特許第6033303号(P6033303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6033303改善された酸化安定性と耐用寿命を有する潤滑剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033303
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】改善された酸化安定性と耐用寿命を有する潤滑剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 169/04 20060101AFI20161121BHJP
   C10M 105/38 20060101ALN20161121BHJP
   C10M 105/04 20060101ALN20161121BHJP
   C10M 107/34 20060101ALN20161121BHJP
   C10M 107/32 20060101ALN20161121BHJP
   C10M 107/02 20060101ALN20161121BHJP
   C10M 107/08 20060101ALN20161121BHJP
   C10M 133/12 20060101ALN20161121BHJP
   C10N 30/10 20060101ALN20161121BHJP
   C10N 40/02 20060101ALN20161121BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20161121BHJP
   C10N 40/08 20060101ALN20161121BHJP
   C10N 40/30 20060101ALN20161121BHJP
   C10N 40/32 20060101ALN20161121BHJP
【FI】
   C10M169/04
   !C10M105/38
   !C10M105/04
   !C10M107/34
   !C10M107/32
   !C10M107/02
   !C10M107/08
   !C10M133/12
   C10N30:10
   C10N40:02
   C10N40:04
   C10N40:08
   C10N40:30
   C10N40:32
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-523245(P2014-523245)
(86)(22)【出願日】2012年6月19日
(65)【公表番号】特表2014-521794(P2014-521794A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】EP2012061677
(87)【国際公開番号】WO2013017332
(87)【国際公開日】20130207
【審査請求日】2015年6月17日
(31)【優先権主張番号】13/197,037
(32)【優先日】2011年8月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514029289
【氏名又は名称】コグニス アイピー マネジメント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ユージーン アール. ゼーラー
【審査官】 中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第00/024849(WO,A1)
【文献】 特表2001−501991(JP,A)
【文献】 特開2004−010894(JP,A)
【文献】 国際公開第01/048127(WO,A1)
【文献】 特開平09−208980(JP,A)
【文献】 特表平10−505623(JP,A)
【文献】 特開2001−139972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M101/00−177/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤組成物であって、
1種以上のヒンダード有機ポリオール
1種以上のカルボン酸の100モル%が分枝鎖状である、少なくとも5個の炭素の鎖長を有する1種以上のカルボン酸
を含む混合物の反応生成物である合成エステル基油を、潤滑剤組成物の総質量に対して10質量%〜35質量%、
高級パラフィン性のフィッシャー−トロプシュ法由来の基液、ポリアルキレングリコール、ポリグリコールエーテル、ポリエーテル、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、ポリアルファオレフィン、ポリブテン及びそれらの混合物からなる群から選択される、1種以上の追加の基油を、潤滑剤組成物の総質量に対して55質量%〜90質量%、
;並びに
