特許第6033260号(P6033260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033260
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】浴室暖房装置
(51)【国際特許分類】
   F24D 15/00 20060101AFI20161121BHJP
   F24D 5/04 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   F24D15/00 B
   F24D5/04 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-132648(P2014-132648)
(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公開番号】特開2016-11769(P2016-11769A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2015年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 良将
(72)【発明者】
【氏名】森 浩彰
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−276966(JP,A)
【文献】 特開2008−089284(JP,A)
【文献】 特開2002−195578(JP,A)
【文献】 特開2008−215693(JP,A)
【文献】 特開2003−262350(JP,A)
【文献】 特開平09−273805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 5/00 − 15/04
F24D 19/10
F24F 11/00 − 11/08
F26B 9/02
A47K 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内の空気を空気循環路を介して循環させる循環ファンと、
前記空気循環路を流通する空気を加熱する空気加熱部と、
浴室内の温度を検出する浴室温度検出部と、
前記循環ファンと前記空気加熱部とを作動させることにより浴室を暖房する浴室暖房運転を実行する制御部と、
前記浴室暖房運転が所定時点に開始されたときに、該所定時点から所定時間が経過するまでの間の前記浴室温度検出部による検出温度の上昇幅を測定し、該上昇幅に基づいて浴室の扉の開閉状態を検知するための判定値を設定する判定値設定部と、
前記所定時点以降に前記浴室暖房運転が開始されたときに、該所定時点以降の浴室暖房運転の開始時から前記所定時間が経過するまでの間の前記浴室温度検出部による検出温度の上昇幅が、前記判定値以下であるときには、浴室の扉が開いていると検知する扉開閉検知部と、
外気温度を検出する外気温度検出部と、
前記判定値が設定された時の前記外気温度検出部の検出温度である設定時外気温と、前記扉開閉検知部により浴室の扉が開いていることを検知する時の前記外気温度検出部の検出温度である現在外気温との相違に応じて、該設定時外気温よりも該現在外気温の方が高いときは前記判定値を大きくし、該設定時外気温よりも該現在外気温の方が低いときには前記判定値を小さくする第1判定値補正部と
を備えたことを特徴とする浴室暖房装置。
【請求項2】
浴室内の空気を空気循環路を介して循環させる循環ファンと、
前記空気循環路を流通する空気を加熱する空気加熱部と、
浴室内の温度を検出する浴室温度検出部と、
前記循環ファンと前記空気加熱部とを作動させることにより浴室を暖房する浴室暖房運転を実行する制御部と、
前記浴室暖房運転が所定時点に開始されたときに、該所定時点から所定時間が経過するまでの間の前記浴室温度検出部による検出温度の上昇幅を測定し、該上昇幅に基づいて浴室の扉の開閉状態を検知するための判定値を設定する判定値設定部と、
前記所定時点以降に前記浴室暖房運転が開始されたときに、該所定時点以降の浴室暖房運転の開始時から前記所定時間が経過するまでの間の前記浴室温度検出部による検出温度の上昇幅が、前記判定値以下であるときには、浴室の扉が開いていると検知する扉開閉検知部と、
