(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ダミーパターンを形成する工程においては、前記一方のダミーパターンの前記第1の側辺と、前記他方のダミーパターンの前記第1の側辺とは、平面視において前記劈開ラインの延在する方向に沿うように延在する第1の沿面側辺と、平面視において前記劈開ラインの延在する方向に対して斜めの方向に延在する第1の斜面側辺を含むように前記ダミーパターンが形成される、請求項2〜4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
前記ダミーパターンを形成する工程においては、前記一方のダミーパターンの前記第1の側辺と、前記他方のダミーパターンの前記第1の側辺とは、平面視において前記劈開ラインの延在する方向に沿うように延在する第1の沿面側辺と、平面視において前記劈開ラインの延在する方向に交差する方向に延在する第1の交差面側辺とが階段状に形成される、請求項2〜4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
前記凹部を形成する工程においては、平面視において前記劈開ラインの延在する方向に交差する方向に関する前記裏面凹部の幅は、前記起点に近い側の第2の起点側端部において前記第2の起点側端部と反対側の第2の終点側端部よりも広くなるように前記凹部が形成される、請求項2〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
前記凹部を形成する工程においては、前記裏面凹部の、前記劈開ラインを挟むように対向する1対の第2の側辺は、平面視において前記劈開ラインの延在する方向に沿うように延在する第2の沿面側辺と、平面視において前記劈開ラインの延在する方向に対して斜めの方向に延在する第2の斜面側辺を含むように前記裏面凹部が形成される、請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
前記凹部を形成する工程においては、前記裏面凹部の、前記劈開ラインを挟むように対向する1対の第2の側辺は、平面視において前記劈開ラインの延在する方向に沿うように延在する第2の沿面側辺と、平面視において前記劈開ラインの延在する方向に交差する方向に延在する第2の交差面側辺とが階段状に形成された構成を含むように前記裏面凹部が形成される、請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
前記裏面凹部底面は、平面視において前記劈開ラインの延在する方向に交差する方向に関する前記裏面凹部の中央部において前記第1の主表面との距離が最小となり、前記第1または第2の主表面に対して傾斜した角度を有するように形成される、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
前記凹部を形成する工程においては、前記表面凹部の、前記劈開ラインを挟むように対向する1対の第3の側辺は、平面視において前記劈開ラインの延在する方向に沿うように延在する第3の沿面側辺と、平面視において前記劈開ラインの延在する方向に対して斜めの方向に延在する第3の斜面側辺を含むように前記表面凹部が形成される、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
前記凹部を形成する工程においては、前記表面凹部の、前記劈開ラインを挟むように対向する1対の第3の側辺は、平面視において前記劈開ラインの延在する方向に沿うように延在する第3の沿面側辺と、平面視において前記劈開ラインの延在する方向に交差する方向に延在する第3の交差面側辺とが階段状に形成された構成を含むように前記表面凹部が形成される、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
前記表面凹部底面は、平面視において前記劈開ラインの延在する方向に交差する方向に関する前記表面凹部の中央部において前記第2の主表面との距離が最小となり、前記第1または第2の主表面に対して傾斜した角度を有するように形成される、請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1〜
図10を用いて、本実施の形態の半導体装置に係る、半導体発光素子が形成された半導体チップの製造方法について説明する。なお以下においては、劈開ラインにおいて半導体ウェハの劈開は図の右側から左側に進行する(図の右側から左側に向けて半導体ウェハが劈開される)ものとして説明がなされる。
【0015】
図1(A)、(B)を参照して、まずたとえばシリコンの単結晶からなる半導体ウェハ11が準備される。半導体ウェハ11は、一方(表側)の主表面11A(第1の主表面)と、一方の主表面11Aに対向する他方(裏側)の主表面11B(第2の主表面)とを有している。
【0016】
図2を参照して、半導体ウェハ11は、平面視において素子形成領域とダミー形成領域とを含んでいる。素子形成領域は、複数の半導体素子パターンとしての半導体発光素子12が形成される領域であり、ダミー形成領域は、複数のダミーパターン13が形成される領域である。
【0017】
半導体発光素子12は、半導体層、絶縁膜層、金属層などの組み合わせにより形成されるが、ダミーパターン13は、半導体発光素子12を構成する半導体層、絶縁膜層、金属層などを形成する工程と同時に、半導体発光素子12を構成する半導体層、絶縁膜層、金属層などと同一の層として形成されることが好ましい。この場合、
図2に示すように、半導体発光素子12を構成する半導体層などが感光体としてのフォトレジストPRを用いた通常の写真製版技術およびエッチングにより形成されるのと同時に、ダミーパターン13が形成されてもよい。このようにすれば、半導体発光素子12を形成する工程を利用してダミーパターン13を形成することができるため、工程数を削減できるという効果がある。
【0018】
ダミーパターン13は半導体ウェハ11の一方の主表面11A上に半導体層などの薄膜として形成される。このためダミーパターン13は、一方の主表面11Aに対して段差(厚み)を有するように形成される。
【0019】
図3を参照して、半導体ウェハ11の中央部のやや左側寄りにたとえば矩形状の素子形成領域が設けられ、素子形成領域の右側(半導体ウェハ11の右側の縁部寄り)にダミー形成領域が設けられる。ダミー形成領域は、半導体ウェハ11のたとえば一方の主表面11Aにおいて、素子形成領域と互いに並ぶように、平面視において素子形成領域と互いに離れた位置に形成される。ダミー形成領域は素子形成領域の外側の、平面視における半導体ウェハ11の縁部に比較的近い領域に形成されることが好ましい。
【0020】
素子形成領域には、複数の半導体発光素子12がたとえば行列状に並ぶように形成される。ダミー形成領域にはダミーパターン13が、たとえば半導体発光素子12の並ぶ行方向または列方向のいずれかに沿うように、複数形成される。
【0021】
半導体ウェハ11は、その結晶方位にほぼ一致し劈開しやすい方向に延びる(劈開しやすい方向を示す)直線である劈開ライン15を有している。たとえば
図3においては劈開ライン15は、半導体ウェハ11の左右方向に平行に延びるものとする。劈開ライン15としては、実際には半導体ウェハ11の左右方向に延びるものが無数に存在するが、
図3においてはそのうちの数本(4本)が
図3の上下方向に関して互いに間隔をあけて示されている。この明細書においては劈開ライン15とは、上記の数本に着目し、特に本来劈開すべき領域を示す直線を意味するものとして説明する。
【0022】
複数の半導体発光素子12は、それらが並ぶ行方向または列方向が、劈開ライン15にほぼ平行またはほぼ垂直となるように、半導体ウェハ11上に形成される。このため複数の半導体発光素子12のうち
図3の上下方向に関して互いに隣り合う1対の半導体発光素子12の間の領域には、