酸化防止剤成分を含む性能添加剤パッケージ
を含み、
前記酸化防止剤成分が、潤滑剤組成物の総質量に対して0.3質量%〜5質量%の量で存在し、且つ、
前記酸化防止剤成分は、アルキル化ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミンまたはそれらの組み合わせを含む、
前記潤滑剤組成物。
【請求項2】
1種以上の追加の基油が、高級パラフィン性のフィッシャー−トロプシュ法由来の基液を含む、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項3】
分枝鎖カルボン酸が6個以上の炭素原子である鎖長を有する、請求項1又は2に記載の潤滑剤組成物。
【請求項4】
分枝鎖カルボン酸が2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項5】
1種以上のヒンダード有機ポリオールが、モノペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、及びテトラペンタエリスリトールからなる群から選択される1種以上のペンタエリスリトールを含むか、又は1種以上のヒンダード有機ポリオールがトリメチロールプロパン及びジ−トリメチロールプロパンからなる群から選択される1種以上のトリメチロールプロパンベースの成分を含む、請求項1からまでのいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項6】
オープンコンプレッサー用の潤滑剤組成物であって、前記潤滑剤が、
1種以上のヒンダード有機ポリオールと、
1種以上のカルボン酸の100モル%が分枝鎖状である、8個又は9個の炭素鎖長を有する1種以上のカルボン酸又はその両方と
を含む混合物の反応生成物である合成エステル基油を、潤滑剤組成物の総質量に対して10質量%〜35質量%
ポリアルキレングリコール、ポリグリコールエーテル、ポリエーテル、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、ポリアルファオレフィン、ポリブテン、高級パラフィン性のフィッシャー−トロプシュ法由来の基液、及びそれらの混合物からなる群から選択される、1種以上の追加の基油を、潤滑剤組成物の総質量に対して55質量%〜90質量%、
;並びに
酸化防止剤成分を含む性能添加剤パッケージ
を含み、
前記酸化防止剤成分が、潤滑剤組成物の総質量に対して0.3質量%〜5質量%の量で存在し、且つ、
前記酸化防止剤成分は、アルキル化ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミンまたはそれらの組み合わせを含む、
、前記潤滑剤組成物。
【請求項7】
前記1種以上の追加の基油が、高級パラフィン性のフィッシャー−トロプシュ法由来の基液を含む、請求項6に記載の潤滑油組成物。
【請求項8】
装置の部品の潤滑方法であって、請求項1からまでのいずれか1項に記載の潤滑剤組成物を提供し且つ該潤滑剤でチャンバを充填するか又は該潤滑剤に装置の表面を曝すことを含む、前記潤滑方法。
【請求項9】
装置が、空気圧縮機、ギアボックス、ベアリングセット、液圧システム、及びチェーンドライブからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、他の基油との選択されたエステルを含む潤滑剤組成物の分野に関し、且つ種々の用途におけるこれらの潤滑剤組成物の使用に関する。詳細には、ヒンダードポリオールと少なくとも5個の炭素原子又はそれ以上の炭素鎖長の分枝鎖カルボン酸との反応生成物である合成エステルが提供され、その際、該合成エステルは、強化された酸化寿命/安定性を提供するために、1種以上の追加の基油と混合される。
【0002】
背景
空気圧縮機、エンジンオイル、ギアオイル、圧媒液等で使用するための潤滑剤は、高い粘度指数、良好な潤滑性、高い酸化安定性、及び高い熱安定性の優れた特性を必要とする。酸化安定性は、潤滑剤の大気中への繰り返される長時間の暴露、様々な冶金、及びシール材のために重要である。望ましい潤滑剤組成物は、広い温度範囲で液相のままであり、良好な低温流動性を有し、低い蒸気圧を有し、且つ温度及び圧力の広い範囲で長期間にわたって使用可能である。高温での粘度は、適切な潤滑性を提供するのに十分であるべきであり、低温では、外部加熱を必要とすることなく、氷点下の温度での圧縮機の起動を可能にするのに十分に低くあるべきである。
【0003】
潤滑剤の酸化安定性は、その潤滑剤自体の有用な耐用寿命への影響の他に、圧縮機の性能にも影響を及ぼす。圧縮機で遭遇する最も困難な潤滑剤に関連する問題の一つは、圧縮機及び連結した配管内の炭素堆積物の形成である。これは、空気流が装置を通過する時に、空気流中に含まれる潤滑剤の酸化によって引き起こされる。
【0004】