浴槽内の湯水を加熱する機能を有する熱源機によって、浴槽内の湯の温度を所定温度範囲に維持する浴槽保温運転が実行されていることを検知する浴槽保温検知部と、
前記浴槽保温検知部により、前記浴槽保温運転が実行されていることが検知されているときに、前記浴槽保温運転が実行されていることが検知されていないときよりも、前記判定値を大きくする第2判定値補正部と
を備えたことを特徴とする浴室暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の扉の開閉状態を検知する機能を有する浴室暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴室暖房装置に浴室の扉の開閉状態を検出する手段を備えて、浴室の暖房運転中に浴室の扉が開いていることを検知したときに、暖房運転を停止すると共に警報を出力するようにした構成が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された構成では、暖房運転中の浴室の温度に基づいて浴室の扉が開いていることを検知している。また、特許文献2に記載された構成では、ドアセンサにより浴室の扉が開いていることを検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−203359号公報
【特許文献2】特開2001−330262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された浴室暖房装置のように、浴室の温度に基づいて浴室の扉が開いていることを検知する場合には、特許文献2に記載された浴室暖房装置が備えたドアセンサを省略することができる。
【0006】
しかしながら、本願発明者らは、浴室の温度に基づいて浴室の扉が開いていることを検知する場合に、種々の要因によって検知精度が低下する場合があることを知見した。
【0007】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、浴室の温度に基づく浴室の扉の開閉状態の検知精度を高めた浴室暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、本発明の浴室暖房装置は、
浴室内の空気を空気循環路を介して循環させる循環ファンと、
前記空気循環路を流通する空気を加熱する空気加熱部と、
浴室内の温度を検出する浴室温度検出部と、
前記循環ファンと前記空気加熱部とを作動させることにより浴室を暖房する浴室暖房運転を実行する制御部と、
前記浴室暖房運転が所定時点に開始されたときに、該所定時点から所定時間が経過するまでの間の前記浴室温度検出部による検出温度の上昇幅を測定し、該上昇幅に基づいて浴室の扉の開閉状態を検知するための判定値を設定する判定値設定部と、
前記所定時点以降に前記浴室暖房運転が開始されたときに、該所定時点以降の浴室暖房運転の開始時から前記所定時間が経過するまでの間の前記浴室温度検出部による検出温度の上昇幅が、前記判定値以下であるときには、浴室の扉が開いていると検知する扉開閉検知部と
を備えている
【0009】
かかる本発明において、前記浴室暖房運転を開始したときの浴室の温度の上昇度合は、浴室の広さや前記循環ファン及び前記空気加熱器の能力等によって変化する。そのため、前記判定値を固定値に設定すると、前記浴室暖房装置の使用環境によっては前記扉検知部による浴室の扉が開いていることの検知精度が低下するおそれがある。また、前記判定値を浴室の広さや前記循環ファン及び前記空気加熱器の能力等に合わせて設定することも考えられるが、この場合には前記浴室暖房装置の設置状況に応じた個別の対応が必要になるため、設置時の作業工数が増大するという不都合がある。
【0010】
そこで、本発明においては、前記判定値設定部により、前記所定時点に前記浴室暖房運転が開始されたときの浴室の温度上昇幅に基づいて前記判定値を設定する。そして、前記浴室扉検知部は、前記判定値を用いて浴室の扉が開いていることを検知する。これにより、前記浴室暖房装置の使用環境に応じた前記判定値を容易に設定して、浴室の扉の開閉状態を検知することができるので、前記扉開閉検知部による浴室の扉の開閉状態の検知精度を高めることができる。
【0011】
そして、本発明の第1の態様は、外気温度を検出する外気温度検出部と、