図3の左右方向に並ぶ複数の半導体発光素子12のいずれとも交わらないように、1本の劈開ライン15が延びる。逆に言えば、
図3における1本の劈開ライン15のすぐ上側に配置される半導体発光素子12と、
図3における1本の劈開ライン15のすぐ下側に配置される半導体発光素子12とは、当該劈開ライン15を挟むように互いに対向する。
【0023】
またダミーパターン13についても同様であり、
図3の上下方向に関して互いに隣り合う1対のダミーパターン13の間の領域には、
図3の左右方向に並ぶ複数のダミーパターン13のいずれとも交わらないように、1本の劈開ライン15が延びる。逆に言えば、
図3における1本の劈開ライン15のすぐ上側に配置されるダミーパターン13と、
図3における1本の劈開ライン15のすぐ下側に配置されるダミーパターン13とは、当該劈開ライン15を挟むように互いに対向する。
【0024】
図4を参照して、
図3中にD1で示す領域において上下方向に関して隣り合う1対のダミーパターン13は、劈開ライン15を挟むように互いに対向するように形成される。本実施の形態におけるダミーパターン13は、たとえば平面視において台形形状を有しており、劈開ライン15に交差(ほぼ垂直)な方向に延びる1対の交差面側辺13bと、劈開ライン15の延在する方向に対して平面視において角度べーを有するように傾いた方向に延びる斜面側辺13cとを有している。
【0025】
1対のダミーパターン13は、それぞれの斜面側辺13c同士が、それらの間の劈開ライン15を挟むように互いに対向するように形成される。それぞれの斜面側辺13cは、それらの間隔が、特に劈開ライン15に沿う方向(
図4の左右方向)に関して劈開の起点に近い側(
図4の右側)の端部である交差面側辺13b(第1の起点側端部)において、その反対側(
図4の左側)すなわち劈開の終点に近い側の端部である交差面側辺13b(第1の終点側端部)よりも広くなるように形成されている。これにより斜面側辺13cは、劈開ライン15に対して角度αを有している。なおここでは斜面側辺13cのみならず、劈開の第1の起点側および終点側端部を側辺(交差面側辺13b)と呼ぶことにする。
【0026】
斜面側辺13cの劈開ライン15に対する角度αは0°より大きく45°未満であることが好ましい。斜面側辺13cは、
図4の上下方向に隣り合う1対のダミーパターン13同士の、図の上下方向に関する距離が、図の右側すなわち劈開の起点側において広くなり、図の左側すなわち劈開の終点側に向けて狭くなるように形成される。
【0027】
図5および
図6は
図2のダミー形成領域のみを示している。
図5を参照して、半導体ウェハ11の他方の主表面11Bが研削加工されることにより、半導体ウェハ11の厚みが薄くなる。
図5および
図6を参照して、薄くなった後の新しい他方の主表面11Bに対して、たとえばシリコン絶縁膜により主表面11Bに形成されたハードマスクHMを加工用マスクとして用いた通常のエッチングがなされる。半導体ウェハ11が主表面11Bから主表面11A側に向けて部分的に除去され薄くなることにより、主表面11Bの一部に凹部としての裏面凹部22が形成される。
【0028】
図7および
図8を参照して、裏面凹部22はたとえば矩形の平面形状を有し、1対のダミーパターン13の間の領域を延びる劈開ライン15の少なくとも一部(特にダミー形成領域の一部における劈開ライン15)と重なるように形成される。
【0029】
図8を参照して、
図7中にD1で示す領域において上下方向に並ぶ1対のダミーパターン13のそれぞれの少なくとも一部または全体と平面視において重なるように、主表面11Bには裏面凹部22が形成される。裏面凹部22は、たとえば劈開ライン15の延在する方向に沿うように延びる1対の沿面側辺22aと、劈開ライン15の延在する方向に対して交差するように延びる1対の交差面側辺22bとを有するように形成される。
【0030】
裏面凹部22は、ダミー形成領域の中でも特に、1対のダミーパターン13の間の(1対のダミーパターン13に挟まれた)領域と平面視において重なる領域(の少なくとも一部)に形成され、
図8に示す1対のダミーパターン13のそれぞれの斜面側辺13cと互いに平面的に重なるように形成されることが好ましい。特に1対のダミーパターン13のそれぞれの、第1の起点側端部としての交差面側辺13bに挟まれた領域を含む、1対のダミーパターン13の間の領域のうち比較的劈開の起点側(図の右側)の領域と平面視において重なるように、裏面凹部22が形成されることがより好ましい。ただし本実施の形態においては、裏面凹部22は、1対のダミーパターン13に挟まれた領域と平面視において重なる領域の全体に形成されている。
【0031】
また裏面凹部22は、
図3の上下方向に関して互いに隣り合う1対のダミーパターン13の双方を跨ぐように形成され、1対のダミーパターン13の双方と、少なくとも部分的に、互いに平面的に重なるように形成されることが好ましい。すなわち本実施の形態において裏面凹部22は、1対のダミーパターン13のうち一方の斜面側辺13cと他方の斜面側辺13cとの双方の少なくとも一部と重なるように形成される。言い換えれば裏面凹部22は、劈開ライン15の延在する方向に交差する方向に関して、1対のダミーパターン13のうち一方の斜面側辺13cから他方の斜面側辺13cまでの距離よりも大きな寸法の幅を有している。
【0032】
図9を参照して、裏面凹部22が形成された劈開ライン15上の、一方の主表面11A上における一部(劈開の起点となる図の右側)に、劈開ライン15に沿う(たとえば劈開ライン15と重なる)ようにキズ17が形成される。ここではダミー形成領域におけるダミーパターン13および裏面凹部22が形成された領域よりも
図9の右側すなわち劈開の起点側における、一方の主表面11A上の劈開ライン15に、劈開ライン15とほぼ重なるように図の左右方向に延びるキズ17が形成される。このキズ17はたとえばダイヤモンド針を用いて所望の劈開ライン15に沿ったスクライブがなされることにより形成される。
【0033】
上記により形成された、劈開ライン15に沿うように
図3(
図9)の左右方向に延びるキズ17を起点として、たとえばブレード19を用いて、半導体ウェハ11がキズ17を含む、
図3に示す劈開ライン15に沿うように劈開される。具体的には、
図9に示す
図8のD1で示す領域に対して、たとえば他方の主表面11B側からブレード19が押し当てられる。ブレード19は半導体ウェハ11に対して、他方の主表面11B側から一方の主表面11A側に向けて荷重を加える。これにより半導体ウェハ11はD1で示す領域において、キズ17を起点として劈開しやすい結晶方位である劈開ライン15に沿って劈開される。半導体ウェハ11の劈開は、
図9の半導体ウェハ11(領域D1)の右側から左側まで主表面11A,11Bに沿う方向と、他方の主表面11B側から一方の主表面11A側までの半導体ウェハ11の厚み方向との双方向に進行する。これにより半導体ウェハ11は、個々の半導体発光素子12を含む複数の半導体チップとなるように分割される。
【0034】
次に、
図9〜
図11を参照しながら、本実施の形態の作用効果について説明する。
図10(A)を参照して、これは
図9のキズ17よりも左側(劈開の進行する方向)であるがダミーパターン13および裏面凹部22よりも右側の領域における断面の態様を示している。
図10(B)を参照して、これは
図9のダミーパターン13(斜面側辺13c)および裏面凹部22(沿面側辺22a)の形成される領域における断面の態様を示している。
図10(C)を参照して、これは
図9のダミーパターン13および裏面凹部22よりも左側の領域における断面の態様を示している。したがってキズ17を起点とする劈開は、
図10(A)の領域→
図10(B)の領域→
図10(C)の領域の順に進行する。
【0035】
図10および