圧縮機の潤滑剤、並びに他の用途に使用される潤滑剤は、直接且つ密接にガスと接触させることが多い。この接触は一般に高められた温度及び圧力で起こり、反復的である。潤滑剤と接触する気体が空気である場合、高温高圧と組み合わせた空気の酸素含有量は、非常に深刻な酸化雰囲気を示す。従って、強化された酸化安定性を有する潤滑剤が非常に必要とされている。
【0005】
強化された酸化安定性は、他の用途、例えば、ギアボックス、ベアリングセット、液圧システム及びチェーンドライブの潤滑においても非常に望ましい。酸化がこれらの種類の用途で問題である時、スラッジ及び炭素/ワニス堆積物が金属表面上に現れ、これが装置の機能に悪影響を与えて、ダウンタイムの増加とより高い保守コストをもたらし得る。更に、ギアボックス、ベアリングセット、液圧システム及びチェーンドライブの用途で使用される潤滑剤及び流体は、長いドレン間隔にわたり存続することが予想されており、従って、潤滑剤の増加した耐用寿命が望ましい。
【0006】
高温用途に適合した潤滑剤組成物は、既に記載されている。例えば、Timonyによる米国特許第4,175,045号には、その構造中に約4個から約13個までの炭素原子を有するカルボン酸のポリオールエステルを含む合成潤滑剤組成物が記載されている。また、McHenryらの米国特許第6,436,881号には、大部分のジペンタエリスリトールを含むポリオール混合物と、モノカルボン酸の混合物との反応物である基油を有する合成ポリオールエステル系潤滑剤が記載されている。ある程度の合成又は天然エステルで構成されている従来の潤滑剤は、制限された酸化安定性の証拠を示し得るので、空気圧縮機及び他の用途での使用中に、限られた耐用寿命をもたらす。従って、湿気及び高温に曝された時に改善された酸化安定性を提供する潤滑剤組成物が必要とされている。本発明は、特に、これらの要求に対処している。
【0007】
発明の要旨
合成エステル及び少なくとも1種の追加の基油を含有する改善された潤滑剤、並びにその製造方法及びその使用が提供される。出願人は、少なくとも1種のヒンダード有機ポリオールと1種以上のカルボン酸との反応生成物である合成エステルを含む改善された潤滑剤組成物であって、該酸の少なくとも一部(20%)から100%までが分枝鎖状である、前記潤滑剤組成物を開発した。そのように得られたエステルは、ヒンダード有機ポリオールエステル又は更にヒンダードポリオールエステルを意味し得る。潤滑剤組成物は、例えば、空気、湿気、及び/又は高温への曝露を伴う用途において、そのエステル成分が、1種以上のヒンダード有機ポリオールと1種以上の全て直鎖状(即ち、100%非分枝鎖状)のカルボン酸との反応生成物である潤滑剤と比較して、改善された酸化安定性と延びた耐用寿命を提供し得る。合成エステルの基油は、少なくとも第2の基油と混合され、任意に第3、第4、又はそれ以上の基油、及び添加剤パッケージと混合される。これらの潤滑剤組成物は、種々の潤滑剤用途、例えば、限定されずに、空気圧縮機、ギアボックス、ベアリングセット、液圧システム、及びチェーンドライブに適している。
【0008】
特定の実施形態において、潤滑剤組成物は、1種以上のヒンダード有機ポリオールと少なくとも5個の炭素原子の鎖長を有する1種以上のカルボン酸(ここで、カルボン酸の少なくとも20%が分枝鎖カルボン酸である)とを含む混合物の反応生成物である合成エステル基油;1種以上の追加の基油;並びに潤滑剤の少なくとも1つの特性及び/又は潤滑剤が使用されるべき装置の性能を改善するのに有効な少なくとも1種の添加剤を含む性能添加剤パッケージを含む。特定の実施形態では、添加剤パッケージは酸化防止剤を含む。
【0009】
一実施形態では、100%のカルボン酸が分枝鎖状である。他の実施形態は、カルボン酸が、5個以上、6個以上、7個以上、又は更に8個又は9個以上の炭素鎖長を有することを提供する。詳細な実施形態では、分枝鎖カルボン酸は、8個又は9個の炭素原子からなる鎖長を有する。例えば、かかる分枝鎖カルボン酸は、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。他の実施形態では、分枝鎖カルボン酸は、8個のみの炭素原子からなる鎖長を有する。
【0010】
詳細な実施形態は、合成エステル基油が、全潤滑剤組成物の約2パーセント〜約80パーセント(又は約5%〜約70%、又は約10%〜約50%、又は更に約10%〜約35%)の範囲の量で潤滑剤中に存在することを提供する。性能添加剤パッケージは、全潤滑剤組成物の約0.1質量パーセント〜約10質量パーセントの範囲の量で存在し得る。1種以上の追加の基油が、全潤滑剤組成物の残部の量で存在する。即ち、追加の基油(単数又は複数)は、全潤滑剤組成物の約10パーセント〜約98パーセント(又は約20%〜約95%、又は約40%〜約90%、又は更に約55%〜約90%)の範囲の量で存在し得る。
【0011】