前記判定値が設定された時の前記外気温度検出部の検出温度である設定時外気温と、前記扉開閉検知部により浴室の扉が開いていることを検知する時の前記外気温度検出部の検出温度である現在外気温との相違に応じて、該設定時外気温よりも該現在外気温の方が高いときは前記判定値を大きくし、該設定時外気温よりも該現在外気温の方が低いときには前記判定値を小さくする第1判定値補正部と
を備えたことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、外気温度の相違による浴室暖房運転を開始したときの浴室の温度上昇のし易さに応じて、前記第1判定値補正部により前記判定値が補正されるため、前記扉開閉検知部による浴室の扉の開閉状態の検知精度をさらに高めることができる。
【0013】
また、本発明の第2の態様は、浴槽内の湯水を加熱する機能を有する熱源機によって、浴槽内の湯の温度を所定温度範囲に維持する浴槽保温運転が実行されていることを検知する浴槽保温検知部と、
前記浴槽保温検知部により、前記浴槽保温運転が実行されていることが検知されているときに、前記浴槽保温運転が実行されていることが検知されていないときよりも、前記判定値を大きくする第2判定値補正部と
を備えたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、前記浴室保温運転が実行されているときは、浴槽内の湯からの放熱によって浴室内がある程度暖められているため、前記浴室暖房運転が開始された時に浴室内の温度が上昇し易い状態になっている。そこで、前記第2判定値補正部は、前記第2判定値補正部によって、前記浴槽保温運転が実行されていることが検知されているときに、前記浴槽保温運転が実行されていることが検知されていないときよりも、前記判定値を大きくする。これにより、浴室の温度の上昇し易さに合わせて前記判定値が設定されるため、前記扉開閉検知部による浴室の扉の開閉状態の検知精度をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】浴室暖房装置の設置態様を示す説明図。
図2図1に示した浴室暖房装置の構成図。
図3】浴室の扉の開閉状態を検知する処理の第1のフローチャート。
図4】浴室の扉の開閉状態を検知する処理の第2のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、図1図4を参照して説明する。
【0017】
図1を参照して、本実施形態の浴室暖房装置2は浴室BRの天井に設置され、屋外に設置された熱源機8及び浴室BRに設置された換気装置3と共に、空調システム1を構成している。
【0018】
熱源機8と浴室暖房装置2とは温水循環路12によって接続され、熱源機8で加熱された温水が浴室暖房装置2に循環供給される。
【0019】
換気装置3は、脱衣室DRの換気口に連通したダクト22、トイレTRの換気口に連通したダクト24、浴室暖房装置2の浴室用吸気口17(図2参照)、及び排気口(図示しない)に連通したダクト20に接続され、浴室BR,脱衣室DR,及びトイレTR内の空気を吸入して排気口から屋外に排出することによって、浴室BR,脱衣室DR,及びトイレTRの換気を行う。
【0020】
脱衣室DRには、浴室暖房装置2及び換気装置3を操作するためのリモコン34が設けられ、トイレTRには、換気装置3の作動と停止を指示するトイレスイッチ35が設けられている。
【0021】
次に、図2を参照して、熱源機8と浴室暖房装置2は通信ケーブル41で接続されて相互に通信可能に構成され、浴室暖房装置2と換気装置3は通信ケーブル46で接続されて相互に通信可能に構成されている。また、リモコン34は浴室暖房装置2及び換気装置3と通信可能に接続されている。
【0022】
浴室暖房装置2は、浴室BRに連通した吸込み口と吹き出し口(図示しない)とを有する筐体5内に、モータ6により駆動される循環ファン7と、温水循環路12の途中に設けられて熱源機8から供給される温水が流通する熱交換器9(本発明の空気加熱部に相当する)と、浴室暖房装置2の作動を制御する暖房コントローラ40(本発明の制御部、判定値設定部、扉開閉検知部、第1判定値補正部、及び第2判定値補正部の機能を有する)とを収容している。
【0023】
なお、循環ファン7による空気の循環経路が本発明の空気循環路に相当し、熱交換器9はこの循環経路の途中に設けられている。
【0024】
