCl
3,δ,ppm):8.49(d,J=7.2Hz,1H),8.2(d,J=7.5Hz,2H),8.08(d,J=7.9Hz,2H),7.65(d,J=7.7Hz,1H),7.38(s,1H),7.27−7.20(m,1H),7.04−6.95(m,2H),6.84(s,1H),6.60(d,J=8.0Hz,1H),3.30−3.25(m,4H),3.10(s,3H),2.63−2.58(m,4H),2.38(s,3H).MS=463(MH)+。
【0053】
フローサイトメトリ
フローサイトメトリに使用される抗体は、抗マウスCD138−APC(eBioscience、カリフォルニア州San Diego)と、抗マウスCD19−FITC(eBioscience、カリフォルニア州San Diego)と、抗マウスCD38−PE(eBioscience、カリフォルニア州San Diego)と、抗マウスCD45R/B220−Cyc(eBioscience、カリフォルニア州San Diego)と、ラットIgG
1−APCアイソタイプ対照(eBioscience、カリフォルニア州San Diego)と、ラットIgG
2a−PEアイソタイプ対照(eBioscience、カリフォルニア州San Diego)とから成った。AccuriC6フローサイトメータを使用して全てのサンプルを分析した。全てのElispot実験に対する脾細胞のエキソビボ培養を含む全ての実験に対して完全培地を使用した。完全培地は、RPMI1640(Cellgro、バージニア州Manassas)に加えて、1%のPen−Strep(Cellgro、バージニア州Manassas)、1%のL−Gln(Cellgro、バージニア州Manassas)、1%のNEAA(Cellgro、バージニア州Manassas)、β−ME(Cellgro、バージニア州Manassas)に加えて、10%のFBS(Cellgro、バージニア州Manassas)から成った。
【0054】
先に公開された報告書(Neubert、Meister et al.、2008)において使用されたように、洗浄したRCB溶解脾細胞を形質細胞マーカの目的で染色した。本明細書において使用される場合、「形質細胞」という用語は下記の免疫表現型の定義を指す。MRL/lprモデルに対する生きたCD19陰性、CD45R/B220陰性、CD138陽性、CD38陽性の結果として形質細胞を定義した。チューブ/サンプル当たりで合計200,000〜500,000の結果を収集した。不充分なサンプルは骨髄における形質細胞の決定を限定した。フロー染色プロトコルは以下の通りであった。簡潔に言うと、完全培地(上で定義済み)と、抗CD19−FITC抗体、抗CD38−PE抗体、抗CD45R/B220−Cyc抗体、および抗CD138−APC抗体を有する2.5μgの抗CD16/CD32(FcBlock)とに細胞を懸濁した。氷の上での染色後20分で、サンプルを洗浄して固定した。以下で記載される通り、整合した適切なアイソタイプを用いて全てのサンプルを複製した。
【0055】
血清サイトカインサンプルのLuminex分析
サイトカイン分析のための血清サンプルの処理のために、−80℃の凍結した血漿を氷上で解凍し、ボルテックスし、デブリや凝集物を取り除くために10分間遠心分離した。製造元の指導に従ってLuminex(登録商標)アッセイのために合計25μL〜50μLの血清を使用した。マウスサイトカイン10−plexビーズキット(Invitrogen、カリフォルニア州Carlsbad、第LMC0001号)を使用して10種類の異なるマウスサイトカインを測定した。簡潔に言うと、200μLの洗浄溶液(キットの構成要素)でフィルタプレート(Millipore、メイン州Billerica、第MAIPSWU10号)を事前に濡らし、ウェルごとに25μLのビーズを添加した。血清サンプルを希釈し、50μLの合計量(すなわち、製造元によって提供されるような25μLのアッセイ希釈剤に加えた25μLのサンプル血清)をウェルごとに添加した。ビーズを有するプレートを暗闇でオービタルシェーカ上で室温(RT)で2時間インキュベートした。インキュベーションの終わりに、キットのバッファ中でプレートを二回洗浄し、キットと共に提供されたビオチン希釈剤中に1:10(100μL)の希釈度で二次ビオチン化抗体を添加した。暗闇で室温で一時間プレートをインキュベートして、キットのバッファ中で二回洗浄した。アッセイ希釈剤中のストレパビジンをウェルごとに100μLで添加して、暗闇で室温で30分インキュベートした。プレートを三回洗浄して、100μLのキットの洗浄溶液を添加し、暗闇で室温で2分〜3分間かき混ぜた。データ獲得分析ソフトウェアを有するLuminex xMAP200装置(Invitrogen、カリフォルニア州San Diego、第MAP0200号)上で、このインキュベーション期間の直後にプレートを走らせた。真空マニフォルド装置(Pall、ミシガン州Ann Arbor、第5017号)を使用して全てのビーズ洗浄を行った。全てのサイトカインLuminexアッセイに関して、基準に沿った最低点または製造元によって設定された検知の限界を下回る値を範囲外と考え、推測しなかったが、特定のアッセイに対する標準曲線に沿って最低点を想定した。
【0056】
尿分析
全タンパク質の回収と分析とのために尿サンプルを酸沈殿させた。充分な尿が残されたサンプルをUristix(登録商標)白血球尿分析(MRL/lpr調査のみ)のために使用した。簡潔に言うと、標準的なタンパク質溶液を正常なマウス血清から調製し、混濁度によるマウスタンパク尿アッセイのための基準として使用した。標準的な調製は以下のとおりであった。0μL、5μL、10μL、15μL、20μL、30μL、40μL、および50μLの、キットにおいて提供された場合、4mg/mLのマウス血清標準タンパク質溶液を全く同様に2つのカラムに添加した。最終的な量を50μLに調節するために個々のウェルにPBSを添加した。尿サンプルの調製のために、卓上微小遠心分離器を使用して3分間9880×gで尿サンプルを遠心分離した。尿の上清(1μL〜50μL)を全く同様に添加した。合計50μLに量を調節するためにPBSを添加した。懸濁度アッセイのために、空のカラムの中に25μLの0.1NのHClを添加し、テストカラムの中に250μLの3%のスルホサリチル酸を添加した。10分間室温でマイクロプレートをインキュベートし、450nmの単一ビームを有するELISAリーダを使用してプレートを読み取った。Uristix(登録商標)ストリップアッセイのために、ストリップを並べてラベル付けした。20マイクロリットルの尿を各テストストリップの正方形上に配置し、結果を記録する前に少なくとも30秒インキュベートした。全尿分析プレートに基づいた全てのアッセイに関して、基準に沿った最低点または製造元によって設定された検知の限界を下回る値を範囲外と考え、推測しなかったが、その特定のアッセイに対する標準曲線に沿って最低点を想定した。
【0057】
組織構造
組織構造分析のために、左腎および肺(NZMモデルのみ)を各動物から取り出し、オービタルロッカ上で48時間25℃で10%緩衝中性10%ホルマリン(EMD)中に固定して、dH