特定の実施形態において、潤滑剤組成物の1種以上の追加の基油は、ポリアルキレングリコール、グリコールエーテル、ポリエーテル、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、ポリアルファオレフィン、ポリブテン、鉱油、高度に精製された鉱油、高級パラフィン性のフィッシャー−トロプシュ法由来の基液、シリコーン、アルキル化ナフタレン及びそれらの混合物からなる群から独立して選択される。本発明の別の実施形態において、潤滑剤組成物の性能添加剤パッケージは、酸化防止剤を含む。他の実施形態では、1種以上の追加の基油が、ポリアルキレングリコール、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、ポリアルファオレフィン、高級パラフィン性のフィッシャー−トロプシュ法由来の基液、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを提供する。
【0012】
他の実施形態は、1種以上のヒンダード有機ポリオールがペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンベースの成分、又はその両方を含むことを提供する。例えば、1種以上のヒンダード有機ポリオールは、モノペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、及びテトラペンタエリスリトールからなる群から選択される1種以上のペンタエリスリトールを含み得る。別の例では、1種以上のヒンダード有機ポリオールは、トリメチロールプロパン及びジ−トリメチロールプロパンからなる群から選択される1種以上のトリメチロールプロパンベースの成分を含み得る。
【0013】
1つ以上の実施態様では、合成エステルは、モノペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、及びテトラペンタエリスリトールからなる群から選択される1種以上のペンタエリスリトールと、2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸からなる群から選択される1種以上の分枝鎖カルボン酸との反応生成物である。
【0014】
詳細な態様は、オープンコンプレッサー用の潤滑剤組成物であって、該潤滑剤が1種以上のヒンダード有機ポリオールと、1種以上のカルボン酸の100%が分枝鎖状である、8個又は9個の炭素鎖長を有する1種以上のカルボン酸又はその両方とを含む混合物の反応生成物である合成エステル基油;1種以上の追加の基油;並びに性能添加剤パッケージを含む、前記組成物を含む。
【0015】
また、装置の部品の潤滑方法であって、本願明細書で提供される潤滑剤組成物を提供し且つ該潤滑剤でチャンバを充填するか又は該潤滑剤に装置の表面を曝すことを含む前記方法が提供される。詳細な実施形態では、装置は、空気圧縮機、ギアボックス、ベアリングセット、液圧システム、及びチェーンドライブからなる群から選択される。
【0016】
発明の詳細な説明
本発明は、空気、湿気、及び/又は高温に曝された時に改善された酸化安定性を与える潤滑剤組成物に関する。かかる潤滑剤は、特に、入ってくる空気と一緒に水分が引き込まれ、その後、通常の潤滑プロセス中に潤滑剤と混ざり合う潤滑剤用途に適している。特に、かかる圧縮機は、冷却流体を圧縮するために使用される気密封止システムとは対照的に、「開」とみなされる。
【0017】
一態様では、潤滑剤組成物は、1種以上のヒンダード有機ポリオール、及び少なくとも5個の炭素長さの鎖長を有する分枝鎖カルボン酸(ここで、少なくとも20%のカルボン酸は分枝鎖状である)から合成されるヒンダード有機ポリオールエステル基油;1種以上の追加の基油;並びに潤滑剤の少なくとも1つの特性及び/又は潤滑剤が使用されるべき装置の性能を改善するのに有効な少なくとも1種の添加剤を含む性能添加剤パッケージを含む。
【0018】
ヒンダード有機ポリオール
ヒンダード有機ポリオールとの記載は、少なくとも5個の炭素原子、少なくとも2つのヒドロキシル基(−OH)を有し、且つ−OH基を有する炭素原子に直接結合した炭素原子上に水素原子が存在しない有機分子を意味する。即ち、β−炭素上に水素原子は存在しない。1つ以上の実施態様では、ヒンダード有機ポリオールは、少なくとも2つの、好ましくは2つ、3つ又は4つのメチロール基を有する1つ以上の第4級炭素原子を有する脂肪族有機分子を含む。このようなヒンダード有機ポリオールの一例は、(モノ)ペンタエリスリトール(2,2−ジメチロール−1,3−プロパンジオール)である。
【0019】
他の実施形態では、エステル基油を合成するために使用されるポリオールは、ポリオールの混合物からなる。1つ以上の特定の実施態様は、ヒンダード有機ポリオールが以下のペンタエリスリトール:モノペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール及びテトラペンタエリスリトールのうち1種以上の混合物であることを提供する。他の適したヒンダード有機ポリオールとしては、限定されずに、種々のトリメチロールプロパンベースの成分、例えば、トリメチロールプロパン(「TMP」;2,2−ジメチロール−1−ブタノール)及びジ−トリメチロールプロパン(「DTMP」)が挙げられる。
