特許第6033306号(P6033306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033306
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】流れのある媒体を調量供給する弁
(51)【国際特許分類】
   F02M 61/16 20060101AFI20161121BHJP
   F02M 51/06 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   F02M61/16 K
   F02M51/06 T
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-525362(P2014-525362)
(86)(22)【出願日】2012年6月26日
(65)【公表番号】特表2014-521883(P2014-521883A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】EP2012062303
(87)【国際公開番号】WO2013023825
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2014年2月18日
(31)【優先権主張番号】102011081176.1
(32)【優先日】2011年8月18日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ディートマー シュミーダー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ゼバスティアン
【審査官】 櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−058067(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/091759(WO,A1)
【文献】 特表2003−528254(JP,A)
【文献】 特開平10−159675(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01820957(EP,A2)
【文献】 特開2001−221122(JP,A)
【文献】 独国実用新案第202006002663(DE,U1)
【文献】 米国特許第6499676(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0050114(US,A1)
【文献】 特表2008−534859(JP,A)
【文献】 特表2003−531338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 61/16
F02M 51/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れのある媒体を調量供給する弁であって、
前記媒体のための流入路(17)を有する弁ハウジング(11)と、
前記媒体のための調量供給開口(13)を有する弁ボディ(12)と、
弁ハウジング(11)と弁ボディ(12)との間に存在する接合箇所(18)と、
該接合箇所(18)を密封するシール部材(20)と、
を備える、流れのある媒体を調量供給する弁において、
シール部材(20)は、接合箇所(18)を覆う金属製のクランプリング(19)を有し、該クランプリング(19)は、弁ハウジング(11)および弁ボディ(12)の、接合箇所(18)において互いに向かい合った端部分に、嵌合されており、
弁ハウジング(11)および弁ボディ(12)の前記端部分は、等しい外径を有し、
弁ボディ(12)と弁ハウジング(11)とは、接合箇所(18)において、弁ボディ(12)に形成された環状の第1の当付け面(22)と、弁ハウジング(11)に形成された環状の第2の当付け面(23)とで互いに突き合わされて接触しており、第1の当付け面(22)は、前記媒体により加圧される、弁ボディ(12)に設けられたキャビティ(24)を画定する内側の周縁部(25)を有し、第2の当付け面(23)は、内側の周縁部(25)を越えて突出した張出し範囲(26)を有し、
弁ハウジング(11)に設けられた第2の当付け面(23)の張出し範囲(26)に、キャビティ(24)に向かって開いた溝(27)が配置されており、
前記キャビティ(24)は、環状のキャビティ底部(241)と、キャビティ壁(242)と、該キャビティ壁(242)により取り囲まれたキャビティ開口(243)とを有し、該キャビティ開口(243)に前記媒体のための流入路(17)が開口しており、キャビティ壁(242)は、キャビティ底部(241)と鈍角を成していて、平らに形成されているかまたは凹面状に湾曲させられて形成されており、