吹き出し口には、ステッピングモータ10で駆動される可変ルーバ11が設けられ、浴室暖房装置2から浴室BRへの送風方向を可変ルーバ11により変更できるようになっている。また、熱源機8と熱交換器9との間の温水循環路12には、温水循環路12を開閉して熱交換器9への温水の供給と停止を切替える熱動弁13が設けられている。
【0025】
浴室BRを換気装置3に連通する浴室用吸気口17には、ステッピングモータ26により駆動される浴室ダンパ27が設けられ、浴室ダンパ27の位置により浴室用吸気口17の開度が調整可能とされている。
【0026】
また、浴室暖房装置2は、浴室BR内の温度を検出する浴室温度センサ42(本発明の浴室温度検出部に相当する)と、温水循環路12内の温水の温度を検出する浴室水温度センサ43とを備えている。
【0027】
暖房コントローラ40は、図示しないCPU,メモリ,インターフェース回路等を備えて構成された制御ユニットであり、メモリに記憶された浴室暖房装置2の制御用プログラムをCPUで実行することにより、浴室暖房装置2の作動を制御する機能を果たす。
【0028】
暖房コントローラ40には、浴室温度センサ42からの温度検出信号と、浴室水温度センサ43からの温度検出信号と、リモコン34からの操作信号とが入力される。また、暖房コントローラ40から出力される制御信号によって、循環ファン7、可変ルーバ11、熱動弁13、及び、浴室ダンパ27の作動が制御される。
【0029】
暖房コントローラ40は、リモコン34により浴室暖房の開始操作がなされたときに、熱動弁13を開弁して熱源機8に対して温水の供給を要求する信号を送信することによって、熱源機8から熱交換器9への温水の供給を開始させると共に、浴室ダンパ27により浴室用吸気口17を閉じて循環ファン7を作動させることにより、浴室暖房運転を実行する。なお、暖房コントローラ40が浴室暖房運転を実行する構成は、本発明の制御部に相当する。
【0030】
また、暖房コントローラ40は、リモコン34により浴室換気の開始操作がなされたときに、浴室ダンパ27により浴室用吸気口17を開けて、換気装置3に対して換気動作を指示する信号を送信し、換気装置3を作動させることによって、浴室乾燥運転を実行する。
【0031】
換気装置3は、浴室暖房装置2の筐体5に隣接した筐体14内に、モータ15により駆動される換気ファン16と、換気コントローラ45とを収容して構成されている。筐体14には、浴室暖房装置2を介して浴室BRに連通する浴室用吸気口17と、脱衣室DRに連通した脱衣室用吸気口18と、トイレTRに連通したトイレ用吸気口19と、ダクト20を介して屋外に連通した排気口21とが形成されている。
【0032】
換気ファン16の作動により、浴室用吸気口17と脱衣室用吸気口18とトイレ用吸気口19から空気が吸引され、排気口21を介して外部に排出される。脱衣室用吸気口18には、脱衣室DRに連通したダクト22(図1参照)が管継手23を介して接続されている。同様に、トイレ用吸気口19には、トイレTRに連通したダクト24(図1参照)が管継手25を介して接続されている。
【0033】
また、脱衣室用吸気口18には、ステッピングモータ28により駆動される脱衣室ダンパ29が設けられており、脱衣室ダンパ29により脱衣室用吸気口18の開閉と開度調節が可能とされている。同様に、トイレ用吸気口19には、ステッピングモータ30により駆動されるトイレダンパ31が設けられており、トイレダンパ31によりトイレ用吸気口19の開閉と開度調節が可能とされている。
【0034】
換気コントローラ45は、図示しないCPU,メモリ,インターフェース回路等を備えて構成された制御ユニットであり、メモリに記憶された換気装置3の制御用プログラムをCPUで実行することにより、換気装置3の作動を制御する機能を果たす。
【0035】
換気コントローラ45には、リモコン34からの操作信号と、トイレスイッチ35からの操作信号が入力される。また、換気コントローラ45から出力される制御信号によって、換気ファン16と脱衣室ダンパ29とトイレダンパ31の作動が制御される。
【0036】
換気コントローラ45は、リモコン34から脱衣室DRの換気を指示する信号を受信したときに、脱衣室ダンパ29により脱衣室用吸気口18を開けて、換気ファン16を作動させることによって、脱衣室DRの換気運転を実行する。
【0037】