2Oを流して一晩洗浄し、処理する準備が整うまで4℃で70%エタノール中に保存した。組織構造分析に使用される腎臓染料は、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)と、過ヨウ素酸シッフ(PAS)と、トリクロム染色(Wistar Institute、ペンシルバニア州Philadelphia)とを含んだ。病理学者が3つ全ての染色切片を採点の目的で使用した。組織構造の採点の全てが独立委員会の認定を受けた獣医学病理学者によって盲検で行われた(Julie Engiles、VMD、DACVP;University of Pennsylvania)。得点値を決定するために複数の染料を使用した。
図8、
図19、および
図20の画像は、病理学者によって盲検で選択された切片の最も悪い影響を受けた範囲を示す。
【0058】
腎臓IC−GN採点方法(Smith、Dong et al.、2007)
1.糸球体細胞充実度−得点1−5:ゼロ、低度、中度、高度、重度
2.糸球体壊死−得点1−5:ゼロ、低度、中度、高度、重度
3.糸球体硬化症−得点1−5:ゼロ、低度、中度、高度、重度
4.間質浸潤−得点1−5:ゼロ、低度、中度、高度、重度
5.尿細管萎縮−得点1−5:ゼロ、低度、中度、高度、重度
6.間質線維症−得点1−5:ゼロ、低度、中度、高度、重度
7.血管炎−得点1−5:ゼロ、低度、中度、高度、重度
特定の病理学者の定義
・「壊死」を示す、糸球体係蹄内の核デブリ/核濃縮の存在によって壊死を定義した。多くのサンプルにおいて、これは糸球体係蹄のほんのわずかの部分だけの非常に軽く珍しい発見であった。PAS陽性トリクロム陰性材料の壊死によって糸球体係蹄の消失も考えられた。
【0059】
・糸球体係蹄または糸球体嚢の中の繊維増殖または線維症の増加によって糸球体壊死を定義した。時には糸球体壊死は糸球体変化の「最終段階」と考えられるが、本明細書においては、糸球体壊死は糸球体「壊死」として「活性」な進行性線維症を示す糸球体壊死として分類される。
【0060】
・腎尿細管上皮の内腔直径および/または平坦化の増加、または細管の脱落によって尿細管萎縮を分類した。
【0061】
・炎症性浸潤物として間質浸潤を考えた。
【0062】
・血管炎−非炎症性(変性/増殖性)の脈管の病状を考慮に入れるためのより緩やかな血管炎の定義。脈管変化の大部分は軽く、平滑筋細胞の増殖と細胞外マトリックスのヒアリン化とによって特徴付けられる「動脈硬化」と考えられることができた。この変化は糸球体の病状に付随する高血圧を反映することがあり得る。非常にわずかの動物において、あきらかな血管炎が存在した。大部分の炎症性の変化は血管壁の範囲内であり、上皮には損傷がほとんどないか、または全くなく、明らかな出血/フィブリンの漏れもなかった。多くの炎症性の変化は繊維芽細胞の血管周囲縁も有する。
【0063】
薬力学(PD)分析
118日目(NZMモデル)または98日目(MRL/lprモデル)に最後の用量の投与後三時間で脾臓と腎臓とを収集し、冷却したイソペンテンを用いてドライアイス上で急速冷凍し、−80℃で保存した。溶解した脾臓と腎臓とを下記のプロトコルを使用して処理した。組織抽出試薬I(Invitrogen、第FNN0071号)中のプロテアーゼ・インヒビタ・カクテル(Calbiochem、第539136号)とHaltホスファターゼ・インヒビタ・カクテル(Thermo scientific、第78420号)またはRocheホスファターゼ・インヒビタ・カクテル(Roche、第04906837001号)とを組み合わせることによって調製した、700マイクロリットルの「組織抽出バッファ」を各サンプルに添加した。PT 10−35 Polytronホモジナイザ(VWR、第97036−082号)を使用してサンプルを均質化して凍結した。均質化の後、10分間2000×gで4℃にてサンプルを遠心分離し、15分間14,000×gの最高速度で4℃にて上清を再遠心分離した。脂質/脂肪のデブリの上部層を取ることを避けるために注意深く上清を取り除いた。BCAタンパク質アッセイ(Pierce、第83228号)を使用してタンパク質濃度を3mg/mlに調節した。Luminex(登録商標)3−plexビーズキット(Invitrogen)を使用して脾臓JAK/STAT(pSTAT1/3/5a/b)の活動を分析した。製造元の指示に従って両アッセイを行った。
【0064】
薬物動態(PK)分析
化合物濃度を決定するための定量分析のために、血漿サンプル、腎臓サンプル、および脾臓サンプルを提出した。ヘパリン化チューブの中に血液サンプルを収集し、血漿を分離するために遠心分離(16,000×g、5分間)するまで氷の上に配置した。分析の間、上清を収集し、−20℃で保存した。分析の時に、内部標準物質(アルプレノロール)を含有する2つの量の冷たいアセトニトリルを各サンプルに添加し、次に、それらのサンプルをボルテックスし、遠心分離した。上清を取り除き、オートサンプラーバイアルの中に配置し、液体クロマトグラフ/質量分光法(LC−MS−MS)によってサンプル中に存在する化合物の量を分析した。5ng/mL〜20000ng/mLの濃度範囲で連続希釈法を介して行われた、ビヒクルだけ(すなわち、そのテストした種のビヒクルグループに由来するビヒクル対照の脾臓または腎臓のいずれか)の標準曲線(組織特異的)に対してサンプル中の化合物濃度を定量化した。標準曲線の最高点よりも10%を超えて高い濃度を含むサンプルをアセトニトリルで1:10に希釈した。血漿、腎臓、および脾臓に対する検知の限界は10ng/mL未満であった。
【0065】
抗核抗体(ANA)ELISAアッセイ
あつらえて自家作成したELISAアッセイによって抗dsDNAと抗Smith抗原抗体との測定を行った。Inova Diagnostics,Inc.からクロマチン被覆プレートを購入した。抗dsDNAと抗Smith Ag抗体とのそれぞれの検知のための被覆抗原として、精製ウシ胸腺dsDNA(Sigma、ミシガン州St.Louis)または精製ウシSmith抗原(GenWay、カリフォルニア州San Diego)を使用した。被覆したプレートをホウ酸塩硫酸塩食塩水(BSS)で洗浄し、1%のウシ血清アルブミン(BSA)と0.1%のTween−20界面活性剤とを含有するBSSでブロッキングした。マウス抗クロマチン抗体(Sigma、2B1)または25週齢のMRL/lpr血清を使用して標準曲線を生成した。マウス抗dsDNA抗体(Abcam、マサチューセッツ州Camridge)またはマウス抗Smith抗原抗体(Abcam)を各アッセイの基準として使用した。二次抗体をAbcamから購入し(ヤギ抗マウスpAb−HRP)、基質をRockland(ペンシルバニア州Gilbertsville)から購入し(TMB)、20mLのdH
2Oに対して1mLの濃縮硫酸を使用して反応停止バッファを生成した。570nMの基準波長を用いて450nMで読み取るVictor−X4分光光度計を使用して、発色させたプレートを読み取った。全てのANA ELISAアッセイに関して、基準に沿った最低点または製造元によって設定された検知の限界を下回る値を範囲外と考え、推測しなかったが、その特定のアッセイに対する標準曲線に沿って最低点を想定した。
【0066】
抗体分泌B細胞Elispotアッセイ
