(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033263
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
A47L 15/42 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
A47L15/42 M
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-172721(P2014-172721)
(22)【出願日】2014年8月27日
(65)【公開番号】特開2016-47095(P2016-47095A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2015年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐橋 敏男
【審査官】
石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−290258(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0126235(US,A1)
【文献】
特開平11−309292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/00−13/62
D06B 1/00−23/30
D06C 3/00−29/00
D06G 1/00−5/00
D06H 1/00−7/24
D06J 1/00−1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器の洗浄が行われる洗浄槽と、前記洗浄槽を収容する外箱と、検知端子が水に接触した際に前記外箱内に漏れ出た水を検知する検知部材とを備えた食器洗浄機であって、
前記外箱は、底部の内側に、前記検知端子が設置される位置に形成された検知部と、検知部に向かって次第に深くなる導流溝とを有し、
前記検知部の周囲には、前記検知部を囲むように上方に向けて突出し、上端が前記導流溝の上縁よりも低い突部が形成され、
前記突部の少なくとも一部を囲むように設けられ、前記導流溝から前記検知部に向かう水の勢いを低減する緩衝部材を備えていることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
請求項1に記載の食器洗浄機であって、
前記検知部及び前記突部を上方から覆うカバー部材を備えていることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の食器洗浄機であって、
前記外箱の底部の内側の前記検知部及び前記導流溝以外の領域は、前記導流溝に向かって傾斜していることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項4】
食器の洗浄が行われる洗浄槽と、前記洗浄槽を収容する外箱と、検知端子が水に接触した際に前記外箱内に漏れ出た水を検知する検知部材とを備えた食器洗浄機であって、
前記外箱は、底部の内側に、前記検知端子が設置される位置に形成された検知部と、検知部に向かって次第に深くなる導流溝とを有し、
前記検知部の周囲には、前記検知部を囲むように上方に向けて突出し、上端が前記導流溝の上縁よりも低い突部が形成され、
前記洗浄槽と前記外箱の底部との間に、前記外箱の底部を覆う板状の底面カバーを備え、
前記底面カバーは、前記外箱の底部の前記導流溝の上方となる位置に、孔が形成されていることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項5】
請求項4に記載の食器洗浄機であって、
前記底面カバーは、前記孔が形成されている第1領域と、前記第1領域以外の第2領域とを有し、
前記第1領域は、前記第2領域よりも低くなるように形成されていることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項6】
請求項5に記載の食器洗浄機であって、
前記底面カバーの前記第2領域は、前記第1領域に向かって傾斜していることを特徴とする食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器を洗浄する食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食器の洗浄が行われる洗浄槽と、その洗浄槽を収容する外箱とを備えた食器洗浄機が知られている。この種の食器洗浄機では、洗浄槽等からの水漏れを検知するために、洗浄槽と外箱との間に検知部材を設けたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