図11を参照して、キズ17から劈開ライン15に沿って(キズ17と重なる劈開ライン15上を)劈開が進行すれば、当該劈開は
図10(A),(B),(C)のいずれの領域においても劈開ライン15から外れることなく直線状に進行する。この場合は劈開は1対のダミーパターン13のそれぞれの間の領域を通り、かつ当該領域の裏面凹部22すなわち半導体ウェハ11が薄くなった領域を通る。半導体ウェハ11が薄くなった領域は厚い領域に比べて劈開が起こりやすいため、裏面凹部22と劈開ライン15が重なった領域においては当該劈開ライン15に沿って容易に劈開を進行させることができる。
【0036】
次に
図11のずれ劈開ライン18のように、たとえばキズ17の先端(
図11の左側の端部)から劈開ライン15の方向に対して傾いた方向に劈開が進行する(起点ずれする)場合について考える。ずれ劈開ライン18はキズ17の先端と重なる(本来進むべき)劈開ライン15の延在方向に対して傾いた方向に少し進行した後、本来の劈開ライン15と平行な方向に、劈開ライン15に対して(
図10(A)の右側に)たとえば数μmずれた位置を進行する。このように劈開ライン15と平行な方向に劈開が進行するのは、上記のように当該方向に進行する劈開ライン15は半導体ウェハ11の全領域に無数に存在するためである。
図10(A)はこの領域において劈開ライン15と平行に進むずれ劈開ライン18を示している。
【0037】
本実施の形態においては裏面凹部22の劈開の起点に近い側の端部(第2の起点側端部)である交差面側辺22bは、ダミーパターン13の上記第1の起点側端部である交差面側辺13bよりも起点側に存在する(
図9参照)。このためずれ劈開ライン18はダミーパターン13に到達する前に裏面凹部22に到達する。しかし裏面凹部22に到達した後もずれ劈開ライン18は進行方向を変えることなくそのまままっすぐ進行する。
【0038】
劈開ライン15とずれ劈開ライン18との距離が、1対のダミーパターン13のそれぞれとその間の(本来進むべき)劈開ライン15との(第1の起点側端部における)最大の距離よりも小さい場合は、ずれ劈開ライン18はやがてダミーパターン13の斜面側辺13c上に達する。ダミーパターン13は上記のように主表面11Aに対して厚みを有し、かつ劈開しにくい半導体層、絶縁層、金属層により形成されている。このため斜面側辺13c上に達したずれ劈開ライン18はダミーパターン13上に乗り上げてそのまままっすぐ進むには抵抗が大きい。したがって
図9および
図10(B)に示すように、ずれ劈開ライン18は、主表面11Aから主表面11Bまで半導体ウェハ11の厚み方向の全体が、斜面側辺13cに沿って進行する。1対の斜面側辺13cは劈開の進行方向に進むにつれその間隔が狭くなるように形成されているため、ずれ劈開ライン18は斜面側辺13cに沿って進行することにより、劈開ライン15に近づくようにその進行方向が補正される。
【0039】
図11および
図10(C)を参照して、ダミーパターン13の終点側の端部よりも図の左側の領域においては、ずれ劈開ライン18は半導体ウェハ11の厚み方向の全体が本来進むべき劈開ライン15に近い位置にその進行方向が補正された状態で、他の方向に逸れることなく劈開ライン15に平行に進行する。このためずれ劈開ライン18の劈開ライン15に対する位置のずれの量が小さくなり、ずれの量を半導体発光素子12を個々のチップに分割する際に許容される寸法誤差の範囲内(劈開ライン15と第1の終点側端部との、図の上下方向の距離以内)に抑えることができる。
【0040】
ずれの量が補正されたずれ劈開ライン18は、裏面凹部22よりも終点側にまで進行した後も、進行方向が変わることなくそのまままっすぐ劈開ライン15に平行に進行することができる。
【0041】
上記のようにずれ劈開ライン18のずれを補正する効果は、特に1対のダミーパターン13に挟まれた領域と平面視において重なる領域の少なくとも一部(1対のダミーパターン13に挟まれた領域のうち特に劈開の起点側の領域)に裏面凹部22が形成されることにより顕著となる。また裏面凹部22が1対のダミーパターン13の双方と平面視において重なるように形成されるように1対のダミーパターン13の双方を跨ぐように形成されることにより、ダミーパターン13の斜面側辺13cと重なる領域の半導体ウェハ11が薄くなるため、ずれ劈開ライン18が斜面側辺13cに沿って進みやすくなる。
【0042】
ダミーパターン13の斜面側辺13cに沿うようにずれ劈開ライン18が進行するとともに、1対の斜面側辺13cに挟まれた領域の範囲内をずれ劈開ライン18が進行するよう補正するためには、特に起点側においてずれ劈開ライン18を進行させたい領域の半導体ウェハ11が薄くなるように、(1対のダミーパターン13の双方を跨ぐように重なる)裏面凹部22が形成される。
【0043】
以上をまとめると、劈開しにくい材質からなるダミーパターン13が形成された領域によりずれ劈開ライン18の進行方向を補正することができ、劈開しやすいよう厚みが小さくなった裏面凹部22により、補正後のずれ劈開ライン18の進行方向に劈開が進むことをより確実にすることができる。
【0044】
ずれ劈開ライン18の進行方向を上記のように補正可能とするためには以下の条件を満足することが好ましい。半導体ウェハ11が(100)基板である場合には、劈開ライン15,18は[01−1]方向または[0−11]方向に進行することが好ましく、結晶方位は(0−1−1)面に平行であることが好ましい。裏面凹部22が形成され薄くなった領域における半導体ウェハ11の厚みは50μm以下であり、
図10(B)の厚みt2に示すように裏面凹部22が形成される領域の全体においてほぼ同じ厚みであることが好ましい。ダミーパターン13は半導体層、絶縁層、金属層のいずれかにより形成されることが好ましいが、シリコン酸化膜などの酸化物層により形成されることが特に好ましい。またダミーパターン13はより劈開されにくくする観点から厚みt1(
図10(B)参照)が大きい方が好ましいが、0.1μm以上20μm以下の厚みt1を有することがより好ましい。
【0045】
(実施の形態2)
図12を参照して、本実施の形態においては、ダミー形成領域のうち
図3中にD1で示す1対のダミーパターン13のそれぞれが、互いに対向する1対の第1の側辺としての沿面側辺13a(第1の沿面側辺)と斜面側辺13c(第1の斜面側辺)とを有するように形成される。沿面側辺13aとは平面視において劈開ライン15に沿う(ほぼ平行な)方向に延在する面(側辺)を意味し、斜面側辺13cとは平面視において劈開ライン15の延在する方向に対して斜めの方向に延在する面(側辺)を意味する。
【0046】
斜面側辺13cは劈開ライン15に対して角度βを有している。斜面側辺13cの劈開ライン15に対する角度βは0°より大きく90°未満であることが好ましいが、中でも0°より大きく45°以下であることがより好ましい。
【0047】
1対の沿面側辺22aと1対の斜面側辺22cとのそれぞれは、劈開ライン15に関して互いに対称となるように形成される。また斜面側辺13cは沿面側辺13aよりも劈開の起点側(図の右側)に形成され、両者は図の左右方向に関して互いに連続するように形成される。
【0048】
本実施の形態においても、劈開ライン15を挟むように対向する1対のダミーパターン13は、その第1の側辺同士の間隔が、起点側において終点側よりも広くなるように形成される。このため1対の斜面側辺13cの間隔は、起点側から終点側に向けて次第に狭くなるように形成される。1対の斜面側辺13cの終点側の端点における間隔を維持するように、1対の沿面側辺13aが図の左右方向に延びている。
【0049】
本実施の形態においては裏面凹部22は、1対のダミーパターン13に挟まれた領域と平面視において重なる領域のうち、特に1対の起点側の交差面側辺13bの間の領域を含む、比較的起点側の領域のみに形成されている。しかし(実施の形態1のように)裏面凹部22は、1対のダミーパターン13に挟まれた領域と平面視において重なる領域の全体に形成されてもよい。裏面凹部22は矩形状の平面形状を有している。