また、換気コントローラ45は、トイレスイッチ35からトイレTRの換気を指示する信号を受信したときに、トイレダンパ31によりトイレ用吸気口19を開けて、換気ファン16を作動させることによって、トイレTRの換気運転を実行する。
【0038】
さらに、換気コントローラ45は、暖房コントローラ40から浴室BRの換気を指示する信号を受信したときに、換気ファン16を作動させる。この場合、暖房コントローラ40は、浴室ダンパ27により浴室用吸気口17の開度を調節して、浴室BRの換気量を変更する。
【0039】
熱源機8は、熱源機8の作動を制御する熱源コントローラ50と、熱源機8の周囲温度(外気温度)を検出する外気温度センサ51(本発明の外気温度検出部に相当する)とを備えている。
【0040】
なお、外気温度センサ51を専用に設ける構成の他に、給水路(図示しない)内の水の温度を検出する給水温度センサの検出温度を外気温として用いる構成としてもよい。さらに、熱源機8の凍結防止処理を行うために備えられた低温検知用の温度センサの検出温度を外気温度として用いる構成としてもよい。これらの構成を採用する場合には、給水温度センサ及び低温検知用の温度センサが、本発明の外気温度検出部に相当する。
【0041】
熱源コントローラ50は、浴室暖房装置2から温水の供給を要求する信号を受信したときに、図示しない加熱部(温水循環路12の途中に設けられた図示しない熱交換器と、この熱交換器を加熱するバーナ等により構成される)と循環ポンプを作動させて、温水循環路12を介して浴室暖房装置2に温水を供給する。
【0042】
次に、図3図4に示したフローチャートに従って、浴室暖房運転の開始時に暖房コントローラ40によって実行される、浴室BRの扉60の開閉状態の検知処理について説明する。
【0043】
暖房コントローラ40は、浴室暖房装置2への電力供給が開始されたときに起動し、STEP1でリモコン34による浴室暖房開始の操作待ちとなる。そして、リモコン34により浴室暖房の開始操作がなされたときにSTEP2に進む。
【0044】
STEP2で、暖房コントローラ40は、浴室温度センサ42の検出温度(現在室温)Trmを暖房開始時温度Taとしてメモリ(図示しない)に記憶する。続くSTEP3で、暖房コントローラ40は、浴室暖房運転を開始し、STEP4で所定時間(例えば5分)の経過を待つ。
【0045】
次のSTEP5で、暖房コントローラ40は、今回開始した浴室暖房運転が電源投入後の初回運転であるか否かを判断する。そして、初回運転であったときはSTEP6に進み、初回運転でなかったときには図4のSTEP40に分岐する。
【0046】
STEP6で、暖房コントローラ40は、外気温度センサ51の検出温度(現在外気温)Toutを設定時外気温Tbとしてメモリに記憶する。続くSTEP7で、暖房コントローラ40は、浴室温度センサ42の現在の検出温度(現在室温)Trmを測定して、暖房開始時温度Taからの浴室温度の上昇幅(Trm−Ta)が3℃未満であるか否かを判断する。
【0047】
そして、現在室温Trmと暖房開始時温度Taとの差が3℃以上であって、浴室暖房運転の開始時からの浴室BRの温度上昇が正常であり、浴室BRの扉60が閉まっていると判断できるときはSTEP30に進む。STEP30で、暖房コントローラ40は、現在室温Trmと暖房開始時温度Taとの差を、次の浴室暖房運転の開始時に浴室BRの扉60の開閉状態を検知するための判定値Tthとしてメモリに記憶する。
【0048】
一方、STEP7で現在室温Trmと暖房開始時温度Taとの差が3℃未満であって、浴室暖房運転の開始時からの浴室BRの温度上昇が少なく、浴室BRの扉60が開いていると判断できるときはSTEP8に進む。STEP8で、暖房コントローラ40は、3℃を浴室BRの扉60の開閉状態を検知するための判定値Tthの仮値としてメモリに記憶する。
【0049】
また、続くSTEP9で、暖房コントローラ40は、浴室暖房運転を停止し、リモコン34の表示部にアラーム表示を行って、使用者に浴室BRの扉60が開いていることを報知する。
【0050】
ここで、STEP2〜STEP7及びSTEP30の処理によって判定値Tthを設定する構成は、本発明の判定値設定部に相当する。また、STEP30では、現在室温Trmと暖房開始時温度Taとの差(Trm−Ta)を判定値としたが、Trm−Ta+α(αは実験等により決定した調整値)を判定値としてもよい。また、STEP3で浴室暖房運転が開始された時点は本発明の所定時点に相当する。