検知部材としては、下方に突出した2つの電極(検知端子)を有し、それらの電極が漏れ出た水に接触して導通した際に水漏れが発生していると判定するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−007191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の食器洗浄機では、検知部材の検知端子が水に接触した際に水漏れが発生していると判定されるので、漏れ出ている水の量が少量である場合や器具が傾いて設置されていた場合には、水が検知端子に接触できず、水漏れの検知が遅れてしまうおそれがあった。一方、食器洗浄機が正常に動作している状態でも発生してしまう結露等を検知してしまい、誤検知が発生してしまうおそれもあった。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、水漏れを迅速、且つ、正確に検知することができる食器洗浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の食器洗浄機は、食器の洗浄が行われる洗浄槽と、洗浄槽を収容する外箱と、検知端子が水に接触した際に外箱内に漏れ出た水を検知する検知部材とを備えた食器洗浄機であって、外箱は、底部の内側に、検知端子が設置される位置に形成された検知部と、検知部に向かって次第に深くなる導流溝とを有し、検知部の周囲には、検知部を囲むように上方に向けて突出し、上端が導流溝の上縁よりも低い突部が形成され
、突部の少なくとも一部を囲むように設けられ、導流溝から検知部に向かう水の勢いを低減する緩衝部材を備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明の食器洗浄機では、水漏れが発生した際に漏れ出た水は、導流溝を流れて検知部材の検知端子が設置される検知部に集まる。そのため、器具が傾いて設置されていたり、漏れ出た水が少量であっても、水漏れの検知が迅速に行われる。
【0009】
また、検知部の周囲には、検知部を囲むように上方に向けて突出し、上端が導流溝の上縁よりも低い突部が形成されているので、導流溝に流れ込んだ水が結露等によるものであって極めて少量である場合には、流れ込んだ水がその突部に阻まれて検知部に浸入することがない。
【0010】
したがって、本発明の食器洗浄機によれば、水漏れを迅速、且つ、正確に検知することができる。
【0012】
導流溝に流れ込んだ水が少量であっても、検知部に向かって次第に深くなるように形成された導流溝を流れた際に水に勢いがつき、突部を乗り越えて検知端子に接触して、誤検知が発生してしまうおそれがある。そこで、突部を囲むようにして緩衝部材を設け、その緩衝部材によって水の勢いを低減するようにすれば、そのような誤検知を防止することができる。
【0013】
また、本発明の食器洗浄機においては、検知部及び突部を上方から覆うカバー部材を備えていることが好ましい。
【0014】
このようなカバー部を有していれば、上方から滴下した水による誤検知の発生を防止することができる。
【0015】
また、本発明の食器洗浄機においては、外箱の底部の内側の検知部及び導流溝以外の領域は、導流溝に向かって傾斜していることが好ましい。
【0016】
このように構成すれば、漏れ出た水が導流溝に集まり易くなるので、迅速に水漏れを検知することができる。
【0017】
また、
上記目的を達成するために、本発明の食器洗浄
機は、
食器の洗浄が行われる洗浄槽と、洗浄槽を収容する外箱と、検知端子が水に接触した際に外箱内に漏れ出た水を検知する検知部材とを備えた食器洗浄機であって、外箱は、底部の内側に、検知端子が設置される位置に形成された検知部と、検知部に向かって次第に深くなる導流溝とを有し、検知部の周囲には、検知部を囲むように上方に向けて突出し、上端が導流溝の上縁よりも低い突部が形成され、洗浄槽と外箱の底部との間に、外箱の底部を覆う板状の底面カバーを備え、底面カバーは、外箱の底部の導流溝の上方となる位置に、孔が形成されていることが好ましい。
【0018】
外箱は、食器洗浄機の外部形状に応じた形状にしたり、食器洗浄機の他の部材を設置しやすい形状にしたりする必要があるので、その底部の内側が複雑な形状になっている場合がある。そのような場合には、漏れ出た水がスムーズに導流溝に集まりにくいおそれがある。そこで、洗浄槽と外箱の底部との間に底面カバーを配置し、その底面カバーの孔を介して、洗浄槽等から漏れ出た水を導流溝に直接導くようにすれば、さらに迅速、且つ、正確に水漏れを検知することができる。
【0019】
また、本発明の食器洗浄機においては、底面カバーを備える構成である場合、底面カバーは、孔が形成されている第1領域と、第1領域以外の第2領域を有し、第1領域は、第2領域よりも低くなるように形成されていることが好ましい。
【0020】