【0050】
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0051】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態においても実施の形態1と同様に、たとえ
図11に示すようにずれ劈開ライン18が本来の劈開ライン15よりずれた位置を進行しても、これが1対のダミーパターン13を乗り上げて進行するのは困難である。このため1対のダミーパターン13の起点側の第1の側辺である斜面側辺13cに達したところで、劈開は斜面側辺13cに沿って進行するように位置が補正される。この補正は特に斜面側辺13cの真下の半導体ウェハ11が、裏面凹部22により薄くなっていることにより容易になる。
【0052】
このため斜面側辺13cよりも終点側の、1対の沿面側辺13aに挟まれた領域においては、斜面側辺13cよりも互いの間隔が狭い1対の沿面側辺13aの間の領域を、劈開ライン15に沿って進行することが可能となる。このためずれ劈開ライン18は本来の劈開ライン15に近い位置を他の方向に逸れることなく劈開ライン15に平行に進行することになり、半導体発光素子12を個々のチップに分割する際に許容される寸法誤差の範囲内に抑えることができる。
【0053】
なお本実施の形態においては裏面凹部22はダミーパターン13の起点側の領域のみと重なるように形成され、ダミーパターン13の終点側の領域とは重なっていない。しかし少なくとも起点側の領域においてダミーパターン13の斜面側辺13cの真下の裏面凹部22により劈開を斜面側辺13cに沿って進行させることができれば、以降(終点側)においては裏面凹部22が形成されていなくても、劈開しにくいダミーパターン13の斜面側辺13cに沿って劈開を進行させることができる。
【0054】
(実施の形態3)
図13を参照して、本実施の形態においては、ダミー形成領域のうち
図3中にD1で示す1対のダミーパターン13のそれぞれにおいて、互いに対向する1対の第1の側辺として沿面側辺13a(第1の沿面側辺)と交差面側辺13b(第1の交差面側辺)とが平面視において階段状を構成するように(図の左右方向に関して)交互に複数連続するように形成される。ここで交差面側辺13bとは平面視において劈開ライン15に交差する(ほぼ垂直な)方向に延在する面(側辺)を意味する。したがって沿面側辺13aと交差面側辺13bとは平面視においてほぼ直交するように形成される。
【0055】
階段状に形成されることにより、それぞれのダミーパターン13は、沿面側辺13aと交差面側辺13bとを複数有するように形成される。1対のダミーパターン13のうち一方と他方とは、劈開ライン15に関して互いに対称となるように形成される。このため一方のダミーパターン13のすべての沿面側辺13aと、他方のダミーパターン13のすべての沿面側辺13aとの長さもほぼ等しく、一方のダミーパターン13のすべての交差面側辺13bと、他方のダミーパターン13のすべての交差面側辺13bとの長さもほぼ等しい。
【0056】
それぞれの沿面側辺13aの長さは、それぞれの交差面側辺13bの長さ以上であることが好ましい。このようにすれば、階段状の第1の側辺13a,13b全体を巨視的に直線と近似してみたときに、その直線が劈開ライン15となす角度を実施の形態1,2の角度α、βと同様に0°より大きく45°未満とすることができる。このため実施の形態1,2と同様にずれ劈開ライン18の進行方向を補正する効果が高められる。
【0057】
本実施の形態においても、劈開ライン15を挟むように対向する1対のダミーパターン13は、その第1の側辺同士の間隔が、起点側において終点側よりも広くなるように形成される。
【0058】
また本実施の形態においては裏面凹部22は、実施の形態2と同様に、1対のダミーパターン13に挟まれた領域と平面視において重なる領域のうち、特に1対の起点側の端部における交差面側辺13bの間の領域を含む、比較的起点側の領域に形成されている。しかし(実施の形態1のように)裏面凹部22は、1対のダミーパターン13に挟まれた領域と平面視において重なる領域の全体に形成されてもよい。
【0059】
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0060】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態のようにダミーパターン13が階段状の側辺13a,13bを有する場合においても、特に上記のようにそれぞれの長さを調整することにより、ずれ劈開ライン18が1対のダミーパターン13に挟まれた領域内を進行するようにその進行の位置および方向を補正することができる。この効果は実施の形態1,2と同様に、裏面凹部22の存在により高められる。
【0061】
(実施の形態4)
図14を参照して、本実施の形態においては、裏面凹部22の、平面視において劈開ライン15の延在する方向に交差する方向(
図14の上下方向)に関する幅が、起点に近い図の右側の端部である交差面側辺22b(第2の起点側端部)において、その反対側すなわち劈開の終点に近い側の端部である交差面側辺22b(第2の終点側端部)よりも広くなるように形成される。
【0062】
より具体的には、本実施の形態の裏面凹部22は、劈開ライン15を挟むように対向する1対の第2の側辺として、1対の沿面側辺22a(第2の沿面側辺)と1対の斜面側辺22c(第2の斜面側辺)とを有するように形成される。沿面側辺22aとは平面視において劈開ライン15に沿う(ほぼ平行な)方向に延在する面(側辺)を意味し、斜面側辺22cとは平面視において劈開ライン15の延在する方向に対して斜めの方向に延在する面(側辺)を意味する。
【0063】
1対の沿面側辺22aと1対の斜面側辺22cとのそれぞれは、劈開ライン15に関して互いに対称となるように形成される。また斜面側辺22cは沿面側辺22aよりも劈開の起点側(図の右側)に形成され、両者は図の左右方向に関して互いに連続するように形成される。1対の斜面側辺13cは起点側より終点側に進むにつれてそれらの(図の上下方向の)間隔が次第に小さくなるように傾いて形成される。
【0064】
なお
図14においては実施の形態2(
図12)に比べて、劈開ライン15に沿う方向に関して沿面側辺13aが短く斜面側辺13cが長くなっているが、本実施の形態のダミーパターン13はこのような形態に限られず、
図12と同様の平面形状となるように形成されてもよい。
【0065】
図14においては、
図3中にD1で示す領域の1対のダミーパターン13のそれぞれが、実施の形態2と同様に、1対の沿面側辺13aと斜面側辺13cとを有するように形成される。そして1対のダミーパターン13のそれぞれの第1の側辺13a,13cと、裏面凹部22の1対の第2の側辺22a,22cとが互いに重なるように図示されている。しかしこのような態様に限らず、本実施の形態においても裏面凹部22が1対のダミーパターン13の双方を跨ぐように1対のダミーパターン13の双方と互いに重なるように形成され、第2の側辺22a,22cは1対のダミーパターン13内の領域と互いに重なるように形成されてもよい。また1対のダミーパターン13は実施の形態2のダミーパターン13の態様に限らず、実施の形態1,3のダミーパターン13と同様の態様を有していてもよい。いずれにおいても1対のダミーパターン13の第1の側辺13a,13cの真下の半導体ウェハ11が裏面凹部22により薄くなっていることが好ましい。
【0066】