【0020】
必要に応じて、所望の特性のエステルを提供するために、必要に応じて、阻害されない他のアルコールが添加され得ることが理解されている。かかるアルコールとしては、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールなどのグリコールが挙げられる。
【0021】
カルボン酸
カルボン酸との記載は、カルボキシル基(−COOH又は−COH)基を含む有機分子を意味する。分枝鎖カルボン酸は、炭化水素骨格から側鎖を有する。合成エステルと共に使用されるカルボン酸は、5個、6個、7個、8個又は9個以上の炭素の鎖を有し得る。1つ以上の実施形態では、カルボン酸は一塩基性であり、即ち、それらがアルコールとのエステル化のために鎖上にたった1つの位置を提供している。特定の実施形態では、カルボン酸は、20%以上(又は30%以上、又は40%以上、又は50%以上、又は60%以上、又は70%以上、又は80%以上、又は90%以上、又は更に100%)の分枝鎖カルボン酸を含む。例示的な分枝鎖カルボン酸としては、限定されずに、イソペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸が挙げられる。
【0022】
他の可能な分枝鎖又は非分枝鎖カルボン酸としては、限定されずに、2,2−ジメチルプロパン酸、ネオヘプタン酸、ネオオクタン酸、ネオノナン酸、イソヘキサン酸、ネオデカン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸及びイソデカン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ミリスチン酸、セロチン酸、メリシン酸、トリコサン酸、ゲルベ酸C32(パルミチン酸のゲルベ反応(guerbetization)の反応生成物)、ゲルベ酸C34(ステアリン酸とパルミチン酸とのゲルベ反応の反応生成物)又はゲルベ酸C36(ステアリン酸のゲルベ反応の反応生成物)及びペンタコサン酸が挙げられる。
【0023】
1つ以上の実施態様では、カルボン酸は、イソペンタン酸を除外している。代替の実施態様では、異なる鎖長及び官能性を有するものを含む、カルボン酸の混合物が利用されている。特定の実施形態では、カルボン酸は一塩基性又は二塩基性であってもよいが、一塩基酸が好ましい。適切な二塩基酸としては、限定されずに、アジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸が挙げられる。また、飽和酸が使用されることが好ましい。1つ以上の実施態様では、カルボン酸は不飽和酸を除外している。
【0024】
合成エステル基油
提供される合成エステル基油は、ヒンダード有機ポリオールエステル基油をも意味し得る。特定の実施形態では、ヒンダード有機ポリオールエステル基油は、全潤滑剤組成物の約2質量パーセントから約80質量パーセントまでを構成し、性能添加剤パッケージは、全潤滑剤組成物の約0.1質量パーセントから約10質量パーセントまでを構成し、1種以上の追加の基油は、全潤滑剤組成物の残部を構成する。他の実施形態では、ヒンダード有機ポリオールエステル基油は、全潤滑剤組成物の約5質量パーセントから約70質量パーセントまでを構成する。他の実施形態では、ヒンダード有機ポリオールエステル基油は、全潤滑剤組成物の約10質量パーセントから約50質量パーセントまでを構成する。更なる実施形態では、ヒンダード有機ポリオールエステル基油は、全潤滑剤組成物の約10質量パーセントから約35質量パーセントまでを構成する。しかしながら、一般的に、これらの成分は、各用途の特定のニーズに応じて、広く様々な量で組成物中に存在し得ると考えられており、全てのかかる変形は本発明の広い範囲内にあると考えられる。
【0025】
ポリオールエステル基油の反応生成物は、ヒンダード有機ポリオール、又はポリオールの混合物と、分枝鎖及び非分枝鎖カルボン酸の混合物又は100%の分枝鎖カルボン酸との反応によって形成される。
【0026】
追加の基油
特定の実施形態では、合成エステル基油は、潤滑剤組成物を作るために1種以上の追加の基油と組み合わされて使用される。これらの1種以上の追加の基油は、ポリアルキレングリコール、グリコールエーテル、ポリエーテル、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、ポリアルファオレフィン、ポリブテン、鉱油、高度精製鉱油、高級パラフィン性のフィッシャー−トロプシュ法由来の基液、シリコーン、アルキル化ナフタレン及びそれらの混合物からなる群から選択される。詳細な実施形態は、1種以上の追加の基材油が、ポリアルキレングリコール、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、ポリアルファオレフィン、及び高級パラフィン性のフィッシャー−トロプシュ法由来の基液のうち1つ以上を含むのみであることを提供する。詳細な実施態様は、1種以上の追加の基油がアルキル化ナフタレンを除外することを提供する。