B細胞ElispotコンポーネントをMabTech(スウェーデン、Nacka Strand)に注文し、ニトロセルロースIPフィルタプレートをMillipore(マサチューセッツ州Billerica)に注文した。精製ウシ胸腺dsDNA(Sigma)、精製ウシSmith抗原(GenWay)、または溶解したニワトリ赤血球細胞(Rockland、ペンシルバニア州Gilbertsville)に由来する煮沸し濾過した精製ニワトリクロマチンのいずれか10μg/mLでElispotウェルを被覆した。ガラス均質化を使用して脾臓を処理し、60μmの滅菌細胞ストレーナを通して濾過し、BioLegend(カリフォルニア州San Diego)溶解バッファを使用して赤血球細胞(RBC)を溶解した。処理した脾細胞を培養培地の各ウェルに添加した。抗体を分泌する細胞種(ASC)の正確な生体外個体数の非対称性を回避するために、ポリクローナルミトゲン様LPSで細胞を刺激しなかったが、本物の生体外抗体放出のモニタリングを可能にするように培地のみでインキュベートした。全てのIgG産出ASCに対する陽性対照として、抗マウスpan−IgGを使用し、結果を正規化するために使用した。各モデルに対する初期テスト段階で各抗原に対する個体数を同定した。クロマチンおよび全IgGのみに関しては、各ウェルに30,000個の脾細胞を添加した。Smith抗原およびdsDNAに関しては、各ウェルに500,000個の細胞を添加した。ウェルごとの点出現率の飽和限界により、異なる抗原に対して異なる数の脾細胞を添加した。これらの制約は以前に確立された。B細胞Elispotを37℃で一晩インキュベートした。各アッセイを展開するために、各ウェルに二次抗体を添加し、インキュベートし、洗浄し、アルカリ性ホスファターゼストレパビジンを共役体として使用し、使用した基質はBCIP−NBTだった。点が見えるまでプレートを発色させた。Immunospot C.T.L.スキャナおよびBiospotソフトウェア(Cellular Technology Ltd.、オハイオ州Shaker Heights)を使用して全てのElispot分析を行った。培地と細胞とだけのウェルを減じた値として結果を示した。
【0067】
統計分析
Graph Pad Prism 5.0ソフトウェアを使用して全ての統計を行った。両側Mann−Whitneyまたはペアスチューデントt−検定(生存データ)(図面の説明で述べられている場合)のいずれかを使用して、研究終了時分析を行った。時間の経過に伴う変化を示すグラフに関して、グループ間で比較するために一次元配置分散分析を使用した。比較のためのグループ間の割合変化に関して、研究終了時測定に関して特に断りがない場合には、割合の差に関してビヒクルと比較して各パラメータに対して濃度曲線下面積(AUC)を決定した。
【実施例1】
【0069】
化合物AはMRL/lprマウスにおいて狼瘡を効果的に処置する
プロトコル
MRL/lprマウスを最初に無作為化し、初期出血を収集し、ベースライン測定のために体重を記録した(
図1)。全ての個々のマウスの耳にタグ付けし、実験全体を通してモニタリングした(例えば、グループ番号−ケージの文字−マウス番号、したがって、「3B5」=グループ3(G3)、ケージB、マウス番号5)。マウスは同齢であり、6週齢から8週齢で処置を開始した。ほおの出血および尿の収集を実験全体を通して毎週続けた。サイトカインやANAのレベル、タンパク尿、体重、リンパ腫、一般的な健康状態、および死亡率を含むいくつかのパラメータに関してマウスを個々に追跡した。死亡率を除いた全てのパラメータを2カ月ごとに評価し、死亡率は毎日モニタリングした。全てのグループはグループごとで少なくとも10匹から12匹の最小数から成る。生体外実験は、形質細胞、血清補体C3、およびANAのレベルに関するフローサイトメトリ分析と、タンパク尿および白血球と、血清サイトカインのプロファイリングと、腎臓の組織変化と、化合物レベル(脾臓、腎臓、血漿における薬物動態(PK))の決定とを含んだ。マウスを個々に追跡した。全てのデータに関して、マウスを集団にグループ分けし、平均±標準誤差としてデータをグラフ化した。死亡率を除き、2カ月ごとの観察と収集したデータとを各グループに関して記録した。死亡率は毎日観察した。材料および方法の節(上記)と
図1とに記載される通り、最終段階の読み取った情報を分析した。化合物Aを用いた処置に関して、8週齢から11週齢まで一日二回(b.i.d.)経口(p.o.)で提供された(すなわち、100mg/kgの用量に関して、午前中に100mg/kgを動物に投与し、午後に100mg/kgを動物に投与した)1%のDMSOに加えてPEG400中に懸濁された化合物Aでマウスを処置して、11週齢から18週齢まで処置することなく休み、21週齢まで残りの三週間の間用量を一日二回経口で提供される化合物A薬物処置を再び開始した。標準的治療は週三回腹腔内に1.5mg/kgで提供されるデキサメタゾン(DEX)を含んだ。ビヒクルは化合物A薬物処置と同時に一日二回経口で与えられるPEG400+1%のDMSOであった。このモデルに対する組織保持の薬物動態分析が
図2で見ることができる。
図2に関して注目すべきことは、腎臓内の化合物Aのレベルは血漿曝露レベルと同様であったことである。これは腎臓が狼瘡における疾患の病状に関する重要な部位であるので重要である。
【0070】
リンパ腫、脾腫、および白血球数
化合物Aで処置されたMRL/lprマウスは55mg/kgの用量と100mg/kgの用量とに対してリンパ腫の低下を示したが、30mg/kgの用量ではリンパ腫の低下を示さなかった(100mg/kgと55mg/kgとに対して100%がリンパ腫を伴わず、ビヒクルに対しては0%であった。p<0.05)(
図3)。化合物Aで処置されたMRL/lprマウスは、ビヒクルと比較して、100mg/kgの用量と55mg/kgの用量(それぞれ、p<0.001およびp<0.05)とにおいて脾腫(すなわち、脾臓質量)を示した(ビヒクルに対して、55mg/kgに対して49.4%の減少および100mg/kgに対して74.1%の減少)(
図4、上側のパネル)。100mg/kgにおいて、化合物Aは非狼瘡の対照動物のレベル(MRL/Mp、98mg)まで脾臓質量を減少させた(
図4、上側のパネル)。化合物Aで処置されたMRL/lprマウスは、55mg/kgの用量と100mg/kgの用量との両方において(p<0.05)、ビヒクルと比較して総白血球数の減少を示した、非狼瘡MRL/Mp動物ほど少なくはならなかった(
図4、下側のパネル)。
【0071】
これらの結果は、脾腫(脾臓膨脹)と、リンパ腫(リンパ節膨脹)と、T細胞およびB細胞の過剰増殖とが、MRL/lprマウスにおける狼瘡疾患を示すので重要である。したがって、全体的なリンパ球の数の減少、したがって、脾臓やリンパ節のサイズの減少は、化合物Aが処置の間に全身の自己免疫反応を部分的に制御することを示す。さらに、脾臓質量と総細胞数とは非狼瘡の歴史的対照よりも下には落ちなかったという事実は、化合物Aが完全なJAKキナーゼの遮断から予期され得る明白な免疫抑制を引き起こさなかったことを示唆する。したがって、化合物Aは好ましくない副作用を伴うことなく所望の治療効果を提供する点で有利である。
【0072】
忍容性
化合物Aで処置されたMRL/lprマウスは顕著な体重変化を示さなかった(
図5)。テストした各用量に関して、明白な毒性を観察せず、体重は実際に増加し、ビヒクルと比較して、全体的な健康の改善を示唆した。
【0073】
IL−12
化合物Aで処置されたMRL/lprマウスは8週齢から11週齢の処置段階の間と18週齢から21週齢の処置段階の間とでIL−12サイトカインのレベルの降下を示したが、処置の休業日の間と12週齢から20週齢の間とでIL−12サイトカインのレベルの上昇を示した(
図6、
*p<0.05、