以上の点において本実施の形態は、裏面凹部22が矩形の平面形状を有し図の上下方向に関する幅が一定となるように形成される実施の形態1〜3と異なっている。これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0067】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態においても、ずれ劈開ライン18の進行方向がダミーパターン13の斜面側辺13cにより補正される。この効果は斜面側辺13cの真下の半導体ウェハ11が薄くなった裏面凹部22により高められる。また沿面側辺13aの真下の半導体ウェハ11も裏面凹部22により薄くなっているため、ずれ劈開ライン18は沿面側辺13aに沿う方向に進行することができる。このため沿面側辺13aよりも終点側(第1の終点側端部よりも終点側)においてもずれ劈開ライン18は劈開ライン15に平行に、沿面側辺13aの延長線上を進むことができる。このためずれ劈開ライン18の劈開ライン15に対するずれ量を許容範囲内(劈開ライン15と沿面側辺13aとの、図の上下方向の距離以内)に収めることができる。
【0068】
また裏面凹部22の幅が第2の起点側端部において第2の終点側端部よりも広くなるように形成されることにより、終点側に向かうにつれて次第にその幅が狭くなることから、ずれ劈開ライン18の進行方向をその幅が狭くなった裏面凹部22の領域内に収めることができる。
【0069】
(実施の形態5)
図15を参照して、本実施の形態の裏面凹部22は、劈開ライン15を挟むように対向する1対の第2の側辺のそれぞれは、沿面側辺22a(第2の沿面側辺)と交差面側辺22b(第2の交差面側辺)とが平面視において階段状を構成するように(図の左右方向に関して)交互に複数連続するように形成されている。沿面側辺22aとは平面視において劈開ライン15に沿う(ほぼ平行な)方向に延在する面(側辺)を意味し、交差面側辺22bとは平面視において劈開ライン15の延在する方向に交差(直交)する方向に延在する面(側辺)を意味する。
【0070】
図15においては、
図3中にD1で示す領域の1対のダミーパターン13のそれぞれが、実施の形態3と同様に、第1の側辺として沿面側辺13a(第1の沿面側辺)と交差面側辺13b(第1の交差面側辺)とが平面視において階段状を構成するように形成される。そして1対のダミーパターン13のそれぞれの階段状を構成する第1の側辺13a,13bと、裏面凹部22の階段状を構成する1対の第2の側辺22a,22bとが互いに重なるように図示されている。しかしこのような態様に限らず、本実施の形態においても裏面凹部22が1対のダミーパターン13の双方を跨ぐように1対のダミーパターン13の双方と互いに重なるように形成され、第2の側辺22a,22cは1対のダミーパターン13内の領域と互いに重なるように形成されてもよい。また1対のダミーパターン13は実施の形態3のダミーパターン13の態様に限らず、実施の形態1,2のダミーパターン13と同様の態様を有していてもよい。いずれにおいても1対のダミーパターン13の第1の側辺13a,13bの真下の半導体ウェハ11が裏面凹部22により薄くなっていることが好ましい。
【0071】
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態4の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0072】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態においても、ずれ劈開ライン18の進行方向がダミーパターン13の第1の側辺である沿面側辺13aおよび交差面側辺13bにより補正され、第1の側辺に沿って進行する。この効果は斜面側辺13cの真下の半導体ウェハ11が薄くなった裏面凹部22により高められる。このため沿面側辺13aよりも終点側(第1の終点側端部よりも終点側)においてもずれ劈開ライン18は劈開ライン15に平行に、最も終点側の沿面側辺13aの延長線上を進むことができる。このためずれ劈開ライン18の劈開ライン15に対するずれ量を許容範囲内(劈開ライン15と沿面側辺13aとの、図の上下方向の距離以内)に収めることができる。
【0073】
また階段状の平面形状を有する裏面凹部22の幅が第2の起点側端部において第2の終点側端部よりも広くなるように形成されることにより、終点側に向かうにつれて次第にその幅が狭くなることから、ずれ劈開ライン18の進行方向をその幅が狭くなった裏面凹部22の領域内に収めることができる。
【0074】
(実施の形態6)
図16を参照して、本実施の形態においては実施の形態4と同様に、裏面凹部22が劈開ライン15を挟むように対向する1対の第2の側辺として、1対の沿面側辺22a(第2の沿面側辺)と1対の斜面側辺22c(第2の斜面側辺)とを有するように形成される。ただし本実施の形態においては斜面側辺22cは沿面側辺22aよりも劈開の終点側(図の左側)に形成される点において、斜面側辺22cは沿面側辺22aよりも劈開の起点側(図の右側)に形成される実施の形態4と異なっている。本実施の形態においても沿面側辺22aと斜面側辺22cとは図の左右方向に関して互いに連続するように形成される。
【0075】
また本実施の形態においては、1対のダミーパターン13についても裏面凹部22と同様に、斜面側辺13cは沿面側辺13aよりも劈開の終点側(図の左側)に形成され、沿面側辺13aと斜面側辺13cとは図の左右方向に関して互いに連続するように形成される。1対の斜面側辺13cは起点側より終点側に進むにつれてそれらの(図の上下方向の)間隔が次第に小さくなるように傾いて形成される。このため1対の斜面側辺13cは第1の終点側端部(1対の斜面側辺13cの交点)においてはそれらの間隔が小さくなる方向に傾いた形状を有するように形成される。
【0076】
裏面凹部22について、1対の沿面側辺22aと1対の斜面側辺22cとのそれぞれは、劈開ライン15に関して互いに対称となるように形成される。このため第2の終点側端部に相当する1対の斜面側辺22cの交点は劈開ライン15上に形成されることが好ましい。
【0077】
図16においても
図14,15と同様に、
図3中にD1で示す領域の1対のダミーパターン13の第1の側辺13a,13cが、裏面凹部22の第2の側辺22a,22cと互いに重なるように図示されている。しかしこのような態様に限らず、本実施の形態においても裏面凹部22が1対のダミーパターン13の双方を跨ぐように1対のダミーパターン13の双方と互いに重なるように形成され、第2の側辺22a,22cは1対のダミーパターン13内の領域と互いに重なるように形成されてもよい。また1対のダミーパターン13は実施の形態1,2,3のダミーパターン13と同様の態様を有していてもよい。1対のダミーパターン13の第1の側辺13a,13cの真下の半導体ウェハ11が裏面凹部22により薄くなっていることが好ましい。
【0078】
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態4の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0079】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態においても、ずれ劈開ライン18の進行方向がダミーパターン13の沿面側辺13aにより補正される。この効果は沿面側辺13aの真下の半導体ウェハ11が薄くなった裏面凹部22により高められる。また第1の側辺13a,13cの真下の半導体ウェハ11も裏面凹部22により薄くなっているため、ずれ劈開ライン18は沿面側辺13aに沿って進行することができる。
【0080】