また、本発明の食器洗浄機においては、底面カバーを備える構成である場合、底面カバーの第2領域は、第1領域に向かって傾斜していることが好ましい。
【0021】
このように底面カバーを形成すれば、洗浄槽等から漏れ出た水を導流溝に導きやすくなるので、さらに迅速、且つ、正確に水漏れを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態の食器洗浄機の構成を模式的に示す説明図。
【
図2】
図1の食器洗浄機の外箱の一端側の側壁及び底板の構成を示す斜視図。
【
図3】
図1の食器洗浄機の外箱の一端側の側壁及び底板、並びに、底面カバーの構成を示す斜視図。
【
図4】
図1の食器洗浄機の検知部材、及び、検知部材の周辺部における底板の構成を示す斜視図。
【
図5】
図1の食器洗浄機の検知部材の構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る食器洗浄機について説明する。
【0024】
まず、
図1を参照して、食器洗浄機1の概略構成について説明する。
【0025】
図1に示すように、食器洗浄機1は、システムキッチンに組み込んで設置されるビルトイン式のものである。食器洗浄機1の外箱2は、前方が開放されて洗浄槽3を出し入れ自在に収容している。
【0026】
洗浄槽3の底部側には、洗浄水を噴出する洗浄ノズル4が設けられている。洗浄槽3の背面側には、洗浄槽3内の食器を乾燥させるための乾燥用空気を導入する乾燥ダクト5及び乾燥ファン6が設けられている。
【0027】
洗浄槽3の底部には、洗浄槽3内に残菜フィルタ7を介して連通する洗浄水の溜り部8が設けられている。洗浄槽3の底部下側には、洗浄ノズル4及び溜り部8に連通する洗浄・排水ポンプ9が設置されている。洗浄・排水ポンプ9は、正転させたときに洗浄ノズル4に洗浄水を供給し、逆転させたときに洗浄槽3からの排水を行う。また、洗浄槽3の内部には、食器を支持するための食器かご10が着脱自在に取り付けられている。
【0028】
洗浄ノズル4は、食器かご10より下方に設置され、水平方向に長手の下ノズル11と、下ノズル11の長手方向中央部に立設されたセンターノズル12とにより構成されている。
【0029】
下ノズル11は、その長手方向中央部で鉛直軸線回りに旋回しつつ食器かご10に向けて洗浄水を噴出する。下ノズル11は、洗浄・排水ポンプ9から供給される洗浄水の噴出反力によって旋回するようになっている。
【0030】
センターノズル12は、下ノズル11と一体に回転する下半部12aと、この下半部12aに上下動自在に挿設された上半部12bとで構成されている。洗浄・排水ポンプ9から洗浄水が供給されたとき、センターノズル12は下ノズル11と共に旋回しつつ水圧によって上半部12bが上方にのびるようになっている。そして、センターノズル12の下半部12a及び上半部12bから食器かご10に向けて洗浄水が噴出される。
【0031】
外箱2の底部と洗浄槽3との間には、外箱2の底部をほぼ全域に亘って覆う板状の底面カバー13が設置されている(
図3参照)。また、外箱2の底部と洗浄槽3との間の背面部側の端部には、外箱2内に漏れ出た水を検知する漏水センサ14が設置されている。
【0032】
次に、
図2を参照して、外箱2の底部の形状について説明する。
【0033】
図2に示すように、外箱2の底部には、前面側から漏水センサ14の設置された背面側に向かって次第に深くなる導流溝2aが形成されている。そのため、水漏れが発生した際に漏れ出た水は、導流溝2aを流れて漏水センサ14の設置位置に集まる。また、外箱2の底部には、側壁に沿うようにして、2つの支持部2bが形成されている。これらの支持部2bによって、底面カバー13は支持される。さらに、外箱2の底部は、全体として導流溝2aに向かってわずかに傾斜した形状となっている。
【0034】
本実施形態の食器洗浄機1では、水漏れが発生した際に、漏れ出た水が迅速に導流溝2aを介して漏水センサ14の設置位置に集まるので、迅速に水漏れを検知することができる。
【0035】
次に、
図3を参照して、底面カバー13の形状について説明する。
【0036】
図3に示すように、底面カバー13は、外箱2の底部をほぼ全域に亘って覆う板状の部材として形成されている。底面カバー13には、外箱2の底部に形成された導流溝2a(
図2参照。)の上方となる位置に、複数の孔13aが形成されている。また、底面カバー13は、対角線を結ぶようにして2つの領域に分けられており、孔13aの形成された第1領域13bが、それ以外の領域である第2領域13cよりも一段低くなるように形成されている。さらに、第2領域13cは、孔13aの形成された第1領域13bに向かって傾斜し、第1領域13bは、全体として孔13aに向かって傾斜している。
【0037】
そのため、洗浄槽3等から漏れ出た水は、まず、底面カバー13に流れ込み、その後、孔13aに集まり、孔13aを介して導流溝2aに導かれる。