**p<0.01、ビヒクルと比較して、100mg/kgに対して56.1%の減少および55mg/kgに対して50.7%の減少)。
【0074】
このデータは、化合物Aが、狼瘡に関与する炎症性サイトカインカスケード、例えばIL−12を遮断するという結果をサポートするので重要である。
【0075】
C3
化合物Aで処置されたMRL/lprマウスは55mg/kgの用量と100mg/kgの用量とにおいてビヒクルと比較して血清C3濃度の顕著な増加を示した(ビヒクルに対して、100mg/kgに対して52.5%の増加および55mg/kgに対して51.4%の増加、p<0.05)(
図7)。
【0076】
このデータは、血清中のC3のレベルが炎症の大きさや程度と間接的に相関するので重要である。SLE患者は時間の経過と共にC3のレベルおよびC4のレベルの減少を示し、これは全身性の炎症の増加を示し、これが組織臓器の損傷をもたらす。しかし、処置を伴うと、これらの要素は元に戻り、処置が全身性の炎症を減少させるので疾患を効果的に処置することを示す。したがって、血清C3の増加は狼瘡疾患の消散や処置を示す(Boumpas、Furie et al.、2003)。
【0077】
ループス腎炎
末期のループス腎炎を組織病理学によって評価し、疾患のある動物における腎臓の全損傷の評価のために委員会が認定した病理学者によって採点した(
図8、表1)。化合物Aで処置したMRL/lprマウスは、デキサメタゾン処置グループとビヒクル処置グループとの両方と比較して、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した腎臓切片における細胞浸潤/糸球体腎炎と糸球体のサイズとの両方の減少を示した(
図8)。化合物Aで処置したMRL/lprマウスは、デキサメタゾンと同様に、100mg/kgの用量において、ビヒクルと比較して、糸球体細胞充実度の顕著な減少(33.3%の減少、p<0.01)と、間質浸潤の顕著な減少(40%の減少、p<0.01)と、血管炎の顕著な減少(46.1%の減少、p<0.01)を示した(表1)。55mg/kgの用量において、化合物Aはビヒクルと比較して間質浸潤を減少(33.3%の減少、p<0.05)させた(表1)。
【0078】
これらの結果は、化合物Aを用いたMRL/lprマウスの処置が狼瘡に罹りやすいマウスにおけるループス腎炎の発達を遅くすることおよび/または防ぐことができることを示すので重要である。
【0079】
表1.MRL/lprの腎臓の得点(得点の等級:0〜5、平均±標準偏差)
【0080】
【表1】
【0081】
薬力学
リン酸化STAT−3(pSTAT3)の阻害をJAK2インヒビタの下流薬力学(PD)マーカとして使用した。147日齢(研究の91日目)の研究終了時(EOS)における薬物の最終投薬の4時間後に、MRL/lprマウスにおいて、55mg/kgの用量の化合物Aと100mg/kgの用量の化合物Aとの両方に対して腎臓pSTAT3の顕著な減少を観察した(
図9)。
【0082】
このデータは、化合物Aが、狼瘡にとって特に重要な場所、すなわち腎臓においてJAK2を効果的に阻害していたことを示すので重要である。
【0083】
形質細胞
化合物Aで処置したMRL/lprマウスはビヒクルと比較して100mg/kgの用量において脾臓形質細胞の減少(65.5%の減少、p<0.01)を示した(
図10)。化合物Aで処置したMRL/lprマウスはビヒクルと比較して100mg/kgの用量において脾臓における抗クロマチン抗体分泌細胞(ASC)の出現率の減少(89.1%の減少、p<0.001)を示した(
図11)。
【0084】
このデータは、形質細胞が自己抗体を生成する能力を有し、長命形質細胞がヒトにおける継続的な狼瘡の発症の根本的な原因の1つであると考えられるので重要である(Espeli、Bokers et al.;Neubert、Meister et al.、2008)。長命形質細胞(LL−PC)は主に骨髄(BM)に存在するが、炎症の部位において脾臓で見つけることもでき、シクロホスファミドに対して耐性があることで公知であり、ループス腎炎を処置するために認められた一治療法である(Chevrier、Genton et al.、2009)。
【実施例2】
【0085】
化合物AはNZMマウスにおいて狼瘡を効果的に処置する
プロトコル
合計で7カ月または210日間、ループス腎炎の研究のために、同齢のメスのNZMマウスまたはNZW/LacJマウスを成熟させた。その期間、タンパク尿の検知のために尿を収集した。光学密度に基づいた総合的タンパク質沈殿アッセイによって決定した場合に0.5mg/ml〜1.0mg/mlのタンパク尿を有し、スティックアッセイによって決定されるような30mg/dl〜300mg/dlのタンパク質に関して照合確認したマウスをタンパク尿陽性と考え、研究の開始のために選択した。タンパク尿陽性動物のガウス分布を含むようにグループを正規化して(すなわち、1/3の低度タンパク尿、1/3の中度タンパク尿、1/3の高度タンパク尿)、耳に印を付け、尿や血清の収集を含むベースライン測定を行う前にグループ間で無作為化した。全個体数から合計5匹のマウスをベースライン腎臓組織構造評価のために無作為に選択した。各グループに対する処置やテストは
図12に記載される。簡潔に言うと、グループごとに最小で10匹のマウスを用いて、化合物Aを100mg/kgまたは55mg/kgで一日二回経口で投与した。標準的治療のために、シクロホスファミド(CTX)を週一回50mg/kgで腹腔内に提供し、デキサメタゾンを週三回1.5mg/kgで腹腔内に提供した。ビヒクルは3%のDMSOと10%のSolutolと87%のPBSとを含んだ。212日齢に処置を開始し、一部のマウスは処置のすぐ後に死んだが、投薬の時間からのグループ全体のサイズと比較して、健康状態に関わらず全ての動物を数えた。末期のループス腎炎を組織病理学によって評価し、Smith et alによって記載された採点方法(Smith、Dong et al.、2007)を使用して、疾患のある動物における腎臓損傷全体の評価のために委員会の認定を受けた病理学者によって採点した。関連する図に示される全てのグラフは、「処置の開始」として0日目を示すので、212日齢を表すことに留意することが重要である。98日目または「処置/研究の終了」はNZM動物に対する310日齢を表す。全てのグラフが「研究の日」として時間を示し、研究の日は212日齢に開始し310日齢に終了する。
【0086】
生存率
化合物Aで処置されたNZMマウスは55mg/kgの用量と100mg/kgの用量とにおいてビヒクルと比較して生存率の顕著な増加を示した(研究終了時において、100mg/kgに対して70%の生存率、55mg/kgに対して90%の生存率、p<0.01)。生存率は標準的治療薬CTX(研究終了時において、70%の生存率、p<0.001)に匹敵した(
図13)。MMFおよびアザチオプリンと共に、シクロホスファミドがループス腎炎に苦しむ患者に対する現在の処置の選択肢である。なぜならば、シクロホスファミドはタンパク質免疫抑制剤として働くからである。しかしながら、シクロホスファミドの深刻な副作用により、シクロホスファミドは最も重篤な症状の場合においてだけ使用される。
【0087】
抗核抗体(ANA)