さらにずれ劈開ライン18は、裏面凹部22の斜面側辺22cに沿って進行させることも可能である。これは裏面凹部22(斜面側辺22c)の外側は内側に比べて半導体ウェハ11の厚みが大きいため、抵抗が大きく劈開が進行しにくいためである。この場合、仮にずれ劈開ライン18が斜面側辺22cの第2の終点側端部に達すれば、これよりも終点側の領域にて劈開を劈開ライン15上に進行させることができる可能性が高くなる。これは第2の終点側端部と劈開ライン15とがほぼ交わるように形成されるため、斜面側辺22cに沿って進み第2の終点側端部に達したずれ劈開ライン18はそこで劈開ライン15上を進むように進行方向を変更させることが比較的容易にできるためである。
【0081】
(実施の形態7)
図17を参照して、本実施の形態においては、ダミー形成領域のうち
図3中にD1で示す領域の1対のダミーパターン13のそれぞれおよび裏面凹部22は、実施の形態2の
図12におけるそれぞれと同様の平面形状および配置を有するように形成される。しかし
図18を参照して、本実施の形態においては、裏面凹部22の一部である半導体ウェハ11の主表面11A,11Bに概ね対向する裏面凹部底面22dが、主表面11Aに対して傾斜した角度γを有するように形成される。
【0082】
裏面凹部22が形成され薄くなった領域における半導体ウェハ11の厚みt2(
図18参照)は、
図17の上下方向(
図18の左右方向)つまり平面視において劈開ライン15の延在する方向に交差する方向に関する裏面凹部22の中央部CT(
図18参照)において最小になることが好ましい。すなわち上記の中央部CTにおいて裏面凹部底面22dと半導体ウェハ11の一方の主表面11Aとの
図18の上下方向に関する距離が最小になることが好ましい。そして
図17の上下方向(
図18の左右方向)に関して中央部CTから離れるにつれて裏面凹部底面22dと主表面11Aとの
図18の上下方向に関する距離(厚みt2)が次第に増加するよう、裏面凹部底面22dは主表面11A,11Bに対して傾斜した角度γを有するように形成される。
【0083】
ここで主表面11A,11Bに対して傾斜した角度γを有する裏面凹部底面22dを形成する方法について説明する。たとえば
図5および
図6と同様の処理により半導体ウェハ11の主表面11Bに通常の(深さが一定の)裏面凹部22を形成した後、たとえば塩酸とリン酸とをおよそ1:5の割合で混合した薬液による通常のウェットエッチングがなされる。これにより裏面凹部22の特に主表面11Aと対向する底面のみが選択的にエッチングされ、裏面凹部底面22dが主表面11Aに対してたとえば約35°の傾斜角度γを有する斜面として形成される。
【0084】
裏面凹部底面22dは、
図18の中央部CTに向けて主表面11Aとの距離である厚みt2が小さくなるように傾斜した形状を有し、中央部CTを境とする2つの平面を有するように形成されることが好ましい。裏面凹部22の1対の沿面側辺22aおよび上記2つの平面は、中央部CTに関して互いに対称となるように形成される。
【0085】
ただし上記の傾斜角度γはあくまで一例であり、上記のウェットエッチングにより裏面凹部底面22dを形成する場合には、当該角度γは60°以下とすることが好ましい。たとえば結晶方位が(111)面に平行である場合には角度γは57°、結晶方位が(211)面に平行である場合には角度γは35°、結晶方位が(311)面に平行である場合には角度γは25°であることが好ましい。
【0086】
以上の点において本実施の形態は、裏面凹部底面22dが半導体ウェハ11の主表面11A,11Bの広がる方向に沿うように広がりながら対向する(たとえば
図10(B)における裏面凹部22の厚みt2がその全体において一定である)実施の形態1〜6と異なっている。
【0087】
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態2の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0088】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態においても基本的に上記の各実施の形態と同様に、ダミーパターン13と裏面凹部22とにより、ずれ劈開ライン18の進行する方向が補正される効果を有する。これに加えて本実施の形態においては、裏面凹部底面22dのうち特に中央部CTにおいて裏面凹部底面22dの他の領域よりもさらに半導体ウェハ11が薄くなるように加工がなされている。つまり半導体ウェハ11が特に(最も)薄くなった中央部CTにおいてはいっそう劈開が起こりやすくなる。このため、1対のダミーパターン13に挟まれた領域に重なる裏面凹部22内を進行するずれ劈開ライン18は、斜面側辺13cに沿って進行した後に、より高い確率で中央部CT上を進行させることができる。
【0089】
ここで裏面凹部底面22dの中央部CTは、本来進行すべき劈開ライン15の位置にほぼ等しくなるため、斜面側辺13cに沿って進行したずれ劈開ライン18は、やがて中央部CTに達したところでそれ以降は劈開ライン15上を進行する可能性が高くなる。言い換えれば裏面凹部22よりも終点側において、本来進行すべき劈開ライン15上を進行するように劈開させることができる可能性が高くなる。このため本実施の形態においては、劈開により形成される半導体チップの寸法などの信頼性をいっそう高めることが期待できる。
【0090】
(実施の形態8)
図19を参照して、本実施の形態においては、ダミー形成領域における一方の主表面11Aの一部に、ダミーパターン13の代わりに、凹部としての表面凹部23が形成される。表面凹部23は裏面凹部22と同様に、たとえばフォトレジストを用いた通常の写真製版技術およびエッチングにより半導体ウェハ11が主表面11Aから主表面11B側に向けて部分的に除去され薄くなることにより形成される。表面凹部23は、たとえば半導体発光素子12の並ぶ行方向または列方向のいずれかに沿うように、複数形成される。
【0091】
本実施の形態においても素子形成領域には上記の他の実施の形態と同様に半導体発光素子12が形成される。そして複数の半導体発光素子12のうち
図1の上下方向に関して互いに隣り合う1対の半導体発光素子12の間の領域には、
図1の左右方向に並ぶ複数の半導体発光素子12のいずれとも交わらないように、1本の劈開ライン15が延びる。表面凹部23は1対の半導体発光素子12の間の領域を図の左右方向に延びる劈開ライン15の少なくとも一部(特にダミー形成領域の一部における劈開ライン15)と重なるように形成される。
【0092】
図20を参照して、ダミー形成領域のうち
図19中にD2で示す領域において、表面凹部23はたとえば
図16(実施の形態6)の裏面凹部22と同様の平面形状を有している。すなわち、まず表面凹部23は、平面視において劈開ライン15の延在する方向に交差する方向(
図20の上下方向)に関する幅が、起点に近い図の右側の端部である交差面側辺23b(第3の起点側端部)において、その反対側すなわち劈開の終点に近い側の端部である第3の終点側端部(1対の斜面側辺23cの交点)よりも広くなるように形成される。
【0093】
また表面凹部23は、
図16(実施の形態6)の裏面凹部22と同様に、劈開ライン15を挟むように対向する1対の第3の側辺として、1対の沿面側辺23a(第3の沿面側辺)と1対の斜面側辺23c(第3の斜面側辺)とを有するように形成される。斜面側辺23cは沿面側辺23aよりも劈開の終点側(図の左側)に形成され、沿面側辺23aと斜面側辺23cとは図の左右方向に関して互いに連続するように形成される。
【0094】
ここで1対の斜面側辺23cが劈開ライン15となす角度は0°より大きく90°未満であることが好ましいが、中でも0°より大きく45°以下であることがより好ましい。
【0095】
図21を参照して、表面凹部23が形成された半導体ウェハ11(
図19中にD2で示す領域を含む)において、
図9に示す工程と同様にキズ17が形成され、ブレード19により、半導体ウェハ11がキズ17を含む
図1に示す劈開ライン15に沿うように劈開される。
【0096】