【0038】
次に、
図4及び
図5を用いて、漏水センサ14の構成及びその周辺部における外箱2の形状について説明する。
【0039】
漏水センサ14は、下方に突出した2つの電極14a(検知端子)を有している。漏水センサ14は、これらの電極14aが漏れ出た水に接触して導通した際に、水漏れが発生していると判定する。
【0040】
電極14aは、外箱2の導流溝2aに形成された検知部2cに設置されている。外箱2の検知部2cの周囲には、検知部2cを囲むように上方に向けて突出し、上端が導流溝2aの上縁よりも低い突部2dが形成されている。
【0041】
本実施形態の食器洗浄機1では、水漏れが発生した際に漏れ出た水以外の水(例えば、結露等)も、底面カバー13の孔13aを介して導流溝2aを検知部2cに向かって流れる。しかし、その水が極めて少量である場合には、突部2dを乗り越えることがなく、電極14aに水が接触し導通することない。そのため、本実施形態の食器洗浄機1では、結露等を水漏れとして検知しまうような誤検知が発生しにくい。
【0042】
また、漏水センサ14は、突部2dを囲むように、下方に向けて延びる壁部14b(緩衝部材)を有している。
図5に示すように、壁部14bの下端は、突部2dの上端よりも低くなっている。
【0043】
本実施形態の食器洗浄機1では、導流溝2aを水漏れによる水が流れる際に、その水に勢いがついてしまうことがあるが、壁部14bによってその勢いは低減される。そのため、少量の水が突部2dを乗り越えて検知部2cに浸入することはなく、誤検知が発生しにくい。
【0044】
さらに、漏水センサ14は、2つの電極14a、外箱2の検知部2c及び突部2dを覆うように形成されたカバー部14c(カバー部材)を有している。
【0045】
本実施形態の食器洗浄機1では、このカバー部14cによって、上方から滴下した水が電極14aに接触したり、検知部2cに浸入したりすることを防止している。そのため、そのような滴下した水による誤検知が発生しにくい。
【0046】
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限られるものではない。
【0047】
例えば、上記実施形態においては、外箱2の底部に形成された導流溝2aは、食器洗浄機1の前方側から背面側に向かって次第に深くなるように形成されている。しかし、本発明の導流溝はそのような形状に限定されるものではなく、検知部に水が集まるような形状であればよい。例えば、検知部に向けて次第に深くなる導流溝を複数有するような形状であってもよい。
【0048】
また、上記実施形態においては、漏水センサ14の電極14aが設置される検知部2cの周囲を囲む突部2dは、独立して検知部2cを囲むように形成されている。しかし、本発明の検知部はそのような形状に限定されるものではなく、検知部への水の浸入を阻止できる形状であればよい。例えば、外箱の側壁と一体的に形成された半円形状としてもよい。
【0049】
また、上記実施形態においては、底面カバー13は第1領域13bと第2領域13cの2つの領域に区切られ、第2領域13cは第1領域13bに向かって傾斜し、第1領域13bは全体として孔13aに向かってわずかに傾斜している。しかし、本発明の底面カバーはそのような形状に限定されるものではなく、洗浄槽等から漏れ出た水を導流溝に導く孔を有していればどのような形状であってもよい。例えば、第1領域又は第2領域を平坦な形状に形成してもよい。
【0050】
また、上記実施形態においては、漏水センサ14の下方に向けて延びる壁部14bを緩衝部材としている。しかし、本発明の緩衝部材はそのような形状に限定されるものではなく、検知部に浸入する水の勢いを低減する形状であればよい。例えば、検知部材とは独立した部材(例えば、周壁部に孔を有する筒状の部材)を用いて、緩衝部材を形成してもよい。また、突部の一部のみを囲むように設けてもよい。
【0051】
また、上記実施形態においては、漏水センサ14のカバー部14cをカバー部材としている。しかし、本発明のカバー部材はそのような形状に限定されるものではなく、検知部及び突部を上方から覆うことができるものであればよい。例えば、検知部材とは独立した部材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…食器洗浄機、2…外箱、2a…導流溝、2b…支持部、2c…検知部、2d…突部、3…洗浄槽、4…洗浄ノズル、5…乾燥ダクト、6…乾燥ファン、7…残菜フィルタ、8…溜り部、9…洗浄・排水ポンプ、10…食器かご、11…下ノズル、12…センターノズル、12a…下半部、12b…上半部、13…底面カバー、13a…孔、13b…第1領域、13c…第2領域、14…漏水センサ(検知部材)、14a…電極(検知端子)、14b…壁部(緩衝部材)、14c…カバー部(カバー部材)。