化合物Aで処置されたNZMマウスは疾患の経過全体を通して血清抗dsDNA ANAの全体的なレベルの減少を示した(ビヒクルと比較して、100mg/kgに対して73.9%の減少および55mg/kgに対して67.0%の減少、p<0.01)。化合物Aによる抗dsDNA ANAの減少は標準的治療薬CTX(ビヒクルと比較して、65.3%の減少、p<0.001)と同等であった(
図14)。化合物A(およびCTX)での処置はまた抗smith抗原ANA(p<0.05)をも顕著に減少させた(
図15)。
【0088】
このデータは、抗dsDNA抗体の存在が狼瘡の好ましくない予後と関連付けられ、進行しているループス腎炎、多くの場合には致命的なループス腎炎と非常に関連付けられるので重要である(Egner、2000;Kiss、Lakos et al.、2009)。
【0089】
IFNα
化合物Aで処置されたNZMマウスは、ビヒクルと比較して、中程度であるが顕著な血清IFNαの減少を示した(100mg/kgに対して73.2%の減少および55mg/kgに対して70.2%の減少、p<0.05)(
図16)。どちらの標準的治療薬(すなわち、CTXまたはDEX)も顕著な減少を示さなかった。
【0090】
このデータは、I型IFNサイトカイン、すなわちINFαが狼瘡の発病と非常に関連があり、ヒトにおける狼瘡の発症に導くサイトカインの最も早いバーストのうちの1つである(Niewold、Hua et al.、2007)ので重要である。実際、狼瘡患者において循環するINFαを中和するためにINFαを特異的に標的化する狼瘡治療が現在開発されている(例えば、MedImmune、MEDI−545)。狼瘡患者におけるこの「IFNαの痕跡」の減少がテストした実験薬の有効性を決定する際に使用される1つのバイオマーカである(Sozzani、Bosisio et al.)。
【0091】
タンパク尿
化合物Aで処置されたNZMマウスは、ビヒクルに対して、55mg/kgと100mg/kgとの両方の処置グループに対して疾患の経過全体にわたって総タンパク尿の顕著な減少を示した(ビヒクルと比較して、それぞれ、76.25%の減少および81.8%の減少、p<0.001)(
図17)。その減少は標準的治療薬CTX(67.1%の減少、p<0.001)に匹敵した。各処置グループにおける個々のマウスに対するデータが
図18A〜
図18Eに示される。化合物Aで処置されたNZMマウスはDEXまたはビヒクルと比較してタンパク尿の減少を示し(例えば、反応の大きさや持続時間があまり変化しない)、CTXに匹敵した。化合物Aでの処置は同齢の非狼瘡対照マウスのタンパク質よりも下までタンパク質レベルを下げた(
図17、点線)。
【0092】
これらの結果は、タンパク尿(尿タンパク質)の増加がループス腎炎と関連付けられる腎臓損傷の直接的な結果であるので重要である。さらに、化合物Aが歴史的非狼瘡対照動物のレベルよりも下までタンパク尿レベルを減少させるという事実は、化合物Aが病気の進行から動物を単に守るだけでなく、狼瘡疾患を実際に後退させていることを示す。
【0093】
糸球体腎炎、肺損傷
化合物Aで処置されたNZMマウスはビヒクルと比較して55mg/kgの用量と100mg/kgの用量とにおいて糸球体細胞充実度の減少を示した(それぞれ59.3%の減少および56.2%の減少、p<0.001)(表2)。55mg/kgの用量と100mg/kgの用量とにおける化合物Aで処置されたNZMマウスはビヒクルと比較して間質性繊維症および血管炎の減少を示した(それぞれ、58.3%の減少および8.3%の減少、p<0.05)(表2)。化合物Aで処置されたNZMマウスは、疾患に罹っていないNZW/LacJの親の同齢の対照のマウスに匹敵する腎臓の病状の減少を示した(
図19)。55mg/kgの用量と100mg/kgの用量とにおける化合物A(およびCTX)で処置されたNZMマウスはデキサメタゾンおよびビヒクルで処置された動物と比較して肺浸潤物を防いだ(
図20)。
【0094】
表2.NZM腎臓の得点(得点の等級:0〜5、平均±標準偏差)
【0095】
【表2】
【0096】
このデータは、糸球体細胞充実度と間質性線維症と血管炎とが狼瘡と関連付けられる糸球体腎炎の指標であるので重要である。化合物Aがこれらの要素の増加を防ぐだけでなく、7カ月のベースラインNZMマウスと比較して、それらの要素を減少させることもできたという事実は、化合物Aが疾患の進行から動物を単に守るだけでなく疾患の経過を実際に後退させていることを示す。さらに、肺水腫または肺血管炎および胸膜浸出は、肺炎などの上気道合併症をもたらし得る。化合物Aが肺血管炎や肺炎を防ぐ能力は本発明の利点である。なぜならば、肺血管炎や肺炎は狼瘡疾患の合併症として一般的であるからである。
【0097】
薬物動態
薬物動態マーカである蛍光体STAT3をJAK2阻害のために使用すると、処置されたマウスの腎臓におけるpSTAT3のレベルはビヒクルまたはCTXのいずれかにおけるレベルよりも顕著に低かった(%変化、p<0.01)(
図21)。
【0098】
このデータは、化合物Aが、狼瘡にとって特に重要な場所、すなわち腎臓でJAK2を効果的に阻害することを示すので重要である。
【0099】
サイトカイン
化合物Aで処置されたNZMマウスは、ビヒクルと比較して、狼瘡の進行と関連付けられるいくつかのサイトカインの血清レベルの顕著な減少を示した(
図22〜
図31)。例えば、55mg/kgの用量の化合物Aと100mg/kgの用量の化合物Aとは、ビヒクルと比較して、IL−12(99.4%の減少および99.9%の減少、p<0.001)(
図22)と、IL−17A(79.1%の減少および86.2%の減少、p<0.001)(
図23)と、IL−6(98.2%の減少および97.0%の減少、p<0.001)(
図24)と、CCL3/MIP−1α(両方の用量に対して94.5%の減少、p<0.01)(
図25)と、CXCL10/IP−10(47.3%の減少および80.0%の減少、p<0.01)(
図26)と、CXCL9/MIG(83.7%の減少および85.7%の減少、p<0.001)(
図27)と、IL−4(98.7%の減少および91.8%の減少、p<0.01)(
図28)と、IL−13(86.2%の減少および79.5%の減少、p<0.001)(
図29)と、TNFα(92.3%の減少および88.3%の減少、p<0.001)(
図30)と、KC/IL−8(78.0%の減少および72.9%の減少、p<0.001)(
図31)とを顕著に減少させた。
【0100】
これらの結果は、これらのサイトカインが、狼瘡患者において評価され、狼瘡による発赤の増加と、その疾患を永続させる自己抗原に対する進行中の免疫反応とに関与するので重要である(Chun、Chung et al.、2007;Tucci、Lombardi et al.、2008)。これらのサイトカインの性質の減少または変性は好ましい利益を患者に提供することができ、疾患の消散の間接的な指標を提供する(Morimoto、Tokano et al.、2001;AringerおよびSmolen、2004;Chun、Chung et al.、2007;Niewold、Hua et al.、2007;Fu、Chen et al.、2008;Tucci、Lombardi et al.、2008)。
【0101】
脾腫
化合物Aで処置されたNZMマウスは、ビヒクルと比較して、研究終了時(EOS)の脾臓の総質量の顕著な減少を示した(100mg/kgに対して73.5%の減少および55mg/kgに対して71.8%の減少、p<0.001)(