前記溝(27)は、弁ボディ(12)に設けられた第1の当付け面(22)の内側の周縁部(25)に向かって溝底(272)に対して鈍角を成して延びる溝側面(271)を有しており、
前記キャビティ(24)および前記溝(27)によって、弁ボディ(12)および弁ハウジング(11)の端部分の剛性が低減され、キャビティ(24)内の媒体の圧力により弁ハウジング(11)および弁ボディ(12)がクランプリング(19)に半径方向で押し付けられることを特徴とする、流れのある媒体を調量供給する弁。
【請求項2】
弁ハウジング(11)および弁ボディ(12)の前記端部分は、クランプリング(19)の覆い範囲に、半径方向の複数のシール縁部を備える、請求項1記載の弁。
【請求項3】
前記半径方向のシール縁部に歯列(21)が形成されている、請求項2記載の弁。
【請求項4】
弁ハウジング(11)に設けられた第2の当付け面(23)は、弁ハウジング(11)の端面に対して引っ込められて配置されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の弁。
【請求項5】
シール部材(20)は、接合箇所(18)を軸方向で覆う、エラストマから成るシールリング(28)をさらに有し、該シールリング(28)は、クランプリング(19)内に嵌め込まれていて、半径方向で弁ハウジング(11)および弁ボディ(12)の前記端部分に押し付けられている、請求項1からまでのいずれか1項記載の弁。
【請求項6】
シールリング(28)は、クランプリング(19)の内側の環状壁に加工された溝(29)内に収容されている、請求項記載の弁。
【請求項7】
シール部材(20)は、弁ハウジング(11)および弁ボディ(12)の前記端部分の、クランプリング(19)により覆われた範囲の少なくとも一部を被覆する、エラストマから成る被覆体(30)をさらに有する、請求項1からまでのいずれか1項記載の弁。
【請求項8】
シール部材(20)は、弁ボディ(12)の当付け面(22)と弁ハウジング(11)の当付け面(23)との間に配置された、エラストマから成るシールリング(31)をさらに有する、請求項1からまでのいずれか1項記載の弁。
【請求項9】
シール部材(20)は、弁ボディ(12)に設けられた当付け面(22)および弁ハウジング(11)に設けられた当付け面(23)のうちの少なくとも一方を被覆する、エラストマから成る被覆体(32)をさらに有する、請求項1からまでのいずれか1項記載の弁。
【請求項10】
前記エラストマはシリコーンである、請求項または記載の弁。
【請求項11】
クランプリング(19)は、端部側で、一方では弁ハウジング(11)に溶接されていて、他方では弁ボディ(12)に溶接されている、請求項1から1までのいずれか1項記載の弁。
【請求項12】
前記嵌合は、弁ハウジング(11)および弁ボディ(12)の前記端部分へのクランプリング(19)の収縮嵌めによって行われている、請求項1から1までのいずれか1項記載の弁。
【請求項13】
前記媒体は、ガス状のまたは液状の媒体である、請求項1から1までのいずれか1項記載の弁。
【請求項14】
前記弁は、内燃機関用の燃料噴射弁である、請求項1から1までのいずれか1項記載の弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載した、流れのある媒体、たとえばガス状のまたは液状の媒体を調量供給する弁、特に内燃機関用の燃料噴射弁に係る。
【0002】
背景技術
公知の燃料噴射弁(独国特許出願公開第102007028490号明細書)は、流入側の端部と噴射側の端部とを備えた中空円筒状のハウジングを有している。流入側の端部は、流入管片を支持するカバーによって閉鎖されており、噴射側の端部には、ハウジングを越えて部分的に突出した中空円筒状の弁ボディまたはノズルボディが挿入されている。この弁ボディの、ハウジングと反対側の端部には、噴射開口と、この噴射開口を流出側で取り囲む弁座とが形成されている。弁ハウジングの噴射側の端部は弁ボディを取り囲んでおり、弁ハウジングと弁ボディとの間に存在する環状の接合箇所は、弁ハウジングと弁ボディとを互いに結合する溶接シームによって液密に密封されており、これによって、弁ハウジング内で、たとえば200barのシステム圧下にある燃料が、接合箇所において流出しないようになっている。
【0003】
発明の開示