【0027】
添加剤
幾つかの使用条件下では、上記のエステルは十分な潤滑剤として良好に機能する。しかしながら、一般に、完全な潤滑剤の場合、当該技術分野では通例、耐酸化性(酸化防止剤)及び熱安定性向上剤、腐食防止剤、金属不活性化剤、潤滑性添加剤、粘度指数向上剤、流動点及び/又はフロック点降下剤、洗浄剤、分散剤、消泡剤、耐摩耗剤、及び極圧抵抗添加剤などの添加剤を意味する他の材料を含有することが好ましい。多くの添加剤が多機能である。例えば、ある添加剤は、抗摩耗及び極圧抵抗特性の両方を付与し得るか、又は金属不活性化剤及び腐食抑制剤の両方として機能し得る。累積的に、全ての添加剤は、性能添加剤パッケージと総称され、好ましくは全潤滑剤組成物の約10質量%を超えない。
【0028】
上記種類の添加剤の有効量は、一般に、抗酸化剤成分の場合、約0.01%から約5%までの範囲であり、腐食防止剤成分の場合、約0.01%から約5%までの範囲であり、金属不活性成分の場合、約0.001質量%から約0.5%までの範囲であり、潤滑性添加剤の場合、約0.01%から約5%までの範囲であり、粘度指数向上剤並びに流動点及び/又はフロック点降下剤のそれぞれの場合、約0.01%から約2%までの範囲であり、洗浄剤及び分散剤のそれぞれの場合、約0.1%から約5%までの範囲であり、消泡剤の場合、約0.001%から約0.1%の範囲であり、耐摩耗及び極圧抵抗成分のそれぞれの場合、約0.01%から約2%までの範囲である。これらのパーセンテージの全ては質量によるものであり、全潤滑剤組成物に基づいている。記載された量よりも多い又は少ない添加剤が、特定の状況により好適なこともあり、単一の分子タイプ又はこれらのタイプの混合物がそれぞれのタイプの追加成分に使用され得ることが理解されるべきである。
【0029】
好適な耐酸化性(酸化防止剤)及び熱安定性向上剤の非限定的例は、ジフェニル−、ジナフチル−、及びフェニル−ナフチル−アミン(ここで、フェニル基及びナフチル基は置換され得る)、例えば、N,N’−ジフェニルフェニレンジアミン、p−オクチルジフェニルアミン、ρ,ρ−ジオクチルジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、アルキル化フェニルアルファナフチルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、N−(p−ドデシル)−フェニル−2−ナフチルアミン、ジ−1−ナフチルアミン、及びジ−2−ナフチルアミン;フェノチアジン、例えば、N−アルキルフェノチアジン;イミノ(−ビスベンジル);ヒンダードフェノール、例えば、6−(t−ブチル)フェノール、2,6−ジ−(t−ブチル)フェノール、4−メチル−2,6−ジ−(t−ブチル)フェノール、4,4’−メチレンビス(−2,6−ジ−{t−ブチル}−フェノール)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸のエステル、チオジエチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート、[[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]チオ]酢酸;ジチオカルバメート、例えば、メチレン−ビス−ジブチルジチオカルバメート等である。
【0030】
好適な第一銅金属不活性化剤の例は、イミダゾール、ベンズアミダゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2,5−ジエルカプトチアジアゾール、サリチリジン−プロピレンジアミン、ピラゾール、ベンゾトリアゾール、トルトリアゾール、2−メチルベンズイミダゾール、3,5−ジメチルピラゾール、及びメチレンビス−ベンゾトリアゾールである。ベンゾトリアゾール誘導体が好ましい。更に一般的な金属不活性化剤及び/又は腐食防止剤の他の例としては、有機酸及びそれらのエステル、金属塩、及び無水物、例えば、N−オレイルサルコシン、ソルビタンモノオレエート、ナフテン酸鉛、ドデカニル−コハク酸及びその部分エステル及びアミド、及び4−ノニルフェノキシ酢酸;第1級、第2級、及び第3級脂肪族及び脂環式アミン及び有機酸及び無機酸のアミン塩、例えば、油溶性のアルキルアンモニウムカルボキシレート;複素環式窒素含有化合物、例えば、チアジアゾール、置換イミダゾリン、及びオキサゾリン、キノリン、キノン、及びアントラキノン;没食子酸プロピル;中性及び塩基性スルホネート、例えば、アンモニウム、アミン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ナトリウム又はバリウムジノニルナフタレンスルホネート;過塩基性スルホン酸塩;錯体スルホン酸塩;バリウムジノニルナフタレンスルホネート;アルケニルコハク酸無水物又は酸のエステル及びアミド誘導体、ジチオカルバメート、ジチオホスフェート;アルキル酸ホスフェートのアミン塩及びそれらの誘導体及びアミノ酸誘導体が挙げられる。好適な潤滑性添加剤の例としては、脂肪酸及び天然油の長鎖誘導体、例えば、エステル、アミン、アミド、イミダゾリン、及びホウ酸塩が挙げられる。