図32)。化合物Aに関して観察された脾臓質量の減少はCTXに匹敵した。
【0102】
このデータは、脾腫(脾臓膨脹)がNZMマウスにおける狼瘡疾患を示すので重要である。
【0103】
忍容性
化合物Aで処置されたNZMマウスはどちらの用量でも体重の変化を示さなかった(
図33)。
【0104】
破骨細胞の活動
化合物Aで処置されたNZMマウスは、破骨細胞の活動のバイオマーカ(すなわち、I型コラゲーン架橋c−トリペプチド、CTx)を使用して測定すると、骨吸収の顕著な減少を示した(Bouzid、Bahlous et al.)。化合物Aは処置したNZMマウスにおいて血清CTxのレベルを減少させた(ビヒクルと比較して、100mg/kgに対して46.7%の減少および55mg/kgに対して37.8%の減少、p<0.01)(
図34)。
【0105】
このデータは、化合物Aが破骨細胞の活動に影響を与え、および/またはSLEなどの慢性炎症性疾患の間の骨再形成に関与するサイトカインに影響を与え得ることを示唆するので重要である。化合物Aが破骨細胞の活動を減少させる能力は、破骨細胞の活動が狼瘡の間に高められ、このことが、骨の脱塩や全体的な骨質量の損失を引き起こし、骨折、創傷、および関節置換の必要性の増加をもたらすので重要である(KamenおよびAlele)。狼瘡処置に対する標準的治療であるグルココルチコイド、例えば、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、およびプレドニゾンは、この問題を悪化させ、骨芽細胞の活動による破骨細胞の平衡異常を介して骨の損失をさらにもたらし得る(Cunningham、2007)。結果として、骨の脱塩を有する狼瘡患者は骨の損失を回復させるためにビスホスフォネートで処置される場合が多いが、この処置は腎臓系に対して毒性があるので、ループス腎炎を起こしている狼瘡患者を処置する時には逆効果である(Body、Diel et al.、2004)。したがって、化合物Aが狼瘡を処置すると共に破骨細胞の活動を減少させる能力は、狼瘡に関連する骨の損失を後退させることができ、疾患によって引き起こされる関節の損傷を治療するのを実際に助け得る。
【0106】
形質細胞
化合物Aで処置されたNZMマウスは、ビヒクルと比較して、100mg/kgの用量と55mg/kgの用量との両方において脾臓形質細胞の減少を示し(52.9%の減少および57.6%の減少、p<0.05)、化合物Aによって提供された減少は非狼瘡対照動物と同様であった(58.4%の減少、p<0.05)(
図35)。化合物Aで処置されたNZMマウスは、100mg/kgの用量と55mg/kgの用量との両方において、非狼瘡対照マウスのレベルまで、環式ADPリボースヒドラーゼ、すなわちCD38の発現の減少を示した(74.2%の減少および66.6%の減少、p<0.05)(
図37)。デキサメタゾンおよびシクロホスファミドの両方もまた脾臓形質細胞のレベルの減少を示したが、減少は顕著ではなかった(
図35)。化合物Aで処置されたNZMマウスは、シクロホスファミドと同様に、クロマチンに特異的なASCのレベルの減少を示した(CTXに対して100%の減少に対して、55mg/kgに対して97.4%の減少および100mg/kgに対して100%の減少、p<0.05)(
図36)。
【0107】
このデータは、形質細胞は自己抗体を生成する能力があり、長命形質細胞はヒトにおける継続的な狼瘡の発症の根本的な原因のうちの1つであると考えられるので重要である(Neubert、Meister et al.、2008)。長命形質細胞(LL−PC)は主に骨髄(BM)に存在するが、炎症の部位において脾臓で見つけることもでき、シクロホスファミドに対して耐性があることで公知であり、ループス腎炎を処置するために認められた一治療法である(Alperovich、Rama et al.、2007;HoussiauおよびGinzler、2008;Lacotte、Dumortier et al.、2010)。化合物Aが長命形質細胞のレベルを減少させる能力は、これらの細胞が殺傷するのが困難であり、通常、耐化学性と耐放射線性とを有し、骨髄構造内で何十年も生存することができ、狼瘡の間に自己抗体のうちの大部分を作り出すことができるので重要である。脾臓形質細胞の割合は非狼瘡マウスの脾臓形質細胞の割合よりも下がらなかったが、非狼瘡マウスの脾臓形質細胞の割合と同様のレベルに下がり、化合物Aを用いたJAK2の遮断が形質細胞の出現率の正常な割合を正常な同齢の対照マウスの形質細胞の出現率の正常な割合に回復することを留意することも重要である。
【0108】
要約
マウス間の個々の変化と組織病理学的結果の要約とが表3に見ることができる。表3に示される通り、生存率は、腎臓の得点と、抗dsDNA ANAレベルと、タンパク尿との著しい変化と充分に相関する。これらの結果は、化合物Aが、動物を疾患の進行から守り、狼瘡疾患の経過を後退させることさえすることによって狼瘡を処置する能力を明らかに示す。
【0109】
表3.NZMの総合的な結果
A:抗dsDNA IgG、B:糸球体細胞充実度、C:糸球体壊死
D:糸球体硬化症、E:間質浸潤、F:尿細管萎縮
G:間質線維症、H:血管炎、I:タンパク尿
【0110】
【表3】
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001対ビヒクル、両側Mann−Whitneyのt−検定
タンパク尿「0.00」=BQL、x>1mg/mLは太字
得点=「−」疾患なし(1)、「+」軽度(2)、「++」中度(3)、「+++」高度(4)、「++++」重篤な疾患(5)
【実施例3】
【0111】
化合物Aは、狼瘡を促進する耐放射線性/耐化学性で病原性の骨髄長命形質細胞の出現率を減少させる
狼瘡に罹りやすい15週齢のNZMマウスに、合計で二週間、100mg/kg、55mg/kg、または30mg/kgの化合物Aを週二回経口で投与するか、標準的治療の基準薬であるシクロホスファミドを生理食塩水中で50mg/kgで週一回腹腔内に投与するか、またはビヒクル(PEG400)を一日二回経口で投与した。研究終了前24時間、各マウスに2mgのチミジン類似体であるブロモデオシリウリジン(BrdU)を腹腔内に注入した。BrdU(カタログ番号第550891号)と抗BrdU−FITC染色キット(カタログ番号第559619号)とをBD Biosciences (ニュージャージー州Franklin Lakes)から取得した。BrdU注入後24時間、脾臓と骨髄とをフロー染色のために白血球を単離するように個々に処理した。抗BrdU−FITC(BrdUキットから取得した)だけでなく、抗CD19−Cyc、抗CD38−PE、および抗CD138−APC(全て、カリフォルニア州San DiegoのeBioscienceから取得した)で細胞の表面を染色した。分析は、
図42に示される通り、生きたSSC/FSCの集団、CD19陰性、CD38陽性に関するゲーティングと、CD138陽性BrdU陰性(非環式長命形質細胞、領域R2)、またはBrdU陽性(環式短命形質細胞、領域R1)に関するゲーティングとを含んだ。Accuri C6フローサイトメータを使用して全てのサンプルを分析した。全てのElispot実験に対する脾細胞の生体外培養を含む全ての実験に対して完全培地(R10)を使用した。完全培地は、RPMI1640(Cellgro、バージニア州Manassas)に加えて、1%のPen−Strep(Cellgro、バージニア州Manassas)、1%のL−Gln(Cellgro、バージニア州Manassas)、1%のNEAA(Cellgro、バージニア州Manassas)、β−ME(Cellgro、バージニア州Manassas)に加えて10%のFBS(Cellgro、バージニア州Manassas)から成る。