表面凹部23について、1対の沿面側辺23aと1対の斜面側辺23cとのそれぞれは、劈開ライン15に関して互いに対称となるように形成される。このため第3の終点側端部に相当する1対の斜面側辺23cの交点は劈開ライン15上に形成されることが好ましい。
【0097】
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0098】
次に、
図21〜
図22を参照しながら、本実施の形態の作用効果について説明する。
図22(A)を参照して、これは
図21のキズ17よりも左側(劈開の進行する方向)であるが表面凹部23よりも右側の領域における断面の態様を示している。
図22(B)を参照して、これは
図21の表面凹部23(斜面側辺23c)の形成される領域における断面の態様を示している。
図22(C)を参照して、これは
図21の表面凹部23よりも左側の領域における断面の態様を示している。
【0099】
図22(A)のように劈開ライン15に対して(図の右側に)ずれた位置を劈開ライン15の延びる方向に沿って
図21の右側から左側へ進行するずれ劈開ライン18は、表面凹部23内に到達した後も進行方向を変えることなくそのまままっすぐ進行する。
【0100】
しかしずれ劈開ライン18が表面凹部23の斜面側辺23cに達すれば、斜面側辺23cに沿うように進行方向が補正される。これは斜面側辺23c(表面凹部23)の外側は内側に比べて半導体ウェハ11の厚みが大きいため、ずれ劈開ライン18が斜面側辺23cをそのまままっすぐ進むには抵抗が大きいためである。
【0101】
1対の斜面側辺23cに沿って進行するずれ劈開ライン18は、第3の終点側端部に相当する1対の斜面側辺23cの交点にて、その交点と交わる劈開ライン15上に比較的容易に乗せることができる。このためずれ劈開ライン18は、表面凹部23よりも終点側においては、
図22(C)に示すように高い確率で劈開ライン15上を進行させることができるため、劈開の位置のずれを高い確率で(ほぼ完全に)排除することができる。
【0102】
なお本実施の形態においては表面凹部23のみが形成され、裏面凹部22は形成されない。この場合においても一方の主表面11Aから他方の主表面11Bまで(すなわち裏面側である主表面11B側も含めて)半導体ウェハ11をずれることなく劈開することを可能とするためには、ずれ劈開ライン18の進行方向を補正する斜面側辺23cが形成される領域の半導体ウェハ11の厚みをなるべく薄くすることが好ましい。このようにするためには、表面凹部23の特に斜面側辺23cの、半導体ウェハ11の厚み方向の深さは10μm以上であり、斜面側辺23cの主表面11A,11Bの延在方向に対する傾斜角度は0°より大きく45°未満であることが好ましい。さらに第3の起点側端部である交差面側辺23bの、
図20の上下方向の幅は50μm以下であることが好ましい。
【0103】
さらに、たとえば実施の形態1〜7においてはダミーパターン13の斜面側辺13cと裏面凹部22の側辺とが互いに重なるように一致すれば、当該斜面側辺13cがずれ劈開ライン18の進行方向を補正する効果がいっそう高められる。本実施の形態においてはこのようなダミーパターン13と裏面凹部22とが互いに重なる構成は形成されず、表面凹部23のみが形成される。つまり本実施の形態においては1つの領域である斜面側辺23cは、ダミーパターン13と裏面凹部22の側辺とが互いに重なってあたかも1つの領域のみを構成する場合と同様の機能を有することにより、ずれ劈開ライン18の進行方向を補正する効果がいっそう高められる。
【0104】
(実施の形態9)
図23を参照して、本実施の形態においては、ダミー形成領域のうち
図19中にD2で示す領域に形成される表面凹部23は、たとえば
図14(実施の形態4)の裏面凹部22と同様の平面形状を有している。すなわち表面凹部23は、劈開ライン15を挟むように対向する1対の第3の側辺として、1対の沿面側辺23a(第3の沿面側辺)と1対の斜面側辺23c(第3の斜面側辺)とを有するように形成される。斜面側辺23cは沿面側辺23aよりも劈開の起点側(図の右側)に形成され、沿面側辺23aと斜面側辺23cとは図の左右方向に関して互いに連続するように形成される。また表面凹部23の第3の起点側端部と第3の終点側端部とは1対の交差面側辺23bとして形成される。
【0105】
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態8の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0106】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態においても実施の形態8と同様に、劈開ライン15にほぼ平行に進行し、表面凹部23の第3の側辺である沿面側辺23aまたは斜面側辺23cに達したずれ劈開ライン18は、沿面側辺23aまたは斜面側辺23cに沿うように進行方向が補正される。第3の終点側端部における、
図23の上下方向に関する幅が第3の起点側端部における当該幅よりも狭くなっているため、表面凹部23の第3の側辺に沿うように進行するずれ劈開ライン18は、劈開ライン15に近い位置を進行するように進行方向が補正される。
【0107】
このため沿面側辺23aよりも終点側(第3の終点側端部である交差面側辺23bよりも終点側)においてもずれ劈開ライン18は劈開ライン15に平行に、最も終点側の沿面側辺23aの延長線上を進むことができる。このためずれ劈開ライン18の劈開ライン15に対するずれ量を許容範囲内(劈開ライン15と沿面側辺23aとの、図の上下方向の距離以内)に収めることができる。
【0108】
(実施の形態10)
図24を参照して、本実施の形態においては、ダミー形成領域のうち
図19中にD2で示す領域に形成される表面凹部23は、たとえば
図15(実施の形態5)の裏面凹部22と同様の平面形状を有している。すなわち表面凹部23は、劈開ライン15を挟むように対向する1対の第3の側辺のそれぞれは、沿面側辺23a(第3の沿面側辺)と交差面側辺23b(第3の交差面側辺)とが平面視において階段状を構成するように(図の左右方向に関して)交互に複数連続するように形成されている。また表面凹部23の第3の起点側端部と第3の終点側端部とは1対の交差面側辺23bとして形成される。
【0109】
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態8の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0110】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態においても、ずれ劈開ライン18の進行方向が表面凹部の第3の側辺である沿面側辺23aおよび交差面側辺23bにより補正され、第3の側辺に沿って進行する。このため上記の他の実施の形態と同様に、ずれ劈開ライン18の劈開ライン15に対するずれ量を許容範囲内(劈開ライン15と沿面側辺23aとの、図の上下方向の距離以内)に収めることができる。
【0111】
(実施の形態11)
図25を参照して、本実施の形態においては、ダミー形成領域のうち
図19中にD2で示す領域の表面凹部23は、実施の形態8の
図20におけるそれぞれと同様の平面形状および配置を有するように形成される。しかし
図26を参照して、本実施の形態においては、表面凹部23の一部である半導体ウェハ11の主表面11A,11Bに概ね対向する表面凹部底面23dが、主表面11Bに対して傾斜した角度γを有するように形成される。
【0112】
表面凹部底面23dを有する表面凹部23の態様は、基本的に実施の形態7の傾斜した裏面凹部底面22dを有する裏面凹部22の態様と同様である。すなわち表面凹部23が形成され薄くなった領域における半導体ウェハ11の厚みt2(
図26参照)は、
図25の上下方向(