【0031】
好適な粘度指数向上剤の例としては、ポリメタクリレート、ビニルピロリドンとメタクリレートのコポリマー、ポリブテン、スチレンアクリレートコポリマー、及びエチレンとプロピレンのコポリマーが挙げられる。
【0032】
好適な流動点及び/又はフロック点降下剤の例としては、ポリメタクリレート、例えば、メタクリレート−エチレン−ビニルアセテートターポリマー;アルキル化ナフタレン誘導体;尿素とナフタレン又はフェノールとのフリーデル−クラフツ触媒縮合の生成物が挙げられる。
【0033】
好適な洗浄剤及び/又は分散剤の例としては、ポリブテニルコハク酸アミド;ポリブテニルリン酸誘導体;長鎖アルキル置換芳香族スルホン酸及びそれらの塩;並びに硫化アルキルの金属塩、アルキルフェノールの金属塩、及びアルキルフェノールとアルデヒドとの縮合生成物の金属塩が挙げられる。
【0034】
好適な消泡剤の例としては、シリコーンポリマー及び幾つかのアクリレートが挙げられる。好適な耐摩耗性及び極圧抵抗剤の例としては、硫化脂肪酸及び脂肪酸エステル、例えば、硫化オクチルタレート;硫化テルペン;硫化オレフィン;有機ポリスルフィド;有機リン誘導体、例えば、リン酸アミン、アルキル酸ホスフェート、ジアルキルホスフェート、ジチオホスフェート、トリアルキル及びトリアリールホスホロチオネート、トリアルキル及びトリアリールホスフィン、及びジアルキルホスフェート、例えば、リン酸モノヘキシルエステルのアミン塩、ジノニルナフタレンスルホネート、トリフェニルホスフェート、トリナフチルホスフェート、ジフェニルクレジル及びジクレジルフェニルホスフェートのアミン塩、ナフチルジフェニルホスフェート、トリフェニルホスホロチオネート;ジチオカルバメート、例えば、アンチモンジアルキルジチオカルバメート;塩素化及び/又はフッ素化炭化水素、及びキサンテートが挙げられる。
【0035】
ヒンダード有機ポリオールエステル基油の合成
合成のヒンダード有機ポリオールエステルを調製する場合、所望量のヒンダード有機ポリオールとカルボン酸を反応容器内に置く。典型的には、反応混合物に充填される酸の量は、最初に、それと反応するアルコールの当量に対して過剰な約1.1%から約1.2%までの当量の酸を提供するのに十分である。本願明細書の課題のために、酸の当量は、1グラム当量のカルボキシル基を有する量として定義されているが、アルコールの当量は、1グラム当量のヒドロキシル基を有する量である。エステル化反応は、水を除去しながら高められた温度で行われる。反応は、水の除去を容易にするために、トルエン又はキシレンなどの共沸溶媒中で反応物を還流することによって実施され得る。エステル化触媒を使用してもよいが、反応のために必要ではない。反応の完了時に、過剰の酸及び任意の溶媒は、真空ストリッピング又は蒸留によってエステル生成物から好都合に分離され得る。
【0036】
このように製造されるエステル生成物は、そのまま利用され得るか、又はアルカリ精製され得るか又は酸価を低下させ、触媒残渣を除去し、灰分又は他の望ましくない不純物を低減するために他の方法で処理され得る。エステル生成物にアルカリ精製を施す場合、エステルを基油及び/又は潤滑剤として使用する前に、得られた生成物を水で洗浄して、未反応の過剰のアルカリと少量の石けんフォームをアルカリにより中和された過剰の脂肪酸から除去するべきである。
【0037】
潤滑剤の最終用途に応じて、潤滑剤組成物の特定の実施形態は、約7から約460までの範囲のISO粘度グレードを有する。他の実施形態は、約1000までのISO粘度グレードを有する。
【0038】
本発明は、以下の実施例を参照してより良く理解される。実施例は、例示のみを目的として提示されており、限定的な意味に解釈されることを意図するものではない。
【0039】
実施例
特定の実施形態によって潤滑剤組成物の有益な特性を実証するために、ポリオールエステル基油を配合物する際に使用される分枝鎖酸の量が変化する潤滑剤組成物が作り出された。以下の表1は、様々な潤滑剤組成物を配合するために使用された成分を示す。2タイプの試験は、その後、得られた潤滑剤組成物の酸化特性を比較するために利用された。
【表1】
【0040】
ASTM D2272の回転圧力容器による酸化安定性