【0051】
次に、図4のSTEP40で、暖房コントローラ40は、前回の判定値Tthの更新時に記憶した設定時外気温度Tbと、外気温度センサ51の現在の検出温度(現在外気温)Toutとの差β(=Tb−Tout)により、外気温の相違による影響を減少させるように判定値Tthを補正する。具体的には、例えば以下の式(1)により、βが負(Tb<Tout)のときは判定値を大きくし、βが正(Tb>Tout)のときには判定値Tthを小さくする補正を行う。
【0052】
Tth−K×β→Tth ・・・・・(1)
但し、K:定数(実験等により決定される)。
【0053】
ここで、STEP40の処理により、設定時外気温Tbと現在外気温Toutとの差に基づいて判定値Tthを補正する構成は、本発明の第1判定値補正部に相当する。
【0054】
続くSTEP41で、暖房コントローラ40は、現在の浴室温度センサ42の検出温度(現在浴室)Trmと暖房開始時温度Taとの差(暖房運転の開始時からの浴室温度の上昇幅)が、判定値Tth以上であるか否かを判断する。
【0055】
そして、暖房運転の開始時からの浴室温度の上昇幅が判定値Tth以上であるときは、浴室BRの扉60が閉まっていると検知してSTEP42に進む。STEP42で、暖房コントローラ40は、現在室温Trmと暖房開始時温度Taとの差(Trm−Ta)を、新たな判定値Tthとして記憶する(判定値Tthの更新)。STEP42で、判定値Tthを設定する構成は、本発明の判定値設定部に相当する。
【0056】
また、次のSTEP43で、暖房コントローラ40は、現在外気温Toutを新たな設定時外気温Tbとして記憶する(設定時外気温Tbの更新)。この場合は、暖房コントローラ40は浴室暖房運転を継続する。STEP41の処理により、浴室BRの扉60の開閉状態を検知する構成は、本発明の浴室扉検知部に相当する。
【0057】
一方、STEP41で、暖房運転の開始時からの浴室温度の上昇幅が判定値Tthよりも小さいときには、暖房コントローラ40は、浴室BRの扉60が開いていると検知してSTEP50に分岐する。
【0058】
STEP41で、暖房コントローラ40は、浴室暖房運転を停止し、リモコン34の表示部にアラーム表示を行って、使用者に浴室BRの扉60が開いていることを報知する。
【0059】
なお、本実施形態において、暖房コントローラ40は、上記式(1)により、外気温度に応じて判定値Tthを補正したが、この補正を行わない場合であっても本発明の効果を得ることができる。
【0060】
また、熱源機8が浴槽内の湯を所定温度範囲に維持する浴槽保温運転を行っている場合は、浴槽内の湯からの放熱によって、浴室BR内がある程度暖まっていると想定される。そのため、保温運転を行っている場合の判定値Tthを、保温運転を行っていない場合の判定値Tthよりも小さい値に補正する処理を行ってもよい。この補正を行う構成は、本発明の第2判定値補正部に相当する。また、暖房コントローラ40が、熱源コントローラ50との通信により、浴槽保温運転が実行されていることを検知する構成は、本発明の浴槽保温検知部に相当する。
【0061】
また、本実施形態において、暖房コントローラ40は、浴室暖房運転の開始時に浴室BRの扉60の開閉状態を検知したが、浴室乾燥運転の開始時にも、浴室暖房運転を行って浴室BRの扉60の開閉状態を検知するようにしてもよい。さらに、浴室暖房装置2がミストサウナ運転等の扉60を閉めて行う他の運転を実行する機能を有する場合、これらの他の運転の開始時に、浴室暖房運転を実行して扉60の開閉状態を検知するようにしてもよい。
【0062】
また、本実施形態では、熱源機8から供給される温水により浴室内の空気を加熱する浴室暖房装置を示したが、電気ヒータ等の他の構成により浴室内の空気を加熱する浴室暖房装置に対しても、本発明を適用して浴室の扉の開閉状態を検知することができる。
【符号の説明】
【0063】
1…空調システム、2…浴室暖房装置、3…換気装置、8…熱源機、12…温水循環路、13…熱動弁、16…換気ファン、27…浴室ダンパ、34…リモコン、40…暖房コントローラ(制御部、判定値設定部、扉開閉検知部、第1判定値補正部、第2判定値補正部)、42…浴室温度センサ、45…換気コントローラ、50…熱源コントローラ、51…外気温度センサ。
図1
図2
図3
図4