【0112】
図は、脾臓短命形質細胞(
図38)と、骨髄から単離した短命形質細胞(
図39)と、脾臓長命形質細胞(
図40)と、骨髄から単離した長命形質細胞(
図41)とを示す。ゲーティングの例と、短命形質細胞R1および長命形質細胞R2のゲートとを提供する代表的なドットプロットもまた示される(
図42)。グラフは平均±標準誤差を示し、統計学的テストは両側Mann−Whitneyのt検定を含み、
*p<0.05は有意と考えた。示された全ての結果は生きた細胞において元々サイズをゲーティングされ、グラフはCD19陰性CD38/CD138両陽性の集団を示し、その集団は、BrdUを組み込んだ(環式なので短命形質細胞、領域R1を参照されたい)か、またはBrdUを組み込んでいない(非環式なので長命形質細胞、領域R2を参照されたい)のいずれかであった。
【0113】
化合物Aは、狼瘡に罹りやすいNZMマウスから通常耐放射線性で耐化学性の長命形質細胞を減少させた。
図38〜
図42に示す通り、環式(短命、領域R1)と非環式(長命、領域R2)との両方のCD138+形質細胞が化合物Aの処置の際に減少する。100mg/kgの用量の化合物Aは骨髄において短命形質細胞と長命形質細胞との両方に影響を与える(
図39および
図41)。3つ全ての用量が脾臓における長命形質細胞に影響を与えた(
図40)。長命形質細胞を標的化することは、これらの細胞が、殺傷するのが困難であり、通常耐化学性で耐放射線性であり、骨髄構造内で何十年も生存することができ、SLEの間に抗核抗体のうちの大部分を作り出すことができるので重要である。
【0114】
好適な実施形態
本発明の好適な実施形態は下記の実施形態を含む。
【0115】
実施形態1:化合物Aを被検体に投与する工程を含む、被検体における狼瘡を処置するための方法。
【0116】
実施形態2:有効量の化合物Aを被検体に投与する工程を含む、被検体における狼瘡を処置するための方法。
【0117】
実施形態3:被検体における狼瘡を処置するための薬剤の製造における化合物Aの使用。
【0118】
実施形態4:被検体における狼瘡を処置する際に使用するための化合物A。
【0119】
実施形態5:化合物Aが経口投与される、実施形態1〜実施形態4のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0120】
実施形態6:化合物Aが約0.01mg/kg〜約1,000mg/kgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0121】
実施形態7:化合物Aが約1mg/kg〜約500mg/kgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0122】
実施形態8:化合物Aが約10mg/kg〜約200mg/kgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0123】
実施形態9:化合物Aが約25mg/kg〜約150mg/kgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0124】
実施形態10:化合物Aが約50mg/kg〜約100mg/kgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0125】
実施形態11:化合物Aが約55mg/kg〜約100mg/kgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0126】
実施形態12:化合物Aが約1mg/kgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0127】
実施形態13:化合物Aが約5mg/kgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0128】
実施形態14:化合物Aが約10mg/kgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0129】
実施形態15:化合物Aが約50mg/kgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0130】
実施形態16:化合物Aが約100mg/kgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0131】
実施形態17:化合物Aが約0.1mg〜約1mgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0132】
実施形態18:化合物Aが約0.5mg〜約500mgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0133】
実施形態19:化合物Aが約1mg〜約100mgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0134】
実施形態20:化合物Aが約5mg〜約50mgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0135】
実施形態21:化合物Aが約5mg〜約30mgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0136】
実施形態22:化合物Aが約5mg〜約20mgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0137】
実施形態23:化合物Aが約1mgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0138】
実施形態24:化合物Aが約5mgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0139】
実施形態25:化合物Aが約10mgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0140】
実施形態26:化合物Aが約20mgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0141】
実施形態27:化合物Aが約30mgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0142】
実施形態28:化合物Aが約40mgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0143】
実施形態29:化合物Aが約50mgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0144】
実施形態30:化合物Aが約100mgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0145】