請求項1の特徴を備えた本発明に係る弁は、弁ハウジングと弁ボディとへのプレス嵌めにより接合箇所を覆うクランプリングによって、弁ハウジングと弁ボディとの間の接合箇所の、溶接シームに比べて確実なかつ亀裂が生じにくい密封が行われているという利点を有している。クランプリングのプレス嵌めは、好適には収縮嵌めによって行われる。このためには、クランプリングが、たとえば可能な限り高い温度に誘導加熱され、これにより内径が拡径されたクランプリングが、接合箇所を覆うように弁ハウジングおよび弁ボディの端部分に被せられるかまたは押し被せられる。冷却されると、クランプリングが収縮し、弁ボディと弁ハウジングとを軸方向に引き寄せる。これによって、弁ハウジングと弁ボディとの間で接合箇所の摩擦接続および半径方向のかつ軸方向に密封が行われる。択一的には、プレス嵌めが、弁ハウジングおよび弁ボディの端部分に余剰寸法を伴って被せられたクランプリングの機械的な押付けによって行われてもよい。弁ハウジングの材料と弁ボディの材料とは、溶接シームによる密封の場合と異なり、自由に選択されてよい。なぜならば、機械的に安定した耐圧性のかつ引裂き抵抗を有する溶接シームを得るために極めて良好に溶接可能な材料を使用することに対する要求が排除されているからである。したがって、弁ハウジングと弁ボディとを廉価な材料から製造することができ、製造コストを削減することができる。弁ハウジングと弁ボディとの間に溶接歪みが生じることがある溶接の場合と異なり、両部材の確実なかつ良好な位置決めが達成される。弁ハウジングと弁ボディとの溶接の場合と異なり、弁ボディの外径が大きい場合でも、弁ハウジング内の大きな圧力にもかかわらず、接合箇所の確実な密封を保証することができる。大きな外径によって、さらに、弁ボディに設けられた中心の調量供給開口への、弁の幾つかの構造的な構成に対して有利な弁ハウジング内での偏心的な流体案内が可能となる。クランプリングを加熱するためのエネルギ利用を制限するためは、このクランプリングが可能な限り小さな体積を備えて設計されている。
【0004】
従属請求項に記載した手段によって、請求項1に記載した弁の有利な改良と改善とが可能となる。
【0005】
本発明の有利な態様では、弁ハウジングおよび弁ボディの端部分が、クランプリングの覆い範囲に、互いに間隔を置いて配置された半径方向の複数のシール縁部を備えており、これらのシール縁部が、製造技術的に簡単に歯列の歯面によって形成されている。シール縁部内でのクランプリングの、このクランプリングのプレス嵌めの実施に付随した引っ掛かりによって、付加的に形状接続が生じ、接合箇所の半径方向のかつ軸方向の密封がさらに改善される。
【0006】
本発明の有利な態様では、弁ハウジングおよび弁ボディの端部分が、接合箇所において互いに突き合わされて接触していて、等しい外径を有している。この態様では、弁ボディと弁ハウジングとが、接合箇所において、弁ボディに形成された環状の第1の当付け面と、弁ハウジングに形成された、好適には弁ハウジングの端面に対して引っ込められて配置された環状の第2の当付け面とで互いに接触している。第1の当付け面は、媒体により加圧される、弁ボディに設けられた中央のキャビティを画定する内側の周縁部を有しており、第2の当付け面は、内側の周縁部を越えて突出した張出し範囲を有している。この態様では、キャビティが、環状のキャビティ底部と共に鈍角を成していて、平らに形成されているかまたは凹面状に湾曲させられて形成されている。キャビティによって、接合箇所での弁ボディの剛性が低減させられ、キャビティ内に形成された流体圧が、弁ボディを半径方向でクランプリングに向かって付加的に押圧する。これによって、接合箇所での形状接続と密封とが向上させられる。
【0007】
この効果は、本発明の別の態様では、弁ハウジングに設けられた第2の当付け面の張出し範囲に、キャビティに向かって開いた溝が配置されており、溝が、好適には、弁ボディに設けられた第1の当付け面の内側の周縁部に向かって溝底に対して鈍角を成して延びる溝側面を有していることによって一層向上させられる。溝によって、弁ハウジングの端部分でも剛性低減が達成され、これによって、キャビティ内にも溝内にも形成された流体圧が、弁ハウジングをも半径方向でクランプリングに押し付ける。
【0008】
本発明の別の態様によれば、接合箇所の半径方向のかつ軸方向の密封を種々異なる手段によって付加的に改善することができる。たとえば、さらに、クランプリング内に、接合箇所を覆う、エラストマ、たとえばシリコーンから成るシールリングが嵌め込まれていて、このシールリングが、半径方向で弁ハウジングおよび弁ボディの端部分に押し付けられていてもよいし、弁ハウジングおよび弁ボディの端部分の、クランプリングにより覆われた範囲の少なくとも一部が、弾性的なシール材料、たとえばシリコーンで被覆されていてもよいし、弁ハウジングと弁ボディとの、互いに接触し合う当付け面の間に、エラストマ、たとえばシリコーンから成るシールリングが配置されていてもよいし、弁ハウジングに設けられた当付け面および弁ボディに設けられた当付け面のうちの少なくとも一方が、シール材料、たとえばシリコーンで被覆されていてもよい。なお、付加的には、一方で、クランプリングと弁ボディとの溶接が行われ、他方で、クランプリングと弁ハウジングとの溶接が行われてもよい。この態様では、両溶接シームはシール機能しか引き受けない。なぜならば、流体圧の軸方向の力がクランプリングによって受け止められるからである。これによって、溶接シームが高い機械的な安定性を有している必要はないので、弁ハウジング、弁ボディおよびクランプリングに対して、溶接のために良好に適しているとまでは言えない材料が使用されてもよい。