この試験方法は、150℃で水及び銅触媒コイルの存在下で潤滑剤の酸化安定性を評価するために、酸素加圧容器を利用する。潤滑剤、水及び銅触媒コイルを、被覆されたガラス容器に入れ、次いで、この容器を、圧力計を備える容器内に配置する。酸素を620kPa(90psi)のゲージ圧まで容器に充填した後、これを恒温油浴又はドライブロック内に配置して150℃に加熱する。圧力容器を水平から30°の角度で100rpmで軸方向に回転させる。容器の圧力を、試験の間監視する。ゲージ圧(一般に最大圧力よりも低い175kPa又は25.4psi)の特定の降下に到達するのに必要な分単位の時間が、試験潤滑剤の酸化安定性(又は酸化寿命)である。この試験は、潤滑剤の酸化安定性を比較し、種々の試験潤滑剤から期待できる耐用寿命の量の相対的な格付けを行うために使用される。
【0041】
ASTM D943の酸化抑制油の酸化特性
この試験方法は、95℃で酸素、水、及び銅及び鉄触媒コイルの存在下で潤滑剤の酸化安定性の評価をカバーしている。潤滑剤、水、及び銅及び鉄触媒コイルをガラス試験管に入れた後、これを定温油浴中に置いて95℃に加熱する。酸素を、毎時3リットルの速度で潤滑剤に接触させるか又は泡立てる。潤滑剤の酸価はテストの間、監視されている。酸価(一般に2.0mgKOH/g以上)の特異的な増加に達するのに必要な時間数が、試験潤滑剤の酸化安定性(又は酸化寿命)である。この試験は、潤滑剤の酸化安定性を比較し、種々の潤滑剤から期待できる耐用寿命の量の相対的な格付けを行うために使用される。
【0042】
以下の表2〜7に含まれる、この試験の結果は、ヒンダードポリオール及び大部分が分枝鎖のカルボン酸から形成されたヒンダードポリオールエステルを、酸化防止剤及び他の基油と併用して直鎖カルボン酸の代わりに使用する時に、延びた潤滑剤酸化寿命が提供されることを示す。試験結果が(">")を上回る結果を示す場合、これは試験がその時点で終了したことを示すことに留意するべきである。
【0043】
表2の実施例1〜7は、次の通り、酸化防止剤並びにポリアルファオレフィン及びオレフィンコポリマーなどの他の基油と併せて全て直鎖の酸又はジエステルを使用して、ヒンダードポリオールエステルを含む他の種類のエステルの代わりに、大部分が分枝鎖のカルボン酸のヒンダードポリオールエステルを使用する時に、延びた潤滑剤酸化寿命が提供されることを示す。
【表2】
【0044】
表3の実施例8〜14は、次の通り、酸化防止剤並びにポリアルファオレフィン、ポリオレフィン及びオレフィンコポリマーなどの他の基油と併せて全て直鎖の酸を使用して、ヒンダードポリオールエステルを含む他の種類のエステルの代わりに、大部分が分枝鎖のカルボン酸のヒンダードポリオールエステルを使用する時に、延びた潤滑剤酸化寿命が提供されることを示す。
【表3】
【0045】
表4の実施例15〜22は、次の通り、酸化防止剤並びにポリアルファオレフィン、ポリオレフィン及びオレフィンコポリマーなどの他の基油と併せて全て直鎖の酸を使用して、ヒンダードポリオールエステルを含む他の種類のエステルの代わりに、大部分が分枝鎖のカルボン酸のヒンダードポリオールエステルを使用する時に、延びた潤滑剤酸化寿命が提供されることを示す。
【表4】
【0046】
表5〜6の実施例23〜38は、次の通り、酸化防止剤並びにポリアルキレングリコールなどの他の基油と併せて全て直鎖の酸を使用して、ヒンダードポリオールエステルを含む他の種類のエステルの代わりに、大部分が分枝鎖のカルボン酸のヒンダードポリオールエステルを使用する時に、延びた潤滑剤酸化寿命が提供されることを示す。実施例38により示される通り、少なくとも20%の分枝鎖を有する酸を、ヒンダードポリオールエステルの形成の際に使用する場合、潤滑剤寿命の改善が見られる。
【表5】
【表6】
【0047】
表7の実施例39〜42は、次の通り、酸化防止剤並びに高級パラフィン性のフィッシャー−トロプシュ法由来の基液及びオレフィンコポリマーなどの他の基油と併せて全て直鎖の酸を使用して、ヒンダードポリオールエステルを含む他の種類のエステルの代わりに、大部分が分枝鎖のカルボン酸のヒンダードポリオールエステルを使用する時に、延びた潤滑剤酸化寿命が提供されることを示す。
【表7】
【0048】
本願明細書を通して「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」又は「ある実施形態」との記載は、その実施態様に関連して記載された特定の特徴、構造、材料、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施態様に含まれることを意味する。従って、本願明細書を通して各所の「1つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」又は「ある実施態様では」などの語句の表現は、本発明の同じ実施態様を必ずしも意味していない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1つ以上の実施形態で任意の適切な方法と組み合わされ得る。
【0049】
本発明は、上記の実施態様及びその変形例に関連して具体的に記載されている。更なる改変及び変更は、明細書を読んで理解する際に他にも起こり得る。それらが本発明の範囲内にある限り、全てのかかる修正及び変更を含むことが意図される。