実施形態31:化合物Aが約200mgの用量で投与される、実施形態1〜実施形態5のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0146】
実施形態32:被検体が処置の間にリンパ腫の減少を経験する、実施形態1〜実施形態31のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0147】
実施形態33:被検体が処置の間に脾腫の減少を経験する、実施形態1〜実施形態32のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0148】
実施形態34:被検体が処置の間に脾臓の白血球数の減少を経験する、実施形態1〜実施形態33のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0149】
実施形態35:被検体が処置の間に血清IL−12の減少を経験する、実施形態1〜実施形態34のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0150】
実施形態36:被検体が処置の間に血清C3の増加を経験する、実施形態1〜実施形態35のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0151】
実施形態37:被検体が処置の間に腎臓糸球体細胞充実度の減少を経験する、実施形態1〜実施形態36のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0152】
実施形態38:被検体が処置の間に腎臓間質浸潤の減少を経験する、実施形態1〜実施形態37のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0153】
実施形態39:被検体が処置の間に腎臓pSTAT3の減少を経験する、実施形態1〜実施形態38のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0154】
実施形態40:被検体が処置の間に脾臓形質細胞の減少を経験する、実施形態1〜実施形態39のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0155】
実施形態41:被検体が処置の間に血清抗核抗体の減少を経験する、実施形態1〜実施形態40のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0156】
実施形態42:被検体が処置の間に血清抗dsDNA抗核抗体の減少を経験する、実施形態1〜実施形態41のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0157】
実施形態43:被検体が処置の間に血清INFαの減少を経験する、実施形態1〜実施形態42のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0158】
実施形態44:被検体が処置の間にタンパク尿の減少を経験する、実施形態1〜実施形態43のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0159】
実施形態45:被検体が処置の間に肺浸潤物の減少を経験する、実施形態1〜実施形態44のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0160】
実施形態46:被検体が処置の間に血清IL−17Aの減少を経験する、実施形態1〜実施形態45のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0161】
実施形態47:被検体が処置の間に血清IL−6の減少を経験する、実施形態1〜実施形態46のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0162】
実施形態48:被検体が処置の間に血清CCL3/MIP−1αの減少を経験する、実施形態1〜実施形態47のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0163】
実施形態49:被検体が処置の間にCXCL10/IP−10の減少を経験する、実施形態1〜実施形態48のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0164】
実施形態50:被検体が処置の間に血清CXCL9/MIGの減少を経験する、実施形態1〜実施形態49のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0165】
実施形態51:被検体が処置の間に血清IL−4の減少を経験する、実施形態1〜実施形態50のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0166】
実施形態52:被検体が処置の間に血清IL−13の減少を経験する、実施形態1〜実施形態51のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0167】
実施形態53:被検体が処置の間に血清TNFαの減少を経験する、実施形態1〜実施形態52のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0168】
実施形態54:被検体が処置の間に血清KC/IL−8の減少を経験する、実施形態1〜実施形態53のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0169】
実施形態55:被検体が処置の間に血清CTxの減少を経験する、実施形態1〜実施形態54のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0170】
実施形態56:被検体がヒトである、実施形態1〜実施形態55のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0171】
実施形態57:化合物Aが一日一回投与される、実施形態1〜実施形態56のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0172】
実施形態58:化合物Aが一日二回投与される、実施形態1〜実施形態56のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0173】
実施形態59:化合物Aが一日三回投与される、実施形態1〜実施形態56のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0174】
実施形態60:化合物Aが一日四回投与される、実施形態1〜実施形態56のいずれかに記載の方法、使用、または化合物。
【0175】
当業者が理解する通り、本発明の多数の改変と多数の変化形とが上記の教示を鑑みて考えられる。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は本明細書に具体的に記載されたものとは異なる方法で実施されてもよく、本発明の範囲は全てのこうした変化形を含むことを意図されることが理解される。
【0176】
本明細書において言及された全ての刊行物は、あらゆる目的でその全体が参照により組み込まれる。
【0177】
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