【0009】
好適には、弁ハウジングおよび弁ボディには、高い強度を備えた可能な限り硬い材料、たとえば焼入れされた鋼1.4035が使用され、クランプリングには、高い強度と僅かに少ない硬さとを備えた材料、たとえば焼入れ焼戻しされた鋼1.4035が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】液状のまたはガス状の媒体を調量供給するための弁の部分的な縦断面図である。
図2図1における一点鎖線の部分の詳細図である。
図3】別の実施の形態を図2と同様に示す図である。
図4】さらに別の実施の形態を図2と同様に示す図である。
図5】さらに別の実施の形態を図2と同様に示す図である。
図6】さらに別の実施の形態を図2と同様に示す図である。
図7】さらに別の実施の形態を図2と同様に示す図である。
【0011】
本発明を、図面に示した複数の実施の形態に基づき以下に詳しく説明する。
【0012】
図1に縦断面図で示した、流れのある媒体、すなわち、液状のまたはガス状の媒体を調量供給するための弁は、好適には、燃料を内燃機関の燃焼シリンダ内にまたは吸気ポート内に噴射するための噴射弁として使用されるものの、水性の溶液、たとえば尿素水溶液を内燃機関の排気系統内に噴射するための調量弁として使用されてもよい。弁は弁ハウジング11を有している。この弁ハウジング11の一方の端面端部は弁ボディ12によって閉鎖されている。この弁ボディ12の中心に延びる貫通孔121の、ハウジングと反対側の端部には、調量供給開口13が形成されている。この調量供給開口13は、外向きに開放する弁部材14によって、弁ボディ12に形成された弁座122と相俟って制御される、すなわち、開閉される。弁ニードル141と、この弁ニードル141の端部側に配置された閉鎖ヘッド142とを有する弁部材14は、公知の形式でアクチュエータ(図示せず)、たとえば圧電式のアクチュエータによって、弁ニードル141と弁ボディ12とに支持された弁閉鎖ばね16の戻し力に抗して操作される。弁ハウジング11内には、媒体のための軸方向に延びる流入路17が偏心的に存在している。この流入路17を介して、媒体は、弁ボディ12内に貫通孔121に対して同軸的に形成された、弁閉鎖ばね16を収容する中空室15内に達し、この中空室15から、弁ニードル141を案内する貫通孔121を介して、閉鎖ヘッド142により閉鎖された調量供給開口13に達する。
【0013】
弁ハウジング11と弁ボディ12との間には、接合箇所18が存在している。この接合箇所18では、弁ハウジング11および弁ボディ12の、互いに向かい合った等しい外径を有する端部分が、互いに突き合わされて接触している。接合箇所18はシール部材20によって密封されている。このシール部材20は、本発明では、接合箇所18を覆うクランプリング19を有している。このクランプリング19は、弁ハウジング11および弁ボディ12の端部分にプレス嵌めによって装着されている。クランプリング19は、高い強度と、弁ハウジング11および弁ボディ12の材料の硬さに比べて僅かに少ない硬さとを有する材料から成っている。たとえば、鋼1.4035から成るクランプリング19は焼入れ焼戻しされており、鋼1.4035から成る弁ハウジング11と弁ボディ12とは焼入れされている。
【0014】
好適には、プレス嵌めは、クランプリング19を弁ハウジング11および弁ボディ12の端部分に収縮嵌めすることによって行われる。このためには、クランプリング19が、好適には、たとえば可能な限り高い温度に誘導加熱され、この加熱により内径が拡径されたクランプリング19が、弁ハウジング11および弁ボディ12の端部分に接合箇所18にわたって被せられるかまたは押し被せられる。クランプリング19は、その加熱プロセスを短縮しかつエネルギを節約するために、可能な限り小さな体積を有している。冷却されると、クランプリング19が収縮する。その際、弁ボディ12と弁ハウジング11とが接合箇所18において軸方向に引き寄せられ、弁ボディ12と弁ハウジング11との間で摩擦接続および半径方向のかつ軸方向の密封が行われる。
【0015】
図2に拡大して示した弁の一部から認めることができるように、弁ハウジング11および弁ボディ12の端部分は、クランプリング19の覆い範囲において、互いに間隔を置いて配置された半径方向の複数のシール縁部を付加的に備えている。このシール縁部は、最も簡単な形態では、歯列21の歯面によって形成されている。プレス嵌めによって、クランプリング19が付加的に歯列21のシール縁部内に食い込む。これによって、付加的な形状接続およびシール作用の向上が達成される。
【0016】