図26の左右方向)つまり平面視において劈開ライン15の延在する方向に交差する方向に関する表面凹部23の中央部CT(
図18参照)において最小になることが好ましい。そして
図25の上下方向(
図26の左右方向)に関して中央部CTから離れるにつれて表面凹部底面23dと主表面11Bとの
図26の上下方向に関する距離(厚みt2)が次第に増加するよう、表面凹部底面23dは主表面11A,11Bに対して傾斜した角度γを有するように形成される。
【0113】
角度γの好ましい条件については基本的に実施の形態7の角度γと同様である。
表面凹部底面23dは、
図26の中央部CTに向けて主表面11Bとの距離である厚みt2が小さくなるように傾斜した形状を有し、中央部CTを境とする2つの平面を有するように形成されることが好ましい。表面凹部23の1対の沿面側辺23aおよび上記2つの平面は、中央部CTに関して互いに対称となるように形成される。
【0114】
本実施の形態の表面凹部底面23dを有する表面凹部23は、実施の形態7の裏面凹部22と同様の手法により形成される。
【0115】
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態8の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0116】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態においては、表面凹部23の中でも半導体ウェハ11が特に(最も)薄くなった、いっそう劈開が起こりやすい中央部CTが形成される。このため、実施の形態7と同様に、表面凹部23内を進行するずれ劈開ライン18は、より高い確率で中央部CT上を進行させることができる。
【0117】
ここで表面凹部底面23dの中央部CTは、本来進行すべき劈開ライン15の位置にほぼ等しくなるため、斜面側辺23cに沿って進行したずれ劈開ライン18は、やがて中央部CTに達したところでそれ以降は劈開ライン15上を進行する可能性が高くなる。これは第3の終点側端部に相当する1対の斜面側辺23cの交点にて、その交点と交わる劈開ライン15上に比較的容易に乗せることができるためである。
【0118】
本実施の形態においては、特に表面凹部23よりも終点側の領域において、本来進行すべき劈開ライン15上を進行するように劈開させることができる可能性が高くなる。このため本実施の形態においては、劈開により形成される半導体チップの寸法などの信頼性をいっそう高めることが期待できる。
【0119】
(実施の形態12)
図27を参照して、本実施の形態においては、ダミー形成領域のうち
図3中にD1で示す領域に形成される実施の形態2(
図12)の態様を有するダミーパターン13および裏面凹部22と、
図19中にD2で示す領域に形成される実施の形態8(
図20)の態様を有する表面凹部23との双方が組み合わせられるように形成される。
【0120】
逆に言えば本実施の形態においては、実施の形態8(
図20)と同様に表面凹部23が形成されるダミー形成領域の主表面11Aに、実施の形態2(
図12)と同様に劈開ライン15を挟むように1対のダミーパターン13が形成され、さらに実施の形態2(
図12)と同様の裏面凹部22が形成される。
【0121】
ここで裏面凹部22は、実施の形態2と同様に、
図1の上下方向に関して互いに隣り合う1対のダミーパターン13の双方を跨ぐように形成され、1対のダミーパターン13の双方と、少なくとも部分的に、互いに平面的に重なるように形成されることが好ましい。
【0122】
一方、表面凹部23は、
図27においては、1対の斜面側辺23cのそれぞれが1対のダミーパターン13のそれぞれの斜面側辺13cと互いに重なるように図示されている。しかしこのような態様に限らず、表面凹部23が1対のダミーパターン13の双方を跨ぐように1対のダミーパターン13の双方と互いに重なるように形成され、第3の側辺23a,23cは1対のダミーパターン13内の領域と互いに重なるように形成されてもよい。
【0123】
以上のように本実施の形態においては半導体発光素子12(
図3,19参照)と表面凹部23と裏面凹部22とダミーパターン13とが形成されるが、これらの形成される順序は不問である。またたとえば半導体発光素子12とダミーパターン13とが同時に形成されてもよく、このようにすれば工程数を削減することができる。
【0124】
図28(A)を参照して、これは
図27の表面凹部23が形成される領域でありかつ裏面凹部22が形成される領域よりも右側の領域における断面の態様を示している。
図28(B)を参照して、これは
図27の表面凹部23と裏面凹部22とが重なりかつダミーパターン13と裏面凹部22とが重なる領域における断面の態様を示している。
図28(C)を参照して、これは
図27の表面凹部23および裏面凹部22よりも終点側でありダミーパターン13が形成された領域における断面の態様を示している。
【0125】
たとえば
図28(B)に示す表面凹部23と裏面凹部22とが互いに重なる領域においては、表面凹部23と裏面凹部22とのそれぞれの、半導体ウェハ11の厚み方向の深さを制御することにより、これらの重なる領域においても半導体ウェハ11の厚みを確保することができる。なお表面凹部23と裏面凹部22との少なくともいずれかが形成される領域における半導体ウェハ11の厚みは50μm以下であることが好ましい。
【0126】
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態2,8の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0127】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
たとえば実施の形態2においては、たとえば
図28(B)に示すようにダミーパターン13に沿うようにずれ劈開ライン18を劈開させることにより、ずれ劈開ライン18のずれの量が許容範囲内に収まるように小さくすることができる。しかしダミーパターン13の沿面側辺13aと劈開ライン15との、
図27の上下方向に関する距離分だけのずれの量が残る。
【0128】
しかし本実施の形態においては、実施の形態2の構成に加えて実施の形態8の(劈開ライン15に対して対称である)表面凹部23が形成される。このため、
図28(B)に示すように1対の斜面側辺23cに沿って進行するずれ劈開ライン18は、第3の終点側端部に相当する1対の斜面側辺23cの交点にて、その交点と交わる劈開ライン15上に比較的容易に乗せることができる。このためずれ劈開ライン18は、表面凹部23よりも終点側においては、
図28(C)に示すように高い確率で劈開ライン15上を進行させることができるため、劈開の位置のずれを高い確率で(ほぼ完全に)排除することができる。
【0129】
視点を変えれば、本実施の形態においてはダミーパターン13と表面凹部23とに加えて裏面凹部22が形成される。このためたとえば表面凹部23のみが形成される場合に比べて劈開ライン15上の一部の領域の半導体ウェハ11の厚みをいっそう薄くすることができる(
図28(B)参照)。このため実施の形態2,8に比べてより確実にずれ劈開ライン18の劈開の進行方向が劈開ライン15上に乗るように補正することができる。
【0130】
なお本実施の形態においては、実施の形態2のダミーパターン13および裏面凹部22に実施の形態8の表面凹部23を組み合わせて形成する例について説明したが、本実施の形態において適用可能な形成例はこれに限らず、他の実施の形態の構成同士を任意に組み合わせてもよい。たとえば実施の形態3のダミーパターン13および裏面凹部22に実施の形態10の表面凹部23を組み合わせて形成してもよい。
【0131】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。