半径方向の密封と形状接続とは、弁ボディ12と弁ハウジング11との剛性低減が行われることにより、弁ボディ12と弁ハウジング11との内部に生じる流体圧によって付加的に向上させられる。このためには、弁ボディ12に環状の第1の当付け面22が形成されており、弁ハウジング11に環状の第2の当付け面23が形成されている。第1の当付け面22と第2の当付け面23とは、接合箇所18において互いに接触している。第1の当付け面22は、弁ボディ12に設けられた中央のキャビティ24により画定された内側の周縁部25を有しており、弁ハウジング11にその端面に対して引っ込められて配置された第2の当付け面23は、内側の周縁部25を越えて突出した、ひいては、キャビティ開口243の上に位置する張出し範囲26を有している。キャビティ24は、弁部材14の弁ニードル141が貫通した環状のキャビティ底部241と、キャビティ壁242と、このキャビティ壁242により取り囲まれたキャビティ開口243とを有している。このキャビティ開口243には、媒体のための流入路17が開口しており、これによって、キャビティ24が、システム圧下にある媒体により加圧されている。キャビティ壁242は、好適にはキャビティ底部241と鈍角を成していて、本実施の形態では凹面状に湾曲させられて形成されている(図2参照)。キャビティ壁242の平らなまたは平坦な構成が可能である。弁ハウジング11に設けられた第2の当付け面23の張出し範囲26には、キャビティ24に向かって開いた溝27が配置されている。この溝27は、弁ボディ12に設けられた第1の当付け面22の内側の周縁部25に向かって、好適には溝底272に対して鈍角を成して延びる溝側面271を有している(図2参照)。キャビティ壁242と溝側面271とに作用する媒体のシステム圧は、弁ボディ12および弁ハウジング11の端部分を、収縮嵌めされたクランプリング19に半径方向で付加的に押し付け、したがって、接合箇所18での弁ハウジング11と弁ボディ12との間の半径方向の密封と形状接続とを向上させている。
【0017】
図3図7に示した、変更された実施の形態に係る弁の部分では、弁ハウジング11と弁ボディ12との間の接合箇所18に対するシール部材20が、収縮嵌めされたクランプリング19に対して付加的に、さらに、別の構造的な手段によって補われている。
【0018】
図3に示した実施の形態では、シール部材20が、クランプリング19に対して付加的に、さらに、接合箇所18を軸方向で覆う、エラストマ、たとえばシリコーンから成るシールリング28を有している。このシールリング28は、クランプリング19内に嵌め込まれていて、半径方向で弁ハウジング11および弁ボディ12の端部分に押し付けられている。シールリング28は、クランプリング19の内側の環状壁に加工された溝29内に収容されている。この溝29は、好適には接合箇所18に対して対称的に配置されている。
【0019】
図4に示した実施の形態では、シール部材20が、クランプリング19に対して付加的に、さらに、エラストマ、たとえばシリコーンから成る被覆体30を有している。この被覆体30は、弁ハウジング11および弁ボディ12の端部分の、クランプリング19により覆われた範囲内で、少なくとも弁ハウジング11の端部分の一部と弁ボディ12の端部分の一部とにわたって延びている。被覆体30の、好適には等しいサイズの両部分は、弁ハウジング11および弁ボディ12の端部分へのクランプリング19の押被せ前に被着される。
【0020】
図5に示した実施の形態では、シール部材20が、クランプリング19に対して付加的に、さらに、エラストマ、たとえばシリコーンから成るシールリング31を有している。このシールリング31は、弁ボディ12の当付け面22と弁ハウジング11の当付け面23との間に配置されている。
【0021】
図6に示した実施の形態では、シール部材20が、クランプリング19に対して付加的に、さらに、エラストマ、たとえばシリコーンから成る被覆体32を有している。この被覆体32は、弁ボディ12の当付け面22および弁ハウジング11の当付け面23の一方または両方に被着されている。
【0022】
図7に示した実施の形態は、ハウジング11および弁ボディ12の端部分に収縮嵌めされたクランプリング19が、さらに、その両端面端部において、一方では弁ハウジング11に溶接されていて、他方では弁ボディ12に溶接されている点でのみ、図1および図2に示した実施の形態と異なっている。この溶接時に形成される溶接シームは、図7に符号33,34で示してある。両溶接シーム33,34は、専ら接合箇所18を付加的に密封するためにしか働かず、軸方向の力を受け止めないので、その機械的な強度に、より高い要求が課される必要はなく、弁ハウジング11、弁ボディ12およびクランプリング19に対して、良好に溶接可能であるとまでは言えない材料が使用されてもよい。
【0023】
図3図7に部分的に示した弁の実施の形態は、変更されたシール部材20を除いて、図1および図2に示した弁の実施の形態に合致しているので、同一の構成部材には、同じ符号が付してある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7